JP2016171747A - 作物の収量に関わる遺伝子及びその利用 - Google Patents

作物の収量に関わる遺伝子及びその利用 Download PDF

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吉晃 長村
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Abstract

【課題】イネの収量、より詳細には、イネの1穂当たりの籾の着粒数を増加させる方法を提供する。【解決手段】MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子で形質転換され、該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネであって、MADS22遺伝子およびMADS55遺伝子がそれぞれ特定のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAである、形質転換イネ。【選択図】図4

Description

本発明は、1穂当たりの籾の着粒数が増加したイネに関する。より詳細には、TAWAWA1
(TAW1)遺伝子の発現が上昇したイネに関する。
イネの穂は、その発生過程において、枝梗(しこう)とよばれる枝分かれがまず作られ、その後にすべての枝に花がつき、それぞれの花が1粒のコメになって穂ができあがる。したがって、枝分かれが多く形成されると、1つの穂につくコメの数も増加する。生物の発生過程の進行は、多数の遺伝子の協調的な作用により厳密に制御されている。イネ穂の発生における枝つくりから花つくりへのプログラム進行も遺伝子によって精巧に制御されていると考えられるが、その制御の実態はわかっていない。また、このプログラム進行のタイミングはイネ穂につくられるコメの数に直接的に影響するはずである。
これまで、花の発生は基礎研究的な観点から多くの研究が行われてきた。また、近年、作物の収量に関する遺伝子レベルでの研究が発展し、収量を左右する遺伝子の単離も報告されている。イネの収量性向上を追求した研究・技術においては、最適な施肥方法・技術の開発、栽植密度、種子の数・形や大きさの改良等、多面的に改善が図られてきた。しかしながら、花の発生メカニズムの解明という基礎研究と収量を直接つなぐ遺伝子レベルでの知見はほとんどなく、この問題が解決できれば、さらに収量の高い米作りが期待できる。
非特許文献1には、イネMADS22遺伝子が発生中のイネ胚L1層及び雄しべの原基で発現することが記載されている。しかしながら、MADS22遺伝子と1穂当たりの籾の着粒数との関係は示唆されていない。また、イネTAW1遺伝子については何ら記載されていない。
非特許文献2には、TAW1遺伝子の3'UTR領域に内在性トランスポゾンnDART1が挿入され
ることにより、TAW1の発現量が野生型よりも増加することが記載されている。しかしながら、TAW1遺伝子の具体的機能については何ら解析されていない。
非特許文献3の図2では、イネTAW1遺伝子にトランスポゾンnDART1が導入された結果、イネの2次枝梗数が増加し、個体当たりの収量が増加したことが記載されている。しかしながら、TAW1遺伝子の具体的な発現の程度については何ら開示がない。
非特許文献4では、イネのMADS22またはMADS55を導入して強制発現させたシロイヌナズナが記載されている。しかしながら、MADS22遺伝子またはMADS55遺伝子とイネの1穂当たりの籾の着粒数との関係は示唆されていない。また、イネTAW1遺伝子については何ら記載されていない。
Mol Gen Genomics (2005)273:1-9 吉田明希子ら、604 イネ穂の枝分かれを制御するTAW1遺伝子の解析、育種学研究 日本育種学会第119回講演会要旨集 第13巻別冊1号 2011年3月 前川雅彦ら、618 機能未知遺伝子TAW1へのnDart1挿入系統における収量増加、育種学研究 日本育種学会第121回講演会要旨集 第14巻別冊1号 2012年3月 Plant Science 185-186(2012)97-104
本発明は、イネの収量を増加させること、より詳細には、イネの1穂当たりの籾の着粒数を増加させることを課題とする。
本発明者らは、花序の分枝パターンが変化した変異体からTAW1の変異体を得た。TAW1の変異体は、イネの収量が増大しており、収量が増大した変異体においてMADS22、MADS55の発現上昇がみられた。これらの遺伝子の形質転換体を作製したところ、着粒数の増加がみられた。本発明者らはこのようにして発明を完成させた。
本発明の一態様としては、TAW1の発現上昇の結果、MADS22、MADS55の発現が上昇することにより着粒数が増加したイネが挙げられる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子で形質転換され、該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネであって、MADS22遺伝子が以下(a)から(e)のいずれかのDNAであり、MADS55遺伝子が以下(f)から(j)のいずれかのDNAである、形質転換イネ。
(a)配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(d)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(e)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(f)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(g)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(h)配列番号8に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(j)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(2)以下(a)から(c)の工程を含む、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネの作製方法。
(a)MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子でイネ細胞を形質転換する工程、
(b)該遺伝子で形質転換されたイネ細胞からイネ植物体を再生する工程、
(c)該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネ植物体を選抜する工程。
(3)以下(a)から(c)の工程を含む、イネの1穂当たりの籾の着粒数を野生型と比較して増加させる方法。
(a)MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子でイネ
細胞を形質転換する工程、
(b)該遺伝子で形質転換されたイネ細胞からイネ植物体を再生する工程、
(c)該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネ植物体を選抜する工程。
(4)MADS22遺伝子が以下(a)から(e)のいずれかのDNAであり、MADS55遺伝子が以下(f)から(j)のいずれかのDNAである、(2)に記載の形質転換イネの作製方法又は(3)に記載のイネの1穂当たりの籾の着粒数を野生型と比較して増加させる方法。
(a)配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(d)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(e)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(f)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(g)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(h)配列番号8に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(i)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(j)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(5)(2)又は(4)に記載の形質転換イネの作製法によって作製された形質転換イネの該形質転換イネ系統内での交配又は該形質転換イネ系統と他のイネ系統との交配によって得られた後代であって、導入されたMADS22遺伝子又はMADS55遺伝子を有し、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネ。
(6)小穂発生期の花序での内在性TAWAWA1(TAW1)遺伝子の発現を野生型と比較して上昇
させることにより、小穂発生期の花序での内在性MADS22遺伝子または内在性MADS55遺伝子が野生型と比較して過剰に発現され、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加したイネ。
(7)内在性TAW1遺伝子の発現制御領域の改変によって該TAW1遺伝子の発現が上昇した、(6)に記載のイネ。
(8)内在性TAW1遺伝子が配列番号1で示される配列を有するDNA、または、配列番号1の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNAであり、
内在性MADS22遺伝子が配列番号4で示される塩基配列を有するDNA、または、配列番号4の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNAであり、
内在性MADS55遺伝子が配列番号7で示される塩基配列を有するDNA、または、配列番号7の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、イネ
で過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNAである、(6)または(7)に記載のイネ。
MADS22又はMADS55を形質転換で導入し発現させることによって、イネの1穂当たりの着粒数が増え、全体として収量が増加する。本発明の一形態においては、TAW1遺伝子の発現を上昇させて内在性MADS22、MADS55の発現を誘導することにより、1穂当たりの着粒数が増加したイネを得ることができる。
通常、生物の発生は高度な調節を受けており、TAW1作用の過度の増強は穂の正常な生育を阻害するが、本発明のイネでは、TAW1遺伝子、MADS22遺伝子もしくはMADS55遺伝子の発現の適度な上昇により穂の成長が悪影響を受けることなく、穂の粒数を増加できる。
本発明者らは、これまでに例がない、発生過程の制御が収量の増加にそのまま結びつく遺伝子を見出したものであり、収量が増加したイネの作出等の実用化に直結する可能性が高い。
本発明のイネを、例えば、コシヒカリと交配することにより、コシヒカリの食味を損なうことなく収量を増加させることができる。
taw1優性変異体の特性解析。(A)「穂」と呼ばれるイネの花序の模式図。DTP、退化した穂軸の先端;LS、側性小穂;PB、一次枝梗;SB、二次枝梗;TS、頂端小穂。(B)メリステム特異性決定の概念図。新規に形成されたメリステム(二重丸)は小穂メリステム(灰色)アイデンティティか枝梗メリステム(BM:Branching Meristem)(白抜き)アイデンティティを獲得する。シュートメリステム(SM:Shoot Meristem)は花と頂端を形成する。BMは、同じステップを繰り返す次のメリステムを形成し続ける。最終的には、BMはSMアイデンティティを獲得し、頂端小穂として成長する。黒矢印は付加的なメリステムの発生を示す。(C)taw1−D変異体の花序(写真)。(D)一次枝梗に形成された側部メリステム(LM:Lateral Meristem)の数。下側の棒は二次枝梗を表し、上の棒は側性小穂を表す。アスタリスクは対応する対照(WT)試料からの有意差を示す(スチューデントのt検定;**P<0.01)。(E)三次枝梗形成の頻度。DおよびEにおいて、WT、taw1−D2/+およびtaw1−D2は、それぞれ、27例、28例および25例。 TAW1遺伝子の単離。(A)花序表現型と共分離する4番染色体上の領域へのnDart1−0の挿入。(B)挿入部位周辺の遺伝子の未成熟花序における発現レベル。ヘテロ接合性(taw1−D1/+)変異体およびホモ接合性(taw1−D1)変異体の野生型植物に相対的な発現レベルが数値で表される。(C)taw1−3およびそのWT植物であるT65(台中65)の花序(写真)。(D)花序当たりの一次枝梗の数。WT(T65)、taw1−3、WT(N)、およびtaw1−4は、それぞれ、7例、5例、9例および7例である。アスタリスクは対応する対照試料からの有意差を示す(スチューデントのt検定;**P<0.01)。(E)RNAi植物およびWT植物の花序(写真)。 nDart1の挿入および切除。(A)taw1-D1およびtaw1-D2におけるnDart1-0の挿入箇所を示す。taw1-D1およびtaw1-D2における標的部位の複製配列をそれぞれ一重線および二重線で示す。(B)復帰変異体花序(矢印)(写真)。taw1-D1ホモ接合性植物において発生した小穂を含む花序。ここからは、茎の伸長の抑制に起因して、花序が形成されない。小穂は、taw1-D1ホモ接合性植物では生じない。従って、小穂を有する花序は、挿入されたnDart1の切除によって引き起こされる体細胞復帰変異を含む細胞から生じたようである。白色のボックスは花序を示す。左側の画像は、花序の拡大図である。スケールバーは10cmである。(C)復帰変異体におけるTAW1遺伝子の配列解析は、独立した復帰変異事象での、nDart1の切除および6kbまたは8kbの外部配列の挿入を示す。 TAW1ゲノム領域のWTイネへの導入。3kbプロモーター領域、コード領域、および1kb 3’UTRを含むTAW1ゲノム領域をWTイネへ導入した。トランスジェニック植物(GTAW1:Gain of TAW1 copy number)は、taw1-D変異体を模倣する分岐表現型の増加を示す。(A)WTおよびトランスジェニック植物の花序(写真)。スケールバーは5cm。(B)二次枝梗として成長する側部メリステムの数(下層)および一次枝梗における側部小穂の数(上層)。(C)三次枝梗として成長する側部メリステムの数(下層)および二次枝梗における側部小穂の数(上層)。(D)花序当たりの二次枝梗の総数。(E)花序当たりの三次枝梗の総数。(F)花序当たりの小穂の総数。全てのデータは平均値±SDで示される;n=3植物(#28)、4植物(WT)、5植物(#3および#4)。アスタリスクは対応する対照WTからの有意差を示す(スチューデントのt検定;**P<0.01)。 TAW1の発現パターン。(AおよびB)栄養生長期のイネシュートにおけるTAW1−GFP蛍光の局在(写真)。TAW1遺伝子の調節配列の制御下でTAW1−GFPコンストラクトが発現した。コンストラクトはtaw1−3変異体に導入され、変異体の表現型をレスキューすることが確認された。Aの四角で囲んだ幼葉の部分がBに示される。(C〜G)野生型植物における、栄養生長期の茎頂(C)、花序メリステム(D)、一次枝梗発生初期の非常に若い花序(E)、一次枝梗発生後期の非常に若い花序(F)、および小穂メリステム発生期の未成熟な花序(G)でのTAW1の発現のin situハイブリダイゼーション解析(写真)。白色矢頭、葉原基;灰色矢頭、一次枝梗メリステム。(HおよびI)SM発生期のtaw1−D1ホモ接合性花序でのTAW1の発現(写真)。TAW1シグナルは野生型よりもtaw1−D1変異体で強く、SMが発生するステージで(H)および後のステージでも(I)未成熟な穂においてシグナルが続いた。(J)小穂発生期の花序でのTAW1発現の定量的RT−PCR解析。数値はUBIQUITINに相対的なTAW1の発現の平均値±標準偏差(SD)(3例)を表す。 TAW1のアミノ酸配列。保存領域および核移行シグナルは、それぞれ灰色および黒色の下線で示す。Taw1-3, taw1-4では、75番目のEが変異していた。 SVPサブファミリーMADSボックス遺伝子はTAW1の下流で機能する。(A)野生型植物での発現レベルに相対的な、taw1−D2/+(白抜き)およびtaw1−D2(色付きまたは斜体)植物の花序での32種類のMADSボックス遺伝子(OsMADS14、15、18、20はAP1/FULに、OsMADS1、5、34、7、8はSEPに、OsMADS50はSOC1に、OsMADS16、2、4、3、13、58はP1/AP3/AGに、OsMADS26、33はAGL12に、OsMADS22、47、55はSVPに、OsMADS23、25、27、61はAGL17に、OsMADS6、17はAGL6に、OsMADS29、30、31、65、32はOthersに該当する。)の発現レベル。(BおよびC)二次枝梗発生期の野生型(B)およびtaw1−D1(C)の未成熟花序におけるOsMADS47の発現(写真)。(D)TAW1によるOsMADS22およびOsMAD55の転写誘導。デキサメタゾン処理有り(+)、または、デキサメタゾン処理無し(−)での野生型植物およびpINDEX−TAW1植物におけるTAW1、OsMADS22およびOsMADS55発現の相対値が示される。数値は平均値±SD(3例)である。(E)35S:OsMADS22(OsMADS22ox)植物および35S:OsMADS55(OsMADS55ox)植物における花序の形態(写真)。図中のアスタリスクは二次枝梗を示す。 taw1−D2遺伝子移入コシヒカリBC52植物の表現型。(AおよびB)コシヒカリ(K)植物(左)およびtaw1−D2BC52植物(右)の植物体(A)および穂(B)(写真)。白色のアスタリスクで三次枝梗に印をつけてある。(C)植物当たりの総粒重(グラム)。(D)1穂当たりの穀粒数。(E)千粒重(グラム)。C〜Eにおいて、試料数はコシヒカリについて23植物およびtaw1−D2ホモ接合性BC52植物について24植物である。全てのデータは平均値±SDで示される。アスタリスクは対応するコシヒカリ対照試料からの有意差を示す(スチューデントのt検定;*P<0.05、**P<0.01)。
本発明のイネの一つの態様は、MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子で形質転換され、該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネである。
本発明のイネの他の態様は、小穂発生期の花序で内在性TAWAWA1(TAW1)遺伝子の発現が
野生型と比較して上昇することにより、小穂発生期の花序での内在性MADS22遺伝子またはMADS55遺伝子が野生型と比較して過剰に発現され、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加したイネである。より詳細には、TAW1遺伝子の発現制御領域に変異導入されることにより、例えば、TAW1遺伝子の発現制御領域に内在性トランスポゾンが挿入されることにより、TAW1遺伝子の発現を上昇させることができる。
TAW1遺伝子は、イネ10番染色体のOs10g0477800とOs10g0478000との間に存在する遺伝子である。本発明のイネは、例えば、taw1-D1及びtaw1-D2であり、これらのイネは、10番染色体のOs10g0477800とOs10g0478000との間に内在性トランスポゾンが挿入され、TAW1遺伝子の発現が上昇し、その下流のMADS22遺伝子またはMADS55遺伝子の発現も上昇している。
TAW1遺伝子は、好ましくは、TAW1遺伝子が配列番号1(コード領域は612〜1223)で示
される配列を有するDNAであり、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号1の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有するDNAであってもよい。本発明でDNAに関し「ストリンジェントな条件下」というときは、高程度にストリンジェントな条件をいう。基本的な条件は、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、第6〜7章、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001に示されている。本発明において、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、5XSSC、7%(W/V)SDS、100マイクログラム/ml変性サケ精子DNA、5Xデンハルト液を含む溶液中、60℃でハイブリダイゼーションを行い、その後65℃で0.1XSSC中、振蘯しながら2時間洗浄する条件が挙げられ
る。TAW1遺伝子は、さらに、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号1の塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであってもよい。ここで、「1または数個の塩基」とは、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜9個の塩基である。
本発明のTAW1遺伝子は、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードする。また、TAW1遺伝子は、TAW1遺伝子の機能に実質的に影響しない保存的変異を有していてもよい。すなわち、配列番号2のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。前記「1又は数個のアミノ酸残基」とは、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個のアミノ酸残基である。なお、本発明のTAW1遺伝子は、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは98%のアミノ酸同一性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。なお、本発明において、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードするcDNA配列を配列番号3で示す。
TAW1遺伝子は、穂の発生過程が進行するタイミングを微調整する遺伝子であり、遺伝子の発現が上昇すると1穂あたりの小花(コメになる)の数が増加し、発現が低下すると小花の数が減少する。しかし、TAW1遺伝子が過剰に発現されすぎると、枝分かれが無限に繰り返されることがある。従って、本発明において、イネの収量を増加させるためには、TA
W1遺伝子の適度の発現上昇が必要とされる。
本発明においては、花序の枝梗メリステム(BM:Branching Meristem)で、TAW1遺伝子の強いシグナルが発現されること、すなわち、小穂発生期の花序でのTAW1発現が好ましい。例えば、TAW1遺伝子とユビチキンとの発現の相対比は、好ましくは、0.1〜0.3である。また、小穂発生期の花序でのTAW1遺伝子の発現の程度は、野生型と比較して、mRNAの量が、好ましくは、1.5〜3倍である。発現量は、例えば、定量的RT−PCRで測定できる。
TAW1遺伝子の発現の上昇とは、好ましくは、TAW1遺伝子の機能、すなわち、二次枝梗の成長に起因する三次枝梗の生成を適度に増加させるようにする表現型を生じるように、小穂発生期の花序でのTAW1遺伝子の発現を適度に上昇させることをいう。「TAW1遺伝子の発現の上昇」には、TAW1遺伝子の転写の促進、転写物のスプライシングの促進、およびタンパク質への翻訳の促進が含まれる。
「イネの収量の増加」とは、好ましくは、花序分裂組織(IM:Inflorescence Meristem)のうち小花原基の側部メリステム(LM:Lateral Meristem)の数は、TAW1遺伝子発現が上昇したイネと野生型イネとで、野生型イネの数と同等であるが、LMが高い割合で二次枝梗原基として分化することに起因して、野生型植物では形成されない三次枝梗が形成されることによるものである。その結果として、イネの1穂当たりの籾の着粒数が増加する。
本発明のイネの製造方法は、TAW1遺伝子及び/または後述のMADS22遺伝子もしくはMADS55遺伝子の発現が上昇したイネを作製できれば特に制限されないが、トランスポゾン転移以外にも、例えば、植物体に、化学変異原処理または放射線処理による変異誘発、ウイルス感染、自然突然変異を生じさせ、その結果これらの遺伝子の発現が上昇した植物体であってもよい。
本発明のイネは、内因性TAW1遺伝子の発現増強によりMADS22遺伝子および/またはMADS55遺伝子が増強したイネでもよいが、TAW1遺伝子とは独立して、MADS22遺伝子および/またはMADS55遺伝子が過剰発現されたイネであってもよい。詳細には、MADS22遺伝子および/もしくはMADS55遺伝子の発現制御領域の改変、または、MADS22遺伝子および/もしくはMADS55遺伝子を用いた形質転換によって、MADS22遺伝子および/もしくはMADS55遺伝子が過剰発現されていてもよい。
本発明で使用されるMADS22遺伝子は、好ましくは、配列番号4(ゲノム配列)または配列番号6(コード領域)で示される配列を有するDNAであるが、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号4または配列番号6の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有するDNAであってもよい。
MADS55遺伝子は、好ましくは、配列番号7(ゲノム配列)または配列番号9(コード領域)で示される配列を有するDNAであるが、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号7または配列番号9の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を有するDNAであってもよい。
本発明でポリヌクレオチドに関し「ストリンジェントな条件下」というときは、高程度にストリンジェントな条件をいう。基本的な条件は、Sambrookら,Molecular Cloning: A
Laboratory Manual、第3版、第6〜7章、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001に示されている。本発明において、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、特許第5109128号公報に記載されるような、5XSSC、7%(W/V)SDS、100マイ
クログラム/ml変性サケ精子DNA、5Xデンハルト液を含む溶液中、60℃でハイブリダイゼーションを行い、その後65℃で0.1XSSC中、振蘯しながら2時間洗浄する条件が挙げられる

MADS22遺伝子は、さらに、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号4または配列番号6の塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであってもよい。
MADS55遺伝子は、さらに、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、配列番号7または配列番号9の塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであってもよい。
ここで、「1または数個の塩基」とは、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜9個の塩基である。
MADS22遺伝子またはMADS55遺伝子は、好ましくは、配列番号5または配列番号8に示すアミノ酸配列をコードする。また、MADS22遺伝子またはMADS55遺伝子は、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有する限り、その活性に実質的に影響しない保存的変異を有していてもよい。すなわち、配列番号5または配列番号8のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であってもよい。前記「1又は数個のアミノ酸残基」とは、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個のアミノ酸残基である。なお、MADS22遺伝子またはMADS55遺伝子は、配列番号5または配列番号8に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは98%のアミノ酸同一性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。なお、本発明において、配列番号5に示すアミノ酸配列をコードするcDNA配列を配列番号6で示し、配列番号8に示すアミノ酸配列をコードするcDNA配列を配列番号9で示す。
本発明のイネにおけるMADS22遺伝子とユビチキンとの発現量の相対比は、好ましくは、2〜5である。また、MADS22遺伝子の発現量は、野生型と比較して、mRNAの量が、好ましくは、1.5〜4倍である。
本発明のイネにおけるMADS55遺伝子とユビチキンとの発現の相対比は、好ましくは、0.1〜0.3である。また、MADS55遺伝子の発現量は、野生型と比較して、mRNAの量が、好ましくは、2〜8倍である。
MADS22遺伝子および/またはMADS55遺伝子の発現は、例えば、定量的RT−PCRで測定することができる。
本発明のイネは、MADS22遺伝子および/またはMADS55遺伝子を用いてイネを形質転換することによっても得ることができる。例えば、MADS22遺伝子および/またはMADS55遺伝子をコードする組み換えベクターを用いてイネを形質転換することができる。
MADS22遺伝子および/またはMADS55遺伝子が挿入されるベクターは、植物細胞内で挿入物の機能を発揮させることが可能なものであれば特に制限はない。例えば、植物細胞内で恒常的に遺伝子を発現させるためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターやトウモロコシユビキチンプロモーターなど)を有するベクターや
、外的な刺激により誘導されるプロモーターを有するベクターを用いることもできる。ここでいう「植物細胞」には、種々の形態の植物細胞、例えば、種子、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどが含まれる。
植物細胞へのベクターの導入には、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など、当業者に公知の種々の方法を用いることができる。アグロバクテリウム(例えば、EHA101、EHA105)を介する方法においては、例えば、超迅速単子葉形質転換法(特許第3141084号)
を用いることが可能である。また、パーティクルガン法においては、例えば、バイオラッ
ド社のものを用いることが可能である。
形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。例えば、イネにおいて形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールを用いてプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta SK: In Gene Transfer To Plants(Potrykus I and Spangenberg、 Eds)pp.66-74、1995)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki S、et
al: Plant Physiol 100: 1503、1992)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou P、et al: Biotechnology 9: 957、1991)
、およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei Y、et al: Plant J 6: 271、1994)など、いくつかの技術が既に確立し、本発明の技術分
野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
本発明のイネは、上述の形質転換イネを、該形質転換イネ系統内で交配させること又は他のイネ系統、例えば、コシヒカリなどのイネ栽培種と交配させることによって得られた後代であって、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネであってもよい。
本発明において使用されるイネとしては、TAW1遺伝子、MADS22遺伝子またはMADS55遺伝子を有するものであれば限定されないが、例えば、コシヒカリ、ヒノヒカリ、ひのひかり、キヌヒカリ等が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受けないことは言うまでもない。
実施例1:tawawa1-D植物は分枝が増加した表現型を示す花序を形成する
メリステムの相転換の制御と花序構造の間の分子的な関連を理解するために、本発明者らは、花序の分枝パターンが変化した変異体を同定した。イネの内在性トランスポゾンであるnDart1が活発に転移するスクリーニング集団から分枝が増加した表現型を有する2つの株を単離した(Plant J 45(1):46-57 (2006))。両方の株でその変異は半優性的に遺伝し、その後の解析により同じ遺伝子内の変異であることが明らかになった。「実りが非常に多い」という意味の日本語の古い言葉から、その遺伝子をTAWAWA1(TAW1)と名付
けた。taw1−D1はtaw1−D2よりも重い欠損を示す。両方の変異株は栄養生長期に正常な成長パターン、例えば、メリステムのサイズ、葉の発生の日時および形成される葉の数を示す。しかしながら、taw1−D1ホモ接合性植物では、生殖生長に移行した後では茎の伸長が抑制され、葉から花序が現れない。一次枝梗で形成されるLMの数は、両方の変異株で野生型植物のものに匹敵するが、LMが高い割合で二次枝梗として成長する(図1D)。このパターンの反復によって、野生型植物では形成されない三次枝梗が形成することになる(図1E)。
実施例2:TAW1はALOGファミリーに属する核タンパク質をコードする
トランスポゾンタギングによりTAW1遺伝子を単離した。挿入したnDart1は(nDart1−0)変異体の表現型と完璧に共分離し、taw1−D1/+の分離した実生苗を用いるトランスポゾンディスプレイ解析により挿入したnDart1を同定した(図2A)。
トランスポゾンディスプレイは以下の通り行った。Genes Genet Syst 82(2):109-122 (2007)に従ってトランスポゾンディスプレイを実行した。taw1−D1変異体実生苗お
よびtaw1−D2変異体実生苗から単離されたゲノムDNA試料4塩基対認識制限酵素
で消化し、そして、MspI部位を含むアダプターとライゲーションした。アダプタープライマーとDart5′−3b−ファースト・プライマーおよびDart5′−1、2、3−セカンド/Nプライマーを用いる2サイクルの増幅によるPCR産物を電気泳動により視覚化した。taw1−D表現型と共分離するバンドをゲルから単離し、アダプタープライマーとDart5′−1、2、3−セカンド/Ntプライマーのプライマーセットを用いてバンドを増幅した。Mol Genet Genomics 284(5):343-355 (2010)に従って、増幅したバンドのDNA配列を決定した。
その結果、10番染色体のOs10g0477800とOs10g0478000の間にトランスポゾンが挿入されていた。興味深いことに、taw1−D1とtaw1−D2の挿入部位は16塩基対だけ離れていた(図3A)。おおまかなマッピングによってもTAW1の遺伝子座がこの領域に狭められた。さらに、taw1−D1ホモ接合体から得られた(taw1−D1/+となった)復帰突然変異体およびtaw1−D1/+から得られた(野生型に復帰した)復帰突然変異体にはnDart1−0の切出しが伴った(図3BおよびC)。taw1−D欠損はOs10g0477800とOs10g0478000の間の領域のnDart1−0挿入により引き起こされることをこれらの結果は示した。変異体の花序ではOs10g0478000の発現が上昇したが、Os10g0477800とOs10g0478100は変異体植物と野生型植物の花序で同様のレベルで発現した(図2B)。Os10g0478000を含むゲノム領域の野生型イネ植物への導入によって、弱いtaw1−D様の変異体表現型(図4)がもたらされた。これらの結果に基づき、我々は、Os10g0478000がTAW1遺伝子であると結論付けた。
TAW1はALOGファミリーに属する205アミノ酸からなるタンパク質をコードするが、ALOGはその初期に同定されたメンバー(アラビドプシスLSH1およびイネG1)にちなんで命名されたものである(Plant J 37(5):694-706 (2004), Proc Natl Acad
Sci USA 106(47):20103-20108 (2009))。イネゲノムは10種のALOG遺伝子を含む
が、アラビドプシスは11種を含む(Plant J 37(5):694-706 (2004), Proc Natl Acad Sci USA 106(47):20103-20108 (2009), Proc Natl Acad Sci USA 108(5): 2154-2159 (2011), Plant J 66(6):1066-1077 (2011), Plant Mol Biol 78(4-5):351-359 (2012))。T
AW1の機能をより理解するために、発明者らは2つの独立した機能欠損型変異体であるtaw1−3およびtaw1−4をTilling集団から得た。詳細には、N−メチル−N−
ニトロソウレア(Mol Genet Genomics 279(3):213-223 (2008), Breed Sci 60(5):475-485 (2010))で突然変異誘導したスクリーニング集団から機能欠損型変異体を得た。
これらの変異体はそれぞれ同じ位置にミスセンス変異を有する(図6A)。taw1−4変異体は明確な欠損は持たないが、taw1−3変異体は一次枝梗の数が減少した小さい花序を形成する(図2CおよびD)。RNAiによるTAW1の発現低下によって、小さい花序について同様の、しかし、より強い表現型がもたらされ、一次枝梗と二次枝梗の両方が減少した(図2E)。
実施例3:TAW1は、シュートメリステム(SM:Shoot Meristem)アイデンティティへの転換を抑制するためにメリステムで発現する
TAW1は保存的ドメインおよび核移行シグナルを含む(図6A)。実際、TAW1は細胞核に局在し、転写活性化因子としてのわずかだが明確な活性を示す(図5AおよびB)。本発明者らは、TAW1mRNAの蓄積の経時的組織特異的パターンをin situハイ
ブリダイゼーションにより調査した。栄養生長期では、TAW1は専ら茎頂分裂組織(SAM:shoot apical meristem)、LMを含むメリステムおよび幼葉で発現した(図5Aお
よびC)。生殖生長期への移行後、TAW1 mRNAはIMで蓄積し続けた(図5D)。成長している花序(図5E)のBMで最も強いシグナルが観察された。一次BMの発生後、TAW1の発現は、IMの発生過程が進むにつれIMから徐々に消えた(図5F)。野生型花序では、メリステムでのシグナルの強度は徐々に減少し、SMの発生時点で検出できなくなった(図5G)。一方、taw1−D花序では、野生型植物でSMが形成されるステージでも、より強いTAW1のシグナルが検出された(図5HおよびI)。変異体
花序におけるTAW1の発現レベルはそれらの表現型と大まかに一致することが定量的PCR解析により示された(図5J)。これらの結果は、TAW1はSMアイデンティティを抑制するように機能し、SM特異性決定を可能にするにはTAW1の活性は一定の閾値よりも下でなくてはならないことを意味する。
実施例4:TAW1はSVPファミリーMADSボックス遺伝子を正に制御する
本発明者らは、TAW1の下流で機能する遺伝子を発見するために、ゲノムワイドなcDNAを含むマイクロアレイを使用するトランスクリプトーム解析を行った(図7A)。
マイクロアレイに存在する32種のI型MADSボックス遺伝子のうち、3種の遺伝子(OsMADS22、OsMADS47およびOsMADS55)はtaw1−D変異体で著しく発現が増加した。これらの3種の遺伝子はSHORT VEGETATIVE PHASE(SVP)サブファミリー(Mol Genet Genomics 273(1):1-9 (2005), BMC Genomics 8:242 (2007), Plant J 54(1):93-105 (2008))に属する。対照的に、小穂発生および小穂器官発生に関与する、OsMADS7(SEP3)、OsMADS8(SEP3)、OsMADS16(AP3)、OsMADS4(PI)、OsMADS3(AG)およびOsMADS58(AG)などの遺伝子は発現が著しく低下したが、分枝期が延長する表現型に合っていた。TAW1が発現するBMでのOsMADS47の異所的な発現がin situハイブリダイゼーション解析により確認された(図7BおよびC)。
in situハイブリダイゼーションは以下の通り行った。Plant Cell '(8):1143-1155 (1995)に記載されるように、in situハイブリダイゼーションを実行した。ベクタボンド(Vector Laboratories)を使用して、10μmの厚みのミクロトーム切片をスライドグラスに取り付けた。
プローブの作成は以下の通り行った。PCRで増幅し、pENTR/D-TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングしたTAW1の部分cDNA配列を鋳型として使用してRNAプローブを作成し
た。TAW1 cDNAを増幅するためのプライマーセットは、以下の通りであった。
5'-CACCGCGTCAGCTACGAGAAGAAG-3'(配列番号10)、
5'-ATTAGATGCAGTAGCAGCAGC-3'(配列番号11)
OsMADS47についてのプローブは、イネゲノムリソースセンター(www.rgrc.dna.affrc.go.jp/index.html)によって提供されたcDNA (J075171C16)を使用して合成した。
これらの結果は、開花および花序発生の抑制因子としてのSVP遺伝子の既知の機能(Plant J 21(4):351-360 (2000), Genes Dev 21(4):397-402 (2007), Development 134(10)1901-1910 (2007), Development 131(23):5981-5990 (2004))と併せると、3種のSV
P遺伝子がTAW1の下流で機能してSMアイデンティティを抑制することを示唆する。TAW1の転写誘導が実際にその3種のSVP遺伝子の活性化を導くことを我々はtwo-component誘導システムを用いて確認した(図7D)。
さらに、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35SプロモーターによるOsMADS22とOsMADS55の恒常的過剰発現の影響を検討した。
カリフラワーモザイクウイルスの構築は以下のとおり行った。全ORFを含むSHORT VEGETATICE PHASE (SVP)の全長cDNAを以下のプライマーセットを用いて増幅した。
OsMADS22
5'-CACCGCGCCGCGCCTCGCCTCGCC-3'(配列番号12)、
5'-GAACGCTGCAAAAGACGCAT-3'(配列番号13)
OsMADS55
5'-CACCGTTTCTCTCTCTCCTTGTCT-3'(配列番号14)、
5'-GATGAGAATGACTAGCTTAA-3'(配列番号15)
PCRフラグメントをpENTR/D-TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングしてpENTR-SVPを作成した。過剰発現構築物pGWB2を作成するために、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを保有するバイナリーベクターを使用した(Hoshikawa K (1989) The Growing Rice Plant (Nosan Gyoson BunkaKyokai, Tokyo)。PENTR-SVPをLR組換え反応(In
vitrogen)によってpGWB2に挿入した。得られたpGWB2-SVPを、アグロバクテリウム法での
形質転換によってイネ(cv. Nipponbare)の成熟種子に由来するカルスに導入した。
カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35SプロモーターによってOsMADS22とOsMADS55を恒常的に過剰発現したところ、花序の分枝の増加を引き起こした(図7E)。
SVP遺伝子はTAW1の下流で機能するという仮説をこれらの結果は裏付ける。興味
深いことに、オオムギおよびトウモロコシでのSVP遺伝子の異所的発現もまたSMアイデンティティの重度の抑制をもたらしたが、これは、SVPの機能がイネ科草本の間で保存されているかもしれないことを示唆する(Plant Physiol 143(1):225-235 (2007), Plant Cell 24(7):2733-2744 (2012), Proc Natl Acd Si USA 109(18):7115-7120 (2012))
。結論として、本発明者らのデータは、TAW1がSVP遺伝子の誘導を介してSMアイデンティティの獲得を抑制し、結果として、BMアイデンティティを促進または延長することを示している。
実施例5:taw1−D2は穀粒の収量の増加に有用であり得る適度な機能獲得型対立遺伝子である
1穂当たりの穀粒数はイネの収量を決定する4つの主要な要素の1つである。穀粒収量の増加についてのTAW1変異の有用性を試験するために、我々は、表現型が中程度であるtaw1−D2対立遺伝子を、日本での主要な商用イネ栽培種であるコシヒカリに掛け合わせにより遺伝子移入した(図8AおよびB)。
植物材料は以下の通りとした。5回の連続的な戻し交配によりコシヒカリにtaw1−D2変異を導入した。それにより生じたBC5F2植物とコシヒカリの種子を2011年5月28日に播種した。2011年6月22日に岡山大学資源植物科学研究所の水田(北緯34.6度、東経133.8度)に株間に15cm、条間に40cmの間隔で実生苗を移植した。元肥として、N:P25:K2Oを5:5:5kg/10haの割合で与えた
。2回の反復実験を行った。
戻し交配第5代(BC5F2)の植物の自家受粉による、農地で育てられた子孫株は植物体あたりの粒重の約45%の増加を示した(図8C)。食味には影響がなかった。これらの増加は主に、一次枝梗、二次枝梗および三次枝梗の数の増加の結果、1穂当たりの穀粒数がかなり増加したためであった(図8D)。稔性と粒重のわずかな減少もまた観察された(図8E)。穂のサイズの上昇にもかかわらず、BC5F2植物では植物全体の草丈はわずかに低下した。穀粒数の増加は、イネでは、「分げつ」と呼ばれる分枝したシュートの数の減少とよく関連付けられる(Nat Genet 42(6):541-544 (2010), Nat Genet 42(6): 545-549 (2010))。しかしながら、taw1−D2遺伝子移入株ではこのトレードオ
フ効果は観察されなかった。
本発明は、イネの育種の分野で有用である。

Claims (8)

  1. MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子で形質転換され、該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネであって、MADS22遺伝子が以下(a)から(e)のいずれかのDNAであり、MADS55遺伝子が以下(f)から(j)のいずれかのDNAである、形質転換イネ。
    (a)配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (b)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
    (c)配列番号5に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (d)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (e)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (f)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (g)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
    (h)配列番号8に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (i)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (j)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  2. 以下(a)から(c)の工程を含む、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネの作製方法。
    (a)MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子でイネ細胞を形質転換する工程、
    (b)該遺伝子で形質転換されたイネ細胞からイネ植物体を再生する工程、
    (c)該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネ植物体を選抜する工程。
  3. 以下(a)から(c)の工程を含む、イネの1穂当たりの籾の着粒数を野生型と比較して増加させる方法。
    (a)MADS22遺伝子若しくはMADS55遺伝子、又はMADS22遺伝子およびMADS55遺伝子でイネ細胞を形質転換する工程、
    (b)該遺伝子で形質転換されたイネ細胞からイネ植物体を再生する工程、
    (c)該導入された遺伝子が発現しており、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネ植物体を選抜する工程。
  4. MADS22遺伝子が以下(a)から(e)のいずれかのDNAであり、MADS55遺伝子が以下(f)から(j)のいずれかのDNAである、請求項2に記載の形質転換イネの作製方法又は請求項3に記載のイネの1穂当たりの籾の着粒数を野生型と比較して増加させる方法。(a)配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (b)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
    (c)配列番号5に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (d)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (e)配列番号4又は配列番号6に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (f)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
    (g)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
    (h)配列番号8に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸残基が置換、欠失、付加、および/又は挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (i)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA、
    (j)配列番号7又は配列番号9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が置換、欠失、付加、および/又は挿入された塩基配列からなるDNAであって、1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNA。
  5. 請求項2又は請求項4に記載の形質転換イネの作製法によって作製された形質転換イネの該形質転換イネ系統内での交配又は該形質転換イネ系統と他のイネ系統との交配によって得られた後代であって、導入されたMADS22遺伝子又はMADS55遺伝子を有し、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加した形質転換イネ。
  6. 小穂発生期の花序での内在性TAWAWA1(TAW1)遺伝子の発現を野生型と比較して上昇させる
    ことにより、小穂発生期の花序での内在性MADS22遺伝子または内在性MADS55遺伝子が野生型と比較して過剰に発現され、1穂当たりの籾の着粒数が野生型と比較して増加したイネ。
  7. 内在性TAW1遺伝子の発現制御領域の改変によって該TAW1遺伝子の発現が上昇した、請求項6に記載のイネ。
  8. 内在性TAW1遺伝子が配列番号1で示される配列を有するDNA、または、配列番号1の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNAであり、
    内在性MADS22遺伝子が配列番号4で示される配列を有するDNA、または、配列番号4の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNAであり、
    内在性MADS55遺伝子が配列番号7で示される配列を有するDNA、または、配列番号7の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、イネで過剰発現させることにより1穂当たりの籾の着粒数を増加させる機能を有するタンパク質をコードするDNAである、請求項6または請求項7に記載のイネ。
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