JP2016169310A - 熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体 Download PDF

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正雄 冨岡
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理 奥中
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Akihiro Hanabusa
明宏 花房
貴幸 小林
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貴幸 小林
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Abstract

【課題】 優れた難燃性能と機械物性を有した熱可塑性樹脂組成物、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックを提供することを目的とする。【解決手段】 成分[A]、成分[B]および成分[C]を含む熱可塑性樹脂組成物であって、成分[A]、成分[B]および成分[C]の配合の質量比で下記式(3)および下記式(4)を満たす熱可塑性樹脂組成物。成分[A]:特定の分子構造を有するリン含有ポリマー成分[B]:特定の部分構造を有するリン含有ポリマー成分[C]:ビスフェノールA型ポリカーボネート(式3):0.75≧[C]/([A]+[B]+[C])≧0.52(式4):0.45≧[B]/([A]+[B]+[C])≧0.08【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体に関する。さらに詳しくは、優れた難燃性能と機械物性を有した熱可塑性樹脂組成物、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチック、および優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れた電気・電子機器用筐体に関する。
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチックは、その力学特性に優れる点から、ゴルフシャフトや釣竿などのスポーツ・レジャー用途をはじめ、航空機や車両などの構造材料や、コンクリート構造物の補強材など幅広い分野で使用されている。中でも、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化熱可塑性プラスチックは耐衝撃性に優れる上、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とした場合と比較して、複雑な形状でも成形時間を短縮することができるため、量産性に優れる。(特許文献1)
また、炭素繊維は電気伝導性を有し、その複合材料は優れた電磁波遮蔽性を有することや、優れた機械物性のため、ノートパソコン等の電気・電子機器筐体などに使用され、筐体の薄肉化および機器の軽量化に役立っている。この中で、航空機や車両などの構造材料、建築材料などにおいては、火災による構造材料が着火・燃焼し、有毒ガスなどが発生することは極めて危険であるため、材料には難燃性能を有することは強く求められており、電気・電子機器用途においても、装置内部からの発熱や外部の熱源によって、筐体や部品などが発火することによる事故を防ぐために、材料には難燃化が求められている。(特許文献2)
以前は樹脂の難燃化にはハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモン等の難燃剤助剤とを添加する手法が一般的であったが、ハロゲン系化合物は燃焼時に有害性物質を発生させる問題があるため、近年ではハロゲン系化合物を含まない難燃化手法の検討が盛んに行われており、縮合リン酸エステル等のリン化合物を難燃剤として樹脂に配合する方法が主流となってきた。(たとえば特許文献3)
しかしリン化合物を難燃剤として樹脂に配合する手法は、1)添加量が多いと機械物性が大きく低下する、2)長期間にわったってリン化合物が表面に染み出してくる(ブルーミングあるいはブリードアウトする)、3)リン化合物が容易に加水分解を起こす、等の問題がある。一般的に、リン原子含有量が高いほど難燃性能も高くなるが、上記問題から従来技術ではリン含有量を高くすることには限界があり、リン含有量の高い(つまり難燃性能の高い)繊維強化熱可塑性プラスチックは困難であった。とりわけ、繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、強化繊維の含有率が高いほど機械物性は向上するが、強化繊維の含有率が高いほど難燃性能を付与することも困難となるため、繊維強化熱可塑性プラスチックにおける高い機械物性と難燃性能の両立は著しく困難であった。
特開平 9−155862号公報 国際公開第2005/08292号パンフレット 特開平 2−155262号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、優れた難燃性能と機械物性を有した熱可塑性樹脂組成物、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチックを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明では、以下の手段を用いる。すなわち、
[1] 成分[A]、成分[B]および成分[C]を含む熱可塑性樹脂組成物であって、成分[A]、成分[B]および成分[C]の配合の質量比で下記式(3)および下記式(4)を満たす熱可塑性樹脂組成物。
成分[A]:下記式(1)で表される分子構造を有するリン含有ポリマー
成分[B]:下記式(2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマー
成分[C]:ビスフェノールA型ポリカーボネート
式(1)

(式(1)中のnは50以上600以下の整数である)

式(2)

(式(2)中のxおよびyは1以上19以下の整数である)
(式3):0.75≧[C]/([A]+[B]+[C])≧0.52
(式4):0.45≧[B]/([A]+[B]+[C])≧0.08
[2] 熱可塑性樹脂組成物中におけるリン原子含有率が、2.6質量%以上5.1質量%以下である上記[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 熱可塑性樹脂組成物中に成分[A]、成分[B]及び成分[C]が占める割合が70質量%以上である上記[3]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物と強化繊維からなる繊維強化熱可塑性プラスチック。
[5] 前記強化繊維が炭素繊維である上記[4]に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
[6] 厚さが0.4mm以上1.6mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たす上記[4]または[5]に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
[7] 上記[4]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックで一部または全部が構成される電気・電子機器用筐体。
本発明によれば、優れた難燃性能と機械物性を有した熱可塑性樹脂組成物、優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れ、複雑な形状への短時間賦形性に優れた繊維強化熱可塑性プラスチック、および優れた難燃性を有し、軽量かつ機械物性に優れた電気・電子機器用筐体を提供できる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分[A]、成分[B]および成分[C]を必須成分として含有する。
<成分[A]>
成分[A]は下記式(1)で表される分子構造を有するリン含有ポリマーであれば特に限定せず、分子構造中の主鎖、もしくは側鎖に下記式(1)で表される構造単位を含んでいればよく、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。好ましくはホモポリマーである。
式(1)

(式(1)中のnは50以上600以下の整数である)
成分[A]の分子量は、重量平均分子量(Mw)で20,000以上であることが好ましい。20,000以上であれば、ブルーミングもしくはブリードアウトを抑制することができる。より好ましくは重量平均分子量(Mw)で60,000以上であり、60,000以上であれば、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際の機械物性が良好である。分子量の上限は特に限定しないが、重量平均分子量(Mw)で160,000以下であれば公知の手法で製造することができる。
成分[A]のリン原子含有量としては、9.0質量%以上10.8質量%以下であることが好ましい。9.0質量%以上であれば、少ない添加量で熱可塑性樹脂組成物に高いリン原子含有量を付与することができ、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた難燃性能と機械物性を両立できる。10.8質量%以下であれば、後述の製造法により容易に製造することができ好ましい。
成分[A]は、市販品を用いてもよく、公知の製造方法により重合したものを用いても良い。成分[A]のホモポリマーの市販品としては、例えば、エフアールエックスポリマーズ社製のNofia HM1100が挙げられる。成分[A]のホモポリマーの重合方法としては、ジフェニルメチルホスホネートとビスフェノールAとを触媒存在下、高温・減圧下で重合する手法が挙げられる。成分[A]のコポリマーの市販品としては、例えば、エフアールエックスポリマーズ社製のFRX CO95が挙げられる。成分[A]のコポリマーの重合方法としては、ジフェニルメチルホスホネートとジフェニルカーボネートおよびビスフェノールAを触媒存在下、高温・減圧下で重合する手法が挙げられる。
<成分[B]>
成分[B]は下記式(2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマーあれば特に限定せず、分子構造中の主鎖、もしくは側鎖に下記式(2)で表される部分構造を有していればよい。
式(2)

(式(2)中のxおよびyは1以上19以下の整数である)
成分[B]は分子構造中において、下記式(5)表されるホスフォネートフラグメントのモル当量[Pf]と下記式(6)表されるカーボネートフラグメントのモル当量[Cf]の含有比率[Pf]/[Cf]が、0.3以上3.0以下であることが好ましい。[Pf]/[Cf]の値が、0.3以上3.0以下あれば、熱可塑性樹脂組成物中の相溶性が向上し、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた耐衝撃性が得られる。より好ましい[Pf]/[Cf]の値は、0.4以上2.3以下である。
式(5)

式(6)
成分[B]の分子量は、重量平均分子量(Mw)で10,000以上であることが好ましい。10,000以上であれば、ブルーミングもしくはブリードアウトを抑制することができる。より好ましくは重量平均分子量(Mw)で20,000以上であり、20,000以上であれば、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際の機械物性が良好である。分子量の上限は特に限定しないが、重量平均分子量(Mw)で160,000以下であれば公知の手法で製造することができる。
成分[B]は、市販品を用いてもよく、公知の製造方法により重合したものを用いても良い。成分[B]の市販品としては、例えば、エフアールエックスポリマーズ社製のNofia CO3000、Nofia CO6000等が挙げられる。成分[B]の重合方法としては、ジフェニルメチルホスホネートとジフェニルカーボネートおよびビスフェノールAを触媒存在下、高温・減圧下で重合する手法が挙げられる。
<成分[C]>
成分[C]はビスフェノールA型ポリカーボネートである。本発明で用いるビスフェノールA型ポリカーボネートは、市販品を用いてもよく、公知の製造方法により重合したものを用いても良い。公知の製造方法としては、界面重合法、溶融エステル交換法等が挙げられる。
成分[C]の分子量は、機械物性および流動性の観点から、重量平均分子量(Mw)で13,000以上40,000以下であることが好ましい。より好ましくは15,000以上38,000以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分[A]、成分[B]および成分[C]の配合の質量比で下記式(3)および下記式(4)を満たす必要がある。式(3)の値が0.52以上であれば熱可塑性樹脂組成物に優れた引張特性および曲げ特性を付与することができ、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた機械特性が得られる。0.75以下とすることで、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた難燃性能が得られる。より好ましい式(3)の値は、0.55以上0.7以下である。式(4)の値が0.08以上であれば、熱可塑性樹脂組成物中の相溶性が向上し、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた耐衝撃性が得られる。式(4)の値が0.45以下であれば、熱可塑性樹脂組成物に優れた引張特性および曲げ特性を付与することができ、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた機械特性が得られる。より好ましい式(4)の値は、0.10以上0.30以下である。
(式3):0.75≧[C]/([A]+[B]+[C])≧0.52
(式4):0.45≧[B]/([A]+[B]+[C])≧0.08
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物中におけるリン原子含有率が、2.6質量%以上5.1質量%以下であることがこのましい。2.6質量%以上であれば、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた難燃性能が得られる。5.1質量%以下であれば、熱可塑性樹脂組成物、繊維強化熱可塑性プラスチック、電気・電子機器用筐体とした際に、優れた機械特性が得られる。より好ましいリン原子含有率は3.0質量%以上4.5質量%以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、成分[A]、成分[B]および成分[C]以外の成分を含有してもよく、熱可塑性樹脂組成物中に成分[A]、成分[B]及び成分[C]が占める割合が70質量%以上であれば、本発明の効果を損なわないので好ましい。より好ましくは75質量%以上である。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は任意の方法が採用される。例えば、成分[A]、成分[B]、成分[C]および任意のその他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出し混練機などの予備混合手段を用いて十分に混合した後、場合により押出し造粒機やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
各成分の溶融混練機への供給方法としては、各成分それぞれ独立に溶融混練機に供給する方法、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法などが例示される。尚、配合する成分に液状のものがある場合は、溶融混練機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
[繊維強化熱可塑性プラスチック]
本発明の繊維強化熱可塑性プラスチックは、本発明の前記熱可塑性樹脂組成物を強化繊維に含浸させたものである。
本発明の繊維強化熱可塑性プラスチックにおいて、繊維強化熱可塑性プラスチック中の強化繊維の体積含有率(Vf)は20体積%以上65体積%以下が好ましい。25体積%以上であれば繊維強化熱可塑性プラスチックとして良好な機械物性が得られる。70体積%以下であれば、良好な難燃性能が得られる。好ましくは33体積%以上60体積%以下である。
強化繊維としては、特に限定されず、繊維強化熱可塑性プラスチックを構成する強化繊維として公知のもののなかから用途等に応じて適宜選択すればよい。たとえば炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、高強度ポリエステル繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維などの各種の無機繊維または有機繊維を用いることができる。中でも、難燃性の観点から、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維が好ましく、比強度、比弾性および電磁波遮蔽性に優れる点から、炭素繊維が特に好ましい。
炭素繊維は、JIS R7601(1986)に準じて測定したストランド引張強度が1.0GPa以上9.0GPa以下、ストランド引張弾性率が150GPa以上1000GPa以下のものが好ましく、ストランド引張強度1.5GPa以上9.0GPa以下、ストランド引張弾性率200GPa以上1000GPa以下のものがより好ましい。
強化繊維の形態としては、一方向に引き揃えられたものであってもよく、織物、ノンクリンプファブリック、または短繊維に切断されたものでも良い。
本発明の繊維強化熱可塑性プラスチックは、厚さが0.4mm以上1.6mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たすことが好ましい。電気・電子機器用筐体とした際にはUL94に基づく難燃性能がV−0を満たすことが好ましく、厚さが0.4mm以上1.6mm以下であれば、電気・電子機器用筐体とした際に、軽量・薄肉効果と難燃性能の両立が可能である。厚さが0.45mm以上1.0mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たすことがより好ましい。
<繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法>
本発明の繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法としては、強化繊維に前記熱可塑性樹脂組成物を含浸させた構造を有する繊維強化熱可塑性プラスチックを得ることができる方法であれば特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば以下の方法を用いることができる。
a)加熱して溶融させた熱可塑性樹脂(溶融樹脂)を押出機によって強化繊維に含浸させる方法。
b)粉末の熱可塑性樹脂を、強化繊維の多数の単繊維からなるシートの内部と外部にともに分散させた後、粉末の熱可塑性樹脂を溶融させる方法。
c)熱可塑性樹脂をフィルム化して強化繊維の多数の単繊維からなるシートと重ねて加熱圧着する方法。
d)熱可塑性樹脂を溶剤に溶かして溶液の状態で強化繊維に含浸させた後、その溶剤を揮発させる方法。
e)熱可塑性樹脂を繊維化して、繊維化した熱可塑性樹脂と強化繊維との混合糸を形成した後、加熱して熱可塑性樹脂の繊維を溶融させる方法。
中でも、aおよびcの方法が好ましい。aは前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法に記載の工程に強化繊維を供給することで製造できるという利点があり、cは熱可塑性樹脂をフィルム加工する必要があるが、比較的品質の良い繊維強化熱可塑性プラスチックが可能である。特に、特定方向に比強度、比弾性率が高いことを要求される用途に繊維強化熱可塑性プラスチックを用いる場合は、通常、強化繊維が単一方向に配列したものを用いることが最も好ましく、cが特に好ましい。
[電気・電子機器用筐体]
本発明の電気・電子機器用筐体は、前記本発明の繊維強化熱可塑性プラスチックで一部または全部が構成されたものである。
「電子・電気機器」は、電子機器および電気機器の総称で、電気・電子機器としては、たとえば、パーソナルコンピュータ(ノート型、デスクトップ型、タブレット型)、携帯電話、電子手帳、ポータブル音楽プレーヤー、電子書籍ディスプレイ等が挙げられる。
本発明の電気・電子機器用筐体は、本発明の繊維強化熱可塑性プラスチックからなるものであってもよく、本発明の繊繊維強化熱可塑性プラスチックと他の材料(金属、インジェクション様熱可塑性樹脂等)とから構成されるものであってもよい。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
以下の各例で使用した原料(樹脂等)、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、繊繊維強化熱可塑性プラスチックの製造方法、物性の評価方法を以下に示す。
<原料>
[(A)成分]
Nofia HM1100:ポリホスフォネート、重量平均分子量(Mw)80,000〜120,000、リン原子含有率10.8質量%、エフアールエックスポリマーズ社製。
[(B)成分]
Nofia CO6000:ホスフォネートとカーボネートのランダム共重合体、重量平均分子量(Mw)50,000、リン原子含有率6.5質量%、エフアールエックスポリマーズ社製。
Nofia CO3000:ホスフォネートとカーボネートのランダム共重合体、重量平均分子量(Mw)30,000、リン原子含有率3.8質量%、エフアールエックスポリマーズ社製。
[(C)成分]
NOVAREX M7020J:ビスフェノールA型ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製
NOVAREX M7022A:ビスフェノールA型ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製
NOVAREX M7025A:ビスフェノールA型ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製
[強化繊維]
炭素繊維:パイロフィル TR50S 15L 三菱レイヨン(株)製
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
同方向二軸押出機(株式会社池貝製:PCM−30)を用いて、下記条件で表1に示す原料組成の溶融混練をおこなった。
シリンダー温度 C1:200℃、C2〜C8:250℃
スクリューフォーメーション:2箇所のニーディングゾーンを設置。
スクリュー回転数:250rpm
吐出量:20kg/h
<熱可塑性樹脂組成物の評価>
得られた熱可塑性樹脂組成物を下記の方法で評価した。
[1]引張試験:ISO527に準じて測定を行った。強度と破断伸度を記録した。
[2]曲げ試験:ISO178に準じて測定を行った。強度と弾性率を記録した。
[3]シャルピー強度:ISO179に準じ、室温、ノッチ無しの条件で測定を行った。衝撃エネルギーを記録した。
<繊維強化熱可塑性プラスチックの製造>
得られた熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機(IKG(株)社製、製品名:PMS30)を用いて、厚み30μmである樹脂フィルムを得た。
ドラムワインド方式にて、炭素繊維目付100g/m2の炭素繊維シートを作製した後、この炭素繊維シートに適度に張力を掛け、炭素繊維シートの両面から前記樹脂フィルム、フッ素樹脂製フィルム(日東電工(株)社製、製品名:ニトフロンフィルム970−4UL)、アルミ製の平板の順に挟み、加熱冷却二段プレスの加熱盤で300℃、5分、100kPa、冷却盤で20℃、5分、400kPaの条件で繊維体積含有率約48体積%、厚さ約115μmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。得られた厚さ115μmの繊維強化熱可塑性プラスチックを308mm角にサイズにカットし、繊維方向が[0°/90°/0°/0°/90°/0°]となるように6枚重ね、310mm角で深さ0.5mmの印籠型内に配置して加熱し圧縮成形機(神藤金属工業所製、製品名:SFA−50HH0)を用いて、高温側プレスにて230℃、油圧指示8MPa(プレス圧2.1MPa)の条件で12分間保持し、型を冷却プレスに移動させ、80℃,油圧指示15MPa(プレス圧3.9MPa)にて4分間保持することで繊維体積含有率約48体積%、厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。
<繊維強化熱可塑性プラスチックの評価>
得られた厚さ約0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを下記の方法で評価した。
[1]難燃性試験:UL94燃焼試験に準じて測定を行った。評価結果を記録した。
(実施例1)
表1に示す組成で、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物と強化繊維としてパイロフィルTR50S15Lを用いて、厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。評価の結果を表1に記す。評価の結果、実施例1は熱可塑性樹脂組成物として優れた機械物性を示し、また、繊維強化熱可塑性プラスチックとして際にも優れた難燃性能を示した。
(比較例1)
表1に示す組成で、実施例1と同様に熱可塑性樹脂組成物と厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。評価の結果を表1に記す。評価の結果、繊維強化熱可塑性プラスチックとして際にも優れた難燃性能を示したが、熱可塑性樹脂組成物の機械物性に劣り、特に引張破断伸度が2.0%未満かつシャルピー衝撃強度が20kJ/m未満と不十分であった。
(比較例2)
表1に示す組成で、実施例1と同様に熱可塑性樹脂組成物と厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。評価の結果を表1に記す。評価の結果、繊維強化熱可塑性プラスチックとして際にも優れた難燃性能を示したが、熱可塑性樹脂組成物の機械物性に劣り、特にシャルピー衝撃強度が20kJ/m未満と不十分であった。
(比較例3および比較例4)
表1に示す組成で、実施例1と同様に熱可塑性樹脂組成物と厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。評価の結果を表1に記す。評価の結果、繊維強化熱可塑性プラスチックとして際にも優れた難燃性能を示したが、熱可塑性樹脂組成物の機械物性に劣り、特に引張破断伸度が2.0%未満と不十分であった。
(比較例5および6)
表1に示す組成で、実施例1と同様に熱可塑性樹脂組成物と厚さ0.7mmの繊維強化熱可塑性プラスチックを得た。評価の結果を表1に記す。評価の結果、繊維強化熱可塑性プラスチックとして際の難燃性能が不十分であった。
(比較例7)
表1に示す組成で、実施例1と同様に熱可塑性樹脂組成物を得ようとしたが、混練が困難であり、熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかった。

Claims (7)

  1. 成分[A]、成分[B]および成分[C]を含む熱可塑性樹脂組成物であって、成分[A]、成分[B]および成分[C]の配合の質量比で下記式(3)および下記式(4)を満たす熱可塑性樹脂組成物。
    成分[A]:下記式(1)で表される分子構造を有するリン含有ポリマー
    成分[B]:下記式(2)で表される部分構造を有するリン含有ポリマー
    成分[C]:ビスフェノールA型ポリカーボネート

    式(1)

    (式(1)中のnは50以上600以下の整数である)

    式(2)

    (式(2)中のxおよびyは1以上19以下の整数である)
    (式3):0.75≧[C]/([A]+[B]+[C])≧0.52
    (式4):0.45≧[B]/([A]+[B]+[C])≧0.08
  2. 熱可塑性樹脂組成物中におけるリン原子含有率が、2.6質量%以上5.1質量%以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂組成物中に成分[A]、成分[B]及び成分[C]が占める割合が70質量%以上である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物と強化繊維からなる繊維強化熱可塑性プラスチック。
  5. 前記強化繊維が炭素繊維である請求項4に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
  6. 厚さが0.4mm以上1.6mm以下であり、UL94に基づく難燃性能がV−0を満たす請求項4または5に記載の繊維強化熱可塑性プラスチック。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性プラスチックで一部または全部が構成される電気・電子機器用筐体。
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