JP2016169131A - 高比重粒子分散用溶液 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の各種高比重粒子を沈降させることなく分散可能であり、温度変化によって相分離等が生じ難く、さらに粘度安定性の高い高比重粒子分散用溶液の提供を目的とする。【解決手段】SP値が7以上12以下の低SP値溶媒、一分子中に水酸基を2つ以上含む極性溶媒、及び水、を含有する混合溶媒と、無機酸化物粒子と、を含み、前記混合溶媒中の水分量が0.1〜5質量%であり、前記混合溶媒のSP値が11以上16以下である、高比重粒子分散用溶液とする。【選択図】なし

Description

本発明は、高比重粒子を分散させるための高比重粒子分散用溶液に関する。
顔料や蛍光体粒子、金属粒子等、比重の高い粒子を溶液中に含むインクや蛍光体分散液、スラリー等では、高比重粒子が沈降しやすく、各種沈降防止剤を添加したり、使用前に溶液を攪拌等する等して、高比重粒子の沈降を抑制していた。
一方、特許文献1では、多価アルコールと、平板状粒子とを含む溶液に、蛍光体粒子を分散させることで、蛍光体粒子の沈降を抑制することが提案されている。当該混合液では、平板状粒子及び多価アルコールによって、混合液の粘度を高め、蛍光体粒子の沈降を抑制している。
国際公開第2012/124426号
しかしながら、従来の沈降防止剤や、特許文献1の方法では、高比重粒子(蛍光体粒子)の比重がさらに高くなった場合に沈降を抑制することが難しいとの課題があった。また、特許文献1の方法では、混合液に多価アルコールが多く含まれる。そのため、混合液が大気中の水分を取り込みやすく、低温環境下で凍結することがあった。さらに、当該混合液は低温になると、平板状粒子の分散性が低下しやすく、高比重粒子(蛍光体粒子)の沈降を十分に抑制できないことがある等の課題もあった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の各種高比重粒子を沈降させることなく分散可能であり、温度変化によって相分離等が生じ難く、さらに粘度安定性の高い高比重粒子分散用溶液を提供することにある。
すなわち、本発明は、高比重粒子分散用溶液に関する。
[1]SP値が7以上12以下の低SP値溶媒、一分子中に水酸基を2つ以上含む極性溶媒、及び水、を含有する混合溶媒と、無機酸化物粒子と、を含み、前記混合溶媒中の水分量が0.1〜5質量%であり、前記混合溶媒のSP値が11以上16以下である、高比重粒子分散用溶液。
[2]粘土鉱物をさらに含む、[1]に記載の高比重粒子分散用溶液。
[3]前記無機酸化物粒子の含有量が、1〜20質量%である、[1]または[2]に記載の高比重粒子分散用溶液。
[4]前記無機酸化物粒子が、炭素数1〜3の炭化水素基を含む化合物で、表面修飾された粒子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の高比重粒子分散用溶液。
[5]比重が1.5以上11以下である高比重粒子を分散させるための溶液である、[1]〜[4]のいずれかに記載の高比重粒子分散用溶液。
本発明の高比重粒子分散用溶液によれば、蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の各種高比重粒子を沈降させることなく分散させることが可能である。またさらに、当該高比重粒子分散用溶液は、温度変化が生じても相分離し難く、粘度安定性も高い。したがって、安定して高比重粒子を分散させることが可能である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
本発明は、高い比重を有する粒子を、均一に分散させるための溶液に関し、当該高比重粒子分散用溶液は、例えばインク、蛍光体分散液、スラリー等の調製に用いられる。本発明の高比重粒子分散用溶液には、混合溶媒と無機酸化物粒子とが含まれ、混合溶媒には、低SP値溶媒、極性溶媒、及び水が少なくとも含まれる。
従来、高比重粒子の沈殿を抑制するために、多価アルコール及び平板状粒子を含む溶液に、高比重粒子(蛍光体粒子)を分散させる技術が提案されている。当該技術では、平板状粒子の分散によって混合液の粘度を高めるだけでなく、比較的高い粘度を有する多価アルコールを用いることによっても混合液の粘度を高め、高比重粒子の沈降を抑制している。
しかしながら、当該技術では高比重粒子の比重がさらに高くなると、高比重粒子の沈降を十分に抑制できないことがあった。また、当該混合液は、多価アルコールを多く含むため、大気中の水分を吸湿しやすい。そのため、混合液の温度が低くなった際には、分散液が凍結しやすいとの課題もあった。またさらに当該混合液では、液の温度が低くなると、平板状粒子の分散性が低下し、沈降することがある。その結果、混合液の粘度が十分に高まらず、高比重粒子の沈降を抑制することが難しいとの課題もあった。
これに対し、本発明の高比重粒子分散用溶液では、高比重粒子の比重が高くとも、高比重粒子が沈降し難く、さらに溶液の温度に変化が生じても、高比重粒子が沈降し難い。そのメカニズムは、以下の通りである。
溶液に分散された粒子の沈降速度(終端速度)は、以下のストークスの式で表される。
Figure 2016169131
上記式において、vは粒子の沈降速度(終端速度)、Dは粒子径、ρは粒子の密度、ρは流体の密度、gは重力加速度、ηは流体の粘度を表す。上記ストークスの式によれば、高比重粒子を分散させた際に、溶液粘度が高ければ、その沈降速度が遅くなり、高比重粒子が沈降し難くなる。
ここで、本発明の高比重粒子分散用溶液の混合溶媒には、水と極性溶媒とが一定の割合で含まれる。そして、水と極性溶媒とが一定の比率で含まれると、これらが水素結合してネットワーク(以下「水素結合ネットワーク」とも称する)を形成し、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まる。つまり、高比重粒子を添加した際に高比重粒子が沈降し難くなる。
一方、本発明の高比重粒子分散用溶液の混合溶媒には低SP値溶媒も含まれる。当該低SP値溶媒は、極性溶媒や水との親和性が比較的低い。そのため、本発明の高比重粒子分散用溶液は、大気中の水分等を吸収し難く、低温でも高比重粒子分散用溶液が凍結し難い。ここで、高比重粒子分散用溶液が吸湿すると、極性溶媒と水との含有比率が変化する。その結果、前述の水素結合ネットワークのバランスが崩れ、溶液の粘度が低下しやすい。これに対し、本発明の高比重粒子分散用溶液は吸湿し難いため、これらのバランスが崩れ難く、一定の粘度を保つことができる。
また、低SP値溶媒は、極性溶媒や水との親和性が比較的低いことから、これらは相溶し難い。したがって、本発明の高比重粒子分散用溶液中では、極性溶媒や水を含む親水性の相に、低SP値溶媒を含む疎水性の相が島状に分布する。ここで、低SP値溶媒の量が多くなると、低温環境下等において、疎水性の相が凝集しやすくなり、これらが相分離することがあるが、本発明では、後述するように、混合溶媒のSP値が11以上、つまり低SP値溶媒に対して極性溶媒量が比較的多く含まれる。そのため、低温環境下においても低SP値溶媒の分散性が良好となる。つまり低SP値溶媒が凝集し難く、混合溶媒が相分離し難い。
また、本発明の高比重粒子分散用溶液には、さらに無機酸化物粒子が含まれる。本発明では、当該無機粒子によっても、高比重粒子の沈降が抑制される。その理由は、以下のように推察される。
本発明の高比重粒子分散用溶液において、無機酸化物粒子は、極性溶媒側または低SP値溶媒側のいずれか一方に主に含まれる。無機酸化物粒子がいずれの側に含まれるかは、無機酸化物粒子の表面に存在する基によって決定される。
例えば、無機酸化物粒子が、表面処理されていない一般的な無機酸化物からなる場合、その表面には、多数の−OH基が存在する。そして、−OH基は極性溶媒や水と親和性が高い。そのため、このような無機酸化物粒子は、極性溶媒側の相に分散されるが、このとき、無機酸化物粒子表面は、極性溶媒側の相に含まれる水によって−OH基がマイナスイオン(−O)化されてマイナス帯電する。そしてさらにそのマイナス帯電を覆うように水由来のプラス(H)帯電の層が生じる。つまり、無機酸化物粒子の表面には、表面電位による電気二重層が形成される。このような電気二重層を有する無機酸化物粒子どうしは、互いに反発するため、高比重粒子分散用溶液内には、無機酸化物粒子が均一に分散される。そして、高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を添加すると、無機酸化物粒子の静電力により高比重粒子が無機酸化物粒子に引き寄せられる、もしくは反発して、高比重粒子が沈降し難くなる。
一方、無機酸化物粒子表面が疎水化処理されている場合、当該無機酸化物粒子は低SP値溶媒と親和性が高い。したがって、このような無機酸化物粒子は、低SP値溶媒側の相に分散されるが、前述のように、低SP値溶媒を含む疎水性の相は、親水性の相中に島状(粒子状)に分布している。そのため、高比重粒子分散溶液内には、無機酸化物粒子が低SP値溶媒によって覆われた、球状の粒子が多数形成される。このような球状粒子は、疎水効果によって集合しやすく、数珠状に連なって網目状のフロキュレート構造を形成する。そして、当該フロキュレート構造の網目内部には、極性溶媒や水が包摂されるため、高比重粒子分散用溶液の粘度がさらに高まりやすくなる。したがって、本発明の高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を添加した際に、高比重粒子が沈降し難くなる。
1.混合溶媒
本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる混合溶媒には、少なくとも低SP値溶媒、極性溶媒、水が含まれ、必要に応じて、他の溶媒が含まれる。当該混合溶媒のSP値は11以上16以下であり、好ましくは12〜15であり、さらに好ましくは13〜14である。SP値とは、溶解度パラメータとも称される値であり、各溶媒固有の値である。また、混合溶媒のSP値は、混合溶媒中の各溶媒の体積割合と当該溶媒のSP値とを積算し、これらを合計することで求められる。
ここで、混合溶媒のSP値が16を超えると、混合溶媒と水との親和性が高くなり、混合溶媒(高比重粒子分散用溶液)が大気中の水分等を吸収しやすくなる。その結果、混合溶媒中の水の含有量が増加して、極性溶媒と水との間で形成される水素結合ネットワークのバランスが崩れやすくなる。ひいては、高比重粒子分散用溶液の粘度が低くなる。これに対し、SP値が16以下であれば、混合溶媒が吸湿し難く、混合溶媒中の水分量を一定に保持することができ、高比重粒子分散用溶液の粘度を一定に保持することができる。
一方、混合溶媒のSP値が11以上であると、低SP値溶媒に対する極性溶媒の量が比較的多くなるため、極性溶媒中に島状に存在する低SP値溶媒が凝集し難くなる。その結果、低温環境下でも高比重粒子分散用溶液が相分離し難くなる。上記SP値は、SP値溶媒や極性溶媒の種類、含有比によって調整される。
高比重粒子分散用溶液に含まれる混合溶媒の量は、99.5〜50.0質量%であることが好ましく、より好ましくは99.0〜80.0質量%であり、さらに好ましくは98.0〜90.0質量%である。混合溶媒の量が50.0質量%以上であると、高比重粒子分散用溶液の無機酸化物粒子の分散安定性が高まりやすい。一方、混合溶媒の量が99.5質量%以下であると、相対的に無機酸化物粒子の量が多くなり、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まりやすい。
(低SP値溶媒)
本発明において、低SP値溶媒とは、SP値が7以上12以下の溶媒をいう。低SP値溶媒は、SP値が上記範囲内である溶媒であれば特に制限されない。低SP値溶媒の例には、n−ヘキサン(SP値:7.3)、酢酸ブチル(SP値:8.5)、キシレン(SP値:8.8)、トルエン(SP値:8.8)、酢酸エチル(SP値:9.0)、ベンゼン(SP値:9.2)、メチルエチルケトン(SP値:9.3)、ジブチルフタレート(SP値:9.4)、アセトン(SP値:10.0)、1−オクタノール(SP値:10.3)、2−フェノキシエタノール(SP値:11.5)等が含まれる。
これらの中でも2−フェノキシエタノール、1−オクタノール、アセトン、メチルエチルケトン、n−ヘキサン、が化学的に安定であり、高比重粒子用分散溶液に高比重粒子を添加した際に、高比重粒子と反応し難い等の観点から好ましい。混合溶媒には、低SP値溶媒が、1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
低SP値溶媒の量は、混合溶媒のSP値に応じて適宜選択されるが、混合溶媒全体に対して10〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは12〜30質量%であり、さらに好ましくは14〜20質量%である。低SP値溶媒が10質量%以上含まれると、混合溶媒(高比重粒子分散用溶液)の吸湿が抑制されやすい。一方、低SP値溶媒の量が40質量%以下であると、相対的に極性溶媒や水の量が多くなり、高比重粒子分散用溶液の低温安定性や粘度安定性が高まりやすい。
(極性溶媒)
本発明において、極性溶媒とは、分子中に水酸基を2つ以上含む溶媒をいう。極性溶媒の例には、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ペンタンジオール等の多価アルコールが含まれる。極性溶媒は、250℃以下の比較的低温焼成で除去可能であるという観点から、好ましくは、1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコールである。混合溶媒には、極性溶媒が、1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
ここで、極性溶媒の沸点は、250℃以下であることが好ましく、より好ましくは150〜210℃である。極性溶媒の沸点が250℃以下であると、高比重粒子分散用溶媒をインクや蛍光体層形成用組成物等、各種用途に用いた際に、極性溶媒を効率良く除去することが可能となる。
極性溶媒の量は、混合溶媒のSP値に応じて適宜選択されるが、混合溶媒全体に対して60〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜85質量%であり、さらに好ましくは75〜80質量%である。極性溶媒が60質量%以上含まれると、極性溶媒と水との水素結合ネットワークが十分に形成され、高比重粒子分散用溶液の粘度が高くなりやすい。一方、極性溶媒の量が90質量%以下であると、混合溶媒(高比重粒子分散用溶液)の吸湿が抑制されやすい。
(水)
混合溶媒には、水が0.1〜5質量%以下含まれる。水の量は、混合溶媒全体に対して好ましくは0.3〜2.0質量%であり、より好ましくは0.5〜1.0質量%である。混合溶媒に水が0.1質量%以上含まれると、高比重粒子分散用溶液内で、水素結合ネットワークが十分に形成されて、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高くなる。また、後述の無機酸化物粒子が表面に−OH基を有する場合に、前述の電気二重層が形成されやすくなる。
一方、水の量が過剰であると、水素結合ネットワークのバランスが崩れやすいが、水の量が5質量%以下であれば、当該水素結合ネットワークが安定に形成され、さらに混合溶媒(高比重粒子分散用溶液)が吸湿し難くなる。なお、水の量は、混合溶媒中の極性溶媒の量100質量部に対して、0.3〜1.5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2質量部である。水の量が上記範囲であると、水素結合ネットワークがより発現しやすくなり、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まりやすい。
(その他の溶媒)
また、混合溶媒には、必要に応じて、低SP値溶媒、極性溶媒、及び水以外の溶媒が含まれてもよい。その他の溶媒の例には、SP値が10超である1価のアルコール、カルボン酸等が含まれる。具体的にはエタノール(SP値:12.7)、クレゾール(SP値:13.3)、フェノール(SP値14.5)、メタノール(14.5)、酢酸(SP値:12.6)、ギ酸(SP値:13.5)等が含まれる。混合溶媒には、その他の溶媒が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
これらの中でも、高比重粒子用分散溶液に高比重粒子を添加した際に、高比重粒子と反応し難い等の観点から、エタノール、メタノールが好ましい。
その他の溶媒の量は、混合溶媒のSP値に応じて適宜選択されるが、混合溶媒全体に対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%であり、さらに好ましくは0.3〜10質量%である。その他の溶媒量が20質量%以下であると、相対的に、低SP値溶媒や極性溶媒、水の量が十分となり、高比重粒子分散用溶液の粘度安定性等が高まりやすい。
2.無機酸化物粒子
本発明の高比重粒子分散用溶液に含まれる無機酸化物粒子の種類は特に制限されず、無機酸化物粒子の例には、SiO、Al、ZnO、TiO、ZrO等が含まれる。高比重粒子分散用溶液に無機酸化物粒子が、1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
また、無機酸化物粒子の平均粒子径は、前述の混合溶媒に均一に分散可能な粒子径であれば特に制限されないが、0.1〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは3.0〜7.0μmであり、さらに好ましくは4.0〜6.0μmである。平均粒子径は、コールターカウンター法により測定される。無機酸化物粒子の平均粒子径が10.0μm以下であると、無機酸化物粒子を前述の混合溶媒に分散させやすくなる。またさらに高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際、無機酸化物粒子由来の着色や光の透過率低下が生じ難い。一方、無機酸化物粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が、無機酸化物によって高まりやすくなる。
なお、無機酸化物粒子は、表面処理されておらず、多数の−OH基を有するものであってもよい。一方、無機酸化物粒子は疎水化処理されていてもよい。無機酸化物粒子表面が疎水化処理されていると、高比重粒子分散用溶液において、無機酸化物粒子が低SP値溶媒と親和しやすくなる。そして、前述のフロキュレート構造が形成されて、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まりやすくなる。
ここで、無機酸化物粒子の表面を疎水化処理する方法は特に制限されず、例えば疎水性化合物を表面に塗布する方法や、疎水性化合物を無機酸化物粒子と反応させて、疎水性の基を導入する方法等でありうる。疎水性化合物は特に制限されないが、炭素数が1〜3の炭化水素基を有する化合物であることが好ましい。炭素数が1〜3の炭化水素基であれば、光や熱によって分解され難いため、無機微粒子表面に導入されたとしても、高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際に、変色等が生じ難くなる。
炭素数が1〜3の炭化水素基を有する疎水性化合物の例には、モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物;モノメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のクロロシラン化合物;ヘキサメチルジシラザン;等が含まれる。
ここで、上記疎水性化合物により、無機酸化物粒子の表面を疎水化処理する方法の一例を以下に示すが、当該方法に限定されるものではない。まず、無機酸化物粒子に疎水性化合物を塗布する。疎水性化合物の塗布方法は特に制限されないが、スプレー法で塗布すると、無機酸化物粒子表面に疎水性化合物が均一に付着しやすくなる。また、疎水性化合物の塗布時には、水やアルコールも併せてスプレー塗布することが好ましい。水やアルコールによって、上記疎水性化合物が加水分解されて、無機酸化物粒子表面の−OH基と反応しやすくなる。その後、疎水性化合物が表面に付着した無機酸化物粒子を、不活性ガス雰囲気下で加熱する。加熱温度は特に制限されないが、通常150〜250℃程度とすることができる。加熱により、疎水性化合物の加水分解物と無機微粒子表面の−OH基とが縮合反応し、無機酸化物粒子表面に疎水性の基が導入される。
なお、上記疎水性化合物による疎水化処理の前に、必要に応じて、無機酸化物粒子表面に、非反応性シリコーンオイルを塗布してもよい。無機酸化物粒子表面にシリコーンオイルを塗布すると、無機酸化物粒子の疎水性がさらに高まりやすくなり、前述の低SP値溶媒との親和性がさらに高まりやすくなる。
ここで、高比重粒子分散用溶液に含まれる無機酸化物粒子の量は、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜10.0質量%であり、さらに好ましくは2.0〜5.0質量%である。無機酸化物粒子の量が20質量%以下であると、相対的に混合溶媒の量が多くなり、高比重粒子分散用溶液の安定性が高まりやすい。また、無機酸化物粒子の量が20質量%以下であると、高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際に、無機酸化物粒子由来の着色や光の透過率低下が生じ難い。一方、混合溶媒の量が1質量%以上であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まりやすく、高比重粒子を分散させた際に、高比重粒子の沈降が生じ難くなる。
3.粘土鉱物
高比重粒子分散用溶液には、必要に応じて粘土鉱物が含まれてもよい。高比重粒子分散用溶液に粘土鉱物が含まれると、高比重粒子分散用溶液の粘度がさらに高まり、高比重粒子を添加した際に、高比重粒子がさらに沈降し難くなる。
また、粘土鉱物は高比重粒子分散用溶液内で、静電引力によりカードハウス構造を形成する。そして、この3次元構造内に溶媒分子等が内包されるため、高比重粒子分散用溶液の粘度だけでなく、粘度安定性も高まる。
高比重粒子分散用溶液において、層間陽イオンの疎水化処理や粘土鉱物エッジ部の疎水化処理が行われていない通常の粘土鉱物は、極性溶媒側に分散されることとなる。一方、層間陽イオンの疎水化処理や粘土鉱物エッジ部の疎水化処理が行われた粘土鉱物は低極性溶媒側に分散されることとなる。
粘土鉱物の例には、層状ケイ酸塩鉱物、イモゴライト、アロフェン等が含まれる。これらは、表面積が非常に大きいため、少量で高比重粒子分散用溶液の粘度を高めることができる。
ここで、上記層状ケイ酸塩鉱物は、雲母構造、カオリナイト構造、またはスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、特に膨潤性に富むスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物が好ましい。
層状ケイ酸塩鉱物の例には、天然または合成の、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト、ラポナイト等のスメクタイト属粘土鉱物や、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母属粘土鉱物、白雲母、金雲母、フッ素金雲母、絹雲母、カリウム四ケイ素雲母等の非膨潤性雲母属粘土鉱物、およびバーミキュラライトやカオリナイト、またはこれらの混合物が含まれる。
また、粘土鉱物の市販品の例には、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製サポナイト類似物質)、ベンゲル(ホージュン(株)販売の天然ベントナイト)、クニビアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ミクロマイカ(コープケミカル(株)製の合成非膨潤性雲母)、ソマシフ(コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、M−XF((株)レプコ製の白雲母)、S−XF((株)レプコ製の金雲母)、PDM−800(トピー工業(株)製のフッ素金雲母)、セリサイトOC−100R(オーケム通商(株)製の絹雲母)、PDM−K(G)325(トピー工業(株)製のカリウム四ケイ素雲母)等が含まれる。
粘土鉱物の平均粒子径は、前述の混合溶媒に均一に分散可能な粒子径であれば特に制限されないが、0.3〜15.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7.0μmであり、さらに好ましくは1.0〜5.0μmである。平均粒子径は、コールターカウンター法により測定される。粘土鉱物の平均粒子径が15.0μm以下であると、高比重粒子分散用溶液を各種用途に用いた際に、着色や光の透過率低下が生じ難い。一方、粘土鉱物の平均粒径が0.3μm以上であると、高比重粒子分散用溶液の粘度が、粘土鉱物によって高まりやすくなる。
高比重粒子分散用溶液に含まれる粘土鉱物の量は、0.05〜10.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜3.0質量%である。粘土鉱物の量が0.05質量%以上であると、比重粒子分散用溶液の粘度が十分に高まりやすい。粘土鉱物の量が10.0質量%以下であると、相対的に混合溶媒や無機酸化物粒子の量が多くなり、高比重粒子の分散安定性が高まりやすい。
4.高比重粒子分散用溶液の物性
高比重粒子分散用溶液の粘度は、50〜500Pa・sであることが好ましく、より好ましくは80〜300Pa・sであり、さらに好ましくは100〜200Pa・sである。高比重粒子分散用溶液の粘度が上記範囲であると、高比重粒子を分散させた際に、高比重粒子が沈降し難くなる。高比重粒子分散用溶液の粘度は、混合溶液中の水の量、無機酸化物粒子の量、粘土鉱物の量等によって、調整可能である。
5.高比重粒子分散用溶液の調製方法
上述の高比重粒子分散用溶液の調製方法は特に制限されない。例えば、混合溶媒を先に調製し、当該混合溶媒に無機酸化物粒子や粘土鉱物を添加して分散させる方法であってもよく;低SP値溶媒、極性溶媒、水、無機酸化物粒子、粘土鉱物等を一度に混合してこれらを分散させる方法であってもよい。また、無機酸化物粒子を親和性の高い側の溶媒に分散させた後、残りの溶媒と混合する方法等であってもよい。
上記無機酸化物粒子や粘土鉱物の混合溶媒中への分散は、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機、高圧衝撃式分散装置、自転公転ミキサー等で行うことができる。
上記装置の具体例には、公知のウルトラタラックス(IKAジャパン社製)、TKホモミクサー(プライミクス社製)、TKパイプラインホモミクサー(プライミクス社製)、TKフィルミックス(プライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、クレアSS5(エム・テクニック社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)のようなメディアレス撹拌機、ビスコミル(アイメックス製)、アペックスミル(寿工業社製)、スターミル(アシザワ、ファインテック社製)、DMPA・Sスーパーフロー(日本アイリッヒ社製)、エムピーミル(井上製作所社製)、スパイクミル(井上製作所社製)、マイティーミル(井上製作所社製)、SCミル(三井鉱山社製)などのメディア攪拌機等やアルティマイザー(スギノマシン社製)、ナノマイザー(吉田機械社製)、NANO3000(美粒社製)などの高圧衝撃式分散装置等が含まれる。また、あわとり練太郎(シンキー社製)などの自転公転式ミキサーや超音波分散装置も高比重粒子分散用溶液の調製に好適である。
6.用途
本発明の高比重粒子分散用溶液は、前述のように、高比重粒子を添加したときに、高比重粒子が沈降し難い。したがって、種々の高比重粒子を分散させる用途に好適に用いることができる。高比重粒子分散用溶液の使用方法は特に制限されず、例えば高比重粒子分散用溶液に高比重粒子(例えば顔料、蛍光体粒子、金属粒子等)を分散させた後、当該分散液をそのままインクや蛍光体分散液、研磨用スラリー等として使用してもよい。一方、高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させた後、当該分散液を、樹脂やセラミック前駆体等とさらに混合して、各種用途に用いてもよい。
高比重粒子分散用溶液に高比重粒子を分散させる方法は特に制限されず、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機、高圧衝撃式分散装置、自転公転ミキサー等で行うことができる。
また、高比重粒子分散用溶液に分散させる高比重粒子の種類は特に制限されず、顔料、蛍光体粒子、金属粒子等、各種粒子でありうるが、好ましくは比重が1.5〜11の粒子である。
また、高比重粒子の平均粒子径は特に制限されないが、0.01〜100μm程度の粒子であることが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。高比重粒子の平均粒子径が上記範囲であると、高比重粒子分散用溶液によって、高比重粒子を均一に分散させることができる。平均粒子径は、コールターカウンター法により測定される。
さらに、高比重粒子分散用溶液100質量部に対して、添加する高比重粒子の量は70質量部以下であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下である。高比重粒子の量が過剰であると、高比重粒子分散用溶液によって、全ての高比重粒子を均一に分散させることが難しいことがあるが、50質量部以下であれば、均一に分散させることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限されない。
[材料]
各実施例及び比較例には、以下の材料を用いた。
(無機酸化物粒子)
・SiO サイリシア770(冨士シリシア製)、平均粒子径6.7μm
・メチル化処理SiO 後述の方法による調製品、平均粒子径6.8μm
・プロピル化処理SiO 後述の方法による調製品、平均粒子径6.8μm
・ZrO 共立マテリアル社製KZ−0Y、平均粒子径17μm
・メチル化処理ZrO後述の方法による調製品、平均粒子径17.1μm
・TiO 東邦チタニウム社製HT0210、平均粒子径2.5μm
・メチル化処理TiO 後述の方法による調製品、平均粒子径2.6μm
(粘土鉱物)
・スメクタイト コープケミカル社製 平均粒子径1μm
(低SP値溶媒)
・アセトン SP値:10.0
・メチルエチルケトン(MEK) SP値:9.3
・n−ヘキサン SP値:7.3
(極性溶媒)
・1,3−プロピレングリコール SP値:13.8、沸点:207.5℃
・エチレングリコール SP値:14.2、沸点:197.3℃
・プロピレングリコール SP値:15.0、沸点:188.2℃
(その他の溶媒)
・エタノール SP値:12.7
(メチル化処理SiOの調製方法)
親水性シリカのサイリシア770(冨士シリシア製)を原料とした。当該親水性シリカ粉末100質量部を反応容器に入れ、窒素雰囲気下、攪拌により粉末を流動状態とした。この状態で、ヘキサメチルジシラザンと水とをそれぞれ5質量部ずつ噴霧し、200℃で30分間加熱処理して、メチル化処理SiO粒子を得た。
(プロピル化処理SiOの調製方法)
ヘキサメチルジシラザンの代わりに、プロピルトリメトキシシランを用いた以外は、メチル化処理SiOの調製方法と同様にして、プロピル化処理SiO粒子を得た。
(メチル化処理ZrOの調製方法)
親水性シリカの代わりに、共立マテリアル社製KZ−0Yを用いた以外は、メチル化処理SiOの調製方法と同様にして、メチル化処理ZrO粒子を得た。
(メチル化処理TiOの調製方法)
親水性シリカの代わりに、東邦チタニウム社製HT0210を用いた以外は、メチル化処理SiOの調製方法と同様にして、メチル化処理TiO粒子を得た。
[実施例1]
アセトン19.9質量%、1,3−ブタンジオール79.8質量%、水0.3質量%を混合した混合溶媒を作製した。当該混合溶媒のSP値は12.91であった。
当該混合溶媒に、親水性シリカであるサイリシア770(冨士シリシア製)を、溶液の総量に対して2質量%となるように添加した。続いて、ホモジナイザー(英弘精機社製)で10分間分散させて、実施例1の高比重粒子分散用溶液を作製した。
なお、混合溶媒のSP値は、以下のように求めた。各溶媒について、その添加量と比重から体積を算出した。続いて、混合溶媒中の全ての溶媒の合計体積に対する各溶媒の体積(混合溶媒中における各溶媒の体積割合)を算出した。そして、各溶媒のSP値と体積割合との積を算出し、これらの総和を混合溶媒のSP値とした。
[実施例2〜34、及び比較例1〜7]
表1〜4に示される組成に変更した以外は、実施例1と同様に高比重粒子分散用溶液を作製した。
[評価]
各実施例及び比較例で作製した高比重粒子分散用溶液について、低温安定性、粘度安定性、高比重粒子添加時の分散安定性、光学特性保持性を以下の方法で評価した。
<低温安定性評価>
作製直後の高比重粒子分散用溶液を直径2cm、容積5mLの円筒状のガラス瓶に投入し、5℃にて24時間静置した。24時間静置後の上澄みの厚さを計測し、下記の基準で低温安定性を評価した。
◎:上澄みが出ていない
○:上澄みの厚さが0mmを超え、1mm以下である
△:上澄みの厚さが1mmを超え、3mm以下である
×:上澄みの厚さが3mmを超える
<粘度安定性評価>
作製直後の高比重粒子分散用溶液を直径2cm、容積5mLの円筒状のガラス瓶に投入し、25℃にて1か月間静置した。作製直後の粘度、及び1か月静置後の粘度をそれぞれ粘度計(VISCOMATE MODEL VM−10A−M, セコニック社製)にて測定し、下記の基準で粘度安定性を評価した。
◎:作製直後から1か月静置後の粘度変化が1%未満である
○:作製直後から1か月静置後の粘度変化が1%以上、2%未満である
△:作製直後から1か月静置後の粘度変化が2%以上、5%未満である
×:作製直後から1か月静置後の粘度変化が5%以上である
<高比重粒子添加時の分散安定性>
各高比重粒子分散用溶液に、以下の3つの高比重粒子を分散させて、高比重粒子添加時の分散安定性を評価した。評価用サンプル溶液は、以下の高比重粒子(粒径5μm)5gを高比重粒子分散用溶液10gに添加した溶液3種とした。なお、溶液は、高比重粒子添加後、ホモジナイザー(英弘精機社製)で10分間分散させて作製した。
(高比重粒子)
・マグネシウム 比重:1.7
・チタン 比重:4.5
・銀 比重:10.5
得られた評価用サンプル溶液を直径2cm、容積5mLの円筒状のガラス瓶に投入し、25℃にて24時間静置した際の上澄みの厚さを計測し、下記の基準で沈降耐性を評価した。
◎:銀(比重10.5)を分散させた評価用サンプル溶液にて上澄みが出ない
○:チタン(比重4.5)を分散させた評価用サンプル溶液では上澄みが出ないが、銀(比重10.5)を分散させた評価用サンプル溶液では上澄みが出る
△:マグネシウム(比重1.7)を分散させた評価用サンプル溶液では上澄みが出ないが、チタン(比重4.5)を分散させた評価用サンプル溶液では上澄みが出る
×:マグネシウム(比重1.7)を分散させた評価用サンプル溶液にて上澄みが出る
<光学特性保持性>
粒径5μmの銀粒子5gを、高比重粒子分散用溶液10gに添加し、ホモジナイザー(英弘精機社製)で10分間分散させてサンプル溶液を調製した。当該サンプル溶液をガラス板上にドライ膜厚5μmとなるようにスプレー塗布し、乾燥させた。その後、メチルシリコーン(東レダウ製OE6370HF)のMEK希釈溶液をドライ膜厚5μmとなるように更にスプレー塗布し、熱硬化させてサンプルとした。
一方、比較用サンプルとして、銀粒子のMEK分散液をガラス板上にドライ膜厚5μmとなるようにスプレー塗布し、乾燥させた。その後、メチルシリコーン(東レダウ製OE6370HF)のMEK希釈溶液をドライ膜厚5μmとなるように更にスプレー塗布し、熱硬化させて比較サンプルとした。
上記各サンプル、及び比較サンプルについて、表面の60°角光沢度を光沢度計(CM−2500d, コニカミノルタ製)で測定し、比較サンプルをリファレンスとして以下の基準で評価した。
○:サンプルの光沢度が、比較サンプルの光沢度の98%以上である
△:サンプルの光沢度が、比較サンプルの光沢度の96%以上98%未満である
×:サンプルの光沢度が、比較サンプルの光沢度の96%未満である
Figure 2016169131
Figure 2016169131
Figure 2016169131
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表1〜4に示されるように、低SP値溶媒、極性溶媒、及び水を含む混合溶媒と、無機酸化物粒子とを含む高比重粒子分散用溶液(実施例1〜34)では、高比重の粒子を分散させたときの分散安定性が非常に良好であった。いずれの場合にも、極性溶媒と水とが水素結合ネットワークを形成したことで、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まっただけでなく、無機酸化物粒子によっても、高比重粒子を安定して分散させることが可能になったと推察される。
ただし、無機酸化物粒子の含有量が高比重粒子分散用溶液の総量に対して1質量%未満となる場合(実施例17)や、無機酸化物粒子を含まない場合(比較例7)には、高比重粒子の安定性が低くなる傾向にあった。一方で、無機酸化物粒子の含有量が多くなると、高比重粒子分散用溶液自体の低温安定性が高まったり、高比重粒子の分散安定性が高まった(例えば実施例18)。これらは、無機酸化物粒子が、高比重粒子の分散安定性に大きく寄与していることを示している。
一方で、無機酸化物粒子の含有量が高比重粒子分散用溶液の総量に対して20質量%を超えると、高比重粒子を分散させた溶液から得られる膜の光学特性が低下しやすかった(実施例19)。無機酸化物粒子によって、膜に着色が生じたり、膜の光透過性が低下したことが一因であると推察される。
また、無機酸化物粒子が、炭素数1〜3の炭化水素基を含む化合物で表面修飾されている場合には、高比重粒子分散用溶液の低温安定性が非常に高まった(実施例20〜22、25、及び26)。無機酸化物粒子が表面修飾されているため、低SP値溶媒と無機酸化物粒子とが球状粒子(フロキュレート構造)を形成し、極性溶媒や水を包摂したと推察される。また、これらの実施例では、高比重粒子の分散安定性も高まった。フロキュレート構造が、極性溶媒や水を包摂することで、高比重粒子分散用溶液の粘度が高まり、高比重粒子の分散安定性が高まったと推察される。
一方、高比重粒子分散用溶液に粘土鉱物が含まれる場合には、高比重粒子分散用溶液の粘度安定性がさらに高まりやすかった(実施例22)。粘土鉱物が、静電引力によりカードハウス構造を形成し、この3次元構造内に溶媒分子等が内包されて、粘度安定性が向上したと推察される。
一方、混合溶媒のSP値が11未満である場合には、高比重粒子分散用溶液の低温安定性や粘度安定性が低く、高比重粒子の分散安定性も低かった(比較例1及び比較例4)。混合溶媒のSP値が低い、つまり混合溶媒中の低SP値溶媒量が多いため、低SP値溶媒が凝集しやすく、相分離しやすかったと推察される。また、このような場合には、高比重粒子を安定して分散させることも難しかった。
また、混合溶媒のSP値が16を超える場合にも、高比重粒子分散用溶液の低温安定性や粘度安定性が低く、高比重粒子の分散安定性も低かった(比較例2)。高比重粒子分散用溶液が吸湿して、極性溶媒と水との水素結合ネットワークが崩れたため、十分に高比重粒子分散用溶液の粘度が高まらなかったと推察される。また、水素結合ネットワークのバランスが崩れると、低SP値溶媒との分散安定性も低下し、相分離しやすかったことも一因として推察される。
なお、混合溶媒のSP値が16を超えなくとも、低SP値溶媒が含まれない場合には、高比重粒子分散用溶液の低温安定性や粘度安定性が低く、高比重粒子の分散安定性も低かった(比較例3)。この場合にも、高比重粒子分散用溶液が吸湿しやすく、極性溶媒と水との水素結合ネットワークのバランスが崩れたと推察される。
さらに、混合溶媒中の水の含有量が0.1質量%を下回る場合にも、高比重粒子分散用溶液の低温安定性や粘度安定性が低く、高比重粒子の分散安定性も低かった(比較例5)。この場合、極性溶媒と水との水素結合ネットワークが十分に形成されなかったため、十分に粘度が高まらなかったと推察される。さらに、水の含有量が少ないため、無機酸化物粒子が表面電位による電気二重層を形成し難く、無機酸化物粒子に静電力が生じ難かったため、高比重粒子の分散安定性が低下したと推察される。
一方、混合溶媒中の水の含有用が5質量%を上回る場合にも、高比重粒子分散用溶液の低温安定性や粘度安定性が低く、高比重粒子の分散安定性も低かった(比較例6)。極性溶媒と水との水素結合ネットワークのバランスが崩れ、十分に高比重粒子分散用溶液の粘度が高まり難かったと推察される。
本発明の高比重粒子分散用溶液は、低温安定性や粘度安定性に優れ、さらに蛍光体粒子や顔料、金属粒子等の高比重粒子を分散させた場合に、これらが沈降し難い。したがって、各種インクや、蛍光体層形成用の分散液、スラリー調製用の溶液として、非常に有用である。

Claims (5)

  1. SP値が7以上12以下の低SP値溶媒、一分子中に水酸基を2つ以上含む極性溶媒、及び水、を含有する混合溶媒と、
    無機酸化物粒子と、
    を含み、
    前記混合溶媒中の水分量が0.1〜5質量%であり、
    前記混合溶媒のSP値が11以上16以下である、高比重粒子分散用溶液。
  2. 粘土鉱物をさらに含む、請求項1に記載の高比重粒子分散用溶液。
  3. 前記無機酸化物粒子の含有量が、1〜20質量%である、請求項1または2に記載の高比重粒子分散用溶液。
  4. 前記無機酸化物粒子が、炭素数1〜3の炭化水素基を含む化合物で、表面修飾された粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高比重粒子分散用溶液。
  5. 比重が1.5以上11以下である高比重粒子を分散させるための溶液である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高比重粒子分散用溶液。
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