JP2016168765A - 搬送機構および印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙厚が薄い連続用紙や、係合孔が正確な位置に開いていない連続用紙にも対応可能で、簡易な構成の搬送機構を提供する。【解決手段】係合孔に係合ピン順次係合させて連続用紙を搬送する搬送機構は、連続用紙が摺動して搬送される搬送路面を形成するフレームと、二つのプーリーに架け渡され外周面に係合ピンが設けられた無端ベルトと、搬送路面との間で連続用紙を保持するカバーとを備え、カバーに対向する無端ベルトの外周面の少なくとも一部が搬送路面に対して傾斜するよう配置され、連続用紙の搬送方向において上流側の無端ベルトの外周面と搬送路面との間隔が、下流側の無端ベルトの外周面と搬送路面との間隔より大きい。【選択図】図4

Description

本発明は、搬送方向に沿って係合孔が形成される連続用紙を、係合孔に係合ピンを順次係合させて搬送する搬送機構および印刷装置に関する。
従来、印刷媒体に印刷を行う印刷装置において、印刷媒体として係合孔を有する連続用紙を搬送する搬送機構として、トラクターユニットが知られている。トラクターユニットで連続用紙を搬送するとき、連続用紙に外力が加わると、係合孔がトラクターの係合ピンから外れる恐れがあった。そのため、特許文献1に記載のトラクターユニットのように、連続用紙をトラクターに保持するためのトラクターカバーを備えたトラクターが提案された(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−208034号公報
しかしながら、トラクターカバーを備えたトラクターユニットでは、係合ピンが係合孔に係合するとき、連続用紙が係合ピンに押し上げられて、トラクターカバーに接触することがある。このとき、係合ピンが設けられるトラクターベルトとトラクターカバーとの間隔が適切でなかった場合、または連続用紙が薄い、もしくは係合孔が多少不整列に形成された連続用紙の場合には、連続用紙が破損してしまうという課題があった。
図7を用いて上述の課題をより詳細に説明する。
図7は、従来のトラクターユニットの課題を説明する断面図である。トラクターユニット704は、係合ピンとしてのトラクターピン720及びトラクターカバー730を構成要素に含む。トラクターピン720は、プーリー734及びプーリー736に架け渡されたトラクターベルト725に設けられる。連続用紙702には一定のピッチで係合孔702aが設けられており、連続用紙702は図中に矢印で示した搬送方向D1に搬送される。
図7(a)は、搬送方向D1の上流側において、トラクターピン720が係合孔702aに係合する前の状態を示す。この状態からプーリー734及びプーリー736が回転してトラクターベルト725が搬送方向D1に移動すると、トラクターピン720は、搬送路面からトラクターカバー730側へ徐々に突出する。このとき、トラクターピン720は、傾いた状態で連続用紙702に近づく。
図7(b)は、搬送方向D1の上流側において、トラクターピン720と係合孔702aとが係合する状態を示す。トラクターピン720には一定の高さがあるため、連続用紙702のうち、係合孔702aの縁に近い部分に接触する。係合孔702aの縁部に接触したトラクターピン720は、連続用紙702を押し上げる。搬送方向D1において、トラクターピン720の先端と、係合孔702aの位置とが一致するまで、連続用紙702がトラクターピン720に乗り上げた状態は続く。
図7(c)は、搬送方向D1の上流側において、トラクターピン720の先端と、係合孔702aの位置とが一致し、トラクターピン720が係合孔702aに係合した状態を示す。連続用紙702は、トラクターピン720に落とし込まれた状態で搬送される。
ここで、連続用紙702の紙厚が薄く、もしくは腰が弱く、折れ曲がりやすい紙質である場合には、連続用紙702は折れ曲がる前の状態に戻りにくい。そのため、折れ曲がりやすい紙質の連続用紙702は、図7(b)のトラクターピン720に押し上げられた状態から、図7(c)の状態に遷移しにくい。その結果、図7(b)のトラクターピン720に押し上げられた状態のまま搬送され、用紙詰まりなどを引き起こす恐れがあった。従って、連続用紙702を適切に搬送するために、連続用紙702の上下方向の動きを規制して、係合孔702aをトラクターピン720に落とし込む必要があった。そのため、トラクターカバー730とトラクターベルト725との間隔は小さく設定された。
しかしながら、トラクターカバー730とトラクターベルト725との間隔を小さくすると、連続用紙702がトラクターピン720に押し上げられる状態において(図7(b)参照)、連続用紙702はトラクターカバー730に接触しやすくなる。特に、トラクターピン720によって連続用紙702が、トラクターカバー730に強く押し当てられる場合には、トラクターピン720とトラクターカバー730との間で、連続用紙702に過度の負荷が生じて連続用紙702が破損するという課題が発生する恐れがあった。
従来、この課題には、トラクターカバー730とトラクターベルト725との間隔が最適に作り込まれることで対応された。つまり、連続用紙702がトラクターピン720に押し上げられた状態のまま搬送されないことと連続用紙702の破損が生じないこととが同時に成り立つように当該間隔が作り込まれた。しかしながら、紙厚が薄い連続用紙や、係合孔が正確な位置に開いていない連続用紙などに対応するためには、より高い精度で、トラクターカバー730とトラクターとの間隔が作り込まれる必要がある。そこで、このような連続用紙702にも対応可能で、より簡易な構成で当該間隔の詳細な作り込みが不要なトラクターユニットが求められていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
(適用例1)搬送方向に沿って係合孔が形成される連続用紙を、前記係合孔に係合ピンを順次係合させて搬送する搬送機構であって、前記連続用紙が搬送される搬送路面を形成するフレームと、前記フレームに配設される第1プーリーと、前記フレームにおいて前記第1プーリーより前記搬送方向の下流側に配設される第2プーリーと、外周面に複数の前記係合ピンが設けられ前記第1プーリーと前記第2プーリーとに架け渡される無端ベルトと、前記搬送路面と対峙して前記搬送路面上の前記連続用紙を保持するカバーと、を備え、前記第1プーリーおよび前記第2プーリーは、前記無端ベルトが前記搬送路面に沿って前記第1プーリーから前記第2プーリーへ移動する経路の内少なくとも一部が前記搬送路面に対して傾斜する傾斜経路となるように配設され、前記傾斜経路において、前記搬送方向の上流側における前記無端ベルトと前記搬送路面との間隔が、下流側における前記無端ベルトと前記搬送路面との間隔より広いことを特徴とする搬送機構。
本適用例によれば、第1プーリーと第2プーリーとに架け渡される無端ベルトの係合ピンによって、搬送路面上を連続用紙が搬送される。無端ベルトは、搬送路面に対して傾斜する傾斜経路を備える。傾斜経路は、第1プーリーおよび第2プーリーのフレームへの配設によって形成される。傾斜経路は、無端ベルトと搬送路面との間隔が、下流側で狭く、上流側で下流側より広くなる傾斜を持つ。そのため、搬送路面上を搬送される連続用紙に対して、無端ベルトの係合ピンが、下流側に行くにつれて徐々に連続用紙の係合孔に近づく。その結果、係合ピンが係合孔から外れた位置において連続用紙を押し上げることが無い。したがって、紙厚が薄いもしくは腰が弱く、折れ曲がりやすい紙質の連続用紙であっても、無端ベルトと搬送路面との間隔の詳細な作り込みが不要で、かつ係合ピンが連続用紙を破損する、あるいは連続用紙が係合ピンに乗り上げたまま搬送されることがない搬送機構が実現できる。
(適用例2)上記適用例において、前記第1プーリーの径は、前記第2プーリーの径よりも小さいことを特徴とする搬送機構。
本適用例によれば、上流側の第1プーリーの径が下流側の第2プーリーの径よりも小さいため、無端ベルトと搬送路面との間隔が、下流側で狭く、上流側で下流側より広くなる傾斜を持つ傾斜経路を容易に形成できる。具体的には、第1プーリーの径が第2プーリーの径よりも小さいため、第1プーリーの回転軸を第2プーリーの回転軸よりも搬送路面に近い位置に配設した場合でも、前述の傾斜経路を形成できる。そのため、第1プーリーおよび第2プーリーの配置に自由度が増し、搬送機構の設計が容易となる。
(適用例3)上記適用例において、前記第1プーリーの回転軸と前記搬送路面との間隔は、前記第2プーリーの回転軸と前記搬送路面との間隔より広いことを特徴とする搬送機構。
本適用例によれば、第1プーリーの回転軸が第2プーリーの回転軸よりも搬送路面から離れた位置に配設される。このため、例えば、第1プーリーの径が第2プーリーの径に比べて小さい場合だけではなく、等しいまたは大きい場合でも、前述の傾斜経路を形成できる。
(適用例4)上記適用例において、前記第1プーリーから前記無端ベルトが離れる離間位置において、前記無端ベルトの前記外周面と前記搬送路面との間隔は、前記外周面から前記係合ピンが突出する高さよりも大きいことを特徴とする搬送機構。
本適用例によれば、第1プーリーから無端ベルトが離れる離間位置において、無端ベルトと搬送路面との間隔は、係合ピンの高さよりも大きい。そのため、離間位置においては、係合ピンと搬送路面上の連続用紙とは接触しない。無端ベルトは、円弧状に移動する第1プーリーから離れて直線状に移動する位置において、係合ピンが係合孔と係合を開始する。その結果、係合ピンが係合孔から外れた位置において連続用紙を押し上げることが無い。したがって、係合ピンが連続用紙を破損する、あるいは連続用紙が係合ピンに乗り上げたまま搬送されることがない。
(適用例5)上記適用例において、前記傾斜経路の少なくとも一部を前記搬送路面の方向に突出させる経路変形部を有することを特徴とする搬送機構。
本適用例によれば、傾斜経路の少なくとも一部を搬送路面の方向に突出させる経路変形部を有する。そのため、無端ベルトが第1プーリーから第2プーリーへ移動する経路をすべて傾斜経路とせずに、一部を傾斜経路として他を搬送路面に対して略平行な傾斜経路とすることもできる。この結果、係合ピンが係合孔に挿入された後は、速やかに無端ベルトの経路を搬送路面に対して略平行となるよう経路変形部を配置することによって、連続用紙の搬送を安定させることができる。また、経路変形部の配置によって傾斜経路の傾斜度合いを決定できる。そのため、係合ピンが係合孔に挿入される進入角度が適切にすることができる。
(適用例6)上記適用例において、前記カバーは、前記フレームに開閉可能に設けられ、閉位置において、前記搬送路面と対峙することを特徴とする搬送機構。
本適用例によれば、カバーがフレームに開閉可能に設けられている。そのため、連続用紙を搬送機構にセットする時に、ユーザーは、カバーを開いてセット操作ができる。したがって、使い勝手が良い搬送機構が実現できる。
(適用例7)印刷位置を経由する搬送路に沿って搬送ローラーによって連続用紙を搬送し、前記印刷位置において前記連続用紙に印刷を実施する印刷装置であって、上記適用例に記載の搬送機構と、前記搬送機構よりも前記連続用紙の搬送方向において下流側の前記印刷位置に配設される印刷ヘッドと、を備え、前記搬送ローラーは、前記搬送機構よりも前記連続用紙の搬送方向において下流側に配置され、前記搬送方向と直交する方向に延びる中心軸回りに回転駆動されることを特徴とする印刷装置。
本適用例によれば、印刷装置は、第1プーリーと第2プーリーとに架け渡される無端ベルトの係合ピンによって、搬送路面上を連続用紙が搬送される搬送機構を備える。無端ベルトは、搬送路面に対して傾斜する傾斜経路を備える。傾斜経路は、第1プーリーおよび第2プーリーのフレームへの配設によって形成される。傾斜経路は、無端ベルトと搬送路面との間隔が、下流側で狭く、上流側で下流側より広くなる傾斜を持つ。そのため、搬送路面上を搬送される連続用紙に対して、無端ベルトの係合ピンが、下流側に行くにつれて徐々に連続用紙の係合孔に近づく。したがって、係合ピンが係合孔から外れた位置において連続用紙を押し上げることが無い。その結果、紙厚が薄いもしくは腰が弱く、折れ曲がりやすい紙質の連続用紙であっても、無端ベルトと搬送路面との間隔の詳細な作り込みが不要で、かつ係合ピンが連続用紙を破損する、あるいは連続用紙が係合ピンに乗り上げたまま搬送されることがない印刷装置が実現できる。
プリンターの外観斜視図。 プリンターの主要部を示す概略断面図。 トラクターユニットの一例を示す外観斜視図。 トラクターユニットの一例を示す概略断面図。 トラクターユニットの他の一例を示す概略断面図。 トラクターユニットの変形例を示す概略断面図。 従来のトラクターユニットの課題を説明する断面図。
(第1実施形態)
以下、本発明を適用した第1実施形態について図面を参照して説明する。第1実施形態では、本発明を適用した印刷装置として、インクを印刷媒体に吐出する印刷ヘッドによって連続用紙に印刷を行うインクジェットプリンター1(以下、プリンター1と称する)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
(プリンターの全体構成)
まず、プリンター1の全体構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、プリンター1の外観斜視図である。図2は、図1のプリンター1を、印刷媒体としての連続用紙2の搬送方向D1に沿って切った概略断面図である。
プリンター1は、係合孔2aが形成された連続用紙2に印刷を行う。係合孔2aは、連続用紙2の搬送方向D1に沿って、搬送方向と交差する紙幅方向の両端部分に形成される。プリンター1は、プリンター本体3と、プリンター本体3の給紙側に搭載される搬送機構としてのトラクターユニット4と、プリンター本体3の排紙側に取り付けられる排紙トレイ5とを有する。連続用紙2は、トラクターユニット4によってプリンター本体3内に送り込まれ、印刷が施された後に、プリンター本体3から排紙トレイ5に沿って排出される。
トラクターユニット4は、トラクターピン20とトラクターカバー30とを、紙幅方向の両側に備える。トラクターピン20は、係合孔2aに係合し、連続用紙2をプリンター本体3内に送り込む。トラクターカバー30は、係合孔2aがトラクターピン20に係合する状態を保持する役割を有する。
図2は、プリンター1の主要部を示す概略断面図である。連続用紙2は、トラクターユニット4から排紙トレイ5に向かって、矢印で示す搬送方向D1に搬送される。
プリンター1は、印刷位置Aを経由して連続用紙2を搬送するための搬送路7が設けられる。印刷位置Aには、印刷ヘッド6が配設される。印刷ヘッド6は、連続用紙2に向かってインク滴を吐出するインクジェットヘッドである。また、印刷ヘッド6に対向してプラテン8が配設される。プラテン8は、搬送路7の一部を形成する。搬送路7は、トラクターユニット4からプラテン8を経由して排紙トレイ5に至るまで搬送方向D1に延びる。
搬送路7において、印刷位置Aとトラクターユニット4との間には、紙送りローラー対11が配設される。紙送りローラー対11は、紙送りローラー11aと押圧ローラー11bとで構成され、紙送りローラー11aと押圧ローラー11bとの間で連続用紙2が挟持される。紙送りローラー11aは、紙送りモーター12からの駆動力が第1駆動力伝達機構13(点線矢印として図示)を介して伝達される。第1駆動力伝達機構13として、歯車列などが用いられる。押圧ローラー11bは、連続用紙2を紙送りローラー11aに押し付けるために、紙送りローラー11aに向かって付勢される。連続用紙2は、紙送りローラー対11によって、印刷位置Aに搬送される。
搬送路7において印刷位置Aよりも下流側には、排紙ローラー対14が配設される。排紙ローラー対14は、排紙ローラー14aと押圧ローラー14bとで構成され、排紙ローラー14aと押圧ローラー14bとの間で連続用紙2が挟持される。排紙ローラー14aは、排紙モーター15からの駆動力が第2駆動力伝達機構16(点線矢印として図示)を介して伝達される。第2駆動力伝達機構16として、歯車列などが用いられる。押圧ローラー14bは、連続用紙2を排紙ローラー14aに押し付けるために、排紙ローラー14aに向かって付勢される。印刷が施された連続用紙2は、排紙ローラー対14によって、排紙トレイ5に向けて排出される。
トラクターユニット4においては、係合孔2aに係合した状態のトラクターピン20が搬送方向D1に移動することで、連続用紙2が搬送方向D1に搬送される。トラクターユニット4は、トラクターベルト25、第1プーリー34、第2プーリー36を有する。第1プーリー34及び第2プーリー36は、それぞれ第1プーリー軸35、第2プーリー軸37を中心に、回転可能にフレーム40(図3および図4参照)に配設される。トラクターベルト25は、無端ベルトであり、外周面に複数のトラクターピン20が一定間隔で設けられる。第1プーリー34及び第2プーリー36には、トラクターベルト25が架け渡されて配設される。
第2プーリー36には、トラクター駆動モーター17からの駆動力が、第3駆動力伝達機構18(点線矢印として図示)を介して伝達される。第3駆動力伝達機構18として、歯車列などが用いられる。トラクター駆動モーター17からの駆動力によって第2プーリー36が図2の平面視で反時計回りに回転して、第2プーリー36の回転に従ってトラクターベルト25が回転する。そして、トラクターベルト25が回転することによって、外周面に設けられるトラクターピン20が搬送方向D1に移動する。
(搬送機構)
次に、図3を参照して、搬送機構としてのトラクターユニット4について説明する。図3は、トラクターユニット4の一例を示す外観斜視図である。図3に示すように、トラクターユニット4は、フレーム40、トラクターカバー30およびトラクターベルト25で構成される。
フレーム40の一構成面は、連続用紙2が摺動して搬送される第1搬送路面41および第2搬送路面42を形成する。第1搬送路面41と第2搬送路面42とは、所定の間隔を開けてフレーム40に形成される。第1搬送路面41と第2搬送路面42との間の隙間には、トラクターベルト25が配置される。トラクターベルト25は、周回軌道を移動する無端ベルトであって、外周面に係合ピンとしてのトラクターピン20が所定の間隔で設けられる。トラクターユニット4に連続用紙2がセットされた時、トラクターピン20は、連続用紙2に形成された係合孔2aと係合する(図1および図2参照)。トラクターベルト25は、図2に示す第1プーリー34および第2プーリー36に架け渡されて周回軌道を移動する。第1プーリー34および第2プーリー36が方向R1(図4参照)に回転して、トラクターベルト25が搬送方向D1(矢印D1で図示)に移動する時、それに連れて連続用紙2が搬送方向D1に移動する。
トラクターカバー30は、ヒンジ部33を回転中心として、フレーム40に開閉可能に取り付けられる。トラクターカバー30が閉位置の時にフレーム40と対峙するトラクターカバー30の内面は、リブ31および突起32を備える。突起32は、リブ31よりも突出する高さで内面に設けられ、閉位置において第1搬送路面41と当接する。そのため、閉位置において、リブ31は、第1搬送路面41および第2搬送路面42に所定の間隔を持って対峙する。ここで、所定の間隔は、突起32の高さとリブ31の高さとの差分で決定される。当該間隔を有する隙間は搬送路7であり、連続用紙2は、当該隙間内を摺動して搬送される。
次に、図4を参照してトラクターユニット4の構成および動作について、さらに詳細に説明する。図4は、トラクターユニット4の一例を示す概略断面図であり、トラクターカバー30が閉位置にある状態を示す。また、トラクターカバー30の内面のリブ31が第1搬送路面41および第2搬送路面42と対峙してできる隙間内で、連続用紙2が搬送される様子を示す。
図4に示すように、トラクターベルト25は、第1プーリー34から第2プーリー36にかけて、フレーム40が形成する第1搬送路面41および第2搬送路面42に対して傾斜して設けられる。本実施形態では、第1プーリー34の径が第2プーリー36の径よりも小さい。かつ、第1プーリー34の回転中心である第1プーリー軸35と第2プーリー36の回転中心である第2プーリー軸37とが、第1搬送路面41および第2搬送路面42に対してほぼ並行して配設される。このため、トラクターベルト25は、搬送方向D1に沿って上流側における搬送路面との間隔t1が下流側における搬送路面との間隔t2に比べて大きい傾斜を持つ。したがって、トラクターピン20は、搬送方向D1の上流側から下流側に移動するのに伴って、徐々に連続用紙2の係合孔2aと係合する。
ここで、第1プーリー34からトラクターベルト25が離れる離間位置Pにおいて、間隔t1とトラクターピン20の高さを「間隔t1>トラクターピン20の高さ」となるように設定することができる。その結果、トラクターピン20は、離間位置Pにおいて搬送路面上の連続用紙2とは接触せず、離間位置Pより下流側のトラクターベルト25が直線状となる位置において係合孔2aと係合を開始する。
(作用効果)
上述のように、第1実施形態によれば、第1プーリー34の径を第2プーリー36の径よりも小さくすることによって、搬送方向D1の上流側から下流側に向けて徐々にトラクターピン20が搬送路面上の連続用紙2に近づくように、トラクターベルト25を設置できる。その結果、トラクターピン20は、離間位置Pにおいて搬送路面上の連続用紙2とは接触せず、離間位置Pより下流側のトラクターベルト25が直線状となる位置において係合孔2aと係合を開始する。そのため、トラクターピン20が係合孔2aの縁において連続用紙2を押し上げることが無い。その結果、紙厚が薄いもしくは腰が弱く、折れ曲がりやすい紙質の連続用紙2であっても、トラクターベルト25と搬送路面との間隔の詳細な作り込みが不要で、かつトラクターピン20が連続用紙2を破損する、あるいは連続用紙2がトラクターピン20に乗り上げたまま搬送されることがないトラクターユニット4が実現できる。
(第2実施形態)
次に、図5を参照して第2実施形態について説明する。図5は、トラクターユニット4の他の一例を示す概略断面図であり、トラクターカバー30が閉位置にある状態を示す。また、図4と同様に、トラクターカバー30の内面のリブ31が搬送路面(第1搬送路面41および第2搬送路面42)と対峙してできる隙間内で、連続用紙2が搬送される様子を示す。
図5に示すように、本実施形態では、第1プーリー34の径と第2プーリー36の径とが同一である。かつ、第1プーリー34の回転中心である第1プーリー軸35が、第2プーリー36の回転中心である第2プーリー軸37よりも搬送路面から離れた位置に配設される。このため、トラクターベルト25は、搬送方向D1に沿って上流側における搬送路面との間隔t1が下流側における搬送路面との間隔t2に比べて大きい傾斜を持つ。したがって、トラクターピン20は、搬送方向D1の上流側から下流側に移動するのに伴って、徐々に連続用紙2の係合孔2aと係合する。
このため、第1実施形態と同様に、「間隔t1>トラクターピン20の高さ」となるように設定することによって、トラクターピン20を、離間位置Pより下流側のトラクターベルト25が直線状となる位置において係合孔2aと係合させることができる。
(作用効果)
上述のように、第2実施形態によれば、第1プーリー軸35を第2プーリー軸37よりも第1搬送路面41および第2搬送路面42から離れた位置に配設することによって、搬送方向D1の上流側から下流側に向けて徐々にトラクターピン20が搬送路面上の連続用紙2に近づくように、トラクターベルト25を設置できる。その結果、トラクターピン20は、離間位置Pにおいて搬送路面上の連続用紙2とは接触せず、離間位置Pより下流側のトラクターベルト25が直線状となる位置において係合孔2aと係合を開始する。そのため、トラクターピン20が係合孔2aの縁において連続用紙2を押し上げることが無い。その結果、紙厚が薄いもしくは腰が弱く、折れ曲がりやすい紙質の連続用紙2であっても、トラクターベルト25と搬送路面との間隔の詳細な作り込みが不要で、かつトラクターピン20が連続用紙2を破損する、あるいは連続用紙2がトラクターピン20に乗り上げたまま搬送されることがないトラクターユニット4が実現できる。
以上、第1実施形態および第2実施形態について説明したが、これらの実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(変形例)
図6は、トラクターユニット4の変形例を示す概略断面図である。本変形例では、第1プーリー34と第2プーリー36との間に、搬送路面(第1搬送路面41および第2搬送路面42)に対するトラクターベルト25の傾斜経路の一部を搬送路面に近づける中間プーリー39が配設される。つまり、中間プーリー39は、傾斜経路を変形させる経路変形部として機能する。これにより、トラクターベルト25は、搬送経路D1の上流側において搬送路面に対して傾斜する傾斜経路を備え、下流側において搬送路面に対して上流側よりも間隔が狭いほほ平行な経路とすることができる。
その結果、本変形例によれば、搬送経路D1の上流側において係合孔2aをトラクターピン20に係合させる時、トラクターピン20が係合孔2aの縁において連続用紙2を押し上げることが無い。さらに、トラクターベルト25が、搬送路面に対してほほ平行な経路となる領域において、より確実にトラクターピン20と係合孔2aとを係合させた状態で、連続用紙2を搬送することが可能となる。
1…プリンター、2…連続用紙、2a…係合孔、3…プリンター本体、4…トラクターユニット、6…印刷ヘッド、7…搬送路、8…プラテン、11…紙送りローラー対、14…排紙ローラー対、20…トラクターピン、25…トラクターベルト、30…トラクターカバー、31…リブ、32…突起、33…ヒンジ部、34…第1プーリー、35…第1プーリー軸、36…第2プーリー、37…第2プーリー軸、39…中間プーリー、40…フレーム、41…第1搬送路面、42…第2搬送路面、A…印刷位置、D1…搬送方向、R1…プーリーの回転方向、P…離間位置、t1…無端ベルトと搬送路面との間隔、t2…無端ベルトと搬送路面との間隔。

Claims (7)

  1. 搬送方向に沿って係合孔が形成される連続用紙を、前記係合孔に係合ピンを順次係合させて搬送する搬送機構であって、
    前記連続用紙が搬送される搬送路面を形成するフレームと、
    前記フレームに配設される第1プーリーと、
    前記フレームにおいて前記第1プーリーより前記搬送方向の下流側に配設される第2プーリーと、
    外周面に複数の前記係合ピンが設けられ前記第1プーリーと前記第2プーリーとに架け渡される無端ベルトと、
    前記搬送路面と対峙して前記搬送路面上の前記連続用紙を保持するカバーと、を備え、
    前記第1プーリーおよび前記第2プーリーは、前記無端ベルトが前記搬送路面に沿って前記第1プーリーから前記第2プーリーへ移動する経路の内少なくとも一部が前記搬送路面に対して傾斜する傾斜経路となるように配設され、
    前記傾斜経路において、前記搬送方向の上流側における前記無端ベルトと前記搬送路面との間隔が、下流側における前記無端ベルトと前記搬送路面との間隔より広いことを特徴とする搬送機構。
  2. 請求項1において、
    前記第1プーリーの径は、前記第2プーリーの径よりも小さいことを特徴とする搬送機構。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1プーリーの回転軸と前記搬送路面との間隔は、前記第2プーリーの回転軸と前記搬送路面との間隔より広いことを特徴とする搬送機構。
  4. 請求項1から3のいずれかの項において、
    前記第1プーリーから前記無端ベルトが離れる離間位置において、前記無端ベルトの前記外周面と前記搬送路面との間隔は、前記外周面から前記係合ピンが突出する高さよりも大きいことを特徴とする搬送機構。
  5. 請求項1から4のいずれかの項において、
    前記傾斜経路の少なくとも一部を前記搬送路面の方向に突出させる経路変形部を有することを特徴とする搬送機構。
  6. 請求項1から5のいずれかの項において、
    前記カバーは、前記フレームに開閉可能に設けられ、閉位置において、前記搬送路面と対峙することを特徴とする搬送機構。
  7. 印刷位置を経由する搬送路に沿って搬送ローラーによって連続用紙を搬送し、前記印刷位置において前記連続用紙に印刷を実施する印刷装置であって、
    請求項1から6のいずれかの項に記載の搬送機構と、
    前記搬送機構よりも前記連続用紙の搬送方向において下流側の前記印刷位置に配設される印刷ヘッドと、を備え、
    前記搬送ローラーは、前記搬送機構よりも前記連続用紙の搬送方向において下流側に配置され、前記搬送方向と直交する方向に延びる中心軸回りに回転駆動されることを特徴とする印刷装置。
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