JP2016168063A - ガイドワイヤ - Google Patents

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常生 藤木
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Abstract

【課題】生体に負荷をかけることなく生体内の所望の位置に固定することができるガイドワイヤを提供する。【解決手段】表面の少なくとも一部に複数の突起部50が配置される接着部40を有するガイドワイヤであって、前記突起部は、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されているガイドワイヤである。【選択図】図1

Description

本発明は、ガイドワイヤに関する。
近年、心臓の冠動脈内の狭窄部を治療するために、経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:PTCA)が行われている。経皮的冠動脈形成術では、セルジンガー法等によって動脈血管内にガイディングカテーテル用のガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤに沿ってガイディングカテーテルを動脈血管内に挿入して、ガイドワイヤを先行させつつガイディングカテーテルの先端を心臓の冠動脈入口に位置させる。次に、ガイドワイヤのみを抜き取り、バルーンカテーテルを案内して狭窄部まで導く役割を果たす細径なガイドワイヤをガイディングカテーテル内に挿入する。そして、ガイディングカテーテルを経由して、ガイドワイヤの先端部を冠動脈の狭窄部の周辺に到達させる。この後、ガイドワイヤの基端部をバルーンカテーテルのルーメンに先端側から挿入し、ガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを押し進め、収縮した状態のバルーンを狭窄部に配置する。そして、バルーンを拡張させることで、狭窄部を押し広げ、狭窄部よりも末梢側の血流を改善する。
この手技において用いられるバルーンカテーテル用のガイドワイヤとしては種々のものが存在するが、先端柔軟性を備えた長尺状のものが一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。このようなガイドワイヤを使用する場合において、バルーンカテーテルのバルーンを狭窄部に迅速かつ正確に配置するには、ガイドワイヤは所望の位置に可能な限り固定されている必要がある。
特開2005−278795
しかしながら、従来のガイドワイヤは、所望の位置で当該ガイドワイヤを固定する機能を有していない。そのため、バルーンカテーテル等の医療器具を挿入する際に反力を受けることにより、ガイドワイヤが所望の位置からずれてしまい、バルーンカテーテル等の医療器具を迅速かつ正確に配置しにくいという問題があった。
そこで本発明の目的は、生体に負荷をかけることなく生体内の所望の位置に固定することができるガイドワイヤを提供することである。
上記の目的は、下記(1)〜(6)のいずれかの本発明により達成される。
(1) 表面の少なくとも一部に複数の突起部が配置される接着部を有するガイドワイヤであって、前記突起部は、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されているガイドワイヤ。
(2) 前記接着部が前記ガイドワイヤの先端部に設けられている上記(1)に記載のガイドワイヤ。
(3) 前記突起部は、前記ガイドワイヤの周方向に向かって傾斜して延在する上記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ。
(4) 前記突起部の延在する方向の先端部の少なくとも一部に、当該突起部よりも微小に形成されるとともに、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されている複数の補助突起部を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(5) 前記突起部の延在する方向の先端部が接触表面積を増加させるように拡張された拡張部を有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(6) 前記接着部が、予め形成された接着シートを貼り付けることにより形成されている上記(1)〜(5)のいずれかに記載のガイドワイヤ。
(1)に係る本発明によれば、ガイドワイヤの表面の少なくとも一部に複数の突起部が配置される接着部を有し、各突起部が、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されているため、生体に負荷をかけることなくガイドワイヤを生体内の所望の位置に着脱可能に固定することができる。
(2)に係る本発明によれば、ガイドワイヤの先端部を生体内の所望の位置に着脱可能に固定することができる。
(3)に係る本発明によれば、突起部が、ガイドワイヤの周方向に向かって傾斜して延在することにより、当該ガイドワイヤを移動させる際にトルクを加えることで接着力を調整することができるため操作性が向上する。
(4)に係る本発明によれば、突起部が、当該突起部の延在する方向の先端部の少なくとも一部に、当該突起部よりも微小に形成されるとともに、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されている複数の補助突起部を有するため、ガイドワイヤを生体内の所望の位置に着脱可能に接着する際の接着力が向上する。
(5)に係る本発明によれば、突起部が、当該突起部の延在する方向の先端部が接触表面積を増加させるように拡張された拡張部を有するため、ガイドワイヤの先端部を生体内の所望の位置に着脱可能に接着する際に接着力が向上する。
本発明の実施形態に係るガイドワイヤを説明するための断面図である。 図1の2−2線に沿う断面図である。 接着部を示す拡大斜視図である。 図1の破線部4によって囲まれる部分の拡大断面図である。 図2の破線部5によって囲まれる部分の拡大断面図である。 ガイドワイヤの接着部が血管の内壁に接着した際の図であって、ガイドワイヤが軸方向の力を受けた際の各突起部の作用を説明する拡大断面図である。 ガイドワイヤの接着部が血管の内壁に接着した際の図であって、ガイドワイヤが軸方向の力を受けた際の各突起部の作用を説明する拡大断面図である。 ガイドワイヤを血管内で移動させる際の図であって、ガイドワイヤにトルクを加えた際の各突起部の作用を説明する断面図である。 ガイドワイヤを血管内で移動させる際の図であって、ガイドワイヤにトルクを加えた際の各突起部の作用を説明する拡大断面図である。 ガイドワイヤを血管内で移動させる際の図であって、ガイドワイヤにトルクを加えた際の各突起部の作用を説明する拡大断面図である。 実施形態に係るガイドワイヤの作用を説明するための図であって、ガイディングカテーテルを血管内に挿入した様子を示す模式図である。 実施形態に係るガイドワイヤの作用を説明するための図であって、ガイドワイヤをガイディングカテーテルに挿入した様子を示す模式図である。 実施形態に係るガイドワイヤの作用を説明するための図であって、ガイドワイヤに沿わせてバルーンカテーテルを狭窄部周辺まで導入する様子を示す拡大した模式図である。 実施形態に係るガイドワイヤの作用を説明するための図であって、バルーンカテーテルのバルーンを狭窄部に配置した様子を示す拡大した模式図である。 実施形態に係るガイドワイヤの作用を説明するための図であって、バルーンカテーテルのバルーンを膨張した様子を示す拡大した模式図である。 実施形態に係るガイドワイヤの変形例の接着部を示す断面図である。 図16の破線部17によって囲まれる部分の拡大断面図である。 実施形態に係るガイドワイヤの他の変形例の接着部を示す断面図である。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係るガイドワイヤ1は、バルーンカテーテルのバルーンを冠動脈内の狭窄部まで導く役割を果たすガイドワイヤ1である。
本実施形態に係るガイドワイヤ1は、概説すれば、ガイディングカテーテル及び血管内に導入して用いられるガイドワイヤ1であって、表面の少なくとも一部、好ましくは当該ガイドワイヤ1の先端部(図1の例では先端側a2の外面)に複数の突起部50が配置される接着部40を有し、突起部50は、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されているガイドワイヤ1である。ここで、先端部とは、最先端部から基端側にかけての所定の範囲に含まれる部位であり、この所定の範囲は任意に設定することができる。尚、例えば本発明に係るガイドワイヤを冠動脈に用いる場合、上述の所定の範囲としては、約30〜60mmとすることができる。また、本明細書における軸方向とは、図1中の矢印a1、a2で示す方向である。a1は基端側を示しており、a2は先端側を示している。
具体的には、当該ガイドワイヤ1は、基端側a1から先端側a2に向かって縮径しているテーパー部11を有する芯材10と、テーパー部11の先端部に密着して設けられたX線造影性金属コイル20と、芯材10と金属コイル20を被覆して実質的に平滑な外表面を形成する被覆部材30と、先端側の外面に設けられた接着部40とを有する。接着部40は、被覆部材30を加工することによって、被覆部材30と一体に形成されている。
芯材10は、血管の追従性を備えた適度な柔軟性、先端までトルクを伝達でき、手元での押し込み力を先端まで伝える剛性を備える超弾性材料で形成されている。超弾性材料としては、例えば、Ni−Ti合金を用いることができる。
X線造影性金属コイル20は、テーパー部11の先端部に密着して設けられる。X線透視下で視認できる材料として金、白金、銀、ビスマス、タングステンまたこれらのうち2種類以上の合金(例えば、白金−タングステン)、もしくは他の金属との合金(例えば、金−イリジウム、白金−イリジウム)などが挙げられる。
被覆部材30の材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の合成樹脂、もしくは各種エラストマー(例えば、ポリエステルエラストマー)や各種ゴム材料(例えばシリコーンゴム)、およびそれらの複合材料が好適に使用できる。
接着部40は、図3に示すように、マイクロメーターからナノメーターオーダーの微細な突起部50を複数備えている。突起部50は、図4に示すように、基部51と頂部52とを有する。
微細な突起部50が形成される接着部40を血管Mの内壁に密着させると、微細な突起部50と血管Mの内壁との間のファンデルワールス力を利用して、接着部40を血管Mの内壁に接着できる。ファンデルワールス力を利用することにより、生体に負荷を与え得る接着手段(例えば、接着剤など)を用いることなしに、着脱可能に付着状態を維持することが可能である。
例えば、突起部50の基部51の径D2および頂部52の径D1は、5nm〜10μmであり、突起部50の高さHは、1μm〜500μmであり、形成密度は、100μmあたり1個以上であり、微細な突起部50が高密度に形成されている。なお、上記の径は、突起部50の延在方向(突出方向)と直交する断面における最も長い部位の長さを表し、必ずしも断面が円形でなくても用いられ得る。微細な突起部50を複数設けて接着部40の表面積を増加させることで、接着対象に対する接着状態を維持できる大きさのファンデルワールス力を生じさせるが、この接着機能は、気体中のみならず、液体中(湿潤状態)においても発揮される。ファンデルワールス力を利用して接着する構造は、例えば、ヤモリの足裏に見られる微細な繊維状の構造が一般的に知られている。
突起部50は、図3及び図5に示すように、当該ガイドワイヤ1の外面の周方向bに向かって傾斜して延在している。
一方、突起部50は、図3及び図4に示すように、軸方向に対しては傾斜していない。すなわち、突起部50は、当該ガイドワイヤ1の軸直交断面内に延在している。
接着部40の接着力は、突起部50と接触面との接触角Z(図6参照)に応じて変化する。具体的には、接触角Zが0度に近いほど接着力は強くなり、接触角Zが90度に近いほど弱くなる。
図6に示すように、例えばバルーンカテーテルのバルーンを冠動脈内の狭窄部まで導くことを想定した場合、ガイドワイヤ1がバルーンカテーテルから受ける反力は軸方向の力である。図6に示すように、軸方向に基端側a1から先端側a2に力が作用した場合、突起部50と接触面との接触角Zは、図7に示すようにZ′に変化する。すなわち、軸方向に作用する力によって、接触角は0度に近くなる。先端側a2から基端側a1に力が作用した場合も同様である。従って、バルーンカテーテルを挿入する際にガイドワイヤ1が受ける反力によって接着部40の接着力は強くなる。
一方、図8に示すように、血管M内においてガイドワイヤ1にトルクを加えると、図9に示す接触角Zは、図10に示す接触角Z′に変化する。すなわち、ガイドワイヤ1にトルクを加えることによって、接触角Zは90度に近くなる。従って、ガイドワイヤ1を移動させる際にガイドワイヤにトルクを加えることによって接着部40の接着力を調整することができる。
次に、突起部50の製造方法の一例として、被覆部材30が熱可塑性樹脂から構成されている場合の製造方法を説明する。
まず、シリコンウェーハ上に支持したポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)に、電子線リソグラフィによって数100nmオーダーの孔状の微細パターンを形成して、金型を作製する。微細パターンの形状は、作製する突起部50の形状を転写した形状に一致するように決定される。
次に、作製した金型をガイドワイヤ1の接着部40に押し当てながら、当該金型及び接着部40を、被覆部材30を構成している熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度に達するまで熱する。当該金型及び接着部40が熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度に加熱されることで、金型に形成された微細パターンの形状が、接着部40の熱可塑性樹脂に転写される。転写された後、当該金型及び接着部40を、被覆部材30を構成している熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度になるまで冷却することで、接着部40に突起部50が形成される。
なお、ナノオーダーのパターンの加工には、前述の方法だけでなく、例えばナノインプリント、ソフトリソグラフィ、微細なバイト(例えばダイヤモンドバイト)を用いた形削り、ディスペンシング、インクジェット等も適用可能であり、突起部50の形状、寸法、材料等の条件に応じて、適宜選択することが好ましい。角錐形状であれば、微細なバイトによって縦横に溝を形成することで容易に作製できる。
被覆部材30が熱可塑性樹脂以外の材料で形成されている場合には、例えば、接着部40を熱可塑性樹脂で被覆した上で、上記の製造方法を適用すれば、接着部40に突起部50を形成することができる。
次に、図11〜図15を参照して、本実施形態に係るガイドワイヤ1を用いた手技を、経橈骨動脈アプローチによる経皮的冠動脈形成術を例として説明する。
経皮的冠動脈形成術では、まず、セルジンガー法等によって橈骨動脈血管内にガイディングカテーテル60用のガイドワイヤを挿入し、ガイドワイヤに沿ってガイディングカテーテル60を橈骨動脈血管内に挿入する。そして、血管造影用ガイドワイヤを先行させつつガイディングカテーテル60を押し進め、腕頭動脈M2、大動脈弓M3を介して、図11に示すように、ガイディングカテーテルの先端部61を左冠動脈M1の入口に差し込む。
次に、図12に示すように、バルーンカテーテル70用の本実施形態に係るガイドワイヤ1をガイディングカテーテル60内に挿入して、当該ガイドワイヤ1の接着部40を、左冠動脈M1に形成された狭窄部M4を超えた所望の位置に到達させて、左冠動脈M1の内壁に接着させて固定する。このとき、左冠動脈M1の形状に応じて、ガイドワイヤ1に適宜トルクを加えながら推し進める。
この後、ガイドワイヤ1の基端部をバルーンカテーテル70のルーメンに先端側から挿入し、ガイドワイヤ1に沿ってバルーンカテーテル70を図13に示すように押し進め、図14に示すように、収縮した状態のバルーン71を狭窄部M4に配置する。
この後、図15に示すように、バルーン71を拡張させることで狭窄部M4を押し広げ、狭窄部M4よりも末梢側の血流を確保する。このとき、バルーン71によって狭窄部M4を押し広げるのみでなく、バルーン71によってステントを拡張させて留置してもよい。
次に、バルーン71を収縮させ、バルーンカテーテル70用の本実施形態に係るガイドワイヤ1とともにバルーンカテーテル70をガイディングカテーテル60から引き抜く。
この後、ガイディングカテーテル60を血管M内から引き抜き、手技が完了する。
以上のように、本実施形態に係るガイドワイヤ1によれば、当該ガイドワイヤ1の先端側の外面に複数の突起部50が配置される接着部40を有し、突起部50は、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されることにより、当該ガイドワイヤ1の先端部がファンデルワールス力による接着力を有するため、ガイドワイヤ1の先端部を生体内の所望の位置に着脱可能に接着することができる。
また、突起部50は、当該ガイドワイヤ1の周方向に向かって傾斜して延在することにより、トルクを加えることで接着力を調整することができるため操作性が向上する。
なお、突起部50の配置及び構成については、ファンデルワールス力が発現される限りにおいて、変更することが可能である。
例えば、突起部50は規則的に配置されている場合のみを図示しているが、不規則に配置されてもよい。
また、突起部50は切頭円錐形状のみを図示しているが、他の形状であってもよい。例えば断面が多角形の柱形状としてもよく、基部51から頂部52まで同一断面としてもよく、または、頂部52の断面を基部51よりも大きくしてもよい。
また、突起部50は軸直交断面内に延在しているもののみを図示しているが、軸方向に向かって傾斜して延在してもよい。突起部50の軸方向の傾斜角X(図4参照)は、任意に設定することができる。また、全ての突起部50について、傾斜角Xが同じである必要はない。
さらに、当該ガイドワイヤ1の外面に対する突起部50の周方向bの傾斜角Y(図5参照)は、任意に設定することができる。また、全ての突起部50について、傾斜角Yが同じである必要はない。
<変形例>
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
例えば、図16及び図17に示すように、突起部50の各々は、当該突起部50の頂部52に、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成される当該突起部50よりも微小な複数の補助突起部53を有してもよい。ここで、突起部に関する大小関係は、外形寸法(例えば、突起部の延在方向と直交する断面における最も長い部位の長さ)に関する大小関係をいう。すなわち、補助突起部53が突起部50よりも微小であるとは、突起部50の外形寸法よりも補助突起部53の外形寸法が小さいことをいう。
血管内壁は突起部50の外形寸法のオーダーよりも小さなオーダーの起伏を有する場合があるため、突起部50の先端側の外面全てが血管内壁に接しない可能性が生じる。そうした場合に、図17に示すように、突起部50が補助突起部53を有することによって、補助突起部53を有さない場合と比較して実質的な接触表面積が増加する。その結果、接着部40の接着力が向上する。
補助突起部53は、例えば、第一実施形態で説明した金型を用いた方法によって形成することができる。すなわち、突起部50を形成した後に、補助突起部53の形状を転写した形状の微細パターンを形成した金型を、当該突起部50の頂部52に押し当てるなどの方法によって形成することができる。
当該構成によって、ガイドワイヤ1の先端部を生体内の所望の位置に着脱可能に接着する際の接着力が向上する。
また、他の変形例として、図18に示すように、突起部50は一般的な形状の突起ではなく、接触表面積を増加させるように当該突起部50の頂部52を拡張して構成される拡張部54を有してもよい。突起部50が拡張部54を有することによって、突起部50ごとの接触表面積が増加することにより、接着部40全体の接触表面積が増加する。拡張部54が、さらに前述の補助突起部53を有してもよい。
当該構成によって、ガイドワイヤ1の先端部を生体内の所望の位置に着脱可能に接着する際の接着力が向上する。
さらに、他の変形例として、ガイドワイヤ1の基端側に、接着力を弱めることのできる回転方向を視認できるように構成されるマーカー部を設けてもよい。例えば、接着力を弱めることのできる回転方向を示す視認可能な矢印等を、ガイドワイヤ1の操作のためにガイドワイヤ1に係着されるトルクデバイス(不図示)に表示することによって当該マーカー部とすることができるが、それのみに限定されない。
当該構成によって、接着力を弱めることのできる回転方向を目視によって認識できるため、ガイドワイヤ1を移動させる際の操作性が向上する。接着力を弱めることのできる回転方向が存在しない場合であっても、それを意味するマーカー部を設けることによって、同様の効果を得られる。
上述した各変形例においても、上述した実施形態と同じ効果が奏されることはいうまでもない。
以上、本願発明に係るガイドワイヤを実施形態及び各変形例を通じて説明したが、本願発明に係るガイドワイヤはこれらの構成のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々改変することが可能である。
例えば、接着部はガイドワイヤの先端側の外面に一体に形成されるが、それのみに限定されない。例えば接着部をシート状の形態(接着シート)で形成した後に、当該シート状の接着部をガイドワイヤの先端側の外面に接合することによっても実施することができる。
また、上述した実施形態及び変形例では、先端側の外面が合成樹脂によって被覆されているタイプのガイドワイヤに適用した場合を説明しているが、本発明は合成樹脂によって被覆されていないタイプのガイドワイヤにおいても適用可能である。例えば、先端側の外面を合成樹脂によって被覆することによって、上述した実施形態と実質的に同じ形態となるように実施できる。また、上述のように、接着部をシート状の形態で形成した後に、当該シート状の接着部をガイドワイヤの先端側の外面に接合することによっても実施することができる。
上述した実施形態及び変形例によって奏される効果は、経橈骨動脈アプローチによる経皮的冠動脈形成術に限らず、生体内の所望の位置にガイドワイヤを固定する必要のある手技であれば、どのような手技においても発揮されることはいうまでもない。
1 ガイドワイヤ、
10 芯材、
20 金属コイル、
30 被覆部材、
40 接着部、
50 突起部、
51 基部、
52 頂部、
53 補助突起部、
54 拡張部、
60 ガイディングカテーテル、
61 先端部、
70 バルーンカテーテル、
71 バルーン、
M1 左冠動脈、
M2 腕頭動脈、
M3 大動脈弓、
M4 狭窄部。

Claims (6)

  1. 表面の少なくとも一部に複数の突起部が配置される接着部を有するガイドワイヤであって、
    前記突起部は、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されているガイドワイヤ。
  2. 前記接着部が前記ガイドワイヤの先端部に設けられている請求項1に記載のガイドワイヤ。
  3. 前記突起部は、前記ガイドワイヤの周方向に向かって傾斜して延在する請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
  4. 前記突起部の延在する方向の先端部の少なくとも一部に、前記突起部よりも微小に形成されるとともに、接触表面積を増加させてファンデルワールス力による接着力を発現させるように構成されている複数の補助突起部を有する請求項1〜3のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  5. 前記突起部の延在する方向の先端部が接触表面積を増加させるように拡張された拡張部を有する請求項1〜4のいずれかに記載のガイドワイヤ。
  6. 前記接着部が、予め形成された接着シートを貼り付けることにより形成されている請求項1〜5のいずれかに記載のガイドワイヤ。
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