JP2016167419A - 負極活物質及びその製造方法、負極活物質を用いた非水電解液二次電池 - Google Patents

負極活物質及びその製造方法、負極活物質を用いた非水電解液二次電池 Download PDF

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啓慶 水谷
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Abstract

【課題】放電容量が高く、高い充電電位で動作が可能であり、高い容量維持率を示すことができる負極活物質、その製造方法、及び非水電解液二次電池を提供すること。【解決手段】非水電解液二次電池用の負極活物質、その製造方法、及び負極活物質を含有する負極を備える非水電解液二次電池である。負極活物質は、非晶質相を有する電気炉酸化スラグの粉砕粉からなり、平均粒子径が20μm以下である。負極活物質は、鉄材料を電気炉で溶解又は精錬する際に生成する溶融状態の酸化スラグを急冷凝固させることにより、非晶質相を有する電気炉酸化スラグを得た後、この電気炉酸化スラグを粉砕することにより製造される。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解液二次電池用の負極活物質及びその製造方法、負極活物質を用いた非水電解液二次電池に関する。
非水電解液を有する二次電池は、エネルギー密度が高い。そのため、非水電解液二次電池は、携帯電話、パソコン等の小型電子機器の他、電気自動車等の大型電気駆動装置の電源として、実用化が検討されている。高いエネルギー密度が得られる二次電池としては、例えばリチウムイオン二次電池が挙げられる。
非水電解液二次電池用の負極活物質としては、300〜340mAh/gという高い放電容量を有するカーボンが実用化されている(特許文献1参照)。また、負極活物質としては、1.5Vという高い充電電位を有するチタン酸リチウム(Li4Ti512)も実用化されている(特許文献2参照)。
特開平10−12241号公報 特開2002−289194号公報
しかしながら、カーボンからなる負極活物質は、上述のように高い放電容量を有する反面、Liの充電電位が0.09Vしかなく、充電電位が低い。そのため、過充電等により負極上でLiの析出が起こり、短絡を発生させてしまうおそれがある。一方、チタン酸リチウムからなる負極活物質は、上述のようにLiの充電電位が高いためLiの析出を防止できる反面、放電容量が150mAh/gしかなく、放電容量が低い。また、二次電池用の負極活物質としては、充放電反応が安定に行われて、高い容量維持率を発揮できる材料の開発が求められている。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、放電容量が高く、高い充電電位で動作が可能であり、高い容量維持率を示すことができる負極活物質、その製造方法、及び非水電解液二次電池を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、非水電解液二次電池用の負極活物質であって、
非晶質相を有する電気炉酸化スラグの粉砕粉からなり、
平均粒子径が20μm以下であることを特徴とする負極活物質にある。
本発明の他の態様は、上記負極活物質の製造方法において、
鉄材料を電気炉で溶解又は精製する際に生成する溶融状態の酸化スラグを急冷凝固させることにより、上記非晶質相を有する上記電気炉酸化スラグを得る非晶質化工程と、
上記電気炉酸化スラグを粉砕する粉砕工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法にある。
本発明のさらに他の態様は、正極と、負極と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、
上記負極は、上記負極活物質を含有することを特徴とする非水電解液二次電池にある。
上記負極活物質は、非晶質相を有する電気炉酸化スラグの粉砕粉からなり、平均粒子径が20μm以下である。このような負極活物質は、カーボンよりも高い充電電位で動作が可能であり、Liの析出による短絡の発生を防止することができる。また、上記負極活物質は、チタン酸リチウムを超える充分に高い放電容量を示すことができる。さらに、上記負極活物質は、非晶質相を有するため、充放電反応における膨張収縮が緩和される。そのため、上記負極活物質は、高い容量維持率を発揮することができる。
上記負極活物質は、非晶質化工程と粉砕工程とを行うことにより製造される。非晶質化工程においては、鉄材料を電気炉で溶解又は精錬する際に生成する酸化スラグを急冷凝固させる。これにより、非晶質相を有する電気炉酸化スラグを得ることができる。粉砕工程においては、非晶質相を有する電気炉酸化スラグを粉砕する。このようにして、充電電位及び放電容量が高く、さらに容量維持率の高い負極活物質を得ることができる。また、電気炉を用いて鉄や鉄鋼等を生産する際に恒常的に副生成する電気炉酸化スラグを利用しているため、低コストで負極活物質を製造することが可能になる。
上記負極活物質を負極に備える非水電解液二次電池は、上述のように高い充電電位で動作が可能であるため、Liの析出による短絡の発生を充分に防止することができる。また、上述の放電容量の高い負極活物質を有しているため、非水電解液二次電池は、電池容量を大きくすることができる。さらに、安定な負極活物質を有しているため、非水電解液二次電池は、高い容量維持率を示すことができる。
実施例1における、アモルファススラグのX線回折パターンを示す図。 実施例1における、二次電池の断面構造を示す展開図。 実施例1における、結晶性スラグのX線回折パターンを示す図。 実施例1における、二次電池(電池E1)の容量−電位曲線を示す図。 実施例1における、二次電池(電池C1)の容量−電位曲線を示す図。 実施例1における、二次電池(電池C2)の容量−電位曲線を示す図。 実施例1における、二次電池(電池C3)の容量−電位曲線を示す図。 実施例1における、二次電池(電池E1及び電池C3)のサイクル数と容量維持率との関係を示す図。 実施例2における、二次電池(電池E2)の容量−電位曲線を示す図。 実施例2における、二次電池(電池C4)の容量−電位曲線を示す図。 実施例2における、二次電池(電池C5)の容量−電位曲線を示す図。 実施例2における、二次電池(電池C6)の容量−電位曲線を示す図。 実施例2における、二次電池(電池E2及び電池C6)のサイクル数と容量維持率との関係を示す図。
次に、上記負極活物質及びその製造方法、負極活物質を用いた非水電解液二次電池の好ましい実施形態について説明する。
上記負極活物質は、非晶質相を有する電気炉酸化スラグ(「アモルファススラグ」ともいう)の粉砕粉からなる。アモルファススラグは、電気炉で、鉄スクラップ等から鉄材料を溶解又は精錬する際に副生成される溶融状態の酸化スラグを急冷凝固させたものである。溶融状態の酸化スラグは、例えば電気炉内の溶鋼中に酸素を吹き込み、酸化により不要成分を除去する際に生成する酸化物のことである。
アモルファススラグは、酸化鉄と、酸化珪素とを少なくとも含有することが好ましく、他の金属酸化物を含有していてもよい。他の金属酸化物としては、例えばCa、Mg、Cr、Mn、Al、及びTiからなるグループから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物がある。またアモルファススラグは、Feを金属元素量で8〜20質量%含有することが好ましい。
負極活物質の製造にあたっては、まず、鉄材料を電気炉で溶解又は精錬する際に生成する溶融状態の酸化スラグを急冷凝固させ、アモルファススラグを得る(非晶質化工程)。
急冷凝固の方法は、例えば水砕、風砕、銅ロール(単ロール、双ロール)による冷却などがある。急冷凝固は、溶融状態の酸化スラグを例えば500℃/秒以上の冷却速度で冷却することにより行うことができる。鉄材料としては、鉄、炭素鋼、特殊鋼等がある。特殊鋼とは、鉄に炭素以外の様々な元素が添加された合金鋼のことである。
次いで、アモルファススラグを粉砕することにより、負極活物質を得ることができる(粉砕工程)。粉砕方法としては、乳鉢による手粉砕、ボールミル等による機械式粉砕等が採用できる。負極活物質の平均粒子径は20μm以下であることが好ましい。この場合には、負極活物質の放電容量がより向上する。その結果、チタン酸リチウムよりも高い放電容量を有する負極活物質をより確実に実現できる。なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における体積積算値50%での粒径を意味する。
また、水砕や風砕を行う場合には、上述の非晶質化工程と粉砕工程とを別の工程ではなく、同じ工程内で行うことができる。即ち、上述の非晶質化工程と粉砕工程とは、別工程で行うこともできるが同じ工程内で行うこともできる。これらの工程を同じ工程で行う場合には、例えば溶融状態の酸化スラグを冷却凝固しながら粉砕することができる。また、非晶質化工程において冷却及び粉砕を行い、粉砕工程において更なる粉砕を行うこともできる。
負極活物質は、非水電解液二次電池に用いられ、特にリチウムイオン二次電池に好適である。二次電池は、負極活物質を含有する負極、正極、セパレータ、非水電解液、添加剤、及びこれらを収容するケース等を主要な構成部材として備えることができる。二次電池の形状としては、例えばコイン型、円筒型、積層型、角型等がある。
負極は、例えば上述の負極活物質に導電材及び結着材を混合し、必要に応じて適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を負極集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮することにより形成することができる。負極集電体としては、例えば銅箔、ステンレス鋼メッシュ、アルミニウム箔、ニッケル箔等が用いられる。
導電材としては、例えば黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、コークス類等を用いることができる。結着材としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂を用いることができる。活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、各種有機溶剤を用いることができる。
正極は、例えば正極活物質に導電材及び結着材を混合し、必要に応じて適当な溶剤を加えてペースト状にした正極合材を正極集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮することにより形成することができる。正極活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32、LiVO2、LiCrO2等のリチウム系酸化物(複合酸化物)を用いることができる。また、正極集電体、導電材、結着材、溶剤としては、上述の負極と同様のものを用いることができる。正極活物質としては、市販品の他、公知の活物質を利用することができる。
非水電解液は、有機溶媒と、リチウム塩からなる電解質とを含有することができる。リチウム塩としては、例えばLiPF6等が挙げられる。また、有機溶媒は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートからなるグループから選ばれる少なくとも1種とすることができる。これらの有機溶媒は、極性が高く、電解質を大量に溶解することができる。そのため、二次電池における例えばリチウムイオン等の電荷担体の輸率が比較的高くなる。
(実施例1)
次に、実施例にかかる負極活物質を製造し、該負極活物質を用いて非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製してその電池性能の評価を行う。まず、以下のようにして負極活物質を作製した。
具体的には、まず、特殊鋼を電気炉で精錬する際に副生成する溶融状態の酸化スラグを、風砕(ガスアトマイズ)により急冷凝固させることにより、非晶質相を主相とする電気炉酸化スラグ(アモルファススラグ)を得た。本例においては、後述の表1に示すごとく所定組成のアモルファススラグ(試料A)を準備した。なお、表中の「Fe(total)」は、鉄の含有量をFe元素の全量で表していることを意味する。アモルファススラグ中のFeは、実際には、酸化鉄等の酸化物として存在している。表中のアモルファススラグの組成は、多元素同時蛍光X線分析装置(XRF)により調べたものである。分析装置としては、リガク製のサイマルテックス10型を用いた。
Figure 2016167419
また、Cu−Kα線を用いたX線回折測定により、アモルファススラグ(試料A)の結晶構造を調べた。その結果を図1に示す。図1より知られるように、本例のアモルファススラグ(試料A)は、非晶質構造に特有な30°付近のハローパターンを有しており、非晶質構造であることがわかる。また、図1より知られるように、本例のアモルファススラグには、スピネル構造(MgAl24)由来のピークが部分的に観察された。
次に、アモルファススラグ(試料A)を粉砕した。粉砕は、ボールミルを用いて行った。これにより、平均粒子径20μmの負極活物質を得た。
次に、上記のようにして得られた非水電解液二次電池用の負極活物質を用いて二次電池(テストセル)を作製する。図2に示すごとく、本例の二次電池1は、CR2032型コイン電池である。図2に示すごとく、二次電池1は、対極2、電極3、セパレータ4、電解液5、及びこれらを収容するケース11、12を備える。
対極2は、円盤状の金属リチウムからなる。電極3は、円盤状の銅箔からなる集電体31上に、上述の負極活物質を含有した負極合剤32を塗布してなる。対極2と電極3との間には、両者を隔てる円盤状のポリエチレン製のセパレータ4が存在する。また、二次電池1内における少なくとも対極2と電極3との間には、非水電解液5が充填されている。非水電解液5は、濃度1mol/LのLiPF6を含むエチレンカーボネート系の有機溶媒からなる。
図2に示すごとく、対極2、電極3、セパレータ4、非水電解液5は、ケース11、12内に収容されている。ケース11、12は、コイン型を形成しており、ケース11は上蓋であり、ケース12は高さの比較的小さな有底円筒形状である。ケース11、12は、かしめ加工により密閉される。二次電池1内において、対極2とセパレータ4との間にはゴム製のパッキン15が存在する。また、ケース11と対極2との間には、ケース11側から順次ワッシャ14、スペーサ13が存在する。スペーサ13は、円盤状のSUSからなる。
次に、本例の二次電池の製造方法について説明する。まず、上述の負極活物質と黒鉛とポリフッ化ビニリデンとを混合し、電極合材32を得た。混合比は、質量比で、負極活物質:黒鉛:ポリフッ化ビニリデン=65:20:15である。次いで、電極合材32を厚さ10μmの銅箔上に塗布した。次いで、電極密度が0.9g/cm2となるように、銅箔上の電極合材32をプレスした。その後、電極合材32と銅箔との一体物を直径16mmの円盤状に打ち抜くことにより、集電体31と電極合材32とからなる電極3を得た。また、厚み100μmのリチウム箔を直径18mmの円盤状に打ち抜くことにより、対極2を作製した。
次いで、対極2、電極3、セパレータ4、電解液5、パッキン15、スペーサ13、ワッシャ14をケース11、12内に配置し、ケース11、12を密閉することにより、図2に示すごとく二次電池1を得た。
このようにして、アモルファススラグ(試料A)の粉砕粉からなり、平均粒子径が20μmの負極活物質を有する二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製した。これを電池E1とする。
次に、電池E1の比較用として、3種類の二次電池(電池C1、電池C2、電池C3)を作製した。電池C1及び電池C2は、負極活物質の平均粒子径を変更した点を除いては、電池E1と同様の構成を有する。電池C1の負極活物質の平均粒子径は75μmであり、電池C2の負極活物質の平均粒子径は40μmである。
また、電池C3は、結晶相を有する電気炉酸化スラグを粉砕してなる負極活物質を有する電池である。電池C3の負極活物質は、次のようにして作製した。具体的には、まず、特殊鋼を電気炉で精錬する際に副生成する溶融状態の酸化スラグを、自然冷却により冷却凝固させた。これにより、酸化鉄などの結晶相を有する電気炉酸化スラグ(「結晶性スラグ」という)を得た。この結晶性スラグは、上述の表1に示すアモルファススラグ(試料A)と同様の組成を有することをXRFにより確認している。また、Cu−Kα線を用いたX線回折測定により、結晶性スラグの結晶構造を調べた結果を図3に示す。図3より知られるように、この結晶性スラグは、オケルマナイト(Ca2MgSi27)、ディオプサイド(CaMgSi26)、キルシュスタイナイト(CaFeSiO4)、及び酸化鉄(Fe34)の結晶構造を有していた。この結晶性スラグをボールミルにより粉砕することにより、平均粒子径20μmの負極活物質を得た。このようにして得られた負極活物質を用いて上述の電池E1と同様の構成の二次電池を作製した。これを電池C3とする。
次に、温度25℃の条件下で、各電池(電池E1、電池C1〜電池C3)を電流密度0.02mA/cm2の定電流で電圧0.01Vまで充電し、その後、温度25℃の条件下で、電流密度0.02mA/cm2の定電流で電圧3.0Vまで放電させた。この充放電時における容量(mAh/g)とLiに対する電位(V:vs.Li/Li+)との関係をそれぞれ図4〜図7に示す。図4〜図7において、右下がりのグラフが充電容量と充電電位との関係を示し、右上がりのグラフが放電容量と放電電位との関係を示す。
また、電池E1と電池C3との充放電サイクル特性を比較した。具体的には、まず、温度25℃の条件下で、各電池を電流密度0.02mA/cm2の定電流で0.01Vまで充電し、次いで、温度25℃の条件下で、各電池を電流密度0.02mA/cm2の定電流で3.0Vまで放電させた。この充電から放電までの操作を合計20回繰り返し行った。1回目の放電容量と、X回目の放電容量を測定し、容量維持率を算出した。X回目の容量維持率は、容量維持率(%)=X回目の放電容量×100/1回目の放電容量という式から算出される。なお、放電容量は、放電電流値(mA)を測定し、この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られた値を、電池内の負極活物質の重量(g)で除することにより算出される。電池E1と電池C3の容量維持率の変化を図8に示す。
各電池(電池E1、電池C1〜電池C3)の充電容量(初回)、放電容量(初回)、充放電効率、平均充電電位の結果を表2に示す。充電容量は、充電電流値に充電に要した時間(hr)を乗じて得られる値を、電池内の負極活物質の重量(g)で除することにより算出される。同様に、放電容量は、放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られる値を、電池内の負極活物質の重量(g)で除することにより算出される。また、充放電効率は、充電容量に対する放電容量の割合を百分率で表したものである。また、電池E1と電池C3については、20サイクル後の放電容量、及び20サイクル目の容量維持率を表2に併記する。
Figure 2016167419
図4〜図7及び表2より知られるように、アモルファススラグの粉砕粉からなり、平均粒子径が20μm以下の負極活物質を有する電池E1は、192mAh/gという高い放電容量を示した。これは、チタン酸リチウムの放電容量(約150mA/g)よりも充分に高い値である。また、電池E1は、0.21Vという高い平均充電電圧を示した。これは、カーボンの充電電位(0.09V)を超える高い値である。一方、アモルファススラグの粉砕粉からなる負極活物質であっても、平均粒子径が大きくなると、放電容量をチタン酸リチウムよりも高めることができなくなる(電池C1及び電池C2参照)。したがって、負極活物質の平均粒子径は、20μm以下であることが好ましい。平均粒子径を20μm以下にすることにより、放電容量をより向上できる共に、充放電効率も向上する。したがって、電池E1のように、アモルファススラグの粉砕粉からなり平均粒子径が20μm以下の負極活物質を用いることにより、放電容量が高く、高い充電電位で動作が可能な二次電池を実現できることがわかる。
また、図8及び表2より知られるように、アモルファススラグの粉砕粉からなる負極活物質を有する電池E1は、結晶性スラグの粉砕粉からなる負極活物質を有する電池C3に比べて容量維持率が向上していた。
このように、アモルファススラグの粉砕粉からなる平均粒子径が20μm以下の負極活物質は、放電容量が高く、高い充電電位で動作が可能であり、高い容量維持率を示すことができる。
(実施例2)
次に、実施例1とは組成の異なる電気炉酸化スラグを用いた負極活物質の例について説明する。本例の電気炉酸化スラグも、実施例1と同様に、特殊鋼を電気炉で精錬する際に副生成する溶融状態の酸化スラグを、風砕により急冷凝固してなるアモルファススラグである。本例におけるアモルファススラグ(試料B)の組成を実施例1と同様にXRFにより調べた。その結果を表3に示す。表3より知られるように、本例のアモルファススラグ(試料B)は、鉄含有量が実施例1よりも低いスラグである。なお、図示を省略するが、試料Bも、実施例1の試料Aと同様に、非晶質構造を有することをX線回折測定により確認しており、非晶質相を主相とする電気炉酸化スラグである。
Figure 2016167419
次に、本例のアモルファススラグ(試料B)をボールミルにより粉砕することにより、平均粒子径20μmの負極活物質を作製した。この負極活物質を用いて実施例1と同様の構成の二次電池(電池E2)を作製した。
また、電池E2の比較用として、3種類の二次電池(電池C4、電池C5、電池C6)を作製した。電池C4及び電池C5は、負極活物質の平均粒子径を変更した点を除いては、電池E2と同様の構成を有する。電池C4の負極活物質の平均粒子径は75μmであり、電池C5の負極活物質の平均粒子径は40μmである。
また、電池C6は、結晶相を有する電気炉酸化スラグを粉砕してなる負極活物質を有する電池である。電池C6の負極活物質は、次のようにして作製した。具体的には、まず、特殊鋼を電気炉で精錬する際に副生成する溶融状態の酸化スラグを、自然冷却により冷却凝固させた。これにより、酸化鉄などの結晶相を有する電気炉酸化スラグ(「結晶性スラグ」という)を得た。この結晶性スラグは、上述の表3に示すアモルファススラグ(試料B)と同様の組成を有することをXRFにより確認している。また、図示を省略するが、Cu−Kα線を用いたX線回折測定により、結晶性スラグの結晶構造を調べたところ、この結晶性スラグは、実施例1の電池C3の負極活物質と同様に、オケルマナイト(Ca2Mg(Si27))、ディオプサイド(CaMgSi26)、キルシュスタイナイト(CaFeSiO4)、及び酸化鉄(Fe34)の結晶構造を有していた。この結晶性スラグをボールミルにより粉砕することにより、平均粒子径20μmの負極活物質を得た。このようにして得られた負極活物質を用いて上述の電池E2と同様の構成の二次電池を作製した。これを電池C6とする。
本例における各電池(電池E2、電池C4〜電池C6)について、実施例1と同様にして、充放電時における容量(mAh/g)とLiに対する電位(V:vs.Li/Li+)との関係を調べた。その結果をそれぞれ図9〜図12に示す。また、電池E2と電池E6との充放電サイクル特性を実施例1と同様にして比較した。その結果を図13に示す。
各電池(電池E2、電池C4〜電池C6)の充電容量(初回)、放電容量(初回)、充放電効率、平均充電電位の結果を表4に示す。また、電池E2と電池C6については、20サイクル後の放電容量、及び20サイクル目の容量維持率を表4に併記する。
Figure 2016167419
図9〜図12及び表4より知られるように、実施例1とは異なる組成を有するアモルファススラグの粉砕粉からなり、平均粒子径が20μm以下の負極活物質を含有する電池E2も、158mAh/gという高い放電容量を示した。これは、チタン酸リチウムの放電容量(約150mA/g)よりも高い値である。また、電池E2は、0.21Vという高い平均充電電圧を示した。これは、カーボンの充電電位(0.09V)を超える高い値である。一方、アモルファススラグの粉砕粉からなる負極活物質であっても、平均粒子径が大きくなると、放電容量をチタン酸リチウムよりも高めることができなくなるため(電池C4及び電池C5参照)、負極活物質の平均粒子径は、20μm以下であることが好ましい。さらにこの場合には、充放電効率も向上する。したがって、電池E2のように、アモルファススラグの粉砕粉からなり平均粒子径が20μm以下の負極活物質を用いることにより、放電容量が高く、高い充電電位で動作が可能な二次電池を実現できることがわかる。
また、図13及び表4より知られるように、アモルファススラグの粉砕粉からなる負極活物質を有する電池E2は、結晶性スラグの粉砕粉からなる負極活物質を有する電池C6に比べて容量維持率が向上していた。
このように、アモルファススラグの粉砕粉からなる平均粒子径が20μm以下の負極活物質は、放電容量が高く、高い充電電位で動作が可能であり、高い容量維持率を示すことができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。また、上述の実施例においては、対極を金属リチウムとするテストセルに関するデータを示したが、これらの実施例の結果から、上述の負極活物質が非水電解液二次電池の負極に好適であることがわかる。実際の非水電解液二次電池の構築にあたっては、上述の電池E1や電池E2と同様の負極活物質を含有する負極と、各種リチウム複合酸化物等からなる正極活物質を含有する正極とを組み合わせることができる。
1 非水電解液二次電池
2 対極
3 電極
4 セパレータ
5 非水電解液

Claims (4)

  1. 非水電解液二次電池用の負極活物質であって、
    非晶質相を有する電気炉酸化スラグの粉砕粉からなり、
    平均粒子径が20μm以下であることを特徴とする負極活物質。
  2. 上記電気炉酸化スラグは、酸化鉄と、酸化珪素とを少なくとも含有することを特徴とする請求項1に記載の負極活物質。
  3. 請求項1又は2に記載の負極活物質の製造方法において、
    鉄材料を電気炉で溶解又は精製する際に生成する溶融状態の酸化スラグを急冷凝固させることにより、上記非晶質相を有する上記電気炉酸化スラグを得る非晶質化工程と、
    上記電気炉酸化スラグを粉砕する粉砕工程とを有することを特徴とする負極活物質の製造方法。
  4. 正極と、負極と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、
    上記負極は、請求項1又は2に記載の負極活物質を含有することを特徴とする非水電解液二次電池。
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