以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。図1は、本発明の実施形態に係る医薬品発注装置を示す外観図である。図1に示す医薬品発注装置1は、例えばパーソナルコンピュータの1機能として実現されるものであり、例えば医療機関における医師や看護師によって操作されるものであり、医薬品を医薬品メーカ等に発注する機能を有するものである。このような医薬品発注装置1は、キーボード2やマウス3などの入力手段を備え、入力手段に対する操作等により各種情報が入力される。
なお、以下では医薬品発注装置1が病院などの医療機関において用いられる例を説明するが、医薬品発注装置1は、医療機関に限らず、自治体や消防などの他の機関等において用いられてもよい。さらに、以下では医薬品発注装置1をパーソナルコンピュータの1機能として説明するが、これに限らず、複数台のパーソナルコンピュータやサーバとがネットワーク接続されたシステムによって医薬品発注装置1が構成されていてもよい。
図2は、本実施形態に係る医薬品発注装置1を示すハード構成図である。図2に示すように、医薬品発注装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ディスプレイ20と、通信I/F(interface)部30と、HDD(Hard Disk Drive)50とを備えている。
CPU10は、本実施形態に係る医薬品発注装置1の全体を制御するものであり、図2に示すようにROM(Read Only Memory)10aとRAM(Random Access Memory)10bとを備えている。ROM10aは、医薬品発注装置1を機能させるための医薬品発注プログラムが記憶された読み出し専用のメモリである。RAM10bは、各種のデータを格納すると共にCPU10の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
ディスプレイ20は、キーボード2やマウス3の操作内容を反映した画像を表示したり、後述の病名診断機能部12や病態判断機能部13による結果画像等を表示したりするものである。通信I/F部30は、他の装置と通信するためのインターフェースであり、この通信I/F部30を通じて医薬品の発注データが医薬品メーカ等に発注されることとなる。また、後述する第1〜第3記憶領域51〜53に記憶されている内容は、この通信I/F部30を通じて他の装置から取得するようになっていてもよい。
HDD50は、パーソナルコンピュータに接続される補助記憶機器である。このHDD50には、ROM10aと同様に、医薬品発注装置1を機能させるための医薬品発注プログラムが記憶されさていてもよい。すなわち、CPU10は、HDD50に記憶されるプログラムに従って、本実施形態に係る医薬品発注装置1の各機能を実現するようになっていてもよい。なお、可能であればHDDに代えて又は加えてUSB等を備えていてもよい。
図3は、本実施形態に係る医薬品発注装置1を示すソフト構成図である。図3に示すように、CPU10は、医薬品発注機能部11と、病名診断機能部12と、病態判断機能部13とを備えている。また、HDD50は、第1〜第3記憶領域51〜53を備えている。第1記憶領域51には、医薬品発注機能部11が機能するために必要となる各種データが記憶されており、第2記憶領域52には、病名診断機能部12が機能するために必要となる各種データが記憶されており、第3記憶領域53には、病態判断機能部13が機能するために必要となる各種データが記憶されている。
図4は、図3に示した医薬品発注機能部11及び第1記憶領域51の詳細を示すソフト構成図である。図4に示すように、医薬品発注機能部11は、ROM10aやHDD50に記憶される医薬品発注プログラムを実行することにより、個人治療データ算出部(個人治療データ算出手段)11aと、総治療データ算出部(総治療データ算出手段)11bと、発注量判断部(発注量判断手段)11cと、発注部(発注手段)11dと、初期治療日設定部(初期治療日設定手段)11eと、医薬品情報受付部(医薬品情報受付手段)11fと、在庫管理部(在庫管理手段)11gが機能する。
また、図4に示すように、第1記憶領域51は、基本データ記憶部(第1記憶手段)51aと、在庫記憶部(第2記憶手段)51bとを有している。
基本データ記憶部51aは、病名又は予め定められた複数の病名の集合である病名群の少なくとも一方を示す病名の情報である病名情報を複数記憶すると共に、複数の病名情報のそれぞれと対応させて、患者個人の治療に必要となる医薬品の種類及び数量並びにその使用時期の情報とを対応させて記憶したものである。ここで、病名とは、診断名を意味するものであり、病名群とは、予め定められた病名の集合であり、鑑別診断に相当する概念のものである。例えば、病名には肺がん、上気道炎、咽頭炎、扁桃炎、気管支炎、及び肺炎等があり、これらの集合が病名群(診断名群、鑑別診断名ともいう)である。
図5は、図4に示した基本データ記憶部51aの記憶内容を示す概念図である。図5に示すように、基本データ記憶部51aには、複数の病名又は病名群を示す病名情報が記憶されると共に、複数の病名情報それぞれに対応して医薬品の種類、数量及び使用時期が記憶されている。
例えば、基本データ記憶部51aは、病名αに関して、初日に医薬品aが数量aaだけ必要であり、医薬品bだけ数量bbだけ必要であり、医薬品cが数量ccだけ必要であるというデータを記憶している。なお、基本データ記憶部51aは、「aa」「bb」「cc」について、例えば2錠や、100ml及び1パックなどの具体的な値を記憶している。以下、「dd」〜「nn」についても同様に基本データ記憶部51aは具体的な値を記憶している。
さらに、基本データ記憶部51aは、病名αに関して、V(Vは2以上の整数)日後に医薬品aが数量aaだけ必要であり、医薬品bだけ数量bbだけ必要であり、医薬品dが数量ddだけ必要であるというデータを記憶している。加えて、基本データ記憶部51aは、病名αに関して、W(WはVを超える整数)日後に医薬品aが数量aaだけ必要であり、医薬品dだけ数量ddだけ必要であり、医薬品eが数量eeだけ必要であるというデータを記憶している。
さらには、基本データ記憶部51aは、病名αに関して、X(XはWを超える整数)日後に医薬品aが数量aaだけ必要であり、医薬品cだけ数量ccだけ必要であり、医薬品eが数量eeだけ必要であるというデータを記憶している。
このように、基本データ記憶部51aは、或る病名等が示す病気に罹患した患者を治療するための治療スケジュール(医薬品の使用時期)と、治療スケジュールの各タイミングにおいて使用する医薬品とその数量とを記憶している。
なお、病気の中には、例えば1回の投薬等のみで治療が完了するものである。例えば図5に示す病名γについて、基本データ記憶部51aは、初日に医薬品lが数量llだけ必要であり、医薬品mが数量mmだけ必要であり、医薬品nが数量nnだけ必要であるというデータを記憶している。
なお、基本データ記憶部51aは、他の病名や病名群についても同様に、1回又は複数回の治療タイミングを含む治療スケジュール(医薬品の使用時期)と、治療スケジュールの各タイミングにおいて使用する医薬品とその数量とを記憶している。
さらに、図示を省略するが、基本データ記憶部51aは、患者の年齢や性別の少なくとも一方からなる属性情報が属する属性区分のそれぞれに応じて、図5に示すようなデータベースを記憶していることが好ましい。治療に必要となる医薬品やその数量及び使用時期は年齢や性別によって異なってくるからである。一例を挙げると、例えば抗がん剤治療を行う場合、高齢者には抗がん剤治療による負担が大きいため、使用する抗がん剤の量が少なくなったり、抗がん剤の投与間隔が長かったりする。基本データ記憶部51aは属性情報が属する属性区分に応じて図5に示すようなデータベースをそれぞれ記憶することで、上記のような場合にも対応したデータを記憶している。なお、本実施形態において属性区分とは、後述の図17に示すように例えば5つ存在する。5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」であるが、特に、この区切りに限られず、例えば「60歳以上」などの第6以降の区分があってもよい。
在庫記憶部51bは、病院等の医療機関で保有する医薬品の種類及びその数量からなる在庫情報を記憶したものである。基本的に医療機関においては、各種の医薬品について一定数量が確保されている。在庫記憶部51bは、このような確保されている医薬品の種類及び数量を記憶するものである。
図6は、図4に示した在庫記憶部51bの記憶内容を示す概念図である。図6に示すように、在庫記憶部51bは、例えば「医薬品の種類」の項目を有し、この項目として医薬品a、医薬品b、医薬品c等の情報(すなわち医薬品の種類の情報)を記憶している。さらに、在庫記憶部51bは、「数量」の項目を有し、この項目に医薬品a、医薬品b、医薬品c等のそれぞれに対応させて数量の情報を記憶している。
再度、図4を参照する。個人治療データ算出部11aは、患者に対して入力された病名情報と基本データ記憶部51aの記憶内容とに基づいて、当該患者を治療するにあたり必要となる医薬品の種類及び数量並びに医薬品の使用時期を示す個人治療データを患者毎に算出するものである。
すなわち、医薬品発注装置1に対して、入力手段を介して或る患者の病名情報が入力されたとすると、個人治療データ算出部11aは、この病名情報と対応する情報(医薬品の種類及び数量並びに医薬品の使用時期の情報)を基本データ記憶部51aから読み込んで、これを個人治療データとする。算出された個人治療データは、例えば第1記憶領域51に記憶される。
これにより、例えば患者Aについて、4月1日に医薬品aが数量aa必要であり、4月22日に医薬品bが数量bb必要あり、5月13日に医薬品cが数量cc必要である、などの個人治療データが算出される。また、患者Bについて、4月4日に医薬品aが数量dd必要であり、4月25日に医薬品bが数量ee必要あり、5月16日に医薬品fが数量ff必要である、などの個人治療データが算出される。ここで、第1回目の治療日である4月1日(患者A)や4月4日(患者B)は、例えば医薬品発注装置1に対して病名情報が入力された日であってもよいし、初期治療日設定部11eにより設定された初期治療日であってもよい。
初期治療日設定部11eは、各患者の第1回目の治療日である初期治療日を設定するものであり、より詳細には医薬品発注装置1に対して病名情報が入力された日よりも将来の日を初期治療日として設定する機能を有するものである。例えば初期治療日設定部11eは、病名情報が入力された日が3月20日であったとしても、その日に治療が開始されるわけではなく、例えば空きベットの関係や使用する機材の関係などから、3月20日よりも将来の日である例えば4月1日を初期治療日として設定する。この4月1日などの初期治療日は、例えば医師や看護師など医療機関の操作者によって指定された日が採用される。
ここで、基本データ記憶部51aは、上記したように、属性情報が属する属性区分に応じてそれぞれ図5に示すようなデータベースを記憶している。このため、個人治療データ算出部11aは、患者の属性情報が属する属性区分に応じて、上記の個人治療データを算出する。これにより、年齢や性別に応じて、一層適切な個人治療データを算出している。なお、属性情報は、後述の図25に示すように、入力画面を通じて入力されることとなる。
加えて、基本データ記憶部51aには、予想経過の情報が記憶されている。ここで、予想経過の情報とは、投薬等の治療によって、次回治療時にどの程度病態が変化しているかを示す情報である。例えば、病名αについてみると、患者は初日の病態が最も悪く、V日後、W日後、X日後の順に快方に向かっていくはずである。予想経過の情報とは、治療によって快方に向かっていく様子を示す情報となっている(なお、一部の病名又は病名群では病態が一時悪化した後に快方に向かっていくもののある)。特に、本実施形態において医薬品発注装置1は、病態判断機能部13を備えているため、予想経過の情報には、後述する症状毎の結果の情報、又は、症状毎の結果の組み合わせの情報が格納されていることが好ましい。
また、基本データ記憶部51aには、良好経過の情報、及び不良経過の情報が記憶されている。この良好経過の情報、及び不良経過の情報についても、予想経過の情報と同様に、後述する症状毎の結果の情報、又は、症状毎の結果の組み合わせの情報が格納されていることが好ましい。ここで、良好経過の情報とは、治療によって予想経過よりも、より一層快方に向かっている場合の経過の情報である。一方、不良経過の情報とは、治療によって予想経過よりも、快方に向かっていない場合の経過の情報である。
さらに、基本データ記憶部51aには、延期条件の情報が記憶されている。この延期条件の情報についても、予想経過の情報と同様に、後述する症状毎の結果の情報、又は、症状毎の結果の組み合わせの情報が格納されていることが好ましい。ここで、延期条件の情報とは、治療を中止すべき条件を示す情報である。
さらに、本実施形態において、個人治療データ算出部11aは、予想経過の情報等と患者の病態とを比較して、個人治療データを修正する機能を有することが好ましい。このような修正は再診時、すなわち2回目以降の治療時に行われる。
詳細に説明すると、個人治療データ算出部11aは、2回目以降の治療時に、後述する病態判断機能部13を機能させ、患者の病態を判断する(症状毎の結果やその結果の組み合わせの情報を取得する)。そして、個人治療データ算出部11aは、取得した症状毎の結果等が、1)予想経過の情報に当てはまる場合、個人治療データを修正しないと判断する。すなわち、当初の予想通りに順調に快方に向かっていると予測されることから、当初の個人治療データに沿った治療を行えばよく、個人治療データ算出部11aは個人治療データを修正しないと判断する。
また、取得した症状毎の結果等が、2)良好経過の情報に当てはまる場合、個人治療データ算出部11aは、現時点以降の治療間隔を広げたり、投薬量を減らしたりして、個人治療データを修正する。治療間隔を広げるか、投薬量を減らすか、どの程度治療間隔を広げるか、どの程度投薬量を減らすかなどの修正情報は、良好経過の情報内において症状毎の結果やその結果の組み合わせの情報と対応付けて記憶されており、個人治療データ算出部11aは、修正情報に基づいて修正を行う。すなわち、当初の予想以上に快方に向かっていると予測されることから、当初の個人治療データに沿った治療を行ってしまうと、投薬量等が過剰となってしまう可能性があるため、個人治療データ算出部11aは個人治療データを修正すると判断して、治療間隔を広げたり、投薬量を減らしたりする。
さらに、取得した症状毎の結果等が、3)不良経過の情報に当てはまる場合、個人治療データ算出部11aは、現時点以降の治療間隔を狭めたり、投薬量を増やしたりして、個人治療データを修正する。治療間隔を狭めるか、投薬量を増やすか、どの程度治療間隔を狭めるか、どの程度投薬量を増やすかなどの修正情報は、不良経過の情報内において症状毎の結果やその結果の組み合わせの情報と対応付けて記憶されており、個人治療データ算出部11aは、修正情報に基づいて修正を行う。すなわち、当初予想した程度に快方に向かっていないと予測され、その患者の体質等の問題から投薬量が足りていない可能性等が考えられることから、個人治療データ算出部11aは個人治療データを修正すると判断して、治療間隔を狭めたり、投薬量を増やしたりする。
また、取得した症状毎の結果等が、4)延期条件の情報に当てはまる場合、個人治療データ算出部11aは、治療を延期するように、個人治療データを修正する。どの程度治療を延期するかの修正情報は、延期条件の情報内において症状毎の結果やその結果の組み合わせの情報と対応付けて記憶されており、個人治療データ算出部11aは、修正情報に基づいて修正を行う。すなわち、今回の治療に支障が出るほどの何らかの問題(例えばインフルエンザ等の感染症に罹ってしまったことなど)が発生している場合には、個人治療データ算出部11aは個人治療データを修正すると判断して、今回の以降の治療を延期する。
総治療データ算出部11bは、個人治療データ算出部11aにより算出された個人治療データを、患者複数人分(例えば病院における全患者分)統合して、複数人の患者を治療するにあたり必要となる医薬品の種類及び数量並びに医薬品の使用時期を示す総治療データを算出するものである。
すなわち、個人治療データ算出部11aにより上記の患者A及び患者Bの個人治療データが算出されている場合、総治療データ算出部11bは、これらの個人治療データを統合して、4月1日に医薬品aが数量aa必要であり、4月4日に医薬品aが数量dd必要であり、4月22日に医薬品bが数量bb必要あり、4月25日に医薬品bが数量ee必要あり、5月13日に医薬品cが数量cc必要であり、5月16日に医薬品fが数量ff必要である、といった総治療データを算出する。
発注量判断部11cは、総治療データ算出部11bにより算出された総治療データと、在庫記憶部51bにより記憶された在庫情報とに基づいて、発注する医薬品の種類及び数量を判断するものである。この発注量判断部11cは、総治療データ算出部11bにより算出された総治療データのうち、現時点から所定期間内において使用される予定の医薬品の種類及び数量と、在庫情報とを対比させて不足分を判断し、不足する医薬品の種類及び数量を、発注する医薬品の種類及び数量として判断する。
詳細に説明すると、所定期間を例えば10日間とし現時点が4月20日であるとすると、発注量判断部11cは、まず現時点から所定期間内に使用時期が該当するデータを抽出する。すなわち、発注量判断部11cは、上記総治療データのうち4月22日に医薬品bが数量bb必要であり、4月25日に医薬品bが数量ee必要であるというデータを抽出する。
そして、発注量判断部11cは、抽出されたデータが示す種類の医薬品が当該データが示す分量だけ、在庫として存在するかを判断する。すなわち、発注量判断部11cは、不足する医薬品の種類及び数量を特定することとなる。例を挙げると、発注量判断部11cは、抽出されたデータの医薬品bについて数量bb+eeの在庫が存在するかを在庫情報から判断する。ここで、例えば医薬品bの在庫が数量eeしかない場合、発注量判断部11cは、医薬品bについて数量bbが不足すると判断する。そして、発注量判断部11cは、医薬品bが数量bbだけ不足すると判断し、医薬品bが数量bbだけ発注すると判断する。
なお、上記において「不足する医薬品の数量」とは、或る医薬品について所定期間内に使用する数量−在庫の数量に限らず、所定期間内に使用する数量+α(任意の正の数量)−在庫の数量であってもよい。このαにより、一定数の在庫を確保するようにできるからである。
発注部11dは、発注量判断部11cにより判断された医薬品の種類及び数量の発注処理を行うものである。この発注部11dにおいて、「発注処理を行う」とは、通信I/F部30を通じて医薬品メーカ等に発注データが送信されることであってもよいし、発注用のデータが作成され操作者が当該データを送信又はプリントアウトできる状態とすることであってもよい。
医薬品情報受付部11fは、使用又は破棄した医薬品の種類及び数量の情報を受け付けるものである。この医薬品情報受付部11fは、入力手段を介して医師や看護師により入力された医薬品の種類及び数量を、使用又は破棄した医薬品の種類及び数量の情報として受け付ける。
在庫管理部11gは、医薬品情報受付部11fにより受け付けられた医薬品の種類及び数量の情報に基づいて、在庫記憶部51bにより記憶される在庫情報を調整のうえ、在庫記憶部51bに記憶させるものである。例えば、医薬品aについて数量ddという在庫を示す情報が在庫記憶部51bに記憶されている場合において、医薬品情報受付部11fにより医薬品aについて数量eeという情報が受け付けられた場合、在庫管理部11gは、医薬品aについて数量ddから数量eeを減算し、減算した結果を在庫記憶部51bに記憶させる。
ここで、医薬品発注装置1は、入力手段を介して或る患者の病名等の病名情報が入力されることが前提となっている。このような病名情報の病名については、上記の病名診断機能部12により精度良く診断することができる。また、病態判断機能部13は、病名診断機能部12により病名を診断するにあたり、候補となる病名(病名群)を判断することができる。本実施形態において医薬品発注装置1は、このような病名診断機能部12や病態判断機能部13による診断・判断結果を病名情報として入力する構成となっていてもよい。
図7は、図3に示した病名診断機能部12及び第2記憶領域52の詳細を示すソフト構成図である。病名診断機能部12は、ROM10aやHDD50に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、第1提示部(第1提示手段)12aと、第1絞り込み部(第1絞り込み手段)12bと、第2提示部(第2提示手段)12cと、第2絞り込み部(第2絞り込み手段)12dと、第3提示部12eとが機能する。
また、図7に示すように、第2記憶領域52は、診察行為記憶部(第3記憶手段)52aと、身体所見記憶部(第4記憶手段)52bと、検査記憶部(第5記憶手段)52cと、検査結果記憶部(第6記憶手段)52dと、病名群テーブル記憶部(第7記憶手段)52eを有している。
診察行為記憶部52aは、病名と病名を確定するために行うべき診察行為とを対比させて記憶する記憶部である。図8は、図7に示した診察行為記憶部52aの記憶内容を示す概念図である。図8に示すように、診察行為記憶部52aには、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応して診察行為が記憶されている。
図8に示す例において診察行為記憶部52aには、病名αに対する診察行為1として「○○1」と記憶されており、診察行為2として「○○2」と記憶されている。○○1は、例えば「左下腹部に痛みがあるかを確認するために触診を行う」であり、○○2は、例えば「呼吸音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」などである。また、診察行為記憶部52aには、病名βに対する診察行為1として「××1」と記憶されており、病名γに対する診察行為1として「△△1」と記憶されている。××1は、例えば「左下腹部にしこりがあるかを確認するために触診を行う」であり、△△1は、例えば「心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」などである。
図7を参照する。身体所見記憶部52bは、病名と病名によって得られる身体所見とを対比させて記憶する記憶部である。図9は、図7に示した身体所見記憶部52bの記憶内容を示す概念図である。図9に示すように、身体所見記憶部52bには、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する身体所見が記憶されている。
例えば特定の病気については、身体所見として、心音の乱れや、呼吸音の乱れが得られる傾向にある。更には、他の特定の病気については、身体所見として、特定箇所における痛みやしこりが得られる傾向にある。身体所見記憶部52bは、このような医師による身体所見と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図9に示す例において、身体所見記憶部52bは、病名αについて、身体所見1として「左下腹部に痛み有り」と記憶しており、身体所見2として「呼吸音に乱れ有り」と記憶している。また、病名βについては身体所見1として「左下腹部にしこり有り」と記憶しており、病名γについては身体所見1として「心音に乱れ有り」と記憶している。
なお、身体所見記憶部52bは、診察行為記憶部52aに記憶される診察行為を行ったことによる身体所見を記憶するものであり、例えば診察行為記憶部52aにおいて病名γの診察行為は「△△1(心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う)」となっているのに対し、身体所見記憶部52bにおいて病名γの身体所見は「心音に乱れ有り」となっている。すなわち、診察行為記憶部52aと身体所見記憶部52bとの記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部52a,52bは統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
図7を参照する。検査記憶部52cは、病名と病名を確定するために行うべき検査とを対比させて記憶する記憶部である。図10は、図7に示した検査記憶部52cの記憶内容を示す概念図である。図7に示すように、検査記憶部52cには、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査が記憶されている。
例えば心臓病であるか確定するためには、心電図、胸部X線写真、心臓カテーテルなどの検査が行われる。また、大腸がんの検査には、検便が行われる。さらに、肝炎や膵炎などの検査には、血液検査が行われる(肝炎はGOT値等、膵炎は血清アミラーゼ値の検査)。検査記憶部52cは、このような検査項目と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図10に示す例において、検査記憶部52cは、病名αについて検査1として「血液検査(○○値)」と記憶しており、病名βについて検査1として「検便」と記憶している。また、病名γについては検査1として「血液検査(××値)」と記憶している。なお、各病名に対して検査は1つに限るものではない。
図7を参照する。検査結果記憶部52dは、病名と病名によって得られるはずである検査結果とを対比させて記憶する記憶部である。図11は、図7に示した検査結果記憶部52dの記憶内容を示す概念図である。図11に示すように、検査結果記憶部52dには、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査結果が記憶されている。
例えば大腸がんにおいては、便に血が混じったり、便が細くなったりする。さらに、肝炎においては、例えばGOT値が35IU/I以上となる。また、膵炎においては、血清アミラーゼ値が60〜190U/dlの範囲外となる。検査結果記憶部52dは、このような検査結果と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図11に示す例において、検査結果記憶部52dは、病名αについて検査結果1として「○○値がX値以上」と記憶しており、病名βについて検査結果1として「便に血が混じっている」と記憶している。また、病名γについては検査結果1として「××値がY1〜Y2の範囲外」と記憶している。
なお、検査結果記憶部52dは、検査記憶部52cに記憶される検査に対する結果を記憶するものであり、例えば検査記憶部52cにおいて病名αの検査は「血液検査(○○値)」となっているのに対し、検査結果記憶部52dにおいて病名αの検査結果は「○○値がX値以上」となっている。すなわち、検査記憶部52cと検査結果記憶部52dとの記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部52c,52dは統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
加えて、上記した各記憶部52a〜52dは、全て病名の項目を含んでいることから、病名を軸にして、診察行為、身体所見、検査及び検査結果の内容を記憶した1つのデータベースにより構成されていてもよい。
図7を参照する。病名群テーブル記憶部52eは、病名と病名群との対応関係を記憶する記憶部である。図12は、図7に示した病名群テーブル記憶部52eの記憶内容を示す概念図である。図12に示すように、病名群テーブル記憶部52eには、複数の病名群が記憶されると共に、これらの病名群に属する病名が対応付けて記憶されている。
図12に示す例において、病名群テーブル記憶部52eは、例えば病名群Ψに属する病名として、病名α,β,γ,δを記憶している。同様に、病名群テーブル記憶部52eは、病名群Ωに属する病名として、例えば病名ε,θを記憶している。さらに、病名群テーブル記憶部52eは、病名群Δに属する病名として、例えば病名π,σを記憶している。
再度、図7を参照する。第1提示部12aは、候補となる病名が入力された場合に、入力された病名と対応する診察行為を診察行為記憶部52aから抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば図13に示す画像が表示される。
図13は、図7に示した第1提示部12aにより表示される画面を示す正面図である。図13に示すように、例えば候補となる病名としてα,β,γが入力された場合、図8を参照して説明した病名α,β,γに対応する診察行為が抽出されて画像表示される。
具体的には図13に示すように、病名αに対応した診察行為である「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1、及び、「呼吸音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC2が表示される。さらには、病名βに対応した診察行為である「左下腹部にしこりがあるか確認してください。」という診察行為内容AC3、及び、「心音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC4が表示される。医師は、上記のような診察行為内容ACが表示されることにより、誤り無く行うべき診察行為を行うことができる。
加えて、各診察行為内容AC1〜AC4のそれぞれに隣接して身体所見の情報を入力する入力項目IT1〜IT4が表示されている。各入力項目IT1〜IT4は、ラジオボタン形式となっている。具体的に診察行為内容AC1の入力項目IT1は、「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、診察行為内容AC2の入力項目IT2は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成され、診察行為内容AC3の入力項目IT3は、「しこり有り」と「しこり無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。加えて、診察行為内容AC4の入力項目IT4は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
そして、医師が診察行為を行うことで得た身体所見の情報を、キーボード2又はマウス3等の入力手段を通じて入力すると、第1絞り込み部12bが機能することとなる。
再度、図7を参照する。第1絞り込み部12bは、第1提示部12aにより提示された診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、身体所見記憶部52bの記憶内容に基づいて、入力された候補となる病名の絞り込みを行うものである。
例えば、図13に示す画面において、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定され、入力項目IT3では「しこり有り」が指定され、入力項目IT1では「乱れ無し」が指定されたとする。この場合、第1絞り込み部12bは、このような指定された入力内容と、身体所見記憶部52bの記憶内容とを対比させて病名の絞り込みを行う。
すなわち、図9に示すように、病名αの身体所見については「左下腹部に痛み有り」且つ「呼吸音に乱れ有り」となっている。上記においては、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αである可能性がある。同様に、病名βの身体所見については「左下腹部にしこり有り」となっている。上記においては、入力項目IT3では「しこり有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名βである可能性がある。これに対して、病名γの身体所見については「心音に乱れ有り」となっている。一方、入力項目IT3では「乱れ無し」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名γである可能性がない。以上のように、第1絞り込み部12bは、病名の絞り込みを行う。
第2提示部12cは、第1絞り込み部12bにより絞り込まれた病名と対応する検査を検査記憶部52cから抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部12aと同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば図14に示す画像が表示される。
図14は、図7に示した第2提示部12cにより表示される画面を示す正面図である。図14に示すように、例えば第1絞り込み部12bにより病名γの可能性が否定され、病名αと病名βとに絞り込まれた場合、図10を参照して説明した病名α,βに対応する検査が抽出されて画像表示される。
具体的には図14に示すように、病名αに対応した検査である「血液検査(○○値)」という検査内容IC1、及び、病名βに対応した検査である「検便」という検査内容IC2が表示される。医師は、上記のような検査内容ICが表示されることにより、誤り無く行うべき検査を実施することができる。
加えて、各検査内容IC1〜IC2のそれぞれに隣接して検査結果を問う質問項目Q1,Q2と、検査結果の情報を入力する入力項目IT5,IT6が表示されている。各入力項目IT5,IT6は、ラジオボタン形式となっている。具体的に検査内容IC1の質問項目Q1は、「○○値はX値以上であるか。」という文字表示となっており、入力項目IT5は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、検査内容IC2の質問項目Q2は、「便に血が混じっているか。」という文字表示となっており、入力項目IT6は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
そして、医師が検査を通じて得た検査結果の情報を、キーボード2又はマウス3等の入力手段を通じて入力すると、第2絞り込み部12dが機能することとなる。
再度、図7を参照する。第2絞り込み部12dは、第2提示部12cにより提示された検査に応じた検査結果が入力された場合に、検査結果記憶部52dの記憶内容に基づいて、第1絞り込み部12bにより絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行うものである。
例えば、図14に示す画面において、入力項目IT5では「YES」が指定され、入力項目IT6では「NO」が指定されたとする。この場合、第2絞り込み部12dは、このような指定された入力内容と、検査結果記憶部52dの記憶内容とを対比させて更に病名の絞り込みを行う。
すなわち、図11に示すように、病名αの検査結果については「○○値がX値以上」となっている(すなわち、質問項目Q1に対して入力項目IT5では「YES」)。上記においては、入力項目IT5では「YES」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αであるといえる。一方、病名βの検査結果については「便に血が混じっている」となっている(すなわち、質問項目Q2に対して入力項目IT6では「YES」)。上記においては、入力項目IT6では「NO」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名βである可能性がない。以上のように、第2絞り込み部12dは、病名の絞り込みを行う。
再度図7を参照する。第3提示部12eは、第2絞り込み部12dにより絞り込まれた結果を医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部12aと同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ20に画像表示させる方法などがある。ディスプレイ20に表示させる場合、例えば図15に示す画像が表示される。
図15は、図7に示した第3提示部12eにより表示される画面を示す正面図である。図15に示すように、例えば第2絞り込み部12dにより病名βの可能性が否定され、病名αに絞り込まれた場合、第3提示部12eは、例えば「病名はαであると判断できます。」などと最終結果FRを画像表示させる。
以上のように、医師は、病名の候補を入力し、提示される診察行為及び検査を行い、身体所見と検査結果を入力すれば、最終結果FRを得ることができる。しかも、診察行為や検査の誤った実施が防止されるため、病名をより精度良く診断することができる。
そして、図3に示した個人治療データ算出部11aは、上記の第2絞り込み部12dによって絞り込まれた病名を、病名情報として入力し、個人治療データを算出する。これにより、精度良く診断された病名に基づいて、医薬品の発注が行われ、発注内容の正確性を向上させることができるからである。
なお、これに限らず、個人治療データ算出部11aは、上記の第1絞り込み部12bによって絞り込まれた病名が、病名群テーブル記憶部52eの記憶内容に基づいて1つの病名群に属するものであると判断できる場合、その病名群を病名情報として入力して、個人治療データを算出するようにしてもよい。これにより、一層早期に治療を行うべく医薬品発注できるからである。すなわち、上記によれば、第1絞り込み部12bによる絞り込みの後には検査が行われることとなる。検査には、検査結果が出るまで長期の時間を要することもあり、このような場合には検査結果が待たれることなく、現状わかっている患者の状態に基づいて治療が開始されることがある。このような場合に病名群に基づいて発注を行うことで、より適切な治療を行うべく発注を行うことができることとなる。具体的には、例えば上記の第1絞り込み部12bによって絞り込まれた病名は病名α,βであり、全て図12に示す病名群Ψに属する。よって、個人治療データ算出部11aは、病名群Ψを病名情報として入力して基づいて個人治療データを算出することとなる。
さらに、上記した説明においては、最終結果FRとして病名αという1つの病気が残ることとなったが、医師が初期的に入力した病名の候補に、正しい病名が無かった場合には、最終結果FRとして他の病名候補の入力を促すような画像表示がされてもよい。加えて、上記のように、検査結果の入力形式は選択肢を選択する方式であるが、可能であれば数値等を直接入力する形式であってもよい。
ここで、医師が正しい病名の候補を入力できなかった場合には、最終結果FRとして病名が医師に提示されなくなり、且つ、個人治療データ算出部11aは、正確に診断された病名に基づく個人治療データを算出できなくなる可能性がある。よって、このような事態を防止すべく、病態判断機能部13が重要となる。
図16は、図3に示した病態判断機能部13及び第3記憶領域53の詳細を示すソフト構成図である。病態判断機能部13は、ROM10aやHDD50に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、表示制御部13a、症状結果判断部(症状結果判断手段)13b、及び病名候補判断部(病名候補判断手段)13cが機能する。
また、図16に示すように、第3記憶領域53は、症状項目記憶部53aと、質問内容記憶部(第8記憶手段)53bと、選択肢記憶部53cと、症状結果テーブル記憶部53dと、病名候補テーブル記憶部(第9記憶手段)53eとを有している。
図16に示す症状項目記憶部53aは、予め定められた複数の症状項目を記憶するものである。図17は、図16に示した症状項目記憶部53aの記憶内容を示す概念図である。図17に示すように、症状項目記憶部53aには、X個(ここでのXは2以上の整数であって、図17に示す例では少なくとも22以上の整数)の症状項目を記憶している。症状項目とは、病名の候補を判断する対象者に発生している異常を示す項目であり、例えば「熱がある」「咳が出る」「痰が出る」「頭痛がする」「乳房に痛みがある」「関節に痛みがある」「下痢である」「便秘である」「鼻水が出る」「痙攣した」などである。
さらに、症状項目記憶部53aは、それぞれの症状項目を属性区分と関連付けて記憶している。ここで、属性区分とは年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、本実施形態では5つの属性区分が設定されている。本実施形態に係る医薬品発注装置1では、年齢及び性別を示す属性情報をキーボード2やマウス3への操作を通じて医薬品発注装置1に入力できるようになっている。医薬品発注装置1は、入力された年齢及び性別から、5つの属性区分のいずれに属するかを判断する。
5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」からなる。症状項目記憶部53aは、それぞれの症状項目を、これら5つの属性区分と対応付けて記憶している。具体的に16個目の症状項目である「頭痛がする」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「○」、「13歳以上男性」について「○」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。同様に17個目の症状項目である「乳房に痛みがある」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「−」、「13歳以上男性」について「−」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。
なお、本実施形態において属性情報とは年齢及び性別の双方を意味するが、これに限らず、年齢又は性別のいずれか一方であってもよい。また、いずれか一方である場合、属性区分が図17に示すものと異なることはいうまでもない。
再度、図16を参照する。質問内容記憶部53bは、複数の症状項目のそれぞれに設定された質問内容を記憶したものである。図18は、図16に示した質問内容記憶部53bの記憶内容を示す概念図である。図18に示すように、質問内容記憶部53bは、図17に示した複数の症状項目のそれぞれに対して定量質問、定性質問及び時間質問の3種類の質問を記憶している。
ここで、定量質問とは量を問う質問である。すなわち、定量質問とは、回数、温度、頻度などの量そのものが回答となる質問であって、例えば「1日の咳の回数は何回か。」「熱は何度か。」などの質問である。
また、時間質問とは時間を問う質問である。すなわち、時間質問とは、何日前や何時頃などの時間(時間、時刻、間隔及び期間を含む)そのものが回答となる質問であって、例えば「熱が出たのは何日前か。」「咳が最もひどくなる時間帯はいつか。」などの質問である。
また、定性質問とは性質を問う質問である。より詳細に定性質問とは、症状の性質を問うものであり、広義には回答が量でも時間でもないものとなる質問である。例えば「乾いた咳か。」「痰は何色か。」などは定性質問である。
なお、症状項目のそれぞれには、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されている。
例えば質問内容記憶部53bは、「熱がある」の症状項目に対して、「現在の熱は何度か?」「何度まであがったか?」という2つの定量質問を記憶している。また、質問内容記憶部53bは、「熱がある」の症状項目に対して、「明け方に熱は下がるか?」という1つの定性質問、及び、「熱が出始めたのかいつか?」という1つの時間質問を記憶している。質問内容記憶部53bは、他の症状項目についても同様に、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問を記憶している。
再度、図16を参照する。選択肢記憶部53cは、複数の症状項目それぞれの定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答を選択させるための選択肢を記憶している。また、選択肢記憶部53cは、属性区分に応じた選択肢を記憶している。
図19及び図20は、図16に示した選択肢記憶部53cの記憶内容の一例を示す概念図であり、図19は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢の例を示し、図20は属性区分が12歳以下であるときの選択肢の例を示している。なお、図19及び図20に示す例では第1〜第3区分で共通の選択肢となっており、且つ、第4及び第5区分で共通の選択肢となっているが、これに限らず、選択肢記憶部53cは、属性区分それぞれにおいて異なる選択肢を記憶しておいてもよい。
図19に示すように、選択肢記憶部53cは、属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上37.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「37.5℃以上38.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「38.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部53cは、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶している。
また、図20に示すように、選択肢記憶部53cは、属性区分が12歳以下であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上38.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「38.5℃以上39.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「39.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部53cは、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶し、「呼吸自体が困難となる」を第3選択肢として記憶している。
再度図16を参照する。症状結果テーブル記憶部53dは、症状ごとの結果を判断するための症状結果テーブルを記憶したものである。この症状結果テーブルは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢と、症状毎の結果との対応関係を記憶したものである。症状結果テーブル記憶部53dは、選択肢記憶部53cと同様に、属性区分に応じた対応関係の症状結果テーブルを記憶している。
図21及び図22は、図3に示した症状結果テーブル記憶部53dの記憶内容の一例を示す概念図であり、図21は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの症状結果テーブルの例を示し、図22は属性区分が12歳以下であるときの症状結果テーブルの例を示している。なお、図21及び図22に示す例では第1〜第3区分で共通の症状結果テーブルとなっており、且つ、第4及び第5区分で共通の症状結果テーブルとなっているが、これに限らず、症状結果テーブル記憶部53dは、属性区分それぞれにおいて異なる症状結果テーブルを記憶しておいてもよい。また、図21及び図22では1つの症状項目(例えば「熱がある」)についての症状結果テーブルを示しているが、症状結果テーブルは1つに限らず、症状項目それぞれに対して症状結果テーブル記憶部53dが症状結果テーブルを記憶している。
まず、上記したように、「熱がある」の症状項目については、2つの定量質問と、1つの定性質問と、1つの時間質問とが設定されていた。また、2つの定量質問と1つの時間質問とには、それぞれ3つの選択肢が設けられ、1つの定性質問には2つの選択肢が設けられていた。
このため、回答パターンについては、3×3×2×3=54パターンが存在することとなる。症状結果テーブル記憶部53dは、54の回答パターンに対する結果(A1〜A54)を対応付けて記憶している。具体的に属性区分が13歳以上の男性及び女性であるとき、図21に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢(図中においては「1」と記載)であった場合については、結果「A1」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A3」が対応付けて記憶されている。
なお、結果「A1」から「A54」のそれぞれは、異なる内容であってもよいし、一部共通する内容のものがあってもよい。また、結果「A1」から「A54」のそれぞれには、病態の情報として、重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などの情報を含むものとなっている。
また、属性区分が12歳以下であるとき、図22に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢であった場合については、例えば結果「A4」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A5」が対応付けて記憶されている。
このように、同じ選択肢が回答選択された場合であっても、属性区分によっては結果が異なることがある(もちろん同じときもある)。
再度図16を参照する。病名候補テーブル記憶部53eは、症状毎の結果に対して病名の候補が割り当てられたものである。図23は、図16に示した病名候補テーブル記憶部53eの記憶内容の一例を示す概念図であり、通常候補テーブルを示している。また、図24は、図3に示した病名候補テーブル記憶部の記憶内容の一例を示す概念図であり、特定候補テーブルを示している。
図23に示すように、通常候補テーブル(病名候補テーブル)は、症状項目ごとに記憶される症状結果テーブルが示す結果それぞれと、病名の候補とを対応させたものであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であった場合には、病名の候補として病名α,β,γ,δ,εが割り当てられており、結果がA2であった場合には、病名の候補として病名β,γ,ε,ζ,φが割り当てられている。他の結果A3〜A54についても同様に病名の候補が割り当てられている。加えて、病名候補テーブルは、図23に示すように、「咳が出る」の結果B1〜B44についても同様に病名の候補が割り当てられている。すなわち、他の症状項目の結果それぞれについて病名の候補が割り当てられている。
さらに、図24に示す特定候補テーブル(病名候補テーブル)は、特定の症状毎の結果と病名の候補とを対応させたテーブルであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であり、「咳が出る」の結果がB3であったとする。特定候補テーブルは、これらの結果の組み合わせによって、発生している可能性が高い病名を記憶しており、例えば病名γ(例えば風邪)と記憶している。例えば或る種の風邪をひいた場合には、熱が出て、咳が出て、鼻水が出るなどといった一連の体の変化が生じる。特定候補テーブルは、このような一連の体の変化(症状毎の結果)の組み合わせと病名とを対応させて記憶している。
なお、特定候補テーブルにおいては、特定の結果の組み合わせと1つの病名とが対応しているが、1つの病名に限らず、複数の病名が対応していてもよい。さらに、特定の結果の組み合わせに対して、上記した病態のより詳細な情報(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)などのより詳細な情報)が対応付けて記憶されていることが好ましい。
再度、図16を参照する。表示制御部13aは、ディスプレイ20に表示させる画面内容を制御するものであり、第1表示制御部(第1表示制御手段)13a1、第2表示制御部(第2表示制御手段)13a2、第3表示制御部(第3表示制御手段)13a3、及び第4表示制御部13a4を備えている。
第3表示制御部13a3は、属性情報の入力を促す画面を表示させるものである。図25は、図16に示した第3表示制御部13a3により表示される画面を示す正面図である。図25に示すように、第3表示制御部13a3は、生年月日を入力する旨の表示と、生年月日を入力するためのテキストボックス20aと、性別を入力する旨の表示と、性別を入力するためのチェックボックス20bとを表示させる。
医師は、テキストボックス20aに対して生年月日を入力し、チェックボックス20bへのチェックにより性別を指定することとなる。さらに、医師が、画面上に表示される「次へ」のボタン20cを指定すると、属性情報が医薬品発注装置1に入力されることとなる。これにより、CPU10は、入力された属性情報から、どの属性区分に該当するかを判断することとなる。
再度、図16を参照する。第1表示制御部13a1は、症状項目記憶部53aに記憶された複数の設定項目から、1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させるものである。より詳細に、第1表示制御部13a1は、入力された属性情報が属する属性区分に応じた症状項目を、症状項目記憶部53aに記憶される複数の症状項目から抽出し、抽出した症状項目から1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させる。この結果、図26及び図27のような表示がなされる。
図26及び図27は、症状項目を選択させる画面を示す正面図であり、図26は第1の例を示し、図27は第2の例を示している。
属性区分が「13歳以上女性」である場合、第1表示制御部13a1は、図17に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「13歳以上女性」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部13a1は、抽出した症状項目に基づいて図26に示すような画面を生成してディスプレイ20に表示させる。このとき、ディスプレイ20には、女性特有の「乳房に痛みがある」という症状項目が表示されている。
また、属性区分が「0〜11ヶ月」である場合、第1表示制御部13a1は、図17に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「0〜11ヶ月」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部13a1は、抽出した症状項目に基づいて図27に示すような画面を生成してディスプレイ20に表示させる。このとき、ディスプレイ20には、「熱がある」「下痢である」といった保護者が確認することができる症状項目のみが表示されている。
ここで、例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を保護者等に伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、図17に示すようなデータに基づいて症状項目を抽出して表示することで、年齢や性別毎に適切な症状項目を医師に提示させることができる。
さらに、図26及び図27に示すように、表示される症状項目のそれぞれには、これを選択するためのチェックボックス20dが隣接して表示されている。医師は、該当する症状に応じて、隣接して表示されるチェックボックス20dをチェックすることにより、症状項目を選択することができる。選択後、医師は、不図示の「次へ」のボタンを指定することにより選択を確定させ、この情報を医薬品発注装置1に認識させることとなる。
再度、図16を参照する。第2表示制御部13a2は、第1表示制御部13a1により表示された画面(すなわち図26及び図27に示したような画面)において選択された症状項目に設定された質問内容を、質問内容記憶部53bから読み出して順次画面表示させるものである。この際、第2表示制御部13a2は、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる選択肢も表示させる。なお、表示される選択肢は、属性区分に応じたものであり、選択肢記憶部53cに記憶される選択肢が読み出されて表示させられる。
図28及び図29は、質問内容及び選択肢を表示する画面を示す正面図であり、図28は第1の例を示し、図29は第2の例を示している。なお、図28及び図29に示す例では、「熱がある」の症状項目が選択された場合の画面を示している。
図28に示すように、第2表示制御部13a2は、例えば「熱がある」の症状項目の質問内容として、「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」を表示する。
また、第2表示制御部13a2は、各質問に対して、属性区分に応じた選択肢を表示させる。図28に示す例では、属性区分が「13歳以上の男性」及び「13歳以上女性」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」となっている。
また、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」について選択肢は「YES」「NO」となっており、「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は「本日又は昨日」「一昨日前から6日前」「1週間以上前」となっている。
一方、図29に示す例では、属性区分が「0〜11ヶ月」「1〜3歳」及び「4〜12歳」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上39.5℃未満」「39.5℃以上」となっている。すなわち、選択肢の内容が図28に示す例と異なっている。
なお、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」及び「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は図28に示す例と同じとなっている。
さらに、図28及び図29に示すように、各選択肢には、これに隣接してチェックボックス20eが表示されている。医師は、該当する選択肢に隣接して表示されるチェックボックス20eをチェックすることにより、選択肢を選択することができる。選択後、医師は、OKボタン20fを指定することにより選択した内容を確定させ、この情報を医薬品発注装置1に認識させることとなる。
また、OKボタン20fが指定された場合には、次の症状項目に対応する質問内容及び選択肢を表示する画面が第2表示制御部13a2によって表示される。例えば医師が「熱がある」と「咳が出る」との2つの症状項目を選択していた場合、「熱がある」について質問内容及び選択肢が表示され、OKボタン20fが指定されると、第2表示制御部13a2は、次の症状項目である「咳が出る」について質問内容及び選択肢を表示させる。
そして、第2表示制御部13a2は、選択していた全ての症状項目について、質問内容及び選択肢を表示し、OKボタン20fが指定されるまで、順次症状項目について質問内容及び選択肢を表示させていく。
ここで、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものであることが好ましい。すなわち、定量質問、定性質問、及び時間質問は、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないものであることが好ましい。
上記の症状項目の区分けは医学的見地から定められている。例えば、症状項目は、上記のように、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」などと予め定められており、「咳が出る」という症状項目についての質問では、「痰」に関する質問が含まれない。すなわち、咳の項目の質問に「咳に痰が絡むか。」といったものは含まれない。
ここで、痰は通常咳と共に体外へ排出されるものである。このため、例えば予め症状項目として、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳が出る」の症状項目において「咳に痰が絡むか。」という定性質問がされることがある。すなわち、上記の「当該症状のみについて問うもの」とは、既に定められている症状項目の区分けを基本とし、1つの症状項目においては、他の症状項目の内容を問わないということである。よって、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」と症状項目が分けられている場合において「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」とは言えない。一方、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」となる。
なお、装置自体が「痰が出る」を症状項目に設定するか否かは、上記したように医学的見地から定められる。医学は日々進歩することから考えると、例えば「痰が出る」という症状は症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。他の症状についても同様に症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。
再度、図16を参照する。症状結果判断部13bは、第2表示制御部13a2により順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果に応じて、症状毎の結果を判断するものである。より詳細に症状結果判断部13bは、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢を、症状結果テーブル記憶部53dに記憶される症状結果テーブルに当てはめることで、症状毎の結果を判断する。
ここで、本実施形態において症状結果判断部13bは、回答結果を適正に調整のうえ、症状毎の結果を判断することが好ましい。回答結果については、個人差が生じることがある。例えば、「熱がある」の「現在の熱は何度か。」という定量質問に対して、実際は38℃の熱であるにも拘わらず大げさな人は「39.5℃以上」という選択肢を選択することがある。逆に控え目な人は「37.0℃以上38.5℃未満」という選択肢を選択することがある。また、大げさな人や控え目な人などのように意図的に大げさや控え目に選択する人のみならず、苦痛が大きいことに我慢できず大げさに回答したり、単なる勘違いから大げさに回答したりする人もいる。よって、本装置1は、このような病名候補の判断対象者毎の傾向を例えば係数として記憶しており、係数に応じて回答結果を適正に調整する。調整対象は、定量質問の回答結果に限らず、定性質問及び時間質問も該当する。これにより、一層適正に症状毎の結果を判断することができるからである。なお、係数については、例えば医師などにより直接入力されたものが記憶されていてもよいし、過去の本装置1の使用時の回答と実際に罹患していた病名との関係から演算式等により求められて記憶されていてもよい。
病名候補判断部13cは、病名候補テーブル記憶部53eに記憶される病名候補テーブルに、症状結果判断部13bにより判断された症状毎の結果を当てはめることで、病名の候補を判断するものである。ここで、当てはめる対象は、図23に示したような通常候補テーブルと、図24に示したような特定候補テーブルとの双方である。
上記したように、病名候補テーブルには、症状の結果それぞれに病名の候補が割り当てられている。具体的には、図23に示す通常候補テーブルにおいて結果A1の病名の候補には病名α,β,γ,δ,εが対応しており、結果B3の病名の候補には病名γ,δ,φ,εが対応している。さらに、図24に示す特定候補テーブルでは、結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補には病名γが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA1とB3となった場合、病名候補判断部13cは、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名α,β,γ,δ,ω,φ,εと判断する。特に、病名候補判断部13cは、病名γが通常候補テーブルにおける結果A1,B3との双方の候補になっており、且つ、特定候補テーブルにおける結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補にも挙がっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
さらに、もう一例説明する。例えば図23に示す通常候補テーブルにおいて結果A54の病名の候補には病名γ,δ,ω,φが対応しており、結果B1の病名の候補には病名θ,ω,εが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA54とB1となった場合、病名候補判断部13cは、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。このとき、図24の特定候補テーブルに示すように、結果A54と結果B1との組み合わせが存在せず、病名の候補が存在しない。よって、病名候補判断部13cは、通常候補テーブルのみから、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。なお、この場合において病名候補判断部13cは、病名ωが結果A54,B1との双方の候補になっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
第4表示制御部13a4は、病名候補判断部13cにより判断された病名の候補を画面表示させるものである。図30は、病名候補を示す画面の一例を示す正面図である。第4表示制御部13a4は、例えば、症状結果判断部13bにより判断された症状の結果、及び、病名候補判断部13cにより判断された病名の候補を表示する。具体的に第4表示制御部13a4は、図30に示すように、例えば「咽頭が炎症しています。医療機関の受診をお勧めします。考えられる病名としては、風邪、咽頭炎、インフルエンザが挙げられます。」と表示させる。ここで、「咽頭が炎症しています。」が症状毎の結果に該当している。症状毎の結果が複数ある場合、その全てが表示されてもよいし、図30に示すように、1つだけ表示されてもよい。また、第4表示制御部13a4は、「終了」ボタン20gについても表示させている。なお、これらの病名は、可能性が高いものから順番に表示されることが好ましい。この場合、図23の通常候補テーブルに示す病名に可能性の情報を付加しておく必要がある。すなわち、図23の結果A54について病名γはXポイント、病名δはYポイント、病名ωはZポイントなど情報を付加しておくことで、可能性が高いものから順番に表示させることができる。さらに、結果A54及びB1のように、病名ωについては結果A54の可能性のポイントと結果B1における可能性のポイントとが加算されることが好ましい。加えて、特定候補テーブルに挙げられる病名については、通常候補テーブルに記憶されるポイントよりも大きなポイントの情報が付与されており、これが加算されることとなる。従って、結果A1及び結果B3が得られている場合には、病名γのポイントが他の病名よりも圧倒的に高い数値となる。
加えて、第4表示制御部13a4は、図30に示すように、例えば「但し、確率的には低いですが、見逃してはいけない項目として天疱瘡、咽頭がんが挙げられます。」と表示させる。この場合、図23の通常候補テーブルに示す病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。例えば、図23の結果A54について病名γはxポイント、病名δはyポイント、病名ωはzポイントなど情報を付加しておく。他の結果A1〜A53等についても同様に致命度の情報を付加しておく。さらに、通常候補テーブルだけでなく、図24に示す特定候補テーブルにおいても、病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。そして、第4表示制御部13a4は、致命度が所定ポイント以上となる病名について見逃してはいけない旨を表示させる。すなわち、図30に示す例では、天疱瘡及び咽頭がんについて見逃してはいけない旨を表示させる。
医師は、画面表示される病名を認識した後に「終了」ボタン20gを指定する。その後、医師は、病態判断機能部13により判断された候補となる病名を入力することにより、病名診断機能部12を機能させる。これにより、病態判断機能部13により判断された候補となる病名が、病名診断機能部12によって絞り込まれていき、正確な病名が診断される。なお、候補となる病名は、医師による手入力に拘わらず、手入力を必要とせず自動的に入力されるようになっていてもよい。さらに、自動入力される場合には、図30に示すような表示が行われなくともよい。
加えて、個人治療データ算出部11aは、病態判断機能部13により判断された候補となる病名が、病名群テーブル記憶部52eの記憶内容に基づいて1つの病名群に属するものであると判断できる場合、その病名群を病名情報として入力して、個人治療データを算出するようにしてもよい。これにより、より一層早期に治療を行うべく医薬品発注できるからである。すなわち、医師の診察に先だって、病名群に基づいて発注を行うことで、より早期の治療を行うべく発注を行うことができることとなる。
なお、上記した病態判断機能部13は、再診時、すなわち2回目以降の治療時においても機能させられる。そして、上記したように、個人治療データ算出部11aにおける個人治療データの修正処理に用いられる。
次に、本実施形態に係る医薬品発注装置1の動作を説明する。図31及び図32は、本実施形態に係る病態判断機能部13の動作の一例を示すフローチャートであり、図31は前半部分を示し、図32は後半部分を示している。
図31に示すように、まず第3表示制御部13a3は、属性情報の入力画面を表示させる(S1)。このとき、第3表示制御部13a3は、例えば図25に示すような画面を表示させる。そして、CPU10は、属性情報が入力されたかを判断する(S2)。図25に示す例の場合、CPU10は、テキストボックス20aに生年月日が入力され、チェックボックス20bにチェックがされた状態で、「次へ」のボタン20cが指定されたかを判断することとなる。
属性情報が入力されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、属性情報が入力されたと判断した場合(S2:YES)、第1表示制御部13a1は、症状項目の選択画面を表示させる(S3)。この際、第1表示制御部13a1は、例えば図26及び図27に示すように、属性区分に応じた症状項目の選択画面を表示させる。
その後、病態判断機能部13は、症状項目が選択されたかを判断する(S4)。図26及び図27に示す例の場合、病態判断機能部13は、症状項目に隣接配置される各チェックボックス20dのうち、いずれか1つ以上がチェックされて、不図示の「次へ」のボタンが指定されたかを判断することとなる。
次いで、病態判断機能部13は、ステップS3において表示した複数の症状項目のうち、選択された数をimaxとする(S5)。すなわち、図26及び図27に示す例の場合、CPU10は、チェックされたチェックボックス20dの数をimaxとする。その後、CPU10は、変数iを「1」に初期化する(S6)。
次に、第2表示制御部13a2は、i個目の症状項目の質問及び選択肢を読み込み(S7)、読み込んだデータに基づいて質問・選択肢画面を表示させる(S8)。この際、第2表示制御部13a2は、例えば図28及び図29に示すように、属性区分に応じた選択肢を含む画面を表示させる。
その後、病態判断機能部13は、回答があったかを判断する(S9)。図28及び図29に示す例の場合、病態判断機能部13は、質問それぞれについて、選択肢に隣接するチェックボックス20eのいずれか1つがチェックされた状態で、OKボタン20fが指定されたかを判断することとなる。
回答がなかったと判断した場合(S9:NO)、回答があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、回答があったと判断した場合(S9:YES)、症状結果判断部13bは、回答調整を行う(S10)。この回答調整は、上記したように大げさに回答する人や控え目に回答する人などの傾向に基づいて行われるものであり、例えばこのような傾向を反映した係数に基づいて調整される。なお、今回処理を行っている病名候補の判断対象者に対して係数が記憶されていない場合には、回答調整処理は実行されず、処理はステップS11に移行する。
そして、症状結果判断部13bは、(調整済みの)回答に基づいて、その症状の結果を判断する(S11)。この際、症状結果判断部13bは、属性区分に応じたi個目の症状項目の症状結果テーブルを読み出し、選択された選択肢をテーブルに当てはめて、その症状の結果を判断する。
次に、病態判断機能部13は、変数iがimaxであるかを判断する(S12)。変数iがimaxでないと判断した場合(S12:NO)、CPU10は、変数iをインクリメントし(S13)、処理は図31に示したステップS7に移行する。すなわち、変数iが「1」加算され、加算後の個数目の症状項目について質問と選択肢とが読み込まれることとなる。
一方、変数iがimaxであると判断した場合(S12:YES)、病名候補判断部13cは、ステップS11にて判断された症状毎の結果が特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当するかを判断する(S14)。該当すると判断した場合(S14:YES)、病名候補判断部13cは、特定候補テーブルから特定の組み合わせに対応する病名を抽出する(S15)。そして、処理はステップS16に移行する。
一方、特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当しないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS16に移行し、病名候補判断部13cは、ステップS11において判断された症状毎の結果を図23に示した通常候補テーブルに当てはめることにより、病名の候補を抽出する(S16)。
そして、第4表示制御部13a4は、ステップS15及びステップS16において抽出された病名候補を表示させる(S17)。そして、図31及び図32に示した処理は終了する。なお、第4表示制御部13a4が図30に示したような画面を表示していた場合には、操作者が「終了」ボタン20gを指定することにより、図31及び図32に示した処理は終了することとなる。また、図30に示すように、病名の候補のみならず症状毎の結果についても表示させることが好ましい。
図33は、本実施形態に係る病名診断機能部12の動作の一例を示すフローチャートである。図33に示すように、まずCPU10は病名の候補が入力されたかを判断する(S21)。ここでは手入力されたかが判断されもよいし、図32に示したステップS13において判断された病名の候補が自動入力されたかが判断されもよい。病名の候補が入力されていないと判断した場合(S21:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
一方、病名の候補が入力されたと判断した場合(S21:YES)、第1提示部12aは、診察行為記憶部52aに記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した診察行為を抽出し医師に提示する(S22)。これにより、医師による診察行為が行われ、身体所見が得られることとなる。
次に、病名診断機能部12は、ステップS22において提示した診察行為に対応する身体所見の情報が入力されたかを判断する(S23)。身体所見の情報が入力されていないと判断した場合(S23:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
身体所見の情報が入力されたと判断した場合(S23:YES)、第1絞り込み部12bは、身体所見記憶部52bに記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した身体所見が得られているかを判断し、候補となる病名の絞り込みを行う(S24)。
次に、第2提示部12cは、ステップS24において絞り込まれた病名を確定するための検査を、検査記憶部52cから抽出して医師に提示する(S25)。これにより、患者に対して検査が実施されることとなる。
その後、病名診断機能部12は、ステップS25において提示した検査に対応する結果の情報が入力されたかを判断する(S26)。検査結果の情報が入力されていないと判断した場合(S26:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。なお、ここでの検査結果は医師による手入力でなくともよく、検査装置等から自動入力されるようになっていてもよい。
検査結果の情報が入力されたと判断した場合(S26:YES)、第2絞り込み部12dは、検査結果記憶部52dに記憶される記憶内容に基づいて、第1絞り込み部12bにより絞り込まれた病名に対応した検査結果が得られているかを判断し、更に絞り込みを行う(S27)。
その後、第3提示部12eは、ステップS27において得られた最終結果FRを医師に提示する(S28)。この第3提示部12eは、最終結果FRとして1つの診断病名を提示する場合に限らず、何の病名も当てはまらない旨を提示するようになっていてもよいし、複数の診断病名を提示するようになっていてもよい。
図34は、本実施形態に係る医薬品発注機能部11の動作の一例を示すフローチャートであり、個人治療データの作成処理を示している。図34に示すように、まず医薬品発注機能部11は、特定の患者について病名又は病名群を示す病名情報が入力されたかを判断する(S31)。ここでは手入力されたかが判断されもよいし、図32に示したステップS17において抽出された病名の候補が1つの病名群に属すると判断できる場合には、その病名群の情報が病名情報として自動入力されたかが判断されもよい。加えて、図33に示したステップS24において第1絞り込み部12bにより絞り込まれた候補となる病名についても同様に、1つの病名群に属すると判断できる場合には、その病名群の情報が病名情報として自動入力されたかが判断されもよい。さらには、ステップS27において第2絞り込み部12dにより絞り込まれた最終結果FRの病名の情報が病名情報として自動入力されたかが判断されもよい。
病名情報が入力されていないと判断した場合(S31:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、入力されたと判断された場合(S31:YES)、医薬品発注機能部11は、初期治療日が入力されたかを判断する(S32)。初期治療日が入力されたと判断された場合(S32:YES)、初期治療日設定部11eは、初期治療日を指定された日に設定する(S33)。そして、処理はステップS35に移行する。
一方、初期治療日が入力されていないと判断された場合(S32:NO)、初期治療日設定部11eは、初期治療日を本日(病名情報の入力日)に設定する(S33)。そして、処理はステップS35に移行する。
ステップS35において個人治療データ算出部11aは、ステップS33,34において設定された初期治療日を基準にして、図5に示すデータ読み出し、個人治療データを作成する(S35)。そして、図34に示す処理は終了する。なお、作成された個人治療データは、例えば第1記憶領域51に記憶される。そして、この特定の患者に関しては、作成された個人治療データに基づいて、投薬等が行われる。
図35は、本実施形態に係る医薬品発注機能部11の動作の一例を示すフローチャートであり、個人治療データの修正等の処理を示している。まず、再診時など、第2回目以降の治療時には、図35に示す処理が実行される。まず、図35に示すように、病態確認処理が実行される(S41)。病態確認処理では、図31及び図32に示したステップS1〜S13の処理が実行される。これにより、症状毎の結果やその組み合わせの情報が得られることとなる。
次いで、個人治療データ算出部11aは、ステップS41にて得られた情報が、第2回目以降の治療の対象となる患者の延期条件に該当するかを判断する(S42)。延期条件に該当すると判断した場合(S42:YES)、個人治療データ算出部11aは、個人治療データの延期処理を実行する(S43)。ステップS43では、今回以降の治療が延期されるように処理が実行される。
ステップS43について詳細に説明する。例えば患者Aについて、4月1日に医薬品aが数量aa必要であり、4月22日に医薬品bが数量bb必要あり、5月13日に医薬品cが数量cc必要である、などの個人治療データが算出されていたとする。そして、2回目の治療日である4月22日に、延期処理が実行されるとする。この場合、個人治療データ算出部11aは、今回以降の治療を延期する。すなわち、上記例の場合、個人治療データ算出部11aは、2回目の治療日である4月22日と、3回目の治療日である5月13日の双方を延期する。そして、個人治療データ算出部11aは、例えば2回目の治療日を4月27日とし、3回目の治療日を5月18日とする。すなわち、5日の延期期間を設ける。なお、この例では延期期間を5日としたが、5日に限られるものではない。例えば、延期期間の情報は、図5に示した延期条件の情報内において症状毎の結果やその結果の組み合わせの情報と対応付けて記憶されており、個人治療データ算出部11aは、該当した延期条件と対応付けられている延期期間の情報に基づいて延期処理を行う。そして、図35に示す処理は終了する。なお、延期処理が実行された個人治療データは、過去に作成等された個人治療データに上書きされて第1記憶領域51に記憶される。
延期条件に該当しないと判断した場合(S44:NO)、個人治療データ算出部11aは、第2回目以降の治療の対象となる患者の予想経過に該当するかを判断する(S44)。予想経過に該当すると判断した場合(S44:YES)、図35に示す処理は終了する。すなわち、当初の予想の通り、順調に病態が改善されていることから、個人治療データ算出部11aは、個人治療データの修正を行うことなく、図35に示す処理は終了する。
予想経過に該当しないと判断した場合(S44:NO)、個人治療データ算出部11aは、第2回目以降の治療の対象となる患者の良好経過又は不良経過に該当するかを判断する(S45)。良好経過又は不良経過に該当すると判断した場合(S45:YES)、個人治療データ算出部11aは、個人治療データの修正処理を実行する(S46)。
ステップS46の修正処理について詳細に説明する。例えば患者Aについて、4月1日に医薬品aが数量aa必要であり、4月22日に医薬品bが数量bb必要あり、5月13日に医薬品cが数量cc必要である、などの個人治療データが算出されていたとする。そして、2回目の治療日である4月22日に、良好経過に基づく修正処理が実行されるとする。この場合、個人治療データ算出部11aは、図5に示した良好経過の情報内において症状毎の結果やその結果の組み合わせの情報と対応付けて記憶されている修正情報を読み出す。次いで、個人治療データ算出部11aは、修正情報に基づいて修正を行う。このとき、修正情報には、治療間隔を広げる旨の情報及び広げる日数の情報、及び、投薬量を減らす旨の情報及び減らす量の情報、の少なくとも一方が格納されている。個人治療データ算出部11aは、このような修正情報に基づいて修正を行う。例えば、個人治療データ算出部11aは、2回目の治療日である4月22日における投薬量を数量bbから数量aaに減少させ、且つ、3回目の治療日である5月13日を5月23日としたうえで投薬量を数量ccから数量ddに減少させる。
また、個人治療データ算出部11aは、不良経過に基づく修正処理についても、上記と同様にして修正を行う。なお、修正処理が実行された個人治療データは、過去に作成等された個人治療データに上書きされて第1記憶領域51に記憶される。
修正処理(S46)の終了後、図35に示す処理は終了する。一方、良好経過及び不良経過の双方に該当しないと判断した場合(S45:NO)、図35に示す処理は終了する。
図36は、本実施形態に係る医薬品発注機能部11の動作の一例を示すフローチャートであり、発注処理を行うまでの処理を示している。まず、図36に示すように、総治療データ算出部11bは、記憶されている個人治療データを複数人の患者分(医療機関における患者全員分)読み込む(S51)。
次いで、総治療データ算出部11bは、ステップS51において読み込んだ患者複数人分の個人治療データを統合して、総治療データを算出する(S52)。次に、発注量判断部11cは、在庫記憶部51bから在庫情報を読み込む(S53)。そして、発注量判断部11cは、ステップS52にて算出した総治療データと、ステップS53において読み込んだ在庫情報とに基づいて、発注する医薬品の種類及び数量を判断する(S54)。
その後、発注部11dは、ステップS54において判断した医薬品の種類及び数量を発注すべく発注処理を実行する(S55)。これにより、通信I/F部30を通じて医薬品メーカ等に発注データが送信されたり、発注用のデータが作成されて操作者が当該データを送信又はプリントアウトできる状態とされたりする。そして、図36に示す処理は終了する。
図37は、本実施形態に係る医薬品発注機能部11の動作の一例を示すフローチャートであり、医薬品情報受付部11f及び在庫管理部11gの処理を示している。図37に示すように、まず、医薬品情報受付部11fは、使用又は破棄した医薬品の種類及び数量の情報について入力を受け付けたかを判断する(S61)。
受け付けていないと判断した場合(S61:NO)、処理はステップS53に移行する。一方、受け付けたと判断した場合(S61:YES)、在庫管理部11gは、医薬品情報受付部11fにより受け付けられた医薬品の種類及び数量の情報に基づいて、在庫記憶部51bの記憶内容を調整する(S62)。すなわち、使用又は破棄分を減算処理する。そして、処理はステップS63に移行する。
ステップS53において、医薬品情報受付部11fは、発注処理等を経て、医療機関等にて追加された医薬品の種類及び数量の情報の入力を受け付けたかを判断する(S63)。受け付けていないと判断した場合(S63:NO)、図37に示す処理は終了する。
一方、受け付けたと判断した場合(S63:YES)、在庫管理部11gは、医薬品情報受付部11fにより受け付けられた医薬品の種類及び数量の情報に基づいて、在庫記憶部51bの記憶内容を調整する(S64)。すなわち、追加分を増加処理する。そして、図37に示す処理は終了する。
このようにして、本実施形態に係る医薬品発注装置1、病名診断プログラム、及び、当該プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体によれば、患者を治療するにあたり必要となる医薬品の種類及び数量並びに医薬品の使用時期を示す個人治療データを算出し、これを患者複数人分統合して総治療データを算出し、総治療データと在庫情報とに基づいて、発注する医薬品の種類及び数量を判断する。そして、判断された医薬品の種類及び数量の発注を行う。このため、病気や病名群に基づいて今後必要となる医薬品が判断されることとなり、必要となる医薬品の種類及び数量に基づいて発注が行われることとなる。よって、将来的に患者が使用する医薬品の種類及び数量を予測して発注することができる。
また、患者の年齢及び性別の少なくとも一方からなる属性情報が属する属性区分に基づいて、個人治療データを算出する。ここで、使用する医薬品やその数量及び使用時期は年齢や性別によって異なってくる。一例を挙げると、例えば抗がん剤治療を行う場合、高齢者には抗がん剤治療による負担が大きいため、使用する抗がん剤の量が少なくなる傾向にある。よって、上記属性情報を加味して上記の如く使用する医薬品の種類、数量及び使用時期を算出することで、発注する医薬品の数量について正確性を向上させることができる。
また、各患者の第1回目の治療となる初期治療日を設定し、これを加味して総データを算出する。ここで、医薬品は、例えば空きベットの数や投薬の際に使用する機材などの関係上、即日投与される場合に限らず数日後に投与される場合もある。よって、第1回目の治療となる初期治療日を設定し、これを加味して医薬品の種類、数量及び使用時期を算出することで、発注内容の正確性を向上させることができる。
また、使用又は破棄した医薬品の種類及び数量の情報について入力を受け付け、これに基づいて在庫情報を調整するため、使用された医薬品や破棄された医薬品の情報を更新することができる。
また、候補となる病名が入力された場合に行うべき診察行為を抽出して医師に提示するため、医師による勘違いや記憶違いによる誤った診察行為が行われてしまうことを防止することができる。また、診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、入力された候補となる病名の絞り込みを行い、絞り込まれた病名に対して行うべき検査を抽出して医師に提示するため、医師による勘違いや記憶違いによる誤った検査が行われてしまうことを防止することができる。さらに、検査結果が入力された場合に、絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行うため、最終的な病名の診断についても誤りを防止することができる。従って、病名をより精度良く診断することができる。そして、このように精度良く判断された病名に基づいて、複数人の患者の治療に必要となる医薬品の種類、数量及び使用時期を示す総データが算出されるため、発注内容の正確性についても向上させることができる。
また、第1絞り込み部12bにより絞り込まれた病名が、1つの病名群に属するものである場合、当該病名群の情報を病名情報として入力して、必要となる医薬品の種類、数量及び使用時期を算出する。ここで、上記によれば、第1絞り込み手段による絞り込みの後には検査が行われることとなるが、検査には検査結果が出るまで長期の時間を要することもあり、このような場合には検査結果が待たれることなく、現状わかっている患者の状態に基づいて治療が開始されることがある。このような場合に、病名群に基づいて発注を行うことで、より適切な治療を行うべく発注を行うことができる。
また、質問内容は、症状項目が示す症状について、量を問う定量質問と、性質を問う定性質問と、時間を問う時間質問とからなる。ここで、本件発明者は、医学的見地に基づいて、定量的、定性的、及び時間的の3つの観点から、症状そのものの重篤度等を判断し、これを統合することで漏れが無く病名の候補を抽出できることを見出した。すなわち、本件発明者は、一般に医者による誤診が、例えば量だけを問い、時間や性質などを問うことなく決めつけてしまうことなどによって発生することを見出した。よって、3つの観点の質問について回答を入力させることで、症状の結果(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)など)をより正確に判断することができ、これらの結果を統合して病名の候補を判断することで、病名候補をより精度良く判断することができる。加えて、このように精度が高い病名候補が1つの病名群に属するものである場合、この病名群に基づいて発注を行うことで、医師による診察を経ることなく、適切な治療を早期に行うべく発注を行うことができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
例えば、本実施形態に係る医薬品発注装置1は、パーソナルコンピュータ1台により実現されているが、これに限らず、複数台のコンピュータをネットワーク接続して実現されるシステムも含む概念である。
また、本実施形態において医薬品発注装置1を機能させるためのプログラムは、ROM10a、HDD50、USB、及び他の装置の記録媒体に限らず、CD−ROM、CD−Rなどの他の種類の記録媒体に格納されていてもよい。
さらに、本実施形態において医薬品発注装置1において属性情報は年齢及び性別の双方に限らず、いずれか一方であってもよい。また、属性情報の入力を要せず、全年齢及び性別に対応するように装置1を構築してもよい。加えて、属性情報として、患者の重篤度を示す情報があってもよい。この場合、重篤度に応じて基本データ記憶部51aの記憶内容が追加されることはいうまでもない。
さらに、本実施形態に係る病態判断機能部13において、選択される症状項目が少なくとも2つ以上なければエラーとなりそれ以降の処理が実行されないようになっていてもよい。
また、上記実施形態において定量質問、定性質問及び時間質問の内容は、属性区分間で共通のものとしているが、これに限らず、属性区分に応じて異なるものとすることが好ましい。
加えて、上記した診察行為記憶部52a、身体所見記憶部52b、検査記憶部52c、及び、検査結果記憶部52dについても、属性情報に応じて異なる内容のものが記憶されていてもよい。
さらには、第1絞り込み部12bは、第2表示制御部13a2により順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果の情報のうち少なくとも1つを、第1提示部12aにより提示された診察行為に応じた身体所見の情報として入力して、身体所見記憶部52bの記憶内容に基づいて、入力された病名の候補の絞り込みを行うようになっていてもよい。すなわち、一例を挙げると、図13に示すように、「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1については、例えば図26及び図27に示すような症状項目の選択時の情報に基づいて、入力項目IT1の「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方が選択済みになっていてもよい。選択済みになっている場合には、診察行為内容AC1と選択済みである入力項目IT1が医師に提示されてもよいし提示されなくてもよい。
これにより、例えば「熱が○○℃以上ある。」などの既に病態判断機能部13において入力済みの情報を再度診察する必要が無く、スムーズな病名の診断につなげることができるからである。
加えて、医薬品発注装置1の病名診断機能部12は、特定条件判断部を備えると共に、特定条件記憶部を備えるようになっていることが好ましい。ここで、特定条件記憶部には、特定の病気における症状の順番を示すデータが記憶されている。例えば川崎病では、まず発熱が起こり、その後目ヤニが出ない結膜の充血等が発生する。本実施形態においては病態判断機能部13において時間質問が行われることから、発熱後に結膜の充血が発生したかを判断することができる。すなわち、特定条件判断部は、病態判断機能部13における時間質問の回答から、例えば「発熱後に結膜の充血が発生した」という特定条件に当てはまるかを判断し、当てはまる場合には、川崎病(特定の病気)を病名の候補に追加してもよい。さらには、症状の順番が「結膜の充血後に発熱した」という川崎病と逆になっている場合には、第1及び第2絞り込み部12b,12dのいずれか一方において、川崎病が排除されるように絞り込みが行われるようになっていてもよい。加えて、川崎病には、結膜の充血時に目ヤニが出ないことも特徴であることから、上記に定性質問の回答結果を絡めるようにしてもよい。