JP2016166315A - トルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体 - Google Patents

トルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体 Download PDF

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Abstract

【課題】原料としてα−トルキシル酸誘導体が用いられているポリマーと対比して各種有機溶媒に対する溶解性に優れ、さらに当該ポリマーと対比して柔軟性にも優れているトルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体を提供する。
【解決手段】式(I)で表わされる基を有する繰返し単位を含有するトルキシン酸系ポリマー。
Figure 2016166315

〔R1及びR2は各々独立に、−OR3基、−SR3基又は−NHR3基(R3はアルキル基、アルケニル基或いはアリール基)〕
【選択図】なし

Description

本発明は、トルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、航空宇宙分野、自動車産業、鉄道車両、船舶などの用途で耐熱性に優れた樹脂として使用することが期待されるトルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体に関する。
一般にポリイミド、ポリアミドなどのポリマーは、原料の石油から製造されている。石油を原料としないバイオポリマーとして、微生物由来の化合物である4−アミノ桂皮酸の光二量化反応によってα−トルキシル酸誘導体を調製し、当該α−トルキシル酸誘導体を原料として用いてポリマーを調製することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
前記α−トルキシル酸誘導体は、式:
Figure 2016166315
(式中、Xは−OR基、−SR基または−NHR基、Rはアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)
で表わされる構造を有し、2つのアミノ基は、直線上に並んでいることから、当該α−トルキシル酸誘導体が原料として用いられたポリアミド、ポリイミド、ポリ尿素などのポリマーは、剛直であり、熱力学的性質に優れている。
しかし、前記α−トルキシル酸誘導体が原料として用いられたポリマーは、2つのアミノ基が直線上に並んでいることに起因して非常に剛直であり、各種有機溶媒に対する溶解性に劣るという欠点がある。
国際公開第2013/073519号パンフレット
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、原料としてα−トルキシル酸誘導体が用いられているポリマーと対比して各種有機溶媒に対する溶解性に優れ、さらに当該ポリマーと対比して柔軟性にも優れているトルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) 式(I):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる基を有する繰返し単位を含有することを特徴とするトルキシン酸系ポリマー、
(2) 式(Ia):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる4,4’−ジアミノトルキシン酸誘導体、
(3) 式(II):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸誘導体、および
(4) 式(VII):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体
に関する。
本発明によれば、原料としてα−トルキシル酸誘導体が用いられているポリマーと対比して各種有機溶媒に対する溶解性に優れ、さらに当該ポリマーと対比して柔軟性にも優れているトルキシン酸系ポリマーおよびその製造中間体が提供される。
実施例1で得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドのマススペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドのマススペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルのマススペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。
実施例1で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルのマススペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチルの1H-NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例3で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミドの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例3で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミドの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例3で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例3で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。
実施例4で得られた4−ニトロ桂皮酸メチルの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4−ニトロ桂皮酸メチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4−ニトロ桂皮酸メチルのマススペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルのマススペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルの13C−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルのマススペクトルを示すグラフである。 実施例5で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。
実施例5で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。 実施例5で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例5で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。 実施例6で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例6で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。 実施例7で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例7で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。 実施例8で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例8で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。 実施例8で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの示差走査熱量分析の結果を示すグラフである。
実施例9で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例9で得られたδ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例9で得られたδ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。 実施例10で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシン酸ジメチル−アミド酸ターポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例10で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシン酸ジメチル−イミドターポリマーの1H−NMR(核磁気共鳴)スペクトルを示すグラフである。 実施例10で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシン酸ジメチル−イミドターポリマーの熱重量−示差熱分析の結果を示すグラフである。
本発明のトルキシン酸系ポリマーは、前記したように、式(I):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる基を有する繰返し単位を含有することを特徴とする。
式(I)で表わされるトルキシン酸系ポリマーの原料として、式(Ia):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3は前記と同じ)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる4,4’−ジアミノトルキシン酸誘導体を用いることができる。
式(Ia)で表わされる4,4’−ジアミノトルキシン酸誘導体は、4−アミノ桂皮酸またはその誘導体の二量体を基本構造としている。4−アミノ桂皮酸またはその誘導体の二量体に由来するカルボキシル基が当該4,4’−ジアミノトルキシン酸誘導体が有するアミノ基(−NH2基)と反応することを回避するために、保護基としてR1およびR2によって保護されている。
1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3は前記と同じ)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す。アルキル基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、炭素数2〜8のアルケニル基が挙げられる。また、アリール基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
式(Ia)で表わされる4,4’−ジアミノトルキシン誘導体としては、例えば、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルなどの4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステル、4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルなどの4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエステルなどが挙げられる。
以下に、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステルおよび4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエステルの調製方法について説明する。
〔4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステルの調製〕
(1)出発物質
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステルの出発物質として、4−ニトロ桂皮酸を用いることができる。
(2)4−ニトロ桂皮酸誘導体の調製
4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルは、4−ニトロ桂皮酸とアルコールとを反応させることによって調製することができる。
アルコールとしては、例えば、式:R3OH(R3は前記と同じ)で表わされるアルコール、式:R3SH(R3は前記と同じ)で表わされるチオアルコール、式:NHR3OH(R3は前記と同じ)で表わされるアルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
以下に、4−ニトロ桂皮酸誘導体の調製方法の代表例として、1価の脂肪族アルコールを用いて4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルを調製する場合について説明するが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1価の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が1〜8の1価の脂肪族アルコールなどが挙げられる。1価の脂肪族アルコールの炭素数は、1〜8であるが、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1または2である。
4−ニトロ桂皮酸と1価の脂肪族アルコールとは、化学量論的に反応が進行するので、4−ニトロ桂皮酸が有するカルボキシル基を十分にエステル化させる観点から、4−ニトロ桂皮酸に対し、1価の脂肪族アルコールを過剰量で用いることが好ましい。
なお、4−ニトロ桂皮酸と1価の脂肪族アルコールとを反応させる際には、両者の反応を促進させる観点から、例えば、硫酸などの酸を適量で用いることが好ましい。
4−ニトロ桂皮酸と1価の脂肪族アルコールとの反応温度は、特に限定されないが、両者の反応を促進させる観点から、室温〜還流温度であることが好ましい。また、反応の際の雰囲気は、大気であってもよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
4−ニトロ桂皮酸と1価の脂肪族アルコールとの反応時間は、反応温度などの反応条件などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜5時間程度である。
4−ニトロ桂皮酸と1価の脂肪族アルコールとの反応によって生成した4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルは、濾過により回収することができ、必要により、減圧下で1価の脂肪族アルコールを除去してもよい。
(3)4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸誘導体の調製
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルに波長が250〜400nm程度の紫外線を照射することにより、4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルを調製することができる。
4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルに紫外線を照射する際、4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルは、あらかじめ有機溶媒に分散させておくことが好ましい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサンなどの炭素数6〜12の脂肪族炭化水素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、有機溶媒の量は、特に限定されず、通常、4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルを十分に分散させることができる量であればよい。
4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルに紫外線を照射する際の光源としては、例えば、高圧水銀灯などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルに紫外線を照射する時間は、光源の種類、紫外線強度などによって異なるので一概には決定することができないことから、目的とする4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルが充分に生成するまで4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルに紫外線を照射することが好ましい。
以上のようにして4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルに紫外線を照射することにより、4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルを得ることができる。
なお、4−ニトロ桂皮酸アルキルエステルを有機溶媒に分散させた場合には、濾過により、生成した4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルを回収することができる。回収された4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルは、必要により、減圧乾燥させてもよい。
(4)4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸誘導体の調製
次に、前記で得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルを還元させることにより、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジアルキルを得ることができる。4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルの還元は、例えば、水素還元などによって行なうことができる。
4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルの水素還元は、例えば、パラジウム炭素触媒などの触媒の存在下で、メタノール、エタノールなどの有機溶媒中で行なうことができる。なお、4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルを水素還元させる際には、4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルの還元を促進させる観点から、室温〜60℃程度の温度で水素還元を行なうことが好ましい。
4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジアルキルの水素還元は、通常、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジアルキルが充分に生成するまで行なうことが好ましい。
前記で得られた4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジアルキルは、濾過などの手段によって有機溶媒と分離した後、必要により、減圧乾燥させてもよい。
以上の説明では、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸誘導体が4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジアルキルである場合について説明したが、以下の式(II)において、R1およびR2がアルキルオキシ基以外の基である4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸誘導体についても前記と同様にして調製することができる。
以上のようにして、式(II):
Figure 2016166315
(式中、R1およびR2は前記と同じ)
で表わされる4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸誘導体が得られる。
〔4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体の調製〕
(1)出発物質
4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジアルキルの出発物質として、4−ニトロ桂皮酸を用いることができる。
(2)4−ニトロ桂皮酸エステルの調製
4−ニトロ桂皮酸エステルは、例えば、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドの存在下で4−ニトロ桂皮酸とアルコールとを反応させることによって調製することができる。
前記アルコールとしては、例えば、シクロヘキシルアルコールなどの炭素数6〜12の1価のシクロアルキルアルコール、フェノールなどの炭素数6〜12の1価のアリールアルコール、N−ヒドロキシコハク酸イミドなどの水酸基含有コハク酸イミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、本明細書においては、便宜上、水酸基を有する化合物をアルコールと称することにする。
4−ニトロ桂皮酸1モルあたりのアルコールおよびN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドの量は、それぞれ、1.5〜2.5モル程度であることが好ましい。
4−ニトロ桂皮酸とアルコールとを反応させる際には、有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。溶媒の量は、特に限定されないが、通常、4−ニトロ桂皮酸とアルコールとN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドとの合計量100質量部あたり、200〜500質量部程度であることが好ましい。
4−ニトロ桂皮酸とアルコールとの反応温度は、特に限定されないが、反応を促進させる観点から、室温〜還流温度であることが好ましい。また、反応の際の雰囲気は、大気であってもよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
4−ニトロ桂皮酸とアルコールとの反応時間は、反応温度などの反応条件などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、1〜5時間程度である。
4−ニトロ桂皮酸とアルコールとを反応させることにより、例えば、式(III):
Figure 2016166315
(式中、R4は炭素数6〜12の1価のシクロアルキルオキシ基、炭素数6〜12の1価のアリールオキシ基またはN−オキシコハク酸イミド基を示す)
で表わされる4−ニトロ桂皮酸誘導体を得ることができる。
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸誘導体は、濾過により回収することができ、必要により、2−プロパノールなどの有機溶媒で洗浄してもよい。
以上のようにして4−ニトロ桂皮酸誘導体を調製することができる。なお、例えば、アルコールとしてN−ヒドロキシコハク酸誘導体を用いて4−ニトロ桂皮酸コハク酸誘導体を調製した場合には、4−ニトロ桂皮酸誘導体として4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルを得ることができる。
以下では、便宜上、4−ニトロ桂皮酸エステルとして4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルを用いた場合についた説明する。
(3)4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルの調製
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルに波長が250〜400nm程度の紫外線を照射することにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルを調製することができる。
4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルに紫外線を照射するにあたり、4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルは、あらかじめ溶媒としてベンゼンに懸濁させておくことが好ましい。有機溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどがあるが、ベンゼンを用いた場合には、意外なことに4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルなどの4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエステルを効率よく調製することができることが見出された。ベンゼンの量は、特に限定されないが、4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルを十分に分散させる観点から、4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステル100質量部あたり1000〜2000質量部程度であることが好ましい。
4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルに紫外線を照射する際の光源としては、例えば、高圧水銀灯などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルに紫外線を照射する時間は、光源の種類、紫外線強度などによって異なるので一概には決定することができないことから、目的とする4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルが充分に生成するまで4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルに紫外線を照射することが好ましい。
以上のようにして4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルに紫外線を照射することにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルを得ることができる。
なお、4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルを有機溶媒に分散させた場合には、濾過により、生成した4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルを回収することができる。回収された4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルは、必要により、減圧乾燥させてもよい。
以上の説明においては、アルコールとしてN−ヒドロキシコハク酸イミドを用いた場合について説明したが、N−ヒドロキシコハク酸イミド以外のアルコールを用いた場合にも、前記と同様にして式(IV):
Figure 2016166315
(式中、R4は前記と同じ)
で表わされる4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体を得ることができる。
なお、式(IV)において、前記したように、R4は、炭素数6〜12の1価のシクロアルキルオキシ基、炭素数6〜12の1価のアリールオキシ基またはN−オキシコハク酸イミド基である。前記コハク酸イミド基としては、例えば、式(V):
Figure 2016166315
で表わされる基などが挙げられる。
生成した4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルは、濾過することによって回収し、回収された4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルは、必要により、減圧乾燥させてもよい。
(4)4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体の調製
次に、前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルと、R3OH(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)で表わされるアルコール、式:R3SH(R3は前記と同じ)で表わされるチオアルコール、式:R3NH2(R3は前記と同じ)で表わされる脂肪族アミンまたは芳香族アミンとを反応させることにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体を得ることができる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が1〜8、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である1価の脂肪族アルコール、ニトロ基、アミノ基などの置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリールアルコールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルと、アルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンとは、化学量論的に反応が進行するので、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルが有するエステル基を十分にエステル化させる観点から、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルに対し、アルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンを過剰量で用いることが好ましい。
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルと、アルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンとの反応温度は、特に限定されないが、両者の反応を促進させる観点から、室温〜還流温度であることが好ましい。また、反応の際の雰囲気は、大気であってもよく、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルと、アルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンとの反応時間は、反応温度などの反応条件などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、15〜30時間程度である。
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルと、アルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンとの反応によって生成した4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジアルキルは、濾過により回収することができ、必要により、減圧下でアルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンを除去してもよい。
以上のようにして4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドエステルと、アルコール、チオアルコール、脂肪族アミンまたは芳香族アミンとを反応させることにより、例えば、式(VI):
Figure 2016166315
〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
で表わされる4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体を得ることができる。
(5)4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体の調製
次に、前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体を還元させることにより、4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体を得ることができる。4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体の還元は、例えば、水素還元などによって行なうことができる。
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体の水素還元は、例えば、パラジウム炭素触媒などの触媒の存在下で、例えば、メタノール、エタノールなどの有機溶媒中で行なうことができる。なお、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体を水素還元反応させる際には、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体の還元反応を促進させる観点から、室温〜80℃程度の温度で水素還元することが好ましい。
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体の還元は、通常、4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体が生成するまで行なうことが好ましい。
以上のようにして得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体は、濾過などの手段によって有機溶媒と分離した後、必要により、減圧乾燥させてもよい。
以上のようにして4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸誘導体を水素還元させることにより、式(VII):
Figure 2016166315
(式中、R1およびR2は、前記と同じ)
で表わされる4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエステルを得ることができる。
〔トルキシン酸系ポリマーの調製〕
トルキシン酸系ポリマーは、式(I)で表わされる基を有する繰返し単位を含有する。
式(I)で表わされる基を構成単位として有するトルキシン酸系ポリマーとしては、例えば、式(VIII):
Figure 2016166315
(式中、R1およびR2は、前記と同じ。R7およびR8は、それぞれ独立して、炭素数4〜6のシクロアルキル基またはアセトアミド基を示す)
で表わされる繰返し単位を有するトルキシン酸誘導体−アミドコポリマー、式(IX):
Figure 2016166315
(式中、R1およびR2は、前記と同じ)
で表わされる繰返し単位を有するトルキシン酸誘導体−イミドコポリマー、式(X):
Figure 2016166315
(式中、R1およびR2は、前記と同じ)
で表わされる繰返し単位を有するトルキシン酸誘導体−尿素コポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
トルキシン酸系ポリマーは、例えば、以下のようにして調製することができる。
(1)β−トルキシン酸誘導体−イミドコポリマーの調製
β−トルキシン酸誘導体−アミド酸コポリマーは、例えば、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステルおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物をジメチルアセトアミドに溶解させた後、得られた溶液を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で撹拌し、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステルとシクロブタンテトラカルボン酸二無水物とを反応させることによって得ることができる。
前記で得られた反応溶液をメタノールに滴下することにより、再沈殿を行ない、β−トルキシン酸誘導体−アミド酸コポリマーを得ることができる。
次に、前記で得られたβ−トルキシン酸誘導体−アミド酸コポリマーを例えば、ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液を100〜300℃程度の温度に加熱することにより、β−トルキシン酸誘導体−イミドコポリマーを得ることができる。
(2)β−トルキシン酸誘導体−アミドコポリマーの調製
β−トルキシン酸誘導体−アミドコポリマーは、例えば、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジエステルと4,4’−ジアセトアミド−α−トルキシル酸を亜リン酸トリフェニルおよびピリジンの存在下でN−メチルピロリドンなどの有機溶媒中で重縮合させることによって得ることができる。
得られた反応溶液を水中に滴下することにより、再沈殿を行ない、濾過し、必要により、乾燥させることにより、生成したβ−トルキシン酸誘導体−アミドコポリマーを回収することができる。
(3)β−トルキシン酸エステル−尿素コポリマーの調製
β−トルキシン酸エステル−尿素コポリマーは、例えば、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルおよび1,3−フェニレンジイソシアネートをジメチルアセトアミドに溶解せさ、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で撹拌し、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルと1,3−フェニレンジイソシアネートとを反応させることによって得ることができる。得られた反応溶液をメタノールなどの有機溶媒に滴下することにより、生成したβ−トルキシン酸エステル−尿素コポリマーを再沈殿させて回収し、乾燥させることにより、生成したβ−トルキシン酸エステル−尿素コポリマーを回収することができる。
(4)δ−トルキシン酸エステル−アミドコポリマーの調製
δ−トルキシン酸エステル−アミドコポリマーは、例えば、4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエステルおよび4,4’−ジアセトアミド−α−トルキシル酸を亜リン酸トリフェニルおよびピリジンの存在下でN−メチルピロリドン中にて重縮合を行なうことによって得ることができる。得られた反応溶液を水中に滴下することにより、再沈殿させ、得られた沈殿物を減圧乾燥させることにより、δ−トルキシン酸エステル−アミドコポリマーを回収することができる。
(5)δ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーの調製
δ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーは、例えば、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物をジメチルアセトアミドに溶解させた後、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で撹拌し、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドとシクロブタンテトラカルボン酸二無水物とを反応させることによって得ることができる。得られた反応溶液をエタノール中に滴下し、再沈殿させることにより、δ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーを回収することができる。
次に、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーをジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に溶解させた後、得られた溶液を100〜300℃程度の温度に加熱することにより、δ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーを得ることができる。
(6)δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−イミドターポリマーの調製
δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−アミド酸ターポリマーは、例えば、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド、4,4’−ジアミノ−α−トルキシル酸ジエステルおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物をジメチルアセトアミドなどの有機溶媒中に溶解させた後、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で撹拌し、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド、4,4’−ジアミノ−α−トルキシル酸ジエステルおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を反応させることによって得ることができる。得られた反応溶液をエタノール中に滴下し、生成したδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−アミド酸ターポリマーを再沈殿させることにより、回収することができる。
次に、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−アミド酸ターポリマーを例えば、ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒に溶解させ、得られた溶液を100〜300℃程度の温度に加熱することにより、δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−イミドターポリマーを得ることができる。
本発明のトルキシン酸系ポリマーが式(I)で表わされる繰返し単位を有することは、例えば、1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル、13C−核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤外吸収(IR)スペクトル、質量分析などにより、容易に確認することができる。
本発明のトルキシン酸系ポリマーの数平均分子量は、原料としてα−トルキシル酸誘導体が用いられているポリマーと対比して各種有機溶媒に対する溶解性および柔軟性を向上させる観点から、好ましくは1万〜100万、より好ましくは5万〜50万である。本発明のトルキシン酸系ポリマーの数平均分子量は、以下の実施例に記載の方法に基づいて測定したときの値である。
以上のようにして得られる本発明のトルキシン酸系ポリマーは、原料としてα−トルキシル酸誘導体が用いられているポリマーと対比して各種有機溶媒に対する溶解性に優れ、さらに当該ポリマーと対比して柔軟性にも優れていることから、例えば、航空宇宙分野、自動車産業、鉄道車両、船舶などの用途に使用することが期待されるものである。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の各実施例で得られた化合物の物性は、以下の方法に基づいて調べた。
1H−NMRおよび13C−NMR〕
・測定装置:核磁気共鳴分光装置(ブルカー社製、商品名:AVANCE III)
〔ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)〕
・測定装置:昭和電工(株)製、商品名:Shodex−101
・測定条件
・注入時の濃度:0.001質量%
・注入量:25μL
・流速:0.5mL/min
・溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド
・カラム:昭和電工(株)製、商品名:Shodex KD−803および商品名:Shodex KD−804
・カラムの温度:40℃
〔熱重量−示差熱分析〕
・測定装置:熱重量−示差熱同時測定装置〔(株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名:STA7200〕
窒素ガスの雰囲気中にて昇温速度10℃/minで800℃まで加熱し、5%重量減少温度または10%重量減少温度を測定した。
実施例1〔4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチル(1)の調製〕
出発物質として4−ニトロ桂皮酸を用いて4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルを調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミド(1)の調製
4−ニトロ桂皮酸25.17g(0.130mol)、N−ヒドロキシコハク酸イミド22.38g(0.194mol)およびN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド30mL(0.194mol)を1,4−ジオキサン300mLに添加し、120℃の温度で加熱還流を行なうことにより、4−ニトロ桂皮酸とN−ヒドロキシコハク酸イミドとを反応させた。反応終了後、得られた反応溶液を濾過することによって4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドを回収し、2−プロパノールで洗浄した。得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドエステルの収量は36.45gであり、収率は96.7%であった。
なお、4−ニトロ桂皮酸とN−ヒドロキシコハク酸イミドとの反応生成物が4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 2.87 (s, 4H, -CH2-CH2-), 7.24 (d, 1H, J = 16.1 Hz, -CH=CH-), 8.15 (d, 2H, J = 8.8 Hz, 芳香環), 8.30 (d, 2H, J = 8.8 Hz, 芳香環)
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 25.5, 116.2, 124.0, 130.3, 139.5, 147.2, 148.8, 161.9, 170.3.
FT-ICR MS (ESI): 計算値[M+Na, C13H10N2O6Na]+: 313.0473, 実側値: 313.0431
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図1、図2および図3に示す。
(2)4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド(2)の調製
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミド1.0g(3.45mmol)をベンゼン20mL中に懸濁させ、得られた懸濁液に紫外線を高圧水銀灯で24時間照射することにより、4−ニトロ桂皮酸コハク酸イミドから4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドを生成させた。
次に、前記で得られた懸濁液を濾過することにより、生成した4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドを回収し、減圧下で乾燥した。得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドの収量は0.63gであり、収率は63.0%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 2.81 (s, 8H, -CH2-CH2-), 4.21 (4H, シクロブタン), 7.77 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環), 8.22 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 26.0, 47.5, 124.3, 128.8, 146.0, 147.6, 167.1, 170.4.
FT-ICR MS (ESI): 計算値 [M+Na, C26H20N4O12-Na]+: 603.0975, 実側値: 603.0973.
前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミドの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図4、図5および図6に示す。
(3)4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチル(3)の調製
前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド0.93g(1.60mmol)のメタノール20mL溶液を24時間加熱下で還流させた後、メタノールを減圧留去した。
次に、前記で得られた反応生成物を酢酸エチル20mLおよび水20mLからなる抽出溶媒に添加し、液−液抽出を行ない、有機層を回収した。回収した有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。乾燥後、有機層から硫酸ナトリウムを濾過して除去し、減圧下で酢酸エチルを除去することにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチル(3)を回収した。得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルの収量は1.42gであり、収率は80.2%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.58-3.60 (m, 2H, シクロブタン), 3.67 (s, 6H, COOCH3), 3.91-3.94 (m, 2H, シクロブタン), 7.64 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環), 8.21 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 43.5, 46.1, 52.1, 123.8, 128.5, 146.7, 147.9, 171.7.
FT-ICR MS (ESI): 計算値 [M+Na, C20H18N2O8Na]+: 437.0961, 実側値: 437.0952.
前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図7、図8および図9に示す。
(4)4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチル(4)の調製
前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチル2.57g(6.20mmol)および10%パラジウム炭素(Pd/C)触媒0.66g(0.01mol%)をメタノール50mLに添加し、50℃の温度で4.5時間加熱することにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジメチルの水素還元反応を行なった。反応終了後、得られた反応溶液を濾過することによってパラジウム炭素(Pd/C)触媒を除去し、減圧下でメタノールを除去することにより、生成した4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチル(4)を回収した。得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチル(4)の収量は1.52gであり、収率は69.1%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.17-3.31 (4H, m, シクロブタン), 3.64 (s, 6H, COOCH3), 5.01 (s, 4H, NH2), 6.50 (d, 4H, J = 8.4 Hz, 芳香環), 6.92 (d, 4H, J = 8.4 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 44.4, 47.6, 51.9, 113.9, 127.5, 147.7, 172.6.
FT-ICR MS (ESI): 計算値 [M+Na, C20H22N2O4-Na]+: 377.1477, 実側値: 377.1472.
前記で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図10、図11および図12に示す。
実施例2〔4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチル(6)の調製〕
出発物質として4−ニトロ桂皮酸を用い、実施例1と同様にして4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド(2)を調製し、得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド(2)を用いて以下のようにして4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルを調製した。
なお、4−ニトロ桂皮酸を用いて4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルを調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチル(5)の調製
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド2.01g(3.43mmol)を脱水エタノール20mLに溶解させ、得られた溶液を40時間加熱還流した後、エタノールを減圧留去した。
次に、前記で得られた反応生成物を酢酸エチル50mLおよび水50mLからなる抽出溶媒に添加し、液−液抽出を3回行ない、有機層を回収した。回収した有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。乾燥後、有機層から硫酸ナトリウムを濾過することによって除去し、減圧下で酢酸エチルを除去することにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチル(5)を回収した。得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチルの収量は1.28gであり、収率は84.0%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.18 (t, 6H, J = 7.2 Hz, COOCH2CH3), δ 3.49-3.51 (m, 2H, シクロブタン), δ 3.92-3.95 (m, 2H, シクロブタン), 4.13 (q, 4H, J = 7.0 Hz, COOCH2CH3), 7.64 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環), 8.20 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 14.4, 44.3, 46.2, 61.1, 124.2, 178.9, 147.1, 148.3, 171.6
前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチルの1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルをそれぞれ図13および図14に示す。
(2)4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチル(6)の調製
前記で得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチル1.31g(2.94mmol)および10%パラジウム炭素(Pd/C)触媒0.13g(1.17mmol)をメタノール40mLに添加し、50℃の温度で24時間加熱することにより、4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸ジエチルの水素還元反応を行なった。反応終了後、得られた反応溶液を濾過することによってパラジウム炭素(Pd/C)触媒を除去し、減圧下でメタノールを除去することにより、生成した4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチル(6)を回収した。得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルの収量は1.05gであり、収率は92%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.16 (t, 6H, J = 7.2 Hz, COOCH2CH3), δ 3.08-3.10 (m, 2H, シクロブタン), δ 3.28-3.30 (m, 2H, シクロブタン), 4.10 (q, 4H, J = 7.0Hz, COOCH2CH3), δ 4.97 (s, 4H, NH2), 6.49 (d, 4H, J = 8.4 Hz, 芳香環), 8.40 (d, 4H, J = 8.4 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 14.6, 45.2, 47.7, 60.8, 114.3, 127.9, 128.5, 148.1, 172.6.
前記で得られた4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジエチルの1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルをそれぞれ図15および図16に示す。
実施例3〔N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)の調製〕
出発物質として4−ニトロ桂皮酸を用い、実施例1と同様にして4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド(2)を調製し、得られた4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド(2)を用いて以下のようにしてN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドを調製した。
なお、4−ニトロ桂皮酸を用いてN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドを調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)N,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミド(7)の調製
4,4’−ジニトロ−δ−トルキシン酸コハク酸イミド3.50g(6.02mmol)およびアニリン2.24g(24.1mmol)を脱水ジメチルアセトアミド20mLに溶解させ、14時間室温で攪拌した後、ジエチルエテールで再沈殿させ、得られた沈殿物を乾燥させることにより、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミド(7)を得た。得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミド(7)の収量は2.75gであり、収率は85%であった。
なお、生成した化合物がN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミドであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.67-3.69 (m, 2H, シクロブタン), 4.07-4.09 (m, 2H, シクロブタン), 7.05 (t, 2H, J = 7.1 Hz, 芳香環), 7.30 (t, 4H, J = 7.1 Hz, 芳香環), 7.64 (d, 8H, J = 7.1 Hz, 芳香環), 8.26 (d, 4H, J = 8.9 Hz, 芳香環), 10.26 (s, 2H, NH).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 45.7, 46.8, 119.8, 124.1, 124.4, 128.7, 129.2, 139.2, 147.1, 149.1, 169.7.
前記で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミドの1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルをそれぞれ図17および図18に示す。
(2)N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)の調製
前記で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミド2.50g(4.66mmol)および10%パラジウム炭素(Pd/C)触媒0.17g(1.63mmol)を脱水ジメチルアセトアミド30mLに添加し、室温でN,N’−ジフェニル−4,4’−ジニトロ−δ−トルキシンアミドの水素還元反応を72時間行なった。反応終了後、得られた反応溶液を濾過することによってパラジウム炭素(Pd/C)触媒を除去し、減圧下でジメチルアセトアミドを除去することにより、生成したN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)を回収した。得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)の収量は1.67gであり、収率は75%であった。
なお、生成した化合物がN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.47-3.49 (m, 2H, シクロブタン), 4.96 (s, 4H, NH2), 6.50 (d, 4H, J = 8.4 Hz, 芳香環), 6.94 (d, 4H, J = 8.3 Hz, 芳香環), 7.01 (t, 2H, J = 7.4 Hz, 芳香環), 7.26 (t, 4H, J = 7.9 Hz, 芳香環), 7.63 (d, 4H, J = 7.9Hz, 芳香環), 10.06 (s, 2H, NH).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 46.9, 47.2, 114.3, 119.6, 123.7, 127.9, 129.1, 129.5, 139.5, 147.9, 171.1.
前記で得られたN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドの1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルをそれぞれ図19および図20に示す。
実施例4〔4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル(11)の調製〕
出発物質として4−ニトロ桂皮酸を用いてN,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドを調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)4−ニトロ桂皮酸メチル(9)の調製
4−ニトロ桂皮酸9.98g(51.7mmol)、メタノール100mLおよび濃硫酸2.5mLを混合し、得られた混合溶液を3時間加熱下で還流を行なうことにより、4−ニトロ桂皮酸メチルを得た。得られた反応溶液を濾過することによって4−ニトロ桂皮酸メチルを回収し、減圧下で溶媒を除去することにより、4−ニトロ桂皮酸メチル(9)を回収した。得られた4−ニトロ桂皮酸メチル(9)の収量は10.13gであり、収率は94.7%であった。
なお、生成した化合物が4−ニトロ桂皮酸メチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 3.75 (s, 3H, COOCH3), 6.85 (d, 1H, J = 16.1 Hz, COCH=CH), 7.76 (d, 1H, J = 16.1 Hz, COCH=CH), 8.00 (d, 2H, J = 8.80 Hz, 芳香環), 8.23 (d, 2H, J = 8.80 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 51.8, 122.1, 123.9, 129.5, 140.4, 142.0, 148.1, 166.2.
FT-ICR MS (SALDI): 計算値 [M+Na, C10H9NO4Na]+: 230.0422 実側値: 230.0422.
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸メチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図21、図22および図23に示す。
(2)4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチル(10)の調製
前記で得られた4−ニトロ桂皮酸メチルの結晶0.5g(2.41mmol)をヘキサン25mL中に分散させ、得られた分散液に紫外線を高圧水銀灯で24時間照射することにより、4−ニトロ桂皮酸メチルから4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルを生成させた。
次に、前記で得られた分散液を濾過することにより、生成した4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルを回収し、減圧下で乾燥した。得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルの収量は0.48gであり、収率は96.0%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 3.67 (s, 6H, COOCH3), 4.17 (m, 2H, シクロブタン), 4.51 (m, 2H, シクロブタン), 7.39 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環), 7.96 (d, 4H, J = 8.8 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 41.6, 44.3, 52.0, 123.0, 129.2, 146.0, 146.3, 172.2.
FT-ICR MS (ESI): 計算値 [M+Na, C20H18N2O8Na]+: 437.0955 実側値: 437.0954.
前記で得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図24、図25および図26に示す。
(3)4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル(11)の調製
前記で得られた4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチル1.64g(3.96mmol)および10%パラジウム炭素(Pd/C)触媒0.45g(0.01mol%)をメタノール60mLに添加し、50℃の温度で1.5時間加熱することにより、4,4’−ジニトロ−β−トルキシン酸ジメチルの水素還元反応を行なった。反応終了後、得られた反応溶液を濾過することによってパラジウム炭素(Pd/C)触媒を除去し、減圧下でメタノールを除去することにより、生成した4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル(11)を回収した。得られた4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル(11)の収量は1.30gであり、収率は92.9%であった。
なお、生成した化合物が4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルであることは、以下の物性の測定結果から確認された。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.61 (s, 6H, COOCH3), 3.74-3.95 (4H, シクロブタン), 4.76 (s, 4H, NH2), 6.30 (d, 4H, J = 8.3 Hz, 芳香環), 6.66 (d, 4H, J = 8.4 Hz, 芳香環).
13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 42.7, 44.3, 51.7, 113.5, 126.1, 128.5, 146.6, 173.1.
FT-ICR MS (ESI) 計算値 [M+H, C20H22N2O4-H]+: 355.1658, 実側値 355.1651.
前記で得られた4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルの1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよびマススペクトルをそれぞれ図27、図28および図29に示す。
実施例5〔トルキシン酸系ポリマーの調製〕
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を用いてトルキシン酸系ポリマー(β−ポリイミド)を調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)β−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの調製
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル100mg(0.28mmol)およびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物59mg(0.28mmol)を脱水ジメチルアセトアミド0.2mLに溶解させた後、得られた溶液を窒素ガス雰囲気中で室温にて48時間撹拌させることにより、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルとシクロブタンテトラカルボン酸二無水物とを反応させた。得られた反応溶液をメタノールに滴下することにより、再沈殿を行ない、β−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーを白色固体として得た。得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの収量は61mgであり、収率は43.2%であった。
前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの数平均分子量は1.03×105であり、重量平均分子量は1.42×105であった。
なお、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)にて以下の測定条件で測定した。以下の実施例においても、ポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は、以下の測定条件にて測定した。
〔測定条件〕
・装置:昭和電工(株)製、商品名:Shodex−101
・注入時の濃度:0.001質量%
・注入量:25μL
・流速:0.5mL/min
・溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド
・カラム:昭和電工(株)製、商品名:Shodex KD−803および商品名:Shodex KD−804
・カラムの温度:40℃
前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの1H−NMRの測定結果を以下に示す。また、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの1H−NMRスペクトルを図30に示す。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.92-4.15 (シクロブタン), 6.98-7.31 (芳香環), 9.95 (NH), 12.4 (COOH).
以上の結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Meはメチル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有することが確認された。
次に、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図31に示す。前記結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの10%重量減少温度が339℃であることが確認された。
なお、β−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの10%重量減少温度は、トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーを窒素ガス雰囲気中にて5℃/minの昇温速度で800℃まで加熱し、トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマーの質量が10質量%減少するときの温度である。以下の実施例においてもポリマーの10%重量減少温度は、前記と同様の方法によって測定した。
(2)β−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーの調製
前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミド酸コポリマー100mgをジメチルアセトアミド0.2mLに溶解させ、得られた溶液をガラスプレート上にキャストし、真空オーブン中で100℃、150℃、200℃および250℃と段階的に昇温させることにより、β−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーのフィルムを形成させた。
前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーの1H−NMRスペクトルを図32に示す。その結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Meはメチル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有することが確認された。
次に、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図33に示す。前記結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−イミドコポリマーの10%重量減少温度が359℃であることが確認された。
実施例6〔トルキシン酸系ポリマーの調製〕
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルおよび4,4’−ジアセトアミド−α−トルキシル酸を用いてトルキシン酸系ポリマー(β−ポリアミド)を調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)β−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの調製
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル(11)301.07mg(0.85mmol)および4,4’−ジアセトアミド−α−トルキシル酸343.74mg(0.84mmol)を亜リン酸トリフェニル0.24mL(0.92mmol)およびピリジン0.42mL(5.2mmol)の存在下でN−メチルピロリドン0.7mL中にて重縮合を行なった。その後、得られた反応溶液を水中に滴下することにより、再沈殿させ、得られた沈殿物を減圧乾燥させることにより、β−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマー(β−ポリアミド)を得た。得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの収量は0.62gであり、収率は96.1%であった。
また、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの数平均分子量は4.63×105であり、重量平均分子量は5.43×105 であった。
前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの1H−NMRスペクトルを図34に示す。その結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Meはメチル基、Acはアセチル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有することが確認された。
次に、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図35に示す。前記結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの10%重量減少温度が330℃であることが確認された。
実施例7〔トルキシン酸系ポリマーの調製〕
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルおよび1,3−フェニレンジイソシアネートを用いてトルキシン酸系ポリマー(β−ポリ尿素)を調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)β−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの調製
4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル(11)100mg(0.28mmol)および1,3−フェニレンジイソシアネート51mg(0.28mmol)を脱水ジメチルアセトアミド0.2mLに溶解せさ、窒素ガス雰囲気中で室温にて48時間撹拌することにより、4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチルと1,3−フェニレンジイソシアネートとを反応させた。得られた反応溶液をメタノールに滴下することにより、生成したβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーを再沈殿させて回収し、乾燥させた。得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの収量は120mgであり、収率は80.1%であった。
また、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの数平均分子量は1.35×106であり、重量平均分子量は2.00×106であった。
前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの1H−NMRスペクトルを図36に示す。その結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Meはメチル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有する4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーであることが確認された。
次に、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図37に示す。前記結果から、前記で得られたβ−トルキシン酸ジメチル−尿素コポリマーの10%重量減少温度が271℃であることが確認された。
実施例8〔トルキシン酸系ポリマーの調製〕
4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチルおよび4,4’−ジアセトアミド−α−トルキシル酸を用いてトルキシン酸系ポリマー(δ−ポリアミド)を調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)δ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの調製
4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチル(4)99.39mg(0.28mmol)および4,4’−ジアセトアミド−α−トルキシル酸114.95mg(0.28mmol)を亜リン酸トリフェニル80μL(0.305mmol)およびピリジン0.14mL(1.74mmol)の存在下でN−メチルピロリドン(NMP)0.28mL中にて重縮合を行なった。前記で得られた反応溶液をメタノールに滴下することにより、生成したδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーを再沈殿させ、濾過することによって回収した後、減圧乾燥させた。得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの収量は0.12gであり、収率は56.6%であった。
また、前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの数平均分子量は9.23×104であり、重量平均分子量は1.95×105であった。
前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの1H−NMRスペクトルを図38に示す。その結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Meはメチル基、Acはアセチル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有する4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーであることが確認された。
次に、前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図39に示す。前記結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの10%重量減少温度が430℃であることが確認された。
また、前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーの示差走査熱量(DSC)を調べた。その結果を図40に示す。図40に示された結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸ジメチル−アミドコポリマーのガラス転移温度は246℃であることが確認された。
実施例9〔トルキシン酸系ポリマーの調製〕
N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を用いてトルキシン酸系ポリマー(δ−ポリイミド)を調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)δ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーの調製
N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)200mg(0.42mmol)およびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)82mg(0.42mmol)を脱水ジメチルアセトアミド0.7mLに溶解させた後、窒素ガス雰囲気中で室温にて48時間撹拌することにより、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミドとシクロブタンテトラカルボン酸二無水物とを反応させた。得られた反応溶液をエタノール中に滴下し、再沈殿させることにより、白色固体のδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーを回収した。前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーの収量は245mgであり、収率は87%であった。
また、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーの数平均分子量は4.48×105であり、重量平均分子量は4.90×105であった。
前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーの1H−NMRスペクトルを調べた。その結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.84-3.51 (シクロブタン), 7.55-7.61(芳香環), 10.16 (NH), 12.40 (COOH)
また、前記δ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーの1H−NMRスペクトルを図41に示す。以上の結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Phはフェニル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有するδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマーであることが確認された。
次に、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−アミド酸コポリマー200mgをジメチルアセトアミド2mLに溶解させ、得られた溶液をガラスプレート上にキャストし、真空オーブン中で100℃、150℃、200℃および250℃と段階的に昇温させることにより、δ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーのフィルムを形成させた。
前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーの1H−NMRスペクトルを図42に示す。その結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Phはフェニル基を示す)
で表わされる繰返し単位を有することが確認された。
次に、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図43に示す。前記結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−イミドコポリマーの10%重量減少温度が384℃であることが確認された。
実施例10〔δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−イミドターポリマーの調製〕
N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)、4,4’−ジアミノ−α−トルキシル酸ジメチル、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を用いてδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジエステル−イミドターポリマーを調製するまでのスキームを以下に示す。
Figure 2016166315
(1)δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーの調製
N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド(8)121mg(0.25mmol)、4,4’−ジアミノ−α−トルキシル酸ジメチル94mg(0.25mmol)およびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)100mg(0.50mmol)を脱水ジメチルアセトアミド0.85mLに溶解させた後、窒素ガス雰囲気中で室温にて48時間撹拌することにより、N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−δ−トルキシンアミド、4,4’−ジアミノ−α−トルキシル酸ジメチルおよびシクロブタンテトラカルボン酸二無水物を反応させた。得られた反応溶液をエタノール中に滴下し、生成したδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーを再沈殿させることにより、白色固体のδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーを回収した。前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーの収量は261mgであり、収率は83%であった。
また、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーの数平均分子量は 2.16×105であり、重量平均分子量は3.39×105であった。
前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーの1H−NMRスペクトルを調べた。その結果を以下に示す。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.54-4.27 (シクロブタン), 7.25-7.64 (芳香環), 10.22 (NH), 12.42 (COOH)
また、前記δ−トルキシン酸エステル−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーの1H−NMRスペクトルを図44に示す。以上の結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Phはフェニル基、Meはメチル基示す)
で表わされる繰返し単位を有することが確認された。
(2)δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−イミドターポリマーの調製
前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−アミド酸ターポリマーをジメチルアセトアミドに溶解させ、得られた溶液をガラスプレート上にキャストし、真空オーブン中で100℃、150℃、200℃および250℃と段階的に昇温させることにより、δ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−イミドターポリマーのフィルムを形成させた。
前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−イミドターポリマーの1H−NMRスペクトルを図45に示す。その結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−イミドターポリマーは、式:
Figure 2016166315
(式中、Phはフェニル基、Meはメチル基示す)
で表わされる繰返し単位を有することが確認された。
次に、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−イミドターポリマーの熱重量−示差熱分析を行なった。その結果を図46に示す。前記結果から、前記で得られたδ−トルキシン酸アミド−α−トルキシル酸ジメチル−イミドターポリマーの10%重量減少温度が385℃であることが確認された。
比較例1
国際公開第2013/073519号パンフレットに記載の「ポリイミドの合成例」に従ってα−ポリイミドを調製した。
実験例
各実施例または比較例1で得られたポリマーの有機溶媒(25℃)に対する溶解性を調べ、以下の評価基準に基づいて溶解性を評価した。その結果を表1に示す。なお、表1に示す各略号は、以下のことを意味する。
MeOH:メタノール
THF:テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:ジメチルホルムアミド
NMP:N−メチルピロリドン
DMAc:ジメチルアセトアミド
TFA:トリフルオロ酢酸
〔評価基準〕
++:溶解性に優れる
+ :溶解性が良好
− :不溶
Figure 2016166315
表1に示された結果から、各実施例で得られたポリマーは、従来の比較例1で得られたポリマーと対比して、各種有機溶媒に対する溶解性に優れていることがわかる。したがって、各実施例で得られたポリマーは、樹脂フィルム、コーティング剤などの用途に使用することが期待されるものである。
本発明のトルキシン酸系ポリマーは、航空宇宙分野をはじめ、例えば、航空機用部品、自動車、鉄道車両用部品、船舶用部品、機械部品、電気部品、電子部品、コンピュータ用部品などの用途に使用することが期待されるものである。

Claims (4)

  1. 式(I):
    Figure 2016166315
    〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
    で表わされる基を有する繰返し単位を含有することを特徴とするトルキシン酸系ポリマー。
  2. 式(Ia):
    Figure 2016166315
    〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
    で表わされる4,4’−ジアミノトルキシン酸誘導体。
  3. 式(II):
    Figure 2016166315

    〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
    で表わされる4,4’−ジアミノ−β−トルキシン酸誘導体。
  4. 式(VII):
    Figure 2016166315
    〔式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、−OR3基(R3はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を示す)、−SR3基(R3は前記と同じ)または−NHR3基(R3は前記と同じ)を示す〕
    で表わされる4,4’−ジアミノ−δ−トルキシン酸誘導体。

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