図1〜図10は、本開示の構想に従って構成された1つの実施形態の可変出力吐出アプリケーター10を示している。このために、アプリケーター10は、アプリケーター10に対して移動する基材上に接着剤パターンを吐出するように構成されている。パターンは、少なくとも最大体積流量/出力区域及び部分体積流量/出力区域によって画定される。アプリケーター10は、基材の各エリアに吐出することができる2つの部分接着剤流を制御するように、2重供給構造部を設けるのではなく、液体分流モジュール12(「液体分流供給再循環モジュール」とも称する)を備えることが有利である。液体分流モジュール12は、最大体積流量を分流し、最大体積流量の一部が対応する連結された吐出モジュールに達するか否かを選択的に制御する。その結果、吐出モジュールへの接着剤の送達に即してその直前に接着剤の流量変化が制御される。これにより、動作中に吐出パターン又は吐出状態を変更する必要がある場合、応答性を高めることが可能になる。したがって、この実施形態のアプリケーター10を用いる場合、接着剤の浪費を減少させつつ、1つ又は複数の所望の接着剤パターンを基材に確実に塗布することができる。接着剤パターンのいくつかの例は以下で更に詳細に記載される。
アプリケーター10は、液体分流モジュール12に加えて、本明細書に引用することによりその全体が本明細書の一部をなす本発明の出願人に譲渡された米国特許第6,422,428号に記載のモジュール式吐出アプリケーターと同様の構成要素を備える。このために、アプリケーター10は、並んだ複数の個々のマニホールドセグメント18を間に挟む、1対の端部プレート14、16を備える。マニホールドセグメント18のそれぞれは、対応する歯車ポンプ20と連結されている。マニホールドセグメント18及び端部プレート14、16は、アプリケーター10のマニホールド22を集合的に画定する。アプリケーター10のこれらの部材は、図1では完全に組み立てた状態で示され、図2では明確さのために部分的に分解した状態で示されている。通常、ホットメルト接着剤等の加圧液体接着剤は、マニホールドセグメント18に導入され、次に、各マニホールドセグメント18と個々に連結された歯車ポンプ20によって計量される。接着剤のこの流れは、複数の液体放出出口24を介して液体分流モジュール12に供給される。マニホールドセグメント18のそれぞれに、複数の液体放出出口24のうちの1つが形成される。液体分流モジュール12は、次に、この接着剤流の一部又は全てを、液体分流モジュール12のマニホールド22とは反対側に配置された対応する複数の吐出モジュール26に送達する。液体放出出口24には、マニホールドセグメント18によって画定される液体供給通路28を通った接着剤流が効率的に供給される。この流れは、対応する歯車ポンプ20によって各特定の液体放出出口24ごとに計量される。
図2に最も明確に示すように、マニホールドセグメント18のそれぞれは、少なくとも1つの液体放出出口24を有する。液体放出出口24のそれぞれは、液体分流モジュール12のうちの1つの液体分流モジュール12の液体入口と結合及び連結されている。図示の実施形態では、各マニホールドセグメント18は、対応するマニホールドセグメント18に結合された液体分流モジュール12のうちの2つの液体分流モジュールに供給を行う、2つの液体放出出口24を有する。一方で、各マニホールドセグメント18は、(例えば、対応する数の液体分流モジュール12がこれらのマニホールドセグメント18に結合される限り)本発明の範囲から逸脱することなく、1つのみの液体放出出口24又は3つ以上の液体放出出口24を有してもよいことが理解される。同様に、図示の各マニホールドセグメント18は、対応する液体放出出口24への流れを計量する2つの歯車ポンプ20と係合されているが、他の同様の実施形態において、1つの歯車ポンプ20又は3つ以上の歯車ポンプ20をマニホールドセグメント18とともに使用してもよい。
液体放出出口24は、マニホールドセグメント18によって集合的に画定される遠位端面30に沿って一連にして画定される。この遠位端面30は複数の液体再循環入口32も有する。通常、複数の液体再循環入口32のそれぞれは、液体放出出口24のうちの対応する1つの液体放出出口の上方に配置される。以下で更に記載するように、液体分流モジュール12及びひいては吐出モジュール26に送達される接着剤の一部又は最大体積流量は、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26の動作状態に応じて、再循環させてマニホールド22に戻すことができる。その結果、接着剤流は、動作中、基材(複数の場合もある)への接着剤の吐出動作が一時的に停止される場合でも、アプリケーター10内で停滞しない。
アプリケーター10は、いくつかの作業において、スプレーディスペンサー等の非接触式ディスペンサーとして使用されるように構成されている。そのため、マニホールドセグメント18の遠位端面30は、複数の液体分流モジュール12と流体連通する(ひいては吐出モジュール26につながる)ように構成された、一連の処理空気出口34も有する。処理空気出口34は、液体再循環入口32及び液体放出出口24の下方に離間するように配置されているが、これらの出口24、34の正確な配置は、他の実施形態において、液体分流モジュール12における個々の入口構成に応じて変更することができることが理解される。ホットメルト吐出分野において容易に理解されるように、通常、マニホールド22は、マニホールドセグメント18を貫くヒーターカートリッジ又は同様の部材(図示せず)を用いて加熱され、液体接着剤用の内部通路及び処理空気用の内部通路は、空気及び接着剤を加熱して、これらの部材を吐出モジュール26から吐出する際の所望の温度レベルに維持することを可能にするように設計されている。これらのマニホールド内部通路の1つの特定のレイアウトが、上記で引用した米国特許第6,422,428号に記載されているが、更なる詳細は、図面に示すことも本明細書に記載することもしていない(本願の図面には、例えばマニホールド通路のうちのいくつかが概略的に示されているのみである)。
図1及び図2に示すように、マニホールドセグメント18は、2つの端部プレート14、16間に挟まれた場合、互いに位置合わせした状態に維持される。例えば、各マニホールドセグメント18は、1つの側面にある位置合わせロッド36等の、反対側の側面にある対応する位置合わせ穴(図示せず)との相手構造部を更に有する。マニホールド22を組み立てる場合、マニホールドセグメント18のそれぞれを通って延びる位置合わせロッドを含む様々な相手構造部を用いて、一連のマニホールドセグメント18を正確に位置決めすることができることが理解される。また、端部プレート14、16は、最も外側のマニホールドセグメント18にある相手構造部に係合するように構成された、対応する相手構造部も有するが、これらの特徴部は図1及び図2には示されていない。したがって、マニホールド22及び歯車ポンプ20のようなその補器は、締結具、締付具、及び他の既知の固定装置によって組み合わせてともに固定することができることが理解される。完全に組み立てられると、マニホールド22は、制御して計量された量の液体接着剤を所望の温度で液体分流モジュール12及び吐出モジュール26に供給するのに必要とされる、最小限の量又は最適な量の容積すなわち空間を占める。この構成により、加熱カートリッジ(図示せず)又は他の同様の加熱素子等によって、マニホールド22においてアプリケーター10を効率的に加熱することも可能になる。
端部プレート14、16に戻ると、端部プレート14のうちの少なくとも1つ(図1及び図2の手前側に最も近い端部プレート14)は、接着剤用の入口ポート(図示せず)と、接着剤を再循環させるための出口ポート40と、アプリケーター10内の接着剤が過圧状態になる場合に接着剤を放出するように構成された圧力解放ポート42とを有する。この端部プレート14は温度センサー44を備えることもでき、温度センサー44は、マニホールド22内の液体接着剤の温度を測定及びモニタリングし、それにより上記で簡単に記載した加熱素子に対する制御を提供するように構成されている。進入する接着剤は、いくつかの実施形態において端部プレート14に固定され得るフィルターブロック(図示せず)を通して移送することもできる。これらの図に示す実施形態の反対側の端部プレート16上には、マニホールドセグメント18と結合された各歯車ポンプ20を同時に駆動するように、直流サーボモーター46及び直角ギアボックス48が設けられている。このために、この実施形態のサーボモーター46は、概略的に示すアプリケーター10の制御ユニット50に結合される。制御ユニット50は、サーボモーター46に、ギアボックス48から隣り合う歯車ポンプ20のそれぞれを通って延びる駆動シャフトを駆動させる。図1及び図2に示すように、双方の端部プレート14、16は同様に形成され、それにより、本発明の範囲に一致する他の実施形態、サーボモーター46及びギアボックス48を適所で他方の端部プレート14に結合されるように変更することができる(同様に、端部プレート16は、図示の実施形態では塞がれているが、サーボモーター46及びギアボックス48をこのように配置変更する場合に用いられる入口ポート及び出口ポートを有する)ことが理解される。
また、図1に概略的に示すように、アプリケーター10の制御ユニット50は、複数の空気制御弁に作用可能に結合される。複数の空気制御弁は、この実施形態では空気制御弁の役割を果たす空気ソレノイド52の形態である。複数の空気ソレノイド52のそれぞれは、液体分流モジュール12のうちの1つ又は吐出モジュール26のうちの1つの上部に結合された、従来的なスプール動作式のソレノイド弁である。空気ソレノイド52は、以下で更に詳細に記載するように、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26内に配置された空気駆動される弁装置への空気流を制御する。したがって、この実施形態の制御ユニット50は、空気ソレノイド52を動作させ、アプリケーター10に、基材上に特定の接着剤パターンを吐出させることが可能である。図示の実施形態ではモジュールのそれぞれにつき1つの空気ソレノイド52が設けられているが、空気ソレノイド52は、複数のモジュールによって共有してもよく、また他の実施形態において、様々なタイプの代替的な既知の空気制御弁を用いてもよいことが理解される。
さらに、図2に示すように、マニホールドセグメント18のそれぞれは空気ブロック54すなわち空気部を更に有する。空気ブロック54は加圧空気を受け取り、この加圧空気は、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26内の弁装置によって使用されるとともに空気ソレノイド52によって制御される。空気ブロック54は、加圧空気源に接続された1つ又は複数の空気入口(図示せず)と連通し、各空気ブロック54は、マニホールド22の遠位端面30に形成された液体放出出口24及び液体再循環入口32の略真上に配置された少なくとも1つの加圧空気出口56を有する。図に示す実施形態では、加圧空気出口56のそれぞれは、対応する液体分流モジュール12のうちの1つに配置された制御空気入口と連通する。この空気の流れ及び制御並びに連結された弁装置の機能は、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26の動作に関連して以下で更に詳細に記載される。
アプリケーター10は、図2では、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26を対応するマニホールドセグメント18に組み付ける方法を明らかにするように部分分解図で示されている。このために、マニホールド22の遠位端面30は、液体再循環入口32及び液体放出出口24の近位の配置された1対のねじ付き穴60を有する。容易に理解されるように、これらのねじ付き穴60は、他の実施形態において位置変更することができるが、図示の実施形態では、この領域が、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26の中心領域(例えば、これらの部材のバランスの取れた支持を提供するのに都合のよい領域)に相当するので、この場所に設けられている。液体分流モジュール12及び吐出モジュール26は1対の対応する締結具用貫通穴62をそれぞれ備える。締結具用貫通穴62は、これらの部材の近位側と遠位側との間に延びる(「近位」及び「遠位」は、マニホールド22に対して述べたものである)。締結具用貫通穴62は、図2に示すように、マニホールドセグメント18のうちの1つにあるねじ付き穴60と位置合わせされるように配置される。
その結果、細長いねじ加工された組付け締結具64を、吐出モジュール26にある締結具用貫通穴62のうちの1つと、液体分流モジュール12にある締結具用貫通穴62のうちの1つとに挿通し、マニホールドセグメント18にあるねじ付き穴60のうちの1つと係合することができる。この組付け締結具64を締めることにより、液体分流モジュール12は、一方の側でマニホールドセグメント18に当接関係で固定され、他方の側で吐出モジュール26に当接関係で固定される。他の実施形態において、他の締付具又は固定部材を用いて、アプリケーター10を組み立てることができることが理解される。一方で、選択される組立て機構に関わらず、アプリケーター10は、ユーザーの特定の用途での必要に応じて、様々な数のマニホールドセグメント18、液体分流モジュール12、及び吐出モジュール26等を用いて多様な方法で構成することができる。その結果、アプリケーター10を用いて達成可能な種々の接着剤堆積パターンを、以下のモジュール及びその機能の詳細な記載に鑑みて理解される多くの異なる方法で変更することができる。
液体分流モジュール12の図示の実施形態のうちの1つの詳細な記載に入る前に、以下のことが留意される。種々の実施形態のアプリケーター10は、記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々なタイプの吐出モジュール26(接触式吐出モジュール及び非接触式吐出モジュール等)及びマニホールド22における様々なレイアウト又は構造部を備えることができる。他の変更形態が容易に明らかとなるとともに本開示の範囲内にある。他の変更形態とは、例えば、1つ又は複数の歯車ポンプを、接着剤を対応するマニホールドセグメントに戻るように方向転換する代替ブロック(図示せず)と置換することができる変更形態、及び上述した代替形態等である。液体分流モジュール12をアプリケーター10内に設けることは、有利な機能性及び以下に記載する種々のパターンの吐出を可能にすることに役立つ。
図3〜図8を参照すると、アプリケーター10とともに使用される一実施形態の液体分流モジュール12が詳細に示されている。液体分流モジュール12は、接着剤流を対応する吐出モジュール26に送達してこの吐出モジュール26によって吐出するのに即してその直前に、対応するマニホールドセグメント18から受け取った最大体積流量の接着剤を、低減体積流量すなわち部分体積流量の接着剤に選択的に低減させるように構成されることが有利である。それに応じて、吐出モジュール26は、接着剤を吐出モジュール26に供給する液体分流モジュール12を動作させることにより、最大体積流量の吐出と部分体積流量の吐出とを要求に応じて(オンデマンドで)高速に切り替えることができる。このために、吐出モジュール26において吐出される接着剤の量を変更する場合の、制御ユニット50からの制御信号に対する高速応答性が、基材への効率的かつ予測可能な(例えば制御可能な)パターンを提供する。これは、不織衣料製造等のいくつかの分野において有利である。
この実施形態の液体分流モジュール12の外観及び特徴部が、図3及び図4に示されている。液体分流モジュール12は、液体制御セクション70と、液体制御セクション70の上に取り付けられた制御空気セクション72とを備える。液体制御セクション70は、外観が略矩形の箱形であり、吐出モジュール26に面する遠位壁74と、マニホールド22に面する近位壁76と、遠位壁74と近位壁76との間に延びる側壁78とによって画定される外周を有する。制御空気セクション72には、ねじ付き締結具82等を用いて対応する空気ソレノイド52を取り付けるための、傾斜した上部取付け面80が設けられている。図1のアプリケーター10全体に鑑みて上記で示したように、このことは、液体分流モジュール12上の空気ソレノイド52が、吐出モジュール26又はその連結された空気ソレノイド52に干渉しない傾斜位置になることを可能にする。本願のこの図又は他の図の空気ソレノイド52は、内部弁構造部並びに電気供給源及び/又は制御ユニット50に接続するためのポート84を有する、市販の従来的な装置である。この要素又はその機能の更なる説明は、記載される本発明の範囲を理解するのにここでは必要とされない。
引き続き図3及び図4を参照すると、液体分流モジュール12は、処理空気流、接着剤流、及び制御空気流のための一連の入口及び出口を有する。これらの要素のそれぞれは、以下で更に詳細に記載するように液体分流モジュール12を通って吐出モジュール26に進入する。この構成により、液体分流モジュール12がマニホールドセグメント18と吐出モジュール26との間に直接に配置される。このうち、マニホールドセグメント18と吐出モジュール26との2つの要素は、従来、既知のアプリケーターでは互いに直接結合されていた。以下の入口及び出口のそれぞれは、アプリケーター10の異なる実施形態において、以下に記載の特定のレイアウトから位置変更し、液体分流モジュール12をマニホールド22及び吐出モジュール26に設けられた他のポート構成と適合させることができることも理解される。さらに、シールガスケット86を備えるシール溝は、近位壁76に設けられた入口/出口に沿ってのみ示されているが、これらの要素は、同様の実施形態において代替的には、遠位壁74及び/又はマニホールド22の遠位端面30に設けることができることが理解される。
制御空気セクション72を始点として、液体分流モジュール12は、液体制御セクション70の近位壁76の真上に配置された制御空気入口90を有する。液体分流モジュール12は、液体分流モジュール12の反対側に(依然として制御空気セクション72のところに)、例えば液体制御セクション70の遠位壁74の上に、制御空気出口92も有する。制御空気入口90は、対応するマニホールドセグメント18の空気ブロック54に配置された加圧空気出口56と位置合わせされるとともに加圧空気出口56と連通して配置される。空気ブロック54からのこの加圧空気流は、制御空気入口90と制御空気出口92との間に延びる制御空気通路94を連続して通過し、それにより、この加圧空気流は、吐出モジュール26にとっても利用可能になり、その連結された空気ソレノイド52によって使用される。以下に記載のように、この制御空気通路94は、液体分流モジュール12に取り付けられた空気ソレノイド52の制御構造部とも連通し、それにより、空気ソレノイド52は、この加圧制御空気が液体分流モジュール12内のピストンに達するか否かを決める。したがって、液体分流モジュール12は、加圧空気を使用し、かつ、吐出モジュール26において後で使用するためにこの空気を通す。
上記のように、制御空気入口90は、マニホールド22の遠位端面30と液体分流モジュール12の近位壁76との間の接合部から加圧空気が漏れるのを防止するように構成された、シール溝及びシールガスケット86によって囲まれる。図5及び図6を一時参照する。図5及び図6は、液体分流モジュール12の内部通路の経路を明らかにするようにこの液体分流モジュール12の立体構造の大部分を仮想線で示している。制御空気通路94は、互いから傾斜した2つの通路セグメント94a、94bを有する。通路セグメント94a、94b(それぞれが真っ直ぐな穴である)のこの相対的な傾斜により、制御空気通路94が、液体分流モジュール12内の内部中央構造部の回りで、より詳細には中央制御空気通路96(図5及び図6に仮想線で示す)の回りで曲がり、駆動された空気ソレノイド52からの流れを以下に記載のピストンに送達することが可能になる。第1の通路セグメント94aが制御空気入口90と連通し、第2の通路セグメント94bが制御空気出口92と連通する。制御空気通路94は第3の通路セグメント94cも有する。第3の通路セグメント94cは、他の通路セグメント94a、94bのうちの一方又は双方から分岐する。第3の通路セグメント94cは、(例えば、ポートを介して制御空気セクション72の上面に沿って)空気ソレノイド52と連通するように延び、以下に記載のように、中央制御空気通路96を通して選択的に返送するように加圧空気を空気ソレノイド52に提供する。曲がった制御空気通路94が取る特定の経路は、例えば、他の実施形態において中央制御空気通路96が配置される場所に応じて、これらの他の実施形態において変更することができる。
引き続き、図3及び図4の液体制御セクション70の上方から下方に進むと、液体分流モジュール12はまた、近位壁76に沿って配置された液体再循環出口100と、遠位壁74に沿って配置された液体再循環入口102とを有する。上記のように、図示の実施形態では、再循環出口100がシールガスケット86を備えるシール溝によって囲まれているが、他の実施形態において、再循環入口102又は再循環出口100と再循環入口102との双方がこのようなシール溝を有することができることが理解される。再循環出口100は、マニホールド22の対応するマニホールドセグメント18にある液体再循環入口32と位置合わせされるとともに液体再循環入口32と連通して配置される。したがって、以下で更に詳細に記載するように、液体分流モジュール12は、吐出モジュール26が閉じているか又は部分体積流量の接着剤のみを吐出している場合、接着剤の一部又は全部をマニホールド22に戻すことが可能である。そのため、再循環出口100は、液体分流モジュール12内での接着剤の停滞を回避する流路の一部を画定する。再循環出口100(及びその連結された再循環出口通路108)は、再度以下で更に詳細に記載するように、液体分流モジュール12の動作中に再循環する接着剤の量を制御するような寸法であることも有利である。
液体分流モジュール12の再循環入口102は、吐出モジュール26内の再循環路と連通するように配置される。このため、液体分流モジュール12によって吐出モジュール26に送達される接着剤流の量に関わらず、再循環入口102は、吐出モジュール26が閉じている場合にその接着剤流が戻り、ひいてはこの流れがマニホールド22に再循環することを可能にする。再循環入口102は、液体分流モジュール12の再循環入口通路104と連通する。再循環入口通路104は、例えば図5及び図6に仮想線で示す中央弁室106に延びる。中央弁室106は、液体分流モジュール12の弁部材(図3〜図6には図示せず)が動作して、中央弁室106が適切な入口から所望の出口(複数の場合もある)に出入りする接着剤流を経路付けるようにする場所である。中央弁室106の再循環入口通路104とは反対側には再循環出口通路108が延び、中央弁室106から出る再循環接着剤流を再循環出口100に連通させる。
したがって、液体分流モジュール12のこの部分は、吐出モジュール26から進入する接着剤流用の再循環路を画定する。この再循環路は、再循環入口102と、再循環入口通路104と、中央弁室106と、再循環出口通路108と、再循環出口100とによって順に画定される。また同様に、液体分流モジュール12は、液体分流モジュール12の接着剤流用の再循環路を次のように、すなわち中央弁室106から再循環出口通路108及び再循環出口100を通って順に画定する。
再循環出口100及び再循環入口102の下方で、液体分流モジュール12は締結具用貫通穴62を有する。締結具用貫通穴62は、遠位壁74から近位壁76まで延び、液体分流モジュール12を吐出モジュール26とマニホールド22との間の適所に結合する細長いねじ付きの組付け締結具64を受けるようになっている。締結具用貫通穴62は図5及び図6には示していないが、液体分流モジュール12の中心から横方向にオフセットしており、組付け締結具64が、液体分流モジュール12内に配置された中央弁室106を侵害しないようになっている。
引き続き、図3及び図4に示す外観図に関して締結具用貫通穴62から下方に進むと、液体分流モジュール12は、近位壁76に沿って配置された液体入口110と、遠位壁74に沿って配置された液体出口112とを更に有する。液体入口110は、マニホールド22に設けられた液体放出出口24のうちの1つと流体連通状態に位置合わせされるように構成され、それにより、進入する接着剤流を液体分流モジュール12の内部通路内に受け取ることが可能になる。上述のように、図示の実施形態では、液体入口110がシールガスケットを備えるシール溝(図4には図示せず)によって囲まれているが、他の実施形態において、液体出口112又は液体入口110と液体出口112との双方がこのようなシール溝を有することができることが理解される。液体出口112は、液体分流モジュール12に結合された吐出モジュール26にある入口と流体連通状態に位置合わせされるように構成されている。このために、マニホールド22から進入する接着剤流は、液体入口110において液体分流モジュール12に入り、次に、最大体積流量又は部分体積流量が、液体分流モジュール12から液体出口112を介して吐出モジュール26に送達される。液体入口110及び液体出口112は双方とも、以下で更に詳細に記載する内部通路の構成に基づき、必要に応じて部分的に重なった2つの隣接する入口/出口の外観を有しているが、液体入口110及び液体出口112は、本明細書では機能の説明のために単一の入口110及び単一の出口112として扱われる。
この実施形態に示す液体分流モジュール12は、図5及び図6に最も明確に示すように、液体入口110と液体出口112との間に延びる第1の内部通路114及び第2の内部通路116も有する。第1の内部通路114は、互いから傾斜した2つの通路部114a、114bを有する。通路部114a、114b(図示の実施形態ではそれぞれが真っ直ぐな穴である)のこの相対的な傾斜により、第1の内部通路114が液体分流モジュール12内の中央弁室106の回りで曲がることが可能になる。第1の内部通路114が取る特定の経路は、他の実施形態において本開示の範囲から逸脱することなく変更することができるが、図示の実施形態の2つの通路部114a、114bは、液体分流モジュール12の対応する近位壁76及び遠位壁74から液体分流モジュール12内に真っ直ぐな穴を穿孔することによって容易に作られることが理解される。容易に理解されるように、マニホールド22の液体放出出口24から進入する接着剤流は、第1の内部通路114における第1の接着剤部分流と、第2の内部通路116における第2の接着剤部分流とに分流される。第1の接着剤部分流は、中央弁室106を通って流れることなく、液体入口110から第1の内部通路114を介して液体出口112に連続して直接移動する。したがって、液体分流モジュール12内の弁構造部が閉じている場合でも、この第1の接着剤部分流は吐出モジュール26に送達され、基材上に選択的に吐出される。
図5及び図6に示す内部構造特徴部に戻ると、第2の内部通路116は、それぞれ中央弁室106と交差及び連通する2つの通路部116a、116bも有する。より詳細には、一方の通路部116aは、液体入口110と中央弁室106との間に延びる真っ直ぐな穴であり、他方の通路部116bは、中央弁室106と液体出口112との間に延びる真っ直ぐな穴である。以下で更に詳細に記載するように、液体分流モジュール12は弁部材118を備える。弁部材118は、第1の弁座120(図示され、以下で図7及び図8を更に参照しながら記載される)と係合することによって流れを選択的に開閉する。この第1の弁座120は、液体入口110と中央弁室106との間に延びる通路部116aの出口122aと、中央弁室106と液体出口112との間に延びる通路部116bの入口122bとの間に配置される。こうして、液体分流モジュール12において弁部材118を第1の弁座120に対して開閉することにより、第2の接着剤部分流が、第1の接着剤部分流と組み合わせた場合の最大体積流量を画定するように、第2の通路部116bに進入して液体出口112に流れるか否かを制御する。弁部材118が第1の弁座120に対して閉じている場合、第2の接着剤部分流は、吐出モジュール26に送達されるのではなく、再循環出口通路108を通って再循環されてマニホールド22に戻る。その結果、第2の内部通路116を通る流れにより、液体分流モジュール12が対応する吐出モジュール26に最大体積流量を提供するか又は部分体積流量を提供するかが決まる。ここでも、第2の内部通路116の通路部116a、116bは、図示の実施形態では製造が容易であるように別個の真っ直ぐな穴として示されているが、これらの通路部116a、116bの個々の形状及びレイアウトは、他の実施形態において変更することができる。
最後に、引き続き図3及び図4に示す液体入口110及び液体出口112から下方に進むと、液体分流モジュール12はまた、近位壁76に沿って概ね液体入口110の下に配置された処理空気入口124と、遠位壁74に沿って概ね液体出口112の下に配置された処理空気出口126とを有する。処理空気入口124は、マニホールド22に設けられた処理空気出口34のうちの1つと流体連通状態に位置合わせされるように構成され、それにより、進入する処理空気流を、液体分流モジュール12を通って延びる処理空気搬送通路128内に受け取ることが可能になる。上述のように、図示の実施形態では、処理空気入口124がシールガスケット86を備えるシール溝によって囲まれているが、他の実施形態において、処理空気出口126又は処理空気入口124と処理空気出口126との双方がこのようなシール溝を有することができることが理解される。処理空気出口126は、液体分流モジュール12に結合された吐出モジュール26にある入口と流体連通状態に位置合わせされるように構成されている。処理空気入口124及び処理空気出口126は双方とも、内部通路の構成に基づき、必要に応じて部分的に重なった2つの隣接する入口/出口(例えば、他の同様の通路セグメント又は通路部に関して上述したように穿孔された真っ直ぐな穴)の外観を有しているが、処理空気入口124及び処理空気出口126は、本明細書では機能の説明のために単一の入口124及び単一の出口126として扱われる。
図5及び図6を参照する。図5及び図6は、この液体分流モジュール12の内部通路の経路を明らかにするように液体分流モジュール12の立体構造の大部分を仮想線で示している。処理空気搬送通路128は、互いから傾斜した真っ直ぐな穴である4つの通路セグメント128a、128b、128c、128dを有する。より詳細には、2つの通路セグメント128a、128bは、一方の側において中央弁室106の回りで曲がった状態で処理空気入口124と処理空気出口126との間に延びるのに対し、他の2つの通路セグメント128c、128dは、反対側において中央弁室106の回りで曲がった状態で処理空気入口124と処理空気出口126との間に延びる。通路セグメント128a、128b及び128c、128dのこの相対的な傾斜により、処理空気搬送通路128が中央弁室106の最下端部等の内部中央構造部の回りで曲がることが可能になる。処理空気搬送通路128が取る特定の経路は、他の実施形態において本開示の範囲から逸脱することなく変更することができるが、真っ直ぐな穴の通路セグメント128a、128b、128c、128dは、例えば吐出モジュール26が処理空気を用いて接着剤の吐出を制御する非接触式スプレーノズルである場合に使用するために、マニホールド22から液体分流モジュール12に受け取った最大流量の処理空気を吐出モジュール26に送達することを可能にする。使用される吐出モジュール26が、接着剤の吐出及び制御に処理空気の使用を必要としない接触式ディスペンサー又は非接触式ディスペンサーである場合、処理空気搬送通路128は省略しても塞いでもよいことが更に理解される。
図7及び図8を参照すると、図4の断面7−7に沿って、液体分流モジュール12の内部構造部及び内部構成要素が更に詳細に示されている。図3〜図6を参照しながら上述した入口、出口、及び内部通路のそれぞれがこの断面では再度見えるようになっているが、中央弁室106の回りで傾斜している通路のうちのいくつかは仮想線で示されている。図7は、液体分流モジュール12の第1の動作状態を概略的に示している。第1の動作状態では、第2の接着剤部分流が吐出モジュール26への送達のために液体出口112に流れることが可能である。これに対し、図8は、液体分流モジュール12の第2の動作状態を具体的に示している。第2の動作状態では、第2の接着剤部分流は、液体再循環出口100を介してマニホールド22に再循環されるように強制される。これらの図には、液体分流モジュール12を通って、特に液体分流モジュール12の中央弁室106内で発生する流れに関して明確にするように、種々の流れ矢印が示されている。以下で更に記載するように、液体分流モジュール12の内部通路構造部のうちのいくつかは吐出モジュール26とは異なるが、中央弁室106内の弁の機能及び構造は、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26において同様であることが有利である(これは以下でも更に記載する)。内部通路構造部の差異により、液体分流モジュール12は、マニホールド22からの接着剤の一部が吐出モジュール26に送達されるか否かのみを制御するのに対し、吐出モジュール26は、吐出モジュール26が受け取る全部の接着剤流を基材上に吐出するか又はマニホールド22に再循環させるかを制御するという差異が可能になる。
前述のように、液体分流モジュール12の中央弁室106は、第2の内部通路116の通路部116a、116bと連通し、また、吐出モジュール26から延びる再循環入口通路104及びマニホールド22に続く再循環出口通路108と連通する。制御空気通路94、第1の内部通路114、及び処理空気搬送通路128は全て、液体分流モジュール12内の中央構造部の回りで曲がり、中央弁室106と干渉しないようになっている。これに関して、制御空気、処理空気、及び第1の接着剤部分流は、マニホールド22から液体分流モジュール12を通って吐出モジュール26に連続して移動する。以下の記載では、液体分流モジュール12の中央弁室106内の要素の内部弁構造及び機能に焦点を当てる。
中央弁室106は、取外し可能なカートリッジ136の形態で図示されている弁棒ケースを収納する。取外し可能なカートリッジ136は、上部カートリッジ138と、下部カートリッジ140と、上部カートリッジ138及び下部カートリッジ140を軸方向に貫く中央貫通穴142とを有する。この実施形態の上部カートリッジ138は、中央弁室106の対応するねじ付き部と螺合するように構成されているが、取外し可能なカートリッジ136は、他の実施形態において他の既知の方法によって適所に固定することができることが理解される。上部カートリッジ138及び下部カートリッジ140は、中央弁室106の長さに沿って規定された同様に段階的に減少する穴径に一致するように、(図7及び図8に示す向きにおいて)下方に進むと、直径又は断面が全体的に減少する。複数の環状シールガスケット144が上部カートリッジ138及び下部カートリッジ140の外周部にあることと組み合わせて、上部カートリッジ138及び下部カートリッジ140の寸法及び形状が中央弁室106と一致することにより、中央弁室106の部分から又は中央弁室106の部分間で、空気又は接着剤が漏れる可能性が低減する。
中央貫通穴142は、弁部材118がその長手軸又は中心軸に沿って開位置と閉位置との間で自由に移動可能であるように、弁部材118を収納するようになっている。取外し可能なカートリッジ136は、上部カートリッジ138に配置された内部シール組立体146を備える。この内部シール組立体146は、弁部材118と係合して、内部シール組立体146の上方で中央弁室106によって画定されるピストン室148と、内部シール組立体146の下方で取外し可能なカートリッジ136及び中央弁室106によって画定される接着剤室150との間での漏れを防止する、動的シールガスケットを含む。取外し可能なカートリッジ136の長さに沿った他の全ての場所(以下に記載の2つの弁座の地点を選択的に除く)では、中央貫通穴142は、弁部材118よりも大きい寸法であり、液体分流モジュール12の適切な機能のための要求に応じて、空気又は接着剤が弁部材118の回りに流れることを可能にする。
引き続き図7及び図8を参照すると、弁部材118は、下部カートリッジ140の末端を通り越えて延びる弁棒下端部154と、上部カートリッジ138の末端を通り越えてピストン室148内に延びる弁棒上端部156とを有する。ピストン室148は、より詳細には、中央弁室106を画定する液体制御セクション70の内面と、制御空気セクション72の下面と、上部カートリッジ138の末端とによって集合的に形成される。ピストン158は、弁棒上端部156の近くで弁部材118に取り付けられ、例えば、図示の実施形態に示すように下側係止ナット160と上側係止ナット162との間に固定される。したがって、ピストン158は、弁部材118が上下に移動する場合、ピストン室148内を取外し可能なカートリッジ136又は弁部材118の長手軸の方向に移動する。このために、ピストン158の運動が、開位置と閉位置との間での弁部材118の移動を効果的に駆動する。ピストン158は、ピストン室148内に密接して収納される寸法であり、それによりピストン室148が上部ピストン室148aと下部ピストン室148bとに分割されることが理解される。
上部ピストン室148aは、制御空気セクション72を通って略鉛直に延びる中央制御空気通路96と流体連通する。上記で簡単に記載したように、液体分流モジュール12と連結された空気ソレノイド52は、加圧制御空気が中央制御空気通路96を介して上部ピストン室148aに送達されるのを選択的に可能にするように機能する。加圧制御空気は、上部ピストン室148aに送達される場合、ピストン158を取外し可能なカートリッジ136に向かって下方に押す。下部ピストン室148bは、1つ又は複数の穴(図示せず)によって大気に通気することができ、このピストン運動を妨げる空気圧又は減圧を発生させることなくピストン158の運動を可能にすることが理解される。
加圧制御空気が上部ピストン室148aに印加されていない場合、ピストン158を取外し可能なカートリッジ136から離して戻すように移動させるために、下部ピストン室148bには圧縮コイルばね164が設けられる。より詳細には、圧縮コイルばね164は、上部カートリッジ138の末端部に形成された上側リセス166内に部分的に収められ、この上側リセス166とピストン158の底面との間で弁部材118を囲む。容易に理解されるように、圧縮コイルばね164は、ピストン158を取外し可能なカートリッジ136から上方に離すように付勢力を印加し、この付勢力により、加圧制御空気が上部ピストン室148aに送達されてばね付勢に打ち勝つとともにピストン158を最下位置に押すまで、ピストン158及び弁部材118を最上(閉鎖)位置に保持する。したがって、位置間でのピストン158及び弁部材118の移動は、液体分流モジュール12と連結された空気ソレノイド52によって行われる加圧制御空気の選択的な供給によって完全に制御される。
液体分流モジュール12の図示の実施形態では、弁部材118は、2つの例外を除き、その長さの大部分に沿って略同じ直径又は寸法を規定する。このために、弁部材118は、弁棒下端部154に隣接して配置された拡径した第1の弁要素168と、弁棒下端部154と弁棒上端部156との間に配置された拡径した第2の弁要素170とを画定する。第1の弁要素168及び第2の弁要素170を画定する弁部材118のこれらの拡径部は、図7及び図8に示すように内部構造部が完全に組み立てられた場合、下部カートリッジ140の(上下の)両末端部に対して閉鎖関係に配置される。その結果、下部カートリッジ140は、第1の弁要素168に隣接して配置された第1の弁座120と、第2の弁要素170に隣接して配置された第2の弁座172とを有する。第1の弁座120及び第2の弁座172は、第1の弁要素168及び第2の弁要素170が対応する第1の弁座120及び第2の弁座172と接触係合される場合、これらの弁要素168、170の対応する表面にシール係合するような形状である。例えば、第1の弁要素168及び第2の弁要素170によって画定される拡径部は、図示の実施形態では、弁部材118の残りの部分のより小さい直径と、第1の弁要素168及び第2の弁要素170の拡大した直径との間の傾斜した移行部を含み、第1の弁座120及び第2の弁座172には、これらの傾斜した移行部とシール係合する相補的な傾斜面が設けられる。一方で、本開示に一致する他の実施形態において、代替的なタイプの対応する鏡像面を弁要素168、170及び弁座120、172に設けることができることが理解される。
この実施形態に示すような取外し可能なカートリッジ136と弁部材118との組立てを可能にするために、拡径した第1の弁要素168は、弁部材118の弁棒下端部154に固定される別個に形成されたスリーブ174によって画定することができる。このために、図7及び図8に示す最終的な組立て位置では、拡径した第1の弁要素168と第2の弁要素170とは下部カートリッジ140の両端部を挟み、同様に、拡径した第2の弁要素170は、弁部材118に密接係合する内部シール組立体146と下部カートリッジ140との間に配置される。これらの構造部は、少なくとも第1の弁要素168を下部カートリッジ140内の中央穴に通過可能にしなければ、この構成で組み立てることはできない。その結果、スリーブ174は、弁棒下端部154を下部カートリッジ140の穴に挿通した後、弁棒下端部154に固定して結合される。
要約すると、これらの部材は、(1)弁部材118の弁棒上端部156を上部カートリッジ138の内部シール組立体146に挿通することと、(2)弁棒下端部154を(スリーブ174を伴わずに)下部カートリッジ140に挿通することと、(3)上部カートリッジ138及び下部カートリッジ140を互いにともに結合することと、(4)スリーブ174を弁棒下端部154に結合し、弁部材118の第1の弁要素168を形成することと、(5)下側係止ナット160及び上側係止ナット162を用いてピストン158を弁棒上端部156に組み付けることと、(6)組立体を液体制御セクション70の頂端から中央弁室106に挿入するとともに、中央弁室106との上部カートリッジ138の螺合を用いて、組立体を適所に固定することとによって、中央弁室106に組み付けられる。代替的な実施形態において、他の組付け方法を用いることができ、別個に形成されたスリーブ174のような部材は、弁構成部品及びカートリッジ構成部品の組立てに必要でない場合、そのような実施形態では置換又は排除することができることが理解される。
取外し可能なカートリッジ136及び中央弁室106は、マニホールド22及び吐出モジュール26を出入りするように流れる接着剤用のいくつかの更なる通路又は室を集合的に画定する。下部カートリッジ140及び中央弁室106は、第2の内部通路116の通路部116aの出口122aに隣接して互いから離間しており、それにより、この通路部116aに進入する第2の接着剤部分流を受け取るように構成された環状流入室178を画定する。下部カートリッジ140は、第1の弁座120と第2の弁座172との間に延びる中央カートリッジ穴180も有する(例えば、弁部材118の第1の弁要素168と第2の弁要素170との間の部分は、この中央カートリッジ穴180も通って延びる)。中央カートリッジ穴180は、図に示す下部カートリッジ140内に穿孔された1つ又は複数の流入穴182を介して、環状流入室178と流体連通する。これに関して、第2の接着剤部分流は、通路部116aから環状流入室178及び流入穴182を通って中央カートリッジ穴180に流れる。中央カートリッジ穴180は、以下に更に記載のように、この流れを弁要素168、170の開閉状態に応じて上方又は下方に方向付ける。
中央弁室106は、液体分流モジュール12が完全に組み立てられた場合、下部カートリッジ140の下方に延びる流出室184を更に有する。この流出室184は、図7に示す動作状態(開位置とも称される)等において、第1の弁要素168が第1の弁座120から離間している場合は常に、中央カートリッジ穴180と連通する。流出室184は、第2の内部通路116の通路部116bの入口122bとも連通し、第2の内部通路116は液体出口112と連通する。したがって、弁部材118が下方へいわゆる開位置に移動されると、第2の接着剤部分流は、図7の流れ矢印によって示すように液体分流モジュール12の内部通路及び内部室を通って流れ、第2の接着剤部分流が液体入口110から液体出口112に進むことを可能にする。
上部カートリッジ138は、下部カートリッジ140の上方かつ内部シール組立体146の下方に配置された中央再循環穴186を画定する。弁部材118の拡径した第2の弁要素170を含む部分は、この中央再循環穴186を貫通するように配置される。さらに、上部カートリッジ138と中央弁室106とは、再循環入口通路104及び再循環出口通路108に隣接して互いから離間しており、それにより、吐出モジュール26及び/又は液体分流モジュール12からマニホールド22に再循環される接着剤のいかなる流れも受け取るように構成された環状再循環室188を画定する。中央再循環穴186は、図に示すように上部カートリッジ138内に穿孔された1つ又は複数の流出穴190を介して、環状再循環室188と流体連通する。そのため、吐出モジュール26からの接着剤の循環流及び液体分流モジュール12からの接着剤の循環流は、環状再循環室188内でまとめて、再循環出口通路108を介してマニホールド22に戻すことができる。
動作時、中央再循環穴186は、図8に示す動作状態(第2の接着剤部分流が液体出口112に流れることが阻止されるので閉位置とも称される)等において、第2の弁要素170が第2の弁座172から離間している場合は常に、中央カートリッジ穴180と連通する。したがって、弁部材118が上方へいわゆる閉位置に移動する場合、第2の接着剤部分流は、図8に示すように液体分流モジュール12の内部通路及び内部室を通って流れ、第2の接着剤部分流が液体入口110から中央再循環穴186に進み、次に流出穴190、環状再循環室188、及び再循環出口通路108を通ってマニホールド22に戻ることが可能になる。図8に流れ矢印で示すこの流れ挙動は、第2の接着剤部分流を吐出モジュール26に送達するのではなく再循環させ、それにより、吐出モジュール26の低減体積流量状態を規定する。
閉位置にある場合に液体分流モジュール12において発生させることができる再循環流を記載したが、以下では、液体分流モジュール12の更なる利益又は機能を明らかにすることができる。より詳細には、再循環出口通路108は、図7に直径ΦORPとして示す個々に制御された寸法で穿孔された穴である。この寸法は、液体分流モジュール12によって生成される第1の接着剤部分流と第2の接着剤部分流とにおける接着剤流の相対量を制御するように選択又は制御される。液体分流モジュール12が閉位置にある場合、第1の接着剤部分流は吐出モジュール26に放出されるのに対し、第2の接着剤部分流は、図8に関して図示及び上述したように再循環出口通路108に流れる。液体分流モジュール12及び吐出アプリケーター10を通るこれらの2つの流路は全体として、第1の接着剤部分流及び第2の接着剤部分流に対するそれぞれの圧力損失又は流れ抵抗を本質的に規定する。
1つの例示的な実施形態において、直径ΦORPは約0.762mmであり、これにより、再循環路内での圧力損失が、吐出路内での圧力損失と略同じになる。したがって、この再循環出口通路108について選択された直径により、第1の接着剤部分流と第2の接着剤部分流とに関して流れ抵抗が等しくなり、それにより、液体入口110において、流れが等しく効果的に分割される(例えば、第1の部分流が総接着剤流の約50%であり、第2の部分流も総接着剤流の約50%である)。したがって、この閉位置にある場合、アプリケーター10及び液体分流モジュール12は圧力式システムとして動作し、これは、再循環出口通路108の寸法を調整又は制御することにより(例えば、この寸法の助けによって再循環路内での全体的な圧力損失が決まるので)、第1の接着剤部分流と第2の接着剤部分流とにおける相対量の制御を可能にする。低減体積流量状態での70%流/30%流等、異なる体積の分流が望まれる場合、再循環出口通路108の直径ΦORPは、他の図示していない実施形態において、本開示の範囲から逸脱することなくそのような結果を提供するように変更することができる。通常、再循環出口通路108の寸法が減少すれば、第2の接着剤部分流に相当する割合の流れの寸法も減少し、それにより、低減体積流量状態における、最大体積流量状態に比較した低減体積の割合が減少する。それでもやはり、多くの吐出用途では50%体積/50%体積での分流が必要とされ、これは図示の実施形態において有利に提供される。
したがって、液体分流モジュール12は、マニホールド22から進入する最大体積流量を第1の接着剤部分流と第2の接着剤部分流とに分流するように機能することが有利である。第1の接着剤部分流は、吐出モジュール26に連続して送達され、第2の接着剤部分流は、吐出モジュール26に流れるか又は再循環されてマニホールド22に戻るように制御される。空気ソレノイド52によって加圧制御空気が上部ピストン室148aに流され、ピストン158及び弁部材118を下方へ図7に示す開位置に移動させると、第2の弁要素170は、第2の弁座172に対してシールするように閉じるのに対し、第1の弁要素168は、第1の弁座120から少しの距離だけ離される。こうして、進入する第2の接着剤部分流の流れは液体出口112に経路付けられ、最大体積流量として吐出モジュール26に送達される前に、第1の接着剤部分流と再合流される。
加圧制御空気が上部ピストン室148aにもはや送達されない場合、ピストン158は、圧縮コイルばね164によって付勢されて、上方へ図8に示す閉位置に移動される。この閉位置では、第1の弁要素168は、第1の弁座120に対してシールするように閉じるのに対し、第2の弁要素170は、第2の弁座172から少しの距離だけ離される。こうして、進入する第2の接着剤部分流の流れは中央再循環穴186及び再循環出口通路108に経路付けられてマニホールド22に再循環され、低減体積流量状態として第1の接着剤部分流のみが吐出モジュール26に流れるようにする。
例示的な一実施形態において、これらの位置間でのピストン158及び弁部材118の移動は、約0.508mmの行程長等の短い全長の行程長によって規定することができる。したがって、これらの最大体積流量状態と低減体積流量状態とを切り替える弁部材118の移動は、空気ソレノイド52を動作させる制御信号が与えられた時点から略瞬時的に起こる。また、液体分流モジュール12がマニホールド22及び吐出モジュール26と同一線上においてマニホールド22と吐出モジュール26との間で直接この機能を提供するので、吐出モジュール26における接着剤の吐出に即してその直前に、流量体積の選択的かつ略瞬時的な低減が行われることが有利である。このために、液体分流モジュール12は、吐出アプリケーター10が高い応答性を有し、制御された接着剤パターンを基材上に吐出する場合に必要とされ得るように吐出状態を低減体積流量と最大体積流量とで高速に切り替えることを可能にする。その結果、この実施形態のアプリケーター10を用いて、多くの異なる流量パターンを予測可能かつ確実に達成することができる。図11A〜図11Dを参照しながら、いくつかの流量パターン例を以下に記載する。
以下、図9及び図10を参照すると、この吐出アプリケーター10とともに使用される1つの実施形態の吐出モジュール26が、その内部通路及び内部部材を示すように更に詳細に示されている。上記で簡単に記載したように、吐出モジュール26の内部弁構成部品及びカートリッジ構成部品は、液体分流モジュール12に関して上述したものと同様であり、そのため、機能が略同じである場合、これらの同様の部材の説明は、以下ではより限定的に行われる。さらに、以下では、液体分流モジュール12の内部部材に用いられた内部部材を記載するのに、200番台での同じ参照符号が用いられており、ここで、それらの内部部材は実質的に同一である。例えば、吐出モジュール26の取外し可能なカートリッジ236は、液体分流モジュール12に関して上述した取外し可能なカートリッジ136に構造及び機能が匹敵する。一方で、個々の吐出モジュール26は、代替的な実施形態において、本開示の範囲から逸脱することなく変更するか又は他の既知の吐出モジュール26と置換することができることが理解される。例えば、吐出モジュール26は、本願の出願人によって所有されている米国特許第6,089,413号に記載のモジュールと一致することができる。つまり、吐出モジュール26は、液体分流モジュール12からの接着剤流を受け取り、次にこの接着剤流を、基材に吐出するか又は例えば液体分流モジュール12を介してマニホールド22に再循環させるかを制御する能力を提供しなければならない。
図9及び図10に戻ると、図示の実施形態の吐出モジュール26は、モジュール本体200と、モジュール本体200の上部に作用可能に結合された空気用キャップ202と、締付けねじ208を含むノズル保持用締付具206を用いてモジュール本体200の下部に解除可能に結合された吐出ノズル204(仮想線で示す)とを備える。容易に理解されるように、締付けねじ208はノズル保持用締付具206と螺合され、それにより、締付具206は、吐出ノズル204をモジュール本体200の底端部で適所に解放可能に保持することができる。吐出ノズル204は、接着剤流を基材上に非接触式又は接触式に吐出する、任意の数の既知のノズルのうちの1つとすることができ、この吐出ノズル204は、アプリケーター10を用いて様々な吐出タイプ及び吐出パターンを使用することができるように、ノズル保持用締付具206において位置変更可能である。吐出ノズル204及びその連結された吐出出口210は、他の実施形態において、吐出モジュール26の一部として一体的に組み込むことができることが理解される。
モジュール本体200は、吐出弁部材214及び以下で更に記載する種々の他の内部部材を収容する主内部室212を有する。図1に示すようにアプリケーター10が組み立てられた場合、液体分流モジュール12の遠位壁74に対面及び接触するモジュール本体200の壁に沿って、モジュール本体200は、液体分流モジュール12の液体出口112と位置合わせされるとともに液体出口112と流体連通して配置されるように構成された液体入口216を有する。液体入口216は入口通路216aと連通し、入口通路216aは図9及び図10に示すように下方に傾斜しながら内方に延び、主内部室212と連通する。したがって、液体入口216及び入口通路216aは、液体分流モジュール12から受け取った部分体積流量又は最大体積流量の接着剤を主内部室212に送達し、主内部室212において、この流れは、吐出されるか又は再循環されるように選択的に制御される。モジュール本体200は、主内部室212からモジュール本体200の底部に向かって下方に延びる液体吐出出口通路218も有する。ここでは、詳細には、吐出ノズル204はモジュール本体200と係合される。したがって、液体吐出出口通路218は、吐出弁部材214が再循環ではなく吐出のために流れを開放する場合、接着剤を吐出ノズル204に方向付け、基材上に吐出するようになっている。
液体入口216の上方で、モジュール本体200は、液体再循環出口通路220aの終点である液体再循環出口220を更に有する。液体再循環出口通路220aは、液体再循環モード中、接着剤を主内部室212から液体分流モジュール12及びその対応する液体再循環入口102に向かって方向付けるようになっている。液体再循環モードでは、吐出弁部材214は、吐出ではなく再循環のために流れを開放する。液体入口216の下方で、モジュール本体200は、アプリケーター10が図示のように完全に組み立てられると液体分流モジュール12の処理空気出口126と連通する、処理空気入口222も有する。処理空気入口222は、処理空気通路222a(図9及び図10に仮想線で示す)と連通する。処理空気通路222aは、液体分流モジュール12から供給されるパターン/処理空気を受け取って、次にこの処理空気を、吐出モジュール26の非接触吐出モードで液体スプレーパターンを生成するのに用いるために、吐出ノズル204の対応する通路(仮想線で示す)に方向付けるようになっている。使用される吐出ノズル204がパターン制御に加圧処理空気を使用しない接触式ノズルである場合、処理空気入口222は省略しても塞いでもよいことが理解される。さらに、モジュール本体200の外面には、液体分流モジュール12に面してこれらの種々の入口及び出口を囲む一連のシール溝及びシールガスケット86を備えることができる。シールガスケット86は、液体分流モジュール12上に設けられてマニホールド22との接合部に面するシールガスケット86と同様であり、これらのシールガスケット86は、本開示の範囲から逸脱することなく、代替的には、液体分流モジュール12の遠位壁74に設けることができる。
モジュール本体200の液体分流モジュール12との当接部とは反対側において、吐出モジュール26は1つ又は複数の通気口224を有する。1つ又は複数の通気口224は、主内部室212の部分内で、吐出弁部材214の動作に悪影響を与える可能性がある正気圧又は負気圧の蓄積を回避するように構成されている。例えば、図9及び図10に示す通気口224のうちの1つは、上述したのと同様の理由で下部ピストン室248bと連通する(例えば、それにより、吐出弁部材214を駆動するピストン258の運動を許容する)。通常、ノズル保持用締付具206はこの反対側にも設けられ、アプリケーター10が完全に組み立てられた場合でも、締付具206及び締付けねじ208への容易なアクセスを可能にする。
空気用キャップ202は、制御空気入口226aから延びる制御空気通路226を有する。制御空気通路226は、液体分流モジュール12の制御空気出口92から制御空気出口226bに供給される加圧制御空気を受け取るようになっている。制御空気出口226bは空気ソレノイド52と連通する。空気ソレノイド52は、よく理解されるように従来のねじ付き締結具を用いること等によって空気用キャップ202に結合される。液体分流モジュール12の制御空気セクション72と同様に、空気用キャップ202は中央制御空気通路228も有する。中央制御空気通路228は、吐出弁部材214を移動させる加圧空気流を提供するように空気ソレノイド52が駆動される場合、空気ソレノイド52からの加圧制御空気を戻す。制御空気通路226は、液体分流モジュール12の制御空気通路94に関して上述したのと同様に、中央制御空気通路228の回りで曲がるように複数の傾斜部を有して形成することができる。空気ソレノイド52は、進入する加圧制御空気を上部ピストン室248aに選択的に方向付け、以下に記載の吐出モジュール26の内部部材を駆動して、吐出モジュール26を液体吐出モードと液体再循環モードとで切り替えるように動作可能である。
引き続き図9及び図10を参照すると、吐出モジュール26の残りの内部構成部品は、液体分流モジュール12において用いられた上記で詳細に記載の制御弁構成部品及び内部構成部品と略同一である。完全性のために、これらの部材の簡単な説明を以下で提供する。このために、吐出モジュール26は取外し可能なカートリッジ236を備える。取外し可能なカートリッジ236は、吐出弁部材214を収めるように構成された中央貫通穴242を集合的に画定する、上部カートリッジ238及び下部カートリッジ240によって画定される。取外し可能なカートリッジ236は、ここでも外周部に環状シールガスケット244を備え、モジュール本体200の主内部室212と係合するようにシールする。また、取外し可能なカートリッジ236は、内部シール組立体246も備える。内部シール組立体246は、吐出弁部材214と係合して、吐出モジュール26内の接着剤部から空気部を分離する。これに関して、内部シール組立体246の上方に、上部ピストン室248a及び下部ピストン室248bを有するピストン室248が設けられ、一方で、内部シール組立体246の下方に、接着剤室250が設けられる。
吐出弁部材214は、弁棒下端部254から弁棒上端部256まで延び、下側係止ナット260及び上側係止ナット262を用いて、弁棒上端部256の近くでピストン258が取り付けられている。ピストン258は、ピストン室248内で運動するように取り付けられており、圧縮コイルばね264により、再循環モードによって規定される閉位置に向かって上方に付勢されている。圧縮コイルばね264は、上部カートリッジ238の頂端部に形成された上側リセス266内に少なくとも部分的に配置される。こうして、空気ソレノイド52によって制御された加圧空気を、中央制御空気通路228を介して上部ピストン室248aに送達し、ピストン258及び吐出弁部材214を、ばね付勢に抗して液体吐出モードを規定する開位置に移動させることができる。さらに、吐出弁部材214は、液体分流モジュール12の弁部材118と専ら同様に、空気駆動されるばね式の戻し弁である。
吐出弁部材214は、2つの拡径した弁要素を含む。第1の弁要素268は、弁棒下端部254に隣接して設けられ、第2の弁要素270は、弁棒下端部254と弁棒上端部256との間に設けられる。第1の弁要素268は、下部カートリッジ240に設けられた第1の弁座269と選択的に係合するように構成されている。第1の弁要素268が第1の弁座269と係合されると、これにより図9に示す閉位置又は再循環モードになり、液体分流モジュール12から進入する接着剤は、吐出ノズル204に流れるのを阻止され、それにより、吐出モジュール26からの接着剤流を遮断する。空気ソレノイド52からの加圧制御空気を用いたピストン258の運動により第1の弁要素268が第1の弁座269から押し離されると、例えば開位置又は液体吐出モードにおいて、図10の流れ矢印で示すように吐出ノズル204及び吐出出口210への接着剤流が発生する。第2の弁要素270は、下部カートリッジ240の第1の弁座269とは反対側の端部に形成された、第2の弁座272と選択的に係合するように構成されている。第2の弁要素270は、第1の弁要素268が第1の弁座269と係合している場合、進入する接着剤流が再循環されるのを可能にするように、第2の弁座272から離間する。同様に、第2の弁要素270は、第1の弁要素268が第1の弁座269から離間している場合、再循環流を阻止するように第2の弁座272と係合する。上述のように、第1の弁要素268は、弁棒下端部254と係合する取外し可能なスリーブ274によって少なくとも部分的に画定することができ、それにより、図に示す内部弁構成部品及びカートリッジ構成部品の組付けを可能にする。
下部カートリッジ240とモジュール本体200との間に環状流入室278が画定される。この環状流入室278は、液体入口通路216aからの流れを受け取る。複数の流入穴282が、下部カートリッジ240を径方向に通って延び、環状流入室278から、下部カートリッジ240の長さに沿って第1の弁座269と第2の弁座272との間に画定された中央カートリッジ穴280への接着剤の連通を提供する。この場合、中央カートリッジ穴280への接着剤流は、第1の弁要素268が第1の弁座269から離間している場合、弁棒下端部254を囲む流出室284に選択的に進む。流出室284は、吐出ノズル204まで延びる液体吐出出口通路218と連通する。代替的には、中央カートリッジ穴280への接着剤流は、第2の弁要素270が第2の弁座272から離間している場合、上部カートリッジ238内の第2の弁座272の上方に画定された中央再循環穴286に進む。この場合、再循環される接着剤流は、中央再循環穴286から、上部カートリッジ238を径方向に通って穿孔された複数の流出穴290を進み、上部カートリッジ238とモジュール本体200との間に画定された環状再循環室288に供給される。この環状再循環室288は液体再循環出口通路220aとも連通し、上述のように、液体再循環出口通路220aは、上述したマニホールド22への送達のために、接着剤流を液体分流モジュール12に戻す。
したがって、吐出モジュール26が液体分流モジュール12から最大体積流量の接着剤を受け取るか又は部分体積流量の接着剤を受け取るかに関わらず、吐出モジュール26は、受け取った接着剤流を基材上に吐出する液体吐出モードと、受け取った接着剤をマニホールド22に流し戻す再循環モードとを高速に切り替えることが可能である。上記のように、アプリケーター10の他の実施形態において、様々なタイプの接触式吐出モジュール及び非接触式吐出モジュール並びに対応するノズルを用いることができる。
上記で簡単に記載したように、図示の実施形態の可変出力吐出アプリケーター10は、各組の液体分流モジュール12及びその対応する吐出モジュール26において、アプリケーター10の幅にわたって、最大体積流量と、部分体積流量と、無体積流量とを略瞬時的に移行することを可能にすることが有利である。したがって、吐出モジュール26のそれぞれが、接着剤を例えば25ミリメートル幅の基材の細長部分すなわち列部分上に吐出するように構成されている場合、このパターンは、接触式吐出用途及び非接触式吐出用途の双方において、基材の縦方向若しくは長さに沿って変更することも、横断方向にすなわち基材の幅を横切って(25ミリメートルの増分で)変更することもできる。この機能により、任意の数の正確なパターンが、基材によって画定される二次元空間にわたって提供される。これらのパターンのいくつかの例が、図11A〜図11Dに示されている。
より詳細には、制御ユニット50は、液体分流モジュール12及び吐出モジュール26内の空気ソレノイド52及び関連の弁構造部を、基材上に様々な接着剤体積区域を生成し、それにより、図11Aの箱形パターン、図11Bの縞パターン、図11Cの砂時計形パターン、図11DのX字形パターン等のパターン、及び他の容易に理解されるか又は望ましい堆積パターンを生成するように動作させる。さらに、基材に塗布されるパターンの吐出幅は、単に、所与の基材に対して使用しない全ての細長部分/列部分の吐出モジュール26を再循環モードにすることにより、高速に変更することができる。アプリケーター10は、パターン又は吐出幅を変更する必要がある場合に必ずしも再構成する必要があるわけではない。
接着剤の箱形パターンである図11Aを詳細に参照すると、制御ユニット50及びアプリケーター10によって生成されたパターンは、基材上に、接着剤低減流量区域302によって画定された内側領域の回りの外周部を形成する最大接着剤流量区域300を有する。最大接着剤流量区域300は、動作を明確にしやすくするように、箱状の部分として示されているが、これらの区域は、基材上の実際に吐出されたパターンでは、ともに結合して一体的な最大体積外周部になることが理解される。
図11Aのパターンを形成するのに、制御ユニット50を用いて6組の液体分流モジュール12及び吐出モジュール26が制御される。上述のように、液体分流モジュール12のそれぞれは、対応するマニホールドセグメント18からの接着剤流を第1の部分流と第2の部分流とに分流する。第1の部分流と第2の部分流とのうちの一方は、吐出モジュール26に常に送達され、第1の部分流と第2の部分流とのうちの他方は、弁部材118によって制御される。吐出モジュール26のそれぞれは、吐出弁部材214を用いて、液体分流モジュール12から進入する接着剤が基材上に吐出されるか又は再循環されて液体分流モジュール12を介してマニホールドセグメント18に戻るかを制御する。このために、図11Aのパターンの最上部に示す第1の組の区域について、制御ユニット50は、パターン又は基材の幅にわたる6つの列部分の全ての列部分における液体分流モジュール12及び吐出モジュール26の双方の空気ソレノイド52を駆動する。これにより、最大体積流量の接着剤が液体分流モジュール12によって吐出モジュール26に送達され、次に、この最大体積流量が吐出モジュール26のそれぞれの吐出出口210から吐出され、それにより、一連の最大接着剤流量区域300を形成する。したがって、最大体積流量の接着剤すなわち接着剤最大体積区域が、パターンの全幅(各区域が25ミリメートル幅の例では、150ミリメートル幅)にわたって塗布される。
(図11Aに示す区域の最上列から下方に移動して)基材が第2の組の区域に達する場合、制御ユニット50は、第2の列部分、第3の列部分、第4の列部分、及び第5の列部分における液体分流モジュール12の動作状態を切り替えるが、他の全ての空気ソレノイド52は、以前と同じに維持する。その結果、第1の列部分及び第6の列部分(例えば横方向の最も外側の列部分)の吐出モジュール26は、引き続き最大体積流量の接着剤を吐出し、基材上に更なる最大接着剤流量区域300を生成する。同時に、第2の列部分〜第5の列部分の液体分流モジュール12は、(これらの液体分流モジュール12のピストン158及び弁部材118がばね付勢によって閉位置に戻されるので)第1の接着剤部分流のみが対応する吐出モジュール26によって受け取られるように、第2の接着剤部分流を再循環させる。この低減接着剤流量は、これらの中央列部分において、これらの吐出モジュール26によって吐出され、基材上に接着剤低減流量区域302を形成する。このプロセスを、基材の長さに沿って複数の区域(図11Aには5つ示す)について繰り返すことができ、その場合、制御ユニット50は、全ての空気ソレノイド52を再び駆動して、基材の全幅にわたって最大接着剤流量区域300を提供し、箱形パターンを完成させることができる。箱形パターンの中央に、接着剤低減流量区域302ではなく無接着剤流量部を得ることが望まれる場合、制御ユニット50が上述したように液体分流モジュール12ではなくこれらの列部分の吐出モジュール26の動作状態を切り替える点のみが変更されると想定される。
無接着剤流量区域304を有するパターンの1つの例は、図11Cに示す砂時計形パターンである。最大接着剤流量区域300は、ここでも基材の全幅にわたってパターンの始端部と終端部とに塗布されているが、これらの端部間では、最大接着剤流量区域300は選択的に塗布されて、最大接着剤流量のX字形パターンを生成し、X字形の中央部上下の空所及びX字形の中央部左右の空所を残す。砂時計形パターンを完成するには、X字形の中央部上下の空所を接着剤低減流量区域302で満たし、一方で、例えば無接着剤流量区域304により、X字形の中央部左右の空所を接着剤で満たさずにおく。その結果、アプリケーター10の制御ユニット50を用いて、最大体積流量、低減体積流量、及び基材の区域上に必要とされる場合は無体積流量を吐出することにより、約25ミリメートルの解像度を有する種々の二次元パターンを形成することができることが理解される。
所望の接着剤パターンが、接触式吐出又は非接触式吐出(スプレー吐出が非接触式吐出の一例である)によって基材上に吐出された後、通常、基材は、吐出された接着剤パターンを用いて別個の部材に接着される。例えば、最大接着剤流量区域300は、基材と別個の部材との間に強力な構造的結合を生成するために用いられるのに対し、接着剤低減流量区域302は、基材の積層を安定させるために用いられる。さらに、液体分流モジュール12がマニホールド22及び吐出モジュール26に則してマニホールド22と吐出モジュール26との間に配置されるので、吐出モジュール26における吐出に即してその直前に分流制御が行われる結果として、最大体積流量と低減体積流量との切替えが略瞬時的に起こる。また、体積が吐出制御弁の下流で結合される従来のシステムとは異なり、制御ユニット50は、弁装置の動作モードを切り替えた後の、以前の吐出状態からの流れが継続される重大な時間を考慮する必要なく、アプリケーター10の各列部分の吐出状態を切り替えることが可能である。したがって、アプリケーター10は、アプリケーター10及びその種々のモジュール12、26の構造的な再組立て及び再構成を必要とすることなく、様々な幅及び長さの基材にわたって、最大接着剤流量区域300、接着剤低減流量区域302、及び/又は無接着剤流量区域304によって画定される種々の異なる所望の接着剤堆積パターンを生成することが可能である。これに関して、同アプリケーター10をエンドユーザーの種々の吐出作業及び製品ラインに用いて、それにより、各製品ラインについて別個の吐出アプリケーター又は吐出システムを保守管理する必要を回避することができる。
本発明を例示的な実施形態の記載によって例示し、これらの実施形態をいくらか詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に制限又はいかようにも限定することは本出願人の意図ではない。更なる利点及び変更形態は、当業者には容易に明らかとなる。本発明の種々の特徴部は、ユーザーの必要及び選好に応じて単独で用いても組合せで用いてもよい。しかしながら、本発明自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるものとする。