JP2016163696A - 医療用材料及び癒着防止材 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体が、酸無水物を含む処理液で水不溶化処理されて形成された膜部分を備え、下記(1)〜(3)の少なくともいずれかの要件を満たす医療用材料。
(1)その一端部が前記膜部分と一体化した糸状部材をさらに備える。
(2)微細な表面凹凸構造が前記膜部分に形成されている。
(3)厚み方向に貫通する1以上の孔が前記膜部分に形成されている。
[2]前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]に記載の医療用材料。
[3]前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである前記[1]又は[2]に記載の医療用材料。
[4]前記糸状部材がX線不透過剤を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の医療用材料。
[5]前記膜部分がX線不透過剤を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載の医療用材料。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の医療用材料に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなる癒着防止材。
本発明の医療用材料は、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体が、酸無水物を含む処理液で水不溶化処理されて形成された膜部分を備える。ポリアニオン性多糖類は、カルボキシ基やスルホン酸基等の負電荷を帯びた1以上のアニオン性基をその分子構造中に有する多糖類である。また、ポリアニオン性多糖類の水溶性塩は、ポリアニオン性多糖類中のアニオン性基の少なくとも一部が塩を形成したものである。なお、ポリアニオン性多糖類中のアニオン性基は、多糖類の分子中に導入されたものであってもよい。
(1)その一端部が膜部分と一体化した糸状部材をさらに備える(態様1)。
(2)微細な表面凹凸構造が膜部分に形成されている(態様2)。
(3)厚み方向に貫通する1以上の孔が膜部分に形成されている(態様3)。
本発明の癒着防止材は、前述の医療用材料に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなるものである。多価アルコールの具体例としては、エチレングルコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルグリセロール、ポリオキシエレングリコシド、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、還元水飴、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、バリン、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、ポリグリセリン、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。なかでも、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、低分子ポリエチレングリコール等、医療分野や食品分野で使用されている多価アルコールが好適に用いられる。これらの好適に用いられる多価アルコールは、市場から入手してそのまま使用できる。グリセリン、ソルビトール等については、日本薬局方に適合したものを用いることが望ましい。グリセリンは、静脈への注射剤としても使用されるほど安全性の高い素材であるために特に好ましい。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量150万Da)の粉末1部及びグリセリン(日本薬局方)0.5部を含む水溶液100部を調製した。調製した水溶液100gを縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込んだ。図1に示すように糸(手術用縫合糸(絹ブレード、1−0))2を配置した後、20℃の恒温槽内で乾燥させて、糸つきヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(20%無水酢酸/80%エタノール溶液)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理した。これにより、図1に示すような、膜部分1に糸2の一端部が一体化した厚さ約100μmの医療用材料10(水不溶性の糸つきヒアルロン酸膜)を得た。
図2及び3に示すように糸(手術用縫合糸(絹ブレード、1−0))2,4,6,8をそれぞれ配置したこと以外は、前述の実施例1と同様の操作を行った。これにより、図2及び3示すような、膜部分1に糸2,4(図2)及び糸6,8(図3)の一端部がそれぞれ一体化した厚さ約100μmの医療用材料20,30(水不溶性の糸つきヒアルロン酸膜)を得た。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量150万Da)の粉末1部及びグリセリン(日本薬局方)0.5部を含む水溶液100部を調製した。調製した水溶液100gを、最大深さ0.5μm、一辺5mmの格子を有する型紙を備えた、縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(20%無水酢酸/80%エタノール溶液)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理した。これにより、表面凹凸構造(溝)が膜部分に形成された厚さ約110μmの水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。得られた膜(医療用材料(薄膜))の写真を図4に示す。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量150万Da)の粉末1部及びグリセリン(日本薬局方)0.5部を含む水溶液100部を調製した。調製した水溶液100gを縦12cm×横10cmのステンレストレイに流し込み、20℃恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(20%無水酢酸/80%エタノール溶液)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理して厚さ約110μmの水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。得られた膜にセンターピッチ15mm、45°千鳥の配列で直径5mmの円孔を打ち抜き、水不溶性の小孔付きヒアルロン酸膜を得た。
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量150万Da)の粉末1部及びグリセリン(日本薬局方)0.5部を含む水溶液100部を調製した。調製した水溶液100gを、底面に多数の突起部を有する、縦10cm×横10cmのポリエチレンテレフタレート製トレイ(図5)に流し込み、20℃の恒温槽内で乾燥させてヒアルロン酸ナトリウム膜を得た。得られた膜を処理液(20%無水酢酸/80%エタノール溶液)に浸漬し、50℃で1時間放置して水不溶化処理した。これにより、表面凸構造が膜部分に形成された厚さ約90μmの水不溶性のヒアルロン酸膜を得た。得られた膜(医療用材料(薄膜))の写真を図6に示す。
各実施例で製造したヒアルロン酸膜を2cm角に切断し、直径3.5cm、深さ1.5cmの容器に入れ、PBS緩衝液(pH6.8)5mLを加えた。この容器を37℃に調整した振盪機に入れ、10〜20rpmで振盪し、経時的な状態変化を目視観察した。その結果、いずれの膜についても、72時間後であっても原形が保持されており、水不溶化されていることが分かった。また、72時間後の膨潤率(膨潤膜/乾燥膜(質量比))は2.6であった。
実施例1で製造した膜を、10体積%グリセリン水溶液に浸漬した後、風乾して滅菌用袋に封入した。25kGyの放射線を照射して滅菌用袋ごと滅菌して厚さ約100μmの癒着防止膜を得た。成犬(ビーグル犬、雌、1.5歳、体重約10kg)を全身麻酔処置後に開腹し、腹側壁表皮を3cm角に剥離した。剥離部分を覆うように癒着防止膜を配置するとともに、糸を外部に出した状態で閉腹した。また、外部に出した糸の端部を腹部表面にテープで固定した。2週間後、同犬を全身麻酔処置後に開腹したところ、癒着は発生していなかった。また、犬の体内に配置(埋植)した癒着防止膜は、埋植後2週間で消失していた。これは、生体内のナトリウムイオン等によって癒着防止膜を構成するヒアルロン酸のカルボキシ基が徐々に中和され、可溶性のヒアルロン酸塩に変化して溶解し、生体内に吸収されたものと推測される。これに対して、癒着防止膜を配置することなく閉腹した犬については、剥離部分と腸に癒着が生じていることが観察された。
実施例6で製造した膜を、10体積%グリセリン水溶液に浸漬した後、風乾して滅菌用袋に封入した。エチレンオキサイドガスにより滅菌用袋ごと滅菌して厚さ約90μmの癒着防止膜を得た。成犬(ビーグル犬、雌、1.5歳、体重約9.7kg)を全身麻酔処置後に開胸し、肺を10分間外気にさらした後に、開胸部傷口直下の肺上に癒着防止膜を配置した。肺を人工呼吸器により呼吸運動させたところ、配置した癒着防止膜が肺の動きに追随して移動することはなく、固定されていることがわかった。4週間後、同犬を全身麻酔処置後に開胸したところ、癒着は発生していなかった。また、配置した癒着防止膜は消失していた。
2,4,6,8:糸
10,20,30:医療用材料
Claims (6)
- ポリアニオン性多糖類の水溶性塩を含有する原材料からなる原料成形体が、酸無水物を含む処理液で水不溶化処理されて形成された膜部分を備え、
下記(1)〜(3)の少なくともいずれかの要件を満たす医療用材料。
(1)その一端部が前記膜部分と一体化した糸状部材をさらに備える。
(2)微細な表面凹凸構造が前記膜部分に形成されている。
(3)厚み方向に貫通する1以上の孔が前記膜部分に形成されている。 - 前記ポリアニオン性多糖類が、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の医療用材料。
- 前記酸無水物が、無水酢酸及び無水プロピオン酸の少なくともいずれかである請求項1又は2に記載の医療用材料。
- 前記糸状部材がX線不透過剤を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用材料。
- 前記膜部分がX線不透過剤を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用材料。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療用材料に多価アルコール又は多価アルコール水溶液が保持されてなる癒着防止材。
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