図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理システム10の内部を示す平面図である。図2は、基板処理システム10を図1中のII−IIの位置にて切断した断面図である。図2では、断面よりも奥の構成も合わせて描いている。基板処理システム10は、半導体基板(以下、単に「基板」という。)を処理するシステム(装置)である。
基板処理システム10は、インデクサ部7と、プロセス部6とを備える。インデクサ部7は、複数の基板収容器71と、複数の基板収容器載置部72と、インデクサロボット73とを備える。複数の基板収容器71はそれぞれ、複数の基板収容器載置部72上に載置される。複数の基板収容器71は、図1および図2中において、インデクサロボット73の左側に配置される。各基板収容器71は、複数の基板を収容する。各基板収容器71では、水平状態の複数の基板が上下方向に互いに離間しつつ配列されて収容される。
インデクサロボット73は、インデクサハンド74と、ハンド駆動機構75とを備える。インデクサハンド74は、1つの基板を水平状態にて保持可能である。ハンド駆動機構75は、例えば、インデクサハンド74を水平方向に進退させる進退機構と、インデクサハンド74を上下方向に移動する昇降機構と、インデクサハンド74を上下方向に平行な回転軸を中心として回転する回転機構とを備える。
ハンド駆動機構75によりインデクサハンド74が駆動されることにより、基板収容器71から基板(例えば、処理が済んでいない未処理基板)が搬出され、また、基板収容器71に基板(例えば、処理済み基板)が搬入される。詳細には、ハンド駆動機構75は、インデクサハンド74を基板収容器71に対向させた後、前進させて基板収容器71内に挿入する。そして、インデクサハンド74を上昇させることにより基板を保持した後、後退させて基板収容器71から基板を搬出する。基板を搬入する場合は、上記と反対の動作が行われる。
プロセス部6は、複数の処理ユニット61と、中間ユニット62と、主搬送ロボット63とを備える。各処理ユニット61は、基板に対して処理液を供給して基板を処理するユニットである。複数の処理ユニット61は、平面視において、中間ユニット62および主搬送ロボット63が配置される空間66を取り囲んで配置される。空間66は、複数の処理ユニット61により共有される主搬送ロボット63用の空間であり、以下の説明では「共用空間66」という。図1および図2に示す例では、基板処理システム10は12個の処理ユニット61を有する。詳細には、基板処理システム10では、共用空間66の両側にそれぞれ6つの処理ユニット61が配置される。共用空間66の一方側のみに処理ユニット61が配置されてもよい。
主搬送ロボット63は、基板搬送ハンド64と、ハンド駆動機構65とを備える。基板搬送ハンド64は、1つの基板を水平状態にて保持可能である。ハンド駆動機構65は、例えば、基板搬送ハンド64を水平方向に進退させる進退機構と、基板搬送ハンド64を上下方向に移動する昇降機構と、基板搬送ハンド64を上下方向に平行な回転軸を中心として回転する回転機構とを備える。
ハンド駆動機構65により基板搬送ハンド64が駆動されることにより、処理ユニット61へと基板(例えば、未処理基板)が搬入され、また、処理ユニット61から基板(例えば、処理済み基板)が搬出される。詳細には、ハンド駆動機構65は、基板搬送ハンド64を処理ユニット61の搬出入口に対向させた後、前進させて基板を処理ユニット61内に挿入する。そして、基板搬送ハンド64から処理ユニット61内の基板保持部31(後述)に基板を渡した後、基板搬送ハンド64を後退させて処理ユニット61から退出させる。基板を搬出する場合は、上記と反対の動作が行われる。
中間ユニット62は、インデクサロボット73と主搬送ロボット63との間で基板の受け渡しが行われる際に、基板を一時的に保持するユニットである。例えば、インデクサロボット73により、基板収容器71から未処理基板が搬出され、中間ユニット62に搬入されて中間ユニット62にて一時的に保持される。そして、主搬送ロボット63により、当該未処理基板が中間ユニット62から搬出され、処理ユニット61に搬入される。また、主搬送ロボット63により、処理済み基板が処理ユニット61から搬出され、中間ユニット62に搬入されて中間ユニット62にて一時的に保持される。そして、インデクサロボット73により、当該処理済み基板が中間ユニット62から搬出され、基板収容器71に搬入される。
図3は、1つの処理ユニット61の内部を示す平面図である。図4は、図3に示す処理ユニット61の一部を拡大して示す平面図である。図5は、処理ユニット61の一部を図4中のV−Vの位置にて切断した断面図である。処理ユニット61は、基板処理装置1と、ハウジング11とを備える。基板処理装置1は、基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、装置収容室であるハウジング11内に収容される。図3ないし図5では、ハウジング11を破線にて示す。以下の同様の図においても、ハウジング11を破線にて示す。基板処理システム10では、他の処理ユニット61の構造も、図3ないし図5に示すものと同様である。他の処理ユニット61では、他の基板処理装置1が、他の装置収容室である他のハウジング11内に収容される。他の基板処理装置1は、図3ないし図5に示す基板処理装置1と同様の構造を有する。
図3ないし図5に示すように、基板処理装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、カップ部37と、第1処理液ノズル411と、第2処理液ノズル421と、ノズル移動機構43と、ノズル洗浄部44と、トッププレート51と、対向部材保持部53と、対向部材昇降機構55と、対向部材保持部移動機構57と、対向部材収容部81とを備える。図3に示すように、基板処理装置1はさらに制御部21を備える。制御部21は、基板回転機構33、ノズル移動機構43、ノズル洗浄部44、対向部材昇降機構55、対向部材保持部移動機構57等の構成を制御する。図4および以降の図では、制御部21の図示を省略する。
図3および図4では、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421は、平面視においてトッププレート51から離間し、トッププレート51の周囲のそれぞれの退避位置に位置する。以下の説明では、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421を区別する必要がない場合は、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421をまとめて、あるいは、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421のいずれか一方を、単に「処理液ノズル」ともいう。
図4および図5に示すように、ノズル移動機構43は、第1ノズル昇降機構431、第1ノズル回転機構432、第2ノズル昇降機構433および第2ノズル回転機構434を備える。第1処理液ノズル411は、第1ノズル昇降機構431および第1ノズル回転機構432から水平方向に延びる第1アーム412の先端部に接続される。第1ノズル昇降機構431は、第1処理液ノズル411を第1アーム412と共に上下方向に移動する。第1ノズル回転機構432は、第1処理液ノズル411を第1アーム412と共に水平に回転する。
図4に示すように、第2処理液ノズル421は、第2ノズル昇降機構433および第2ノズル回転機構434から水平方向に延びる第2アーム422の先端部に接続される。第2ノズル昇降機構433は、第2処理液ノズル421を第2アーム422と共に上下方向に移動する。第2ノズル回転機構434は、第2処理液ノズル421を第2アーム422と共に水平に回転する。
図4および図5に示す基板保持部31は、水平状態の基板9を保持する。基板保持部31は、ベース部311と、複数のチャック312と、複数の係合部313とを備える。ベース部311は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円板状の部材である。基板9は、ベース部311の上方に配置される。複数のチャック312は、中心軸J1を中心として略等角度間隔にて、ベース部311の上面の外周部に周方向に配置される。基板保持部31では、複数のチャック312により、水平状態の基板9の外縁部が保持される。複数の係合部313は、中心軸J1を中心として略等角度間隔にて、ベース部311の上面の外周部に周方向に配置される。複数の係合部313は、複数のチャック312よりも径方向外側に配置される。基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。
カップ部37は、中心軸J1を中心とする環状の部材であり、基板9および基板保持部31の径方向外側に配置される。カップ部37は、基板9および基板保持部31の周囲を全周に亘って覆い、基板9から周囲に向かって飛散する処理液等を受ける。カップ部37の底部には、図示省略の排出ポートが設けられる。カップ部37にて受けられた処理液等は、当該排出ポートを介してハウジング11の外部へと排出される。また、当該排出ポートを介してカップ部37内のガスがハウジング11の外部へと排出される。
トッププレート51は、平面視において略円形の部材である。トッププレート51は、基板9の上面91に対向する対向部材であり、基板9の上方を遮蔽する遮蔽板である。トッププレート51は、対向部材本体511と、被保持部512と、複数の係合部513とを備える。対向部材本体511は、中心軸J1を中心とする略円板状の部材である。対向部材本体511は、基板9の上面91に対向する。対向部材本体511の中央部には、対向部材開口514が設けられる。対向部材開口514は、例えば、平面視において略円形である。対向部材開口514の直径は、基板9の直径に比べて十分に小さい。複数の係合部513は、中心軸J1を中心として略等角度間隔にて、対向部材本体511の下面の外周部に周方向に配置される。
被保持部512は、対向部材本体511の対向部材開口514の周囲から上方に突出する筒状の部位である。被保持部512は、フランジ接続部515と、対向部材フランジ部516とを備える。フランジ接続部515は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。フランジ接続部515は、対向部材開口514のエッジ近傍において対向部材本体511に接続される。対向部材フランジ部516は、フランジ接続部515の上端部から径方向外方に広がる。対向部材フランジ部516は、例えば、中心軸J1を中心とする略円環板状である。
対向部材保持部53は、トッププレート51の被保持部512を保持する。対向部材保持部53は、保持部本体531と、第1フランジ支持部532と、第1接続部533と、第2フランジ支持部534と、第2接続部535とを備える。保持部本体531は、略水平に延びる棒状のアームである。保持部本体531の基部(すなわち、図5中の右側の端部)は、対向部材昇降機構55および対向部材保持部移動機構57に接続される。基板処理装置1では、対向部材保持部53、対向部材昇降機構55および対向部材保持部移動機構57により、トッププレート51を搬送する対向部材搬送機構が構成される。対向部材搬送機構は、他の構成を含んでいてもよい。
第1フランジ支持部532、第1接続部533、第2フランジ支持部534および第2接続部535は、保持部本体531の先端部に取り付けられる。第1フランジ支持部532および第1接続部533は、保持部本体531の先端近傍に位置し、第2フランジ支持部534および第2接続部535は、第1フランジ支持部532および第1接続部533と保持部本体531の基部との間に配置される。第2フランジ支持部534は、トッププレート51のフランジ接続部515を挟んで、第1フランジ支持部532と反対側に位置する。
図6は、対向部材保持部53の先端部近傍を拡大して示す斜視図である。図6では、保持部本体531および対向部材本体511の図示を省略している。図4ないし図6に示すように、第1接続部533および第2接続部535はそれぞれ、保持部本体531の下面から下方に広がる略平板状の部位である。第1接続部533および第2接続部535はそれぞれ、保持部本体531の長手方向に略垂直な方向に広がる。第1フランジ支持部532は、第1接続部533の下端部から略水平に広がる略平板状の部位である。第1フランジ支持部532は、第1接続部533から保持部本体531の基部側へと広がる。第2フランジ支持部534は、第2接続部535の下端部から略水平に広がる略平板状の部位である。第2フランジ支持部534は、第2接続部535から保持部本体531の先端側へと広がる。
保持部本体531の長手方向における第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間の距離は、トッププレート51の対向部材フランジ部516の外径よりも小さく、かつ、フランジ接続部515の外径よりも大きい。保持部本体531の長手方向における第1接続部533と第2接続部535との間の距離は、対向部材フランジ部516の外径よりも大きい。
図4に示す例では、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534は、第1接続部533および第2接続部535を介して、保持部本体531に固定される。換言すれば、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534は、対向部材保持部53における非可動部であり、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534の保持部本体531に対する相対位置は変化しない。
図5に示す位置にトッププレート51が位置する状態では、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534はそれぞれ、トッププレート51の対向部材フランジ部516の一部に下側から接して支持する。これにより、トッププレート51が、基板9および基板保持部31の上方にて、対向部材保持部53により吊り下げられる。以下の説明では、図5に示すトッププレート51の上下方向の位置を「第1の位置」という。トッププレート51は、第1の位置にて、対向部材保持部53により保持されて基板保持部31から上方に離間する。
基板処理装置1は、図6に示すように、対向部材保持部53に保持されたトッププレート51の位置ずれ(すなわち、トッププレート51の移動および回転)を制限する移動制限部58をさらに備える。図6に示す例では、移動制限部58は、複数の突起部581と、複数の孔部582とを含む。突起部581は、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534の上面からそれぞれ上方に突出する。複数の孔部582は、対向部材フランジ部516の外周部に設けられる貫通孔である。第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に設けられた突起部581が、対向部材フランジ部516の孔部582に挿入されることにより、トッププレート51の位置ずれが制限される。基板処理装置1では、複数の突起部581が、例えば、対向部材フランジ部516の外縁から径方向内方に向かう凹部と嵌合することにより、トッププレート51の位置ずれが制限されてもよい。移動制限部58は、他の様々な構造であってもよい。後述する基板処理装置1aにおいても同様である。
対向部材昇降機構55は、トッププレート51を対向部材保持部53と共に上下方向に移動させる。図7は、トッププレート51が図5に示す第1の位置から下降した状態の処理ユニット61の一部を示す断面図である。以下の説明では、図7に示すトッププレート51の上下方向の位置を「第2の位置」という。すなわち、対向部材昇降機構55は、トッププレート51を第1の位置と第2の位置との間で上下方向に移動する。第2の位置は、第1の位置よりも下方の位置である。換言すれば、第2の位置は、トッププレート51が第1の位置よりも上下方向において基板保持部31に近接する位置である。
トッププレート51が第2の位置に位置する状態では、トッププレート51の複数の係合部513がそれぞれ、基板保持部31の複数の係合部313と係合する。複数の係合部513は、複数の係合部313により下方から支持される。例えば、係合部313は、上下方向に略平行なピンであり、係合部313の上端部が、係合部513の下端部に上向きに形成された凹部に嵌合する。また、トッププレート51の対向部材フランジ部516は、対向部材保持部53の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534から上方に離間する。これにより、トッププレート51は、第2の位置にて、基板保持部31により保持されて対向部材保持部53から離間する(すなわち、対向部材保持部53と非接触状態となる。)。トッププレート51が第2の位置に位置する状態で基板回転機構33が駆動されると、トッププレート51は基板保持部31と共に回転する。
対向部材保持部53は、トッププレート51が第2の位置に位置する状態で、すなわち、対向部材フランジ部516が第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534から上方に離間した状態で、水平移動が可能な状態となる。対向部材保持部移動機構57は、水平移動が可能となった状態の対向部材保持部53を水平に移動させる。対向部材保持部53の移動は、図4に示すように、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421がそれぞれの退避位置に位置する状態で行われる。対向部材保持部移動機構57が保持部本体531を水平に回転することにより、対向部材保持部53が水平に移動する。
対向部材保持部移動機構57は、対向部材保持部53を、図3中において実線にて示すトッププレート51の上方の位置と、二点鎖線にて示す対向部材収容部81に重なる位置との間で移動させる。以下の説明では、図3中において実線にて示す対向部材保持部53の平面視における位置を「保持位置」という。また、図3中において二点鎖線にて示す対向部材保持部53の平面視における位置を「交換位置」という。
基板処理装置1では、対向部材保持部53、対向部材昇降機構55および対向部材保持部移動機構57により、トッププレート51を、図3に示す対向部材収容部81に収容されている他のトッププレートと交換することができる。図8は、対向部材収容部81を示す側面図である。対向部材収容部81は、複数のトッププレートを収容可能な略直方体の箱状の部材である。対向部材収容部81では、2つの側面が側壁により閉塞されており、他の2つの側面は開放されている。対向部材収容部81では、当該開放された側面から、トッププレートおよび対向部材保持部53の出入りが可能となっている。
対向部材収容部81は、上下方向に積層された複数の収容部82を備える。複数の収容部82はそれぞれ、1つのトッププレートを収容可能である。図8に示す例では、3つの収容部82が上下方向に積層される。1番上の収容部82にはトッププレート51aが収容され、1番下の収容部82にはトッププレート51bが収容される。図7に示すトッププレート51が対向部材収容部81に収容される際には、中央の収容部82に収容される。以下の説明では、トッププレート51,51a,51bを区別する必要がない場合、トッププレート51,51a,51bをまとめて、あるいは、トッププレート51,51a,51bのいずれか1つまたは2つを、単に「トッププレート」ともいう。
トッププレートは、各収容部82の側面に形成された収容部開口83を介して、収容部82に搬入され、また、収容部82から搬出される。基板処理装置1は、各収容部82に収容されたトッププレートを洗浄する対向部材洗浄機構84をさらに備える。対向部材洗浄機構84は、複数の洗浄ノズル841を備える。複数の洗浄ノズル841は、各収容部82の上面および下面に設けられ、トッププレートに純水等の洗浄液を供給することによりトッププレートの洗浄を行う。各収容部82では、例えば、洗浄終了後のトッププレートの乾燥も行われる。各収容部82では、例えば、収容部開口83を閉塞するシャッタ等が設けられ、トッププレートの洗浄および乾燥の際に、収容部開口83が閉塞されてもよい。
トッププレート51,51a,51bの種類は互いに異なる。トッププレートの種類とは、例えば、トッププレートの形状、材質または構造である。後述するように、本実施の形態では、トッププレート51aの形状は、トッププレート51と異なる。トッププレートの材質が異なるケースとして、例えば、一のトッププレートの下面が疎水性のテフロン(登録商標)にて形成されており、他のトッププレートの下面が親水性である場合がある。下面が親水性のトッププレートを利用することにより、トッププレートと基板9との間を液密状態として基板9の処理を行うことが可能となる。また、トッププレートの構造が異なるケースとして、例えば、一のトッププレートがテフロンにて形成されており、他のトッププレートが金属製の芯材をテフロンに埋め込む構造とされる場合がある。金属製の芯材が埋め込まれた高剛性のトッププレートを利用することにより、基板9を加熱しつつ処理する場合等に、トッププレートの変形を抑制することができる。なお、基板処理装置1では、基板9の上方のトッププレート51と同じ種類のトッププレート51が対向部材収容部81に収容されていてもよい。
図9は、処理ユニット61の一部を示す平面図である。対向部材保持部53は、上述の保持位置と交換位置との中間の退避位置に位置している。対向部材保持部53の退避位置は、平面視において、トッププレート51の周囲の位置、すなわち、トッププレート51の上方を避けた位置である。基板処理装置1では、トッププレート51が第2の位置(図7参照)に位置する状態で、対向部材保持部移動機構57が保持部本体531を水平に回転することにより、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が水平に移動する。
これにより、図4に示す保持位置に位置する対向部材保持部53の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、対向部材フランジ部516およびフランジ接続部515から径方向外方へと離間する。このとき、フランジ接続部515は、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間から、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に沿う方向の一方側に離脱する。具体的には、図4中における保持部本体531の長手方向に垂直な幅方向において、対向部材保持部53の基部から先端部を見た場合の左側に離脱する。そして、対向部材保持部53は、図9中に示す退避位置へと移動する。
基板処理装置1では、また、対向部材保持部移動機構57により対向部材保持部53が水平に回転することにより、退避位置に位置する対向部材保持部53の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、図4に示す保持位置へと移動して対向部材フランジ部516の下方に配置される。
図10は、処理ユニット61の一部を示す断面図である。図10では、トッププレート51が第2の位置にて基板保持部31により保持された状態を示す。また、対向部材保持部53は、対向部材保持部移動機構57により保持位置から退避位置に退避している。図9および図10に示すように、第1処理液ノズル411は、対向部材保持部53が退避した状態で、第1ノズル昇降機構431および第1ノズル回転機構432により退避位置から移動し、トッププレート51の被保持部512の上部開口517から被保持部512に挿入される。第1処理液ノズル411は、被保持部512の内側に位置する。換言すれば、第1処理液ノズル411の外側面は、被保持部512の内側面と径方向に対向する。以下の説明では、図10に示す第1処理液ノズル411の位置を「供給位置」という(第2処理液ノズル421においても同様)。図10に示す例では、供給位置に位置する第1処理液ノズル411の先端(すなわち、下端)は、対向部材本体511の対向部材開口514の下端縁よりも上方に位置する。第1処理液ノズル411の先端は、上下方向において対向部材開口514の下端縁と同じ位置に位置してもよい。
図11は、基板処理装置1におけるガスおよび処理液の供給に係る気液供給部4を示すブロック図である。気液供給部4は、第1処理液ノズル411と、第2処理液ノズル421と、第1処理液供給部413と、第2処理液供給部418と、第3処理液供給部423と、ガス供給部45とを備える。
第1処理液供給部413および第2処理液供給部418は、第1処理液ノズル411に接続される。第1処理液供給部413は、第1処理液ノズル411が基板9の上方に位置する状態で、第1処理液ノズル411を介して基板9の上面91に第1処理液を供給する。第2処理液供給部418は、第1処理液ノズル411が基板9の上方に位置する状態で、第1処理液ノズル411を介して基板9の上面91に第2処理液を供給する。第1処理液ノズル411では、第1処理液および第2処理液の一方の処理液が選択的に基板9に供給される。例えば、第1処理液ノズル411から基板9に第1処理液が供給された後、第2処理液が供給される。
第3処理液供給部423は、第2処理液ノズル421に接続される。第3処理液供給部423は、後述するように、第2処理液ノズル421が基板9の上方に位置する状態で、第2処理液ノズル421を介して基板9の上面91に第3処理液を供給する。ガス供給部45は、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421に接続され、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421にガスを供給する。
基板処理装置1では、第1処理液、第2処理液および第3処理液として、様々な種類の液体が利用される。第1処理液は、例えば、基板9の薬液処理に用いられる薬液(例えば、ポリマー除去液、フッ酸や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のエッチング液)である。第2処理液は、例えば、基板9の洗浄処理に用いられる純水(DIW:deionized water)や炭酸水等の洗浄液である。第3処理液は、例えば、基板9上の液体を置換するために供給されるイソプロピルアルコール(IPA)である。ガス供給部45から供給されるガスは、例えば、窒素(N2)ガス等の不活性ガスである。ガス供給部45からは、不活性ガス以外の様々なガスが供給されてもよい。
図10に示す第1処理液ノズル411から第1処理液が供給される場合、第1処理液供給部413からの第1処理液は、第1処理液ノズル411の下端面に設けられた吐出口から、対向部材開口514を介して基板9の上面91に向けて吐出される。また、第1処理液ノズル411から第2処理液が供給される場合、第2処理液供給部418からの第2処理液は、第1処理液ノズル411の下端面に設けられた他の吐出口から、対向部材開口514を介して基板9の上面91に向けて吐出される。ガス供給部45から供給された不活性ガスは、例えば、第1処理液ノズル411の下端面に設けられた噴射口から、対向部材開口514を介してトッププレート51と基板9との間の空間90(以下、「処理空間90」という。)に供給される。
基板処理装置1では、図12に示すように、第1処理液ノズル411が、対向部材本体511の対向部材開口514から下方に突出してもよい。換言すれば、第1処理液ノズル411の先端が、対向部材開口514の下端縁よりも下方に位置する。ガス供給部45から供給された不活性ガスは、第1処理液ノズル411内にて対向部材開口514を介して下方に流れ、第1処理液ノズル411の下端面から処理空間90に供給される。第1処理液供給部413から供給された第1処理液、および、第2処理液供給部418から供給された第2処理液は、第1処理液ノズル411内にて対向部材開口514を介して下方に流れ、第1処理液ノズル411の下端面から基板9の上面91に向けて吐出される。
以下の説明では、第1処理液または第2処理液が対向部材開口514を介して供給されるという場合、対向部材開口514よりも上方にて第1処理液ノズル411から吐出された第1処理液または第2処理液が対向部材開口514を通過する状態のみならず、図12のように、対向部材開口514に挿入された第1処理液ノズル411を介して第1処理液または第2処理液が吐出される状態も含む。後述する第2処理液ノズル421および第3処理液に関しても同様である。
図13は、処理ユニット61の一部を示す平面図である。図13では、第1処理液ノズル411は、第1ノズル昇降機構431および第1ノズル回転機構432により、図9に示すトッププレート51の上方の供給位置から移動し、図13に示すように、トッププレート51の上方から離間したトッププレート51の周囲の退避位置に位置している。また、第2処理液ノズル421は、第2ノズル昇降機構433および第2ノズル回転機構434により、図9に示すトッププレート51の周囲の退避位置から移動し、図13に示すトッププレート51の上方の供給位置に位置している。第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421の退避位置は、当該退避位置にて第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421の揺動が許容される程度の広がりを有する空間(すなわち、退避空間)をも含む概念である。
第2処理液ノズル421は、図10に示す第1処理液ノズル411と同様に、上述の供給位置において、トッププレート51の被保持部512の上部開口517から被保持部512の内側に挿入される。また、第2処理液ノズル421の先端(すなわち、下端)は、図10に示す第1処理液ノズル411と同様に、上述の供給位置において、対向部材本体511の対向部材開口514の下端縁よりも上方に位置する。第2処理液ノズル421の先端は、上下方向において対向部材開口514の下端縁と同じ位置に位置してもよい。
図10および図13に示す第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421の供給位置は、詳細には、トッププレート51の対向部材開口514の上方の位置である。また、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421のそれぞれの退避位置は、基板保持部31の周囲の位置である。ノズル移動機構43は、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421を、供給位置とそれぞれの退避位置との間で個別に移動する。
図13に示すように、ノズル洗浄部44は、第1洗浄部441と、第2洗浄部442とを備える。第1洗浄部441は、第1処理液ノズル411の退避位置近傍に設けられる。第1洗浄部441は、退避位置に位置する第1処理液ノズル411を洗浄する。第1洗浄部441は、例えば、第1処理液ノズル411に向けて純水等の洗浄液を供給することにより、第1処理液ノズル411の洗浄を行う。第2洗浄部442は、第2処理液ノズル421の退避位置近傍に設けられる。第2洗浄部442は、図4に示す退避位置に位置する第2処理液ノズル421を洗浄する。第2洗浄部442は、例えば、第2処理液ノズル421に向けて純水等の洗浄液を供給することにより、第2処理液ノズル421の洗浄を行う。第1洗浄部441および第2洗浄部442では、例えば、洗浄終了後の第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421の乾燥も行われる。第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421の洗浄および乾燥の際には、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421が退避位置(すなわち、退避空間)にて揺動されてもよい。
次に、基板処理装置1における基板9の処理の流れの一例について、図14A、図14Bおよび図14Cを参照しつつ説明する。まず、トッププレート51が図5に示す第1の位置に位置する状態で、基板9がハウジング11内に搬入され、基板保持部31により保持される(ステップS11)。このとき、トッププレート51は対向部材保持部53により保持されており、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421は、それぞれの退避位置に位置する。
続いて、制御部21(図3参照)により対向部材昇降機構55が制御されることにより、対向部材保持部53が下方へと移動する。これにより、トッププレート51が第1の位置から第2の位置へと下方に移動し、図7に示すように、トッププレート51が基板保持部31により保持される(ステップS12)。
ステップS12では、対向部材保持部53の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534は、トッププレート51の対向部材フランジ部516から下方に離間している。この状態で、制御部21により対向部材保持部移動機構57が制御されることにより、対向部材保持部53が水平に回転する。これにより、対向部材保持部53がトッププレート51の上方の保持位置から退避し、上述の退避位置へと移動する(ステップS13)。
次に、対向部材保持部53が退避位置に退避した状態で、制御部21により第1ノズル昇降機構431および第1ノズル回転機構432が制御されることにより、第1処理液ノズル411が退避位置から移動し、供給位置に位置する(ステップS14)。第1処理液ノズル411は、図9および図10に示すように、トッププレート51の被保持部512の上部開口517から挿入され、被保持部512の内側に位置する。第1処理液ノズル411が供給位置に位置すると、制御部21によりガス供給部45が制御されることにより、第1処理液ノズル411の下端面から不活性ガスが処理空間90に供給される。
また、制御部21により基板回転機構33が制御されることにより、基板保持部31、基板9およびトッププレート51の回転が開始される(ステップS15)。第1処理液ノズル411からの不活性ガスの供給は、ステップS15以降も継続される。なお、トッププレート51等の回転開始(ステップS15)は、第1処理液ノズル411の供給位置への移動(ステップS14)よりも前に行われてもよい。例えば、ステップS15は、ステップS12とステップS13との間に行われてもよい。この場合、ステップS13では、対向部材保持部53は回転中のトッププレート51から離間して退避位置へと移動する。
そして、第1処理液供給部413により、第1処理液ノズル411が供給位置に位置する状態で、第1処理液が、第1処理液ノズル411から第2の位置に位置するトッププレート51の対向部材開口514を介して、回転中の基板9の上面91の中央部に供給される(ステップS16)。供給位置に位置する第1処理液ノズル411から基板9の中央部に供給された第1処理液は、基板9の回転により、基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。第1処理液は、基板9の外縁から径方向外方へと飛散し、カップ部37により受けられる。第1処理液が所定時間付与されることにより、第1処理液による基板9の処理が終了する。
第1処理液は、例えば、ポリマー除去液やエッチング液等の薬液であり、ステップS16において、基板9に対する薬液処理が行われる。なお、第1処理液の供給(ステップS16)は、基板9の回転開始(ステップS15)よりも前に行われてもよい。この場合、静止状態の基板9の上面91全体に第1処理液がパドル(液盛り)され、第1処理液によるパドル処理が行われる。
第1処理液による基板9の処理が終了すると、第2処理液が、第1処理液ノズル411から第2の位置に位置するトッププレート51の対向部材開口514を介して、回転中の基板9の上面91の中央部に供給される(ステップS17)。基板9の中央部に供給された第2処理液は、基板9の回転により、基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。第2処理液は、基板9の外縁から径方向外方へと飛散し、カップ部37により受けられる。第2処理液が所定時間付与されることにより、第2処理液による基板9の処理が終了する。第2処理液は、例えば、純水や炭酸水等の洗浄液であり、ステップS17において、基板9に対する洗浄処理が行われる。ステップS17においても、第2処理液によるパドル処理が行われてもよい。
第2処理液による基板9の処理が終了すると、第1処理液ノズル411からの第2処理液の供給が停止される。そして、基板保持部31、基板9およびトッププレート51の回転が停止される(ステップS18)。ステップS18では、第1処理液ノズル411からの不活性ガスの供給も停止される。回転停止後の基板9の上面91は、略全面に亘って第2処理液の液膜により覆われている。また、第1ノズル昇降機構431および第1ノズル回転機構432により、第1処理液ノズル411が供給位置から退避位置へと移動する(ステップS19)。退避位置に配置された第1処理液ノズル411は、第1洗浄部441により洗浄される。
続いて、トッププレートの交換が行われる。まず、制御部21(図3参照)により、トッププレートの交換後に基板処理装置1にて行われる処理の性質に応じて、次に使用される他のトッププレートの種類が決定される(ステップS20)。本実施の形態では、後述するように、トッププレートの交換後に行われる処理が基板9の乾燥処理であるため、薬液処理および洗浄処理用のトッププレート51が、乾燥処理用のトッププレート51a(図8参照)に交換される。
トッププレート51とトッププレート51aとが交換される際には、対向部材昇降機構55および対向部材保持部移動機構57により、退避位置に位置する対向部材保持部53が保持位置へと移動される(ステップS21)。そして、対向部材保持部53が上昇することにより、図5に示すように、トッププレート51が対向部材保持部53により保持されて、基板9および基板保持部31の上方の第1の位置へと移動する(ステップS22)。
続いて、対向部材保持部移動機構57により対向部材保持部53が図3中における時計回りに回転し、保持位置から交換位置へと移動する。これにより、トッププレート51が、基板9および基板保持部31の上方から搬送され、図8に示す対向部材収容部81の中央の収容部82に収容部開口83を介して搬入される(ステップS23)。交換位置における保持部本体531の先端部は、当該収容部82の内部に位置している。基板処理装置1では、図6に示す移動制限部58により、上述の対向部材搬送機構における対向部材保持部移動機構57による搬送中のトッププレート51の位置ずれ(すなわち、トッププレート51の対向部材保持部53に対する相対的な移動および回転)が制限される。
トッププレート51が収容部82に搬入されると、対向部材昇降機構55により対向部材保持部53が下降することにより、トッププレート51が収容部82の下面に載置され、対向部材保持部53の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、トッププレート51の対向部材フランジ部516から下方に離間する。
その後、対向部材保持部53が図3中における反時計回りに回転することにより、対向部材保持部53が中央の収容部82から退避する。このとき、トッププレート51のフランジ接続部515は、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間から、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に沿う方向の他方側に離脱する。具体的には、図3中における保持部本体531の幅方向において、対向部材保持部53の基部から先端部を見た場合の右側に離脱する。基板処理装置1では、フランジ接続部515は、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間から、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に沿う方向の両側にて離脱可能である。図8に示すように、対向部材収容部81では、対向部材洗浄機構84により、中央の収容部82に収容されたトッププレート51の洗浄が行われる(ステップS24)。
次に、対向部材保持部53が上昇して1番上の収容部82の側方に位置し、図3中における時計回りに回転することにより、当該収容部82に収容部開口83を介して進入する。第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534は、次のトッププレート51aの対向部材フランジ部516の下方に配置される。続いて、対向部材保持部53が上昇することにより、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が対向部材フランジ部516に接し、トッププレート51aが対向部材保持部53により保持される。
そして、対向部材保持部移動機構57により対向部材保持部53が図3中における反時計回りに回転し、交換位置から保持位置へと移動する。これにより、対向部材収容部81に収容されているトッププレート51aが搬出され、基板9および基板保持部31の上方の第1の位置へと搬送される(ステップS25)。基板処理装置1では、移動制限部58(図6参照)により、対向部材保持部移動機構57による搬送中のトッププレート51aの位置ずれ(すなわち、トッププレート51aの対向部材保持部53に対する相対的な移動および回転)が制限される。対向部材保持部移動機構57は、基板9および基板保持部31の上方と対向部材収容部81との間でトッププレートを搬送する。なお、上述のステップS20における次のトッププレートの種類の決定は、トッププレート51aの搬出(ステップS25)よりも前に行われていればよい。
続いて、対向部材保持部53が下方へと移動することにより、トッププレート51aが第1の位置から第2の位置へと下方に移動し、図15に示すように、トッププレート51aが基板保持部31により保持される(ステップS26)。
トッププレート51aは、対向部材本体511の下面に下方へと突出する凸部521が設けられる点を除き、図5、図7および図10に示すトッププレート51と同様の構造を有する。凸部521は、中心軸J1を中心とする略円環板状である。凸部521の外径は、基板9の直径よりも大きい。凸部521は、基板9の上面91の略全面に亘って基板9と上下方向に対向する。凸部521の下面は、基板9の上面91から上方に離間している。なお、凸部521では、基板保持部31のチャック312と対向する部位は、チャック312を避けるために上方に窪んでいる。凸部521の下面と基板9の上面91との間の上下方向の距離は、基板9の上面91の略全面に亘って、図10に示すトッププレート51の対向部材本体511の下面と基板9の上面91との間の上下方向の距離よりも小さい。
トッププレート51aが第2の位置に位置すると、対向部材保持部53が水平に回転し、トッププレート51aの上方の保持位置から上述の退避位置へと移動する(ステップS27)。
そして、制御部21により第2ノズル昇降機構433および第2ノズル回転機構434が制御されることにより、第2処理液ノズル421が退避位置から供給位置へと移動する(ステップS28)。第2処理液ノズル421は、図13および図15に示すように、対向部材保持部53が退避位置に退避した状態で、トッププレート51の被保持部512の上部開口517から挿入され、被保持部512の内側に位置する。第2処理液ノズル421が供給位置に位置すると、ガス供給部45からの不活性ガスは、第2処理液ノズル421の下端面から処理空間90に供給される。また、基板回転機構33により、基板保持部31、基板9およびトッププレート51aの回転が開始される(ステップS29)。第2処理液ノズル421からの不活性ガスの供給は、ステップS29以降も継続される。ステップS18〜S29の間、基板9の上面91は、略全面に亘って第2処理液の液膜により覆われている。換言すれば、基板9の上面91が当該液膜により保護されている。このため、上述のトッププレートの交換の際に、基板9の上面が外気に曝されることを防止することができる。なお、基板9の上面91を液膜により保護する必要がない場合、第1処理液ノズル411からの不活性ガスの供給は行われなくてもよい。
続いて、制御部21により第2処理液供給部423が制御されることにより、第2処理液ノズル421が供給位置に位置する状態で、第3処理液が、第2処理液ノズル421から第2の位置に位置するトッププレート51の対向部材開口514を介して、回転中の基板9の上面91の中央部に供給される(ステップS30)。供給位置に位置する第2処理液ノズル421から基板9の中央部に供給された第3処理液は、基板9の回転により、基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。これにより、基板9の上面91上に存在する第2処理液(例えば、純水等の洗浄液)が、基板9上から除去される。第3処理液は、例えば、イソプロピルアルコールであり、ステップS30において、基板9上における洗浄液の置換処理が行われる。第3処理液は、基板9の外縁から径方向外方へと飛散し、カップ部37により受けられる。第3処理液が所定時間付与されることにより、第3処理液による基板9の処理が終了する。
第3処理液による基板9の処理が終了すると、第2処理液ノズル421からの第3処理液の供給が停止される。そして、第2ノズル昇降機構433および第2ノズル回転機構434により、第2処理液ノズル421が供給位置から退避位置へと移動する(ステップS31)。退避位置に配置された第2処理液ノズル421は、第2洗浄部442により洗浄される。
基板処理装置1では、基板9の回転は維持され、基板9の乾燥処理が行われる(ステップS32)。乾燥処理の際の基板9の回転速度は、ステップS29における第3処理液による基板9の処理の際の回転速度よりも速い。
また、対向部材保持部移動機構57により、対向部材保持部53が水平に回転し、退避位置から保持位置へと移動する(ステップS33)。このとき、対向部材保持部53の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534は、第2の位置にて回転中のトッププレート51aの対向部材フランジ部516から下方に離間している。
続いて、基板回転機構33による基板保持部31、基板9およびトッププレート51aの回転が停止する(ステップS34)。ステップS34では、第2処理液ノズル421からの不活性ガスの供給も停止される。そして、対向部材昇降機構55により対向部材保持部53が上方に移動することにより、トッププレート51aが第2の位置から第1の位置へと上方に移動する(ステップS35)。トッププレート51aは、基板保持部31から上方に離間して対向部材保持部53により保持される。
次に、制御部21(図1参照)により、次の基板9に対して基板処理装置1にて行われる処理の性質に応じて、次に使用される他のトッププレートの種類が決定される(ステップS36)。本実施の形態では、薬液処理および洗浄処理用のトッププレート51が、次に使用されるトッププレートに決定される。そして、対向部材保持部53が保持位置から交換位置へと移動する。これにより、トッププレート51aが、基板9および基板保持部31の上方から搬送され、図8に示す対向部材収容部81の1番上の収容部82に収容部開口83を介して搬入される(ステップS37)。搬送中のトッププレート51aの位置ずれは、移動制限部58(図6参照)により制限される。対向部材収容部81では、対向部材洗浄機構84により、1番上の収容部82に収容されたトッププレート51aの洗浄が行われる(ステップS38)。
基板処理装置1では、対向部材保持部53により、中央の収容部82に収容されている次のトッププレート51が搬出され、基板9および基板保持部31の上方の第1の位置へと搬送される(ステップS39)。搬送中のトッププレート51の位置ずれは、移動制限部58により制限される。また、ステップS36〜S39におけるトッププレートの交換と並行して、基板9がハウジング11から搬出される(ステップS40)。ステップS40は、好ましくは、ステップS37と並行して行われる。ステップS40は、ステップS36〜S39の終了後に行われてもよく、ステップS36〜S39よりも前に行われてもよい。
上述のように、第1処理液および第2処理液による基板9の処理は、トッププレート51が第2の位置に位置する際に行われ、第3処理液による基板9の処理は、トッププレート51aが第2の位置に位置する際に行われる。したがって、上記第2の位置を「処理位置」と捉えることもできる。
基板処理装置1では、複数の基板9に対して、上述のステップS11〜S40が順次行われ、複数の基板9が処理される。基板処理装置1では、ステップS38におけるトッププレート51aの洗浄は、ステップS37よりも後、かつ、次の基板9に対するステップS25(すなわち、トッププレート51aの搬出)よりも前に行われていればよい。また、ステップS24におけるトッププレート51の洗浄は、ステップS23よりも後、かつ、ステップS39(すなわち、トッププレート51の搬出)よりも前に行われていればよい。
以上に説明したように、基板処理装置1では、対向部材保持部移動機構57により、トッププレートが基板9および基板保持部31の上方から搬送されて対向部材収容部81へと搬入され、対向部材収容部81に収容されている他のトッププレートが取り出されて基板9および基板保持部31の上方へと搬送される。これにより、1つの基板処理装置1において、トッププレートを交換して使用することができる。
また、基板処理装置1では、当該トッププレートおよび当該他のトッププレート(すなわち、トッププレート51およびトッププレート51a)の種類が互いに異なる。これにより、1つの基板処理装置1において、基板9に対する複数種類の処理にそれぞれ適したトッププレートを使用して基板9の処理を行うことができる。
基板処理装置1では、いずれのトッププレートが使用される場合であっても、トッププレートと基板9との間の処理空間90にガスを供給することにより、処理空間90を所望のガス雰囲気として、基板9の処理を当該ガス雰囲気にて行うことができる。例えば、処理空間90に不活性ガスを供給する場合、基板9を不活性ガス雰囲気(すなわち、低酸素雰囲気)にて処理することができる。
上述の例では、基板9に対する薬液処理および洗浄処理の際に、図10に示すトッププレート51が使用され、基板9に対する置換処理および乾燥処理の際に、図15に示すトッププレート51aが使用される。トッププレート51が使用される場合、基板9の上面91と対向部材本体511の下面との間の距離が比較的大きいため、薬液や洗浄液が対向部材本体511の下面に付着することを抑制することができる。その結果、対向部材本体511に付着した薬液や洗浄液が乾燥して発生するパーティクル等が、基板9に付着することを抑制することができる。
トッププレート51aが使用される場合、基板9の上面91とトッププレート51aの凸部521の下面との間の距離が比較的小さいため、基板9の乾燥に要する時間を短くすることができる。その結果、基板9の上面91にウォーターマークが形成されることを抑制することができる。また、基板9の上面91にパターンが形成されている場合、当該パターンの間に残存する処理液による表面張力がパターンに作用する時間を短くすることができるため、パターンの倒壊等を抑制することができる。
なお、ステップS30における第3処理液による置換処理の際には、トッププレート51が使用されてもよい。この場合、第2処理液による洗浄処理(ステップS17)が終了した後、トッププレート51および基板9の回転を停止することなく、第1処理液ノズル411が退避位置へと移動される(ステップS19)。そして、第2処理液ノズル421が供給位置へと移動され(ステップS28)、第2処理液ノズル421から基板9に第3処理液が供給される(ステップS30)。その後、ステップS18,S20〜S27,S29,S31〜S40が順次行われる。
上述の例では、トッププレート51とトッププレート51aとの違いは、主に形状差による基板9の上面91との間の距離の差であるが、トッププレート51とトッププレート51aとは略同形状であってもよい。例えば、トッププレート51の下面が親水性を有し、トッププレート51aの下面が撥水性を有していてもよい。これにより、第1処理液および第2処理液による処理の際に、トッププレート51の下面に付着した処理液が基板9上に落下することを抑制することができる。また、乾燥処理の際に、トッププレート51aの下面に処理液が付着することを抑制し、トッププレート51aと基板9との間の空間から処理液を迅速に排除して乾燥処理に要する時間を短くすることができる。
また例えば、比較的高温の処理液(SPM液等)を第1処理液として使用する場合、トッププレート51として、熱変形を抑制することができる金属心材が内部に埋め込まれた高剛性のトッププレートが使用されてもよい。この場合、トッププレート51aとしては、好ましくは金属心材を有しない軽量のものが使用される。これにより、乾燥処理時の高速回転を容易とすることができる。
上述のように、ステップS20におけるトッププレートの種類の決定は、ステップS25におけるトッププレート51aの対向部材収容部81からの搬出後に基板処理装置1において行われる処理の性質に応じて(すなわち、ステップS29〜S34にて行われる処理に応じて)、ステップS25よりも前に行われる。ステップS36におけるトッププレートの種類の決定も同様に、ステップS39における対向部材収容部81からのトッププレート51の搬出後に基板処理装置1において行われる処理(すなわち、次の基板9への処理)の性質に応じて、ステップS39よりも前に行われる。これにより、1つの基板処理装置1において、基板9に対する複数種類の処理にそれぞれ適したトッププレートを使用して基板9の処理を行うことができる。ステップS20,S36におけるトッププレートの種類の決定は、例えば、基板処理装置1に記憶されているレシピから、予め決定されているトッププレートの種類を読み出すことにより行われてもよい。
基板処理装置1は、対向部材収容部81に収容されたトッププレートを洗浄する対向部材洗浄機構84をさらに備える。これにより、トッププレートに付着した処理液等を除去することができ、使用していないトッププレートを清浄な状態に維持することができる。また、トッププレートの洗浄を、他のトッププレートを使用した基板9の処理と並行して行うことにより、基板処理装置1の生産性を低下させることなく、トッププレートに付着した処理液等を除去することができる。
上述のように、対向部材収容部81は、上下方向に積層されるとともにトッププレートをそれぞれ収容可能な複数の収容部82を備える。これにより、複数の収容部82が水平に配置される場合に比べて、基板処理装置1のフットプリントを小さくすることができる。
基板処理装置1は、対向部材保持部移動機構57による搬送中のトッププレートの位置ずれを制限する移動制限部58をさらに備える。これにより、トッププレートの搬送時に、トッププレートが対向部材保持部53に対して相対的に移動および回転することを防止することができる。その結果、トッププレートを位置精度良く第1の位置へと移動することができ、基板保持部31によるトッププレートの保持を容易に行うことができる。
また、基板処理装置1では、対向部材保持部53が、第1フランジ支持部532と、フランジ接続部515を挟んで第1フランジ支持部532の反対側に位置する第2フランジ支持部534と、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が取り付けられる保持部本体531とを備える。第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534はそれぞれ、第1の位置に位置するトッププレートの対向部材フランジ部516の一部に下側から接して支持する。トッププレートが第2の位置に位置する状態では、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を水平に移動することにより、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を対向部材フランジ部516から径方向外方へと離間させ、また、対向部材フランジ部516の下方に配置する。
これにより、第2の位置に位置するトッププレートが静止状態であっても回転中であっても、簡素な構造にて第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を対向部材フランジ部516から容易に離間させ、対向部材保持部53を退避位置へと移動することができる。また、トッププレートが静止状態であっても回転中であっても、簡素な構造にて第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を対向部材フランジ部516の下方へと容易に挿入し、対向部材保持部53を保持位置へと移動することができる。すなわち、基板処理装置1では、簡素な構造にてトッププレートを保持することができるとともに、トッププレートの状態にかかわらず、簡素な構造にて対向部材保持部53を保持位置と退避位置(または、交換位置)との間で移動することができる。このように、基板処理装置1では、対向部材保持部53の保持位置と退避位置(または、交換位置)との間の移動を、トッププレート51等の回転中に行うことができるため、基板9の処理に要する時間を短縮することができる。
基板処理装置1では、フランジ接続部515は、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間から、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に沿う方向の両側にて離脱可能である。これにより、保持位置に位置する対向部材保持部53を、図3中における時計回りに交換位置に向かって回転させることにより、基板9の上方に位置するトッププレート上から退避させることができる。また、交換位置に位置する対向部材保持部53を、図3中における反時計回りに保持位置に向かって回転させることにより、対向部材収容部81に配置されたトッププレート上から退避させることができる。その結果、基板処理装置1では、トッププレートを容易に対向部材収容部81に搬入することができるとともに、対向部材収容部81から容易に搬出して基板9の上方に配置することができる。
基板処理システム10では、複数の処理ユニット61のそれぞれにおいて、対向部材収容部81を有する基板処理装置1がハウジング11に収容される。これにより、1枚の基板9の処理中に、ハウジング11を開放することなく、トッププレートを交換することができる。
基板処理装置1では、必ずしも、1枚の基板9の処理に使用する複数種類のトッププレートが対向部材収容部81に収容される必要はない。例えば、対向部材収容部81には、基板9に対する上述の一連の処理(すなわち、薬液処理、洗浄処理、置換処理および乾燥処理)とは異なる処理に適したトッププレートが収容されてもよい。この場合、基板処理装置1にて基板9に対して行われる一連の処理の種類が変更される際に、基板保持部31上のトッププレートが、次に行われる処理に適したトッププレートに交換される。これにより、基板処理装置1を基板9に対する複数種類の一連の処理(すなわち、複数の処理レシピ)に適した構成に切り替えることができる。その結果、基板処理装置1を基板9に対する様々な種類の処理に使用することができる。
基板処理装置1では、基板9の上方に配置されるトッププレート、および、対向部材収容部81に収容されるトッププレートの種類は、必ずしも互いに異なる必要はない。例えば、基板9の上方に配置されるトッププレート51と同じ種類のトッププレート51が対向部材収容部81に収容されていてもよい。この場合、例えば、基板9の上方に配置されているトッププレート51に処理液等が付着して洗浄が必要になると(すなわち、トッププレート51のメンテナンスが必要になると)、当該トッププレート51と対向部材収容部81に収容されているトッププレート51とが交換される。トッププレート51の交換は、例えば、1枚の基板9の処理中に行われてもよく、あるいは、処理済みの基板9をハウジング11から搬出した後、かつ、次の基板9がハウジング11に搬入される前に行われてもよい。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置1aが設けられる処理ユニット61の内部を示す平面図である。図17は、図16に示す処理ユニット61の一部を拡大して示す平面図である。基板処理装置1aでは、図4に示す対向部材保持部53とは第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534の向きが異なる対向部材保持部53aが、対向部材保持部53に代えて設けられる。対向部材保持部53aには、支持部移動機構530も設けられる。また、基板処理装置1aでは、対向部材収容部81aが図3に示す位置とは異なる位置に配置される。基板処理装置1aのその他の構成は、図4に示す基板処理装置1と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
図17に示すように、対向部材保持部53aでは、第1フランジ支持部532、第1接続部533、第2フランジ支持部534および第2接続部535は、保持部本体531に支持部移動機構530を介して取り付けられる。第1フランジ支持部532、第1接続部533、第2フランジ支持部534、第2接続部535および支持部移動機構530は、保持部本体531の長手方向のおよそ全長に亘って設けられる。第2フランジ支持部534は、トッププレート51のフランジ接続部515を挟んで、第1フランジ支持部532と反対側に位置する。
第1接続部533および第2接続部535はそれぞれ、支持部移動機構530から下方に広がる略平板状の部位である。第1接続部533および第2接続部535はそれぞれ、保持部本体531の長手方向に略平行な方向に広がる。第1フランジ支持部532は、第1接続部533の下端部から略水平に広がる略平板状の部位である。第1フランジ支持部532は、第1接続部533から第2フランジ支持部534に近づく方向へと広がる。第2フランジ支持部534は、第2接続部535の下端部から略水平に広がる略平板状の部位である。第2フランジ支持部534は、第2接続部535から第1フランジ支持部532に近づく方向へと広がる。
保持部本体531の幅方向における第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間の距離は、トッププレート51の対向部材フランジ部516の外径よりも小さく、かつ、フランジ接続部515の外径よりも大きい。保持部本体531の幅方向における第1接続部533と第2接続部535との間の距離は、対向部材フランジ部516の外径よりも大きい。
支持部移動機構530は、第1接続部533および第1フランジ支持部532と、第2接続部535および第2フランジ支持部534とを、保持部本体531の長手方向に略平行な方向に略水平に移動する。すなわち、対向部材保持部53aでは、支持部移動機構530により、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、保持部本体531に対して相対的に移動可能である。支持部移動機構530は、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を保持部本体531に対して進退させる。
基板処理装置1aでは、保持部本体531が保持位置に位置した状態で、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、第1の位置に位置するトッププレート51の対向部材フランジ部516の一部に下側から接してトッププレート51を支持する。図17に示す例では、対向部材フランジ部516は、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534の先端部(すなわち、保持部本体531の先端部側の端部)に接する。また、保持部本体531が保持位置に位置し、トッププレート51が第2の位置に位置した状態で、支持部移動機構530により第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が保持部本体531の基部側へと移動することにより、図18に示すように、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が対向部材フランジ部516から径方向外方へと離間する。この状態で対向部材保持部移動機構57により対向部材保持部53aが水平に回転することにより、対向部材保持部53aが保持位置と退避位置との間で移動する。
また、基板処理装置1aでは、保持部本体531が保持位置に位置し、トッププレート51が第2の位置に位置した状態で、支持部移動機構530により第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が保持部本体531の先端側へと移動することにより、図17に示すように、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が対向部材フランジ部516の下方に配置される。
基板処理装置1aでは、図4に示す基板処理装置1と同様に、第2の位置に位置するトッププレート51が静止状態であっても回転中であっても、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を対向部材フランジ部516から離間させ、対向部材保持部53aを退避位置へと移動することができる。また、トッププレート51が静止状態であっても回転中であっても、対向部材保持部53aを退避位置から保持位置へと移動し、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534を対向部材フランジ部516の下方へと配置することができる。すなわち、基板処理装置1aでは、簡素な構造にてトッププレート51を保持することができるとともに、トッププレート51の状態にかかわらず、簡素な構造にて対向部材保持部53aを保持位置と退避位置(または、交換位置)との間で移動することができる。このように、基板処理装置1aでは、図4に示す基板処理装置1と同様に、対向部材保持部53aの保持位置と退避位置(または、交換位置)との間の移動を、トッププレート51等の回転中に行うことができるため、基板9の処理に要する時間を短縮することができる。
基板処理装置1aにおける基板9の処理の流れは、図14Aないし図14Cに示す基板処理装置1における基板9の処理の流れとおよそ同様である。また、基板処理装置1aにおける各構成の動作は、基板処理装置1と同様に、制御部21により制御される。ステップS23におけるトッププレート51の対向部材収容部81aへの搬入の際には、トッププレート51を保持した対向部材保持部53aが、対向部材保持部移動機構57により図16中における時計回りに回転し、実線にて示す保持位置から二点鎖線にて示す交換位置へと移動する。なお、図16では、図の理解を容易にするために、対向部材収容部81aに収容されている他のトッププレートの図示を省略している(図19においても同様)。
交換位置における保持部本体531の先端部は、対向部材収容部81aの外部に位置し、対向部材収容部81aの側面に対向する。対向部材収容部81aは、図8に示す対向部材収容部81と同様に、複数のトッププレートを収容可能な略直方体の箱状の部材である。対向部材収容部81aでは、3つの側面が側壁により閉塞されており、交換位置に位置する対向部材保持部53aに対向する1つの側面が開放されている。開放された当該側面に、複数の収容部82のそれぞれの収容部開口83が設けられる。
基板処理装置1aでは、図19に示すように、交換位置に位置する対向部材保持部53aにおいて、支持部移動機構530により第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が保持部本体531の先端側へと前進する。これにより、図19中において二点鎖線にて示すように、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、保持部本体531の先端から長手方向に突出し、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534により保持されたトッププレート51が、対向部材収容部81aの収容部82に搬入される。
基板処理装置1aでは、上述の基板処理装置1と同様に、移動制限部58(図6参照)により、対向部材保持部移動機構57および支持部移動機構530による搬送中のトッププレート51の位置ずれ(すなわち、トッププレート51の第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に対する相対的な移動および回転)が制限される。トッププレート51が収容部82に搬入されると、対向部材昇降機構55により対向部材保持部53aが下降することにより、トッププレート51が収容部82の下面に載置され、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、トッププレート51の対向部材フランジ部516から下方に離間する。その後、支持部移動機構530により、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が保持部本体531の基部側へと後退し、対向部材収容部81aから退避する。
ステップS25におけるトッププレート51aの対向部材収容部81aからの搬出の際には、対向部材昇降機構55が駆動され、対向部材保持部53aが、トッププレート51aが収容されている収容部82と対向する位置へと移動する。続いて、支持部移動機構530により第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が保持部本体531の先端側へと前進する。これにより、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が、保持部本体531の先端から長手方向に突出し、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534の先端部が、トッププレート51aの対向部材フランジ部516の下方に配置される。
次に、対向部材保持部53aが上昇することにより、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が対向部材フランジ部516に接し、トッププレート51aが対向部材保持部53aにより保持される。そして、支持部移動機構530により、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534が保持部本体531の基部側へと後退し、対向部材収容部81aから退避する。これにより、トッププレート51aが対向部材収容部81aから搬出される。その後、対向部材保持部移動機構57により対向部材保持部53aが水平に回転し、交換位置から保持位置へと移動する。これにより、トッププレート51aが対向部材収容部81aから搬出され、基板9および基板保持部31の上方の第1の位置へと搬送される。
ステップS37におけるトッププレート51aの対向部材収容部81aへの搬入、および、ステップS39におけるトッププレート51の対向部材収容部81aからの搬出における基板処理装置1aの動作はそれぞれ、上述のステップS23およびステップS25と同様である。
基板処理装置1aでは、トッププレートを搬送する上述の対向部材搬送機構が、対向部材保持部53、対向部材昇降機構55および対向部材保持部移動機構57に加えて、支持部移動機構530も備える。支持部移動機構530は、トッププレートを対向部材収容部81aに対して進退させる進退機構である。これにより、対向部材収容部81aへのトッププレートの搬入、および、対向部材収容部81aからのトッププレートの搬出を、容易に行うことができる。また、対向部材収容部81aを、対向部材保持部移動機構57によるトッププレートの回転経路上に配置する必要がないため、対向部材収容部81aの配置の自由度を向上することができる。
図20は、本発明の第3の実施の形態に係る基板処理システム10aの内部を示す平面図である。図21は、基板処理システム10aを図20中のXXI−XXIの位置にて切断した断面図である。図21では、断面よりも奥の構成も合わせて描いている。基板処理システム10aでは、各処理ユニット61から対向部材収容部81(図3参照)が省略され、共用の対向部材収容部81bがプロセス部6の共用空間66に配置される。また、共用空間66に配置される主搬送ロボット63が、基板搬送ハンド64に加えて、トッププレートを水平状態にて保持可能な対向部材搬送ハンド67をさらに備える。基板処理システム10aのその他の構成は、図1および図2に示す基板処理システム10と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
対向部材保持部である対向部材搬送ハンド67は、対向部材保持部移動機構であるハンド駆動機構65により基板搬送ハンド64と共に移動する。対向部材搬送ハンド67は、例えば、基板搬送ハンド64の下方に配置される。対向部材搬送ハンド67は、例えば、ハンド駆動機構65により水平に進退し、上下方向に移動し、上下方向に平行な回転軸を中心として回転する。なお、主搬送ロボット63では、対向部材搬送ハンド67が、基板搬送ハンド64とは個別に移動されてもよい。
対向部材収容部81bは、図8に示す対向部材収容部81と同様に、複数のトッププレートを収容可能な略直方体の箱状の部材である。対向部材収容部81bは、例えば、上下方向に積層された複数の収容部82(図8参照)を備える。複数の収容部82はそれぞれ、1つのトッププレートを収容可能である。対向部材収容部81bは、例えば、中間ユニット62の下方に配置される。対向部材収容部81bは、例えば、中間ユニット62の上方や、共用空間66の他の位置に配置されてもよい。
主搬送ロボット63において対向部材搬送ハンド67が駆動されることにより、処理ユニット61からトッププレートが搬出され、対向部材収容部81bに搬入される。詳細には、ハンド駆動機構65は、対向部材搬送ハンド67を処理ユニット61の搬出入口に対向させた後、前進させて対向部材搬送ハンド67を処理ユニット61内に挿入する。対向部材搬送ハンド67は、図22に示すように、基板保持部31に保持されているトッププレート51の対向部材フランジ部516の下方に配置される。
続いて、対向部材搬送ハンド67が上昇することにより、対向部材フランジ部516の下面に対向部材搬送ハンド67が接し、トッププレート51が対向部材搬送ハンド67により保持される。トッププレート51は、基板保持部31から上方に離間する。次に、対向部材搬送ハンド67が後退することにより処理ユニット61から退出する。これにより、トッププレート51が処理ユニット61から搬出される。対向部材搬送ハンド67およびトッププレート51は、対向部材収容部81bに対向する位置へと移動する。そして、対向部材搬送ハンド67が前進することにより、対向部材搬送ハンド67に保持されたトッププレート51が対向部材収容部81bに搬入される。
また、主搬送ロボット63において対向部材搬送ハンド67が駆動されることにより、対向部材収容部81bからトッププレートが搬出され、処理ユニット61に搬入される。詳細には、ハンド駆動機構65は、対向部材搬送ハンド67を対向部材収容部81bに対向させた後、前進させて対向部材搬送ハンド67を対向部材収容部81b内に挿入する。続いて、対向部材搬送ハンド67によりトッププレートを保持した後、対向部材搬送ハンド67が後退することにより、対向部材収容部81bからトッププレートが搬出される。次に、対向部材搬送ハンド67を処理ユニット61の搬出入口に対向させ、前進させて対向部材搬送ハンド67を処理ユニット61内に挿入することにより、トッププレートが処理ユニット61内に搬入される。そして、トッププレートが対向部材搬送ハンド67から基板保持部31へと渡され、対向部材搬送ハンド67が後退して処理ユニット61から退出する。
基板処理システム10aでは、トッププレートを搬送する上述の対向部搬送機構が、対向部材保持部53、対向部材昇降機構55および対向部材保持部移動機構57等に加えて、主搬送ロボット63も備える。対向部材搬送ハンド67には、図6に示す対向部材保持部53と同様に、搬送中のトッププレートの位置ずれを制限する移動制限部が設けられる。当該移動制限部の構造は、例えば、図6に示す移動制限部58と同様である。これにより、トッププレートの搬送時に、トッププレートが対向部材搬送ハンド67に対して相対的に移動および回転することを防止することができる。その結果、トッププレートを位置精度良く基板保持部31上へと移動することができ、基板保持部31によるトッププレートの保持を容易に行うことができる。
主搬送ロボット63のハンド駆動機構65は、上述のように、トッププレートを対向部材収容部81bに対して進退させる進退機構を備える。これにより、対向部材収容部81bへのトッププレートの搬入、および、対向部材収容部81bからのトッププレートの搬出を、容易に行うことができる。
基板処理システム10aでは、主搬送ロボット63および対向部材収容部81bが、複数の処理ユニット61により共用される。2つの処理ユニット61に注目すると、基板処理システム10aは、基板処理装置1と、装置収容室であるハウジング11と、他の基板処理装置1と、他の装置収容室である他のハウジング11とを備える。他の基板処理装置1は、基板処理装置1と対向部材収容部81bおよび対向部材搬送機構の一部である主搬送ロボット63を共用し、当該基板処理装置1と同様の構造を有する。ハウジング11には、基板処理装置1のうち対向部材収容部81bおよび主搬送ロボット63を除く構成が配置される。他のハウジング11も同様に、他の基板処理装置1のうち対向部材収容部81bおよび主搬送ロボット63を除く構成が配置される。
これにより、基板処理システム10aの構造を簡素化することができる。また、各処理ユニット61のハウジング11を小さくすることができる。その結果、基板処理システム10aを小型化することができる。
基板処理システム10aでは、例えば、処理ユニット61にて使用されているトッププレート51と同じ種類のトッププレート51が対向部材収容部81bに収容される。この場合、例えば、処理ユニット61で使用中のトッププレート51に処理液等が付着して洗浄が必要になると(すなわち、トッププレート51のメンテナンスが必要になると)、当該トッププレート51と対向部材収容部81bに収容されているトッププレート51とが交換される。これにより、基板処理システム10aの生産性を低下させることなく、トッププレート51の交換を行うことができる。
トッププレートの交換は、例えば、処理済みの基板9を処理ユニット61から搬出した後、かつ、次の基板9が処理ユニット61に搬入される前に行われる。あるいは、トッププレートの交換は、基板9の搬出入と並行して行われてもよい。すなわち、処理済みの基板9の処理ユニット61からの搬出と同時に、トッププレートも処理ユニット61から搬出され、未処理基板9の処理ユニット61への搬入と同時に、次のトッププレート51が処理ユニット61に搬入されてもよい。
基板処理システム10aでは、また、処理ユニット61にて使用されているトッププレート51と異なる種類のトッププレートが対向部材収容部81bに収容されてもよい。例えば、対向部材収容部81bには、基板9に対する複数種類の一連の処理(すなわち、複数の処理レシピ)にそれぞれ適した複数種類のトッププレートが収容される。この場合、処理ユニット61にて基板9に対して行われる一連の処理の種類が変更される際に、処理ユニット61内のトッププレート51が、次に行われる処理に適したトッププレートに交換される。これにより、基板処理システム10aでは、各処理ユニット6を基板9に対する複数種類の一連の処理に適した構成に切り替えることができる。その結果、各処理ユニット6を基板9に対する様々な種類の処理に使用することができる。
上述の基板処理装置1,1aおよび基板処理システム10,10aでは、様々な変更が可能である。
例えば、基板処理システム10,10aの対向部材収容部81,81a,81bでは、必ずしも複数の収容部82が上下方向に積層される必要はなく、複数の収容部82が水平に配置されてもよい。また、対向部材収容部81,81a,81bは、収容部82を1つのみ備えていてもよい。対向部材収容部は、上述の対向部材搬送機構がアクセスできる範囲内であれば、ハウジング11および共用空間66以外の空間に配置されてもよい。換言すれば、対向部材搬送機構がアクセス可能な空間を、ハウジング11および共用空間66を含めて、広義の共用空間と捉えることもできる。
トッププレートでは、被保持部512の構造および配置は様々に変更されてよい。また、対向部材開口514は、必ずしも設けられなくてよい。
基板処理装置1では、必ずしも、対向部材保持部53が退避位置に位置する状態で第1処理液ノズル411または第2処理液ノズル421が被保持部512に挿入される必要はない。また、必ずしも、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421が退避位置に位置する状態で、対向部材保持部53が退避位置から保持位置へと移動する必要はない。例えば、図23に示すように、保持部本体531の側面に、第1処理液ノズル411のノズルフランジ部414よりも大きな切り欠き部531aが設けられ、供給位置に位置する第1処理液ノズル411は、保持位置に位置する対向部材保持部53の切り欠き部531aに平面視において収容されてもよい。この場合、対向部材保持部53が保持位置に位置する状態で、処理液ノズル(すなわち、第1処理液ノズル411または第2処理液ノズル421)が被保持部512に挿入されてもよい。また、処理液ノズルが被保持部512に挿入されている状態で、対向部材保持部53が退避位置から保持位置へと移動してもよい。トッププレート51が静止状態であっても回転中であっても、フランジ接続部515は、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534との間から、第1フランジ支持部532および第2フランジ支持部534に沿う方向の一方側に離脱可能である。
基板処理装置1,1aでは、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421から、それぞれ複数種類の処理液が基板9上に順次供給されてもよい。また、第1処理液ノズル411および第2処理液ノズル421に加えて、他の処理液ノズルが設けられてもよい。基板処理装置1,1aでは、第2処理液ノズル421、第2ノズル昇降機構433、第2ノズル回転機構434および第2洗浄部442が省略されてもよい。
基板処理装置1,1aでは、対向部材保持部53,53aの保持部本体531に貫通孔が設けられ、対向部材保持部53,53aが保持位置に位置する状態で、第1処理液ノズル411または第2処理液ノズル421が、当該貫通孔を介して被保持部512の内側に挿入されてもよい。
基板処理装置1,1aでは、処理液ノズルの供給位置は、対向部材開口514の上方の位置であれば、被保持部512の内側には限定されない。例えば、処理液ノズルは、被保持部512の上部開口517の上方に配置されてもよい。
基板処理システム10aの基板処理装置1では、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534とが、図13中の右側の端部等で部分的に接続されていてもよい。基板処理装置1aでは、第1フランジ支持部532と第2フランジ支持部534とが、保持部本体531の基部側の端部等で部分的に接続されていてもよい。
基板処理装置1,1aでは、対向部材昇降機構55は、必ずしもトッププレートを上下方向に移動する必要はなく、トッププレートを基板保持部31に対して相対的に移動すればよい。例えば、対向部材昇降機構55は、トッププレートを移動することなく、基板保持部31を上下方向に移動することにより、トッププレートを上下方向の第1の位置と第2の位置との間で基板保持部31に対して相対的に移動してもよい。この場合、対向部材保持部53により保持されて基板保持部31から上方に離間した状態におけるトッププレートの位置が第1の位置であり、基板保持部31により保持された状態におけるトッププレートの位置が第2の位置である。
基板処理装置1,1aでは、カップ部37は、同心円状に配置された複数のカップを備えていてもよい。この場合、基板9上に供給される処理液の種類が切り替えられる際に(例えば、薬液から洗浄液に切り替えられる際に)、基板9からの処理液を受けるカップも切り替えられることが好ましい。これにより、複数の処理液を容易に分別して回収または廃棄することができる。
基板処理装置1,1aでは、基板保持部31の中央部に下部ノズルが設けられ、基板9の下面に処理液が供給されてもよい。
基板処理装置1,1aでは、トッププレートを利用して、低酸素環境下で行うことが望ましい様々な処理を行うことができる。処理空間90に供給されるガスは、窒素ガスには限定されず、アルゴン等の他の不活性ガスであってもよい。また、処理空間90に供給されるガスは、基板9上を所望のガス雰囲気とするためのガス、例えば、ガス組成比が管理された混合ガス(すなわち、複数種類のガスが混合されたもの)であってもよい。処理空間90に供給されるガスは、処理内容によっては、例えば低湿度のドライエアであってもよい。
基板処理装置1,1aでは、半導体基板以外の様々な基板に対する処理が行われてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。