JP2016161359A - 光学的手法による浮遊粒子状物質測定装置 - Google Patents

光学的手法による浮遊粒子状物質測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 大気中に浮遊する粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を測定することができる浮遊粒子状物質測定装置を提供する。
【解決手段】 浮遊粒子状物質測定装置1は、連続的に送給される捕集フィルタ4上に捕集された浮遊粒子状物質に、光源6から出射された、第1波長帯域内の波長を有する光と第2波長帯域内の波長を有する光とを、交互に照射する。そして、透過光検出器8によって検出された、捕集フィルタ4上の浮遊粒子状物質からの透過光の透過光強度に基づいて、第1演算部111が浮遊粒子状物質中の元素状炭素および有機炭素の量を演算し、反射光検出器9によって検出された、捕集フィルタ4上の浮遊粒子状物質からの反射光の反射光強度に基づいて、第2演算部112が浮遊粒子状物質中の元素状炭素および有機炭素の量を演算する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、大気中に浮遊する粒子状物質を捕集し、捕集された粒子状物質の炭素成分についての測定を行う浮遊粒子状物質測定装置に関する。
大気中には、燃料の燃焼過程で発生した揮発性ガスが酸化、凝縮、凝集して形成される超微細粒子、燃料の燃焼過程および気相化学反応で形成されるたとえば黒煙粒子などの微細粒子、自然現象で発生するたとえば海塩粒子、黄砂などの粗大粒子等種々の浮遊粒子状物質いわゆる粉塵が存在する。このような大気中の浮遊粒子状物質は、人体の鼻腔・咽頭、気管支、肺臓などに沈着し、健康に影響を及ぼすことが知られ、古くは黒い霧(スモッグ)と呼ばれた頃から環境問題として採り上げられ、大気汚染の状態を示す1つの指標として測定がなされてきた。
大気中の浮遊粒子状物質は、測定間隔を予め定め、定めた期間ごとにたとえば集塵フィルタを交換するなどによってフィルタに捕集し、その大気中の質量濃度(総量)が測定されてきた。近年測定技術の進展とともに、大気中に存在する浮遊粒子状物質の総量にとどまらず、浮遊粒子状物質の中でも人体の肺臓に沈着しやすく長期にわたって健康に影響を及ぼすとされる微細粒子の含有量を総量から分離して測定するとともに、連続的に測定する装置が提案されている(特許文献1参照)。
浮遊粒子状物質は日本国内ばかりの問題ではなく、中国では其の高濃度のために疫学的な知見から呼吸器疾患や循環器疾患の原因となり、死亡率を上昇させていることは極めて大きな社会問題である。浮遊粒子状物質の発生のメカニズムや挙動を研究する上で、浮遊粒子状物質中の有機炭素についてのモニタリングのデータが少ない。その原因として現在ある装置が複雑なため高額であるばかりでなく、ランニングコストも高く、さらに、連続にモニタリングするには感度が低いことが問題として挙げられる。
このように浮遊粒子状物質の測定技術は長足の進歩を遂げているが、特許文献1に開示される技術は、あくまでも大気中における浮遊粒子状物質の質量濃度の測定であり、浮遊粒子状物質中の組成に言及するものではない。たとえばディーゼルエンジン搭載車両の排気ガスを成因とする浮遊粒子状物質には、元素状炭素(Elementary Carbon:略称EC)、有機炭素(Organic Carbon:略称OC)が含まれ、この元素状炭素(EC)、有機炭素(OC)には窒素酸化物、硫黄酸化物などのような健康に有害な物質が吸着されていると考えられている。したがって、浮遊粒子状物質中のたとえば元素状炭素(EC)含有量、有機炭素(OC)含有量を知ることができれば、発生源や生成のメカニズムを推定することが出来、削減の対策を打ち立てることが可能となる。特に、有機炭素化合物は浮遊粒子状物質中の主成分の一つであるが、その発生源や生成のメカニズムについての知見が乏しく、大気中の浮遊粒子状物質における組成分析、特に、有機炭素のモニタリングが強く望まれている。
浮遊粒子状物質における組成分析を可能にする装置として、熱分解管とCO分析計とを備えた炭素分別分析装置(カーボンアナライザ)であって、熱分解管に、有機炭素(OC)を揮発・熱分解させるための低温加熱部と、元素状炭素(EC)を熱分解させるための高温加熱部とを備え、低温加熱部で有機炭素(OC)を分離し、高温加熱部で元素状炭素(EC)を分離する炭素分別分析装置が提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2に開示される技術によれば、ヘリウムや窒素などの不活性ガス、または、酸素や空気などの助燃ガスが択一的にキャリアガスとして熱分解管内に導入され、たとえば400℃程度に設定された低温加熱部での有機炭素(OC)の熱分解によるCOの濃度がCO分析計で測定され、たとえば1000℃程度に設定された高温加熱部での元素状炭素(EC)の熱分解によるCOの濃度がCO分析計で測定される。
特開2001−343319号公報 特開2000−241404号公報
特許文献2に開示される技術では、浮遊粒子状物質中の元素状炭素(EC)含有量、有機炭素(OC)含有量を測定することができるけれども、元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)を熱分解させるための加熱装置が必要となり、装置の構造が複雑になるとともに、ヘリウムガスや酸素ボンベなどの高価な運転用ガスが必要となるため、ランニングコストが高くなるだけでなく、保守も大変である。
本発明の目的は、大気中に浮遊する粒子状物質中の少なくとも有機炭素(OC)の量を測定することができる浮遊粒子状物質測定装置を提供することである。
本発明は、大気中に浮遊する粒子状物質を捕集するシート状の捕集フィルタと、
予め定める第1波長帯域内の波長を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長を有する光とを出射する光源と、
前記光源と接続され、該光源から出射された光を、前記捕集フィルタの一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部と、
前記捕集フィルタの前記一主面とは反対側の他主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタを透過した光を受光する透過光受光部と、
前記透過光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの透過光に対応した光の光強度を検出する透過光強度検出部と、
前記透過光強度検出部と接続され、該透過光強度検出部で検出された光強度に基づいて、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する演算部と、を含むことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置である。
また本発明は、大気中に浮遊する粒子状物質を捕集するシート状の捕集フィルタと、
予め定める第1波長帯域内の波長を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長を有する光とを出射する光源と、
前記光源と接続され、該光源から出射された光を、前記捕集フィルタの一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部と、
前記捕集フィルタの前記一主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタで反射された光を受光する反射光受光部と、
前記反射光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの反射光に対応した光の光強度を検出する反射光強度検出部と、
前記反射光強度検出部と接続され、該反射光強度検出部で検出された光強度に基づいて、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する演算部と、を含むことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置である。
また本発明は、大気中に浮遊する粒子状物質を捕集するシート状の捕集フィルタと、
予め定める第1波長帯域内の波長を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長を有する光とを出射する光源と、
前記光源と接続され、該光源から出射された光を、前記捕集フィルタの一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部と、
前記捕集フィルタの前記一主面とは反対側の他主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタを透過した光を受光する透過光受光部と、
前記透過光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの透過光に対応した光の光強度を検出する透過光強度検出部と、
前記捕集フィルタの前記一主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタで反射された光を受光する反射光受光部と、
前記反射光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの反射光に対応した光の光強度を検出する反射光強度検出部と、
前記透過光強度検出部および前記反射光強度検出部と接続され、該透過光強度検出部で検出された光強度と、該反射光強度検出部で検出された光強度とに基づいて、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する演算部と、を含むことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置である。
また本発明の浮遊粒子状物質測定装置において、前記第1波長帯域は220nm以上500nm以下であり、
前記第2波長帯域は650nm以上1000nm以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る浮遊粒子状物質測定装置によれば、捕集フィルタ上に捕集された浮遊粒子状物質に、光源から出射された、第1波長帯域内の波長を有する光と第2波長帯域内の波長を有する光とを、交互に照射する。そして、透過光強度検出部によって検出された、捕集フィルタ上の浮遊粒子状物質からの透過光の透過光強度に基づいて、演算部が浮遊粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する。
また本発明の他の一態様に係る浮遊粒子状物質測定装置によれば、捕集フィルタ上に捕集された浮遊粒子状物質に、光源から出射された、第1波長帯域内の波長を有する光と第2波長帯域内の波長を有する光とを、交互に照射する。そして、反射光強度検出部によって検出された、捕集フィルタ上の浮遊粒子状物質からの反射光の反射光強度に基づいて、演算部が浮遊粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する。
また本発明の他の一態様に係る浮遊粒子状物質測定装置によれば、捕集フィルタ上に捕集された浮遊粒子状物質に、光源から出射された、第1波長帯域内の波長を有する光と第2波長帯域内の波長を有する光とを、交互に照射する。そして、透過光強度検出部によって検出された、捕集フィルタ上の浮遊粒子状物質からの透過光の透過光強度と、反射光強度検出部によって検出された、捕集フィルタ上の浮遊粒子状物質からの反射光の反射光強度とに基づいて、演算部が浮遊粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する。
このように構成された本発明の浮遊粒子状物質測定装置は、従来技術のように元素状炭素および有機炭素を熱分解させることなく、またキャリアガスも必要とせずに、大気中に浮遊する粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を、測定することができる。
また本発明によれば、光源から出射される光の波長について、前記第1波長帯域は220nm以上500nm以下であり、前記第2波長帯域は650nm以上1000nm以下であるので、大気中に浮遊する粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を、より確実かつ効率的に測定することができる。
本発明の一実施形態に係る浮遊粒子状物質測定装置1の構成を概略的に示す図である。 浮遊粒子状物質測定装置1における、捕集フィルタ4の近傍を拡大して示す図である。 透過光強度の減衰率の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。 反射光強度の減衰率の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。 有機炭素(OC)濃度の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。 元素状炭素(EC)濃度の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。 PM2.5の質量濃度の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。 光強度とfWSOCとの相関を示すグラフである。 浮遊粒子状物質測定装置1による透過光強度に基づいて算出された有機炭素の濃度[OC]t(μgC/m)と、カーボンアナライザによるPM2.5中の有機炭素の濃度(μgC/m)との相関を示すグラフである。 浮遊粒子状物質測定装置1による反射光強度に基づいて算出された元素状炭素の濃度[EC]r(μgC/m)と、カーボンアナライザによるPM2.5中の元素状炭素の濃度(μgC/m)との相関を示すグラフである。
図1は、本発明の一実施形態に係る浮遊粒子状物質測定装置1の構成を概略的に示す図である。図2は、浮遊粒子状物質測定装置1における、捕集フィルタ4の近傍を拡大して示す図である。本実施形態に係る浮遊粒子状物質測定装置1は、大気中に浮遊する粒子状物質(以下、「浮遊粒子状物質」という)中の少なくとも有機炭素(OC)の量(濃度)を測定することに用いられる。本実施形態では、浮遊粒子状物質測定装置1は、浮遊粒子状物質中の元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の量(濃度)を測定するように構成される。
浮遊粒子状物質測定装置1は、大略、大気中に浮遊する浮遊粒子状物質を捕集する浮遊粒子捕集手段2と、該浮遊粒子捕集手段2により捕集された浮遊粒子状物質を分級する分級器3と、該分級器3で分級された浮遊粒子状物質が供給され、その供給された浮遊粒子状物質を捕集する捕集フィルタ4と、該捕集フィルタ4の一部を収容する容器5と、光を出射する光源6と、複合光ファイバ7と、透過光受光部および透過光強度検出部としての機能を有する透過光検出器8と、反射光強度検出部としての機能を有する反射光検出器9と、第1演算部111および第2演算部112を有する演算部11と、制御部12と、記憶部13と、容器5内を減圧する吸引ポンプ14と、を含んで構成される。浮遊粒子状物質測定装置1において、浮遊粒子捕集手段2および吸引ポンプ14以外の各部は、筐体15内に収容されている。
捕集フィルタ4は、フッ素樹脂から成るフィルタであり、薄膜シート状(テープ状)の形状を有し、心材に巻きまわされたコイル状態で巻戻しリール41に装着される。巻戻しリール41においてコイルの外周から巻戻された捕集フィルタ4は、予め定める距離だけ離隔した位置に設けられる巻取りリール42に噛込み巻取られる。巻取りリール42には、巻取りリール42を回転駆動させる不図示の電動機が連結され、電動機にはさらに制御電源が接続される。電動機は、制御電源からの動作指令に従って、予め定める時間間隔で、予め定める回数だけ回転するように動作する。このことによって、電動機で回転駆動される巻取りリール42が、捕集フィルタ4を予め定める時間間隔で予め定める長さだけ巻取るので、捕集フィルタ4が連続的に送給される。連続的に送給される捕集フィルタ4は、フィルタ破損検出センサ44によって切断などの破損が発生しているかどうかの検出が行われる。
また、捕集フィルタ4は、図2に示すように、後述の複合光ファイバ7と対向する側の一主面とは反対側の他主面側から、捕集フィルタサポート網43によって支持されている。この捕集フィルタサポート網43は、複数の線状部材432が格子状に配置されて成り、線状部材432間に開口431を有する。また、捕集フィルタ4は、不図示のフィルタ押えブロックが上昇された状態で連続的な送給が可能となり、フィルタ押えブロックが降下されて該フィルタ押えブロックが捕集フィルタ4に当接した状態で連続的な送給が不能となる。
浮遊粒子捕集手段2は、大気中に浮遊する浮遊粒子状物質を捕集し、浮遊粒子状物質を含む大気を、管路21を介して分級器3へと流入させる。
分級器3は、たとえば、粒径(厳密には空気力学的粒径)2.5μm以下の粒子とそれ以外の粒子とに分級する。本実施形態の浮遊粒子状物質測定装置1は、分級器3によって分級された、人体の肺臓に沈着して健康に影響を及ぼすと言われている粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質について、その浮遊粒子状物質に含まれる元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の濃度を測定するように構成されている。
容器5は、分級器3の大気流過方向下流側に連接され、たとえば金属製の直方体形状を有する箱形部材であり、捕集フィルタ4の送給路上に配置される。捕集フィルタ4の送給路上に位置する容器5の対向する一対の壁面には、フィルタ挿通孔5a,5bがそれぞれ形成されている。巻戻しリール41から巻戻された捕集フィルタ4は、フィルタ挿通孔5a,5bを挿通されることによって、容器5内空間を通過し、巻取りリール42に巻取られる。この容器5内空間を流過する大気は、捕集フィルタ4によってフィルタリングされ、容器5内空間における捕集フィルタ4によるフィルタリング位置が、浮遊粒子状物質の捕集位置である。また、容器5内空間は、分級器3によって分級された粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質を含む大気が流入する空間(以下、「測定対象空間」という)と、それ以外の残余空間とに仕切られている。
容器5には、前記測定対象空間側に接続される管路51と、前記残余空間側に接続される管路52とを介して、吸引ポンプ14が接続されている。管路51および管路52には、容器5内の圧力を監視するための圧力センサ511が配設されている。また、管路51には、容器5から流入される浮遊粒子状物質をフィルタリングするフィルタ511と、管路51内を流過する流体の流量を検出する流量センサ512と、管路51内を流過する流体の流量を制御する流量制御電磁弁513とが配設されている。管路52には、容器5から流入される浮遊粒子状物質をフィルタリングするフィルタ521と、管路52内を流過する流体の流量を検出する流量センサ522と、管路52内を流過する流体の流量を制御する流量制御電磁弁523とが配設されている。
吸引ポンプ14は、流量制御電磁弁513,523によって好ましくはその吸気量が1〜20L(リットル)/minに設定される。吸引ポンプ14が管路51,52を介して容器5内の大気を吸引することによって、浮遊粒子捕集手段2から浮遊粒子状物質を含む大気が管路21内に吸引される。管路21内に吸引された大気は、分級器3によって、粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質を含む大気と、それ以外の粒子を含む大気とに分別され、粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質を含む大気が容器5内の前記測定対象空間内を流過する際、容器5内の前記測定対象空間内に送給された捕集フィルタ4によってフィルタリングされ、捕集フィルタ4上に浮遊粒子状物質が捕集される。
捕集フィルタ4の一主面側(分級器3が配設される側)の上方には、光源6が配設されている。光源6は、後述の制御部12に制御されて、予め定める第1波長帯域内の波長(たとえば375nm)を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長(たとえば890nm)を有する光とを、交互に出射する。なお、光源6は、第1波長帯域内において波長の異なる複数の光と、第2波長帯域内において波長の異なる複数の光とを出射するように構成されていてもよい。また、光源6は、第1波長帯域および第2波長帯域とは異なる波長帯域(第3波長帯域、第4波長帯域)内の波長を有する光を出射可能に構成されていてもよい。第1波長帯域は220nm以上500nm以下であり、第2波長帯域は650nm以上1000nm以下である。また、第3波長帯域は400nm以上600nm以下であり、第4波長帯域は200nm以上300nm以下である。光源6は、第1波長帯域内の波長を有する光を出射可能なLED(発光ダイオード)と、第2波長帯域内の波長を有する光を出射可能なLEDとを含み、必要に応じて第3波長帯域内の波長を有する光を出射可能なLEDと、第4波長帯域内の波長を有する光を出射可能なLEDとを含んで構成される。なお、光源6は、LEDによって実現されることに限定されるものではなく、たとえばキセノンランプを用いてもよい。
光源6には、複合光ファイバ7が接続されている。複合光ファイバ7は、光出射用ファイバの周囲に受光用ファイバが配置されて成る光ファイバであって、一端部が光源6および反射光検出器9に接続され、他端部が容器5の前記測定対象空間内に挿入されて捕集フィルタ4の一主面に対向して設けられ、光源6から出射された光を捕集フィルタ4の一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部、捕集フィルタ4上の浮遊粒子状物質からの反射光を受光する反射光受光部、および反射光を反射光検出器9に伝搬する反射光伝搬部としての機能を有する。このような複合光ファイバ7としては、オムロン株式会社製のE32−D32L 2Mなどを用いることができる。
透過光検出器8は、たとえばシリコンフォトダイオード、光電子増倍管、光分解能を有するマルチスペクトロメータなどによって実現され、容器5の前記測定対象空間内において、捕集フィルタ4の一主面とは反対側の他主面に対向して配設され、浮遊粒子状物質を捕集した捕集フィルタ4を透過した透過光を受光し、浮遊粒子状物質からの透過光に対応した光の光強度に応じた電圧値(mV)を検出する。
反射光検出器9は、たとえばシリコンフォトダイオード、光電子増倍管、光分解能を有するマルチスペクトロメータなどによって実現され、複合光ファイバ7の一端部に接続され、複合光ファイバ7の受光用ファイバを伝搬された、浮遊粒子状物質を捕集した捕集フィルタ4を反射した反射光を受光し、浮遊粒子状物質からの反射光に対応した光の光強度に応じた電圧値(mV)を検出する。
透過光検出器8および反射光検出器9は、マルチスペクトルメータを用いることにより、瞬時に複数の波長の光を受光することができる。また、透過光検出器8および反射光検出器9を複数セットして、バンドパスフィルタを用いて瞬時に複数の波長の光を受光するように構成してもよい。さらにまた、透過光検出器8および反射光検出器9をそれぞれ1つ備える構成とし、光源6を出射光の波長の異なる複数のLEDを有する構成として、各LEDを別々に点灯または消灯させるような構成としてもよい。本実施形態では、浮遊粒子状物質測定装置1は、透過光検出器8および反射光検出器9をそれぞれ1つ備える構成であり、光源6が出射光の波長の異なる複数のLEDを有する構成である。
また、反射光検出器9は、リファレンス検出器としての機能を有し、光源6から出射された光の一部を受光し、その受光した出射光の光強度に応じた電圧値(mV)を検出する。
演算部11、制御部12および記憶部13は、パーソナルコンピュータ(PC)などによって実現される。演算部11は、第1演算部111と第2演算部112とを有し、浮遊粒子状物質中の元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の量(濃度)を求める演算を実行する回路である。
第1演算部111は、透過光検出器8および反射光検出器9と接続され、透過光検出器8で検出された透過光強度に応じた電圧値と、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9で検出された出射光強度に応じた電圧値とに基づいて、捕集フィルタ4上の浮遊粒子状物質中の元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の濃度を演算する。
第2演算部112は、反射光検出器9と接続され、反射光検出器9で検出された反射光強度に応じた電圧値と、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9で検出された出射光強度に応じた電圧値とに基づいて、捕集フィルタ4上の浮遊粒子状物質中の元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の濃度を演算する。
記憶部13は、フラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリや、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などの不揮発性のメモリによって実現され、後述の予め実験的に求められた透過光減衰係数、反射光減衰係数の情報や、オペレーティングシステム(OS:Operating System)プログラム、コンピュータを浮遊粒子状物質測定装置1として機能させるためのプログラム(以下、「浮遊粒子状物質測定処理プログラム」という)、および、種々のアプリケーションプログラムを記憶する。
制御部12は、浮遊粒子状物質測定装置1の各部の動作を制御する処理部であり、たとえば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。制御部12は、記憶部13からRAMにロードされるOSプログラム、浮遊粒子状物質測定処理プログラム、および、種々のアプリケーションプログラムを実行する。
以下、浮遊粒子状物質測定装置1の具体的な測定処理動作について説明する。なお、浮遊粒子状物質測定装置1による測定処理動作の理解が容易となるように、以下に示す用語を用いて測定処理動作について説明する。
(1)光源6による波長λの光の出射時の各検出器の検出値
・透過光検出器8の検出値(電圧値;mV):Itrans(means,λ)
・反射光検出器9の検出値(電圧値;mV):Ireflect(means,λ)
・リファレンス検出器として機能した反射光検出器9の検出値(電圧値;mV):Irefer(means,λ)
(2)光源6から光が出射されていない状態における各検出器の検出値
・透過光検出器8の検出値(電圧値;mV):Itrans(dark)
・反射光検出器9の検出値(電圧値;mV):Ireflect(dark)
・リファレンス検出器として機能した反射光検出器9の検出値(電圧値;mV):Irefer(dark)
(3)浮遊粒子状物質が捕集されていない状態の捕集フィルタ4からの透過光および反射光に応じた光強度
・透過光強度:T(λ,0)
・反射光強度:R(λ,0)
(4)捕集フィルタ4による浮遊粒子状物質の捕集が開始されてからt秒後における、捕集フィルタ4からの透過光および反射光に応じた光強度
・透過光強度:T(λ,t)
・反射光強度:R(λ,t)
(5)捕集フィルタ4による浮遊粒子状物質の捕集が開始されてからt秒後における、光強度の減衰率
・透過光強度の減衰率:Tatn(λ,t)
・反射光強度の減衰率:Ratn(λ,t)
(6)捕集フィルタサポート網43に関する設定値
・捕集フィルタサポート網43における開口431の面積:Asample
・捕集フィルタサポート網43における線状部材432の面積:Asupport
・捕集フィルタサポート網43における網目の割合:α=Asupport/(Asample+Asupport)
(7)浮遊粒子状物質中の元素状炭素、有機炭素およびその他成分の濃度
・透過光強度に基づいて算出された元素状炭素の濃度:[EC]t
・透過光強度に基づいて算出された有機炭素の濃度:[OC]t
・透過光強度に基づいて算出されたその他成分の濃度:[M]t
・反射光強度に基づいて算出された元素状炭素の濃度:[EC]r
・反射光強度に基づいて算出された有機炭素の濃度:[OC]r
・反射光強度に基づいて算出されたその他成分の濃度:[M]r
(8)元素状炭素、有機炭素およびその他成分の減衰係数
・元素状炭素の透過光減衰係数:ε(EC,λ)
・有機炭素の透過光減衰係数:ε(OC,λ)
・その他成分の透過光減衰係数:ε(M,λ)
・元素状炭素の反射光減衰係数:σ(EC,λ)
・有機炭素の反射光減衰係数:σ(OC,λ)
・その他成分の反射光減衰係数:σ(M,λ)
制御部12は、フィルタ押えブロックを上昇させた状態で巻取りリール42を回転駆動させることで捕集フィルタ4を予め定める長さだけ巻取らせて捕集フィルタ4を送給させた後、フィルタ押えブロックを降下させて、浮遊粒子状物質測定装置1による測定処理動作を開始する。
次に、制御部12は、光源6、複合光ファイバ7、透過光検出器8、反射光検出器9、および演算部11を制御して、浮遊粒子状物質が捕集されていない状態の捕集フィルタ4からの透過光に応じた透過光強度T(λ,0)を第1演算部111に下記式(1)に従って算出させ、反射光強度R(λ,0)を第2演算部112に下記式(2)に従って算出させる。
T(λ,0)=[Itrans(means,λ)-Itrans(dark)]/[Irefer(means,λ)-Irefer(dark)]
…(1)
R(λ,0)=[Ireflect(means,λ)-Ireflect(dark)]/[Irefer(means,λ)-Irefer(dark)]
…(2)
なお、制御部12は、光源6から光が出射されていない状態の300msの間に、透過光検出器8によるItrans(dark)の検出動作、反射光検出器9によるIreflect(dark)の検出動作、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9によるIrefer(dark)の検出動作を実行させ、光源6から第1波長帯域内の波長λを有する光が出射された状態の300msの間に、透過光検出器8によるItrans(means,λ)の検出動作、反射光検出器9によるIreflect(means,λ)の検出動作、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9によるIrefer(means,λ)の検出動作を実行させ、光源6から第2波長帯域内の波長λを有する光が出射された状態の300msの間に、透過光検出器8によるItrans(means,λ)の検出動作、反射光検出器9によるIreflect(means,λ)の検出動作、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9によるIrefer(means,λ)の検出動作を実行させて、透過光強度T(λ,0)および反射光強度R(λ,0)を1秒周期で取得する。
次に、制御部12は、吸引ポンプ14による容器5内の大気を吸引する動作を開始させ、捕集フィルタ4による浮遊粒子状物質の捕集を開始させる。
次に、制御部12は、光源6、複合光ファイバ7、透過光検出器8、反射光検出器9、および演算部11を制御して、捕集フィルタ4による浮遊粒子状物質の捕集が開始されてからt秒後における、捕集フィルタ4からの透過光に応じた透過光強度T(λ,t)を第1演算部111に下記式(3)に従って算出させ、反射光強度R(λ,t)を第2演算部112に下記式(4)に従って算出させる。
T(λ,t)=[Itrans(means,λ)-Itrans(dark)]/[Irefer(means,λ)-Irefer(dark)]
…(3)
R(λ,t)=[Ireflect(means,λ)-Ireflect(dark)]/[Irefer(means,λ)-Irefer(dark)]
…(4)
なお、制御部12は、光源6から光が出射されていない状態の300msの間に、透過光検出器8によるItrans(dark)の検出動作、反射光検出器9によるIreflect(dark)の検出動作、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9によるIrefer(dark)の検出動作を実行させ、光源6から第1波長帯域内の波長λを有する光が出射された状態の300msの間に、透過光検出器8によるItrans(means,λ)の検出動作、反射光検出器9によるIreflect(means,λ)の検出動作、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9によるIre fer(means,λ)の検出動作を実行させ、光源6から第2波長帯域内の波長λを有する光が出射された状態の300msの間に、透過光検出器8によるItrans(means,λ)の検出動作、反射光検出器9によるIreflect(means,λ)の検出動作、リファレンス検出器として機能した反射光検出器9によるIrefer(means,λ)の検出動作を実行させて、透過光強度T(λ,t)および反射光強度R(λ,t)を1秒周期で取得する。
このようにして取得された、透過光強度T(λ,0)、反射光強度R(λ,0)、透過光強度T(λ,t)、および反射光強度R(λ,t)に基づいて、制御部12は、捕集フィルタ4による浮遊粒子状物質の捕集が開始されてからt秒後における、透過光強度の減衰率Tatn(λ,t)を第1演算部111に下記式(5)に従って算出させ、反射光強度の減衰率Ratn(λ,t)を第2演算部112に下記式(6)に従って算出させる。
Tatn(λ,t)=-Ln[T(λ,t)/T(λ,0)] …(5)
Ratn(λ,t)=-Ln[{R(λ,t)-αR(λ,0)}/{R(λ,0)-αR(λ,0)}] …(6)
次に、制御部12は、透過光強度の減衰率Tatn(λ,t)に基づいて、浮遊粒子状物質中の元素状炭素の濃度[EC]t、有機炭素の濃度[OC]t、およびその他成分の濃度[M]tを、第1演算部111に算出させ、反射光強度の減衰率Ratn(λ,t)に基づいて、浮遊粒子状物質中の元素状炭素の濃度[EC]r、有機炭素の濃度[OC]r、およびその他成分の濃度[M]rを、第2演算部112に算出させる。
たとえば、光源6から3つの波長λ1,λ2,λ3の光が交互に出射された場合、制御部12は、記憶部13に記憶されている、元素状炭素の透過光減衰係数ε(EC,λ1),ε(EC,λ2),ε(EC,λ3)、有機炭素の透過光減衰係数ε(OC,λ1),ε(OC,λ2),ε(OC,λ3)、その他成分の透過光減衰係数ε(M,λ1),ε(M,λ2),ε(M,λ3)を参照させて第1演算部111に、下記式(7)〜式(9)に従って元素状炭素の濃度[EC]t、有機炭素の濃度[OC]t、およびその他成分の濃度[M]tを算出させる。
Tatn(λ1)=ε(OC,λ1)・[OC]t+ε(EC,λ1)・[EC]t+ε(M,λ1)・[M]t …(7)
Tatn(λ2)=ε(OC,λ2)・[OC]t+ε(EC,λ2)・[EC]t+ε(M,λ2)・[M]t …(8)
Tatn(λ3)=ε(OC,λ3)・[OC]t+ε(EC,λ3)・[EC]t+ε(M,λ3)・[M]t …(9)
また制御部12は、記憶部13に記憶されている、元素状炭素の反射光減衰係数σ(EC,λ1),σ(EC,λ2),σ(EC,λ3)、有機炭素の反射光減衰係数σ(OC,λ1),σ(OC,λ2),σ(OC,λ3)、その他成分の反射光減衰係数σ(M,λ1),σ(M,λ2),σ(M,λ3)を参照させて第2演算部112に、下記式(10)〜式(12)に従って元素状炭素の濃度[EC]r、有機炭素の濃度[OC]r、およびその他成分の濃度[M]rを算出させる。
Ratn(λ1)=σ(OC,λ1)・[OC]r+σ(EC,λ1)・[EC]r+σ(M,λ1)・[M]r …(10)
Ratn(λ2)=σ(OC,λ2)・[OC]r+σ(EC,λ2)・[EC]r+σ(M,λ2)・[M]r …(11)
Ratn(λ3)=σ(OC,λ3)・[OC]r+σ(EC,λ3)・[EC]r+σ(M,λ3)・[M]r …(12)
なお、浮遊粒子状物質中に、元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)以外のその他の成分として2つの成分M1,M2が存在していた場合、上記式(7),式(8),式(10),式(11)に従って、その他の成分M1,M2の濃度を算出することもできる。
浮遊粒子状物質測定装置1による、浮遊粒子状物質中の元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の濃度を測定するためのより具体的な例を示すと、次のとおりである。以下の例では、浮遊粒子状物質中に元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の2成分のみが存在し、光源6から出射される光が波長λ=375nmの光と、波長λ=890nmの光であると仮定する。
この場合の、透過光強度の減衰率Tatn(λ375nm),Tatn(λ890nm)の実測データを図3に示す。図3は、透過光強度の減衰率の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。また、反射光強度の減衰率Ratn(λ375nm),Ratn(λ890nm)の実測データを図4に示す。図4は、反射光強度の減衰率の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。
制御部12は、第1演算部111に、下記式(13),式(14)に従って元素状炭素の濃度[EC]t、および有機炭素の濃度[OC]tを算出させる。
Tatn(λ375nm)=ε(OC,λ375nm)・[OC]t+ε(EC,λ375nm)・[EC]t …(13)
Tatn(λ890nm)=ε(OC,λ890nm)・[OC]t+ε(EC,λ890nm)・[EC]t …(14)
また制御部12は、第2演算部112に、下記式(15),式(16)に従って元素状炭素の濃度[EC]r、および有機炭素の濃度[OC]rを算出させる。
Ratn(λ375nm)=σ(OC,λ375nm)・[OC]r+σ(EC,λ375nm)・[EC]r …(15)
Ratn(λ890nm)=σ(OC,λ890nm)・[OC]r+σ(EC,λ890nm)・[EC]r …(16)
なお、この場合には、元素状炭素の透過光減衰係数ε(EC,λ375nm)は「0.30」であり、ε(EC,λ890nm)は「0.30」であり、有機炭素の透過光減衰係数ε(OC,λ375nm)は「0.10」であり、ε(OC,λ890nm)は「0」であり、元素状炭素の反射光減衰係数σ(EC,λ375nm)は「0.32」であり、σ(EC,λ890nm)は「0.20」であり、有機炭素の反射光減衰係数σ(OC,λ375nm)は「0.20」であり、σ(OC,λ890nm)は「0」であることが、実験的に求められている。
元素状炭素の濃度および有機炭素の濃度の算出結果を図5〜7に示す。図5は、有機炭素(OC)濃度の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。図6は、元素状炭素(EC)濃度の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。図7は、PM2.5の質量濃度の測定日時ごとの変化に関する測定結果の一例を示すグラフである。
また、図8に、浮遊粒子状物質測定装置1による測定結果とfWSOCとの相関を示した。図8は、光強度とfWSOCとの相関を示すグラフである。図8(1)は透過光強度に対応したfWSOCとの相関を示し、図8(2)は反射光強度に対応したfWSOCとの相関を示す。なお、fWSOCは、PM2.5に対応した粒子径以下の粒子径を有する微小な粒子状物質中の水溶性有機炭素のモル濃度(μmol/m)を表す。図8に示すグラフから明らかなように、浮遊粒子状物質測定装置1による、透過光強度に対応した測定結果とfWSOCとは良好な相関関係を示し、反射光強度に対応した測定結果とfWSOCとは良好な相関関係を示す。
また、図9は、浮遊粒子状物質測定装置1による透過光強度に基づいて算出された有機炭素の濃度[OC]t(μgC/m)と、カーボンアナライザによるPM2.5中の有機炭素の濃度(μgC/m)との相関を示すグラフである。なお、カーボンアナライザは、熱分解管とCO分析計を備えており、PM2.5中の有機を熱分解させて、PM2.5中の有機炭素の濃度を測定する。
図9において、浮遊粒子状物質測定装置1による有機炭素の濃度[OC]tは、以下のようにして算出された値である。
すなわち、上記式(13),式(14)において、ε(OC,λ375nm)−ε(OC,λ890nm)=1/17.5とし、ε(EC,λ375nm)−ε(EC,λ890nm)=0として、下記式(17)に従って有機炭素の濃度[OC]t(μgC/m)を算出した。
[OC]t=17.5[Tatn(λ375nm)−Tatn(λ890nm)] …(17)
図9に示すグラフから明らかなように、浮遊粒子状物質測定装置1による有機炭素の濃度[OC]tと、カーボンアナライザによる有機炭素の濃度とは、良好な相関関係を示す。
また、図10は、浮遊粒子状物質測定装置1による反射光強度に基づいて算出された元素状炭素の濃度[EC]r(μgC/m)と、カーボンアナライザによるPM2.5中の元素状炭素の濃度(μgC/m)との相関を示すグラフである。なお、カーボンアナライザは、熱分解管とCO分析計を備えており、PM2.5中の元素状炭素を熱分解させて、PM2.5中の元素状炭素の濃度を測定する。
図10において、浮遊粒子状物質測定装置1による元素状炭素の濃度[EC]rは、以下のようにして算出された値である。
すなわち、上記式(16)において、σ(EC,λ890nm)≫σ(OC,λ890nm)とし、σ( EC,λ890nm)=1/4.99として、下記式(18)に従って元素状炭素の濃度[EC]r(μgC/m)を算出した。
Ratn(λ890nm)=σ(EC,λ890nm)・[EC]r …(18)
図10に示すグラフから明らかなように、浮遊粒子状物質測定装置1による元素状炭素の濃度[EC]rと、カーボンアナライザによる元素状炭素の濃度とは、良好な相関関係を示す。
なお、本実施形態の浮遊粒子状物質測定装置1では、上述したように、演算部11は、元素状炭素(EC)の濃度および有機炭素(OC)の濃度を、透過光強度に基づいて算出し、反射光強度に基づいて算出するように構成されているが、透過光強度に基づいて算出された濃度値と、反射光強度に基づいて算出された濃度値との平均値を、最終的な測定結果として処理するように構成されていてもよい。
以上のように構成された本実施形態の浮遊粒子状物質測定装置1によれば、従来技術のように元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)を熱分解させることなく、またキャリアガスも必要とせずに、大気中に浮遊する粒子状物質中の少なくとも有機炭素(OC)の濃度を測定することができ、好ましくは元素状炭素(EC)および有機炭素(OC)の濃度を測定することができる。
1 浮遊粒子状物質測定装置
2 浮遊粒子捕集手段
3 分級器
4 捕集フィルタ
5 容器
6 光源
7 複合光ファイバ
8 透過光検出器
9 反射光検出器
11 演算部
12 制御部
13 記憶部
14 吸引ポンプ
15 筐体
41 巻戻しリール
42 巻取りリール
43 捕集フィルタサポート網

Claims (4)

  1. 大気中に浮遊する粒子状物質を捕集するシート状の捕集フィルタと、
    予め定める第1波長帯域内の波長を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長を有する光とを出射する光源と、
    前記光源と接続され、該光源から出射された光を、前記捕集フィルタの一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部と、
    前記捕集フィルタの前記一主面とは反対側の他主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタを透過した光を受光する透過光受光部と、
    前記透過光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの透過光に対応した光の光強度を検出する透過光強度検出部と、
    前記透過光強度検出部と接続され、該透過光強度検出部で検出された光強度に基づいて、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する演算部と、を含むことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  2. 大気中に浮遊する粒子状物質を捕集するシート状の捕集フィルタと、
    予め定める第1波長帯域内の波長を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長を有する光とを出射する光源と、
    前記光源と接続され、該光源から出射された光を、前記捕集フィルタの一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部と、
    前記捕集フィルタの前記一主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタで反射された光を受光する反射光受光部と、
    前記反射光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの反射光に対応した光の光強度を検出する反射光強度検出部と、
    前記反射光強度検出部と接続され、該反射光強度検出部で検出された光強度に基づいて、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する演算部と、を含むことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  3. 大気中に浮遊する粒子状物質を捕集するシート状の捕集フィルタと、
    予め定める第1波長帯域内の波長を有する光と、該第1波長帯域とは異なる予め定める第2波長帯域内の波長を有する光とを出射する光源と、
    前記光源と接続され、該光源から出射された光を、前記捕集フィルタの一主面に向けて伝搬する出射光伝搬部と、
    前記捕集フィルタの前記一主面とは反対側の他主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタを透過した光を受光する透過光受光部と、
    前記透過光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの透過光に対応した光の光強度を検出する透過光強度検出部と、
    前記捕集フィルタの前記一主面に対向して配設され、粒子状物質が捕集された捕集フィルタで反射された光を受光する反射光受光部と、
    前記反射光受光部と接続され、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質からの反射光に対応した光の光強度を検出する反射光強度検出部と、
    前記透過光強度検出部および前記反射光強度検出部と接続され、該透過光強度検出部で検出された光強度と、該反射光強度検出部で検出された光強度とに基づいて、前記捕集フィルタに捕集された粒子状物質中の少なくとも有機炭素の量を演算する演算部と、を含むことを特徴とする浮遊粒子状物質測定装置。
  4. 前記第1波長帯域は220nm以上500nm以下であり、
    前記第2波長帯域は650nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浮遊粒子状物質測定装置。
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