JP2016160952A - ダンパー装置 - Google Patents

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曽田 五月也
Isanari Soda
五月也 曽田
勉 花井
Tsutomu Hanai
勉 花井
三須 基規
Motoki Misu
基規 三須
権也 熊谷
Kenya Kumagai
権也 熊谷
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SWCC Showa Device Technology Co Ltd
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Abstract

【課題】低温下でも、粘弾性ダンパーから発生する過大な力が建築物等に及ぶことを防ぎ、かつ、簡単な構造で施工が容易であり、省スペースに設置でき、低コスト化を実現すること。
【解決手段】外管30の内周部に、粘弾性体40を介して心材20を接合した粘弾性ダンパーの一端部側に、移動管52が挿入されている。移動管52は、外管30に外側から挿入されたボルト60を締め付けることで、締め付け部材70を介して外管30に固定され、粘弾性体40の剪断変形による力が所定の値を超えた場合、滑り機構部90が相対的に滑り出す。
【選択図】図3

Description

本発明は、地震や風揺れによる建物の振動を減衰させるダンパー装置に関する。
従来、建築物に対して、地震や風揺れによる振動を低減する手段の一つとして粘弾性ダンパー等のダンパー装置が知られている。
粘弾性ダンパーは、例えば、円筒もしくは丸棒の心材と、円筒状の外管と、心材と外管との間に充填される粘弾性体からなる。粘弾性ダンパーは、例えば、建築物の柱や梁で囲まれた空間部分の対角線に沿って一端を心材側、他端を外管側と接続した状態で設置される。粘弾性ダンパーでは、地震や風揺れなどによって生じる建築物の振動を、心材と外管との間に充填した粘弾性体が剪断変形して振動エネルギーを吸収する。このように粘弾性ダンパーは、簡単な構造で微振動から減衰性能を発揮することができる利点がある。
しかしながら、粘弾性体に使用される高分子粘弾性材料の振動減衰特性は、温度や振動振幅、振動数等の条件により変化する。特に温度依存性は大きく、冬場の低温下では粘弾性体が硬くなり、その結果、剛性が増大して建築物に作用する負荷が大きくなる。
図1は、一般的な粘弾性ダンパーの変位荷重特性の説明に供する図である。この図1では、異なる温度(10℃、20℃)下で使用した際の粘弾性ダンパーの変位荷重特性を示す。図1に示すように、粘弾性ダンパーの変位荷重特性において、同一の変位量であっても、10℃における荷重は20℃における荷重の1.7倍程度と増大し、粘弾性ダンパーの接合部分や建築物にかかる負荷が大きくなる。この特性により、従来の粘弾性ダンパーを用いると、場合によっては建築物との接合部や梁等を損傷する虞がある。その為、接合部や梁等が損傷しないよう、低温下で粘弾性ダンパーから受ける荷重を想定して建築物を設計する必要があり、設計の自由度を低くしている。
よって、建築物に粘弾性ダンパーを組み込む構成においては、効果的に建築物の振動を減衰させるために、様々な方策が採られている。
例えば、特許文献1では、粘弾性ダンパーを発熱体で保温する構成が開示されている。特許文献1の粘弾性ダンパーでは、粘弾性体の熱老化を促進させない発熱温度に設定した自己温度制御性を有する発熱体が、ダンパー端部の継手部の鋼板表面に密着させて固定されている。これら面状発熱体とダンパーは、それらの周囲を覆う断熱材により保温されている。この構成により、粘弾性ダンパーの温度依存性を改善して、冬場の低温下でも、建築物の振動を効果的に減衰するようにしている。
また、建築物に過剰な荷重が負荷されないようにする技術として、例えば、特許文献2が知られている。
この特許文献2には、ブレース部材を、粘弾性ダンパーと、先行降伏部材とで構成したブレース構造が開示されている。先行降伏部材は、粘弾性ダンパーに突設したブラケットと建築構造物側に固定したブラケットとをボルト・ナットの締付力によって接続する接続プレートからなる。粘弾性ダンパーの一端に先行降伏部材が、直列に結合されており、これらの接合部を軸方向に長孔としている。これにより、所定の荷重以上の応力が作用すると、先行降伏部材のボルト・ナットの締結力(摩擦力)に打ち勝って、両ブラケットと接続プレートとの間に、長孔に沿って、相対的なすべりが発生する。これにより、粘弾性ダンパーの軸方向に作用する過大な引張応力と圧縮応力に対して略等しい特性を発揮している。
また、特許文献3では、鋼材ダンパーと粘弾性ダンパーを組み合わせて、所定以上の応力が生じた際には、鋼材ダンパーにてエネルギーを吸収して低減させる構成が開示されている。
具体的に、特許文献3には、ブレース軸材の面外方向の変形を拘束する座屈拘束材を相対変位自在に配設した座屈拘束型ブレースと、ダンパー軸材と外側フレームとの間に粘弾性体が介装された粘弾性ダンパーとを備える複合制振ブレースが開示されている。座屈拘束型ブレースの一端部において、粘弾性体ダンパーのダンパー軸材及び外側フレームのいずれか一方をブレース軸材に固定し、かつ他方を座屈拘束材に連結する、他方、座屈拘束型ブレースの他端部において、座屈拘束材とブレース軸材とを連結している。
また、特許文献4及び特許文献5では、摩擦ダンパーと粘弾性ダンパーを直列状に組み合わせた構成が開示されている。
特許文献4に示す複合制震ダンパーは、層状又は円筒状に構成された粘弾性ダンパーと、筒体内周に弾発材を用いて圧接される摩擦部材をもって構成された摩擦式ダンパーとを直列状に組み合わせて構成されている。また、特許文献5では、第1のダンパーとして粘性ダンパーあるいは粘弾性ダンパーと、第2のダンパーとしての摩擦ダンパーとを直列に接続した制震ダンパーが開示されている。特許文献5では、第1のダンパーは、建築物の相対変位可能な2部材間に介装され、2部材間の振動を減衰させる。また、第2のダンパーは、2部材間から第1のダンパーに加わる力が一定値以上となったときに、該負荷が第1のダンパーに伝達されるのを遮断する。
これら特許文献4及び特許文献5では、所定以上の荷重が生じた際は、それぞれ摩擦式ダンパー、摩擦ダンパー(第2のダンパー)が作用し、エネルギーを吸収する。
特開2002−295579号公報 特開平10−37515号公報 特開2002−357013号公報 実開平3−7588号公報 特開平9−268802号公報
しかしながら、特許文献1〜5に示すような従来の様々な方策には、以下のような問題があった。
特許文献1の粘弾性ダンパーは、保温のための電源を確保する必要や電力コストがかかる。
また、特許文献2のブレース構造では、粘弾性ダンパーの一端に先行降伏部材が直列に結合されたブレース部材を、柱と梁の接合部に溶接されたブラケットに取り付けるが、取付の際に、先行降伏部材を構成する接続プレートの長孔に沿ってボルトが滑るよう、粘弾性ダンパー、先行降伏部材、ブラケットが同一軸線となるよう、現地で精度良く調整する必要があり、施工に手間がかかる。
特許文献3の複合制震ブレースでは、装置全体が大型化して複雑になり、中小規模の建築物に設置するにはスペースの面で困難となる。また、鋼材ダンパーと粘弾性ダンパーそれぞれを精度良く据え付ける必要があり、施工に手間がかかる場合がある。
また、特許文献4及び特許文献5は、摩擦ダンパー(特許文献5では第2のダンパー)と粘弾性ダンパー(特許文献5では第1のダンパー)に作用する力が同一の軸線方向になるよう精度良く据え付ける必要があり、施工に手間がかかる場合がある。また、これら特許文献4及び特許文献5によれば、摩擦ダンパーと粘弾性ダンパーを直列に接続した構成となるため装置全体が大型化し、中小規模の建築物に設置するにはスペースの面で困難となる。さらに、摩擦ダンパー機構の原理や構造は単純であるが所定の性能を安定して発揮させるためには精度の高い加工が施されているためコスト高になる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、低温下でも、粘弾性ダンパーから発生する過大な力が建築物等に及ぶことを防ぎ、かつ、簡単な構造で施工が容易であり、省スペースに設置でき、低コスト化を実現するダンパー装置を提供する。
本発明のダンパー装置の一つの態様は、建築物の構造部材間に架設されるダンパー装置であって、筒状の外管と、前記外管内に配置され、且つ、前記外管の一端部側で第1の構造部材に取り付けられる筒状或いは棒状の心材と、前記外管及び前記心材の間に充填され、前記心材及び前記外管を接合する粘弾性体と、前記外管の他端部側に、一端部側が挿入され、且つ、前記外管の他端部から露出する他端部で第2の構造部材に取り付けられる移動管と、前記外管に前記移動管を、前記外管の軸方向に滑り移動自在に固定する滑り機構部と、を有し、前記滑り機構部は、前記外管と前記移動管とが重なる部分のうちの一方の部分に貫通して配置されるボルトと、前記外管と前記移動管とが重なる部分のうちの他方の部分に、前記軸方向に沿って延在して形成され、且つ、前記ボルトが遊挿される切り欠き部と、前記他方の部分において、前記一方の部分側とは反対側に配置され、且つ、前記切り欠き部を遊挿するボルトが挿入され、前記ボルトの締め付けにより、ボルト軸方向に移動する締め付け部材と、を有し、前記ボルトを前記外管の外側から締め付けることにより、前記締め付け部材を介して、前記移動管の挿入部分と前記外管が、互いに押圧して固定され、前記粘弾性体の剪断変形による荷重が所定の値を超えた際、前記滑り機構部が相対的に滑る構成を採る。
本発明のダンパー装置の一つの態様は、建築物の構造部材間に架設されるダンパー装置であって、筒状の外管と、前記外管内に配置され、且つ、前記外管の一端部側で第1の構造部材に取り付けられる筒状或いは棒状の心材と、前記外管及び前記心材の間に充填され、前記心材及び前記外管を接合する粘弾性体と、前記外管の他端部側に、前記外管の軸方向に移動自在に挿入され、且つ、前記外管の他端部から露出する端部で第2の構造部材に取り付けられる移動管と、前記移動管の挿入部分に設ける滑り機構部と、を有し、前記滑り機構部は、前記外管に貫通して配置されるボルトと、前記移動管の挿入部分に、前記軸方向に沿って延在し、前記ボルトが遊挿される切り欠き部と、前記切り欠き部の内側に配置され、前記切り欠き部を挿通するボルトが螺合し、前記ボルトの締め付けにより、ボルト軸方向に移動する締め付け部材と、を有し、前記ボルトを前記外管の外側から締め付けることにより、前記締め付け部材を介して、前記移動管の挿入部分と前記外管が、互いに押圧して固定され、前記粘弾性体の剪断変形による荷重が所定の値を超えた際、前記滑り機構部が相対的に滑る構成を採る。
本発明によれば、低温下でも、粘弾性ダンパーから発生する過大な荷重が建築物等に及ぶことを防ぎ、かつ、簡単な構造で施工が容易であり、省スペースに設置でき、低コスト化を実現することができる。
一般的な粘弾性ダンパーの変位荷重特性の説明に供する図 本発明のダンパー装置の施工状態の一例を示す図 本発明の一実施の形態に係るダンパー装置の説明に供する図 図3に示すダンパー装置における滑り機構部の拡大図 滑り機構部の斜視図 図3のB−B線要部断面図 締め付け部材の斜視図 ボルトを締め付けた状態をしめす滑り機構部の断面図 ダンパー装置の動作の説明に供する図 ダンパー装置の動作の説明に供する図 ダンパー装置の動作の説明に供する図 実施例1のダンパー装置における変位と滑り出し荷重の結果を示す図 実施例2のダンパー装置における変位と滑り出し荷重の結果を示す図 本発明の一実施の形態に係るダンパー装置の変形例の要部構造を示す図 本発明の一実施の形態に係るダンパー装置の他の変形例
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明のダンパー装置の施工状態の一例を示す図である。図2において、テナント等の建築物は、所定の間隔を置いて立設された柱1と、隣接する柱1間を連結する梁2とを備えており、対角線上に位置する柱1と梁2の接合部にはブラケット等の取付部3(第1の構造部材)及び取付部4(第2の構造部材)が溶接され、取付部3、4間にダンパー装置10が架設されている。
図3は、本発明の一実施の形態に係るダンパー装置の説明に供する図であり、図3Aは、ダンパー装置の全体を示す平面図であり、図3Bは、図3AのA−A線断面図である。
ダンパー装置10は、外管30と、外管30内部に配置される心材20と、心材20と外管30の内周面との間に充填される粘弾性体40と、外管30の他端部側に、長手方向(外管30の軸方向)で移動自在に挿入される移動管52と、滑り機構部90と、を有する。
外管30は、心材20に対して粘弾性体40を介して接合された状態となっている。
粘弾性体40は、例えば、心材20と外管30を同心円状に配置した後、心材20と外管30との間に、高分子粘弾性材料を液状の状態で流し込むことで充填し、硬化させて形成する。粘弾性体40を液状注型によって形成することで、円筒状であっても容易に形成することができる。なお、粘弾性体40の形成は、シート状の高分子粘弾性材料を心材20の外周に貼り付けた後、分割構造の外管30を圧着して組み立てる方法等を用いても構わない。これら心材20、外管30及び粘弾性体40は、微振動からの振動に対して減衰性能を発揮する粘弾性ダンパーを構成する。なお、高分子粘弾性材料には、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリオキシプロピレンクロロプレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリゴム、ポリノルボーネンゴム、シリコーンゴム、シリコーンゲル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン等のうちの1種、或いは2種以上を混合したものが挙げられる。
心材20は、鋼材からなり、筒状あるいは棒状で構成され、円筒もしくは丸棒により構成されることが好ましい。ここでは、丸棒で形成している。
心材20の一端側(図左側)端部は、一端側取付部11と結合されている。一端側取付部11と、外管30との間には、面外変形拘束管12が介装されている。また、心材20の他端側(図右側)は、外管30内で、面外変形防止金具81を介して外管30の内周面と所定の間隔を空けて支持されている。
面外変形防止金具81は、面外変形拘束管12とともに、外管30と心材20とが相対的に軸方向に移動する際に、心材20の半径方向への軸ずれを規制する。これにより、心材20は、外管30内において、心材20の外周面と外管30の内周面との間の距離(粘弾性体が充填されている空間)を常に一定に保ち、軸心Cが維持される。
外管30の他端側(図右側)には、移動管52が外管30の軸方向に移動自在に挿入され、外管30から露出する移動管52の他端部(図右側)には、他端側取付部53が結合している。また、移動管52の挿入部分には滑り機構部90を有する。
心材20と結合した一端側取付部11(図左端)と移動管52に結合した他端側取付部53は、それぞれ建築物側のブラケット等の取付部3(第1の構造部材)、取付部4(第の構造部材)にそれぞれ取り付けられる。
図4は、図3に示すダンパー装置10における滑り機構部90の拡大図である。
外管30の他端部側(図右側)は、心材20及び粘弾性体40の端部より延設されており、延設部分の内側には、外管30の他端部31から挿入された移動管52の一部が挿入されている。移動管52の挿入部分52aは、滑り機構部90を介して外管30に取り付けられている。
図5は、滑り機構部90の斜視図であり、図6は、滑り機構部90の説明に供する滑り機構部90の断面図であり、図3のB−B線要部断面図である。
図4〜図6に示すように、滑り機構部90は、外管30の外側から挿入されるボルト60と、移動管52、ボルト60が挿通する切り欠き部51と、ボルト60に螺合する締め付け部材70とで形成される。
ボルト60は、外管30の他端部側に設けられたボルト孔33に挿入されている。ボルト孔33は、移動管52の各切り欠き部51の位置に対応して、外管30に設けられている。ボルト60の頭部は、外管30の外側に露出し、ボルト60のねじ部は、ボルト孔33を貫通し、その先端部は、切り欠き部51を挿通して、移動管52の内側に配置された締め付け部材70に螺合している。なお、ボルト孔33の内周面には、ボルト60に螺合する雌ねじ部が形成されてもよい。本実施の形態では、ボルト孔33は、ボルト60の軸部が挿通し、ボルト60の頭部が外管30の外面に係合する径で形成されている。
移動管52の一端側(図3、4左側)は、外管30の他端部側の内側に、軸方向に移動自在に挿入されており、外管30から露出している移動管52の他端側(図3、4右側)には、他端側取付部53が結合され、建築物側の取付部(ここでは、図2に示す第1の構造部材としての取付部3)に取り付けられている。
移動管52の外径は、外管30の内径より小さい外径であり、ここでは、外管30の他端部側から挿入されることで、外管30内に配置されている。
この移動管52の挿入部分52aには、長手方向に延在して複数の切り欠き部(長溝)51が設けられている。切り欠き部51の幅は、ボルト60が挿通できる幅であり、軸心Cを中心に周方向で等間隔に離間して複数設けられている。ここでは、切り欠き部51は、移動管52の挿入部分52a側の端部の開口縁側で開口し、ボルト60が貫通する幅で、周方向に等間隔で、3箇所設けられている。
移動管52は鋼材(鋼管)により形成され、挿入部分52aには、周方向で等間隔に切り欠き部51が設けられている。これにより、鋼管で形成される挿入部分52aにおいて、切り欠き部51で周方向に仕切られて並ぶ部位(変形片部55)は、半径方向、特に拡径方向に変形しやすい。つまり、挿入部分52aは、可撓性を有して形成されている。なお、外管30と移動管52の挿入部分52aは、変形片部55が変形しても相対的な滑り或いは移動が可能な構成とする。
この移動管52の切り欠き部51に対応して、内側に締め付け部材70が配置されている。
締め付け部材70は、移動管52の内周に沿った外面を有する環状の部材を円周方向に分割(ここでは3分割)したように構成される。締め付け部材70は、移動管52(切り欠き部51)の内周面521に沿って、切り欠き部51の数と同数個配置されている。
締め付け部材70は、ボルト60が螺合することで、それぞれの外面(後述する接触面71)が移動管52の内周面521に当接して固定される。
図7は、締め付け部材70の斜視図である。
締め付け部材70は、移動管52(挿入部分52a)の内周面521(図5及び図6参照)と接する接触面71と、ボルト60の先端が螺合するタップ孔73とを有する。
接触面71は、内周面521に対応した湾曲面であり、その曲率は移動管52の内径以下とする。また、タップ孔73は、締め付け部材70の中心部に穿孔するのがよい。タップ孔73を締め付け部材70の中心部に穿孔することで、ボルト60で締め付けた際に、接触面71から均等に内周面521にトルクが掛かる。なお、接触面71は平面でもよいが、移動管52の内周面521に対応した湾曲面であれば、当接部分も増えてより確実に圧接できる。また、移動管52内での締め付け部材70の配置も容易にできる。
このように構成されたダンパー装置10では、内側から締め付け部材70、移動管52(挿入部分52a)、外管30の順で配置され、外管30の外側から挿入されるボルト60が、ボルト孔33、移動管52における切り欠き部51を挿通して、締め付け部材70のタップ孔73に螺合している。ここで、ボルト60を締め付ける。
図8は、ボルトを締め付けた状態を示す滑り機構部の断面図である。
図8に示すように、ボルト60を外管30の外側から締め付けると、締め付け部材70は、ボルト60の軸部に案内されて、移動管52(挿入部分52a)の中心から半径方向(放射方向)に移動する(矢印方向にそれぞれ移動)。すると、各締め付け部材70は、移動管52の内周面521にそれぞれ圧接された状態となり、移動管52を中心から半径方向(放射方向)に押圧する。移動管52では、切り欠き部51により分割された部位である変形片部55が拡径するように変形する。これにより、変形片部55は、それぞれ外管30の内周面36に圧接し、移動管52が外管30に固定される。
よって、移動管52の外径と外管30の内径(内周面36)とのクリアランスが1mm程度であっても、ボルト60を外管30の外側から締め付けることで、締め付け部材70を介して、移動管52と外管30を密着可能にしている。したがって、移動管52の外径と外管30の内径とのクリアランスを切削加工で高精度に仕上げる必要はなく、移動管52が外管30の中に挿入できれば良いので低コスト化が可能となる。
このようにボルト60を外管30の外側から締め付けることにより、締め付け部材70を介して、移動管52の挿入部分52aの外周面と外管30の内周面が密着して固定される。
図9〜図11は、ダンパー装置10の動作の説明に供する図であり、図9A、図9B、図10A、図10Bは、それぞれ図3A、図3Bに対応し、それぞれ粘弾性ダンパーの動作を示す図であり、図11は、滑り機構部90の動作を示す外観図である。
まず、地震や風揺れなどによる建物物の振動は、建築物の取付部3、4(図2参照)より、一端側取付部11から心材20に、他端側取付部53から移動管52を介して外管30に伝わる。これらダンパー装置10の軸方向に作用する振動エネルギーは、粘弾性ダンパーを構成する粘弾性体40の剪断変形によって減衰される(図9A、図9Bに示す状態から図10A、図10Bに示す状態へ変化する)。
粘弾性体40の剪断変形により、粘弾性体40からは荷重が発生し、その力が建築物との取付部や梁等に作用する(図1参照)。
そして、ダンパー装置10において、粘弾性体40の剪断変形により発生する力(荷重)が所定の値を超えた際、つまり、ボルト60の締め付け力よりも勝った場合、図11に示すように、切り欠き部51に沿って、滑り機構部90(移動管52と外管30)が相対的にすべり出す(具体的には、図11A→図11B、図11A→図11C)。これにより、ボルト60の締め付け力を超える荷重を摺動によって吸収することで、建築物(取付部)側には所定の値以上の力(荷重)が及ぶことはない。
切り欠き部51の長さは、設置箇所で想定される粘弾性体40からの力(荷重)に対して、滑り機構部90(移動管52と外管30)が相対的に滑り出す量Lを算出して設定する。また、一端側、他端側のどちらにも滑り出せるよう、例えば、図11Aに示すように、軸方向で延在する切り欠き部51の略中央位置Nにボルト60を配置して固定し、中央位置NからそれぞれLのストローク長、計2Lの長さに形成する。
図11Bは、軸方向で延在する切り欠き部51の中央位置Nから、ダンパー装置10の他端部側(図右側)に滑り出したケース、図11Cは、軸方向で延在する切り欠き部51の中央位置Nから、ダンパー装置10の一端部側(図右側)に滑り出したケースを示す。移動管52と外管30に相対的な滑りが生じることにより、粘弾性体40からの所定の値以上の力(荷重)は摺動によって吸収される。
なお、締め付け部材70は、軸方向に長い形状、例えば、軸方向の長さを外管30の内径より長く形成するのが好適である。軸方向に長い形状とすることで、タップ孔73に螺合するボルト60の相対的な回転により、締め付け部材70がボルト60の軸回りに回転することを抑え、ボルト軸方向にのみ移動自在となる。
ダンパー装置10におけるボルト60としては、高力ボルト等のように、熱処理をして強度を高くしたボルトであることが好ましい。また、本実施の形態のダンパー装置10では、ボルト60による締め付けトルクは、移動管52、外管30の内周面36等のすべり面の摩擦係数やすべり出し荷重を考慮して設定するが、一般の汎用ボルトの1.7〜2.8倍の値が好適である。
このボルト60の締め付けにより、締め付け部材70の接触面71と移動管52(挿入部分52a)の内周面521、移動管52(挿入部分52a)の外周面と外管30の内周面36の各鋼材表面が互いに圧接した状態となり、ボルト軸力による摩擦力が得られる。
また、ボルト60の締め付けにより、締め付け部材70は、湾曲面部分である接触面71で移動管52の内周面521に軽く食い込む。更に、移動管52の開口面、具体的には、変形片部55の端部は、自由端であり、拘束されておらず、変形片部55は、一種のばね座金のように複数のボルト軸力を均等に伝達できる。また、滑り機構部90において締め付けられる各部材は、鋼材の材質以上のトルクを付与されることによって局所的に変形して密着性が良くなる。これらのことから、締め付け部材70の湾曲面(接触面71)と移動管52の内周面36との寸法を高精度に仕上げなくても、摩擦力を発生できる構成となっている。従って、一対の平板に長孔を設け、ボルト−ナットで固定した場合と比べ、安定した摩擦力(固定)を提供でき、粘弾性体40からの荷重が所定の値になるまで、すべり出すことはない。また外管30の内周面の軸方向に沿って移動管52が滑るため、粘弾性体40からの(軸方向への)荷重を確実に吸収する。
このダンパー装置10では、上述したように、地震や風揺れにより建築物が振動すると、一端側取付部11、他端側取付部53を介して心材20と移動管52にそれぞれ伝達され、粘弾性ダンパーを構成する粘弾性体40の剪断変形によって振動エネルギーを減衰する。この際、粘弾性体40の剪断変形によって、粘弾性体40から荷重が発生し、その力が建築物との取付部や梁等に作用する。
そして、ダンパー装置10の粘弾性体40から発生する力(荷重)が、所定の値(ボルト60の締結による摩擦力)を超えるまでは、滑り機構部90(外管30と移動管52)はボルト60の締め付けによって固定された状態を維持し、建築物からの振動エネルギーは、粘弾性体40の剪断変形によって吸収して減衰する。
一方、冬場の低温下において粘弾性体40が硬くなると、ダンパー装置10の粘弾性体40から発生する力(荷重)が所定の値(ボルト60の締結による摩擦力)を超える場合が生じる。この場合、滑り機構部90において、移動管52と外管30が相対的に滑り出して吸収する。この滑り出しにより、粘弾性ダンパーを構成する粘弾性体40から発生する所定の値以上の荷重をダンパー装置10内の滑り機構部90で吸収することにより、建築物には所定の値以上の荷重が及ぶのを防ぎ、過剰負荷により建築物の取付部や梁等が破損することを回避できる。
ダンパー装置10における滑り出し荷重は、ボルト60の締め付けトルク量で調整できる。
実施例1として、円筒状の外管に移動管(切り欠き部3箇所)を挿入し、移動管の内周面に、図7に示す形状の締め付け部材70を、図6に示すような構成に配置してダンパー装置10を作製した。なお、締め付け部材70は、外管30に設けたボルト孔33、切り欠き部51をそれぞれ挿通したボルト60がタップ孔73に螺合することによって、移動管52の内側に配置されている。
そして、外管30の外側から、ボルト60(ここでは3箇所のボルト60)を、トルクレンチを用いて、締め付けトルク2.4Tで締め付けて、移動管52を外管30に固定した。その後、実施例1のダンパー装置10に対して1MN圧縮試験機(加振速度5mm/min)を用いて剪断荷重を与えて滑り出し荷重を測定した。
図12は、実施例1のダンパー装置(締め付けトルク2.4T)における変位と滑り出し荷重の結果を示す図である。
また、実施例2として、実施例1として作製したダンパー装置において、ボルト60(ここでは3箇所のボルト60)を、トルクレンチを用いて、締め付けトルク2.0Tで締め付けて、移動管50を外管30に固定し、1MN圧縮試験機(加振速度5mm/min)を用いて剪断荷重を与えて滑り出し荷重を測定した。
図13は、実施例2のダンパー装置(締め付けトルク2.0T)における変位と滑り出し荷重の結果を示す図である。
図12及び図13からも明らかなように、変位が大きくなり、粘弾性体40から発生する荷重が所定の値を超えると、滑り機構部90が滑り出してダンパー装置10内で吸収され、以降、変位に対する荷重が一定の値となる。つまり、建築物の取付部や梁等には一定の荷重までしか作用しない。また、締め付けトルク2.0Tと2.4Tでの変位−荷重の関係を比較すると、締め付けトルクを大きくすることですべり出し荷重(変位に対する荷重が一定となる値)も大きくなり、締め付けトルク量ですべり出し荷重の調整が可能であることがわかる。
本実施の形態のダンパー装置10によれば、冬場の低温下で粘弾性体40の硬度が硬くなり、粘弾性ダンパーにおいて、粘弾性体40から所定以上の荷重が発生した場合でも、外管30と移動管52とが、ボルト60の締め付け力に勝って、切り欠き部51に沿って相対的に滑り出すことで荷重を一定に抑え、建築物への過剰負荷による損傷を回避できる。
また、建築物の設計において、ダンパー装置10の温度依存性を考慮する必要がなくなり、建築物自体の自由度が広がる。
また、粘弾性ダンパーを構成する外管30内に、滑り機構部90を、一体化した構成であるので、ダンパー装置10全体をコンパクトでき、設置スペースを取らず、テナント等の中小建築物にも取付けが可能となる。
すなわち、粘弾性ダンパーを構成する外管30と、滑り機構部90を構成する外管30は同一の管となるので、従来と異なり、粘弾性ダンパーと滑り出し機構とを、作用する力が同一の軸線方向になるよう精度良く据え付ける必要はなく、取り付け等の施工の手間も軽減できる。
また、移動管52の外管30への挿入は、ダンパー装置10の全体の長さ調整機構も兼ねており、現地の取付け箇所に合わせて調整が可能である。すなわち、ボルト60を緩めて、切り欠き部51内で移動可能な状態にし、取付け箇所に合わせて、移動管52又は外管30をずらして長さを調整できる。例えば、図11Aの構成では、切り欠き部51の略中央位置Nを中心としたストローク2Lの範囲内で調整可能であるが、ボルト60の位置は、伝達される振動を考慮して、位置N近傍に位置させることが好ましい。そして、所定の位置でボルト60を締めることで、締め付け部材70を介して、移動管52と外管30は固定される。なお、ダンパー装置10の全体の長さ調整を実施しても、心材20、外管30及び移動管52の軸線Cがずれることはなく、粘弾性体40に調整による応力が残留することもない。
このダンパー装置10は、ボルト60を外管30の外側から締め付けるだけで、全体の長さや、締め付けトルク量を調整できる。つまり、ボルト・ナットを用いた場合のように、管内に配置したナットを押さえてボルトを締める(緩める)必要がない。
このように、ダンパー装置10を建築物の取付部に、容易に取り付けることができる。
また、ダンパー装置10は、心材20、外管30及び粘弾性体40を有する粘弾性ダンパーと、ボルト60と、締め付け部材70と、移動管52とを設置場所に搬入してから組み立てて、不要な負荷を与えることなく建物に取り付けることができる。
更に、ダンパー装置10を交換する場合でも、現地で各構成要素に分割して取り外して建築物の外へ搬出できるので作業性が向上する。
さらに、粘弾性ダンパーの構成の他に、移動管52、ボルト60、締め付け部材70を用いるだけの簡単な構成により滑り機構部を構築できるので、従来の滑り機構を設けたダンパー装置と比較して、コストの低廉化を図ることができる。
なお、本実施の形態のダンパー装置10では、切り欠き部51を3箇所設け、締め付け部材70を3分割しているが、切り欠き部51は、複数個所設ければ、2箇所でも4箇所以上でも良い。締め付け部材70は、切り欠き部51の数に合わせて分割する。
また、締め付け部材70のタップ孔73や外管30のボルト孔33は1列配置と限定せず、例えば、図14に示すダンパー装置10Aのように、2列配置、或いは2列以上設けても良い。
図14は、本発明の一実施の形態に係るダンパー装置の変形例の要部構造を示す図である。
図14に示すダンパー装置10Aは、ダンパー装置10と比較して、滑り機構部90の構成のみ異なり、その他の構成は同様である。よって、同様な構成要素には、同名称、同符号を付して説明は省略する。
すなわち、ダンパー装置10Aは、図示しない心材20と、内部に心材20(図2参照)が配置される外管30Aと、心材20と外管30Aとの間に充填される粘弾性体40(図2参照)と、外管30Aの他端部側に挿入される移動管52と、滑り機構部90Aと、を有する。滑り機構部90Aは、外管30Aの外側から挿入されるボルト60と、移動管52に形成され、ボルト60、60が挿通する切り欠き部51Aと、ボルト60、60に螺合する締め付け部材70Aとを有する。
締め付け部材70Aは、締め付け部材70の構成において、中心位置を挟んで複数のタップ孔(ここではタップ孔73と同じ2つのタップ孔)73Aを備える。締め付け部材70Aは、移動管52の内部に、詳細には、移動管52の切り欠き部51Aの内側に、周方向で複数(ここでは3つ)配置されている。そして、ダンパー装置10Aでは、ダンパー装置10の外管30と同様の外管30Aの他端部側に、ボルト孔33と同様のボルト孔33Aが、軸方向に並べて、且つ、移動管52の切り欠き部51Aに沿って2つ穿孔されている。本実施の形態では、切り欠き部51Aは3箇所あるため、ボルトは3×2の計6本であり、これら複数のボルト60、60をボルト孔33Aにそれぞれ挿入し、対応する切り欠き部51Aを挿通して、締め付け部材70Aに螺合している。移動管52において、切り欠き部51で周方向に仕切られて並ぶ部位(変形片部55A)は、半径方向、特に拡径方向に変形しやすく、可撓性を有する。複数のボルト60、60を締め付け付けると、変形片部55Aは、一種のばね座金のように複数のボルト軸力を均等に伝達し、それぞれ変形して外管30Aの内周面に圧接する。これにより、移動管52と外管30Aとをより強固に固定できる。
ダンパー装置10Aでは、ダンパー装置10と比較して、締め付けるボルト60を多くすることで、より細かに、あるいは大きな締め付けトルクを設定することができ、滑り機構部90Aによる移動管52の滑り出す荷重を細かく調整できる。
移動管52、ボルト60及び締め付け部材70、70Aは、工場で外管30、30Aにボルト締め付けして出荷することで、ダンパー装置10、10Aとして品質が確保された状態で建築物に取り付けることができるが、工場で仮止めし、現地で調整してボルト締めしてもよい。
また、ダンパー装置10、10Aによれば、外管30、30Aに対する移動管52のすべりの形跡有無を確認することで、粘弾性ダンパーを構成する粘弾性体から発生する力(荷重)の状態を推定できる。
また、本実施の形態では、心材20の一端側取付部11と外管30の間には、面外変形拘束管12を介装したが、一端側取付部11に接続される構成であればどのように心材20を接合してもよい。図15は、本発明の一実施の形態に係るダンパー装置10の他の変形例であるダンパー装置10Bを示し、図15Aは、本発明の一実施の形態に係るダンパー装置の他の変形例としてのダンパー装置の要部構成図であり、図15Bは図15AのR−R線部分断面図である。図15に示すように、心材20の一端部22と一端側取付部11を六角ナット17で固定しても良い。なお、図15に示すダンパー装置10Bは、ダンパー装置10と同様に、心材20、粘弾性体40、外管30からなる粘弾性ダンパーの構成と、滑り機構部90とを有することは勿論である。
また、ダンパー装置10、10A、10Bにおいて、押し付け部材70、70Aによる移動管52及び外管30,30Aへの圧接が弱い場合、ボルト60が内挿される部材間に厚みを調整するフィラーを介装してもよい。
また、本実施の形態のダンパー装置10、10A、10Bによれば、粘弾性体40は筒状の外管30に覆われた構成であるため、粘弾性体40の紫外線劣化を防止でき、平板同士を粘弾性体で接合した粘弾性ダンパーの構成と異なり、本実施の形態のダンパー装置10、10A、10Bを、そのまま屋外に用いることができる。すなわち、ダンパー装置10、10A、10Bを建築物の取付部間に設置した後、粘弾性体を紫外線から防ぐための覆い等を設ける必要が無い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係るダンパー装置は、低温下でも、粘弾性ダンパーから発生する過大な力が建築物等に及ぶことを防ぎ、かつ、簡単な構造で施工が容易であり、省スペースに設置でき、低コスト化を実現する効果を有し、テナント等の中小規模の建築物における限られた設置スペースでも適用できる制震構造として有用である。
1 柱
2 梁
3 取付部(第1の構造部材)
4 取付部(第2の構造部材)
10、10A、10B ダンパー装置
11 一端側取付部
12 面外変形拘束管
17 ナット
20 心材
22 心材の一端部
30、30A 外管
31 他端部
33 ボルト孔
36、521 内周面
40 粘弾性体
51 切り欠き部
52 移動管
52a 挿入部分
53 他端側取付部
55 変形片部
60 ボルト
70、70A 締め付け部材
71 接触面
73 タップ孔
81 面外変形防止金具
90、90A 滑り機構部

Claims (6)

  1. 建築物の構造部材間に架設されるダンパー装置であって、
    筒状の外管と、
    前記外管内に配置され、且つ、前記外管の一端部側で第1の構造部材に取り付けられる筒状或いは棒状の心材と、
    前記外管及び前記心材の間に充填され、前記心材及び前記外管を接合する粘弾性体と、
    前記外管の他端部側に、一端部側が挿入され、且つ、前記外管の他端部から露出する他端部で第2の構造部材に取り付けられる移動管と、
    前記外管に前記移動管を、前記外管の軸方向に滑り移動自在に固定する滑り機構部と、
    を有し、
    前記滑り機構部は、
    前記外管と前記移動管とが重なる部分のうちの一方の部分に貫通して配置されるボルトと、
    前記外管と前記移動管とが重なる部分のうちの他方の部分に、前記軸方向に沿って延在して形成され、且つ、前記ボルトが遊挿される切り欠き部と、
    前記他方の部分において、前記一方の部分側とは反対側に配置され、且つ、前記切り欠き部を遊挿するボルトが挿入され、前記ボルトの締め付けにより、ボルト軸方向に移動する締め付け部材と、
    を有し、
    前記ボルトを前記外管の外側から締め付けることにより、前記締め付け部材を介して、前記移動管の挿入部分と前記外管が、互いに押圧して固定され、
    前記粘弾性体の剪断変形による荷重が所定の値を超えた際、前記滑り機構部が相対的に滑る、
    ダンパー装置。
  2. 建築物の構造部材間に架設されるダンパー装置であって、
    筒状の外管と、
    前記外管内に配置され、且つ、前記外管の一端部側で第1の構造部材に取り付けられる筒状或いは棒状の心材と、
    前記外管及び前記心材の間に充填され、前記心材及び前記外管を接合する粘弾性体と、
    前記外管の他端部側に、前記外管の軸方向に移動自在に挿入され、且つ、前記外管の他端部から露出する端部で第2の構造部材に取り付けられる移動管と、
    前記移動管の挿入部分に設ける滑り機構部と、
    を有し、
    前記滑り機構部は、
    前記外管に貫通して配置されるボルトと、
    前記移動管の挿入部分に、前記軸方向に沿って延在し、前記ボルトが遊挿される切り欠き部と、
    前記切り欠き部の内側に配置され、前記切り欠き部を挿通するボルトが螺合し、前記ボルトの締め付けにより、ボルト軸方向に移動する締め付け部材と、
    を有し、
    前記ボルトを前記外管の外側から締め付けることにより、前記締め付け部材を介して、前記移動管の挿入部分と前記外管が、互いに押圧して固定され、
    前記粘弾性体の剪断変形による荷重が所定の値を超えた際、前記滑り機構部が相対的に滑る、
    ダンパー装置。
  3. 前記外管及び移動管は、円筒状をなしている、
    請求項2記載のダンパー装置。
  4. 前記切り欠き部は、前記挿入部分側の端部の開口縁側で開口し、
    前記挿入部分は、前記切り欠き部により周方向に離間して複数形成された変形片部を有し、前記変形片部は、前記ボルトの締め付けによる前記締め付け部材の移動により変形して前記外管の内周面を押圧する、
    請求項2または請求項3に記載のダンパー装置。
  5. 締め付け部材における前記挿入部分との接触面は、前記挿入部分の内周面に対応した湾曲面である、
    請求項2から4のいずれか一項に記載のダンパー装置。
  6. 前記切り欠き部は、前記挿入部分に、軸心を中心に、等間隔で離間して複数形成され、
    前記締め付け部材は、前記切り欠き部のそれぞれに対応して配置されている、
    請求項2から5のいずれか一項に記載のダンパー装置。
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