JP2016160415A - 導電性組成物、太陽電池セルおよび太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、低い体積抵抗率を維持しつつ、密着性が良好な電極等を形成することができる導電性組成物ならびにこれを用いて形成した集電電極を有する太陽電池セルおよび太陽電池モジュールを提供することである。【解決手段】本発明の導電性組成物は、金属粉末(A)と、エポキシ樹脂(B)と、フェノキシ樹脂(C)と、を含有する。上記金属粉末(A)は、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)と、多結晶のフレーク状の金属粉末(A2)と、球状の金属粉末(A3)と、を含む。上記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の含有量は、上記金属粉末(A)の全質量100質量%に対して3〜25質量%である。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物、太陽電池セルおよび太陽電池モジュールに関する。
太陽光のような光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池は、地球環境問題に対する関心が高まるにつれ、積極的に種々の構造・構成のものが開発されている。その中でも、シリコンなどの半導体基板を用いた太陽電池は、その変換効率、製造コストなどの優位性により最も一般的に用いられている。
このような太陽電池の電極の形成には、種々の導電性組成物が用いられ、例えばプリント配線基板の導体パターンの形成に用いられる導電性組成物が転用される場合がある。
具体的には、プリント配線基板等に使用される導電性組成物として、特許文献1には、「結晶性フレーク状銀粉、および有機バインダーを含有し、前記結晶性フレーク状銀粉の配合割合が組成物の固形分全体量の90%質量%以上、98質量%以下であることを特徴とする導電性組成物。」が開示されている([請求項1])。
国際公開第2013/161966号
しかしながら、本発明者らが、特許文献1に記載されているような結晶性フレーク状銀粉を含む導電性組成物について検討したところ、形成される電極や配線(以下、「電極等」ともいう。)の体積抵抗率は十分に低く良好であるが、使用する銀粒子の種類や含有量によっては、透明導電層(例えば、透明導電酸化物層(TCO))等に電極等を形成したときに、透明導電層との密着性が劣ったり、電極上に半田等を形成したときに、半田等との密着性が劣ったりする場合があることが明らかとなった。
そこで、本発明は、低い体積抵抗率を維持しつつ、密着性が良好な電極等を形成することができる導電性組成物ならびにこれを用いて形成した集電電極を有する太陽電池セルおよび太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、導電性組成物に単結晶のフレーク状の金属粉末を特定量配合することにより、低い体積抵抗率を維持しつつ、密着性が良好な電極等が形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
金属粉末(A)と、エポキシ樹脂(B)と、フェノキシ樹脂(C)と、を含有し、
前記金属粉末(A)が、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)と、多結晶のフレーク状の金属粉末(A2)と、球状の金属粉末(A3)と、を含み、
上記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の含有量が、上記金属粉末(A)の全質量100質量%に対して3〜25質量%である、導電性組成物。
[2]
上記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の平均粒子径が、15μm以下である、上記[1]に記載の導電性組成物。
[3]
上記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の厚さが、70nm未満である、上記[1]または[2]に記載の導電性組成物。
[4]
上記エポキシ樹脂(B)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の導電性組成物。
[5]
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量が、1500g/eq以上である、上記[4]に記載の導電性組成物。
[6]
450℃未満の熱処理を行う配線の製造に用いられる、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の導電性組成物。
[7]
上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の導電性組成物を用いて形成された集電電極を有する太陽電池セル。
[8]
上記集電電極の下地層として透明導電層を具備する上記[7]に記載の太陽電池セル。
[9]
上記[7]または[8]に記載の太陽電池セルを用いた太陽電池モジュール。
以下に示すように、本発明によれば、低い体積抵抗率を維持しつつ、密着性が良好な電極等が形成できる導電性組成物ならびにこれを用いて形成した集電電極を有する太陽電池セルおよび太陽電池モジュールを提供することができる。
また、本発明の導電性組成物を用いれば、低温〜中温(450℃未満)、特に低温(150〜350℃程度)での熱処理(乾燥ないし焼成)であっても、優れた印刷性を維持しつつ、密着性が良好な電極等を形成することができるため、太陽電池セル(特に後述する第2の好適態様)への熱によるダメージを軽減できる効果も有し、非常に有用である。
更に、本発明の導電性組成物を用いれば、酸化インジウムスズ(ITO)やシリコンなどの耐熱性の高い材料のみならず、例えばPETフィルムなどの耐熱性の低い材料上にも電子回路、アンテナ等の回路を容易かつ短時間で作製することができるため非常に有用である。
図1は、太陽電池セルの第1の好適態様を示す断面図である。 図2は、太陽電池セルの第2の好適態様を示す断面図である。
以下に、本発明の導電性組成物ならびにこれを用いて形成した集電電極を有する太陽電池セルおよび太陽電池モジュールについて説明する。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
〔導電性組成物〕
本発明の導電性組成物は、金属粉末(A)と、エポキシ樹脂(B)と、フェノキシ樹脂(C)と、を含有する。上記金属粉末(A)は、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)と、多結晶のフレーク状の金属粉末(A2)と、球状の金属粉末(A3)と、を含む。上記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の含有量は、上記金属粉末(A)の全質量100質量%に対して3〜25質量%である。
本発明においては、上述した通り、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)(以下、単に「金属粉末(A1)」ともいう。)を特定量配合することで、低い体積抵抗率を維持しつつ、密着性が良好な電極等が形成できる導電性組成物が得られる。
この理由の詳細は明らかになっていないが、およそ以下の通りと推測される。
フレーク状の金属粉末は、金属粉末を構成する粒子に物理的な圧力をかけて形成されることが知られている。ここで、金属の結晶構造は、通常、多数の単結晶から構成された多結晶(多結晶体)である。そのため、このような多結晶の金属粉末をフレーク状にした場合、多結晶の金属粉末が持つ粒子形状のばらつきが顕著になってしまい、厚みの均一性、表面の平坦性に劣ると考えられる。そうすると、このような金属粉末を含む導電性組成物により形成される電極表面の平滑性(平坦性)が低下してしまって、電極と他部材との密着性の低下や、電極の体積抵抗率の上昇が生じてしまう。
これに対して、単結晶の金属粉末を用いて形成されたフレーク状の金属粉末(金属粉末(A1))の形状は、多結晶のフレーク状の金属粉末と比較して均一であり、配向性に優れることから、これを用いて形成される電極表面の平滑性が優れたものとなると推測される。そのため、金属粉末(A1)を含有する導電性組成物は、密着性に優れ、体積抵抗率の低い電極を形成できると考えられる。
さらに、発明者らが検討を進めた結果、金属粉末(A1)の含有量を増加させるにつれて、導電性組成物を用いて形成される電極と、その上に形成される半田(半田リボン)などと、の密着性には優れるものの、導電性組成物を用いて形成される電極と、透明導電層と、の密着性が低下することを見出した。この理由としては次のように推測される。
すなわち、金属粉末(A1)の含有量が増加するにつれて、金属粉末(A1)の配向性がより向上することで、電極の表面平滑性もより向上し、半田リボンを接合する際の接合面すなわち電極の表面が優れた平滑性を持つことにより、半田リボンと電極がしっかりと面と面で接合することが可能となり、その結果として電極と半田との密着性が優れたものとなる。その一方で、金属粉末(A1)の配向性が向上することにともなって、導電性組成物に含まれる樹脂(エポキシ樹脂や、フェノキシ樹脂)との親和性が低下するので、導電性組成物を用いて形成される電極と、透明導電層と、の密着性が低下するものと推定される。
以下に、本発明の導電性組成物が含有する金属粉末(A)、エポキシ樹脂(B)、フェノキシ樹脂(C)、ならびに所望により含有してもよい他の成分について詳述する。
<金属粉末(A)>
本発明の導電性組成物が含有する金属粉末(A)は、特に限定されないが、例えば、電気抵抗率が20×10-6Ω・cm以下の金属材料を用いることができる。
上記金属材料としては、具体的には、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、接触抵抗の低い集電電極を形成することができる理由から、銀粉末、または、銀以外の金属粉末(例えば、ニッケル粉末、銅粉末など)の表面の少なくとも一部に銀がコートされた銀コート金属粉末であるのが好ましい。
本発明において、上記金属粉末(A)は、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)(上述したように「金属粉末(A1)」ともいう)と、多結晶のフレーク状の金属粉末(A2)(以下、単に「金属粉末(A2)」ともいう。)と、球状の金属粉末(A3)(以下、単に「金属粉末(A3)」ともいう。)と、を含む。
球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいい、また、フレーク状とは、長径/短径の比率が2超の形状をいう。ここで、金属粉末を構成する粒子の長径および短径は、走査型電子顕微鏡(SEM)から得られる画像に基づいて求めることができる。また、「長径」とは、SEMにより得られた粒子画像内において、粒子の略重心を通過する線分のうち最も距離の長いものを指す。「短径」とは、SEMにより得られた粒子画像において、粒子の略重心を通過する線分のうち最も距離の短いものを指す。
本発明においては、上記金属粉末(A)は、印刷性(特に、スクリーン印刷性)が良好となる理由から、金属粉末(A1)および金属粉末(A2)の含有量の合計と、金属粉末(A3)の含有量と、の質量比((A1+A2):A3)が、70:30〜30:70となる割合で用いることが好ましい。
(単結晶のフレーク状の金属粉末(A1))
金属粉末(A1)は、単結晶(単一の結晶性)のフレーク状の粒子の集合体である。
金属粉末(A1)の平均粒子径は、15μm以下であることが好ましく、0.2〜15μmであることがより好ましく、0.2〜5.0μmであることがさらに好ましい。金属粉末(A1)の平均粒子径が15μm以下であることで、樹脂との親和力の低下を抑制できるので、導電性組成物を用いて形成される配線の密着性がより向上する。
ここで、本発明において、金属粉末(A1)の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて体積基準の粒度分布を測定して求められる、累積50%における粒子径(50%体積累積径。「平均粒子径(D50)」ともいう。)のことをいう。このようなレーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば、堀場製作所製のLA−500(商品名)に準ずる装置が挙げられる。
金属粉末(A1)の厚さは、70nm未満であることが好ましく、10〜60nmであることがより好ましく、30〜60nmであることがさらに好ましい。金属粉末(A1)の厚さが70nm未満であることで、印刷性が良好なる傾向にある。
ここで、本発明において、金属粉末(A1)の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)から得られる画像により、目視により求めることができる。また、金属粉末(A1)の厚さとは、平均厚さを意味し、具体的には、金属粉末を構成する粒子を50個選択して、それらの厚さを個々に測定した場合の算術平均値のことをいう。
金属粉末(A1)は、市販品を用いることができ、例えば、N300(平均粒子径:0.3〜0.5μm、平均厚さ:50nm未満、トクセン工業社製)、M13(平均粒子径:1.0〜3.0μm、平均厚さ:40〜60nm、トクセン工業社製)、M612(平均粒子径:6.0〜12.0μm、平均厚さ:60〜100nm、トクセン工業社製)、M27(平均粒子径:2.0〜7.0μm、平均厚さ:60〜100nm)等が挙げられる。
金属粉末(A1)の含有量は、金属粉末(A)の全質量100質量%に対して3〜25質量%であり、5〜25質量%であることが好ましく、8〜25質量%であることがより好ましく、10〜25質量%であることがさらに好ましい。金属粉末(A1)の含有量が上記範囲内にあることで、導電性組成物により得られる電極の密着性に優れ、かつ、低い体積抵抗率を維持できる。
一方、金属粉末(A1)の含有量が3質量%未満であると、導電性組成物により得られる電極の密着性が低下し、かつ、体積抵抗率が向上してしまう。また、金属粉末(A1)の含有量が25質量%を超えると、導電性組成物により得られる電極の密着性が低下する。
(多結晶のフレーク状の金属粉末(A2))
金属粉末(A2)は、多結晶のフレーク状の粒子の集合体である。金属粉末(A2)は、上述した定義によってフレーク状に分類される金属粉末のうち、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)を除く金属粉末である、ということができる。
金属粉末(A2)の平均粒子径は、印刷性を向上するという観点から、1〜15μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。金属粉末(A2)の平均粒子径は、平均粒子径(D50)を指すものであり、上述の金属粉末(A1)と同様の方法で測定される。
金属粉末(A2)の厚さは、印刷性を向上するという観点から、100〜1500nmであることが好ましく、100〜1000nmであることがより好ましい。金属粉末(A2)の厚さは、平均厚さを指すものであり、フレーク状の金属粉末の比表面積をBET法(気体吸着法)により測定した値をS(m2/g)として、下記式(i)から算出した値をいう。
平均厚さ=0.19/S ・・・(i)
金属粉末(A2)の含有量は、密着性をより向上できるという観点から、金属粉末(A)の全質量100質量%に対して25〜47質量%であることが好ましく、35〜47質量%であることがより好ましい。
金属粉末(A2)としては市販品を用いることができ、例えば、AgC−224(平均粒子径:9.0μm、平均厚さ:0.7μm、福田金属箔粉工業社製)、Ag−XF301K(平均粒子径:4.0μm、平均厚さ:0.1μm、福田金属箔粉工業社製)等が挙げられる。
(球状の金属粉末(A3))
金属粉末(A3)は、球状の粒子の集合体である。
金属粉末(A3)の平均粒子径は、印刷性を向上するという観点から、1〜4μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。金属粉末(A3)の平均粒子径は、平均粒子径(D50)を指すものであり、上述の金属粉末(A1)と同様の方法で測定される。
金属粉末(A3)の含有量は、密着性をより向上できるという観点から、金属粉末(A)の全質量100質量%に対して40〜60質量%であることが好ましく、45〜55質量%であることがより好ましい。
金属粉末(A3)としては市販品を用いることができ、例えば、AG2−1C(平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG4−8F(平均粒子径:2.2μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG3−11F(平均粒子径:1.4μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AgC−102(平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−103(平均粒子径:1.4μm、福田金属箔粉工業社製)、EHD(平均粒子径:0.5μm、三井金属社製)等が挙げられる。
<エポキシ樹脂(B)>
本発明の導電性組成物が含有するエポキシ樹脂(B)は、1分子中に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物からなる樹脂であれば特に限定されず、一般的に、エポキシ当量が90〜2000のものである。
このようなエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールE型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物や、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物や、ナフタレン環を有するエポキシ化合物や、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
下記式で表される構造式を有する3官能エポキシ樹脂;
フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の多官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;
N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TGMXDA)、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;
トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカン環を有するエポキシ化合物、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエンとメタクレゾール等のクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる公知の製造方法によって得ることができるエポキシ化合物;
脂環型エポキシ樹脂;東レチオコール社製のフレップ10に代表されるエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含有するゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、これらのうち、硬化性、耐熱性、耐久性およびコストの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であるのが好ましい。
本発明においては、上記エポキシ樹脂(B)は、硬化収縮が少ないエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。基板であるシリコンウエハは破損しやすいため、硬化収縮が大きいエポキシ樹脂を用いると、ウエハの割れや欠けの原因になる。昨今では、低コスト化のため、シリコンウエハの薄型化が進んでおり、硬化収縮の少ないエポキシ樹脂は、ウエハの反りを抑える効果も併せ持つ。
硬化収縮を低減し、また、形成される集電電極の体積抵抗率がより低くなり、更に、透明導電層等との密着性もより良好となる理由から、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの少なくとも一方が付加されたエポキシ樹脂であるのが好ましい。
ここで、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの少なくとも一方が付加されたエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等をエピクロロヒドリンと反応させてエポキシ樹脂を調製する際に、エチレンおよびプロピレンの少なくとも一方を添加して付加(変性)することで得られる。
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの少なくとも一方が付加されたエポキシ樹脂としては市販品を用いることができ、その具体例としては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BEO−60E、新日本理化社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BPO−20E、新日本理化社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4010S、ADEKA社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4000S、ADEKA社製)等が挙げられる。
また、本発明においては、上記エポキシ樹脂(B)は、硬化収縮を低減し、また、体積抵抗率がより低くなり、更に、透明導電層等との密着性もより良好となる理由から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂の両方を含むことが好ましい。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(B1)としては、エポキシ当量が1500g/eq以上であるものを用いることが好ましく、1500〜4000g/eqであるものを用いることがより好ましい。
エポキシ当量が1500g/eq以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂(B1)を用いることで、本発明の導電性組成物の硬化収縮が抑えられ、基板や透明導電層に対する密着性も良好となる。より体積抵抗率が低くなることから、エポキシ当量は2000〜4000g/eqであるのが好ましく、2000〜3500g/eqであるのがより好ましい。
上記エポキシ樹脂(B)の含有量は、体積抵抗率がより低くなり、また、透明導電層等との密着性もより良好となる理由から、上記金属粉末(A)100質量部に対して2〜20質量部であるのが好ましく、2〜15質量部であるのがより好ましく、2〜10質量部であるのがさらに好ましい。
<フェノキシ樹脂(C)>
本発明の導電性組成物は、上述したエポキシ樹脂(B)と相溶して安定したペースト状態を得ることができる理由から、フェノキシ樹脂(C)を含有する。
上記フェノキシ樹脂(C)としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂が挙げられる。
本発明においては、上記フェノキシ樹脂(C)として市販品を用いることができ、その具体例としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(1256、ジャパンエポキシレジン社製)、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(YP−50、東都化成社製)、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂(FX−316、東都化成社製)、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合タイプ(YP−70、東都化成社製)等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂(C)の含有量は、体積抵抗率がより低くなり、また、透明導電層等との密着性もより良好となる理由から、上記金属粉末(A)100質量部に対して0.1〜10質量部であるのが好ましく、0.5〜5質量部であるのがより好ましい。
<カチオン系硬化剤(D)>
本発明の導電性組成物は、カチオン系硬化剤(D)を含有することが好ましい。カチオン系硬化剤(D)としては、特に限定されず、アミン系、スルホニウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系の硬化剤が好ましい。
上記カチオン系硬化剤(D)としては、具体的には、例えば、三フッ化ホウ素エチルアミン、三フッ化ホウ素ピペリジン、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、三フッ化ホウ素フェノール、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルイオドニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルスルホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、体積抵抗率をより低減できるという点から、三フッ化ホウ素とアミン化合物との錯体である、三フッ化ホウ素エチルアミン、三フッ化ホウ素ピペリジン、および、三フッ化ホウ素トリエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種の錯体を用いることが好ましい。
本発明においては、上記カチオン系硬化剤(D)の含有量は、熱により活性化してエポキシ基の開環反応を十分に進行させることができるという理由から、上記エポキシ樹脂(B)100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。
<溶媒(E)>
本発明の導電性組成物は、印刷性等の作業性の観点から、溶媒(E)を含有するのが好ましい。
上記溶媒(E)は、本発明の導電性組成物を基板上に塗布することができるものであれば特に限定されず、その具体例としては、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<添加剤>
本発明の導電性組成物は、必要に応じて、還元剤、脂肪酸金属塩等の添加剤を含有していてもよい。
上記還元剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール類等が挙げられる。
上記脂肪酸金属塩は、有機カルボン酸の金属塩であれば特に限定されず、例えば、銀、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、スズおよび鉛からなる群から選択される少なくとも1種以上の金属のカルボン酸金属塩を用いるのが好ましい。これらのうち、銀のカルボン酸金属塩(以下、「カルボン酸銀塩」ともいう。)を用いるのが好ましい。
ここで、上記カルボン酸銀塩は、有機カルボン酸(脂肪酸)の銀塩であれば特に限定されず、例えば、特開2008−198595号公報の[0063]〜[0068]段落に記載された脂肪酸金属塩(特に3級脂肪酸銀塩)、特許第4482930号公報の[0030]段落に記載された脂肪酸銀塩、特開2010−92684号公報の[0029]〜[0045]段落に記載された水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩、同公報の[0046]〜[0056]段落に記載された2級脂肪酸銀塩、特開2011−35062号公報の[0022]〜[0026]に記載されたカルボン酸銀等を用いることができる。
また、本発明の導電性組成物は、高温(700〜800℃)焼成タイプの導電性ペーストとして一般的に用いられるガラスフリットについては特に必要がなく、上記金属粉末(A)100質量部に対して0.1質量部未満であるのが好ましく、実質的に含有していないのが好ましい。
<導電性組成物の製造方法>
本発明の導電性組成物の製造方法は特に限定されず、上述した各成分を、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機等により混合する方法が挙げられる。
〔太陽電池セル〕
本発明の太陽電池セルは、上述した本発明の導電性組成物を集電電極に用いた太陽電池セルである。
<太陽電池セルの第1の好適な態様>
本発明の太陽電池セルの第1の好適な態様としては、受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、上記表面電極および上記裏面電極の少なくとも一方が、上述した本発明の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セルが挙げられる。
以下に、本発明の太陽電池セルの第1の好適な態様について図1を用いて説明する。
図1に示すように、太陽電池セル1は、受光面側の表面電極4と、p層5およびn層2が接合したpn接合シリコン基板7と、裏面電極6とを具備するものである。
また、図1に示すように、太陽電池セル1は、反射率低減のため、例えば、ウエハ表面にエッチングを施して、ピラミッド状のテクスチャを形成し、反射防止膜3を具備するのが好ましい。
以下に、本発明の太陽電池セルの第1の好適な態様が具備する上記表面電極、裏面電極およびシリコン基板並びに具備していてもよい上記反射防止膜について詳述する。
(表面電極/裏面電極)
表面電極および裏面電極は、いずれか一方または両方が本発明の導電性組成物を用いて形成されていれば、電極の配置(ピッチ)、形状、高さ、幅等は特に限定されない。なお、電極の高さは、通常、数〜数十μmに設計されるが、本発明の導電性組成物を用いて形成した電極の断面の高さと幅の比率(高さ/幅)(以下、「アスペクト比」という。)を大きく(例えば、0.35程度以上)調整することが可能となる。
ここで、表面電極および裏面電極は、図1に示すように、通常、複数個有するものであるが、例えば、複数の表面電極の一部のみが本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよく、複数の表面電極の一部と複数の裏面電極の一部が本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよい。
(反射防止膜)
反射防止膜は、受光面の表面電極が形成されていない部分に形成される膜(膜厚:0.05〜0.1μm程度)であって、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸化チタン膜、これらの積層膜等から構成されるものである。
また、上記シリコン基板はpn接合を有するが、これは、第1導電型の半導体基板の表面側に第2導電型の受光面不純物拡散領域が形成されていることを意味する。なお、第1導電型がn型の場合には、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型の場合には、第2導電型はn型である。
ここで、p型を与える不純物としては、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、n型を与える不純物としては、リン、砒素などが挙げられる。
(シリコン基板)
シリコン基板は特に限定されず、太陽電池を形成するための公知のシリコン基板(板厚:80〜450μm程度)を用いることができ、また、単結晶または多結晶のいずれのシリコン基板であってもよい。
本発明の太陽電池セルの第1の好適な態様において、太陽電池セルは、表面電極および裏面電極の少なくとも一方が本発明の導電性組成物を用いて形成されているため、電極のアスペクト比を大きくし易く、受光により発生した起電力を電流として効率良く取り出すことができる。
なお、上述した本発明の導電性組成物は全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト型)太陽電池の裏面電極の形成にも適用することができるため、全裏面電極型の太陽電池にも適用することができる。
<太陽電池セル(第1の好適な態様)の製造方法>
上記太陽電池セル(第1の好適な態様)の製造方法は特に限定されないが、本発明の導電性組成物をシリコン基板上に塗布して配線を形成する配線形成工程と、形成された配線を熱処理して電極(表面電極および裏面電極の少なくとも一方)を形成する熱処理工程とを有する方法が挙げられる。
なお、太陽電池セルが反射防止層を具備する場合、反射防止膜は、プラズマCVD法等の公知の方法により形成することができる。
以下に、配線形成工程、熱処理工程について詳述する。
(配線形成工程)
上記配線形成工程は、本発明の導電性組成物をシリコン基板上に塗布して配線を形成する工程である。
ここで、塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
(熱処理工程)
上記熱処理工程は、上記配線形成工程で形成された塗膜を熱処理(乾燥ないし焼成)して導電性の配線(電極)を形成する工程である。
上記熱処理は特に限定されないが、450℃未満(好ましくは、150〜350℃)の比較的低い温度で、数秒〜数十分間、加熱(焼成)する処理であるのが好ましい。温度および時間がこの範囲であると、シリコン基板上に反射防止膜を形成した場合であっても、容易に電極を形成することができる。
また、本発明の太陽電池セルの第1の好適な態様においては、本発明の導電性組成物を用いているため、450℃未満という比較的低い温度であっても、良好な熱処理(焼成)を施すことができる。
本発明においては、上記配線形成工程で形成された配線は、紫外線または赤外線の照射でも電極を形成することができるため、上記熱処理工程は、紫外線または赤外線の照射によるものであってもよい。
<太陽電池セルの第2の好適な態様>
本発明の太陽電池セルの第2の好適な態様としては、n型単結晶シリコン基板を中心にその上下にアモルファスシリコン層および透明導電層(例えば、TCO)を具備し、上記透明導電層を下地層として、上記透明導電層上に上述した本発明の導電性組成物を用いて集電電極を形成した太陽電池(例えば、ヘテロ接合型太陽電池)セルが挙げられる。上記太陽電池セル(第2の好適な態様)は、単結晶シリコンとアモルファスシリコンとをハイブリッドした太陽電池セルであり、高い変換効率を示す。
以下に、本発明の太陽電池セルの第2の好適な態様について図2を用いて説明する。
図2に示すように、太陽電池セル100は、n型単結晶シリコン基板11を中心に、その上下にi型アモルファスシリコン層12aおよび12b、並びに、p型アモルファスシリコン層13aおよびn型アモルファスシリコン層13b、並びに、透明導電層14aおよび14b、並びに、上述した本発明の導電性組成物を用いて形成した集電電極15aおよび15bを具備する。
上記n型単結晶シリコン基板は、n型を与える不純物がドープされた単結晶シリコン層である。n型を与える不純物は上述のとおりである。
上記i型アモルファスシリコン層は、ドープされていないアモルファスシリコン層である。
上記p型アモルファスシリコンは、p型を与える不純物がドープされたアモルファスシリコン層である。p型を与える不純物は上述のとおりである。
上記n型アモルファスシリコンは、n型を与える不純物がドープされたアモルファスシリコン層である。n型を与える不純物は上述のとおりである。
上記集電電極は、上述した本発明の導電性組成物を用いて形成された集電電極である。集電電極の具体的な態様は上述した表面電極または裏面電極と同じである。
(透明導電層)
上記透明導電層の材料の具体例としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタンなどの単一金属酸化物、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムチタン、酸化スズカドミウム、などの多種金属酸化物、ガリウム添加酸化亜鉛、アルミニウム添加酸化亜鉛、硼素添加酸化亜鉛、チタン添加酸化亜鉛、チタン添加酸化インジウム、ジルコニウム添加酸化インジウム、フッ素添加酸化スズなどのドーピング型金属酸化物などが挙げられる。
<太陽電池セル(第2の好適な態様)の製造方法>
上記太陽電池セル(第2の好適な態様)の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開2010−34162号公報に記載の方法などで製造することができる。
具体的には、n型単結晶シリコン基板11の片方の主面上に、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)法などによって、i型アモルファスシリコン層12aを形成する。さらに、形成したi型アモルファスシリコン層12a上にPECVD法などによってp型アモルファスシリコン層13aを形成する。
次に、n型単結晶シリコン基板11のもう一方の主面上に、PECVD法などによって、i型アモルファスシリコン層12bを形成する。さらに、形成したi型アモルファスシリコン層12b上にPECVD法などによってn型アモルファスシリコン層13bを形成する。
次に、スパッタ法などによって、p型アモルファスシリコン層13a上およびn型アモルファスシリコン層13b上にITOなどの透明導電層14aおよび14bを形成する。
次に、形成した透明導電層14aおよび14b上に本発明の導電性組成物を塗布して配線を形成し、さらに、形成した配線を熱処理することで集電電極15aおよび15bを形成する。
配線を形成する方法は、上述した太陽電池セル(第1の好適な態様)の配線形成工程に記載した方法と同じである。
配線を熱処理する方法は、上述した太陽電池セル(第1の好適な態様)の熱処理工程に記載した方法と同じであるが、熱処理温度(焼成温度)は150〜200℃であることが好ましい。
以下、実施例を用いて、本発明の導電性組成物について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〜5、比較例1〜3〕
下記第1表に示す金属粉末等を下記第1表中に示す割合(質量部)となるように添加し、これらを混合することにより、実施例および比較例に係る導電性組成物を調製した。
第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
(金属粉末(A1))
・単結晶のフレーク状の銀粉末 N300(商品名、トクセン工業社製、平均粒子径:0.3〜0.5μm、平均厚さ:50nm未満)
・単結晶のフレーク状の銀粉末 M13(商品名、トクセン工業社製、平均粒子径:1.0〜3.0μm、平均厚さ:40〜60nm)
・単結晶のフレーク状の銀粉末 M612(商品名、トクセン工業社製、形状:フレーク状、平均粒子径(D50):6.0〜12.0μm、平均厚さ:60〜100nm)
(金属粉末(A2))
・フレーク状銀粉末 AgC−224(商品名、福田金属箔粉工業社製、形状:フレーク状、平均粒子径:9.0μm、平均厚さ:0.7μm)
(金属粉末(A3))
・球状銀粉末 AgC−103(商品名、福田金属箔粉工業社製、形状:球状、平均粒子径:1.4μm)
(エポキシ樹脂(B))
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂 YD−017(商品名、新日鉄住金化学社製、エポキシ当量:1750〜2100g/eq)
・多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂 EX−850(商品名、ナガセケムテックス社製、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量:122g/eq)
(フェノキシ樹脂(C))
・フェノキシ樹脂 YP−50(商品名、新日鉄住金化学社製、分子量60000〜80000)
(カチオン系硬化剤(D))
・三フッ化ホウ素エチルアミン(ステラケミファ社製)
(溶媒(E))
・テルピネオール(ヤスハラケミカル社製)
<密着性>
高さ5μm前後のピラミッド型テクスチャを具備したシリコン基板の表面に、透明導電層としてITO(Snをドープした酸化インジウム)を製膜した。
次いで、調製した各導電性組成物を、透明導電層上にスクリーン印刷で塗布して、幅1.2mm、長さ50mmの細線形状のテストパターンを形成した。このとき使用したスクリーン印刷マスクは、メッシュカウント #290、線径 20μm、乳剤厚 20μm、オープニング 68μmである。
その後、オーブンにて200℃で30分間乾燥し、細線形状の導電性被膜(細線電極)を形成し、太陽電池セルのサンプルを作製した。このようにして得られた細線電極の膜厚をレーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名「VHX-2000」)で測定したところ、18〜23μmであった。
作製した太陽電池セルのサンプルのテストパターン(細線電極)上にSn/Pb半田からなる半田リボンを接合した後、180度引張り試験を行い、ピール強度を求めた。結果を下記第1表に示す。ピール強度が1.0N/mm以上の場合を密着十分と判断した。
また、剥離状態(剥離モード)を第1表にあわせて示す。第1表中、「凝集破壊」とは細線電極内部すなわち導電性組成物の内部で破壊が起こったという状態を表し、「薄層凝集破壊」とは細線電極内部すなわち導電性組成物の内部で破壊が起こるが、被着体であるシリコン基板(透明導電層)の表面にごく薄く導電性組成物が残って破壊した状態を表し、「Ag/ITO界面破壊」とは電極内部すなわち導電性組成物と被着体であるシリコン基板(透明導電層)の界面で破壊が起こったという状態を表す。
<体積抵抗率(比抵抗)>
調製した各導電性組成物を、TCOであるITO蒸着ガラス基板上に、スクリーン印刷で塗布して、2cm×2cmのベタ塗りであるテストパターンを形成した。その後、オーブンにて200℃で30分間乾燥し、導電性被膜を作製した。
作製した各導電性被膜について、抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により体積抵抗率を評価した。結果を第1表に示す。体積抵抗率が7.5μΩ・cm以下の場合を体積抵抗率が良好であると判断した。
<印刷性>
メッシュカウント #290、線径20μm、オープニング 68μm、乳剤厚20μmのステンレス製スクリーンマスクを用いて、ライン幅70μmのスクリーン製版Aを作製した。次いで、調製した各導電性組成物をスクリーン製版上にスクリーン印刷し、以下の基準により印刷性の良否を判定した。
また、メッシュカウント #360、線径16μm、オープニング 55μm、乳剤厚20μmのステンレス製スクリーンマスクを用いて、ライン幅60μmのスクリーン製版Bを作製した。このようにして作製したスクリーン製版Bを用いた以外は、スクリーン製版Aを用いた場合と同様にして、同様の評価基準により印刷性の良否を判定した。
評価結果を下記第1表に示す。
○:断線箇所が0(ゼロ)
△:断線箇所が3以下
×:断線箇所が4以上
<平坦性>
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、商品名「VHX-2000」)を用いて、上記の体積抵抗率の評価と同様の方法で得られた導電性被膜の表面を測定し、深さ方向についてのマッピング画像を得た。そして、マッピング画像から解析して得られたプロファイルから、パターンの高さの平均値、最小値、最大値を求めた。最大値と平均値との差、および、平均値と最小値の差が、小さいほど、表面が平坦であると判断できる。結果を第1表に示す。
<評価結果>
以上の評価試験の結果を第1表に示す。
第1表の評価結果の通り、単結晶のフレーク状の金属粉末を特定量含む実施例の導電性組成物によれば、低い体積抵抗率を維持しつつ、密着性が良好な電極を形成できることが示された(実施例1〜5)。
また、実施例1〜3の対比により、単結晶のフレーク状の金属粉末の平均粒子径が小さいもの(5.0μm以下)を用いることで(実施例1および2)、半田密着強度および印刷性が向上する傾向にあることが示された。特に、実施例3によれば、剥離モードが薄膜凝集破壊となり、界面での接着性が低下していることが示唆される。この理由としては、単結晶のフレーク状の金属粉末の平均粒子径が大きくなることで、単結晶のフレーク状の金属粉末の配向性が高くなりすぎて、樹脂との親和力が低下したことによるものと推測される。
界面での接着が理想的になっており、剥離時、両側の被着体(半田および透明導電層)に導電性組成物が残るいわゆる凝集破壊が理想的である。
一方、比較例1の導電性組成物は、単結晶のフレーク状の金属粉末を含有していないため、これにより形成される電極の密着性が低く、体積抵抗率も高くなることが示された。
比較例2の導電性組成物は、単結晶のフレーク状の金属粉末を含有するものの、含有量が所定量未満であったため、これにより形成される電極の密着性が低く、体積抵抗率も高くなることが示された。
また、単結晶のフレーク状の金属粉末を含有しない比較例1の導電性組成物や、単結晶のフレーク状の金属粉末の含有量が少ない比較例2の導電性組成物を用いると、平坦性が低下することが示された。
比較例3の導電性組成物は、単結晶のフレーク状の金属粉末の含有量が多すぎるため、これにより形成される電極の密着性が低下することが示された。また、剥離モードは、Ag/ITO界面破壊であった。この理由としては、単結晶のフレーク状の金属粉末の含有量が増加することで、単結晶のフレーク状の金属粉末の配向性が高くなりすぎて、樹脂との親和力が低下したことによるものと推測される。
1、100 太陽電池セル
2 n層
3 反射防止膜
4 表面電極
5 p層
6 裏面電極
7 シリコン基板
11 n型単結晶シリコン基板
12a、12b i型アモルファスシリコン層
13a p型アモルファスシリコン層
13b n型アモルファスシリコン層
14a、14b 透明導電層
15a、15b 集電電極

Claims (9)

  1. 金属粉末(A)と、エポキシ樹脂(B)と、フェノキシ樹脂(C)と、を含有し、
    前記金属粉末(A)が、単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)と、多結晶のフレーク状の金属粉末(A2)と、球状の金属粉末(A3)と、を含み、
    前記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の含有量が、前記金属粉末(A)の全質量100質量%に対して3〜25質量%である、導電性組成物。
  2. 前記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の平均粒子径が、15μm以下である、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 前記単結晶のフレーク状の金属粉末(A1)の厚さが、70nm未満である、請求項1または2に記載の導電性組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(B)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  5. 前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量が、1500g/eq以上である、請求項4に記載の導電性組成物。
  6. 450℃未満の熱処理を行う配線の製造に用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性組成物を用いて形成された集電電極を有する太陽電池セル。
  8. 前記集電電極の下地層として透明導電層を具備する請求項7に記載の太陽電池セル。
  9. 請求項7または8に記載の太陽電池セルを用いた太陽電池モジュール。
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