JP2016160194A - pH応答性シアニン系近赤外色素の開発 - Google Patents

pH応答性シアニン系近赤外色素の開発 Download PDF

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康嗣 三木
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健太郎 小島
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一明 折出
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Hiroshi Harada
浩 原田
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浩一 大江
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Abstract

【課題】コントラストの良い像を得ることができる目的化合物及びその中間体、造影剤の提供
【解決手段】式(I)で表される化合物又はその塩。

(ZはO、S又はNH;nは0、1又は2;Yはアルキル基又は(CH)n−CO−R;nは2〜6の整数;RはOH、アルコキシ、NH又はNH(CH−(OCHCH−OR;RはH又はアルキル基;nは2以上の整数;Rは、H、ハロゲン、OH、アルコキシ、アルキル、CN、NO又はカルバモイル)
【選択図】図1

Description

本発明は、pH応答性シアニン系近赤外色素およびこれを用いる光腫瘍造影剤に関する。
生体内外の分子や組織の挙動を可視化するための造影剤として利用される蛍光色素において、signal-to-noise(SN)比の向上を目的に、目的部位でのみ蛍光を発する機能を有する色素の開発が盛んである(図1)。pHに応答し、吸発光挙動を変化させる色素は、生体内のpH環境に応答して吸発光挙動を変化させることができるため、目的部位の可視化に好適であると考えられる。例えば、腫瘍組織近辺は弱酸性であり、pHが6程度の部位が多い。正常組織ではpHは中性から弱塩基性(7〜8程度)であることから、腫瘍組織は正常組織に比べて約1〜2程度低いpH値を示す。このことから、塩基性環境下では発光しないが、酸性環境下発光する蛍光色素は、腫瘍組織などの疾患部位のみを可視化できる色素として有用であると考えられる。しかし、生体透過性の高い近赤外領域の光(本明細書では、波長が700〜900 nmの領域を指す)を吸発光する色素でこのような挙動を示すものは知られていない。
生体透過性の高い近赤外領域の光を吸収するシアニン系色素は、光イメージング用造影剤として有効である。インドシアニングリーン(indocyanine green、以下ICGと略することがある)は、吸収極大を790 nm近辺に、発光極大を820 nm近辺に有する近赤外シアニン系色素である。ICGは、臨床において血管造影の造影剤として利用されているが、特定の疾病に特異的に集積する性質を持たない。ゆえに、特定の疾病を可視化させる生体イメージング用の造影剤としては利用できない。一方、非特許文献1に示されるように、ICGを的確に官能基化すれば、腫瘍光イメージング用の造影剤として利用できることが知られている。
ICGを含む造影剤は、恒常的に近赤外光を吸発光するため、目的とする疾病部位に到達したICGを含む造影剤はもとより、血管中や正常組織に分布するICGを含む造影剤からも蛍光信号が発せられる。それゆえ、目的とする疾病部位に多量のICGを含む造影剤を集積させなければ、コントラストの良い像を得ることが困難である。非特許文献2で示されるように、親水性高分子ポリエチレングリコールを含む高分子に結合させたICGは、適度な血中滞留性を示し、徐々に腫瘍に集積するため、腫瘍光造影剤や腫瘍光音響造影剤として有望である。しかし、投与量の最大25%程度が24時間後においても血中に滞留するため、正常組織や血中に存在するICGからの発光も観測され、コントラストは不十分である。
非特許文献3では、キサンテン骨格を持つ色素分子内に求核性置換基を導入し、色素の発光挙動にpH応答性を持たせている。求核性部位として、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基などが適用される。しかし、開発された色素はいずれも波長700 nm以下の吸発光特性を持つものであり、生体内利用には適さない。
特許文献1は、シアニン系色素を母体とする恒常的に蛍光を発する蛍光標識試薬を開示する。
特許文献2は、コンフォメーション病診断薬としてシアニン系色素構造に類した閉環体構造を持つ色素を開示する。
Nagao, Y. et al. WO0009502 A1 Y. Kudo, et al. WO2007/063950 A1
Miki, K. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 6567. Miki, K. et al. Biomacromolecules 2015, 16, 219. Urano, Y. et al. Nat. Chem. 2014, 6, 681. Block, E. et al. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14949. Wendeln, C. et al. Chem. Eur. J. 2012, 18, 5880.
本発明は、光イメージングにおいてコントラストの良い像を得ることができる目的化合物及びその中間体、造影剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の化合物及び造影剤を提供するものである。
項1. 下記式(I):
(式中、ZはO、S又はNHを示す。n1は0、1又は2を示す。Yは、アルキル基、(CH2)n2−CO−Rを示す。nは2〜6の整数を示す。RはOH、アルコキシ、NH、NH(CH−(OCHCH−ORを示す。RはH又はアルキル基を示す。nは2以上の整数を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、OH、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチル、エチル、tert-ブチル、CN、NO2又はカルバモイルを示す。)
で表される化合物又はその塩。
項2. 下記のいずれかで示される化合物である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
(式中、nは2以上の整数を示す。)
項3. 下記式(IA):
(式中、ZはO、S又はNHを示す。Proは保護基を示す。n1は0、1又は2を示す。Yは、アルキル基、(CH2)n2−CO−Rを示す。nは2〜6の整数を示す。RはOH、アルコキシ、NH、NH(CH−(OCHCHn3−ORを示す。RはH又はアルキル基を示す。nは2以上の整数を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、OH、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチル、エチル、tert-ブチル、CN、NO2又はカルバモイルを示す。Xは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンを示すか、YがCOO基を有する場合は存在しない。)
で表される化合物又はその塩。
項4. 項1又は2に記載の化合物を含む造影剤。
本発明の化合物は、生体内のpH環境に応答して吸発光挙動を変化させることができるため、目的部位の可視化に好適であり、特に腫瘍組織など弱酸性環境の生体光イメージング用造影剤として有用である。
(a) 常に発光する色素および (b) 患部でのみ発光する色素を用いるイメージングの概念図 本発明で開発したpH応答性色素のpH応答機構 pH応答性試験に用いたシアニン系色素 シアニン系色素8a-8dおよび1f-1iのMALDI-TOFマススペクトル シアニン系色素1a-1iの紫外−可視−近赤外吸収スペクトル.実線:pH 2.5-2.8、破線:pH 11.2-11.5. シアニン系色素1b、1e、1f、1hの様々なpHにおける紫外−可視−近赤外吸収スペクトル. シアニン系色素1a-1iの波長780 nmにおける吸光度の変化率.pH 11.2-11.5の吸光度を1として算出 シアニン系色素1a、1g、1hの蛍光スペクトル.実線:pH 2.8、点線:pH 11.4. シアニン系色素1a、1b、1f、1gの蛍光発光量 シアニン系色素1gのpH応答性の可逆性評価 (a)シアニン系色素1fの透過型電子顕微鏡観察像、(b)動的光散乱法で見積もった粒径分布 シアニン系色素1f、1gを用いる光腫瘍イメージング シアニン系色素1f、1gを用いる光腫瘍イメージングにおけるSN比及び腫瘍(右下肢)と左下肢の各付け根部との発光量の比
式(I)及び(IA)の化合物において、Zは、O、S、NH、好ましくはS、NH、より好ましくはNHを示す。
n1は、0、1又は2、好ましくは0又は1を示す。
Yは、アルキル基、(CH2)n2−CO−Rを示す。nは2〜6の整数、好ましくは5を示す。RはOH、アルコキシ、NH、NH(CH−(OCHCH−ORを示す。RはH又はアルキル基を示す。nは2以上の整数を示す。
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基を示す。
Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、OH、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチル、エチル、tert-ブチル、CN、NO2又はカルバモイルを示し、好ましくは水素原子又はメチルを示す。
Proで表わされるアミノ基の保護基としては、2-ニトロベンゼンスルホニル(Ns),ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)などが挙げられる。SHの保護基としては、アセチル、ベンゾイル、ピバロイルが挙げられる。OHの保護基としては、アセチル、ベンゾイル、ピバロイルなどが挙げられる。
これらの保護基の脱保護は、常法に従い行うことができる。
本発明の化合物のうち好ましい化合物として、以下を挙げることができる。
(式中、nは2以上の整数を示す。)
nは2以上、例えば2〜10000、好ましくは10〜5000、より好ましくは30〜3000、さらに好ましくは50〜2000、特に好ましくは100〜1000である。nが大きくなると生体内滞留性が高まり、造影剤として用いたときに発光量が増大するが、pH応答性は低下する傾向にある。nが大きくなったときのpH応答性の低下は、例えば電子求引性もしくは電子供与性の置換基(R)を導入すること、分子内求核部位の官能基を変換することで調節できる。
本明細書に化合物の塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩や炭酸塩、さらにメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などの有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩などのアミン塩が挙げられる。本発明の化合物はさらに水和物及び溶媒和物を包含する。
本発明の式(I)及び(IA)の化合物の製造方法の概要を下記のスキーム1に示す。
(式中、R、Y,Z,Pro,n1は、前記に定義される通りである。)
化合物(1A)1モルに対し化合物(2A)を1モルから過剰量使用し、アセトニトリルなどの溶媒中で反応させて、室温〜溶媒の沸騰する温度で24〜96時間反応させて、化合物(3A)を得ることができる。化合物(3A)1モルに対し化合物(4A)を1モル程度使用し、ピリジンなどの溶媒中で反応させて、室温〜50℃程度の温度下に1〜24時間反応させて、化合物(IA)を得ることができる。化合物(IA)の保護基を常法に従い脱保護した後、脱保護化合物をクロロホルム(CHCl3)などの有機溶媒に溶解させ、1N HCl水溶液で洗浄することで化合物(I)を得ることができる。ポリエチレングリコールを結合した色素は、化合物(IA)に対し縮合剤を用いてアミノ基を有するポリエチレングリコールを結合させることで得られる。なお、脱保護反応は常法に従い行い、得られる脱保護化合物をクロロホルム(CHCl3)などの有機溶媒に溶解させ、1N HCl水溶液で洗浄することで、ポリエチレングリコールを結合した化合物(I)を得ることができる。
本発明のpH応答性の化合物は、酸性条件下で図2に示すような閉環体から開環体への構造変化が起こる。本発明の好ましい化合物は、pH4〜7付近、好ましくは5〜6付近で構造変化が顕著なものである。
本発明の式(I)の好ましい化合物は、水に溶解し自己集合体を形成し、その粒径は10〜200 nm程度であり、EPR効果による腫瘍特異択的な送達に有利であるものである。また、非水溶性のpH応答性色素を、両親媒性分子が形成する自己集合体内部に内包させる、もしくはシリカ粒子や金属粒子などのナノ粒子の表面に吸着させる、などの手法により腫瘍へと色素を運搬する手法をとることも可能である。
本発明の化合物は、腫瘍組織に集積しやすいため、腫瘍の造影剤として好ましい。
本発明の造影剤の投与量は、年齢、性別、症状、投与経路、投与回数、剤型によって異なる。投与方法は、患者の年齢、症状により適宜選択する。有効投与量は、一回につき成人(体重60kg)あたり0.1〜5000mg程度、好ましくは10〜1000mg程度、より好ましくは100〜500mg程度である。但し、本発明の造影剤の投与量はこれらの投与量に制限されるものではない。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
なお、本明細書および図面中の化学構造式においては、慣用的な表現法に従い、炭素原子や水素原子を省略して示していることもある。実施例に示されるpH応答性試験に用いたシアニン系色素は、一般式(I)で表される構造を有するもののうち、特に図3に示す構造を有する色素1(色素1a〜1i)である。なお、色素1cと1eはいずれも既知化合物である(特許文献1)。
(実施例1:求核部位を有するシアニン系色素1の合成)
(1):求核部位としてアミノエチル基を有するシアニン系色素1aの合成
アミノエチル基を有するシアニン系色素1aを以下のスキーム2に従い合成した。
ベンゾインドール誘導体2aおよびシアニン系色素3aは、いずれも新規化合物であり、以下に実施例を示す。なお、ベンゾインドール誘導体4は、既知の化合物(特許文献1)である。また、シアニン系色素3aは、既知の手法(特許文献1)を参考に合成した。
200 mL二つ口フラスコに、窒素雰囲気下1,1,2-トリメチル-1H-ベンゾ[e]インドール(0.68 g, 3.2 mmol, 東京化成工業株式会社製)を入れ、アセトニトリル(40 mL)に溶解させた。ここに、N-(3-ヨードエチル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド(1.5 g, 4.2 mmol, 非特許文献1で示されたN-(6-ヨードへキシル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミドの合成法を基に調製)を室温で加えた。この混合液を100 °Cで3日間加熱還流した。有機溶媒を減圧下留去し、残渣に少量のジクロロメタン(CH2Cl2)を加え、溶解させた。ここにジエチルエーテルを加えて冷暗所で静置した。生じた固体を濾別し、固体をジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、ベンゾインドール誘導体2aが青紫色固体として得られた(0.56 g, 0.99 mmol, 30%)。なお、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(CHCl3:メタノール(MeOH)= 4:1)において、過剰量のスルホンアミドはrf値0.9に、2aはrf値0.6に確認された。 mp 125-130 °C (decomp.); IR(KBr) 3436, 3047, 2979, 2870, 1633, 1615, 1581, 1543, 1469, 1431, 1339, 1204, 1163, 1107, 1087, 1032, 992, 927, 863, 813, 779, 735, 696, 654, 584, 551, 524 cm-1; 1H NMR (500 MHz, d6-DMSO, 25 °C) δ 1.80 (s, 6H), 2.99 (s, 3H), 3.58-3.64 (m, 2H), 4.74 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 7.75 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.81 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.84-7.91 (m, 2H), 7.94 (dd, J = 7.3, 1.8 Hz, 1H), 8.01 (dd, J = 7.6, 1.5 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.30 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.40 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.48 (t, J = 6.4 Hz, 1H). 13C NMR (100 MHz, d6-DMSO, 25 °C) δ 14.4, 21.5, 40.6, 48.4, 55.8, 113.3, 123.4, 124.9, 127.2, 127.3, 128.4, 129.5, 129.7, 130.6, 132.2, 133.0, 133.1, 134.5, 136.7 138.7, 147.3, 198.4. HRMS calcd for C23H24N3O4S ([M+]) 438.1488, found 438.1496.
25 mL シュレンク管に、窒素雰囲気下ベンゾインドール誘導体2a(0.20 g, 0.35 mmol)とベンゾインドール誘導体4(0.20 g, 0.35 mmol)を入れ、ここにピリジン(5 mL)を室温で加えた。混合液を40 °Cで1時間反応させた後、有機溶媒を減圧下留去した。得られた液体をCHCl3(20 mL)で希釈し、飽和NaCl水溶液(20 mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。残渣は、溶離液としてCHCl3とMeOH(体積比10:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、有機溶媒を減圧下留去することで、粗生成物を得た。粗生成物は、CH2Cl2とジエチルエーテル(体積比3:1)を用いる遠心沈降法、酢酸エチルを用いる遠心沈降法を順次行うことで精製した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、シアニン系色素3aが緑色固体として得られた(0.22 g, 0.28 mmol, 80%)。なお、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(CHCl3:MeOH= 10:1)において、3aはrf値0.4に確認された。mp 182-187 °C (decomp.); IR(KBr) 3435, 2926, 1626, 1542, 1508, 1420, 1355, 1147, 1100, 1064, 1011, 925, 879 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.44-1.49 (m, 3H), 1.96 (s, 12H), 3.69-3.73 (m, 2H), 4.10-4.14 (m, 2H), 4.57-4.61 (m, 2H), 6.00-6.12 (m, 1H), 6.53-6.64 (m, 1H), 6.93-7.16 (m, 1H), 7.29 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.40-8.15 (m, 18H), 8.27 (d, J= 8.0 Hz, 1H). HRMS calcd for C45H45N4O4S ([M+]) 737.3162, found 737.3161.
10 mL ナスフラスコに、シアニン系色素3a(78 mg, 0.10 mmol)を入れ、ここにN,N-ジメチルホルムアミド(DMF, 5 mL)を加えた。この溶液にベンゼンチオール(85 μL, 0.83 mmol)と炭酸カリウム(K2CO3, 0.11 g, 0.83 mmol)を室温で加えた。反応液は、深緑色から次第に茶褐色へと変化した。室温で3時間反応させた後、CH2Cl2(20 mL)で希釈した。この溶液を飽和重曹水(20 mL×2)で洗浄した。有機層を1N HCl水溶液(20 mL)で洗浄した。この際、有機層の色は茶色から深緑色へと変化した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。残渣に少量のCH2Cl2を加え、溶解させた。ここにヘキサンを加え、生じた固体を遠心分離により精製した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、シアニン系色素1aが緑色固体として得られた(23 mg, 38 μmol, 34%)。なお、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(CHCl3: MeOH= 10:1)において、1aはrf値0.1〜0.2に確認された。IR(KBr) 3435, 2926, 1637, 1561, 1509, 1421, 1356, 1108, 1011, 927 cm-1; HRMS calcd for C39H42N3([M+]) 552.3379, found 552.3381. 1aは、開環体と閉環体の混合物であるため、1H NMRでは多数のブロードなピークが確認され、帰属が困難であった。
(2):求核部位としてアミノプロピル基を有するシアニン系色素1bの合成
アミノプロピル基を有するシアニン系色素1bは、1aと同様の手法により合成した。
ベンゾインドール誘導体2bは、ベンゾインドール誘導体2aの合成と同様の手法により合成した。N-(3-ヨードプロピル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミドの代わりに、N-(3-ヨードプロピル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド(非特許文献1で示されたN-(6-ヨードへキシル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミドの合成法を基に調製)を用いた。ベンゾインドール誘導体2b(青白色固体、76%)。mp 201-206 °C (decomp.); IR(KBr) 3436, 3187, 3105, 3056, 3030, 2997, 2969, 2926, 1634, 1583, 1537, 1472, 1443, 1409, 1368, 1343, 1167, 1116, 1085, 853, 828, 784, 745, 730, 657, 589, 560 cm-1; 1H NMR (500 MHz, d6-DMSO, 25 °C) δ 1.77 (s, 6H), 2.10-2.18 (m, 2H), 2.92 (s, 3H), 3.14-3.22 (m, 2H), 4.60 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.75 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.81 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.87-7.94 (m, 2H), 7.98-8.04 (m, 2H), 8.08 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.27-8.33 (m, 2H), 8.37 (d, J = 8.0 Hz, 1H). 13C NMR (126 MHz, d6-DMSO, 25 °C) δ 14.0, 21.7, 27.2, 40.3, 45.8, 55.7, 113.2, 123.5, 124.7, 127.3, 127.5, 128.6, 129.8, 129.9, 130.8, 132.0, 132.9, 133.1, 134.5, 137.0 138.5, 147.9, 196.9. HRMS calcd for C24H26N3O4S ([M+]) 452.1644, found 452.1639.
シアニン系色素3bは、シアニン系色素3aの合成と同様の手法により、2bと4を用いて合成した。シアニン系色素3b(黄黒固体、89%)。mp 171-176 °C (decomp.); IR(KBr) 3443, 2928, 1626, 1542, 1508, 1475, 1420, 1355, 1308, 1147, 1099, 1062, 1009, 964, 924, 834, 752, 720, 665, 586, 521 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.46 (t, J= 7.3 Hz, 3H), 1.93 (s, 6H), 1.98 (s, 6H), 2.21-2.27 (m, 2H), 3.49-3.56 (m, 2H), 4.08-4.16 (m, 2H), 4.46-4.52 (m, 2H), 6.08 (br d, J = 12.3 Hz, 1H), 6.54-6.68 (m, 2H), 6.85-7.10 (m, 2H), 7.29 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.42-7.96 (m, 14H), 8.07 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 7.1 Hz, 1H). HRMS calcd for C46H47N4O4S ([M+]) 751.3318, found 751.3317.
シアニン系色素1bは、シアニン系色素1aの合成と同様の手法により、3bを用いて合成した。シアニン系色素1b(緑色固体、43%)。IR(KBr) 3536, 2969, 1626, 1561, 1509, 1469, 1416, 1357, 1237, 1154, 1109, 1088, 1067, 1010, 964, 925, 879, 834 cm-1; HRMS calcd for C40H44N3566.3535; found 566.3543. 1bは、開環体と閉環体の混合物であるため、1H NMRでは多数のブロードなピークが確認され、帰属が困難であった。
(3):求核部位としてメルカプトプロピル基を有するシアニン系色素1dの合成
アミノプロピル基を有するシアニン系色素1dの合成中間体である3dは、3aと同様の手法により合成した(スキーム2(1))。1dの合成を含め(スキーム2(3))、以下に実施例を示す。
ベンゾインドール誘導体2dは、ベンゾインドール誘導体2aの合成と同様の手法により合成した。N-(3-ヨードプロピル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミドの代わりに、チオ酢酸(2-ヨードプロピル)(非特許文献4)を用いた。ベンゾインドール誘導体2d(茶褐色液体、39%)。IR(neat) 3426, 3106, 2972, 2930, 1687, 1634, 1615, 1581, 1523, 1466, 1393, 1354, 1236, 1217, 1132, 1026, 954, 919, 868, 810, 789, 753, 661, 626 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.87 (s, 6H), 2.29 (s, 3H), 2.32 (tt, J = 7.3, 7.5 Hz, 2H), 3.07 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.22 (s, 3H), 4.93 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.66 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.74 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.96-8.13 (m, 5H).13C NMR (125 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 16.8, 22.6, 25.8, 28.3, 30.5, 49.0, 55.8, 112.4, 122.5, 1237.4, 127.6, 128.4, 129.9, 131.4, 133.5, 136.8, 138.2, 195.3, 195.7. HRMS calcd for C20H24NOS ([M+]) 326.1579, found 326.1586.
シアニン系色素3dは、シアニン系色素3aの合成と同様の手法により、2dと4を用いて合成した。シアニン系色素3d(黒緑色固体、59%)。mp 179-184 °C (decomp.); IR(KBr) 3435, 2925, 2864, 1626, 1508, 1467, 1421, 1355, 1308, 1147, 1090, 1064, 1008, 924, 879, 772, 720, 665 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.50 (t, J = 6.3 Hz, 3H), 2.01 (s, 12H), 2.10-2.20 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 3.06-3.10 (m, 2H), 4.18-4.29 (m, 4H), 6.30-6.41 (m, 2H), 6.71-6.81 (m, 2H), 7.26-7.50 (m, 7H), 7.57-7.63 (m, 2H), 7.90-7.94 (m, 4H), 8.09-8.15 (m, 2H). HRMS calcd for C42H45N2OS ([M+]) 625.3253, found 625.3263.
25 mLシュレンク管に、窒素雰囲気下シアニン系色素3d(12 mg, 16 μmol)を入れ、MeOH(1 mL)に溶解させた。ここにK2CO3(4.7 mg, 34 μmol)を室温で加え、3時間反応させた。反応液は次第に緑色から茶色へと変色した。反応液をCH2Cl2(10 mL)で希釈し、飽和重曹水(10 mL×2)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を溶離液としてCH2Cl2を用いるアルミナ(塩基性)カラムで精製し、シアニン系色素1dを茶色固体(6.5 mg, 12 μmol, 73%)として得た。mp 105-110 °C (decomp.); IR(KBr) 3435, 2926, 1623, 1561, 1421, 1356, 1091, 1065, 1011, 925, 760 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CD2Cl2, 25 °C) δ 1.02 (s, 3H), 1.17 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.42-1.53 (m, 1H), 1.54 (s, 3H), 1.73-1.82 (m, 1H), 1.91 (s, 3H), 1.91 (s, 3H), 2.34-2.38 (m, 1H), 2.92 (t, J = 12.9 Hz, 1H), 3.48 (t, J = 13.1 Hz, 1H), 3.66 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.68-3.76 (m, 1H), 5.35 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 5.79 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 6.04 (dd, J = 11.3, 14.0 Hz, 1H), 6.31 (dd, J = 11.3, 14.6 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 11.3, 14.7 Hz, 1H), 6.85-6.98 (m, 4H), 7.08-7.13 (m, 2H), 7.28 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.33 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.9 Hz, 1H). HRMS calcd for C40H43N2S ([M+]) 583.3147, found 583.3137.
(4):求核部位としてアミノプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1fの合成
アミノプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1fを以下のスキーム3に従い合成した。なお、ベンゾインドール誘導体5は、既知の化合物(特許文献1)である。
100 mL二つ口フラスコに、窒素雰囲気下ベンゾインドール誘導体5(0.65 g, 2.0 mmol)とグルタコンアルデヒドジアニル塩酸塩(0.57 g, 2.0 mmol)を入れた。ここに、無水酢酸(17 mL)を加え、100 °Cで1時間加熱撹拌した。放冷後、反応液を水(200 mL)に注ぎいれ、生じた固体を濾別した。得られた固体はCH2Cl2に溶解させ、水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機溶媒は減圧下留去した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、ベンゾインドール誘導体6が赤紫色固体として得られた(0.99 g, 1.9 mmol, 95%)。mp 130-135 °C (decomp.); IR(KBr) 3434, 2928, 1719, 1655, 1637, 1547, 1498, 1458, 1266, 1153, 1123, 769 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 ℃) δ 1.63-1.75 (m, 4H), 1.92-2.20 (m, 11H, including signals at 1.95 ppm (s, 3H) and 1.98 ppm (s, 6H)), 2.39 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 4.79 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 5.43 (dd, J = 11.6, 13.5 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 11.6, 14.1 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.40-7.74 (m, 5H), 7.71 (t, J = 7.9 Hz, 1H),7.95 (dd, J = 11.5, 14.8 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.15 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 13.7 Hz, 1H). HRMS calcd for C34H37N2O3([M+H+]) 521.2804, found 521.2802.
50 mL ナスフラスコに、ベンゾインドール誘導体6(0.31 g, 0.60 mmol)とベンゾインドール誘導体2b(0.34 g, 0.59 mmol)を入れ、ここにピリジン(8 mL)を室温で加えた。混合液を40 °Cで1時間反応させた後、有機溶媒を減圧下留去した。得られた液体をCHCl3(20 mL)で希釈し、飽和NaCl水溶液(20 mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。残渣は、溶離液としてCHCl3とMeOH(体積比10:1→4:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、有機溶媒を減圧下留去することで、粗生成物を得た。粗生成物は、CH2Cl2とジエチルエーテル(体積比3:1)を用いる遠心沈降法、酢酸エチルを用いる遠心沈降法を順次行うことで精製した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、シアニン系色素7aが深緑色固体として得られた(0.39 g, 0.47 mmol, 79%)。なお、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(CHCl3: MeOH= 10:1)において、7aはrf値0.2〜0.3に確認された。mp 185-190 °C (decomp.); IR(KBr) 3436, 2928, 1720, 1626, 1541, 1527, 1508, 1474, 1420, 1360, 1308, 1162, 1138, 1093, 1007, 924, 897, 833, 749, 721, 666, 588, 522 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.54-1.62 (m, 2H), 1.73-1.93 (m, 16H), 2.12-2.22 (m, 2H), 2.42 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.39-3.45 (m, 2H), 3.97-4.03 (m, 2H), 4.39-4.45 (m, 2H), 6.06 (br d, J = 11.3 Hz, 1H), 6.30-6.40 (m, 1H), 6.47-6.57 (m, 1H), 6.59-6.71 (m, 1H), 7.31 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.33-7.88 (m, 16H), 8.02 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.43 (d, J = 7.4 Hz, 1H). HRMS calcd for C50H53N4O6S ([M+H+]) 837.3686, found 837.3696.
25 mL ナスフラスコに、シアニン系色素7a(98 mg, 0.12 mmol)を入れ、DMF(6 mL)に溶解させた。この溶液に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt, 29 mg, 0.21 mmol, 渡辺化学工業株式会社製)とO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU, 80 mg, 0.21 mmol, 渡辺化学工業株式会社製)、CH3-(CH2CH2O)m-CH2CH2NH2(0.32 g, 0.16 mmol, m = 44, Mn(PEG) = 2000, 非特許文献5を参考に調製)を室温で加えた。反応液を室温で終夜反応させた後、CH2Cl2(20 mL)で希釈した。この溶液を10% NaCl水溶液(20 mL×2)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。残渣は、溶離液としてCHCl3とMeOH(体積比10:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、有機溶媒を減圧下留去することで、粗生成物を得た。残渣を10% NaCl水溶液(1 mL)に溶解させ、これを排除分子量25Kの透析膜を用いて、24時間水に対し透析した。得られた水溶液を凍結乾燥させることで、シアニン系色素8aが緑色固体として得られた(0.22 g, 78 μmol, 67%)。IR(KBr) 3434, 2871, 1654, 1508, 1474, 1424, 1355, 1308, 1099, 1009, 928, 843, 822, 666 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.50-1.58 (m, 2H), 1.76 (quint, J = 7.4 Hz, 2H), 1.86 (quint, J = 7.7 Hz, 2H), 1.93 (s, 6H), 1.96 (s, 6H), 2.12-2.19 (m, 2H), 2.25 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.43-3.70 (m, 221H), 3.77-3.79 (m, 2H), 6.12 (br d, J = 13.4 Hz, 1H), 6.30 (br d, J = 13.7 Hz, 1H), 6.52-6.75 (m, 3H), 7.32 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.40-7.96 (m, 14H), 8.07-8.12 (m, 2H), 8.23 (d, J = 7.7 Hz, 1H). MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
25 mL ナスフラスコに、シアニン系色素8a(60 mg, 21 μmol)を入れ、ここにDMF(6 mL)を加えた。この溶液にベンゼンチオール(17 μL, 0.17 mmol)とK2CO3(24 mg, 0.17 mmol)を室温で加えた。反応液は、深緑色から次第に茶褐色へと変化した。室温で終夜反応させた後、CH2Cl2(20 mL)で希釈した。この溶液を10% NaCl水溶液(15 mL×3)、10% HCl水溶液(15 mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。残渣に少量のCH2Cl2を加え、溶解させた。ここにヘキサンを加え、生じた固体を遠心分離により精製した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、シアニン系色素1fが緑色固体として得られた(46 mg, 17 μmol, 82%)。IR(KBr) 3434, 2873, 1651, 1508, 1469, 1426, 1357, 1281, 1243, 1103, 1008, 928, 897, 842, 722, 665 cm-1. MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
(5):求核部位としてアミノプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1gの合成
アミノプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1gは、1fと同様の手法でシアニン系色素6から合成した(スキーム3)。分子量2000のPEGの代わりに分子量5000のPEGを用いた。
実施例1(4)で示す合成手法において、CH3-(CH2CH2O)m-CH2CH2NH2(m = 44, Mn(PEG) = 2000)の代わりにCH3-(CH2CH2O)m-CH2CH2NH2(m = 112, Mn(PEG) = 5000、非特許文献5を参考に調製)をシアニン系色素7aに作用させ、同様の手法で合成した。シアニン系色素8b(緑色固体, 77%)。IR(KBr) 3435, 2886, 1633, 1468, 1423, 1343, 1280, 1242, 1112, 1010, 831, 843 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.50-1.58 (m, 2H), 1.76 (quint, J = 7.7 Hz, 2H), 1.87 (quint, J = 7.6 Hz, 2H), 1.94 (s, 6H), 1.97 (s, 6H), 2.13-2.20 (m, 2H), 2.25 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.43-3.81 (m, 594H), 6.08-6.16 (m, 1H), 6.20-6.36 (m, 2H), 6.57-6.73 (m, 1H), 7.32 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.42-7.97 (m, 15H), 8.09 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 8.11 (d, J= 8.9 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 6.4 Hz, 1H). MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
実施例1(4)で示す合成手法において、シアニン系色素8aの代わりにシアニン系色素8bを用い、同様の手法で合成した。シアニン系色素1g(緑色固体, 91%)。IR(KBr) 3435, 2887, 1633, 1509, 1468, 1427, 1360, 1343, 1281, 1242, 1149, 1112, 1061, 1009, 963, 929, 842, 721, 665, 529 cm-1. MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
(6):求核部位としてメルカプトプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1hの合成
メルカプトプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1hは、1fと同様の手法でシアニン系色素7aから合成した(スキーム3)。ベンゾインドール誘導体2bの代わりに2dを用いた。
25 mL シュレンク管に、窒素雰囲気下ベンゾインドール誘導体6(0.23 g, 0.44 mmol)とベンゾインドール誘導体2d(0.20 g, 0.45 mmol)を入れ、ここにピリジン(6 mL)を室温で加えた。混合液を40 °Cで1時間反応させた後、有機溶媒を減圧下留去した。残渣は、溶離液としてCHCl3とMeOH(体積比10:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、有機溶媒を減圧下留去することで、粗生成物を得た。粗生成物は、CH2Cl2とジエチルエーテル(体積比3:1)を用いる遠心沈降法、酢酸エチルを用いる遠心沈降法を順次行うことで精製した。得られた固体を減圧下乾燥させることで、シアニン系色素7bが黒緑色固体として得られた(75 mg, 0.11 mmol, 24%)。なお、薄層クロマトグラフィー(CHCl3: MeOH= 10:1)において、7bはrf値0.2〜0.3に確認された。mp 168-173 °C (decomp.); IR(KBr) 3434, 1686, 1625, 1527, 1508, 1474, 1421, 1354, 1307, 1138, 1091, 1007, 923, 832, 721, 665 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.73-1.83 (m, 2H), 1.83-2.20 (m, 18H, including signals at 1.99 ppm (s, 12H)), 2.36 (s, 3H), 2.44-2.55 (m, 2H), 3.03-3.17 (m, 2H), 40.2-4.35 (m, 4H), 6.30-6.50 (m, 2H), 6.72-6.92 (m, 2H), 7.31-7.40 (m, 2H), 7.40-7.49 (m, 2H), 7.54-8.02 (m, 9H), 8.05-8.17 (m, 2H). HRMS calcd for C46H51N2O3S ([M+H+]) 711.3620, found 711.3615.
25 mL ナスフラスコに、シアニン系色素7b(28 mg, 39 μmol)を入れ、DMF(3 mL)に溶解させた。この溶液にHOBt(12 mg, 89 μmol)とHBTU(34 mg, 89 μmol)、CH3-(CH2CH2O)m-CH2CH2NH2(0.13 g, 66 μmol, m = 44, Mn(PEG) = 2000)を室温で加えた。反応液を室温で終夜反応させた後、CH2Cl2(20 mL)で希釈した。この溶液を10% NaCl水溶液(20 mL×2)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去した。残渣は、溶離液としてCHCl3とMeOH(体積比10:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、有機溶媒を減圧下留去することで、粗生成物を得た。残渣を10% NaCl水溶液に溶解させ、これを排除分子量25Kの透析膜を用いて、24時間水に対し透析した。得られた水溶液を凍結乾燥させることで、シアニン系色素8cが緑色固体として得られた(81 mg, 29 μmol, 76%)。IR(KBr) 3434, 2872, 1651, 1527, 1509, 1471, 1428, 1355, 1299, 1249, 1196, 1104, 1036, 1009, 926, 872, 843, 720, 665 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.56 (quint, J = 7.6 Hz, 2H), 1.77 (quint, J = 7.5 Hz, 2H), 1.88 (quint, J = 7.8 Hz, 2H), 1.98 (s, 6H), 1.99 (s, 6H), 2.13 (quint, J = 7.1 Hz, 2H), 2.27 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 3.03 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.43-3.80 (m, 260H), 4.00-4.20 (m, 6H), 6.10 (br d, J = 12.8 Hz, 1H), 6.27 (br d, J = 12.9 Hz, 1H), 6.45-6.73 (m, 3H), 7.31 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.44-7.98 (m, 10H), 8.07-8.12 (m, 2H). MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
25 mL シュレンク管に、窒素雰囲気下シアニン系色素8c(29 mg, 11 μmol)を入れ、MeOH(3 mL)に溶解させた。ここにK2CO3(6.1 mg, 44 μmol)を室温で加え、終夜反応させた。反応液は次第に緑色から茶色へと変色した。反応液をCH2Cl2(10 mL)で希釈し、飽和重曹水(10 mL×2)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機溶媒を減圧下留去することで、シアニン系色素1hを茶色固体(21 mg, 8.0 μmol, 72%)として得た。IR(KBr) 3436, 2884, 1623, 1591, 1572, 1520, 1468, 1423, 1344, 1281, 1263, 1242, 1147, 1112, 963, 842, 806 cm-1. 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.13 (s, 3H), 1.39-1.52 (m, 3H), 1.67-1.82 (m, 8H, including signals at 1.64 ppm (s, 3H)), 1.91 (s, 6H), 2.11 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.45 (d, J= 13.5 Hz, 1H), 2.94 (t, J = 12.2 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.43-4.05 (m, 225H), 5.38 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 5.87 (d, J= 15.5 Hz, 1H), 6.10-6.17 (m, 2H), 6.38 (dd, J = 14.5, 11.2 Hz, 1H), 6.56 (dd, J = 14.7, 11.0 Hz, 1H), 6.92-7.04 (m, 3H), 7.17-7.25 (m, 2H), 7.37 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.72 (t, J = 8.9 Hz, 2H) 7.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 8.6 Hz, 1H) 7.97 (d, J = 8.6 Hz, 1H). MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
(7):求核部位としてメルカプトプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1iの合成
メルカプトプロピル基を有するPEG化シアニン系色素1iは、1hと同様の手法でシアニン系色素7bから合成した(スキーム3)。分子量2000のPEGの代わりに分子量5000のPEGを用いた。
実施例1(6)で示す合成手法において、CH3-(CH2CH2O)m-CH2CH2NH2(m = 44, Mn(PEG) = 2000)の代わりにCH3-(CH2CH2O)m-CH2CH2NH2(m = 112, Mn(PEG) = 5000)をシアニン系色素7bに作用させ、同様の手法で合成した。シアニン系色素8d(緑色固体, 84%)。IR(KBr) 3434, 2887, 1637, 1508, 1467, 1422, 1360, 1343, 1281, 1424, 1112, 1009, 963, 928, 843, 773 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.72-1.80 (m, 2H), 1.84-1.93 (m, 2H), 1.97-2.06 (m, 8H, including signals at 1.98 ppm (s, 6H) and 1.99 ppm (s, 6H)), 2.09-2.18 (m, 2H), 2.26 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.39 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 3.43-3.85 (m, 957H), 4.08-4.17 (m, 4H), 6.05-6.18 (m, 1H), 6.20-6.28 (m, 1H), 6.33-6.43 (m, 1H), 6.53-6.73 (m, 2H), 7.31 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.42-7.97 (m, 10H), 8.10-8.15 (m, 2H). MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
実施例1(6)で示す合成手法において、シアニン系色素8cの代わりにシアニン系色素8dを用い、同様の手法で合成した。シアニン系色素1i(緑色固体, 85%)。IR(KBr) 3435, 2887, 1626, 1467, 1421, 1360, 1343, 1281, 1242, 1149, 1113, 1061, 963, 843 cm-1. 1H NMR (500 MHz, CDCl3, 25 °C) δ 1.13 (s, 3H), 1.40-1.55 (m, 3H), 1.62-1.83 (m, 8H, including signals at 1.66 ppm (s, 3H)), 1.91 (s, 6H), 2.20 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.44 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 2.88 (t, J = 13.0 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.43-4.05 (m, 1162H), 5.38 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.87 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 6.08-6.17 (m, 2H), 6.38 (dd, J = 14.7, 11.0 Hz, 1H), 6.56 (dd, J = 14.4, 11.0 Hz, 1H), 6.93-7.01 (m, 3H), 7.15-7.23 (m, 2H), 7.36 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.71 (t, J = 8.9 Hz, 2H) 7.77 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 8.3 Hz, 1H). MALDI TOFマススペクトルを図4に示した。
(実施例2:紫外−可視−近赤外吸収特性の評価)
上記実施例1で得られたシアニン系色素とともに比較例として既知化合物1cおよび1eの紫外−可視−近赤外吸収特性を調査した。pH 2.5〜5.8の緩衝液は、MilliQ水にクエン酸とリン酸水素二ナトリウムを、pH 7.4前後の緩衝液は、MilliQ水にリン酸二水素ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムを、pH 9.2〜11.5の緩衝液は、MilliQ水に炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを所定量加えることで調製した。シアニン系色素1b(0.145 mg, 0.256 μmol)のDMSO溶液(170 μL, 1.51×10-3 M)を調製した。pH 2.7の緩衝液(3.00 mL)に1aのDMSO溶液(10.0 μL)を加え、よく混和した(1aの濃度:5.0 × 10-6 M)。5分間静置し、紫外−可視−近赤外分光光度計(日本分校株式会社製 V-570)で紫外−可視−近赤外吸収特性を調査した。他のpHを示す緩衝液おける1aの紫外−可視−近赤外吸収特性は、同様に該当するpHの緩衝液に1aのDMSO溶液を加え、同様に測定することで調査した。シアニン系色素1a、1dおよび比較例1c、1eも同様の手法で様々なpH水溶液中での紫外−可視−近赤外吸収特性を調査した。
pH 11.2-11.5およびpH 2.5-2.8における1a-cの紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを図5a−cに示した。また、シアニン系色素1bのpH変化(pH 11.2、9.2、7.4、5.8、4.7、2.5)に伴う紫外−可視−近赤外吸収スペクトルの変化を図6aにまとめた。シアニン系色素1aおよび1bは、pH 11.2-11.5において、シアニン系色素特有の光吸収特性が極端に低下していることがわかった。一方、pH 2.5-2.8において、シアニン系色素特有の光吸収特性が認められた。このスペクトル変化から、シアニン系色素1aおよび1bが図2に示したpH応答性を有することが示された。すなわち、pH 11.2-11.5では分子内にアミナール構造を有する「閉環体」が形成されており、他方、pH 2.5-2.8では分子内求核部位であるアミノ基がプロトン化され、シアニン系色素特有の骨格を有する「開環体」が形成されていると考えられる。また、pH 2.5-2.8において、900 nm近辺にJ会合体に由来すると考えられる光吸収も確認された。難水溶性の1aおよび1bが水中で凝集したためであると考えられる。シアニン系色素1cでは、pH 2.7において1aや1bと同様にシアニン系色素特有の光吸収特性を示した。しかし、光吸収強度は減弱したものの、pH 11.5においてもその光吸収特性は維持した。
1a-cの各pHにおける波長780 nmの吸光度変化を図7aにまとめた。このことは、シアニン系色素1cのpH応答性挙動は、1aや1bのそれより鈍感であり、pH応答性色素として好適ではないと言える。
メルカプト基を分子内に有するシアニン系色素1dのpH 2.8および11.3における紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを図5dに示した。シアニン系色素1aや1bと同様に、pH 2.8では波長780 nm周辺に強いシアニン系色素特有の光吸収特性を示したが、pH 11.3ではその光吸収特性が低減した。図7bに波長780 nmにおける1dの吸光度をpH 11.3の値を1としてまとめた。1dでは、pH 4付近においてシアニン系色素特有の光吸収特性が顕著に表れ、pH 11.3における吸光度の約10倍の値を示した。pH応答性が酸性側に片寄っているのは、アミノ基とメルカプト基の求核性の差によるものと考えられる。pH 7付近においても、pH 11と同程度の吸光度を示したことからわかるように、シアニン系色素1dは中性条件下でも閉環体を形成していると考えられる。実際に1H NMR(重クロロホルム溶液)においても、結合交替がはっきりしない1aや1bではブロードに観測されるトランス二置換アルケンに結合した水素原子のシグナルが、スピン結合定数が算出できる程度にはっきりと観測された。これらの差は、アミノ基とメルカプト基の求核性の差に起因していると考えられる。すなわち、本発明におけるpH応答性シアニン系色素は、分子内の求核性置換基の求核能を調節することで、pH応答性挙動を調節可能である。
カルボキシル基を分子内に有する既知化合物1eのpH 2.7およびpH 11.5における紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを図5eに示した。また、他のpHにおける光吸収スペクトルを図6bにまとめた。これらの図からわかるように、1eはほとんどpH応答性を示さず、いずれのpHにおいても比較的強い光吸収を示すことがわかった。図7cに波長780 nmにおける1eの吸光度を、pH 11.5の値を1としてまとめた。この結果からも既知化合物1eがpHに依存せず常に同様の光吸収特性を示すことがわかった。このことから、既知化合物1eは、pH応答性シアニン系色素として好適ではないと言える。
PEG化シアニン系色素1fは、各pHを示す緩衝液に1fを溶解させ、濃度5.0 × 10-6Mの水溶液を調製し、紫外−可視−近赤外吸収特性を調査した。PEG化シアニン系色素1gも1fと同様の手法で測定した。pH 11.3-11.4およびpH 2.8における1f、1gの紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを図5f−gに示した。いずれもシアニン系色素1aや1bと同様に、pH 2.8では波長780 nm周辺に強いシアニン系色素特有の光吸収特性を示したが、pH 11.3-11.4ではその光吸収特性が低減した。シアニン系色素1fのpH変化(pH 11.3、9.2、7.4、5.9、4.1、2.8)に伴う紫外−可視−近赤外吸収スペクトルの変化を図6cにまとめた。pHが低くなるにつれて、シアニン系色素特有の光吸収特性が強くなっていることがわかる。図7dに波長780 nmにおける1fと1gの吸光度を、pH 11.3-11.4の値を1としてまとめた。いずれもpH 11.3-11.4からpHが低下すると吸光度が大幅に増大することがわかった。大きな変化は、pH 8-10周辺で見られた。
PEG化シアニン系色素1h、1iの紫外−可視−近赤外吸収特性を、1fと同様の手法で調査した。1h、1iともpH 11から7.4付近までほとんどシアニン系色素特有の光吸収を示さないが、pH 7付近からシアニン系色素特有の光吸収特性を示しはじめ、pH 4付近にかけて徐々に吸光度が増大することがわかった(図5d、図6hおよび図6i)。pH 7.4付近とpH 4付近での吸光度を比べると、15−17倍程度増大した(図7e)。腫瘍組織近傍の弱酸性環境(pH 6弱)と比べても7−10倍程度増大した。このことはPEG化シアニン系色素1h、1iが腫瘍組織近傍でのみ鋭敏に応答し、発光する色素として利用可能であることを示す。
(実施例3:シアニン系色素の蛍光発光特性)
シアニン系色素1の蛍光発光特性について、蛍光分光光度計および生体内イメージング装置を用いて評価した。
(1):蛍光分光光度計を用いるシアニン系色素の蛍光発光特性評価)
上記実施例1で得られたシアニン系色素1の蛍光発光特性を蛍光分光光度計(FluoroMax-3 integrating sphere、HORIBA Jobin Yvon)を用いて調査した。シアニン系色素1a、1g、1hの蛍光スペクトルを図8に示す。シアニン系色素1aの緩衝液(5.0×10-6 M)は、DMSO溶液(10 μL、1.51×10-3 M)を緩衝液(3.00 mL)に混和させることで調製した。シアニン系色素1g、1hの緩衝液(5.0×10-6M)は、色素を緩衝液に溶解させ、調製した。すべての色素を含む緩衝液は、測定前に窒素バブリングを行い、脱気した。いずれの色素においても、紫外−可視−近赤外吸収スペクトルにおいてシアニン系色素特有の光吸収特性の観測されたpH 2.8の緩衝液からは、波長800〜810 nm付近に極大を有する蛍光スペクトルが観測された。一方、シアニン系色素特有の光吸収特性を示さなかったpH 11.4の緩衝液中では、波長800〜810 nm付近の蛍光発光は極端に低減した。これらの結果より、本発明で提案するpH応答性色素はpH変化に応じて蛍光発光量を調節できることを明らかにした。
(2):生体内イメージング装置を用いるシアニン系色素の蛍光発光特性評価
上記実施例1で得られたシアニン系色素1a、1b、1f、1gの蛍光発光特性を調査するため、水溶液を調製した。シアニン系色素1aおよび1bに関しては、以下の手法で水溶液を調製した。色素のDMSO溶液(200 μL、4.0 mg/mL)をMilliQ水(1.0 mL)に混和させ、これを排除分子量1Kの透析膜を用いて、24時間 MilliQ水に対し透析した。得られた水溶液はMilliQ水を用いて全容量が4.0 mLになるよう希釈し、濃度0.20 mg/mLの水溶液を調製した。シアニン系色素1fおよび1gは、濃度が各々の1.0 mg/mLおよび2.0 mg/mLとなるようMilliQ水に溶解させ、調製した。これらの水溶液を96ウェルプラスチックプレートに100 μLずつ量り取り、生体内イメージング装置(Caliper社製、IVIS-SPECTRUM)を用いて、水溶液の蛍光強度を測定した。励起波長と検出波長の組み合わせは二種類行い、励起波長:710 nmと検出波長820 nmの組み合わせ、励起波長:745 nmと検出波長840 nmの組み合わせである。得られた蛍光像は、装置付随のソフト(Caliper社製、Living Image 2.50-Igor Pro 4.09)を用いて解析し、蛍光強度を求めた。
波長710 nmおよび745 nmの光でシアニン系色素1a、1b、1f、1gの水溶液を励起した際の発光強度を図9にまとめた。シアニン系色素1aおよび1bからはほとんど蛍光が観測されなかった。色素同士が凝集し、自己消光を起こしているためであると考えられる。一方、シアニン系色素1fおよび1gでは、いずれの波長において励起した場合も強い蛍光が観測された。励起波長 710 nmと検出波長 820 nmの組み合わせの方が、励起波長 745 nmと検出波長 840 nmの組み合わせよりも鮮明な像が得られることがわかった。このことは励起波長 710 nmと検出波長 820 nmの組み合わせが、本発明におけるシアニン系色素1を光生体イメージングに適用する際に好適であることを示す。
(実施例4:シアニン系色素のpH応答性挙動の可逆性と安定性)
シアニン系色素1gのpH応答性の可逆性を、pH 3および11の水溶液で繰り返し測定することで評価した。シアニン系色素1gの水溶液(1.0 mL、5.0×10-6 M)を調製した。この水溶液と別に純水(1.0 mL)を別々のセルに入れ、ここに1N HCl水溶液(1.0 μL)を入れ良く撹拌した。純水に1N HCl水溶液を加えたpH 約3の水溶液を参照サンプルとし、1gのpH 約3の水溶液の紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを測定した。各々の水溶液に1N NaOH水溶液(2.0 μL)を加え良く撹拌することで、pH 約11の水溶液を調製した。1gを含まないpH 約11の水溶液を参照サンプルとし、1gのpH 約11の水溶液の紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを測定した。各々の水溶液に1N HCl水溶液(2.0 μL)を加え良く撹拌することで、pH 約3の水溶液を調製した。同様に、紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを測定した。これらの操作を繰り返し、pH 約3および11の水溶液で繰り返し1gの紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを測定することで、pH応答性の可逆性を評価した(図10a)。三回の繰り返し操作で、pH 約3の水溶液中の1gのシアニン系色素由来の吸光度(最大波長:787 nm)は、操作の繰り返しを行うことで88%程度まで減弱した。一方、pH 約11の水溶液中の1gのシアニン系色素由来の吸光度も、90%程度まで減弱した。pHを酸性−塩基性−酸性と変化させることで約5%ずつ退色していると考えられる。pH 約3の水溶液中の1gのシアニン系色素由来の吸光度をその直前のpH 約11の水溶液の吸光度と比較すると、いずれも約14−16倍程度吸光度が強まっており、pH応答性が低減することはなかった。このことから、繰り返しのpHの変化によってわずかに色素が退色していくものの、pH応答性(感度)に大きな影響がないことがわかった。
(実施例5:シアニン系色素1f、1gの自己集合体の評価)
シアニン系色素1f、1gの自己集合体の形状、大きさを透過型電子顕微鏡および動的光散乱法を用いて評価した。
シアニン系色素1f(1.0 mg/mL)の水溶液を調製した。この水溶液は、測定に用いる前にシリンジフィルター(孔径0.45 μm)を用いてろ過精製を行った。銅製グリッド(日新EM株式会社製、コロジオン膜貼付、200メッシュ、カーボン補強)に水溶液を乗せ、風乾させた。これを透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所、Model H-9000ANR、出力200V(60 Hz, 15 kVA))で観察し、自己集合体の形状を評価した(図11a)。自己集合体はそのほとんどが球状であり、粒径は10 nm前後の小さな粒子と70-100 nm程度の大きな粒子が観測されたであった。
シアニン系色素1f(1.0 mg/mL)の水溶液を調製した。この水溶液は、測定に用いる前にシリンジフィルター(孔径0.45 μm)を用いてろ過精製を行った。濃厚系粒径アナライザー(大塚電子株式会社、FPAR-1000)を用いて、25℃における90度の散乱角における散乱光を測定し、自己集合体の粒径分布を評価した。シアニン系色素1fの自己集合体は、粒径14 ± 3 nmと141 ± 37 nmの二種類存在することが示唆された(図11b)。なお、同様にシアニン系色素1gの粒径を動的光散乱法により評価したところ、粒径11 ± 1 nmおよび86 ± 21 nmの二種類の自己集合体が存在することが示唆された。分子の大きさを踏まえると、小さな粒子はミセルであり、大きな粒子はマルチミセル集合体かベシクルであると推測される。これらの結果より、分子量2000および5000のPEGを結合したシアニン系色素は、水中で粒径10-150 nm程度のミセルやベシクルなどの球状自己集合体を形成することがわかった。
(実施例6:PEG化シアニン系色素1fおよび1gを用いる腫瘍の可視化)
上記実施例1で得られたPEG化シアニン系色素1fおよび1gの腫瘍造影能を評価した。造影能評価のために、PEG化シアニン系色素1fおよび1gを投与した担癌マウスの蛍光イメージングを行った。蛍光イメージング実験においては、雌の近交系BALB/c nu/nuマウス(購入時9週齢、清水実験材料株式会社)を用いた。マウスに担癌させる約一週間前より、京都大学医学部(京都府、日本)の動物実験施設で、標準的な食餌、寝床を用い、自由に食餌および飲料水を摂取できる環境下でマウスを順応させた。イメージング実験の約一週間前に2 × 106個のヒト子宮頸がん細胞(HeLa細胞、American Type Culture Collection)を、マウスの右下肢に皮下注射した。PEG化シアニン系色素1fおよび1gの水溶液は、各々濃度1.0 mg/mLおよび2.0 mg/mLになるようMilliQ水に溶解させ、フィルター(細孔径0.45 μm)を透過させ不溶物を除去し、調製した。調製後冷暗所に保管し、調製後一週間以内にマウスに投与した。造影剤ごとに二匹ずつマウスを用い、マウスあたりPEG化シアニン系色素の水溶液100 μLをマウス尾静脈に注射した。PEG化シアニン系色素1fおよび1gを投与したマウスの全身像を、生体内イメージング装置(Caliper社製、IVIS-SPECTRUM)を用いて撮像した。投与して10分、30分、1時間、3時間、6時間、24時間後にマウスを2.5%イソフルラン含有酸素気流(1.5 L/min)で処理、麻酔し、速やかに撮像することにより、マウスの明視野像と蛍光像を取得した。図12は投与後30分、1時間、3時間、6時間のマウスの蛍光像である。図中の矢印で示される部分が腫瘍の部位であり、強い蛍光信号が確認された。また、得られた蛍光像は、装置付随のソフト(Caliper社製、Living Image 2.50-Igor Pro 4.09)を用いて解析し、蛍光強度を求めた。
図12に示すように、分子量2000のPEGを有する1fでは、投与後速やかに腫瘍部位が可視化された。一方、腎臓や肝臓などの正常組織からも強い蛍光発光が観測された。これらの発光は時間経過とともに減弱した。一方、分子量5000のPEGを有する1gでは、腎臓や肝臓部からの蛍光発光強度が時間経過とともに増大せず、腫瘍部からの蛍光強度のみが増大した。このことから、分子量5000のPEGを有する1gの方が、EPR効果による腫瘍への蓄積に有利であることが示された。この結果より、本発明のPEG化シアニン系色素は、腫瘍を造影することが可能であり、腫瘍の光イメージング用造影剤としての有効性が示された。
図13aおよび図13bは、図12で示される蛍光像における腫瘍部(右下肢)と正常部(左下肢)の蛍光強度(計測面積0.7 × 0.7 cm)の時間経過に伴う変化を示している。分子量2000のPEGを有する1fでは、投与後速やかに腫瘍に集積し、その後徐々に排泄されていることがわかった。一方、分子量5000のPEGを有する1gは投与10分後においても腫瘍への蓄積は見られたが、時間経過とともに徐々に集積していることが示された。腫瘍部の蛍光強度と左下肢の蛍光強度の比を取り、SN比として数値化した(図13cおよび図13d)。SN比はシアニン系色素が腫瘍を描出する能力を示すパラメータであり、SN比が高いほど光腫瘍造影剤として有効であると言える。PEG化シアニン系色素1fおよび1gのSN比は、投与10分から24時間後いずれの時間経過後においても1.46〜1.91程度であり、特に1gは投与3時間経過後に1.83を、24時間経過後に1.91を示した。このことからも、用いるPEGは分子量5000以上が好適である。
従来の腫瘍造影剤より高感度な光および光音響造影剤
・ライブイメージング用造影剤
分野:臨床医学、製品:光および光音響腫瘍造影剤、酵素などのラベル化剤。

Claims (4)

  1. 下記式(I):
    (式中、ZはO、S又はNHを示す。n1は0、1又は2を示す。Yは、アルキル基、(CH2)n2−CO−Rを示す。nは2〜6の整数を示す。RはOH、アルコキシ、NH、NH(CH−(OCHCH−ORを示す。RはH又はアルキル基を示す。nは2以上の整数を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、OH、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチル、エチル、tert-ブチル、CN、NO2又はカルバモイルを示す。)
    で表される化合物又はその塩。
  2. 下記のいずれかで示される化合物である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
    (式中、nは2以上の整数を示す。)
  3. 下記式(IA):
    (式中、ZはO、S又はNHを示す。Proは保護基を示す。n1は0、1又は2を示す。Yは、アルキル基、(CH2)n2−CO−Rを示す。nは2〜6の整数を示す。RはOH、アルコキシ、NH、NH(CH−(OCHCHn3−ORを示す。RはH又はアルキル基を示す。nは2以上の整数を示す。Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、OH、メトキシ、エトキシ、tert-ブトキシ、メチル、エチル、tert-ブチル、CN、NO2又はカルバモイルを示す。Xは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンを示すか、YがCOO基を有する場合は存在しない。)
    で表される化合物又はその塩。
  4. 請求項1又は2に記載の化合物を含む造影剤。
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