JP2016160114A - 焼結体及びエレクトレット材 - Google Patents

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Junji Torii
淳史 鳥井
英正 奥村
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英正 奥村
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Yumi Tanaka
優実 田中
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Kazuji Matsukawa
和司 松川
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【課題】エレクトレット材等に用いて好適な六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体と、該焼結体を用い、且つ、安定後の表面電位が1300V以上のエレクトレット材を提供する。【解決手段】カチオンとしての第1金属イオンと、アニオンとしての水酸化物イオン及びリン酸イオンとを少なくとも含む六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体12を具備し、さらに、該焼結体12が前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体と、例えば機械エネルギーを電気エネルギーに変換する装置等に利用されるエレクトレット材とに関する。
周囲に静電場を提供する帯電物質であるエレクトレット材は、従来、エレクトレットコンデンサーマイクロホン(ECM)や、集塵フィルタ等に利用されてきた。また、近年では、エネルギーハーべスティング技術の一方式である静電式振動発電機への利用が有望視されており、環境振動を駆動源とする、集積回路組み込み型のマイクロワット〜ミリワット発電機用の発電素子として、実用化に向けた研究開発がなされている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1記載の技術は、エレクトレット薄膜を金属表面上に形成し、もしくはエレクトレット自立膜を金属表面上に密着させ、その状態のままコロナ放電等の方法で表面電荷を与え、エレクトレット薄膜を金属表面より剥離する。金属面とエレクトレット膜の中間に付加的な薄膜層もしくは複数の薄膜層を形成する。
特許文献2記載の技術は、エレクトレットコーティング膜に、キシレン(25℃)に対して5質量%以上の濃度で溶解する溶解度を有するシクロオレフィンポリマーを含有する。
特許文献3記載の技術は、有機高分子と比誘電率が2.0〜4.0×103の無機微粒子とを含む有機無機複合材料からなる層を有する。
特開2009−207344号公報 特開2009−212436号公報 特開2009−253050号公報
特許文献1〜3に記載のエレクトレット材には、ポリマーを主体とするエレクトレット膜が用いられている。しかし、これらポリマー材のポリマー鎖は弱いファンデルワールス力によって結合していることから動きやすく、基材としての諸物性の長期安定性やエレクトレット材としての電荷保持性に難がある。
そこで、ファンデルワールス力よりも強いイオン結合や共有結合から成り、ポリマー材と比して諸物性の長期安定性や電荷保持性に優れたセラミックスのみからなる高性能なエレクトレット材の提供が期待されるが、現時点までに関連する発明がないのが現状である。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、エレクトレット材等に用いて好適な六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体と、該焼結体を用い、且つ、安定後の表面電位が1300V以上のエレクトレット材を提供することを目的とする。
[1] 第1の本発明に係る焼結体は、カチオンとしての第1金属イオンと、アニオンとしての水酸化物イオン及びリン酸イオンとを少なくとも含む六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体であって、さらに、前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンを含むことを特徴とする。
ここで、アパタイトとは、組成式M10(ZO46(X)2で表される化合物の総称である。ただし、非化学量論組成をとることも多い。Mには、アルカリ土類金属イオンやCd2+(カドミウム(II)イオン)、Pb2+(鉛(II)イオン)、Sn2+(スズ(II)イオン)といった2価のカチオンのほか、希土類イオンやアルカリ金属イオン等が入り、ZO4には、SiO4 4-(オルトケイ酸イオン)、PO4 3-(リン酸イオン)、VO4 3-(オルトバナジン酸イオン)、AsO4 3-(ヒ酸イオン)、SO4 2-(硫酸イオン)、CrO4 2-(クロム酸イオン)、MnO4 2-(マンガン酸イオン)等が入る。また、Xには、ハロゲンイオンやOH-(水酸化物イオン)、CN-(シアン化物イオン)といった1価のアニオンのほか、S2-(硫化物イオン)、O2-(酸化物イオン)、CO3 2-(炭酸イオン)等のアニオンが入る。
アパタイトは、代表的なアパタイト鉱物であるフッ素燐灰石(Ca10(PO462)に特徴的な、単位格子が六方晶系に分類されて、且つ、空間群がP63/mであるような結晶構造を有していることが多い。この場合、カチオンMは、c軸に沿って直線的に配列した9配位サイト(columnarサイト)と、c軸に対して垂直な正三角形が螺旋状に積層した7配位サイト(screwサイト)の2種類を4:6の配分比で占め、その間を埋めるように独立アニオンZO4が3次元配列を成している。また、アニオンXは、columnarサイトを占めるカチオンMと同様、c軸に沿って直線的に配列している。
[2] 第1の本発明において、前記第1金属イオンは、Ca2+(カルシウムイオン)であってもよい。また、第1の本発明に係る焼結体は、例えば六方晶ハイドロキシアパタイト類似の組成と結晶構造を有してもよい。六方晶ハイドロキシアパタイトとは、化学量論を満たしている場合の組成がCa10(PO46(OH)2であり、単位格子が六方晶系に分類されて、且つ、空間群がP63/mであるような結晶構造を有する化合物のことである。
[3] 第1の本発明において、前記第2金属イオンは、1価カチオンであることが好ましい。
[4] 第1の本発明において、前記第2金属イオンはNa+(ナトリウムイオン)であることが好ましい。
[5] 第1の本発明において、前記第2金属イオンは、Li+(リチウムイオン)であることが好ましい。
[6] 第1の本発明において、前記第1金属イオンのモル含有量をMa、前記第2金属イオンのモル含有量をMbとしたとき、第2金属イオンのモル含有比(Mb/(Ma+Mb))は、
0.05<Mb/(Ma+Mb)<0.5
であることが好ましい。
[7] 第2の本発明に係るエレクトレット材は、安定後の表面電位が1300V以上であることを特徴とする。
本発明によれば、エレクトレット材等に用いて好適な六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体と、該焼結体を用い、且つ、安定後の表面電位が1300V以上のエレクトレット材を実現することができる。
本実施の形態に係る焼結体及びエレクトレット材を模式的に示す断面図である。 本実施の形態に係る焼結体及びエレクトレット材の製造方法を示すフローチャートである。 サンプル1の製造方法並びに各種測定の実施時期を代表的に示すフローチャートである。 図4Aは第4焼結体の表面に電極を形成した状態を示す平面図であり、図4Bは第4焼結体の裏面に電極を形成した状態を示す平面図である。 第4焼結体に対する分極処理の方法を示す説明図である。
以下、本発明に係る焼結体及びエレクトレット材の実施の形態例を図1〜図5を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
本実施の形態に係る焼結体は、カチオンとしてのCa2+(カルシウムイオン)と、アニオンとしての水酸化物イオン及びリン酸イオンとを少なくとも含む六方晶ハイドロキシアパタイト類似の組成と結晶構造を有し、さらに、第1金属イオン(カルシウムイオン)とは異なる第2金属イオンを含む。又は、本実施の形態に係る焼結体は、カチオンとしての第1金属イオンと、アニオンとしての水酸化物イオン及びリン酸イオンとを少なくとも含む六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する。ここで、該焼結体は第1金属イオンがCa2+(カルシウムイオン)である六方晶ハイドロキシアパタイト類似の組成と結晶構造を有し、さらに、第1金属イオン(カルシウムイオン)とは異なる第2金属イオンを含むことが好ましい。
ここで、六方晶ハイドロキシアパタイトとは、化学量論を満たしている場合の組成がCa10(PO46(OH)2であり、単位格子が六方晶系に分類されて、且つ、空間群がP63/mであるような結晶構造を有する化合物を指す。
この場合、Ca2+(カルシウムイオン)は、c軸に沿って直線的に配列した9配位サイト(columnarサイト)と、c軸に対して垂直な正三角形が螺旋状に積層した7配位サイト(screwサイト)の2種類を4:6の配分比で占め、その間を埋めるようにPO4 3-(リン酸イオン)が3次元配列を成している。また、OH-(水酸化物イオン)は、columnarサイトを占めるカルシウムイオンと同様、c軸に沿って直線的に配列している。
そして、本実施の形態に係る焼結体は、上記第2金属イオンとして、1価カチオンが添加されている。1価カチオンは、Li+(リチウムイオン)、Na+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)、Rb+(ルビジウムイオン)、Ag+(銀イオン)、Cs+(セシウムイオン)等を例示することができる。その中でも、Li+、Na+が好ましい。
また、第1金属イオンのモル含有量をMa、第2金属イオンのモル含有量をMbとしたとき、第2金属イオンのモル含有比(Mb/(Ma+Mb))は、
0.05<Mb/(Ma+Mb)<0.5
である。
本実施の形態において、焼結体の平均粒径は2〜100μmであることが好ましい。さらに好ましくは2〜50μmであり、より好ましくは、2〜20μmである。
また、焼結体の水酸化物イオンの含有量は、量論HAよりも少ないことが好ましい。また、焼結体の焼結率は80%以上であることが好ましい。
そして、本実施の形態に係るエレクトレット材10は、図1に模式的に示すように、上述した本実施の形態に係る焼結体12を具備し、該焼結体12が分極処理されて構成されている。
エレクトレット材10は、安定した状態での表面電位(絶対値)として1300V以上を実現することができる。すなわち、表面電位の測定開始時点から5400秒経過後の表面電位(絶対値)が1300V以上である。
ここで、本実施の形態に係る焼結体12並びにエレクトレット材10の製造方法について図2を参照しながら説明する。
先ず、図2のステップS1において、少なくとも水酸化物イオン、リン酸イオン、第1金属イオン及び第2金属イオンを有する原料粉末を成形して成形体を作製する(成形工程)。
その後、ステップS2において、成形体を焼成して六方晶ハイドロキシアパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体12を作製する(焼成工程)。
ステップS3において、焼結体12を分極処理する。これにより、本実施の形態に係るエレクトレット材10を得ることができる。
特に、ステップS2の焼成工程は、成形体を、例えば1250℃の温度(焼成温度)で焼成する工程を含む。この場合、雰囲気としては大気雰囲気や水蒸気雰囲気が挙げられる。また、焼成温度における保持時間は例えば1〜3時間とすることが挙げられる。
また、ステップS3における分極処理は、焼結体12に一対の電極を介して直流電圧を印加する工程を含むことが好ましい。さらに好ましくは、該分極処理が、加熱後に一定時間、焼結体12に直流電界を印加した後、直流電界を印加したまま焼結体12を冷却する工程を含むことである。例えば、ボックス炉で150〜300℃まで昇温(加熱)した焼結体12に、電極を介して1.5時間〜3時間直流電圧を印加した後、直流電圧を印加したまま焼結体12を室温まで放冷する等である。
サンプル1〜17並びに対照サンプルSについて、焼結体の焼結率、平均粒径、焼結体の第2金属イオンのモル含有比、不純物含有レベル、並びにエレクトレット材とした場合の表面電位を評価した。
(サンプル1)
サンプル1の作製並びに測定について図3のフローチャートを参照しながら説明する。これは後述するサンプル2〜17並びに対照サンプルSについても同様の流れで行われる。
図3のステップS101において、成形体を作製した。先ず、(NH42HPO4(Cat.No.=01309−00:関東化学株式会社製)を、煮沸処理により炭酸ガスを除去した純水(脱炭酸水)に溶解して0.3Mの(NH42HPO4水溶液を280mL調整し、さらにpH10.5となるように適宜25%アンモニア水(販売元コード=010−03166:和光純薬工業株式会社製)を添加した(第1反応溶液)。
Ca(NO32・4H2O(Cat.No.=07082−08:関東化学株式会社製)及びLiNO3(Cat.No.=24133−00:関東化学株式会社製)を四つ口フラスコ中で脱炭酸水に溶解し、0.7Mの金属硝酸塩水溶液を200mL調整した。ここで、水溶液中のカルシウムイオンのモル濃度(mC)とリチウムイオンのモル濃度(mL)は、mC=0.665M及びmL=0.035Mとした。すなわち、リチウムイオンのモル濃度比(仕込みのモル濃度比mL/(mC+mL))を0.05とした。
金属硝酸塩水溶液は、四つ口フラスコごとオイルバスにセットして、N2ガス雰囲気下で撹拌しながら90℃に温めたのち、pH10.5となるように適宜25%アンモニア水を添加した(第2反応溶液)。
第2反応溶液に、第1反応溶液を滴下し、さらに、pH10.5に調整したアンモニア水120mLを注ぐことで、析出物の分散した懸濁液とした。
懸濁液は、90℃に温めた状態のまま18時間攪拌し続けた(熟成)後、静置して冷却することで固形物を沈降させた。吸引濾過により濾別した固形物は、60℃で乾燥させた後、粉砕して、原料粉末とした。
次に、市販の重合度約1500のポリビニルアルコール(販売元コード=160−03055:和光純薬工業株式会社製)の水溶液を調製し、これを上述の原料粉末と混ぜて混合物を調製した。このとき、ポリビニルアルコールの量は混合物全体の3.2質量%となるようにした。
その後、混合物を温度60℃で乾燥させた。乾燥後の混合物を乳鉢で粉砕し、さらに、#400及び#100のふるいを用いて40〜150μmの粒径に分級した。
分級済みの粉体を約0.30g秤量し、直径13mmの錠剤成形器に入れ、一軸加圧成形を行って、直径約13mm、厚さ約1.1mmの円盤状の成形体を作製した。
ステップS102において、作製した成形体を管状炉内(NH−1415C−SP:株式会社モトヤマ製)に設置し、大気雰囲気中、1250℃で2時間保持した後に自然放冷(焼結処理)することで、直径約10mm、厚さ約1.0mmの円盤状の焼結体12を得た。その後、ステップS103において、焼結体12の表面12a及び裏面12bをダイヤモンドラッピングフィルムでそれぞれ約30μmずつ研磨した。焼結体12は4種類作製した。すなわち、XRD測定用の第1焼結体12と、ICP−AES測定用の第2焼結体12と、SEM観察用の第3焼結体12と、表面電位測定用のエレクトレット材10の基材となる第4焼結体12を作製した。
次に、ステップS104において、第1焼結体12のXRD測定を行い、ステップS105において、第2焼結体12のICP−AES測定を行った。また、ステップS106において、第3焼結体12を0.1Mの塩酸溶液に30秒間浸漬することでエッチング処理した後、ステップS107において、第3焼結体12のエッチング面のSEM観察を行った。
その後、ステップS108において、図4A及び図4Bに示すように、第4焼結体12の表面12a及び裏面12bに電極14をそれぞれ形成した。電極14の材質としては、例えば金(Au)を用いることができる。具体的には、中央に直径8mmの円をくり抜いたおおむね19cm角のカプトンテープ(図示せず)を、円の中心が、直径約10mmの第4焼結体12の表面12a及び裏面12bの中心にくるようにそれぞれ貼り付けてマスキングし、金スパッタすることで第4焼結体12の表面12a及び裏面12bに電極14を形成した。
ステップS109において、第4焼結体12の分極処理を行った。分極処理は次のようにして行った。先ず、図5に示すように、電極14をつけた第4焼結体12を上下から白金線16を巻いたアルミナ棒18で挟み、両端をフッ素樹脂製の糸20で固定した。次に、分極処理時における大気の絶縁破壊に起因する印加電圧の降下を防ぐために、一式をシリコンオイル22(KS−64F:信越化学工業株式会社製)で覆った後、これを電気炉(MMF−1:アズワン株式会社製)内に設置した。さらに、一式を200℃まで昇温し、そのまま2時間保持することでシリコンオイル中の水を除去した後に白金線16を直流高圧電源24(AMA−10K20RBX:マクセレック株式会社製)に接続し、厚さ約1mmの第4焼結体12に対して、200℃で8kVの直流電圧を1時間印加することで、分極処理を行った。また、高温下での分極緩和を防ぐために、直流電圧は、第4焼結体12の温度が完全に室温に下がるまで印加し続けた。
その後、ステップS110において、第4焼結体12を分極処理して得たエレクトレット材10の電極14を除去した。具体的には、先ず、ダイヤモンドラッピングフィルム(ダイヤモンドの粒径=約30μm)で軽く研磨することで、大部分の電極14を除去し、仕上げにアルミナペースト(アルミナの粒径=約10μm及び約3μm)を用いてバフ研磨を行った。その後、エタノールと純水でそれぞれ第4焼結体12を分極処理して得たエレクトレット材10の超音波洗浄を行った。
その後、ステップS111において、第4焼結体12を分極処理して得たエレクトレット材10の表面電位測定を行った。この表面電位測定を含む上述した各種測定の具体的な条件等は後述する。
(サンプル2)
Ca(NO32・4H2O及びLiNO3を用いて0.7Mの金属硝酸塩水溶液を200mL調整した際に、水溶液中のカルシウムイオンのモル濃度(mC)とリチウムイオンのモル濃度(mL)を、mC=0.630M及びmL=0.070Mとした点以外、すなわち、リチウムイオンの仕込みのモル濃度比(mL/(mC+mL))を0.10とした点以外は、上述したサンプル1と同様にして、サンプル2に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(サンプル3)
Ca(NO32・4H2O及びLiNO3を用いて0.7Mの金属硝酸塩水溶液を200mL調整した際に、水溶液中のカルシウムイオンのモル濃度(mC)とリチウムイオンのモル濃度(mL)を、mC=0.560M及びmL=0.140Mとした点以外、すなわち、リチウムイオンの仕込みのモル濃度比(mL/(mC+mL))を0.20とした点以外は、上述したサンプル1と同様にして、サンプル3に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(サンプル4〜6)
第2反応溶液の調製において、LiNO3をNaNO3(販売元コード=195−02545:和光純薬工業株式会社製)とした点以外は、上述したサンプル1、2及び3と同様にして、それぞれサンプル4、5及び6に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(サンプル7〜9)
第2反応溶液の調製において、LiNO3をKNO3(販売元コード=0168−04031:和光純薬工業株式会社製)とした点以外は、上述したサンプル1、2及び3と同様にして、それぞれサンプル7、8及び9に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(サンプル10〜12)
第2反応溶液の調製において、LiNO3をRbNO3(販売元コード=183−01582:和光純薬工業株式会社製)とした点以外は、上述したサンプル1、2及び3と同様にして、それぞれサンプル10、11及び12に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(サンプル13〜15)
第2反応溶液の調製において、LiNO3をCsNO3(販売元コード=030−02002:和光純薬工業株式会社製)とした点以外は、上述したサンプル1、2及び3と同様にして、それぞれサンプル13、14及び15に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(サンプル16、17)
第2反応溶液の調製において、LiNO3をAgNO3(Cat.No.=37075−00:関東化学株式会社製)とした点以外は、上述したサンプル1及び2と同様にして、それぞれサンプル16及び17に係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。
(対照サンプルS)
原料粉末として市販の単斜晶ハイドロキシアパタイト粉体(販売元コード=011−14882:和光純薬工業株式会社製)を用いた点以外は、上述したサンプル1と同様にして、対照サンプルSに係る焼結体12及びエレクトレット材10を作製した。すなわち、対照サンプルSに第2金属イオンは含有されていない。
<評価方法及び評価結果>
(焼結率の算出)
サンプル1〜17及び対照サンプルSに係る焼結体12の焼結率は、マイクロメーターで測定した寸法と電子天秤で秤量した重量及び量論HAの理論密度である3.16g/cm3を用いて、以下の式1により算出した。
焼結率[%]=
焼結体12の密度[g/cm3]÷量論HAの理論密度[g/cm3]×100
……(式1)
(不純物含有レベルの評価方法:XRD測定)
サンプル1〜17及び対照サンプルSに係る第1焼結体の不純物含有レベルLimpは、XRD測定の結果から、以下のようにして求めた。
サンプル1〜17に係る第1焼結体のXRDパターンは、粉末X線回折装置(RINT2000縦型ゴニオメーター:理学電機株式会社製)を用いて測定した。
XRD測定の実施条件は以下の通りである。
・X線:CuKα(波長=154.18pm)
・管電圧:50kV
・管電流:100mA
・スキャンモード:2θ/θモード(連続法)
・測定範囲:2θ=20〜60deg
・スキャンスピード:1.0deg/分
・サンプリング幅:0.02deg
そして、XRDパターンのうち、六方晶ハイドロキシアパタイトの基本構造と同様のパターンにおける最大ピーク強度をIHAとし、また、不純物を示すパターンの最大ピーク強度をIimpとしたとき、不純物含有レベルLimpを下記の式2のように定義した。
imp=Iimp/IHA ……(式2)
(ICP−AES測定)
サンプル1〜17に係る第2焼結体に含まれる第1金属(Ca)と第2金属の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(SPS3500UV:株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、検量線法により測定した。この際、Y(イットリウム)を内標準物質として用いた。第2金属は、サンプル1〜3ではLi、サンプル4〜6ではNa、サンプル7〜9ではK、サンプル10〜12ではRb、サンプル13〜15ではCs、サンプル16及び17ではAgである。
そして、ICP−AES測定結果に基づいて、サンプル1〜17に係る第2焼結体に含まれる第1金属イオンのモル含有量Maと第2金属イオンのモル含有量Mbを求め、さらに第2金属イオンのモル含有比(Mb/(Ma+Mb))を求めた。
(平均粒径の算出:SEM観察)
サンプル1〜17及び対照サンプルSに係る第3焼結体12の平均粒径の変化を調べるために、ショットキー電界放出形走査電子顕微鏡(JSM−7001F:日本電子株式会社製)を使用してSEM観察を行った。
平均粒径の算出法を以下に示す。先ず、各第3焼結体12のSEM画像上に、複数の粒子を通過するよう、ラインを引き、次に、ラインの長さLを計測し、これをライン上に存在する粒子の数nで割った。この作業を、ランダムな20本のラインに対して行い、以下の式3に従って平均粒径を算出した。
Figure 2016160114
サンプル1〜17の平均粒径は、1.50〜2.00μmの範囲にあった。
(表面電位測定)
電極14を除去したエレクトレット材10(サンプル1〜17及び対照サンプルS:第4焼結体12を分極処理したもの)に対して、表面電位計(MODEL347:トレック・ジャパン株式会社製)を用いて、表面電位測定を行った。測定の前処理として、エレクトレット材10を100℃で3時間熱処理して直ちに真空デシケーターに移した後、デシケーターごとグローブボックスに入れて放冷した。エレクトレット材10は、乾燥空気の導入によりグローブボックス内の相対湿度を5%以下まで下げた後に、真空デシケーターから取り出した。表面電位測定は、グローブボックス内に設置した表面電位計及び自動ステージを用いて行った。なお、表面電位測定を行う際、エレクトレット材10(サンプル1〜17及び対照サンプルS)の表面に付着した電荷や表面近傍の空間電荷を取り除く目的で、接地された金属をエレクトレット材10の表面に接触させている。この処理が終わった瞬間を測定開始時点(0秒)とした。
<評価結果及び測定結果>
サンプル1〜17及び対照サンプルSの評価結果及び測定結果を下記表1に示す。
Figure 2016160114
(焼結率の評価結果)
サンプル1〜17に係る第1焼結体〜第4焼結体について、上述した方法でそれぞれの焼結率を求めた後、これらの相加平均をとることで、各サンプルの平均焼結率を算出した。
上記表1からわかるように、サンプル1〜3の平均焼結率は全て90%を超えていた。サンプル4〜6については、サンプル5のみが90%を超えていた。残りのサンプル6〜17は、全て90%未満であった。
(不純物含有レベルの評価結果)
上記表1に示すように、不純物含有レベルが1.0以上のものは、サンプル3及び6であった。このサンプル3及び6については、表面電位測定を行わなかった。
(ICP−AES測定の結果)
サンプル1〜17のうち、サンプル10〜12(第2金属:Rb)並びにサンプル13〜15(第2金属:Cs)については、組成を特定できなかった。サンプル1〜17のうち、サンプル10〜12(第2金属:Rb)並びにサンプル13〜15(第2金属:Cs)については組成を特定できなかったが、その他のサンプルについてはいずれも、第2金属イオンのモル含有比(Mb/(Ma+Mb))が以下の範囲であった。
0.05<Mb/(Ma+Mb)<0.5
(表面電位測定結果)
上記表1では陽極側で分極処理した面(陽極処理面)の表面電位を示す。表1からわかるように、サンプル1及び2(第2金属:Li)並びにサンプル4及び5(第2金属:Na)の表面電位は、いずれも対照サンプルSの表面電位よりも高く、1300V以上であった。また、第2金属イオンのモル含有比が多くなるに従って、表面電位も高くなる傾向にあった。
反対に、サンプル7〜9(第2金属:K)、サンプル10〜12(第2金属:Rb)、サンプル13〜15(第2金属:Cs)並びにサンプル16及び17(第2金属:Ag)の表面電位は、いずれも対照サンプルSの表面電位よりも低かった。また、第2金属イオンのモル含有比が多くなるに従って、表面電位も低くなる傾向にあった。
<考察>
上述した、各サンプルの評価結果及び測定結果から、焼結体12及びエレクトレット材10の好ましい態様は以下の通りであることがわかる。
(1) カチオンとしての第1金属イオンと、アニオンとしての水酸化物イオン及びリン酸イオンとを少なくとも含む六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体を具備し、さらに、該焼結体が、前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンを含むことが好ましい。
(2) 第1金属イオンは、Ca2+(カルシウムイオン)であることが好ましい。すなわち、焼結体が、六方晶ハイドロキシアパタイト類似の組成と結晶構造を有することが好ましい。
(3) 第2金属イオンは、1価カチオンであることが好ましい。
(4) 第2金属イオンは、Na+(ナトリウムイオン)であることが好ましい。
(5) 第2金属イオンは、Li+(リチウムイオン)であることが好ましい。
(6) 第1金属イオンのモル含有量をMa、第2金属イオンのモル含有量をMbとしたとき、第2金属イオンのモル含有比(Mb/(Ma+Mb))は、
0.05<Mb/(Ma+Mb)<0.5
であることが好ましい。
上述した特性を満足することで、安定した状態での表面電位として1300V以上を実現することができる。
なお、本発明に係る焼結体及びエレクトレット材は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…エレクトレット材 12…焼結体

Claims (7)

  1. カチオンとしての第1金属イオンと、アニオンとしての水酸化物イオン及びリン酸イオンとを少なくとも含む六方晶アパタイト類似の組成と結晶構造を有する焼結体であって、
    さらに、前記第1金属イオンとは異なる第2金属イオンを含むことを特徴とする焼結体。
  2. 請求項1記載の焼結体において、
    前記第1金属イオンは、Ca2+(カルシウムイオン)であることを特徴とする焼結体。
  3. 請求項1又は2記載の焼結体において、
    前記第2金属イオンは、1価カチオンであることを特徴とする焼結体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結体において、
    前記第2金属イオンは、Na+(ナトリウムイオン)であることを特徴とする焼結体。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結体において、
    前記第2金属イオンは、Li+(リチウムイオン)であることを特徴とする焼結体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼結体において、
    前記第1金属イオンのモル含有量をMa、前記第2金属イオンのモル含有量をMbとしたとき、第2金属イオンのモル含有比(Mb/(Ma+Mb))は、
    0.05<Mb/(Ma+Mb)<0.5
    であることを特徴とする焼結体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結体を具備し、安定後の表面電位が1300V以上であることを特徴とするエレクトレット材。
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