JP2016156765A - 水溶液中の微量カルシウム濃度の定量方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水溶液中に含まれる微量のカルシウム分の濃度について、大型で高価な専用機器を必要とせず、その発生現場で簡便に且つ迅速に測定でき、周辺環境を悪化させずに安全性にも優れる定量方法を提供する。【解決手段】塩化アルカリ電解用の水溶液中の微量のカルシウムを測定する測定法において、A)測定対象水溶液に、キレート滴定用指示薬を含むカルシウム濃度測定液を接触させて吸光光度分析をし、B)塩化アルカリ電解に用いる塩水に酢酸型キレート剤を含むキレート滴定用指示薬をブランク水溶液として吸光光度分析し、測定対象水溶液中に含まれるカルシウム濃度を算出することを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、塩化アルカリ電解用の水溶液中の微量カルシウム濃度、特に飽和塩水中の微量カルシウム濃度を吸光光度法により精度良く測定する分析方法に関する。本発明は、特にイオン交換膜法による塩化アルカリ電解に使用される供給塩水中に含まれる微量のカルシウム分をカルシウム分と呈色反応するキレート滴定用指示薬を用いた吸光光度法により精度良く測定する分析方法に関する。
イオン交換膜法による塩化アルカリ電解に使用される供給塩水は厳密なカルシウム分の除去精製が必要とされ、工業的に満足できるように長期間にわたり安定した電解を行うためには、許容カルシウム分濃度が0.05mg/l以下とされている。それ故工業的には塩水中のカルシウム濃度を0.05mg/l以下に除去するために通常キレート樹脂により精製を行うと共に、断続的に供給塩水中のカルシウム濃度を測定する必要性があるが、その目的を達成する実用的な方法がなかった。
従来カルシウム濃度の測定はキレート滴定法、原子吸光法の他、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、イオンクロマトグラフ法等により行われている。しかしながらキレート滴定法は検出感度が低く、微量分析には適していない問題点があり、原子吸光法は吸光光度法に比べて選択性がよく、高感度な分析法であるが、フレーム原子吸光法は定量範囲が0.2〜4mg/lであり、本発明の目的に必要な感度の条件を満たしていない。またフレームレス原子吸光法は共存元素の影響が大きく、再現性に問題があり、操作が煩雑で一般的ではないという欠点がある。ICP発光分光分析法は精度、感度ともフレーム原子吸光法と同程度かそれ以上であり、定量範囲が広く、多元素同時分析が可能である点が優れているが、フレーム原子吸光法より妨害に弱いといわれている。更にICP質量分析法は高感度の測定が可能であるが、設備導入に対する費用が莫大であり、工程管理の面から断続的な測定が実施しにくい等の問題がある。イオンクロマトグラフ法は他の陽イオンとの同時分析が可能であるが、定量範囲が0.1〜50mg/lと低く、微量のカルシウム分の測定には適していない。
従って、従来微量金属濃度の測定手段として知られる原子吸光法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、イオンクロマトグラフ法等では、定量範囲が本発明の目的に必要な感度の条件を満たしていないか、または大型で高価な専用機器を必要とする上、採取した被検試料を機器の設置場所に持ち込んで熟練技術者に操作を委ねることになり、非常に手間および時間を要するため、生産工程中の様々な段階で被検試料を採取して簡易に且つ迅速にカルシウム濃度の測定を行うには全く不向きである。
一方、カルシウムイオンの簡易な測定方法として、例えば、非特許文献1に記載されているキレート滴定用指示薬を用いたキレート滴定法が広く用いられており、キレート滴定用指示薬としてはNN、カルコン、エリオクロームブルーSE、アシッドクロームダークブルー、MX、MTB等非常に多くのものがあるが、いずれもカルシウム濃度が数mg/l以上でないと変色が起こらず、1mg/l以下の分析には用いることが出来ない。
以下にカルシウム濃度のキレート滴定に用いられる代表的なキレート滴定指示薬の例を示すが、検出感度の低さ以外にも安定性等の問題があり、使用においては現実的ではない。
NN指示薬(2−Hydoroxy−1−(2−hydroxy−4−sulfo−1−naphthylazo)3−naphthoic acid)は固体状態では安定であるが、水、アルコールに溶かした溶液状態ではかなり不安定で数分程度で分解、退色する。特に酸化性イオンが共存すると退色が著しく、従ってキレート滴定に使用する場合、溶解後直ちに滴定する必要があり、これは実際の製造工程における自動分析機器に使用する際に大きな不都合となる。この解決方法として有機混合溶媒に溶解して用いることもあるが、測定後の廃液に有機溶媒が混入するため廃液の処理が困難であり、またこのものも冷暗所保存で約1週間しか保存できない欠点がある。
MX指示薬(ムレキシド)はキレート滴定時における終点の変色が不明瞭なうえ滴定値がpHの影響を受けやすいために現在はほとんど用いられていない。
EBT指示薬(2−Hydroxy−1−(1−hydroxy−2−naphthylazo)−6−nitro−4−naphthalenesulfonic acid)は一般にEriochrome Black Tと呼ばれ、金属のキレート滴定用指示薬や比色定量試薬として使用されている。しかしながらカルシウムと共にマグネシウムイオンを多く含むサンプルを分析する際には、あらかじめサンプルのpHを水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いて12〜13とし、共存するマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして沈殿除去しておかなければならないが、このpH領域においてEBT指示薬は赤から橙色への不明瞭な色変化を起こし、キレート滴定の終点を見定めることが難しい。また定量範囲が0.1〜15ppm程度であり、ppbレベルのカルシウムイオンの呈色指示薬としては不適当である。
NN指示薬(2−Hydoroxy−1−(2−hydroxy−4−sulfo−1−naphthylazo)3−naphthoic acid)は固体状態では安定であるが、水、アルコールに溶かした溶液状態ではかなり不安定で数分程度で分解、退色する。特に酸化性イオンが共存すると退色が著しく、従ってキレート滴定に使用する場合、溶解後直ちに滴定する必要があり、これは実際の製造工程における自動分析機器に使用する際に大きな不都合となる。この解決方法として有機混合溶媒に溶解して用いることもあるが、測定後の廃液に有機溶媒が混入するため廃液の処理が困難であり、またこのものも冷暗所保存で約1週間しか保存できない欠点がある。
MX指示薬(ムレキシド)はキレート滴定時における終点の変色が不明瞭なうえ滴定値がpHの影響を受けやすいために現在はほとんど用いられていない。
EBT指示薬(2−Hydroxy−1−(1−hydroxy−2−naphthylazo)−6−nitro−4−naphthalenesulfonic acid)は一般にEriochrome Black Tと呼ばれ、金属のキレート滴定用指示薬や比色定量試薬として使用されている。しかしながらカルシウムと共にマグネシウムイオンを多く含むサンプルを分析する際には、あらかじめサンプルのpHを水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いて12〜13とし、共存するマグネシウムイオンを水酸化マグネシウムとして沈殿除去しておかなければならないが、このpH領域においてEBT指示薬は赤から橙色への不明瞭な色変化を起こし、キレート滴定の終点を見定めることが難しい。また定量範囲が0.1〜15ppm程度であり、ppbレベルのカルシウムイオンの呈色指示薬としては不適当である。
上野景平 "キレート滴定法" (1962) (南江堂)
上記従来の呈色指示薬を含むカルシウム濃度測定液を用いる方法では、共存するマグネシウムイオンの妨害を避けるために測定液のpHを12〜13に調整する必要性があるが、そのpH領域でカルシウムのキレート滴定用指示薬の色変化が不明瞭であったり、検出に必要な感度の条件を満たしていなかったり、カルシウムのキレート滴定用指示薬自身が不安定で容易に分解を起こすといった難点があった。
本発明は、上述の事情に鑑みて、塩化アルカリ電解に使用される供給塩水等の水溶液に含まれる微量のカルシウム分について、大型で高価な専用機器を使用とせず、その発生現場で簡便に且つ迅速に測定でき、加えて周辺環境を悪化させず安全性にも優れる微量のカルシウム濃度測定方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、特にイオン交換膜法による塩化アルカリ電解に使用される供給塩水中に含まれる微量のカルシウム分をカルシウム分と呈色反応するキレート滴定用指示薬を用いた吸光光度法により精度良く測定する分析方法を見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は以下に関する。
項1
塩化アルカリ電解用の水溶液中のカルシウムを測定する測定法において、
A)測定対象水溶液に、キレート滴定用指示薬を含むカルシウム濃度測定液を接触させて吸光光度分析をし、
B)測定対象水溶液に、酢酸型キレート剤を含むキレート滴定用指示薬をブランク水溶液として吸光光度分析し、
測定対象水溶液中に含まれるカルシウム濃度を算出することを特徴とする微量カルシウム濃度測定方法。
項2
カルシウム濃度測定液のキレート滴定用指示薬は、アシッドアリザリン化合物である項1に記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
項3
ブランク水溶液に、更にアシッドアリザリン化合物を含むことを特徴とする項1または項2に記載の微量カルシウム濃度測定方法。
項4
ブランク水溶液に用いる酢酸型キレート剤はエチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸である項1から項3のいずれかに記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
項5
検量線を作製してカルシウム濃度を算出する項1から項4のいずれかに記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
項1
塩化アルカリ電解用の水溶液中のカルシウムを測定する測定法において、
A)測定対象水溶液に、キレート滴定用指示薬を含むカルシウム濃度測定液を接触させて吸光光度分析をし、
B)測定対象水溶液に、酢酸型キレート剤を含むキレート滴定用指示薬をブランク水溶液として吸光光度分析し、
測定対象水溶液中に含まれるカルシウム濃度を算出することを特徴とする微量カルシウム濃度測定方法。
項2
カルシウム濃度測定液のキレート滴定用指示薬は、アシッドアリザリン化合物である項1に記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
項3
ブランク水溶液に、更にアシッドアリザリン化合物を含むことを特徴とする項1または項2に記載の微量カルシウム濃度測定方法。
項4
ブランク水溶液に用いる酢酸型キレート剤はエチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸である項1から項3のいずれかに記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
項5
検量線を作製してカルシウム濃度を算出する項1から項4のいずれかに記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
水溶液に含まれる微量のカルシウム濃度について、測定対象水溶液をカルシウム濃度測定液に接触させるだけで、その液の色変化及び程度から微量のカルシウム濃度を簡単に測定することができる。従って、本方法では、微量のカルシウム濃度の測定を簡単に且つ迅速に低コストで行え、しかも操作が極めて簡単で判定時間も短いため、検査を繰り返し行う必要性がある製造現場においても、労力負担が少なくて済む。
測定対象水溶液がアルカリ電解に使用される供給塩水である場合に、含まれる微量のカルシウム濃度を簡便に且つ迅速に測定することができ、カルシウム濃度測定液が有機溶媒や安定剤を含まず取り扱い性に優れると共に、刺激臭や不快臭を発生しないので周辺環境を悪化させない。また、測定対象水溶液であるアルカリ電解に使用される供給塩水に大量に含まれるナトリウムイオンによって、カルシウム濃度測定液に含まれるキレート滴定用指示薬はなんらの妨害を受けずにカルシウムと呈色反応を起こすことができる。
微量のカルシウム濃度の測定法において色変化及び程度の測定に吸光光度法を用いるが、キレート滴定用指示薬を用いたカルシウム濃度測定液が呈色反応を示した後、反応液を吸光光度計に送液するだけで結果を求めることができ、キレート滴定装置、原子吸光度計、ICP発光分光光度計、ICP質量分析計、イオンクロマトグラフ等特別で操作に特別な技量を必要とする装置を必要とすることなく、簡便且つ迅速で、測定対象水溶液の発生する生産現場においても設置可能である。
微量のカルシウム濃度の測定法において色変化及び程度の測定で得られたカルシウム濃度を、別途調製したカルシウム標準液を本発明の方法で得た色変化及び程度の結果から検量線を作製して求めることができるが、この測定によって求められる濃度は正しくはアルカリ土類金属の総量であり、本検量線によって求められる濃度は測定対象水溶液中に含まれるアルカリ土類金属の総量をカルシウム当量として求めたものである。しかしながら塩化アルカリ電解に使用される供給塩水等の水溶液に含まれる微量のカルシウム以外のアルカリ土類金属は、カルシウム同様塩化アルカリ電解において使用されるイオン交換膜の劣化に大きく影響を与えることから、本発明の方法によって得られたカルシウム当量の結果は、塩化アルカリ電解に使用される供給塩水等のイオン交換樹脂による精製状況を監視するに当たり、十分な結果を与えるものである。
このカルシウム濃度の測定方法において、測定対象水溶液にカルシウム濃度測定液を接触させる方法は、測定対象水溶液とカルシウム濃度測定液を一定の容器の中で混合する方法や、測定対象水溶液とカルシウム濃度測定液を、混合ミキサーを含む配管の中で混合する方法等が考えられるが、測定対象水溶液の存在状態や量に応じて、適宜選択すれば良い。
塩化アルカリ電解用の水溶液中のカルシウムを測定する測定法において、A)測定対象水溶液に、キレート滴定用指示薬を含むカルシウム濃度測定液を接触させて吸光光度分析をし、B)測定対象水溶液に、酢酸型キレート剤を含むキレート滴定用指示薬をブランク水溶液として吸光光度分析し、測定対象水溶液中に含まれるカルシウム濃度を算出することを特徴とする微量カルシウム濃度測定方法である。
カルシウム濃度測定液は水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリと、キレート滴定指示薬からなる。
カルシウム濃度測定液のキレート滴定用指示薬は、カルシウムとキレートを形成する指示薬であれば、特に限定されないが、アシッドアリザリン化合物が好ましい。アシッドアリザリン化合物としてはアシッドアリザリンブラック、アシッドアリザリングリーン、アシッドアリザリンブルー、アシッドアリザリンバイオレット、アシッドアリザリンレッド等を挙げることができる。このなかでもアシッドアリザリンブラックが好ましい。
カルシウム濃度測定液のキレート滴定用指示薬にアシッドアリザリンブラックを用いる場合、アシッドアリザリンブラックはpH13.0以上で加水分解を生じるため、実際の測定時に水酸化アルカリ水溶液とアシッドアリザリンブラック水溶液を混和して調製する必要性がある。アシッドアリザリンブラックはpH11.5〜13.0の領域において濃度1mg/l以下のカルシウムイオンと鋭敏に反応し、呈色を示す。アシッドアリザリンブラックの呈色反応に必要な添加量は0.0001〜0.01重量%であり、0.0001重量%未満であれば呈色せず、0.01重量%を超えると液の呈色が濃すぎて吸光光度計の透過度が悪くなり、吸光測定が困難となる。pH調整に用いる水酸化アルカリとしては水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが汎用的に使用可能である。
水酸化ナトリウムを使用する場合、48%水酸化ナトリウム溶液は外気温の低下によって凝固する可能性があり、24%水酸化ナトリウム溶液が好都合に使用できる。もちろんこれ以外の濃度のものも使用可能であるが、pH11.5未満であるとアシッドアリザリンブラックがカルシウムイオンと呈色反応を示さなくなり、逆にpH13.0以上となった場合、アシッドアリザリンブラックが加水分解するため再現性の良い吸光度測定結果が得られないため適当ではない。
ブランク水溶液に使われるキレート滴定用指示薬は、カルシウム濃度測定液のキレート滴定用指示薬と同様、カルシウムとキレートを形成する指示薬であれば、特に限定されないが、アシッドアリザリン化合物が好ましい。アシッドアリザリン化合物としてはアシッドアリザリンブラック、アシッドアリザリングリーン、アシッドアリザリンブルー、アシッドアリザリンバイオレット、アシッドアリザリンレッド等を挙げることができる。このなかでもアシッドアリザリンブラックが好ましい。
測定対象水溶液の代わりにカルシウムを含まないブランク液を調製する際にはカルシウムイオンに対する安定化定数の大きく、強くアルカリ土類金属とキレート反応する酢酸型キレート剤が好ましい。
酢酸型キレート剤としてはエチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸等を挙げることができる。特に、エチレンジアミン四酢酸が好ましい。
エチレンジアミン四酢酸を用いる場合、エチレンジアミン四酢酸は難水溶性のため、水溶液を調製するには専ら二ナトリウム塩が多用される。ブランク水溶液に添加するエチレンジアミン四酢酸の濃度及び量は、エチレンジアミン四酢酸とアルカリ土類金属類は1:1のモル比でキレート反応を生じることから、カルシウム濃度を測定しようとする測定対象水溶液中に含まれると想像されるアルカリ土類金属の総量から推量し、当モル以上の量を添加するようにする。
酢酸型キレート剤としてはエチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸等を挙げることができる。特に、エチレンジアミン四酢酸が好ましい。
エチレンジアミン四酢酸を用いる場合、エチレンジアミン四酢酸は難水溶性のため、水溶液を調製するには専ら二ナトリウム塩が多用される。ブランク水溶液に添加するエチレンジアミン四酢酸の濃度及び量は、エチレンジアミン四酢酸とアルカリ土類金属類は1:1のモル比でキレート反応を生じることから、カルシウム濃度を測定しようとする測定対象水溶液中に含まれると想像されるアルカリ土類金属の総量から推量し、当モル以上の量を添加するようにする。
測定対象水溶液、またはブランク水溶液にそれぞれカルシウム濃度測定液としてpH調整のための水酸化アルカリ水溶液、キレート滴定指示薬としてアシッドアリザリン化合物の水溶液を加え、カルシウム濃度測定の妨害となるアルカリ土類金属を水酸化物として沈殿除去を行い、アシッドアリザリン化合物、若しくはブランク水溶液に含まれる酢酸型キレート剤がカルシウムイオンと十分にキレート呈色反応を生じた後、カルシウム濃度測定液の吸光度を極大吸収波長(λmax)である500〜700ナノメートルの波長領域において吸光光度計によって測定する。これらの結果の差及び濃度既知のカルシウム濃度標準液を同様にカルシウム濃度測定液で呈色反応させた結果から、検量線を作成して測定対象水溶液に含まれるカルシウム濃度を求める。しかしながら測定対象水溶液とカルシウム濃度標準液を接触させて抵触させた測定液は、吸光光度計で得られた測定結果に上述の通り測定対象水溶液に夾雑するカルシウムイオン以外のアルカリ土類金属イオン(マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等)も同様にキレート反応を生じた呈色を含んでいる。
アシッドアリザリンブラックを用いた場合、夾雑するカルシウム以外のアルカリ土類金属イオンを水酸化アルカリで完全に水酸化物として沈殿除去するためには測定液のpHを13.2以上にする必要性があるが、このpHにおいてアシッドアリザリンブラックが加水分解を生じて測定結果に誤差を与えることは前述の通りである。よって吸光光度計で得られた結果は測定対象水溶液中に含まれるカルシウムを含むアルカリ土類金属の総量をカルシウム当量として示している。
アシッドアリザリンブラックを用いた場合、夾雑するカルシウム以外のアルカリ土類金属イオンを水酸化アルカリで完全に水酸化物として沈殿除去するためには測定液のpHを13.2以上にする必要性があるが、このpHにおいてアシッドアリザリンブラックが加水分解を生じて測定結果に誤差を与えることは前述の通りである。よって吸光光度計で得られた結果は測定対象水溶液中に含まれるカルシウムを含むアルカリ土類金属の総量をカルシウム当量として示している。
以下に、本発明の水溶液中の微量カルシウム濃度の定量方法について、実施例によって具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
ICP発光分析計での吸光光度分析で得た測定結果と、カルシウム濃度標準液を用いた測定結果から、以下の式を換算式(検量線)として用いることができる。
Ca(ppb)=1.0xCa+0.3xMg+0.1xSr+0.0xBa
Ca:ICP発光分析計で得られたCa濃度
Mg:ICP発光分析計で得られたMg濃度
Sr:ICP発光分析計で得られたSr濃度
Ba:ICP発光分析計で得られたBa濃度
上記換算式において、塩化アルカリ電解の測定対象水溶液中のバリウムイオンの呈色変化の程度が他のイオン種と比べて著しく低くい値を示すため、バリウムイオン濃度がゼロになる式(0.0xBa)で表わす。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
Ca(ppb)=1.0xCa+0.3xMg+0.1xSr+0.0xBa
Ca:ICP発光分析計で得られたCa濃度
Mg:ICP発光分析計で得られたMg濃度
Sr:ICP発光分析計で得られたSr濃度
Ba:ICP発光分析計で得られたBa濃度
上記換算式において、塩化アルカリ電解の測定対象水溶液中のバリウムイオンの呈色変化の程度が他のイオン種と比べて著しく低くい値を示すため、バリウムイオン濃度がゼロになる式(0.0xBa)で表わす。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
実施例1
100ml容メスフラスコに原子吸光分析用カルシウム標準液1000μlを計り取り、イオン交換水で100mlにメスアップして10ppmカルシウム標準液を調製した。別の100ml容メスフラスコにアシッドアリザリンブラック100mgを精秤し、イオン交換水で100mlにメスアップして0.1%アシッドアリザリンブラック水溶液を調製した。比色管6本に10ppmカルシウム標準液それぞれ0,500,1000,2000,4000,5000μlを加え、更に6N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.6に調整後、0.1%アシッドアリザリンブラック1500μlを加えた後、イオン交換水で60mlにメスアップし、よく混合して吸光光度分析に供した。カルシウム標準液を加えていないサンプルをセルに満たして零点調整を行い、その後サンプルを順次測定した。その結果カルシウム濃度が500ppbまでの濃度範囲で相関係数が0.9972の良い相関関係が得られた。
100ml容メスフラスコに原子吸光分析用カルシウム標準液1000μlを計り取り、イオン交換水で100mlにメスアップして10ppmカルシウム標準液を調製した。別の100ml容メスフラスコにアシッドアリザリンブラック100mgを精秤し、イオン交換水で100mlにメスアップして0.1%アシッドアリザリンブラック水溶液を調製した。比色管6本に10ppmカルシウム標準液それぞれ0,500,1000,2000,4000,5000μlを加え、更に6N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.6に調整後、0.1%アシッドアリザリンブラック1500μlを加えた後、イオン交換水で60mlにメスアップし、よく混合して吸光光度分析に供した。カルシウム標準液を加えていないサンプルをセルに満たして零点調整を行い、その後サンプルを順次測定した。その結果カルシウム濃度が500ppbまでの濃度範囲で相関係数が0.9972の良い相関関係が得られた。
実施例2
測定対象水溶液として塩化アルカリ電解に用いる飽和塩水を用い、これを80ml、希釈用のイオン交換水21.4ml、カルシウム濃度測定液として24%水酸化ナトリウムを加えてpH12.6に調整後、キレート滴定用指示薬である0.6%アシッドアリザリンブラック水溶液1.8mlを加え、良く攪拌したものを吸光光度分析に供した。比較用のブランク水溶液として、同様に塩化アルカリ電解に用いる飽和塩水80mlと希釈用のイオン交換水13ml、1/12500Mのエチレンジアミン四酢酸水溶液8.4mlを加えたものに、上記同様カルシウム濃度測定液として24%水酸化ナトリウムを加えてpH12.6に調整後、とキレート滴定用指示薬である0.6%アシッドアリザリンブラック水溶液1.8mlを加え、良く攪拌したものを吸光光度分析に供した。換算式よりカルシウム濃度は0.157ppmであった。
測定対象水溶液として塩化アルカリ電解に用いる飽和塩水を用い、これを80ml、希釈用のイオン交換水21.4ml、カルシウム濃度測定液として24%水酸化ナトリウムを加えてpH12.6に調整後、キレート滴定用指示薬である0.6%アシッドアリザリンブラック水溶液1.8mlを加え、良く攪拌したものを吸光光度分析に供した。比較用のブランク水溶液として、同様に塩化アルカリ電解に用いる飽和塩水80mlと希釈用のイオン交換水13ml、1/12500Mのエチレンジアミン四酢酸水溶液8.4mlを加えたものに、上記同様カルシウム濃度測定液として24%水酸化ナトリウムを加えてpH12.6に調整後、とキレート滴定用指示薬である0.6%アシッドアリザリンブラック水溶液1.8mlを加え、良く攪拌したものを吸光光度分析に供した。換算式よりカルシウム濃度は0.157ppmであった。
本発明の水溶液中の微量カルシウム濃度の定量方法は、既述のように、測定対象水溶液にpH調整剤及びカルシウムと呈色反応を生じるキレート滴定用指示薬を含むカルシウム濃度測定液を接触させ、該測定液の色変化及び程度を吸光光度計により測定することを特徴としており、測定対象水溶液の発生現場において濃度測定を簡易に且つ迅速に低コストで行うことが可能である。そして、測定操作が極めて簡単で判定時間も短いため、測定の場所や回数が多くなっても労力負担が少なくて済む。従って、例えば生産工程中に測定対象水溶液を採取して本方法によるカルシウム濃度測定を行って明らかな異常を発見することができれば、製品製造装置であるイオン交換膜の損傷を未然に防ぐことができ、設備の復旧費用を大幅に低減できることになり、安定した塩化アルカリ電解の操業を行うことが可能となる。
Claims (5)
- 塩化アルカリ電解用の水溶液中のカルシウムを測定する測定法において、
A)測定対象水溶液に、キレート滴定用指示薬を含むカルシウム濃度測定液を接触させて吸光光度分析をし、
B)測定対象水溶液に、酢酸型キレート剤を含むキレート滴定用指示薬をブランク水溶液として吸光光度分析し、
測定対象水溶液中に含まれるカルシウム濃度を算出することを特徴とする微量カルシウム濃度測定方法。 - カルシウム濃度測定液のキレート滴定用指示薬は、アシッドアリザリン化合物である請求項1に記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
- ブランク水溶液に、更にアシッドアリザリン化合物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微量カルシウム濃度測定方法。
- ブランク水溶液に用いる酢酸型キレート剤はエチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸である請求項1から請求項3のいずれかに記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
- 検量線を作製してカルシウム濃度を算出する請求項1から請求項4のいずれかに記載の測定対象水溶液中に含まれる微量カルシウム濃度の測定方法。
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JP2021509655A (ja) * | 2018-01-03 | 2021-04-01 | ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー | 錯体形成色素を含むジョイントコンパウンドおよびプラスターならびに方法 |
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