本発明の請求項1に係る送風装置は、空気の流れ方向における上流側にて空気を吸い込む吸込口と、前記吸込口より吸い込んだ空気を排出する排出口と、前記吸込口と前記排出口とを連通する送風路と、前記送風路の内部に備えた、前記吸込口から前記排出口へと空気を導く送風部と、前記送風部の上流側にて仕切壁を介在して前記送風路を2以上に分割する分割風路と、前記送風部と前記分割風路間に形成された吸込空間と、前記分割風路に対して配置して前記分割風路内の消音を行う能動消音部と、前記吸込空間に配置して隣接する前記分割風路の間の音の往来を防止する分割壁とを備えたものである。
これにより、隣接する分割風路間において、互いのスピーカから発生する制御音が往来することを防止することができる。すなわちクロストークの発生が防止され、マイクが隣接する分割風路のスピーカが発生する制御音を検知することなく、正確に騒音を検知することが可能となる。その結果、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
また、本発明の請求項2に係る送風装置は、前記分割壁は、前記分割風路からの音の波を遮蔽する遮蔽板である。
これにより、分割風路のスピーカから発生され、吸込空間へと放射される制御音は、分割壁である遮蔽板によって遮蔽される。すなわち、分割風路の送風機側開口部から放射された制御音が、吸込空間を伝播して隣接する分割風路内に侵入することを防止できる。これにより、クロストークの発生が防止され、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
また、本発明の請求項3に係る送風装置は、前記分割壁は、前記仕切壁の端面から前記分割風路の下流側の前記吸込空間内へ延設した遮蔽板である。
これにより、仕切壁が一方の分割風路の端面と他方の分割風路の端面間に介在することとなるので、分割風路のスピーカから発生され、分割風路の送風機側開口部から吸込空間へと放射される制御音は、遮蔽板を迂回して他方の分割風路へ到達することとなる。すなわち他方の分割風路までの距離が長くなるので、制御音が伝わりにくくなる。つまり、送風機側開口部から放射した制御音が吸込空間を伝播して隣接する分割風路内に侵入することを防止できる。これにより、クロストークの発生が防止され、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
また、本発明の請求項4に係る送風装置は、前記分割壁は、前記分割風路からの音の波を前記送風部の上流側端部にて前記送風路の中心から内壁方向に反射させる反射板である。
これにより、分割風路のスピーカから発生され、分割風路の送風機側開口部から吸込空間へと放射される制御音は、送風部の上流側端部に設けられた反射板まで到達して反射し、レンジフードの内側壁方向へと進行方向を変える。言い換えると、送風路の中央から離れる方向へと反射し、隣接する分割風路から遠ざかる方向へと進行する。その結果、送風機側開口部から放射した制御音が吸込空間を伝播して隣接する分割風路内に侵入することを防止できる。これにより、クロストークの発生が防止され、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
また、本発明の請求項5に係る送風装置は、前記送風部は、ファンと前記ファンを駆動するモータと前記ファンを内包し空気を吸い込む流入口を備えた円筒形状のケーシングとを備え、前記流入口は、前記吸込口における空気の流れ方向に対して平行に設けられ、前記反射板は、前記ケーシングの側面に接する2つの接面が前記分割風路と前記送風部との間にて交差して折り曲げ部を構成するものである。
これにより、分割風路のスピーカから発生され、分割風路の送風機側開口部から吸込空間へと放射される制御音は、送風部の上流側端部に設けられた反射板まで到達して反射し、レンジフードの内壁面方向へと進行方向を変える。これにより、クロストークの発生が防止され、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
また本発明の請求項6に係る送風装置は、前記送風部は、前記吸込口における空気の流れ方向に対して平行に流入口が設けられ、前記分割壁は、前記分割風路と送風部とを接続したものである。
これにより、断面視において吸込空間を隣接する分割風路間で分断することができるため、互いのスピーカから発生する制御音が分割壁と、分割風路もしくは送風部との隙間を通じて往来することを防止することができる。したがって、より効率よくクロストークの発生を防止することができる。また、分割壁と、分割風路もしくは送風部との隙間で気流が分岐もしくは衝突することで生じる気流の渦や乱れを抑制し、気流の渦や乱れによるノイズの発生を防止することができる。これにより、マイクは対応する分割風路の騒音のみを検知することが可能となる。その結果、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
また本発明の請求項7に係る送風装置は、前記分割壁は、前記分割風路からの音の波を前記送風部の上流側端部にて前記送風路の中心から内側壁方向に反射させる反射板と、前記分割風路からの音の波を遮蔽する遮蔽板とで構成するものである。
これにより、断面視において吸込空間を隣接する分割風路間で分断することができるため、互いのスピーカから発生する制御音が分割壁と、分割風路もしくは送風部との隙間を通じて往来することを防止することができる。したがって、より効率よくクロストークの発生を防止することができる。また、複数の分割風路から流出する気流が、分割風路もしくは送風部との隙間で分岐もしくは衝突することを抑制することができる。更に、反射板が傾斜を有することで、気流は反射板にそってなめらかに進行方向を変えることになり、ケーシングに衝突することを抑制することができる。これにより、気流の衝突によって生じる渦や乱れによるノイズの発生を防止することができ、マイクは対応する分割風路の騒音のみを検知することが可能となる。その結果、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、重複を避けるため、全図面を通して、同一の部位については同一の番号を付して二度目以降の説明を省略している。さらに、各図面において、本発明に直接には関係しない各部の詳細については説明を省略している。
(実施の形態1)
まず、図1を用いて本実施の形態に係るレンジフードの設置状態について説明する。なお、図1は、本発明の実施の形態1に係るレンジフードの設置状態を示す図である。
図1に示すように、厨房に取り付けるレンジフード1は、加熱調理機器2の上方に取り付けられている。このレンジフード1は、加熱調理機器2の上面を覆うように配置したフード部3と、このフード部3の中央上面側に突出して形成した排気部4から構成される。また、排気部4の上方(排気方向)には、ダクト9が接続されており、排気部4からの排気を例えば室外に排出するための風路を構成する。なお、図1における矢印X方向から見た際のレンジフード1の前面、すなわち調理者が調理時に向かい合うレンジフードの面をレンジフード正面と定義する。また、レンジフードの後述する送風部を操作する操作部5はフード部3のレンジフード正面側の面に配置されている。
続いて、図2を用いて本実施の形態に係るレンジフード1の構成について説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態1に係るレンジフードの概略構成を示す図である。また、図2では、理解に供するために排気部4のレンジフード正面側のパネルを外した状態を示しており、フード部3の捕集口に備えられた整流板46を点線で表している。
図2に示すように、レンジフード1は、直方体の排気部4とこの排気部4の下部(図の下方向であって、後述する上流方向)にフード部3を備えている。
排気部4は、天面6(図面の上方向であって、後述する下流方向)に開口した排出口7と、下部に開口した吸込口8を有する、縦長の直方体形状である。排出口7にダクト9を接続することで、レンジフード1の排出口7を屋外に連通させることができる。なお、ダクト9はレンジフード1には含まれない。また、吸込口8はフード部3の下流側開口部28と連通されている。
排気部4の内部には、吸込口8と排出口7とを連通する送風路40を形成している。送風路40の内部は、吸込口8から排出口7へと空気を導く送風部10と、送風部10の上流側にて仕切壁44を介在して送風路40を2以上に分割する分割風路11と、送風部10と分割風路11間に形成された吸込空間45とを備えている。分割風路11は、上流側で吸込口8と連接している。さらに、排気部4には、分割風路11に対して配置して分割風路11内の消音を行う能動消音部26を備えている。
送風部10は、送風路40の下流側で排出口7と連接している。また、送風部10は、ファン12とファン12を駆動するモータ(図示せず)とファン12を内包し、空気を吸い込む流入口15を備えたケーシング13とから構成されている。すなわち、送風部10は、排気部4の上部にあって、吸込口8と排出口7とを結ぶ送風路40内の空気を排気するものである。
なおケーシング13は、図2に示すように、ファン12の外周において、遠心方向に風路を拡大するスクロール板55とスクロール板55の端面を挟むように配置した板体から構成されている。また、ケーシング13は、スクロール板55によって形成した略円筒形状の側面と、この側面の両側に前記板体として配置した天板56と底板57とを含む構成としている(図2では底板57は天板56に対して裏側に配置されているので図示していない)。略円筒形状とは、正確な円筒形を指すものではない。つまりケーシング13における天板56や底板57は正円でなくてよく、風路を拡大するスクロール板55に合わせたものである。以下、説明のなかでケーシング13の外形において天板56と底板57の距離をケーシング13の高さと呼ぶ。
ケーシング13は排出口7に連接する吐出口14と、送風路40側に開口する流入口15とを備えている。ここで、流入口15の開口面は、ケーシング13の天板56および底板57それぞれに設けられている。なお、このように本実施の形態では両面吸込タイプのケーシング13としているが、片面吸込タイプのケーシング13としても良い。両面吸込タイプとは、円筒形状の天板56及び底板57それぞれに流入口を有する形状であり、片面吸込タイプとは天板56と底板57のいずれか一方のみに流入口15を有する形状である。本実施の形態では、排気部4内側で、流入口15の一方の開口面はレンジフード1の正面に、他方の開口面はレンジフード1の背面に面している。
図3において二つの分割風路11は、送風部10の下方(後述する上流側)に配置されている。レンフード正面視において、仕切壁44を介在して左右に並列に配置されている。さらに、二つの分割風路11の奥行きは、ケーシング13の高さよりも短く、もしくは、等しく形成している。
前述したように吸込空間45は、送風部10と分割風路11間に形成された空間であって、本実施の形態では、分割風路11は上流側を吸込口8に連接させて、送風部10は吐出口14を排出口7に連接させて、分割風路11の送風部側開口部16と送風部10のケーシング13の下端との間に通風中間空間17を設けている(詳細は後述する)。通風中間空間17は吸込空間45の一部でもある。
図2に示すようにフード部3は、天面板27と、天面板27の中央部に設けた下流側開口部28と、この天面板27の外周を囲む側壁29と、下流側開口部28の下方(図面の下方向であって、後述する上流方向)に設置する整流板46(図2において破線で示す)を備えたものである。
天面板27は、フード部3の上方(図面の上方向であって、後述する下流方向)の一面を構成する。
下流側開口部28は、断面が略正方形の開口であって天面板27の上面側に設けた排気部4の吸込口8に連通している。天面板27の縁部には、側壁29が下方(図面の下方向であって、後述する上流方向)にむけて突出しており、この側壁29と天面板27とによって、下方に開口する捕集口30を形成している。
整流板46は、下流側開口部28の下方に配置された板体である。これにより、側壁29の内側周縁と整流板46の外側周縁とによって、フード部3への空気の取り込み口となる捕集口30が形成されている。また、整流板46は、捕集口30の気流の流速を確保するために設けられており、天面板27の中央部に設けた下流側開口部28を下方から覆う構成となっている。
続いて、図3を用いて本実施の形態に係るレンジフード1の送風路40の上流側の構成について詳しく説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態1に係る分割風路近傍の側断面図である。
通風中間空間17は、図3に示すように、送風部側開口部16と、ケーシング13の下端との間に、流入口15の開口径の1/4程度の距離を開けて備えられている。通風中間空間17は、分割風路11の送風部側開口部16から流れ出た気流をケーシング13の流入口15へと滞りなく誘導するために有効である。すなわち、分割風路11は吸込口8と通風中間空間17とを連通させており、分割風路11の送風部側開口部16はケーシング13の円筒形における側面42に対面して開口している。送風部側開口部16は分割風路11の下流側端部である送風部側開口端面18に設けられたものである。そして、通風中間空間17には、ケーシング13の側面42と仕切壁44の下流側の端面である仕切壁端面47とを接続する分割壁54として遮蔽板19が備えられている。
分割風路11は周囲を仕切壁44と内壁20に囲まれており、内壁20のさらに外側には、排気部4の側面板43の内側である内側壁21が位置し、外部への騒音の放出を押さえる構成となっている。
そして、排気部4の内部でケーシング13の下方、即ち送風部10の上流側に備えられた分割風路11には、下流マイク22とスピーカ23と上流マイク24と演算制御器25とを備えた能動消音部26が設けられている。
続いて、能動消音部26の構成について詳しく説明する。能動消音部26は、図3に示すように、複数の分割風路11それぞれの内壁20に吸込口8側から順に、上流マイク24、スピーカ23、下流マイク22を備えている。加えて、下流マイク22と上流マイク24の信号から位相と振幅を調整した音声信号を生成してスピーカ23から発振させる演算制御器25を備えている。
なお、上流マイク24とスピーカ23は、分割風路11の高さ方向において中央部より吸込口8側に寄せると共に、下流マイク22は、同じく中央部より騒音源である送風部10側に寄せて設置している。結果として上流マイク24とスピーカ23とは下流マイク22に比べて送風部10から遠い位置に配置されている。
演算制御器25は、上流マイク24、スピーカ23、下流マイク22に接続されており、分割風路11と排気部4の内側壁21との間の空間に配置されている。この空間は、排気部4の内側壁21を一周する角筒形状を成しており、分割風路11の上流端から排気部4の内側壁21の方向に伸びる上流側板と、分割風路11の下流端から排気部4の内側壁21の方向に伸びる送風部側開口端面18とにより送風路40とは独立した空間を構成している。このように、送風路40とは独立した空間に演算制御器25を備えることで、煙や油煙、あるいは湯気等から隔離している。
続いて、図4を用いて、レンジフード1の動作について説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態1に係るレンジフードの側断面図である。なお図4では、理解に供するためにフード部3の捕集口に備えられた整流板46を破線で表している。
上記構成において、レンジフード1を運転させると、送風部10の動作によって、図4に破線で示すように捕集口30によって空気が捕集され、吸込口8からダクト9方向に流れる気流が発生し、調理時に下方(上流方向)から上昇してくる油煙や水蒸気を含んだ空気を捕集することとなる。
吸込口8から吸い込まれた空気は、分割風路11、通風中間空間17、流入口15、送風部10の順に送風路40を通過した後、吐出口14からダクト9を通って排気部4外へと排気される。分割風路11に能動消音部26を備えていることで、分割風路11から放射される騒音は下流マイク22で検出されて、演算制御器25によってコントロールされた逆位相の音をスピーカ23から発することとなり、送風に伴う送風部10の騒音は低減される。そして、捕集口30からは低減された騒音が放射されることになる。
以上が本実施の形態のレンジフード1の基本的な動作である。
次に本実施の形態のレンジフード1が解決するクロストーク現象について図5を用いて説明する。なお、図5は分割壁としての遮蔽板19を備えない場合の能動消音部26とケーシング13の関係を示す側断面図である。図5では、上述した分割風路11、下流マイク22、スピーカ23、上流マイク24について、それぞれ二組をそれぞれの符号にアルファベット「a」、「b」を付加して、区別する。すなわち、分割風路11は、分割風路11a、分割風路11bと表示し、分割風路11aには、下流マイク22a、スピーカ23a、上流マイク24aを備えている。同様に分割風路11aに隣接する分割風路11bには、下流マイク22b、スピーカ23b、上流マイク24bを備えている。
先述したように、下流マイク22aが検出した騒音に対し、スピーカ23aは逆位相の制御音を分割風路11a内へ放射する。この制御音は分割風路11a内を伝わる騒音に作用し、図2にて説明した捕集口30からは低減された音が放射されることとなる。ところが、このとき分割風路11aのスピーカ23aが発生する制御音の一部は図5の点線で示すように、分割風路11a内を伝わり、分割風路11aの送風部側開口部16より吸込空間45の一部である通風中間空間17へと放射される。そして、通風中間空間17へ放射された制御音は通風中間空間17内を伝わり、あるいはケーシング13の側面42で反射して隣接する分割風路11b内へと侵入する。そして、隣接する分割風路11b内の下流マイク22bや上流マイク24bがこの制御信号を検知する現象が生じる。この現象をクロストークといい、このクロストークによって隣接する分割風路11bの2つのマイク(下流マイク22b、上流マイク24b)は、それぞれが対応する分割風路11で正しく騒音を検出できなくなる。その結果、能動消音部26の制御が不安定になり、消音効果が低下することとなる。これは分割風路11aにおいてもスピーカ23bからの影響を受けたクロストークが同様に発生する。つまり、分割風路11間で音の往来が発生し、どちらの分割風路11も正しく騒音を検出できなくなる。
続いて、分割風路11間の音の往来を防止する分割壁54について、図6、図7を用いて説明する。なお、図6は本発明の実施の形態1に係るレンジフードのケーシング13周辺(分割風路11の送風部側開口部16を含む)を示す斜視図である。図7は、本発明の実施の形態1に係るレンジフードの排気部4の断面図である。
図6に示すように、遮蔽板19はケーシング13の側面42の下端部と仕切壁44の端面である仕切壁端面47とを接続している。なお、仕切壁44の端面も送風部側開口端面18と見た場合には、通風中間空間17でケーシング13の側面と分割風路11の送風部側開口端面18とを接続したものでもある。
つまり本実施の形態における分割壁はレンジフード正面視において2つの分割風路11の送風部側開口部16間を分けるように鉛直縦向きに設置された板部材の遮蔽板19である。すなわちこの遮蔽板19により、通風中間空間17において2つの分割風路11間は空間的に分断されている。これにより、図7に示すように、一方の分割風路11の送風部側開口部16から通風中間空間17へ放出された制御音は、遮蔽板19によって遮蔽されるため、他方の分割風路11内に侵入することを防ぐことができる。その結果、クロストークが発生せず、能動消音部26の効果を向上することができる。なお本実施の形態では、遮蔽板19は側面42の下部と仕切壁端面47(送風部側開口端面18)とを隙間無く接続しているが、例えば遮蔽板19の上流側端部を仕切壁端面47(送風部側開口端面18)に接続し、下流側端部は側面42に接続しない構成としてもよい。あるいは遮蔽板19の下流側端部を側面42に接続し、上流側端部は仕切壁端面47(送風部側開口端面18)には接続しない構成としてもよい。この構成でも、分割風路11間の音の往来をある程度防止することができる。
以上のように、通風中間空間17でケーシング13の側面と仕切壁44の端面である仕切壁端面47とを接続するように、遮蔽板19を備えることで、高い消音性能を確保したレンジフード1を実現することができるのである。
(実施の形態2)
続いて、図8および図9を用いて本実施の形態2に係るレンジフードについて説明する。なお、図8は、本発明の実施の形態2に係るレンジフードのケーシング周辺の断面図であり、図9は本発明の実施の形態2に係るレンジフードの排気部の断面図である。
図8に示すように、実施の形態2のレンジフードでは、換気風量をより多くするために、実施の形態1の分割風路11に換えて風路断面積のより大きな分割風路48を備えたものである。風路断面積を大きくするために、分割風路48の奥行きを送風部10のケーシング13の高さ(天板56と底板57の距離)よりも大きくし、かつ平面視においてケーシング13の高さは、二つの分割風路48奥行き内に含まれるように配置したものである。
本実施の形態の分割壁54である遮蔽板49は、仕切壁44の端面から分割風路48の下流側の吸込空間45内へ延設したものである。
一例として、遮蔽板49は、図9に示すように、仕切壁端面47からケーシング13の側面42の下端へ延設した垂直板50と、その垂直板50の頂部に位置する端面で略水平に延設した水平板51とから構成されている。水平板51は、流入口15よりも外周側で、ケーシング13の天面もしくは底面に対して垂直に配置した部材でもある。すなわち、正面側から見た断面形状において、遮蔽板49の形状は、仕切壁44の端面から鉛直方向に伸びて先端で水平方向に広がる略「T」の字形状である。
この遮蔽板49はレンジフード正面視したときに二つの分割風路48のそれぞれ仕切壁44よりも内側壁21側で、送風部側開口端面18より下流かつ流入口15よりも外周側で囲われる分割吸込空間52を通るように配置されている。言い換えると、遮蔽板49は仕切壁44の端面からケーシング13の側面42の下端部まで延設し、そこから互いに離れ、隣接する分割風路48から遠ざかるように構成されている。
上記構成において、吸込口8から送風部側開口部16を見る方向で見たときに、遮蔽板49は分割風路48の断面と一部重なっている領域が存在する。この遮蔽板49により、吸込空間45において2つの分割風路48間の最短距離を長くすることができる。また、音波は進行する距離が長くなるにつれて減衰していく。すなわち、図9に示すように、一方の分割風路48の送風部側開口部16から吸込空間45へ放出された制御音は、遮蔽板49によって他方の分割風路48に到達するまでに十分減衰していることになる。その結果、クロストークが発生しにくくなり、能動消音装置の効果を向上することができる。また、分割壁として遮蔽板49を仕切壁端面47からケーシング13の側面42の下端へ延設した垂直板50と、その垂直板50の頂部に位置する端面で略水平に延設した水平板51とから構成することにより、風路断面積を大きくするために、分割風路48の奥行きを送風部10のケーシング13の高さよりも大きくした場合にも水平板51によって分割風路48間の最短距離を長くすることができる。そして、クロストークが発生しにくくなり、能動消音装置の効果を向上することができる。
なお本実施の形態では、遮蔽板49は仕切壁端面47から鉛直方向に伸びて先端で略水平方向に広がる略「T」の字形状であるが、前記先端から水平方向ではなく所定の角度をもって上方に広がる略「Y」の字構成や仕切壁端面47から直接、所定の角度を持って2方向へ広がる略「V」の字構成にしてもよい。これらの構成でも同様の効果が得ることができる。
また、排気部4の高さを低くする要望に対応して、吸込空間45に含まれる通風中間空間17の鉛直縦方向の距離を短く形成した場合には、図10に示すように垂直板50を短くして水平板51を流入口15の外周に接するように配置することで、2つの分割風路48間の最短距離を長くすることができる。この場合、垂直板50は切欠き部53を設けてこの切欠き部53へケーシング13の一部が入り込むこととなる。
以上のように、仕切壁端面47とケーシング13の側面42の下端部を通る部材とその先端から互いに離れるように伸ばした部材とで構成された遮蔽板49を備えることで、高い消音性能を確保したレンジフード1を実現することができるのである。
(実施の形態3)
続いて、図11および図12を用いて本実施の形態3に係るレンジフードについて説明する。なお、図11は、本発明の実施の形態3に係るレンジフードのケーシング周辺の断面図であり、図12は本発明の実施の形態3に係るレンジフードの排気部の断面図である。
図11に示すように、実施の形態3におけるレンジフードでは、通風中間空間17に折り曲げ部31を有する反射板32を設けている。つまりこの反射板32が分割壁54として機能する。反射板32において、折り曲げ部31を挟む2つの接面はケーシング13の側面42にそれぞれ接しており、折り曲げ部31はケーシング13の下端部と分割風路11の送風部側開口端面18との間、つまり通風中間空間17に配置されている。すなわち、図12に示すように、反射板32はレンジフード正面視において、略「く」の字形状であり、下流側に向けて広がるように傾斜を有している。さらに、折り曲げ部31は分割風路11の延長上において、2つの分割風路11の断面の中央に配置されている。この配置により接面は、送風方向に向かう騒音を内側壁21側に反射する方向に向けられる。
これにより、一方の分割風路11の送風部側開口部16から通風中間空間17へ放出された制御音は、送風部10の上流側端部に設けられた反射板32まで到達して反射し、レンジフード1の内側壁21方向へと進行方向を変える。言い換えると、送風路の中央から離れる方向へと反射し、隣接する分割風路11から遠ざかる方向へと進行する。その結果、送風部側開口部16から放射した制御音が通風中間空間17を伝播して隣接する分割風路11内に侵入することを防止できる。これにより、クロストークの発生が防がれ、マイクが隣接する分割風路11の制御音を検知することなく、正確に対応する分割風路11の騒音のみを検知することが可能となり、能動消音装置の消音効果を向上することができる。
以上のように、分割壁54として通風中間空間17に折り曲げ部31を有する反射板32を備えることで、高い消音性能を確保したレンジフード1を実現することができるのである。
(実施の形態4)
続いて、図13を用いて本実施の形態4に係るレンジフードについて説明する。なお、図13は、本発明の実施の形態4に係るレンジフードの排気部の断面図である。
図13に示すように、実施の形態4におけるレンジフードでは、通風中間空間17に折り曲げ部31を有する反射板32と、反射板32の下流側に設けた遮蔽板19によって、分割壁54を構成している。折り曲げ部31を挟む反射板32の2つの接面はケーシング13の側面に接しており、折り曲げ部31はケーシング13の下端部と分割風路11の送風部側開口端面18との間に配置されている。更に反射板32の最下端部である折り曲げ部31と分割風路11の送風部側開口端面18とを接続するように、遮蔽板19が備えられている。
これにより、一方の分割風路11の送風部側開口部16から通風中間空間17へ放出された制御音は、送風部10の上流側端部に設けられた反射板32まで到達して反射し、レンジフード1の内側壁21方向へと進行方向を変える。言い換えると、送風路の中央から離れる方向へと反射し、隣接する分割風路11から遠ざかる方向へと進行する。また、反射板32と分割風路11の送風部側開口端面18間の隙間を遮蔽板19によって遮蔽しているため、隙間を通じて音が隣接する分割風路11側へと進行することを抑制することができる。その結果、送風部側開口部16から放射した制御音が通風中間空間17を伝播して隣接する分割風路11内に侵入することを防止できる。
また、分割風路11の送風部側開口端面18からケーシング13を遮蔽板19と反射板32によって構成される分割壁54により接続することにより、隣接する2つの分割風路11の送風部側開口部16から流出する気流が通風中間空間17で衝突することを抑制することができる。更に、反射板が下流側に向けて広がるように傾斜を有することで、気流は反射板にそってなめらかに進行方向を変えることになり、ケーシングに衝突することを抑制することができる。これにより、気流の衝突によって生じる気流の渦や乱れを抑制することができる。その結果、気流の渦や乱れによるノイズの発生を防止することができ、マイクは正確に騒音のみを検知することが可能となる。
以上のように、通風中間空間17に分割壁54として、通風中間空間17に折り曲げ部31を有する反射板32と、折り曲げ部31と送風部側開口端面18とを接続する遮蔽板19とを備えることで、高い消音性能を確保したレンジフード1を実現することができるのである。
(実施の形態5)
続いて、図14を用いて本実施の形態5に係るレンジフードについて説明する。なお、図14は、本発明の実施の形態5に係るレンジフードの排気部の断面図である。
図14に示すように、実施の形態5におけるレンジフードでは、送風部10の流入口15は吸込口8側から見て垂直に設けられている。そして、通風中間空間17に分割風路11の送風部側開口端面18から送風部10の流入口15に向かって鉛直縦向きに分割壁54としての遮蔽板19を備えたものである。遮蔽板19は隣接する分割風路11の送風部側開口部16の中央において、送風部側開口端面18と接続された板部材である。
図14に示すように、一方の分割風路11の送風部側開口部16から通風中間空間17へ放出された制御音は遮蔽板19によって遮蔽されるため、遮蔽板19の端部で回折して他方の分割風路11の送風部側開口部16まで進行する。すなわち、一方の分割風路11の送風部側開口部から他方の分割風路11まで制御音が到達する距離が長くなる。また、音は進行するにつれ減衰していく。すなわち、一方の分割風路11の送風部側開口部16から通風中間空間17へ放出された制御音は、他方の分割風路の送風部側開口部に到達するまでに十分に減衰していることとなる。その結果、互いのマイクが隣接する分割風路11からの制御音を検出することなく、能動消音装置の効果を向上することができる。
また、分割風路11の送風部側開口端面18と遮蔽板19とを接続することにより、隣接する2つの分割風路11の送風部側開口部16から流出する気流が通風中間空間17で衝突することを抑制することができる。これにより、気流の衝突によって生じる気流の渦や乱れを抑制することができる。その結果、気流の渦や乱れによるノイズの発生を防止することができ、マイクは正確に騒音のみを検知することが可能となる。
以上のように、通風中間空間17に分割壁54として、遮蔽板19を備えることで、高い消音性能を確保したレンジフード1を実現することができるのである。
(変形例)
以上、送風装置の中でも特に消音が必要とされる一例として、レンジフードの消音技術について説明を行った。しかしながら、本発明はレンジフードに限定する必要は無く、空気清浄機や除湿機、換気扇など、送風により騒音が発生する送風装置であれば適用することができる。
また、上述した実施の形態では、2つの分割風路11から構成されているが、消音対象の周波数帯域に応じて分割風路11の数を増やしても良い。