JP2016154607A - 成分濃度測定装置および測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】血液グルコース濃度等の成分濃度を高い精度で測定する装置を提供する。【解決手段】レーザダイオード1−1,1−2は、異なる波長の2波の光を同一周波数で且つ異なる位相の信号により強度変調して被測定物13に照射する。情報処理装置12aは、レーザダイオード1−2から放射される光のパワーを変化させて、2つの光のパワーと、ロックインアンプ11から出力される電気信号の強度と、2つの光のパワーを制御するための2つの変調電圧のうちの一方とを測定し、電気信号の強度が最低となったときの変調電圧の値から、この変調電圧に対応する2つの光のパワーを求めてこれらのパワーの差を計算し、異なる2つの時点におけるパワーの差の変化量を光パワー変化量として、光パワー変化量から被測定物13に含まれる測定対象の成分の濃度を導出する。【選択図】図1

Description

本発明は、水溶液中の成分の濃度測定、あるいは血液の血漿中に存在する成分の濃度測定にも適用可能な、光音響法により成分濃度を測定する成分濃度測定装置および測定方法に関するものである。
糖尿病予防のためには、糖尿病患者の血糖値を連続的に監視することが重要となる。血糖値の監視では、血液中に存在するグルコース濃度を正確に測定する必要がある。この測定の方法として、光音響法がある。光音響法による測定によれば、連続的な血液中のグルコース濃度の監視が可能となる。また、光音響法の測定は、糖尿病患者にとって無痛であり、血液サンプルを必要とせず、糖尿病患者に不快感を与えることがない。また、光音響法の測定では、他の光学的な測定方法と比較し、散乱メディアによる効率の悪化がなく、光学と音響学の結合により高感度の特性を得ることができる。
光音響法には、パルス(pulse)法と連続波(continuous-wave、以下CWとする)法の2つの方式がある。これらの光音響法では、音響波の振幅が成分濃度と比例することを利用して、成分濃度を定量している。しかしながら、まず、パルス法には、高感度を得るために高い光パワーを使わなければいけないという欠点がある。これに対し、CW法は、高い光パワーを必要としないが、反射表面のところの特性が変わると信号強度も変わる、すなわち再現性がないという欠点があった。しかし、高い光パワーは人体にとって安全性の面で問題になる可能性があるので、CW法を採用することが好ましい(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
ところで、CW法により血液中のグルコース濃度を測定する技術として、発明者らは、周波数シフト(frequency shift、以下FSとする)法、および光パワーバランスシフト(Optical power balance shift、以下OPBSとする)法の2つを提案し、さらに、いくつかの光波長を用いてOPBS法による測定を行い、FS法と組み合わせる方法を提案した。
まず、FS法について説明する。血液中のグルコースなどの特定成分の濃度変化に応じ、CW法の測定により得られる測定信号の位相情報は、濃度変化に応じて周波数軸に沿ってシフトする。時間の経過と共に血液中のグルコース濃度が減少した場合には、位相情報は低周波側へとシフトし、グルコース濃度が増加した場合には、位相情報は高周波側へとシフトする。このように、測定信号の位相情報は周波数シフトだけを受ける。FS法では、上述した位相情報に基づいて測定信号の周波数の変化量を求め、この周波数の変化量から血液中の特定成分の濃度の正確な測定を行う(特許文献4参照)。
一方、OPBS法では、光波長が異なり位相差がπの2つの光ビームのパワーを増減させながら、光音響信号の振幅が極小な箇所の位相の変曲点を探し、この探索結果から血液中に溶解している分子濃度を求める。図10はOPBS法による従来の成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。この成分濃度測定装置は、レーザ光を放射するレーザダイオード1−1,1−2と、レーザダイオード1−1,1−2を駆動するレーザドライバ2と、レーザダイオード1−1,1−2から放射されたレーザ光を導く光ファイバ3−1,3−2と、レーザダイオード1−1,1−2から放射されたレーザ光を合波する光カプラ4と、光カプラ4によって合波されたレーザ光を導く光ファイバ5と、被測定物13を収容するケースである光音響セル6と、レーザ光を透過させるガラス製の光学窓7と、光音響効果によって被測定物13から発生する光音響信号を検出し、音圧に比例した電気信号に変換する音響センサ8と、音響センサ8から出力された電気信号を増幅する増幅器9と、参照信号を発生する関数発生器10と、増幅器9の出力信号と関数発生器10から出力された参照信号とを入力として、増幅器9の出力信号から所望の周波数の測定信号を検出するロックインアンプ11と、関数発生器10およびロックインアンプ11を制御すると共に、ロックインアンプ11が検出した測定信号を処理して特定の成分濃度を導出するコンピュータからなる情報処理装置12とから構成される。
従来のOPBS法では、レーザダイオード1−1,1−2から放射する2つの光ビームのうち一方の光ビームのパワーを、関数発生器10からの出力を調節することで変えながら、光音響信号強度が最低となる光パワーを探すことで、光パワーの変化量より血液中のグルコース濃度などの成分濃度の正確な測定を行う(特許文献5参照)。
ところで、上述したFS法は高感度であるが、測定信号の位相情報の周波数シフトのレスポンスは光の波長や音響モードにかかわらず一定となっている。このため、温度やアルブミン濃度などの他成分の全てのパラメータが、測定の間は一定レベルで維持されていないと、FS法では、正しいグルコース濃度を測定することができない。しかしながら、上述した他成分のパラメータは、連続したグルコース濃度測定において短時間の間に変化する。また、FS法は、グルコース選択性が低い。このように、FS法では、温度やアルブミンなどのグルコース以外の成分の状態が変化する環境では、グルコース濃度を正確に測定できないという問題がある。
そこで、発明者らは、グルコース以外の他成分に特異な応答が得られるOPBS法とFS法とを組み合わせることを検討した。ただし、光吸収測定を基にしたOPBS法の応答は、使用される2つの光ビームの波長に依存する。このため、発明者らは、鋭意検討の結果、いくつかの光波長を用いてOPBS法による測定を行い、FS法と組み合わせる方法を提案した(特許文献6参照)。
特開2008−125542号公報 特開2008−125543号公報 特開2008−145262号公報 特開2012−026852号公報 特許第5411180号公報 特開2014−50563号公報
以上のように、発明者らは、CW法により血液中のグルコース等の濃度を測定する技術として、FS法、OPBS法、OPBS法とFS法を組み合わせる方法を提案した。
これらの方法の目指している適用対象を考えると、血液中の特定成分の濃度を高精度に測定する方法が必要である。例えば、提案した方法を用いて血糖センサを実現したときに、実際には患者の血糖値レベルが低いにも拘わらず、血糖センサの測定結果が大きな値を示してしまうと、糖尿病の患者にインスリンが注射されることになり、患者が死亡してしまう可能性がある。
FS法を単独で用いる場合には上記のような問題点があるので、OPBS法、あるいはOPBS法とFS法を組み合わせる方法を用いるのが有効である。しかしながら、グルコースを溶かした水溶液サンプルにおけるグルコース濃度をOPBS法により測定する実験では、測定結果のばらつきが大きく、さらに再現性が乏しいことが判明した。その原因の一つとして、光源であるレーザダイオードの出力の安定性が十分でないことが考えられる。
そこで、光源を安定化させる装置構成を実現し、測定のばらつきを抑えて精度向上を達成することを試みた。測定精度を確かめるために実験室で水溶液サンプルを用いて測定を行ったが、測定結果のばらつきが多く、光源の安定化による方法では、高精度測定が難しいことが分かった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、血液グルコース濃度等の成分濃度を高い精度で測定することができる成分濃度測定装置および測定方法を提供することを目的とする。
本発明の成分濃度測定装置は、互いに異なる波長の2波の光を同一の周波数で且つ異なる位相の参照信号によりそれぞれ強度変調して被測定物に照射する光照射手段と、2つの強度変調光のパワーを制御するための2つの変調電圧のうち一方の変調電圧を変化させることにより、一方の光のパワーを漸次変化させる光パワー制御手段と、光照射によって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する光音響信号検出手段と、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち少なくとも一方の光のパワーを測定する光パワー測定手段と、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、前記光音響信号検出手段から出力される電気信号の強度を測定する信号強度測定手段と、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、前記一方の変調電圧を測定する電圧測定手段と、前記光パワー測定手段と前記信号強度測定手段と前記電圧測定手段の測定結果に基づいて、前記電気信号の強度が最低となったときの前記一方の変調電圧の値から、この変調電圧に対応する2つの強度変調光のパワーを求めてこれらのパワーの差を計算し、異なる2つの時点における前記パワーの差の変化量を光パワー変化量として計算する光パワー変化量算出手段と、前記光パワー変化量から前記被測定物に含まれる測定対象の成分の濃度を導出する濃度導出手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例は、さらに、前記2つの強度変調光を合波して前記被測定物に照射する光カプラと、前記光照射手段から前記光カプラまで前記2つの強度変調光を伝搬させる第1、第2の光ファイバとを備え、前記光パワー測定手段は、前記第1、第2の光ファイバを伝搬する光の一部をそれぞれ分岐させる第1、第2の光スプリッタと、この第1、第2の光スプリッタで分岐させた光をそれぞれ受光する第1、第2のフォトダイオードと、前記第1、第2のフォトダイオードの出力に含まれる信号のうち、前記参照信号によって決まる周波数の信号を検出する第1、第2のロックインアンプと、この第1、第2のロックインアンプから出力される信号を基に、前記2つの強度変調光のパワーを測定する処理手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例は、さらに、前記2つの強度変調光を合波して前記被測定物に照射する光カプラと、前記光照射手段から前記光カプラまで前記2つの強度変調光を伝搬させる第1、第2の光ファイバとを備え、前記光パワー測定手段は、前記第1、第2の光ファイバを伝搬する光の一部をそれぞれ分岐させる第1、第2の光スプリッタと、前記第1の光スプリッタで分岐させた光と前記第2の光スプリッタで分岐させた光のうちどちらか一方を選択して出力する光スイッチと、この光スイッチからの光を受光するフォトダイオードと、このフォトダイオードの出力に含まれる信号のうち、前記参照信号によって決まる周波数の信号を検出するロックインアンプと、このロックインアンプから出力される信号を基に、前記2つの強度変調光のうちどちらか一方のパワーを測定する処理手段とから構成され、前記光スイッチは、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、選択する光を切り替えるものであり、前記光パワー変化量算出手段は、前記電気信号の強度が最低となったときに前記光スイッチが選択していた方の光のパワーを前記光パワー測定手段の測定結果から求め、前記電気信号の強度が最低となったときに前記光スイッチが選択していなかった方の光のパワーを、この光が選択されていたときの前記光パワー測定手段の測定結果から内挿法または外挿法により計算することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例は、さらに、前記2つの強度変調光を合波して前記被測定物に照射する光カプラと、前記光照射手段から前記光カプラまで前記2つの強度変調光を伝搬させる第1、第2の光ファイバとを備え、前記光パワー測定手段は、前記第1、第2の光ファイバを伝搬する光の一部をそれぞれ分岐させる第1、第2の光スプリッタと、この第1、第2の光スプリッタで分岐させた光をそれぞれ受光する第1、第2のフォトダイオードと、前記第1のフォトダイオードの出力と前記第2のフォトダイオードの出力のうちどちらか一方を選択して出力する電気スイッチと、この電気スイッチの出力に含まれる信号のうち、前記参照信号によって決まる周波数の信号を検出するロックインアンプと、このロックインアンプから出力される信号を基に、前記2つの強度変調光のうちどちらか一方のパワーを測定する処理手段とから構成され、前記電気スイッチは、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、選択するフォトダイオードを切り替えるものであり、前記光パワー変化量算出手段は、前記電気信号の強度が最低となったときに前記電気スイッチが選択していた方のフォトダイオードで受光した光のパワーを前記光パワー測定手段の測定結果から求め、前記電気信号の強度が最低となったときに前記電気スイッチが選択していなかった方のフォトダイオードで受光していた光のパワーを、このフォトダイオードが選択されていたときの前記光パワー測定手段の測定結果から内挿法または外挿法により計算することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例において、前記光パワー変化量算出手段は、1回目の測定時点におけるパワーの差と2回目の測定時点におけるパワーの差をそれぞれ計算し、異なる2つの時点における前記パワーの差の変化量を光パワー変化量として計算することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定装置の1構成例において、前記濃度導出手段は、前記光パワー変化量と前記1回目の測定時点における測定対象の光吸収係数と前記2回目の測定時点における測定対象の光吸収係数変化量とから、前記2回目の測定時点における測定対象の成分の濃度を導出することを特徴とするものである。
また、本発明の成分濃度測定方法は、互いに異なる波長の2波の光を同一の周波数で且つ異なる位相の参照信号によりそれぞれ強度変調して被測定物に照射する光照射ステップと、2つの強度変調光のパワーを制御するための2つの変調電圧のうち一方の変調電圧を変化させることにより、一方の光のパワーを漸次変化させる光パワー制御ステップと、光照射によって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する光音響信号検出ステップと、前記光パワー制御ステップによる光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち少なくとも一方の光のパワーを測定する光パワー測定ステップと、前記光パワー制御ステップによる光のパワーの変化中に、前記光音響信号検出ステップで得られた電気信号の強度を測定する信号強度測定ステップと、前記光パワー制御ステップによる光のパワーの変化中に、前記一方の変調電圧を測定する電圧測定ステップと、前記光パワー測定ステップと前記信号強度測定ステップと前記電圧測定ステップの測定結果に基づいて、前記電気信号の強度が最低となったときの前記一方の変調電圧の値から、この変調電圧に対応する2つの強度変調光のパワーを求めてこれらのパワーの差を計算し、異なる2つの時点における前記パワーの差の変化量を光パワー変化量として計算する光パワー変化量算出ステップと、前記光パワー変化量から前記被測定物に含まれる測定対象の成分の濃度を導出する濃度導出ステップとを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち少なくとも一方の光のパワーと、光音響信号検出手段から出力される電気信号の強度と、2つの強度変調光のパワーを制御するための2つの変調電圧のうちの一方の変調電圧とを測定し、電気信号の強度が最低となったときの一方の変調電圧の値から、この変調電圧に対応する2つの強度変調光のパワーを求めてこれらのパワーの差を計算し、異なる2つの時点におけるパワーの差の変化量を光パワー変化量として計算して、この光パワー変化量から被測定物に含まれる測定対象の成分の濃度を導出するので、光照射手段の出力変動による測定誤差を抑制することができ、測定対象の成分の濃度を高い精度で測定することが可能になる。
また、本発明では、光パワー測定手段を、第1、第2の光スプリッタと第1、第2のフォトダイオードと第1、第2のロックインアンプと処理手段とから構成することにより、光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のパワーを測定することができる。
また、本発明では、光パワー測定手段を、第1、第2の光スプリッタと光スイッチとフォトダイオードとロックインアンプと処理手段とから構成することにより、光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち一方の光のパワーを測定することができ、また電気信号の強度が最低となったときに光スイッチが選択していなかった方の光のパワーを、この光が選択されていたときの光パワー測定手段の測定結果から内挿法または外挿法により計算することができる。本発明では、光パワー測定手段の構成を簡略化することができ、装置コストを抑えることができる。
また、本発明では、光パワー測定手段を、第1、第2の光スプリッタと第1、第2のフォトダイオードと電気スイッチとロックインアンプと処理手段とから構成することにより、光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち一方の光のパワーを測定することができ、また電気信号の強度が最低となったときに電気スイッチが選択していなかった方のフォトダイオードで受光していた光のパワーを、このフォトダイオードが選択されていたときの光パワー測定手段の測定結果から内挿法または外挿法により計算することができる。本発明では、光パワー測定手段の構成を簡略化することができ、装置コストを抑えることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る成分濃度測定装置の情報処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る成分濃度測定装置の動作を示すフローチャートである。 測定信号の強度と変調電圧との関係、および光のパワーと変調電圧との関係の1例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係る成分濃度測定装置の情報処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態における光スイッチの切替パターンを説明する図である。 本発明の第3の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る成分濃度測定装置の情報処理装置の構成を示すブロック図である。 従来の成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。
[発明の原理]
OPBS法の測定原理を簡単に説明する。OPBS法では、被測定物から超音波が発生しない点、すなわち光音響信号の強度Sが0となる点を探索するために、2波長の光のパワーを調整する。光音響信号の強度S=0の場合には、次式のような理論式が成立する。
α11−α22=0 ・・・(1)
式(1)におけるP1,P2は2波長の光のパワー、α1,α2はそれぞれ光パワーがP1,P2の光に対する被測定物の光吸収係数である。
ここで、測定したい成分の濃度が変化した場合、例えば血液グルコース濃度がCgだけ変化し、この濃度変化により光吸収係数α1,α2がそれぞれδα1,δα2だけ変化した場合、式(1)が成立する状態から式(2)の状態に変化する。
(α1+δα1g)P1−(α2+δα2g)P2≠0 ・・・(2)
S=0の状態に戻すために一方の光ビームのパワー(例えばP1)を変えると次式が成立する。
(α1+δα1g)(P1+δP1)−(α2+δα2g)P2=0 ・・・(3)
式(3)におけるδP1は光パワーP1の変化量である。式(3)より、光パワーの変化量δP1と既知の光吸収係数α1,α2および光吸収係数変化量δα1,δα2から血液グルコース濃度Cgを測ることができることが分かる。
しかし、光源の出力の安定性が良くない場合、光パワーP1,P2はレーザダイオードの駆動電圧が一定でも変化する。例えば式(1)において、光パワーP1がεだけ変化すると、次式のようになる。
α1(P1+ε)−α22≠0 ・・・(4)
式(4)の状態では、グルコース濃度が一定であっても、S=0の状態にするために一方の光ビームのパワー(例えばP1)を調整しなければならない。
α1((P1+δP1)+ε)−α22=0 ・・・(5)
したがって、光源の出力の変化が光音響信号の強度Sに与える影響とグルコース濃度の変化が光音響信号の強度Sに与える影響とは同じであり、これらの変化を測定結果のδP1から区別することはできないため、光源の出力の変化があると、グルコース濃度を正確に測ることが難しくなる。つまり、OPBS法では、光源の出力パワーを常時測定する必要がある。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の成分濃度測定装置は、レーザ光を放射するレーザダイオード1−1,1−2と、レーザダイオード1−1,1−2を駆動するレーザドライバ2と、レーザダイオード1−1,1−2から放射されたレーザ光を導く光ファイバ3−1,3−2と、レーザダイオード1−1,1−2から放射されたレーザ光を合波する光カプラ4と、光カプラ4によって合波されたレーザ光を導く光ファイバ5と、被測定物13を収容するケースである光音響セル6と、レーザ光を透過させるガラス製の光学窓7と、光音響効果によって被測定物13から発生する光音響信号を検出し、音圧に比例した電気信号に変換する光音響信号検出手段となる音響センサ8と、音響センサ8から出力された電気信号を増幅する増幅器9と、参照信号を発生する関数発生器10と、増幅器9の出力信号と関数発生器10から出力された参照信号とを入力として、増幅器9の出力信号から所望の周波数の測定信号を検出するロックインアンプ11と、関数発生器10およびロックインアンプ11を制御すると共に、ロックインアンプ11が検出した測定信号を処理して特定の成分濃度を導出するコンピュータからなる情報処理装置12aと、レーザダイオード1−1から放射され光ファイバ3−1を伝搬する光の一部を分岐させる光スプリッタ14−1と、レーザダイオード1−2から放射され光ファイバ3−2を伝搬する光の一部を分岐させる光スプリッタ14−2と、光スプリッタ14−1で分岐させた光を受光するフォトダイオード15−1と、光スプリッタ14−2で分岐させた光を受光するフォトダイオード15−2と、光スプリッタ14−1とフォトダイオード15−1とを繋ぐ光ファイバ16−1と、光スプリッタ14−2とフォトダイオード15−2とを繋ぐ光ファイバ16−2と、フォトダイオード15−1,15−2の出力信号と関数発生器10から出力された参照信号とを入力として、フォトダイオード15−1,15−2の出力信号から所望の周波数の信号を検出するロックインアンプ17−1,17−2とから構成される。
レーザダイオード1−1,1−2とレーザドライバ2と関数発生器10とは、光照射手段を構成している。情報処理装置12aと関数発生器10とは、光パワー制御手段を構成している。光スプリッタ14−1,14−2とフォトダイオード15−1,15−2と光ファイバ16−1,16−2とロックインアンプ17−1,17−2と情報処理装置12aとは、光パワー測定手段を構成している。
レーザダイオード1−1,1−2の例としては、例えば分布帰還型半導体レーザ(DFB−LD)等がある。音響センサ8の例としては、圧電センサを用いるマイクロホンがある。
図2は情報処理装置12aの構成を示すブロック図である。情報処理装置12aは、関数発生器10を制御する関数発生器制御部120と、ロックインアンプ11が検出した測定信号の周波数を測定する周波数測定部121と、測定信号の位相を測定する位相測定部122と、関数発生器10を介して光のパワーを制御する光パワー制御部123と、測定信号の周波数と位相の情報を記録する情報記録部124と、ロックインアンプ17−1,17−2から出力される信号を基に光のパワーを測定する光パワー測定処理部125と、ロックインアンプ11が検出した測定信号の強度を測定する信号強度測定部126と、2つの変調電圧のうち一方の変調電圧を測定する電圧測定部127と、異なる2つの時点における光パワー変化量を計算する光パワー変化量算出部128と、被測定物13内の特定成分(例えば血液グルコース)の濃度を導出する濃度導出部129と、情報記憶のための記憶部130とを有する。
次に、本実施の形態の成分濃度測定装置の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。初めに測定開始時の初期状態において参照レベルの決定を行うために、一方のレーザダイオード1−1のみを動作させる。被測定物13は、光音響セル6内に導入される。レーザドライバ2から駆動電流が供給されると、レーザダイオード1−1はレーザ光を放射する。このとき、レーザドライバ2から矩形波の駆動電流が供給されることにより、レーザダイオード1−1は強度変調光を放射する。レーザ光の波長λ1は例えば1384nmである。
この強度変調光は、光ファイバ3−1によって導かれ光カプラ4を通過して、さらに光ファイバ5によって導かれ、光学窓7を通って光音響セル6内の被測定物13に照射される(図3ステップS1)。
音響センサ8は、被測定物13から発生する光音響信号を検出し、増幅器9は、音響センサ8から出力された電気信号を増幅する。ロックインアンプ11は、増幅器9の出力に含まれる信号のうち、関数発生器10から出力される参照信号によって決まる周波数の測定信号を検出する。
情報処理装置12aの関数発生器制御部120は、関数発生器10が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、レーザドライバ2からレーザダイオード1−1に供給される駆動電流の周波数を変化させ、光変調周波数を漸次変化させると共に、ロックインアンプ11が検出する測定信号の周波数(光変調周波数と同一の周波数)を漸次変化させる光変調周波数掃引を行う(図3ステップS2)。こうして、音響共振ピークを探索する。
次に、ロックインアンプ11から出力される測定信号の最大振幅を見つけたときに、情報処理装置12aの周波数測定部121は、この最大振幅時の測定信号の周波数(参照周波数F0)を測定し、位相測定部122は、最大振幅時の測定信号の位相(参照位相P0)を測定する(図3ステップS3)。
情報処理装置12aの情報記録部124は、周波数測定部121が測定した参照周波数F0と位相測定部122が測定した参照位相P0とを記憶部130に記憶させる(図3ステップS4)。
次に、被測定物13に対して標準的な血糖測定法を実施し、参照血液グルコース濃度Cg0[g/dL]を得る(図3ステップS5)。これで、参照血液グルコース濃度Cg0[g/dL]で参照位相P0と参照周波数F0とが得られたことになる。標準的な血糖測定法を実施するには、血糖測定器の本体に、グルコースセンサーを差し込み、針を専用の機械(または本体)にセットして、指などから採血し、グルコースセンサーに血を吸収させる。標準的な血糖測定法は、既知濃度のグルコース液を標準校正液として機械動作確認用に用いる。初期動作時に機械が正常に動いているかを確認したり、血糖値が異常値にあるか(正常に機械が動作しているか)を確認したりするときに用いる。
次に、2つのレーザダイオード1−1,1−2を動作させて、2つの光を合波して測定を行う。レーザドライバ2から駆動電流が供給されると、レーザダイオード1−1,1−2はレーザ光を放射する。このとき、レーザドライバ2は、関数発生器10から出力される2つの参照信号に応じて、同一周波数で逆位相の矩形波の駆動電流をレーザダイオード1−1,1−2に供給することにより、レーザダイオード1−1,1−2から放射される光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ強度変調する。
レーザダイオード1−1から放射される光の波長λ1は例えば1384nm、レーザダイオード1−2から放射される光の波長λ2は例えば1610nmであり、2つのレーザダイオード1−1,1−2から放射される光の波長は異なる。2つの光のパワーは同一である。関数発生器10から出力される2つの参照信号の周波数は同一であり、位相がπ(180°)だけ異なっている。したがって、本実施の形態では、互いに異なる波長の2波のレーザ光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ強度変調して2つの強度変調光を生成することになる。
このとき、情報処理装置12aの関数発生器制御部120は、関数発生器10が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、レーザドライバ2からレーザダイオード1−1,1−2に供給される駆動電流の周波数を変化させ、光変調周波数を参照周波数F0に設定すると共に、ロックインアンプ11が検出する測定信号の周波数を参照周波数F0に設定する。
また、情報処理装置12aの光パワー制御部123は、関数発生器10を制御して、レーザダイオード1−1を駆動するための参照信号の電圧V1、レーザダイオード1−2を駆動するための参照信号の電圧V2をそれぞれ初期値に設定することにより、レーザダイオード1−1から放射される光のパワーP1、レーザダイオード1−2から放射される光のパワーP2を初期値に設定する。
レーザダイオード1−1,1−2から放射された強度変調光は、それぞれ光ファイバ3−1,3−2によって導かれ、光カプラ4によって合波され、さらに光ファイバ5によって導かれ、光学窓7を通って光音響セル6内の被測定物13に照射される(図3ステップS6)。
光スプリッタ14−1は、レーザダイオード1−1から放射され光ファイバ3−1を伝搬する光の一部を分岐させ、光スプリッタ14−2は、レーザダイオード1−2から放射され光ファイバ3−2を伝搬する光の一部を分岐させる。本実施の形態では、レーザダイオード1−1,1−2から放射される光のうち、光スプリッタ14−1,14−2で分岐させる光の割合をそれぞれ5%とし、レーザダイオード1−1から放射される光の95%とレーザダイオード1−2から放射される光の95%とが光カプラ4に入射するものとする。
光スプリッタ14−1,14−2で分岐させる光の割合は数%から数10%程度にすればよい。フォトダイオード15−1,15−2で光の出力を確認するには、光スプリッタ14−1,14−2で分岐させる光の割合は1%程度でも十分である。光音響信号の強度を大きくするためには、被測定物13に入射する光のパワーが大きい方がいいので、光スプリッタ14−1,14−2で分岐させる光の割合をそれぞれ1%とし、レーザダイオード1−1から放射される光の99%とレーザダイオード1−2から放射される光の99%とを光カプラ4に入射させるようにしてもよい。
フォトダイオード15−1は、レーザダイオード1−1から放射される光を光スプリッタ14−1および光ファイバ16−1を介して受光して電気信号に変換する。フォトダイオード15−2は、レーザダイオード1−2から放射される光を光スプリッタ14−2および光ファイバ16−2を介して受光して電気信号に変換する。ロックインアンプ17−1,17−2は、それぞれフォトダイオード15−1,15−2の出力に含まれる信号のうち、関数発生器10から出力される参照信号によって決まる周波数の電気信号を検出する。
情報処理装置12aの光パワー測定処理部125は、ロックインアンプ17−1から出力される電気信号を基に、レーザダイオード1−1から放射される光のパワーP1を測定すると共に、ロックインアンプ17−2から出力される電気信号を基に、レーザダイオード1−2から放射される光のパワーP2を測定する(図3ステップS7)。
情報処理装置12aの信号強度測定部126は、ロックインアンプ9から出力される測定信号の強度S(振幅)を測定する(図3ステップS8)。
情報処理装置12aの電圧測定部127は、関数発生器10から出力されている、レーザダイオード1−2を駆動するための参照信号の電圧V2(変調電圧)を測定する(図3ステップS9)。
情報処理装置12aの情報記録部124は、ステップS7で光パワー測定処理部125が測定した光のパワーP1,P2とステップS8で信号強度測定部126が測定した測定信号の強度SとステップS9で電圧測定部127が測定した参照信号の電圧V2とを記憶部130に記憶させる(図3ステップS10)。
予め定められた参照信号の電圧V2の範囲について測定を終えていない場合(図3ステップS11においてNO)、情報処理装置12aの光パワー制御部123は、関数発生器10を制御して、レーザダイオード1−2を駆動するための参照信号の電圧V2を変化させることにより、レーザドライバ2からレーザダイオード1−2に供給される駆動電流の大きさを変化させ、レーザダイオード1−2から放射される光のパワーP2を変化させる(図3ステップS12)。このとき、レーザダイオード1−1を駆動するための参照信号の電圧V1は一定、すなわちレーザダイオード1−1から放射される光のパワーP1は初期値のまま一定である。
こうして、予め定められた所定の電圧V2の範囲について測定を終えるまで(ステップS11においてYES)、ステップS7〜S12の処理が繰り返し実行される。
次に、測定開始時から任意の時間t経過後における測定について説明する。初めに、一方のレーザダイオード1−1のみを動作させて、1つの光のみによる測定を行う。レーザダイオード1−1から放射された強度変調光は、光ファイバ3−1によって導かれ光カプラ4を通過して、さらに光ファイバ5によって導かれ、光学窓7を通って光音響セル6内の被測定物13に照射される(図3ステップS13)。
情報処理装置12aの関数発生器制御部120は、関数発生器10が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、レーザドライバ2からレーザダイオード1−1に供給される駆動電流の周波数を変化させ、光変調周波数を参照周波数F0に設定する。さらに、関数発生器制御部120は、関数発生器10が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、光変調周波数を参照周波数F0から変化させる。
情報処理装置12aの位相測定部122は、測定信号の位相が参照位相P0となる点を探索し、情報処理装置12aの周波数測定部121は、この点における周波数F1を測定する。こうして、参照位相P0に対応する周波数F1を探索する(図3ステップS14)。なお、周波数F1は参照周波数F0の近傍に位置する。
次に、2つのレーザダイオード1−1,1−2を動作させて、2つの光を合波して測定を行う。レーザドライバ2は、関数発生器10から出力される2つの参照信号に応じて、同一周波数で逆位相の矩形波の駆動電流をレーザダイオード1−1,1−2に供給することにより、レーザダイオード1−1,1−2から放射される光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ強度変調する。
レーザダイオード1−1から放射される光の波長λ1は例えば1384nm、レーザダイオード1−2から放射される光の波長λ2は例えば1610nmである。上記と同様に、互いに異なる波長の2波のレーザ光を同一周波数で逆位相の信号によりそれぞれ強度変調して2つの強度変調光を生成する。
情報処理装置12aの関数発生器制御部120は、関数発生器10が発生する参照信号の周波数を変化させることにより、レーザドライバ2からレーザダイオード1−1,1−2に供給される駆動電流の周波数を変化させ、光変調周波数を周波数F1に設定すると共に、ロックインアンプ11が検出する測定信号の周波数を周波数F1に設定する。
また、情報処理装置12aの光パワー制御部123は、関数発生器10を制御して、レーザダイオード1−1を駆動するための参照信号の電圧V1、レーザダイオード1−2を駆動するための参照信号の電圧V2をそれぞれ初期値に設定することにより、レーザダイオード1−1から放射される光のパワーP1、レーザダイオード1−2から放射される光のパワーP2を初期値に設定する。
レーザダイオード1−1,1−2から放射された強度変調光は、それぞれ光ファイバ3−1,3−2によって導かれ、光カプラ4によって合波され、さらに光ファイバ5によって導かれ、光学窓7を通って被測定物13に照射される(図3ステップS15)。
図3のステップS16,S17,S18,S19,S20,S21の処理は、ステップS7,S8,S9,S10,S11,S12と同じである。
こうして、予め定められた所定の電圧V2の範囲について測定を終えるまで(ステップS20においてYES)、ステップS16〜S21の処理が繰り返し実行される。
次に、情報処理装置12aの光パワー変化量算出部128は、光パワー変化量δP2を計算する(図3ステップS22)。
図4(A)〜図4(C)は本実施の形態における特定成分の濃度の導出方法を説明するための図であり、図4(A)は測定信号の強度S(振幅)とレーザダイオード1−2を駆動するための参照信号の電圧V2(変調電圧)との関係を示す図、図4(B)はレーザダイオード1−1から放射される光のパワーP1と変調電圧V2との関係を示す図、図4(C)はレーザダイオード1−2から放射される光のパワーP2と変調電圧V2との関係を示す図である。図4(A)〜図4(C)に示したような関係が測定開始時点と、測定開始時から任意の時間t経過後の時点の各々について得られている。
光パワー変化量算出部128は、測定開始時点において得られた図4(A)の関係から、測定信号の強度Sが最低となった点(図4(A)の点40)における変調電圧V2の値を求める。以下、この変調電圧V2の値をV2(t=0)とする。そして、光パワー変化量算出部128は、測定開始時点において得られた図4(B)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1の値(図4(B)の点41におけるパワーの値)を求め、さらに測定開始時点において得られた図4(C)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2の値(図4(C)の点42におけるパワーの値)を求める。以下、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1の値をP1(t=0)とし、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2の値をP2(t=0)とする。
同様に、光パワー変化量算出部128は、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた図4(A)の関係から、測定信号の強度Sが最低となったときの変調電圧V2の値を求める。以下、この変調電圧V2の値をV2(t)とする。そして、光パワー変化量算出部128は、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた図4(B)の関係から、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1の値を求め、さらに任意の時間t経過後の時点において得られた図4(C)の関係から、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2の値を求める。以下、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1の値をP1(t)とし、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2の値をP2(t)とする。
こうして、光パワー変化量算出部128は、測定開始時点における光のパワーP1(t=0)とパワーP2(t=0)と、測定開始時から任意の時間t経過後の時点における光のパワーP1(t)とパワーP2(t)とを求めることができ、光パワー変化量δP2=P2(t)−P2(t=0)とδP1=P1(t)−P1(t=0)を求めることができる(ステップS22)。
レーザダイオード1−1から放射される光のパワーP1と、レーザダイオード1−2から放射される光のパワーP2を変化させるとき、式(3)に相当する次式が得られる。
(α1+δα1g)(P1+δP1)−(α2+δα2g)(P2+δP2)=0
・・・(6)
式(6)より次式が得られる。
Figure 2016154607
情報処理装置12aの濃度導出部129は、光パワー変化量δP1と測定開始時点における光のパワーP1(t=0)(式(7)ではP1)と光パワー変化量δP2と測定開始時点における光のパワーP2(t=0)(式(7)ではP2)と光吸収係数α1,α2と光吸収係数変化量δα1,δα2とから式(7)により被測定物13内の特定成分(例えば血液グルコース)の濃度の変化量Cg=(Cg(t)−Cg0)を計算する(図3ステップS23)。
なお、光吸収係数α1,α2と光吸収係数変化量δα1,δα2とは、光吸収スペクトル測定から求めることができる。図示しない光吸収スペクトル測定手段は、測定開始時点の初期状態においてレーザダイオード1−1から放射される光パワーP1の光について被測定物13の光吸収スペクトル測定を行い、このスペクトルから光吸収係数α1を計算する。また、光吸収スペクトル測定手段は、測定開始時から任意の時間t経過後の時点においてレーザダイオード1−1から放射される光パワーP1の光について被測定物13の光吸収スペクトル測定を行い、このスペクトルから光吸収係数を計算し、この光吸収係数と初期状態の光吸収係数α1との差を求めることで光吸収係数変化量δα1を計算することができる。光吸収係数α2と光吸収係数変化量δα2についても同様に、レーザダイオード1−2から放射される光パワーP2の光について被測定物13の光吸収スペクトル測定を行うことで求めることができる。
最後に、濃度導出部129は、ステップS22で計算した特定成分の濃度の変化量Cg=(Cg(t)−Cg0)と既知の参照濃度(上記の例では参照血液グルコース濃度)Cg0とから、任意の時間t経過後の時点における特定成分の濃度Cg(t)を計算する(図3ステップS24)。
以上で、本実施の形態の成分濃度測定装置の処理が終了する。
本実施の形態では、光スプリッタ14−1,14−2と光ファイバ16−1,16−2とフォトダイオード15−1,15−2とロックインアンプ17−1,17−2と情報処理装置12aとを用いて、レーザダイオード1−1,1−2から放射された光のパワーを測定し、この測定結果から光パワー変化量を計算して、この光パワー変化量から被測定物13内の特定成分の濃度Cg(t)を導出するので、レーザダイオード1−1,1−2の出力変動による測定誤差を抑制することができ、特定成分の濃度Cg(t)を高い精度で測定することが可能になる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図であり、図1と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の成分濃度測定装置は、レーザダイオード1−1,1−2と、レーザドライバ2と、光ファイバ3−1,3−2と、光カプラ4と、光ファイバ5と、光音響セル6と、音響センサ8と、増幅器9と、関数発生器10と、ロックインアンプ11と、情報処理装置12bと、光スプリッタ14−1,14−2と、フォトダイオード15と、光ファイバ16−1,16−2と、ロックインアンプ17と、光スプリッタ14−1で分岐させた光と光スプリッタ14−2で分岐させた光のうちどちらか一方を選択して出力する光スイッチ18とから構成される。
本実施の形態は、第1の実施の形態において光スイッチ18を増設することで、フォトダイオード15とロックインアンプ17とを1個ずつにしたものである。
図6は本実施の形態の情報処理装置12bの構成を示すブロック図である。情報処理装置12bは、関数発生器制御部120と、周波数測定部121と、位相測定部122と、光パワー制御部123と、情報記録部124と、光パワー測定処理部125と、信号強度測定部126と、電圧測定部127と、光パワー変化量算出部128bと、濃度導出部129と、記憶部130と、光スイッチ18を制御する光スイッチ制御部131とを有している。
本実施の形態においても、成分濃度測定装置の処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図3の符号を用いて成分濃度測定装置の動作を説明する。
図3のステップS1〜S6の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。本実施の形態の情報処理装置12bの光スイッチ制御部131は、図3のステップS7〜S12の測定中に光スイッチ18を制御して、光ファイバ16−1を伝搬する光と光ファイバ16−2を伝搬する光のうちどちらか一方を選択して出力するようにしている。
フォトダイオード15は、光スイッチ18からの光を受光して電気信号に変換する。ロックインアンプ17は、フォトダイオード15の出力に含まれる信号のうち、関数発生器10から出力される参照信号によって決まる周波数の電気信号を検出する。
情報処理装置12bの光パワー測定処理部125は、ロックインアンプ17から出力される電気信号を基に光のパワーPを測定する(図3ステップS7)。図3のステップS8,S9の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。
情報処理装置12bの情報記録部124は、ステップS7で光パワー測定処理部125が測定した光のパワーPとステップS8で信号強度測定部126が測定した測定信号の強度SとステップS9で電圧測定部127が測定した参照信号の電圧V2とを記憶部130に記憶させる(図3ステップS10)。図3のステップS11,S12の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。
図7(A)〜図7(D)は本実施の形態における光スイッチ18の切替パターンを説明する図である。図7(A)〜図7(D)において、Ch1は光ファイバ16−1を伝搬する光(レーザダイオード1−1から放射された光)を選択することを示し、Ch2は光ファイバ16−2を伝搬する光(レーザダイオード1−2から放射された光)を選択することを示している。
図3のステップS7〜S12の測定中に、最初に光ファイバ16−1を伝搬する光を選択し、続いて光ファイバ16−2を伝搬する光を選択し、最後に光ファイバ16−1を伝搬する光を再び選択すると、情報処理装置12bの光パワー測定処理部125で測定される光のパワーPと電圧測定部127で測定される変調電圧V2との関係は図7(A)のようになる。また、ステップS7〜S12の測定中に、最初に光ファイバ16−2を伝搬する光を選択し、続いて光ファイバ16−1を伝搬する光を選択し、最後に光ファイバ16−2を伝搬する光を再び選択すると、測定される光のパワーPと変調電圧V2との関係は図7(B)のようになる。
また、ステップS7〜S12の測定中に、最初に光ファイバ16−1を伝搬する光を選択し、続いて光ファイバ16−2を伝搬する光を選択すると、測定される光のパワーPと変調電圧V2との関係は図7(C)のようになる。また、ステップS7〜S12の測定中に、最初に光ファイバ16−2を伝搬する光を選択し、続いて光ファイバ16−1を伝搬する光を選択すると、測定される光のパワーPと変調電圧V2との関係は図7(D)のようになる。
図3のステップS13〜S15の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。上記と同様に、情報処理装置12bの光パワー測定処理部125は、ロックインアンプ17から出力される電気信号を基に光のパワーPを測定する(図3ステップS16)。図3のステップS17,S18,S19,S20,S21の処理は、ステップS8,S9,S10,S11,S12と同じである。
ステップS16〜S21の測定中においても、情報処理装置12bの光スイッチ制御部131は、光スイッチ18を制御して、光ファイバ16−1を伝搬する光と光ファイバ16−2を伝搬する光のうちどちらか一方を選択して出力する。光スイッチ18の切替パターンは、ステップS7〜S12の測定中の切替パターンと同じでよい。
次に、情報処理装置12bの光パワー変化量算出部128bは、光パワー変化量δP2を計算する(図3ステップS22)。ただし、本実施の形態では、光のパワーをP1またはP2のどちらか一方しか測定することができないので、内挿または外挿の手法により他方の光のパワーを求める必要がある。
例えばステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(A)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時点において得られた図4(A)の関係から、測定信号の強度Sが最低となったときの変調電圧V2(t=0)を求め、測定開始時点において得られた図7(A)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値(図7(A)の点70におけるパワーの値)を求める。
このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−2から放射された光のパワーP2(t=0)である。つまり、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1の値を測定結果から直接求めることはできない。そこで、光パワー変化量算出部128bは、光ファイバ16−2を伝搬する光を選択する以前の光パワーP1の測定結果と、光ファイバ16−2を伝搬する光を選択した後で光ファイバ16−1を伝搬する光を再度選択した後の光パワーP1の測定結果とから、内挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1(t=0)の値を計算する。
同様に、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた図4(A)の関係から、測定信号の強度Sが最低となったときの変調電圧V2(t)を求め、任意の時間t経過後の時点において得られた図7(A)の関係から、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)を求める。そして、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた光パワーP1の測定結果から、上記と同様に内挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)の値を計算する。
また、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(B)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時点において得られた図7(B)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値(図7(B)の点71におけるパワーの値)を求める。
このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−1から放射された光のパワーP1(t=0)である。つまり、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2の値を測定結果から直接求めることはできない。そこで、光パワー変化量算出部128bは、光ファイバ16−1を伝搬する光を選択する以前の光パワーP2の測定結果と、光ファイバ16−1を伝搬する光を選択した後で光ファイバ16−2を伝搬する光を再度選択した後の光パワーP2の測定結果とから、内挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2(t=0)の値を計算する。
同様に、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた図7(B)の関係から、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)を求める。そして、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた光パワーP2の測定結果から、上記と同様に内挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)の値を計算する。
また、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(C)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時点において得られた図7(C)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値(図7(C)の点72におけるパワーの値)を求める。
このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−1から放射された光のパワーP1(t=0)である。つまり、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2の値を測定結果から直接求めることはできない。そこで、光パワー変化量算出部128bは、光ファイバ16−2を伝搬する光を選択した後の光パワーP2の測定結果から、外挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2(t=0)の値を計算する。
同様に、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた図7(C)の関係から、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)を求める。そして、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた光パワーP2の測定結果から、上記と同様に外挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)の値を計算する。
また、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(D)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時点において得られた図7(D)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値(図7(D)の点73におけるパワーの値)を求める。
このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−2から放射された光のパワーP2(t=0)である。つまり、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1の値を測定結果から直接求めることはできない。そこで、光パワー変化量算出部128bは、光ファイバ16−1を伝搬する光を選択した後の光パワーP1の測定結果から、外挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1(t=0)の値を計算する。
同様に、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた図7(D)の関係から、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)を求める。そして、光パワー変化量算出部128bは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた光パワーP1の測定結果から、上記と同様に外挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)の値を計算する。
こうして、光パワー変化量算出部128bは、光のパワーP1(t=0),P2(t=0,P1(t),P2(t)の値を求めることができるので、測定開始時点における光のパワーP1(t=0)とパワーP2(t=0)との差POPBS0=P1(t=0)−P2(t=0)と、測定開始時から任意の時間t経過後の時点における光のパワーP1(t)とパワーP2(t)との差POPBS1=P1(t)−P2(t)とを求め、光パワー変化量δP2=POPBS1−POPBS0を求めることができる(図3ステップS22)。
図3のステップS23,S24の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。
以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。本実施の形態では、1個の光スイッチ18と1個のフォトダイオード15と1台のロックインアンプ17で光のパワーを測定することができるので、第1の実施の形態と比較して装置構成を簡略化することができ、装置コストを抑えることができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図8は本発明の第3の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成を示すブロック図であり、図1、図5と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の成分濃度測定装置は、レーザダイオード1−1,1−2と、レーザドライバ2と、光ファイバ3−1,3−2と、光カプラ4と、光ファイバ5と、光音響セル6と、音響センサ8と、増幅器9と、関数発生器10と、ロックインアンプ11と、情報処理装置12cと、光スプリッタ14−1,14−2と、フォトダイオード15−1,15−2と、光ファイバ16−1,16−2と、ロックインアンプ17と、フォトダイオード15−1の出力とフォトダイオード15−2の出力のうちどちらか一方を選択して出力する電気スイッチ19とから構成される。
本実施の形態は、第1の実施の形態において電気スイッチ19を増設することで、ロックインアンプ17を1台にしたものである。
図9は本実施の形態の情報処理装置12cの構成を示すブロック図である。情報処理装置12cは、関数発生器制御部120と、周波数測定部121と、位相測定部122と、光パワー制御部123と、情報記録部124と、光パワー測定処理部125と、信号強度測定部126と、電圧測定部127と、光パワー変化量算出部128cと、濃度導出部129と、記憶部130と、電気スイッチ19を制御する電気スイッチ制御部132とを有する。
本実施の形態においても、成分濃度測定装置の処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図3の符号を用いて成分濃度測定装置の動作を説明する。
図3のステップS1〜S6の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。本実施の形態の情報処理装置12cの電気スイッチ制御部132は、図3のステップS7〜S12の測定中に電気スイッチ19を制御して、フォトダイオード15−1の出力とフォトダイオード15−2の出力のうちどちらか一方を選択して出力するようにしている。
ロックインアンプ17は、電気スイッチ19の出力に含まれる信号のうち、関数発生器10から出力される参照信号によって決まる周波数の電気信号を検出する。
情報処理装置12cの光パワー測定処理部125は、ロックインアンプ17から出力される電気信号を基に光のパワーPを測定する(図3ステップS7)。図3のステップS8,S9の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。
情報処理装置12cの情報記録部124は、ステップS7で光パワー測定処理部125が測定した光のパワーPとステップS8で信号強度測定部126が測定した測定信号の強度SとステップS9で電圧測定部127が測定した参照信号の電圧V2とを記憶部130に記憶させる(図3ステップS10)。図3のステップS11,S12の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。
図7(A)〜図7(D)におけるCh1をフォトダイオード15−1の出力とし、Ch2をフォトダイオード15−2の出力とすれば、電気スイッチ19の切替パターンは光スイッチ18の切替パターンと同様になる。
すなわち、図3のステップS7〜S12の測定中に、最初にフォトダイオード15−1の出力を選択し、続いてフォトダイオード15−2の出力を選択し、最後にフォトダイオード15−1の出力を再び選択すると、情報処理装置12cの光パワー測定処理部125で測定される光のパワーPと電圧測定部127で測定される変調電圧V2との関係は図7(A)のようになる。また、ステップS7〜S12の測定中に、最初にフォトダイオード15−2の出力を選択し、続いてフォトダイオード15−1の出力を選択し、最後にフォトダイオード15−2の出力を再び選択すると、測定される光のパワーPと変調電圧V2との関係は図7(B)のようになる。
また、ステップS7〜S12の測定中に、最初にフォトダイオード15−1の出力を選択し、続いてフォトダイオード15−2の出力を選択すると、測定される光のパワーPと変調電圧V2との関係は図7(C)のようになる。また、ステップS7〜S12の測定中に、最初にフォトダイオード15−2の出力を選択し、続いてフォトダイオード15−1の出力を選択すると、測定される光のパワーPと変調電圧V2との関係は図7(D)のようになる。
図3のステップS13〜S15の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。上記と同様に、情報処理装置12cの光パワー測定処理部125は、ロックインアンプ17から出力される電気信号を基に光のパワーPを測定する(図3ステップS16)。図3のステップS17,S18,S19,S20,S21の処理は、ステップS8,S9,S10,S11,S12と同じである。
このステップS16〜S21の測定中においても、情報処理装置12cの電気スイッチ制御部132は、電気スイッチ19を制御して、フォトダイオード15−1の出力とフォトダイオード15−2の出力のうちどちらか一方を選択して出力する。電気スイッチ19の切替パターンは、ステップS7〜S12の測定中の切替パターンと同じでよい。
次に、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(A)で説明した切替パターンを採用する場合、情報処理装置12cの光パワー変化量算出部128cは、測定開始時点において得られた図4(A)の関係から、測定信号の強度Sが最低となったときの変調電圧V2(t=0)を求め、測定開始時点において得られた図7(A)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値を求める。このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−2から放射された光のパワーP2(t=0)である。
そして、光パワー変化量算出部128cは、フォトダイオード15−2の出力を選択する以前の光パワーP1の測定結果と、フォトダイオード15−2の出力を選択した後でフォトダイオード15−1の出力を再度選択した後の光パワーP1の測定結果とから、内挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1(t=0)の値を計算する。同様に、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた測定結果から変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)を求め、内挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)の値を計算する。
また、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(B)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時点において得られた図7(B)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値を求める。このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−1から放射された光のパワーP1(t=0)である。
そして、光パワー変化量算出部128cは、フォトダイオード15−1の出力を選択する以前の光パワーP2の測定結果と、フォトダイオード15−1の出力を選択した後でフォトダイオード15−2の出力を再度選択した後の光パワーP2の測定結果とから、内挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2(t=0)の値を計算する。同様に、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた測定結果から変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)を求め、内挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)の値を計算する。
また、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(C)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時点において得られた図7(C)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値を求める。このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−1から放射された光のパワーP1(t=0)である。
そして、光パワー変化量算出部128cは、フォトダイオード15−2の出力を選択した後の光パワーP2の測定結果から、外挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP2(t=0)の値を計算する。同様に、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた測定結果から変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)を求め、外挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)の値を計算する。
また、ステップS7〜S12,S16〜S21の測定中において図7(D)で説明した切替パターンを採用する場合、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時点において得られた図7(D)の関係から、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーPの値を求める。このとき得られる光のパワーPの値は、レーザダイオード1−2から放射された光のパワーP2(t=0)である。
そして、光パワー変化量算出部128cは、フォトダイオード15−1の出力を選択した後の光パワーP1の測定結果から、外挿法により、変調電圧V2(t=0)に対応する光のパワーP1(t=0)の値を計算する。同様に、光パワー変化量算出部128cは、測定開始時から任意の時間t経過後の時点において得られた測定結果から変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP2(t)を求め、外挿法により、変調電圧V2(t)に対応する光のパワーP1(t)の値を計算する。
こうして、光パワー変化量算出部128cは、光パワー変化量δP2=POPBS1−POPBS0を求めることができる(図3ステップS22)。
図3のステップS23,S24の処理は第1の実施の形態で説明したとおりである。
以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。本実施の形態では、2個のフォトダイオード15と1個の電気スイッチ19と1台のロックインアンプ17で光のパワーを測定することができるので、第1の実施の形態と比較して装置構成を簡略化することができ、装置コストを抑えることができる。
なお、第1〜第3の実施の形態では、レーザドライバ2から矩形波の駆動電流をレーザダイオード1−1,1−2に供給して、レーザダイオード1−1,1−2から放射される光をそれぞれ強度変調しているが、レーザドライバ2から正弦波の駆動電流をレーザダイオード1−1,1−2に供給して、レーザダイオード1−1,1−2から放射される光を強度変調してもよい。
第1〜第3の実施の形態の情報処理装置12a,12b,12cは、例えばCPU(Central Processing Unit)、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第3の実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、血液グルコース等の成分の濃度をモニターする技術に適用することができる。
1−1,1−2…レーザダイオード、2…レーザドライバ、3−1,3−2,5,16−1,16−2…光ファイバ、4…光カプラ、6…光音響セル、7…光学窓、8…音響センサ、9…増幅器、10…関数発生器、11,17,17−1,17−2…ロックインアンプ,12a,12b,12c…情報処理装置、13…被測定物、14−1,14−2…光スプリッタ、15,15−1,15−2…フォトダイオード、18…光スイッチ、19…電気スイッチ、120…関数発生器制御部、121…周波数測定部、122…位相測定部、123…光パワー制御部、124…情報記録部、125…光パワー測定処理部、126…信号強度測定部、127…電圧測定部、128,128b…光パワー変化量算出部、129…濃度導出部、130…記憶部、131…光スイッチ制御部、132…電気スイッチ制御部。

Claims (7)

  1. 互いに異なる波長の2波の光を同一の周波数で且つ異なる位相の参照信号によりそれぞれ強度変調して被測定物に照射する光照射手段と、
    2つの強度変調光のパワーを制御するための2つの変調電圧のうち一方の変調電圧を変化させることにより、一方の光のパワーを漸次変化させる光パワー制御手段と、
    光照射によって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する光音響信号検出手段と、
    前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち少なくとも一方の光のパワーを測定する光パワー測定手段と、
    前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、前記光音響信号検出手段から出力される電気信号の強度を測定する信号強度測定手段と、
    前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、前記一方の変調電圧を測定する電圧測定手段と、
    前記光パワー測定手段と前記信号強度測定手段と前記電圧測定手段の測定結果に基づいて、前記電気信号の強度が最低となったときの前記一方の変調電圧の値から、この変調電圧に対応する2つの強度変調光のパワーを求めてこれらのパワーの差を計算し、異なる2つの時点における前記パワーの差の変化量を光パワー変化量として計算する光パワー変化量算出手段と、
    前記光パワー変化量から前記被測定物に含まれる測定対象の成分の濃度を導出する濃度導出手段とを備えることを特徴とする成分濃度測定装置。
  2. 請求項1記載の成分濃度測定装置において、
    さらに、前記2つの強度変調光を合波して前記被測定物に照射する光カプラと、
    前記光照射手段から前記光カプラまで前記2つの強度変調光を伝搬させる第1、第2の光ファイバとを備え、
    前記光パワー測定手段は、
    前記第1、第2の光ファイバを伝搬する光の一部をそれぞれ分岐させる第1、第2の光スプリッタと、
    この第1、第2の光スプリッタで分岐させた光をそれぞれ受光する第1、第2のフォトダイオードと、
    前記第1、第2のフォトダイオードの出力に含まれる信号のうち、前記参照信号によって決まる周波数の信号を検出する第1、第2のロックインアンプと、
    この第1、第2のロックインアンプから出力される信号を基に、前記2つの強度変調光のパワーを測定する処理手段とから構成されることを特徴とする成分濃度測定装置。
  3. 請求項1記載の成分濃度測定装置において、
    さらに、前記2つの強度変調光を合波して前記被測定物に照射する光カプラと、
    前記光照射手段から前記光カプラまで前記2つの強度変調光を伝搬させる第1、第2の光ファイバとを備え、
    前記光パワー測定手段は、
    前記第1、第2の光ファイバを伝搬する光の一部をそれぞれ分岐させる第1、第2の光スプリッタと、
    前記第1の光スプリッタで分岐させた光と前記第2の光スプリッタで分岐させた光のうちどちらか一方を選択して出力する光スイッチと、
    この光スイッチからの光を受光するフォトダイオードと、
    このフォトダイオードの出力に含まれる信号のうち、前記参照信号によって決まる周波数の信号を検出するロックインアンプと、
    このロックインアンプから出力される信号を基に、前記2つの強度変調光のうちどちらか一方のパワーを測定する処理手段とから構成され、
    前記光スイッチは、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、選択する光を切り替えるものであり、
    前記光パワー変化量算出手段は、前記電気信号の強度が最低となったときに前記光スイッチが選択していた方の光のパワーを前記光パワー測定手段の測定結果から求め、前記電気信号の強度が最低となったときに前記光スイッチが選択していなかった方の光のパワーを、この光が選択されていたときの前記光パワー測定手段の測定結果から内挿法または外挿法により計算することを特徴とする成分濃度測定装置。
  4. 請求項1記載の成分濃度測定装置において、
    さらに、前記2つの強度変調光を合波して前記被測定物に照射する光カプラと、
    前記光照射手段から前記光カプラまで前記2つの強度変調光を伝搬させる第1、第2の光ファイバとを備え、
    前記光パワー測定手段は、
    前記第1、第2の光ファイバを伝搬する光の一部をそれぞれ分岐させる第1、第2の光スプリッタと、
    この第1、第2の光スプリッタで分岐させた光をそれぞれ受光する第1、第2のフォトダイオードと、
    前記第1のフォトダイオードの出力と前記第2のフォトダイオードの出力のうちどちらか一方を選択して出力する電気スイッチと、
    この電気スイッチの出力に含まれる信号のうち、前記参照信号によって決まる周波数の信号を検出するロックインアンプと、
    このロックインアンプから出力される信号を基に、前記2つの強度変調光のうちどちらか一方のパワーを測定する処理手段とから構成され、
    前記電気スイッチは、前記光パワー制御手段による光のパワーの変化中に、選択するフォトダイオードを切り替えるものであり、
    前記光パワー変化量算出手段は、前記電気信号の強度が最低となったときに前記電気スイッチが選択していた方のフォトダイオードで受光した光のパワーを前記光パワー測定手段の測定結果から求め、前記電気信号の強度が最低となったときに前記電気スイッチが選択していなかった方のフォトダイオードで受光していた光のパワーを、このフォトダイオードが選択されていたときの前記光パワー測定手段の測定結果から内挿法または外挿法により計算することを特徴とする成分濃度測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成分濃度測定装置において、
    前記光パワー変化量算出手段は、1回目の測定時点におけるパワーの差と2回目の測定時点におけるパワーの差をそれぞれ計算し、異なる2つの時点における前記パワーの差の変化量を光パワー変化量として計算することを特徴とする成分濃度測定装置。
  6. 請求項5記載の成分濃度測定装置において、
    前記濃度導出手段は、前記光パワー変化量と前記1回目の測定時点における測定対象の光吸収係数と前記2回目の測定時点における測定対象の光吸収係数変化量とから、前記2回目の測定時点における測定対象の成分の濃度を導出することを特徴とする成分濃度測定装置。
  7. 互いに異なる波長の2波の光を同一の周波数で且つ異なる位相の参照信号によりそれぞれ強度変調して被測定物に照射する光照射ステップと、
    2つの強度変調光のパワーを制御するための2つの変調電圧のうち一方の変調電圧を変化させることにより、一方の光のパワーを漸次変化させる光パワー制御ステップと、
    光照射によって前記被測定物から発生する光音響信号を検出して電気信号を出力する光音響信号検出ステップと、
    前記光パワー制御ステップによる光のパワーの変化中に、2つの強度変調光のうち少なくとも一方の光のパワーを測定する光パワー測定ステップと、
    前記光パワー制御ステップによる光のパワーの変化中に、前記光音響信号検出ステップで得られた電気信号の強度を測定する信号強度測定ステップと、
    前記光パワー制御ステップによる光のパワーの変化中に、前記一方の変調電圧を測定する電圧測定ステップと、
    前記光パワー測定ステップと前記信号強度測定ステップと前記電圧測定ステップの測定結果に基づいて、前記電気信号の強度が最低となったときの前記一方の変調電圧の値から、この変調電圧に対応する2つの強度変調光のパワーを求めてこれらのパワーの差を計算し、異なる2つの時点における前記パワーの差の変化量を光パワー変化量として計算する光パワー変化量算出ステップと、
    前記光パワー変化量から前記被測定物に含まれる測定対象の成分の濃度を導出する濃度導出ステップとを含むことを特徴とする成分濃度測定方法。
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JP2019015685A (ja) * 2017-07-10 2019-01-31 日本電信電話株式会社 成分濃度測定装置および分析方法

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