JP2016153781A - ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】積層構造のセルを有するガスセンサにおいて、被測定ガス雰囲気が急激に変化した時の応答性を向上させたガスセンサを提供する。
【解決手段】ベース基板と、ベース基板の表面に、基準電極42ax、42ay、固体電解質体42dx、42dy及び検知電極42bx、42byをこの順に積層したセル42x、42yと、を有し、基準電極及び検知電極がそれぞれ被測定ガスに晒されるガスセンサであって、セルの積層方向に沿って見たときに、基準電極は、固体電解質体の端縁の少なくとも一部から、積層方向に垂直な径方向に向かって突出する突出部42ap1、42ap2を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、被測定ガスに含まれる特定成分のガス濃度の測定に用いられるガスセンサに関する。
近年、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する技術として、尿素SCR(選択触媒還元)システムが注目されている。尿素SCRシステムは、アンモニア(NH)と窒素酸化物(NOx)とを化学反応させて、窒素酸化物を窒素(N)に還元することにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するシステムである。
この尿素SCRシステムでは、窒素酸化物に対して供給されるアンモニアの量が過剰になると、未反応のアンモニアが排気ガスに含まれたまま外部に放出されるおそれがあった。このようなアンモニアの放出を抑制するために、排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を測定するセンサ素子を含む複数種類のガス濃度を測定可能なマルチガスセンサが尿素SCRシステムに用いられている(例えば、特許文献1参照)。この尿素SCRシステムでは、マルチガスセンサで測定されるアンモニアの濃度、つまり排気ガスに含まれるアンモニアの濃度が所定範囲内になるように、窒素酸化物の還元に用いられるアンモニアの量が調節されている。
特開2013−221931号公報
上述の特許文献1に記載されたマルチガスセンサは、図10に示すように、NOxセンサ1100の表面にNH検知セル1200を設けたものである。又、NH検知セル1200は、NOxセンサ1100の表面に、基準電極1220、固体電解質体1240及び検知電極1260をこの順に積層した積層構造をなし、基準電極1220及び検知電極1260の間の起電力変化によって被測定ガス中のアンモニア濃度を検出するようになっている。
具体的には、被測定ガスが、ガス透過性の電極(基準電極1220又は検知電極1260)と固体電解質体1240との3相界面に到達して、3相界面で電極反応を生じて電極の起電力が変化する。この場合、NH検知セル1200の全周にわたって、各電極1220、1260と固体電解質体1240との界面が外部に露出した露出境界部S1が形成されており、この露出境界部S1に被測定ガスがそれぞれ到達経路1220Re、1260Reにより直接到達する。さらに、NH検知セル1200の各電極1220、1260と固体電解質体1240との界面のうち、外部に露出しない(内部)の内部境界部S2にも、各電極1220、1260を透過する到達経路1220Ri、1260Riにより被測定ガスが到達する。そして、被測定ガス雰囲気が一定であれば、各到達経路1220Re、1260Re、1220Ri、1260Riを経由して被測定ガスが適度に各電極1220、1260に供給され、被測定ガス中のアンモニア濃度を精度よく検出することができる。
ところで、通常、基準電極1220や検知電極1260は固体電解質体1240の表面にペースト等で印刷して形成されるので、印刷のズレを考慮して固体電解質体1240の内側に余裕を設けて各電極を形成している。このため、図10に示すように、下層側に位置している基準電極1220側の露出境界部S1は固体電解質体1240で覆われている。そのため、被測定ガスの雰囲気が急激に変化した場合、下層側の基準電極1220では被測定ガスのガス置換が十分に行われず、応答性が低下するという問題がある。つまり、図10に示すように、被測定ガスの雰囲気が急激に変化した場合には、各電極1220、1260の内部境界部S2への被測定ガスの供給は間に合わず、外部に露出した露出境界部S1が主な電極反応をスタートする部位となる。ところが、上述のように基準電極1220側の露出境界部S1は固体電解質体1240で覆われているため被測定ガスが到達し難く、応答性が低下する。
ここで、基準電極1220、固体電解質体1240及び検知電極1260の端面を面一に合わせることができれば、基準電極1220側の露出境界部S1へも被測定ガスが到達し易くなり、応答性の低下を防止できる。しかしながら、上述のように基準電極1220や検知電極1260の形成時には印刷のズレが生じるため、各電極を固体電解質体1240の内側に余裕を設けて形成せざるを得ず、セル1200の各構成要素の端面を面一に合わせることは実際には困難である。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、積層構造のセルを有するガスセンサにおいて、被測定ガス雰囲気が急激に変化した時の応答性を向上させたガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、ベース基板と、該ベース基板の表面に、基準電極、固体電解質体及び検知電極をこの順に積層したセルと、を有し、前記基準電極及び前記検知電極がそれぞれ被測定ガスに晒されるガスセンサであって、前記セルの積層方向に沿って前記検知電極側から見たときに、前記基準電極は、前記固体電解質体の端縁の少なくとも一部から、前記積層方向に垂直な径方向に向かって突出する突出部を有する。
このガスセンサによれば、基準電極が、固体電解質体の端縁の少なくとも一部から突出する突出部を有している。これにより、基準電極と固体電解質体との界面が外部に露出した露出境界部を、固体電解質体に覆われることなく固体電解質体の端縁に形成することができる。ここで、被測定ガスの雰囲気が急激に変化した場合、この露出境界部は主な電極反応のスタートする部位となる。
従って、基準電極の露出境界部は、外部に直接露出して被測定ガスが到達し易くなるので、被測定ガスの雰囲気が急激に変化したときに、下層側の基準電極の上記露出境界部でも被測定ガスのガス置換が十分となり、応答性を向上させることができる。
その上、基準電極の突出部は、固体電解質体から突出しているため、固体電解質体の端面及び基準電極の端面を面一に合わせる必要が無く、基準電極を印刷により形成する際の印刷のズレの影響を抑制することができる。
なお、基準電極の突出部は、固体電解質体の端縁の一部から径方向に向かって突出していても良いし、固体電解質体の端縁の全体から径方向に向かって突出していても良い。
さらに、検知電極は、基準電極の突出部が突出する固体電解質体の端縁が検知電極によって覆われないように配置していればよく、固体電解質体上にのみに形成されていても良いし、基準電極の突出部が突出する固体電解質体の端縁を避けて、固体電解質体よりも径方向に突出するように設けられていても良い。
本発明のガスセンサにおいて、前記検知電極は、前記固体電解質体上のみに設けられていてもよい。
このガスセンサによれば、検知電極においても、検知電極と固体電解質体との界面が外部に露出した露出境界部を、検知電極の全周にわたって形成することでき、被測定ガスの雰囲気が急激に変化したときに応答性をさらに向上させることができる。その上、検知電極が、基準電極の突出部が突出する固体電解質体の端縁を避けて配置することができるため、基準電極の突出部を適切な位置に配置することができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記ベース基板は、長手方向に延びる板状をなすと共に、前記ベース基板の一部に発熱部を備えるヒータを有しており、前記突出部は、前記検知電極の前記長手方向における一方の端縁と他方の端縁とによって、前記長手方向に垂直な幅方向に区切られた領域内に配置されていてもよい。
このガスセンサによれば、ベース基板に、ベース基板の一部に発熱部を備えるヒータを有しているため、ヒータの発熱による長手方向への温度勾配がベース基板に発生する。これに対し、このようなベース基板上に配置したセルにおいて、上記領域内に基準電極の突出部を配置することで、検知電極と基準電極の露出境界部とを、長手方向において略同位置に配置することができ、温度勾配によるセルの検出精度の低下を抑制することができる。
なお、基準電極の突出部は、領域内に一部配置されていても良いし、全部配置されていても良
い。
本発明のガスセンサにおいて、前記ベース基板は長手方向に延びる板状をなしており、前記突出部は、前記固体電解質体のうち、前記長手方向に垂直な幅方向の両端からそれぞれ突出していてもよい。
このガスセンサによれば、少なくとも2か所以上の異なる位置に上記露出境界部を形成することができ、2か所以上の露出境界部で被測定ガスの雰囲気の急激な変化を取得できるので、応答性をさらに向上させることができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記突出部は、前記固体電解質体のうち、前記長手方向の一方の端縁と他方の端縁との両端からそれぞれ突出していてもよい。
このガスセンサによれば、基準電極と固体電解質体との界面が外部に露出した露出境界部を、固体電解質体の端縁の幅方向の両端だけでなく、長手方向の両端にわたって形成することができる。これにより、被測定ガスの雰囲気が急激に変化したときに、下層側の基準電極の上記露出境界部でも被測定ガスのガス置換が十分となり、応答性をさらに向上させることができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記ベース基板は長手方向に延びる板状をなしており、且つ2つの前記セルが、前記ベース基板上の前記長手方向に垂直な幅方向に並んで配置されてなり、2つの前記セルのそれぞれ前記突出部は、前記固体電解質体のうち、前記幅方向内側の端から少なくとも突出していてもよい。
このガスセンサによれば、長手方向に延びるベース基板において、幅方向の端部は外部雰囲気の影響により、温度変化が生じやすい。そのためベース基板上に、幅方向に並んでセルが2つ配置される場合に、突出部をセルの固体電解質体の幅方向外側の端から突出させると、突出部がベース基板の端部に配置されることとなり、ベース基板の温度変化の影響を受けやすい。そこで、突出部をセルの固体電解質体の幅方向内側の端から突出させることで、ベース基板の温度変化の影響を受けにくくなり、2つのセルの検出精度の低下やバラツキを抑制することができる。
本発明のガスセンサにおいて、前記ベース基板は被測定ガス中のNO濃度を検出するNOセンサ部であり、前記ガスセンサがマルチガスセンサを構成してもよい。
このガスセンサによれば、セルによる被測定ガス中の特定成分の他、NO濃度も検出することができるマルチガスセンサを実現することができる。
この発明によれば、積層構造のセルを有するガスセンサにおいて、被測定ガス雰囲気が急激に変化した時の応答性を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係るマルチガスセンサの軸線方向に沿う断面図である。 マルチガスセンサ及びガスセンサ制御装置の構成を示すブロック図である。 第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の幅方向に沿う断面図である。 第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の積層方向に沿って見た上面図である。 本発明の第2の実施形態に係るマルチガスセンサの軸線方向に沿う断面図である。 第2の実施形態に係る第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の幅方向に沿う断面図である。 第2の実施形態に係る第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の積層方向に沿って見た上面図である。 第3の実施形態に係る第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の積層方向に沿って見た上面図である。 実際の第1アンモニアセンサ部、第2アンモニアセンサ部のアンモニアセンサ出力の時間変化を示す図である。 従来のガスセンサのセル(NH検知セル)の3相界面への被測定ガスの到達経路を示す模式図である。
以下、図1〜図4を参照し、本発明の第1の実施形態に係るマルチガスセンサについて説明する。図1は、マルチガスセンサの軸線O方向(長手方向)に沿う断面図、図2はマルチガスセンサ装置の構成を説明するブロック図、図3は第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の構成を示す幅方向に沿う断面図、図4は第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部の積層方向に沿って見た上面図である。
なお、マルチガスセンサ200Aが特許請求の範囲の「ガスセンサ」に相当し、第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yがそれぞれ特許請求の範囲の「セル」に相当する。又、後述するNOセンサ部30Aが特許請求の範囲の「ベース基板」に相当する。
本実施形態のマルチガスセンサ装置400は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(被測定ガス)に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する尿素SCRシステムに用いられるものである。より具体的には、排気ガスに含まれるNOxと、アンモニア(尿素)とを反応させた後の排気ガスに含まれる一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)およびアンモニアの濃度を測定するものである。
なお、本実施形態のマルチガスセンサ装置400が適用されるエンジンは、上述のディーゼルエンジンであってもよいし、ガソリンエンジンにも適用することができ、特にエンジンの形式を限定するものではない。
図1に示すように、マルチガスセンサ200Aは、アンモニア濃度及びNOx濃度を検出するマルチガスセンサ素子部100Aを組み付けたアッセンブリである。マルチガスセンサ200Aは、軸線方向に延びる板状のマルチガスセンサ素子部100Aと、排気管に固定されるためのねじ部139が外表面に形成された筒状の主体金具138と、マルチガスセンサ素子部100Aの径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ106と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168の内壁面がマルチガスセンサ素子部100Aの後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材166と、マルチガスセンサ素子部100Aと絶縁コンタクト部166との間に配置される複数個(図1では2つのみ図示)の接続端子110とを備えている。
主体金具138は、軸線O方向に貫通する貫通孔154を有し、貫通孔154の径方向内側に突出する棚部152を有する略筒状形状に構成されている。また、主体金具138は、マルチガスセンサ素子部100Aの先端側を貫通孔154の先端側外部に配置し、電極端子部80A、82Aを貫通孔154の後端側外部に配置する状態で、マルチガスセンサ素子部100Aを貫通孔154に保持している。さらに、棚部152は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
なお、主体金具138の貫通孔154の内部には、マルチガスセンサ素子部100Aの径方向周囲を取り囲む状態で環状形状のセラミックホルダ151、粉末充填層153、156(以下、滑石リング153、156ともいう)、および上述のセラミックスリーブ106がこの順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ106と主体金具138の後端部140との間には、加締めパッキン157が配置されており、セラミックホルダ151と主体金具138の棚部152との間には、滑石リング153やセラミックホルダ151を保持するための金属ホルダ158が配置されている。なお、主体金具138の後端部140は、加締めパッキン157を介してセラミックスリーブ106を先端側に押し付けるように、加締められている。
一方、主体金具138の先端側(図1における下方)外周には、マルチガスセンサ素子部100Aの突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)二重の外部プロテクタ142および内部プロテクタ143が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具138の後端側外周には、外筒144が固定されている。また、外筒144の後端側(図1における上方)の開口部には、マルチガスセンサ素子部100Aの電極端子部80A、82Aとそれぞれ電気的に接続される複数本のリード線146(図1では3本のみ)が挿通されるリード線挿通孔161が形成されたグロメット150が配置されている。なお、簡略化のため、図1ではマルチガスセンサ素子部100Aの表面と裏面の電極端子部をそれぞれ符号80A、82Aで代表させたが、実際には、後述するNOxセンサ部30Aや、第1及び第2アンモニアセンサ部42x、42yが有する電極等の数に応じて、複数の電極端子部が形成されている。
また、主体金具138の後端部140より突出されたマルチガスセンサ素子部100Aの後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材166が配置される。なお、この絶縁コンタクト部材166は、マルチガスセンサ素子部100Aの後端側の表裏面に形成される電極端子部80A、82Aの周囲に配置される。この絶縁コンタクト部材166は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168を有する筒状形状に形成されると共に、外表面から径方向外側に突出する鍔部167が備えられている。絶縁コンタクト部材166は、鍔部167が保持部材169を介して外筒144に当接することで、外筒144の内部に配置される。そして、絶縁コンタクト部材166側の接続端子110と、マルチガスセンサ素子部100Aの電極端子部80A、82Aとが電気的に接続され、リード線146により外部と導通するようになっている。
図2は、本発明の実施形態に係るマルチガスセンサ装置400の構成を示すブロック図である。なお、図2では説明の便宜のため、マルチガスセンサ200A内に収容されたマルチガスセンサ素子部100Aの軸線O方向に沿う断面のみを表示している。
マルチガスセンサ装置400は、制御装置(コントロ−ラ)300、及びこれに接続されるマルチガスセンサ200A(マルチガスセンサ素子部100A)を備えている。制御装置300は図示しない内燃機関(エンジン)を備える車両に搭載され、制御装置300はECU220に電気的に接続されている。なお、マルチガスセンサ200Aから伸びるリード線146の端はコネクタに接続され、このコネクタを制御装置300側のコネクタに電気的に接続するようになっている。
次に、マルチガスセンサ素子部100Aの構成について説明する。マルチガスセンサ素子部100Aは、公知のNOセンサと同様な構成を有するNOセンサ部30Aと、2つのアンモニアセンサ部である第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yとを備え、詳しくは後述するように第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yはNOセンサ部30Aの外表面に形成されている。
まず、NOセンサ部30Aは、絶縁層23e、第1固体電解質体2a、絶縁層23d、第3固体電解質体6a、絶縁層23c、第2固体電解質体4a、及び絶縁層23b、23aをこの順に積層した構造を有する。第1固体電解質体2aと第3固体電解質体6aとの層間に第1測定室S1が画成され、第1測定室S1の左端(入口)に配置された第1拡散抵抗体8aを介して外部から排気ガスが導入される。なお、第1拡散抵抗体8aの外側には多孔質からなる保護層9が配置されている。
第1測定室S1のうち入口と反対端には第2拡散抵抗体8bが配置され、第2拡散抵抗体8bを介して第1測定室S1の右側には、第1測定室S1と連通する第2測定室(本発明の「NO測定室」に相当)S2が画成されている。第2測定室S2は、第3固体電解質体6aを貫通して第1固体電解質体2aと第2固体電解質体4aとの層間に形成されている。
絶縁層23b、23aの間にはマルチガスセンサ素子部100Aの軸線O方向に沿って延びる長尺板状の発熱抵抗体21が埋設されている。発熱抵抗体21は、軸線O方向の先端側に発熱部が設けられると共に、該発熱部から軸線方向の後端側に向かって一対のリード部が設けられている。発熱抵抗体21、及び絶縁層23b、23aが特許請求の範囲の「ヒータ」に相当する。このヒータはガスセンサを活性温度に昇温し、固体電解質体の酸素イオンの伝導性を高めて動作を安定化させるために用いられる。
各絶縁層23a、23b、23c、23d、23eはアルミナを主体とし、第1拡散抵抗体8a及び第2拡散抵抗体8bはアルミナ等の多孔質物質からなる。又、発熱抵抗体21は白金等からなる。又、発熱抵抗体21の発熱部は、例えば蛇行パターン状に形成されるがこれに限られない。
第1ポンピングセル2は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主体とする第1固体電解質体2aと、これを挟持するように配置された内側第1ポンピング電極2b及び対極となる外側第1ポンピング電極2cとを備え、内側第1ポンピング電極2bは第1測定室S1に面している。内側第1ポンピング電極2b及び外側第1ポンピング電極2cはいずれも白金を主体とし、内側第1ポンピング電極2bの表面は多孔質体からなる保護層11で覆われている。
又、外側第1ポンピング電極2cの上面に相当する絶縁層23eはくり抜かれて多孔質体13が充填され、外側第1ポンピング電極2cと外部とを連通させてガス(酸素)の出入を可能としている。
酸素濃度検出セル6は、ジルコニアを主体とする第3固体電解質体6aと、これを挟持するように配置された検知電極6b及び基準電極6cとを備え、検知電極6bは内側第1ポンピング電極2bより下流側で第1測定室S1に面している。検知電極6b及び基準電極6cはいずれも白金を主体としている。
なお、絶縁層23cは、第3固体電解質体6aに接する基準電極6cが内部に配置されるように切り抜かれ、その切り抜き部には多孔質体が充填されて基準酸素室15を形成している。そして、酸素濃度検出セル6にIcp供給回路54を用いて予め微弱な一定値の電流を流すことにより、酸素を第1測定室S1から基準酸素室15内に送り込み、酸素基準とする。
第2ポンピングセル4は、ジルコニアを主体とする第2固体電解質体4aと、第2固体電解質体4aのうち第2測定室S2に面した表面に配置された内側第2ポンピング電極4b及び対極となる第2ポンピング対電極4cとを備えている。内側第2ポンピング電極4b及び第2ポンピング対電極4cはいずれも白金を主体としている。
なお、第2ポンピング対電極4cは、第2固体電解質体4a上における絶縁層23cの切り抜き部に配置され、基準電極6cに対向して基準酸素室15に面している。
そして、内側第1ポンピング電極2b、検知電極6b、内側第2ポンピング電極4bはそれぞれ基準電位に接続されている。
次に、2つのアンモニアセンサ部(セル)である第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yについて説明する。
図3に示すように、マルチガスセンサ素子部100Aは、それぞれ幅方向に離間する第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yを有している。
第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yは、NOセンサ部30Aの外表面(下面)をなす絶縁層23a上に形成されている。より詳しくは、第1アンモニアセンサ部42xは、絶縁層23a上に第1基準電極42axが形成され、第1基準電極42axの表面に第1固体電解質体42dxが形成されている。さらに、第1固体電解質体42dxの表面に第1検知電極42bxが形成されている。そして、第1基準電極42ax及び第1検知電極42bxの間の起電力変化によって被測定ガス中のアンモニア濃度を検出するようになっている。
同様に、第2アンモニアセンサ部42yは、絶縁層23a上に第2基準電極42ayが形成され、第2基準電極42ayの表面に第2固体電解質体42dyが形成されている。さらに、第2固体電解質体42dyの表面に第2検知電極42byが形成されている。
ここで、第1基準電極42ax、第2基準電極42ayがそれぞれ特許請求の範囲の「基準電極」に相当する。第1固体電解質体42dx、第2固体電解質体42dyがそれぞれ特許請求の範囲の「固体電解質体」に相当する。第1検知電極42bx、第2検知電極42byがそれぞれ特許請求の範囲の「検知電極」に相当する。
第1検知電極42bx及び第2検知電極42byとしては、Auを主成分(例えば70質量%以上)含有し、PtやPdを含有する材料から形成することができる。第1基準電極42ax及び第2基準電極42ayとしては、Pt単体であるか、Ptを主成分(例えば70質量%以上)含有する材料から形成することができる。第1検知電極42bx及び第2検知電極42byはアンモニアガスが電極表面では燃焼し難い電極である。アンモニアは、以下に述べる3相界面で酸素イオンと反応(電極反応)し、アンモニアの濃度を検出する。
第1固体電解質体42dx、第2固体電解質体42dyは、例えば部分安定化ジルコニア(YSZ)で構成されている。
図4に示すように、第1基準電極42ax及び第2基準電極42ayは幅方向(マルチガスセンサ素子部100Aの長手方向(軸線O方向)に垂直な方向)に長い矩形をなす。一方で、第1固体電解質体42dx及び第2固体電解質体42dyはそれぞれ第1基準電極42ax及び第2基準電極42ayよりも幅方向に短い略正方形をなしている。そして、第1固体電解質体42dx及び第2固体電解質体42dyの幅方向の両端から、それぞれ第1基準電極42ax及び第2基準電極42ayが突出し(はみ出し)、それぞれ2つの突出部42ap1、42ap2を形成している。なお、軸線O方向には、それぞれ第1固体電解質体42dx及び第2固体電解質体42dyが第1基準電極42ax及び第2基準電極42ayよりも突出し(はみ出し)ている。
なお、積層方向に垂直な「径方向」とは、積層方向に垂直な方向の全方向であればよいが、本実施形態では、「径方向」は幅方向に相当する。
又、第1検知電極42bx及び第2検知電極42byは、それぞれ第1固体電解質体42dx及び第2固体電解質体42dyよりも小さい矩形をなしており、それぞれ第1固体電解質体42dx及び第2固体電解質体42dyの端縁よりも内側に配置されている。
そして、それぞれ第1基準電極42ax及び第2基準電極42ayの幅方向外側の突出部42ap1、42ap2から後端側へ向かって基準電極リード42aL1、42aL2が絶縁層23a上に延びている。同様に、それぞれ第1検知電極42bx及び第2検知電極42byの幅方向中央から、後端側へ向かって検知電極リード42bL1、42bL2が絶縁層23a上に(一部はそれぞれ第1固体電解質体42dx及び第2固体電解質体42dy上に)、延びている。
このように、第1基準電極42ax(又は第2基準電極42ay)に突出部42ap1(又は突出部42ap2)を設けることで、第1基準電極42ax(又は第2基準電極42ay)と第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)との界面が外部に露出した露出境界部S10を、第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)に覆われることなく、第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)の端縁に形成することができる。
従って、露出境界部S10は、外部に直接露出して被測定ガスが到達し易くなるので、被測定ガスの雰囲気が急激に変化したときに、下層側の第1基準電極42ax(又は第2基準電極42ay)でも被測定ガスのガス置換が十分となり、応答性を向上させることができる。
さらに、第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)は、第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)の端縁よりも内側に位置している。つまり、第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)は、第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)上のみに設けられている。従って、第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)においても、第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)と第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)との界面が外部に露出した露出境界部S1を、第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)の全周にわたって形成することができる。
なお、一般的なセルの基準電極においても、基準電極から引き出されて外部回路に電気的に接続されるリードは、固体電解質体から突出している。しかしながら、本発明においては、積極的に電極反応を生じさせる3相界面(上述の露出境界部S10)を固体電解質体上に露出させるため、基準電極それ自体に突出部を形成することを目的としており、上記リードは対象としない。
このため、第1基準電極42ax又は第2基準電極42ay(以下、適宜「電極」という)と基準電極リード42aL1又は基準電極リード42aL2(以下、「リード」という)とを、形状、材質、又は緻密性によって区別する。例えば、固体電解質体と重なる部分の電極の幅の最も狭い部分よりも狭い部分をリードとすることができる。又、固体電解質体との密着性向上等を目的として固体電解質体の材料(共素地)を電極材料に添加するなどにより、電気抵抗が高くなった部位を電極とみなし、これより電気抵抗が低い部位をリードとみなすことができる。又、被測定ガスを透過させるために緻密性が低い(空隙率が多い)部位を電極とみなし、これより緻密性が高い部位をリードとみなすことができる。なお、リードの「幅」とは、リードを流れる電流の経路に垂直な方向の幅をいう。
例えば、図4の場合、第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)と重なる部分の第1基準電極42ax(又は第2基準電極42ay)の最も狭い部分の幅はW1(軸線O方向の幅)であるから、W1よりも狭幅の部分(幅方向に沿う幅がW2の部分)を基準電極リード42aL1(又は基準電極リード42aL2)とする。
なお、本実施形態では、ベース基板を構成するNOセンサ部30Aは長手方向(軸線O方向)に延びる板状をなすと共に、ヒータを有している。そして、このヒータ(具体的には発熱抵抗体21)は軸線O方向の一部に発熱部を有するため、ヒータの発熱による長手方向(軸線O方向)への温度勾配(分布)がNOセンサ部30Aに生じる。
そこで、突出部42ap1(又は突出部42ap2)を、それぞれ第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)の先端42bfと後端42beとによって、幅方向に区切られた領域R内に配置することにより、第1検知電極42bx(又は第2検知電極42by)と第1基準電極42ax(又は第2基準電極42ay)とを、長手方向(軸線O方向)において略同位置にすることができ、NOセンサ部30Aの温度勾配による第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yの検出精度の低下を抑制することができる。
又、本実施形態では、突出部42ap1(又は突出部42ap2)は、第1固体電解質体42dx(又は第2固体電解質体42dy)の幅方向の両端からそれぞれ突出している。このため、少なくとも2か所以上の異なる位置に露出境界部S10を形成することができ、2か所以上の露出境界部S10で被測定ガスの雰囲気の急激な変化を取得できるので、応答性をさらに向上させることができる。
さらに、第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yは、多孔質からなる保護層23gによって一体に覆われている。
保護層23gは、第1検知電極42bx及び第2検知電極42byへの被毒物質の付着を防止すると共に、外部から第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yに流入する被測定ガスの拡散速度を調整するものである。保護層23gを形成する材料としては、アルミナ(酸化アルミニウム)、スピネル(MgAl)、シリカアルミナ、および、ムライトの群から選ばれる少なくとも1種の材料を例示できる。保護層23gによる被測定ガスの拡散速度は、保護層23gの厚さや、粒径や、粒度分布や、気孔率や、配合比率などを調整することにより調整される。
なお、上述の実施形態のように保護層23gを設けてもよいし、保護層23gを設けることなく第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yなどを露出させてもよく、特に限定するものではない。また、保護層23gにより第1アンモニアセンサ部42xと第2アンモニアセンサ部42yとの感度比を調整する場合には、上述の実施形態ではなく、それぞれに保護層を設けても良い。
次に、図2に戻り、制御装置300の構成の一例について説明する。制御装置300は、回路基板上に(アナログ)制御回路59とマイクロコンピュータ(マイコン)60とを備えている。マイクロコンピュータ60は制御装置300全体を制御し、CPU(中央演算処理装置)61、RAM62、ROM63、信号入出力部64、A/Dコンバータ65、及び図示しないクロックを備え、ROM等に予め格納されたプログラムがCPUにより実行される。
制御回路59は、詳しくは後述する基準電圧比較回路51、Ip1ドライブ回路52、Vs検出回路53、Icp供給回路54、Ip2検出回路55、Vp2印加回路56、ヒータ駆動回路57、それぞれ第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yの起電力を検出する第1起電力検出回路58a及び第2起電力検出回路58bを備える。
制御回路59は、NOセンサ部30Aを制御し、NOセンサ部30Aに流れる第1ポンピング電流Ip1、第2ポンピング電流Ip2を検出してマイクロコンピュータ60に出力する。
第1起電力検出回路58a及び第2起電力検出回路58bは、第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yの各電極間のアンモニア濃度出力(起電力)を検出してマイクロコンピュータ60に出力する。
詳細には、NOセンサ部30Aの外側第1ポンピング電極2cはIp1ドライブ回路52に接続され、基準電極6cはVs検出回路53及びIcp供給回路54に並列に接続されている。又、第2ポンピング対電極4cはIp2検出回路55及びVp2印加回路56に並列に接続されている。ヒータ回路57はヒータ(具体的には発熱抵抗体21)に接続されている。
又、第1アンモニアセンサ部42xの一対の電極42ax、42bxがそれぞれ第1起電力検出回路58aに接続されている。同様に、第2アンモニアセンサ部42yの一対の電極42ay、42byがそれぞれ第2起電力検出回路58bに接続されている。
各回路51〜57は、以下のような機能を有する。
Ip1ドライブ回路52は、内側第1ポンピング電極2b及び外側第1ポンピング電極2cの間に第1ポンピング電流Ip1を供給しつつ、その際の第1ポンピング電流Ip1を検出する。
Vs検出回路53は、検知電極6b及び基準電極6cの間の電圧Vsを検出し、検出結果を基準電圧比較回路51に出力する。
基準電圧比較回路51は、基準電圧(例えば、425mV)とVs検出回路53の出力(電圧Vs)とを比較し、比較結果をIp1ドライブ回路52に出力する。そして、Ip1ドライブ回路52は、電圧Vsが上記基準電圧に等しくなるようにIp1電流の流れる向き及び大きさを制御し、第1測定室S1内の酸素濃度をNOが分解しない程度の所定値に調整する。
Icp供給回路54は、検知電極6b及び基準電極6cの間に微弱な電流Icpを流し、酸素を第1測定室S1から基準酸素室15内に送り込み、基準電極6cを基準となる所定の酸素濃度に晒させる。
Vp2印加回路56は、内側第2ポンピング電極4b及び第2ポンピング対電極4cの間に、被測定ガス中のNOガスが酸素とNガスに分解する程度の一定電圧Vp2(例えば、450mV)を印加し、NOを窒素と酸素に分解する。
Ip2検出回路55は、NOの分解により生じた酸素が第2測定室S2から第2固体電解質体4aを介して第2ポンピング対電極4c側に汲み出される際に、第2ポンピングセル4に流れる第2ポンピング電流Ip2を検出する。
Ip1ドライブ回路52は、検出した第1ポンピング電流Ip1の値をA/Dコンバータ65に出力する。又、Ip2検出回路55は、検出した第2ポンピング電流Ip2の値をA/Dコンバータ65に出力する。
A/Dコンバータ65はこれらの値をデジタル変換し、信号入出力部64を介してCPU61に出力する。
次に、制御回路59を用いた制御の一例について説明する。まず、エンジンが始動されて外部電源から電力の供給を受けると、ヒータ回路57を介してヒータが作動し、第1ポンピングセル2、酸素濃度検出セル6、第2ポンピングセル4を活性化温度まで加熱する。又、Icp供給回路54は、検知電極6b及び基準電極6cの間に微弱な電流Icpを流し、酸素を第1測定室S1から基準酸素室15内に送り込み、酸素基準とする。
又、ヒータによってNOセンサ部30Aが適温まで加熱されると、それに伴ってNOセンサ部30A上の第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yも所望の温度に昇温される。
そして、各セルが活性化温度まで加熱されると、第1ポンピングセル2は、第1測定室S1に流入した被測定ガス(排ガス)中の酸素を内側第1ポンピング電極2bから外側第1ポンピング電極2cへ向かって汲み出す。
このとき、第1測定室S1内の酸素濃度は、酸素濃度検出セル6の電極間電圧(端子間電圧)Vsに対応したものとなるため、この電極間電圧Vsが上記基準電圧になるように、Ip1ドライブ回路52が第1ポンピングセル2に流れる第1ポンピング電流Ip1を制御し、第1測定室S1内の酸素濃度をNOが分解しない程度に調整する。
酸素濃度が調整された被測定ガスは第2測定室S2に向かってさらに流れる。そして、Vp2印加回路56は、第2ポンピングセル4の電極間電圧(端子間電圧)として、被測定ガス中のNOガスが酸素とNガスに分解する程度の一定電圧Vp2(酸素濃度検出セル6の制御電圧の値より高い電圧、例えば450mV)を印加し、NOを窒素と酸素に分解する。そして、NOの分解により生じた酸素が第2測定室S2から汲み出されるよう、第2ポンピングセル4に第2ポンピング電流Ip2が流れる。この際、第2ポンピング電流Ip2とNO濃度の間には直線関係があるため、Ip2検出回路55が第2ポンピング電流Ip2を検出することにより、被測定ガス中のNO濃度を検出することができる。
又、第1起電力検出回路58aが一対の電極42ax、42bx間のアンモニア濃度出力(起電力)を検出し、第2起電力検出回路58bが一対の電極42ay、42by間のアンモニア濃度出力(起電力)を検出することにより、後述するように被測定ガス中のアンモニア濃度を検出することができる。
次に、制御装置300のマイクロコンピュータ60による、各種ガス濃度を算出する処理を説明する。
まず、第1アンモニアセンサ部42x、第2アンモニアセンサ部42yの2つのアンモニアセンサ部を設けた理由は以下のとおりである。すなわち、アンモニアセンサ部は、アンモニアだけでなく、NOをも検出してしまうので、被検出ガス中にアンモニア以外のNOガスが含まれているとアンモニアの検出精度が低下する。そこで、アンモニアに対する感度とNOxに対する感度との比がそれぞれ異なるアンモニアセンサ部を2つ設けると、アンモニアガスとNOガスの2つの未知濃度に対し、2つのアンモニアセンサ部から別々の感度による値を検出するので、アンモニアガスとNOの濃度を算出できることになる。ここでアンモニアセンサ部のアンモニアに対する感度とNOxに対する感度との比とは、そのアンモニアセンサ部が検出する全感度(アンモニア、及びNO)に対する、アンモニアの検出感度の比をいう。なお、本実施例においては、アンモニアセンサ部はNOガスを検出しないので、「アンモニアセンサ部のアンモニアに対する感度とNOxに対する感度の比」=「アンモニアセンサ部のアンモニアに対する感度とNOに対する感度の比」として判断している。また、アンモニアセンサ部がNOガスを検出しない場合には、アンモニアセンサ部のアンモニアに対する感度とNOxに対する感度の比」=「アンモニアセンサ部のアンモニアに対する感度とNOに対する感度の比」として判断してもよい。
つまり、アンモニアセンサ部のセンサ出力は、x:アンモニア濃度、y:NOガス濃度、D:O濃度に対し、F(x、y、D)で表されるが、上記感度比が異なる2つのNOセンサ部を用いると、F(mx、ny、D)、F(sx、ty、D)(m、n、s、tは係数)の2つの式が得られる。F、F、Dはセンサ出力から得られるので、2つの式から2つの未知数(x、y)を解けばよいことになる。具体的には、上記二つの式からyを除去し、後述の式(1)〜(3)のようにxの式を得ることによって計算できる。
次に、第1アンモニアセンサ部42x及び第2アンモニアセンサ部42yによるNO及びアンモニアの検出、並びにNOとアンモニアの濃度の算出の詳細について説明する。
第1アンモニアセンサ部42xの第1基準電極42axと第1検知電極42bxとの間には、被測定ガスに含まれるアンモニア濃度に応じて起電力が発生する。第1起電力検出回路58aは、第1基準電極42axと第1検知電極42bxとの間の起電力を第1アンモニア起電力として検出する。同様に、第2アンモニアセンサ部42yの第2基準電極42ayと第2検知電極42byとの間にも、アンモニア濃度に応じて起電力が発生する。第2起電力検出回路58bは、第2基準電極42ayと第2検知電極42byとの間の起電力を第2アンモニア起電力として検出する。
ここで、マイクロコンピュータ60のROM63には、以下に説明する各種のデータ(関係式)が格納されている。CPU61は、ROM63から当該各種データを読み込み、第1ポンピング電流Ip1の値、第2ポンピング電流Ip2の値、第1アンモニア起電力および第2アンモニア起電力から種々の演算処理を行う。
ここで、ROM63には、「第1アンモニア起電力−第1アンモニア濃度出力関係式」、「第2アンモニア起電力−第2アンモニア濃度出力関係式」、「第1ポンピング電流Ip1−O2濃度出力関係式」、「第2ポンピング電流Ip2−NOx濃度出力関係式」、「第1アンモニア濃度出力&第2アンモニア濃度出力&O2濃度出力−補正アンモニア濃度出力関係式」(補正式(1):下記参照)、「第1アンモニア濃度出力&第2アンモニア濃度出力&O2濃度出力−補正NO濃度出力関係式」(補正式(2))、「NOx濃度出力&補正アンモニア濃度出力&補正NO濃度出力-補正NOx濃度出力関係式」(補正式(3))が格納されている。
なお、各種データは、上述のように所定の関係式として設定されていてもよいし、センサの出力から各種ガス濃度を算出するものであればよく、例えばテーブルとして設定されていてもよい。その他にも、予めガス濃度が既知のガスモデルを用いて得られた値(関係式やテーブルなど)とされていてもよい。
「第1アンモニア起電力−第1アンモニア濃度出力関係式」及び「第2アンモニア起電力−第2アンモニア濃度出力関係式」は、第1アンモニアセンサ部42xおよび第2アンモニアセンサ部42yから出力されたアンモニア起電力と、被測定ガスのアンモニア濃度に係るアンモニア濃度出力との関係を表す式である。
「第1ポンピング電流Ip1−O濃度出力関係式」は、第1ポンピング電流Ip1と、被測定ガスのO濃度との関係を表す式である。
「第2ポンピング電流Ip2−NOx濃度出力関係式」は、第2ポンピング電流Ip2と、被測定ガスのNOx濃度との関係を表す式である。
「第1アンモニア濃度出力&第2アンモニア濃度出力&O2濃度出力−補正アンモニア濃度出力関係式」は、酸素濃度及びNO濃度の影響を受けたアンモニア濃度出力(第1、第2)と、酸素濃度及びNO濃度の影響を除去した補正アンモニア濃度出力の関係を表す式である。
「第1アンモニア濃度出力&第2アンモニア濃度出力&O2濃度出力−補正NO濃度出力関係式」は、酸素濃度及びアンモニア濃度の影響を受けたNO濃度出力と、酸素濃度及びアンモニア濃度の影響を除去した補正NO濃度出力の関係を表す式である。
「NOx濃度出力&補正アンモニア濃度出力&補正NO濃度出力-補正NOx濃度出力関係式」は、アンモニア濃度及びNO濃度の影響を受けたNOx濃度出力と、アンモニア濃度及びNO濃度の影響を除去、修正した正確な補正NOx濃度出力の関係を表す式である。
次に、マイクロコンピュータ60のCPU61において実行される、第1ポンピング電流Ip1、第2ポンピング電流Ip2、第1アンモニア起電力EMFおよび第2アンモニア起電力EMFから、NOx濃度およびアンモニア濃度を求める演算処理について説明する。
CPU61は、第1ポンピング電流Ip1、第2ポンピング電流Ip2、第1アンモニア起電力および第2アンモニア起電力が入力されると、O2濃度出力、NOx濃度出力、第1アンモニア濃度出力および第2アンモニア濃度出力、を求める演算処理を行う。具体的には、ROM63から「第1アンモニア起電力−第1アンモニア濃度出力関係式」、「第2アンモニア起電力−第2アンモニア濃度出力関係式」、「第1ポンピング電流Ip1−O2濃度出力関係式」、「第2ポンピング電流Ip2−NOx濃度出力関係式」を呼び出し、当該関係式を用いて各濃度出力を算出する処理を行う。
尚、「第1アンモニア起電力−第1アンモニア濃度出力関係式」、「第2アンモニア起電力−第2アンモニア濃度出力関係式」は、第1アンモニアセンサ部42xと第2アンモニアセンサ部42yが使用環境中で出力し得るEMFの全範囲において、被測定ガス中のアンモニア濃度とセンサのアンモニア濃度換算出力とが概ね直線関係になるように設定された式である。このような換算式でもって換算することによって、後の補正式において、傾き及びオフセットの変化を利用した計算を可能とする。
2濃度出力、NOx濃度出力、第1アンモニア濃度出力および第2アンモニア濃度出力が求められると、CPUは、以下に説明する補正式を用いた演算を行うことで、被測定ガスのアンモニア濃度及びNOx濃度を求める。
補正式(1):x =F (A、B、D)
= (eA-c)*(jB-h-fA+d)/(eA-c-iB+g) + fA-d
補正式(2):y = F'(A、B、D)
= (jB-h-fA+d)/(eA-c-iB+g)
補正式(3):z = C - ax + by
ここで、xはアンモニア濃度であり、yはNO濃度であり、zはNOx濃度である。また、Aは第1アンモニア濃度出力であり、Bは第2アンモニア濃度出力であり、CはNOx濃度出力であり、DはO2濃度出力である。そして、式(1)、(2)のF及びF'は、xが(A、B、D)の関数であることを表す。さらに、a、 bは補正係数、c、 d、 e、 f、 g、 h、 i、 j はO2濃度出力Dを用いて計算される係数である(Dによって決まる係数)。
上述の補正式(1)〜(3)に、第1アンモニア濃度出力(A)、第2アンモニア濃度出力(B)、NOx濃度出力(C)およびO2濃度出力(D)、を各代入して演算することによって、被測定ガスのアンモニア濃度及びNOx濃度を求める。
なお、補正式(1)及び(2)は第1アンモニアセンサ部42x、第2アンモニアセンサ部42yの特性に基づいて定まる式であり、補正式(3)はNOxセンサ部の特性に基づいて定まる式である。なお、式(1)〜(3)は、あくまでも補正式の一例を示したものであり、ガス検知特性に応じて、他の補正式や、係数等を適宜変更しても良い。
以上より、本発明の実施形態に係るマルチガスセンサ200Aを用いることで、アンモニア及びNOxが共存し、且つ酸素濃度が変化する環境においても、アンモニアとNOxをそれぞれ分離して精度よく検出することができる。
次に、図5〜図7を参照し、本発明の第2の実施形態に係るマルチガスセンサ(ガスセンサ)について説明する。なお、第2の実施形態に係るマルチガスセンサは、2つのアンモニアセンサ部(セル)である第1アンモニアセンサ部42x1及び第2アンモニアセンサ部42y1の構成、及び配置位置が異なること以外は、第1の実施形態と同一であるので、同一部分の構成については説明を省略する。
図5に示すように、アンモニアセンサ部42x1、42y1は、NOセンサ部30Aの外表面(上面)をなす絶縁層23eの表面上に設けられている。
より詳しくは、図6に示すように、第1アンモニアセンサ部42x1は、絶縁層23e上に第1基準電極42ax1が形成され、第1基準電極42ax1の表面に第1固体電解質体42dx1が形成されている。さらに、第1固体電解質体42dx1の表面に第1検知電極42bx1が形成されている。そして、第1基準電極42ax1及び第1検知電極42bx1の間の起電力変化によって被測定ガス中のアンモニア濃度を検出するようになっている。
同様に、第2アンモニアセンサ部42y1は、絶縁層23e上に第2基準電極42ay1が形成され、第2基準電極42ay1の表面に第2固体電解質体42dy1が形成されている。さらに、第2固体電解質体42dy1の表面に第2検知電極42by1が形成されている。
図7に示すように、第1基準電極42ax1及び第2基準電極42ay1は略正方形をなす。一方で、第1固体電解質体42dx1及び第2固体電解質体42dy1はそれぞれ第1基準電極42ax1及び第2基準電極42ay1よりも小さい略正方形をなしており、それぞれ第1基準電極42ax1及び第2基準電極42ay1よりも内側に配置されている。このため、第1固体電解質体42dx1及び第2固体電解質体42dy1の端縁の全体から、それぞれ第1基準電極42ax1及び第2基準電極42ay1が突出し(はみ出し)、それぞれ第1固体電解質体42dx1及び第2固体電解質体42dy1の略全周を取り囲む突出部42ap5、42ap6を形成している。但し、突出部42ap5、42ap6のうち、それぞれ後述する検知電極リード42bL3、42bL4と重なる部分は短絡を防止するために切り欠かれて切欠き部42arが形成され、突出部42ap5、42ap6は後端側が開口する略コの字状に形成されている。
又、第1検知電極42bx1及び第2検知電極42by1は、それぞれ第1固体電解質体42dx1及び第2固体電解質体42dy1よりも小さい矩形をなしており、それぞれ第1固体電解質体42dx1及び第2固体電解質体42dy1の端縁よりも内側に配置されている。
そして、それぞれ第1基準電極42ax1及び第2基準電極42ay1の幅方向外側の突出部42ap5、42ap6から、幅方向外側へさらに延びた後、後端側へ向かって折り返すようにして基準電極リード42aL3、42aL3が絶縁層23e上に延びている。同様に、それぞれ第1検知電極42bx1及び第2検知電極42by1の幅方向中央から、後端側へ向かって絶縁層23e上に(一部はそれぞれ第1固体電解質体42dx1及び第2固体電解質体42dy1上に)検知電極リード42bL3、42bL4が延びている。
このように、第1基準電極42ax1(又は第2基準電極42ay1)に突出部42ap5(又は突出部42ap6)を設けることで、第1基準電極42ax1(又は第2基準電極42ay1)と第1固体電解質体42dx1(又は第2固体電解質体42dy1)との界面が外部に露出した露出境界部S10を、第1固体電解質体42dx1(又は第2固体電解質体42dy1)に覆われることなく、第1固体電解質体42dx1(又は第2固体電解質体42dy1)の端縁に形成することができる(図7では、四周の露出境界部S10のうち1つのみそれぞれ記載)。
一方、第1検知電極42bx1(又は第2検知電極42by1)の端縁には露出境界部S1が露出している。
従って、第1の実施形態と同様に、第1基準電極42ax1(又は第2基準電極42ay1)は、外部に直接露出して被測定ガスが到達し易い露出境界部S10を形成するので、被測定ガスの雰囲気が急激に変化しても被測定ガスのガス置換が十分となって応答性を向上させることができる。
なお、図7の場合、第1固体電解質体42dx1(又は第2固体電解質体42dy1)と重なる部分の第1基準電極42ax1(又は第2基準電極42ay1)の最も狭い部分の幅はW1(軸線O方向の幅)であり、W1よりも狭幅の部分(幅がW2、W3の部分)を基準電極リード42aL3(又は基準電極リード42aL4)とする。つまり、基準電極リード42aL3(又は基準電極リード42aL4)は、第1基準電極42ax1(又は第2基準電極42ay1)の幅方向外側の突出部42ap5(42ap6)の幅方向の外縁よりも幅方向外側へさらに延びた幅W3の部位と、この部位から後端側へ向かって折り返して延びる幅W2の部位とする。
又、本実施形態では、突出部42ap5(又は突出部42ap6)は、第1固体電解質体42dx1(又は第2固体電解質体42dy1)の長手方向(軸線O方向)の両端にもそれぞれ突出している。このため、露出境界部S10を第1固体電解質体42dx1(又は第2固体電解質体42dy1)の幅方向の両端だけでなく、長手方向の両端にわたって形成することができ、被測定ガスの雰囲気が急激に変化したときに、下層側の基準電極の上記露出境界部でも被測定ガスのガス置換が十分となり、応答性をさらに向上させることができる。
次に、図8を参照し、本発明の第3の実施形態に係るマルチガスセンサ(ガスセンサ)について説明する。なお、第3の実施形態に係るマルチガスセンサは、2つのアンモニアセンサ部(セル)である第1アンモニアセンサ部42x2及び第2アンモニアセンサ部42y2の構成が異なること以外は、第1の実施形態と同一であるので、同一部分の構成については説明を省略する。
より詳しくは、図8に示すように、第1アンモニアセンサ部42x2は、絶縁層23a上に第1基準電極42ax2が形成され、第1基準電極42ax2の表面に第1固体電解質体42dx2が形成されている。さらに、第1固体電解質体42dx2の表面に第1検知電極42bx2が形成されている。そして、第1基準電極42ax2及び第1検知電極42bx2の間の起電力変化によって被測定ガス中のアンモニア濃度を検出するようになっている。
同様に、第2アンモニアセンサ部42y2は、絶縁層23a上に第2基準電極42ay2が形成され、第2基準電極42ay2の表面に第2固体電解質体42dy2が形成されている。さらに、第2固体電解質体42dy2の表面に第2検知電極42by2が形成されている。
さらに、図8に示すように、第1基準電極42ax2及び第2基準電極42ay2は幅方向に長い矩形をなす。一方で、第1固体電解質体42dx2及び第2固体電解質体42dy2はそれぞれ第1基準電極42ax2及び第2基準電極42ay2よりも幅方向に短い略正方形をなしている。そして、第1固体電解質体42dx2及び第2固体電解質体42dy2の幅方向内側の端から、それぞれ第1基準電極42ax2及び第2基準電極42ay2が突出し(はみ出し)、それぞれ2つの突出部42ap7、42ap8を形成している。なお、軸線O方向には、それぞれ第1固体電解質体42dx2及び第2固体電解質体42dy2が第1基準電極42ax2及び第2基準電極42ay2よりも突出し(はみ出し)ている。
又、第1検知電極42bx2及び第2検知電極42by2は、それぞれ第1固体電解質体42dx2及び第2固体電解質体42dy2よりも小さい矩形をなしており、それぞれ第1固体電解質体42dx2及び第2固体電解質体42dy2の端縁よりも内側に配置されている。
そして、それぞれ第1基準電極42ax2及び第2基準電極42ay2から後端側へ向かって基準電極リード42aL5、42aL6が絶縁層23a上に延びている。同様に、それぞれ第1検知電極42bx2及び第2検知電極42by2の幅方向中央から、後端側へ向かって検知電極リード42bL5、42bL6が絶縁層23a上に延びている。なお、基準電極リード42aL5、42aL6と検知電極リード42bL5、42bL6とは並列に並んで延びている。
このように、長手方向に延びるベース基板30Aにおいて、幅方向の端部は外部雰囲気の影響により、温度変化が生じやすい。そのため絶縁層23a上に、幅方向に並んで第1アンモニアセンサ部42x2及び第2アンモニアセンサ部42y2が配置される場合に、突出部を第1アンモニアセンサ部42x2(又は第2アンモニアセンサ部42y2)の第1固体電解質体42dx2(又は第2固体電解質体42dy2)の幅方向外側の端から突出させると、突出部がベース基板30Aの端部に配置されることとなり、ベース基板の温度変化の影響を受けやすい。そこで、突出部42ap7、42ap8のように、突出部を第1アンモニアセンサ部42x2(又は第2アンモニアセンサ部42y2)の第1固体電解質体42dx2(又は第2固体電解質体42dy2)の幅方向内側の端から当該幅方向内側に向かって突出させることで、ベース基板30Aの温度変化の影響を受けにくくなり、2つのセルの検出精度の低下やバラツキを抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、基準電極、突出部、検知電極及び固体電解質体の形状は上記実施形態に限定されない。
又、上記実施形態では、各基準電極に対して突出部が2か所以上形成されていたが、1つの基準電極に対して突出部が1か所形成されていてもよい。又、上記実施形態では、アンモニアセンサ部(セル)が2つ設けられていたが、アンモニアセンサ部(セル)が1つであってもよい。
さらに、上記実施形態では、アンモニアセンサ部がNOxセンサ部上に配置されたマルチガスセンサであったが、NOxセンサ部に限られることなく、ベース基板上にアンモニアセンサ部が配置されたガスセンサであっても良い。
次に、図9を参照し、基準電極に突出部を設けたことによる第1アンモニアセンサ部、第2アンモニアセンサ部のアンモニアセンサ出力の時間変化について説明する。
実施例として、図1〜図4に示す本発明の第1の実施形態に係るマルチガスセンサ200Aを準備した。比較例として、第1アンモニアセンサ部、第2アンモニアセンサ部の断面構造を図10に示すように(突出部を設けないように)したこと以外は、第1の実施形態に係るマルチガスセンサ200Aと同一構造のマルチガスセンサを準備した。
そして、各マルチガスセンサをモデルガス流中に配置し、モデルガスの雰囲気を図9のP点で急激に変化させ(アンモニアをP点で急激に添加し、酸素濃度をP点で減少させ)、各マルチガスセンサの第1アンモニアセンサ部及び第2アンモニアセンサ部のアンモニアセンサ出力の時間変化を測定した。
その結果、図9に示すように、実施例の場合、P点からアンモニアセンサ出力が定常値(100%)に到達するまでの時間が短く、被測定ガス雰囲気が変化した時の応答性が優れていることがわかった。
一方、比較例の場合、P点からアンモニアセンサ出力が定常値に到達するまでの時間が実施例に比べて長く、応答性が劣った。
21、23b、23a ヒータ
30A ベース基板(NOxセンサ部)
42ax、42ay、42ax1、42ay1、42ax2、42ay2 基準電極
42bx、42by、42bx1、42by1、42bx2、42by2 検知電極
42dx、42dy、42dx1、42dy1、42dx2、42dy2 固体電解質体
42x、42y、42x1、42y1、42x2、42y2 セル
42ap1〜42ap8 突出部
200A ガスセンサ(マルチガスセンサ)
O 軸線
R 領域

Claims (7)

  1. ベース基板と、
    該ベース基板の表面に、基準電極、固体電解質体及び検知電極をこの順に積層したセルと、を有し、前記基準電極及び前記検知電極がそれぞれ被測定ガスに晒されるガスセンサであって、
    前記セルの積層方向に沿って前記検知電極側から見たときに、前記基準電極は、前記固体電解質体の端縁の少なくとも一部から、前記積層方向に垂直な径方向に向かって突出する突出部を有するガスセンサ。
  2. 前記検知電極は、前記固体電解質体上のみに設けられる請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記ベース基板は、長手方向に延びる板状をなすと共に、前記ベース基板の一部に発熱部を備えるヒータを有しており、
    前記突出部は、前記検知電極の前記長手方向における一方の端縁と他方の端縁とによって、前記長手方向に垂直な幅方向に区切られた領域内に配置される請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記ベース基板は長手方向に延びる板状をなしており、
    前記突出部は、前記固体電解質体のうち、前記長手方向に垂直な幅方向の両端からそれぞれ突出する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
  5. 前記突出部は、前記固体電解質体のうち、前記長手方向の一方の端縁と他方の端縁との両端からそれぞれ突出する請求項4記載のガスセンサ。
  6. 前記ベース基板は長手方向に延びる板状をなしており、且つ2つの前記セルが、前記ベース基板上の前記長手方向に垂直な幅方向に並んで配置されてなり、
    2つの前記セルのそれぞれ前記突出部は、前記固体電解質体のうち、前記幅方向内側の端から少なくとも突出する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
  7. 前記ベース基板は被測定ガス中のNO濃度を検出するNOセンサ部であり、前記ガスセンサがマルチガスセンサを構成する請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスセンサ。
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