JP2016153171A - フィルム積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】既に片弛みが生じていたり、または塑性変形し難いフィルム基材を用いても、優れたカール矯正及び抑制効果が得られるフィルム積層体の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】第1のフィルム基材11と第2のフィルム基材13とを接着剤を介して貼り合せてなるフィルム積層体10の製造方法であって、第1のフィルム基材の一方の面に接着剤を塗布する工程と、接着剤に含まれる揮発性成分を乾燥する工程と、乾燥後の接着剤の塗布面側と第2のフィルム基材の一方の面とを対向させて重ね合わせて熱圧により貼り合わせる工程からなり、前記第2のフィルム基材は、第1のフィルム基材との貼り合わせ工程の前に、加熱する工程を経ることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は異なる2つのフィルム基材を、接着剤を介して貼り合せてなるフィルム積層体の製造方法に関する。
従来より、性質、性状の異なる2つのフィルム基材を貼り合せて、新たな機能を有するフィルム積層体(機能性材料など)の開発が進められている。例えば、光学特性と耐熱性、光学特性と耐候性、メモリー性(磁気、半導体など)と耐熱性、メモリー性と耐傷性、ガスバリア性と耐候性などが挙げられる。
これらのフィルム積層体の製造方法としては、例えば、2つのフィルム基材のそれぞれに高い親和性(ここでは特に優れた密着性)を有する熱溶融性樹脂を、押出装置を用いて2つのフィルム基材の間に押出して貼り合わせる押出しラミネート法や、一方のフィルム基材に接着剤を塗布、乾燥させて他方のフィルム基材と貼り合わせるドライラミネート法が知られている。
一般に、押出しラミネート法は前述したように用いる2つのフィルム基材に対してそれぞれに高い親和性を有する熱溶融性樹脂を選定する必要が不可欠である。しかしながら、熱溶融性樹脂の多くは、押出し加工しやすい溶融温度からポリオレフィ樹脂及びその変性樹脂であり、2つのフィルム基材の組み合わせによっては難しい方法である。
一方、ドライラミネート法は、2つのフィルム基材に対してそれぞれに高い親和性を有する接着剤を選定することが比較的容易で、押出しラミネート法よりも汎用性が高い方法である。
上記で説明したように、性状の異なる2つのフィルム基材を貼り合せて、新たな機能を有するフィルム積層体の製造には、押出しラミネート法やドライラミネート法が用いられるが、いずれの方法においても性質の異なるフィルム基材を貼り合わせることで、得られたフィルム積層体は加熱、加圧などの応力によりカールが生じるという問題がある。
カールの発生を抑制する方法として、例えば、特許文献1では2枚の樹脂シートを接着剤を介して重ね合わせて、加圧ローラ間に挟み込んで貼り合わせる工程において、樹脂シートを加圧ローラ間に送り出す際の張力を設定することでカール量を調節する方法が開示されている。しかしながらこの方法は樹脂シートの幅方向全体に均一に張力を調整することが難しく、特に樹脂シートの幅方向の片端に弛みを有する場合にはより調整が難しくカールの抑制に問題がある。
また、特許文献2では巻き取り形態の積層シートの反り矯正(巻き癖)方法が開示されている。この方法は、巻き取り形態で保管された積層シートの反りを、加熱手段を備えたロールの間に深く巻き付けた状態で通し、その間に上下方向からプレスしてしごきを加えることで矯正する方法である。しかしながらこの方法では塑性変形し難いフィルム基材ではしごきによる効果が得がたくカール抑制には不十分である。
また、特許文献3ではトナー像が形成された基材を上ロール(加熱)と下ロール(加圧)の一対からなるニップロールを通して搬送し、さらにその下流で排出ロール(加熱、加圧)の位置を調整することでカールを矯正する方法が開示されている。しかしながら、この方法によれば塑性変形し難いフィルム基材ではその効果は十分ではない。
このように、上記のカール発生を抑制するいずれの方法も、既に片弛みが生じていたり、塑性変形し難いフィルム基材のカール矯正及び抑制には十分な効果を得ることが難しい。
特開2003−181936号公報 特開平8−295443号公報 特開平8−290857号公報
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、既に片弛みが生じていたり、または塑性変形し難いフィルム基材を用いても、優れたカール矯正及び抑制効果が得られるフィルム積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題点を解決するためになされ、請求項1に記載の発明は、第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とを接着剤を介して貼り合せてなるフィルム積層体の製造方法であって、
第1のフィルム基材の一方の面に接着剤を塗布する工程と、接着剤に含まれる揮発性成分を乾燥する工程と、乾燥後の接着剤の塗布面側と第2のフィルム基材の一方の面とを対向させて重ね合わせて熱圧により貼り合わせる工程からなり、
前記第2のフィルム基材は、第1のフィルム基材との貼り合わせ工程の前に、加熱する工程を経ることを特徴とするフィルム積層体の製造方法である。
また、請求項2に記載の発明は、前記第2のフィルム基材を加熱する工程での加熱温度が第2のフィルム基材のガラス転移温度以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体の製造方法である。
また、請求項3に記載の発明は、前記第2のフィルム基材の弾性率が1000〜5000MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム積層体の製造方法である。
また、請求項4に記載の発明は、第1のフィルム基材の一方の面にガスバリア層が形成され、その上に接着剤が塗布されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法である。
本発明に係る請求項1の発明によれば、第1のフィルム基材の一方の面に接着剤を塗布する工程と、接着剤に含まれる揮発性成分を乾燥する工程と、乾燥後の接着剤の塗布面側と第2のフィルム基材の一方の面とを対向させて重ね合わせて熱圧により貼り合わせる工程からなるフィルム積層体の製造方法において、第1のフィルム基材との貼り合わせ工程の前に、前記第2のフィルムを加熱することで、ラミネート後のカール(反り)を抑制することができる。具体的には、ラミネート前に、前記第1のフィルム基材への接着剤塗布及び乾燥によるカールを打ち消すレベルに、第2のフィルム基材を加熱することで第2のフィルム基材を冷却に伴い熱収縮させ、第1のフィルム基材とのラミネート後(フィルム積層体)のカールを抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、前記加熱温度が第2のフィルム基材のガラス転移温度以下であることにより、より高い精度でカール発生を抑制することができる。
また、請求項3の発明によれば、前記第2のフィルム基材の弾性率が1000〜5000MPaであることにより、応力に対して歪が小さいためより効果的にカール発生を抑制することができる。
また、請求項4の発明によれば、第1のフィルム基材の一方の面にガスバリア層が形成され、その上に接着剤が塗布されることにより、従来のカール発生によるガスバリア層の損傷が防げ、長期間において信頼性の高いガスバリア性を有するフィルム積層体を得ることができる。
上記で説明したように、本発明によれば、既に片弛みが生じていたり、または塑性変形し難いフィルム基材を用いても、優れたカール矯正及び抑制効果が得られるフィルム積層体の製造方法を提供することができる。
本発明に係るフィルム積層体の製造方法の一実施形態を示す断面概略図である。 (a)本発明の製造方法により作製したフィルム積層体の一実施形態を示す断面概略図である。 (b)第1のフィルム基材及び第2のフィルム基材のそれぞれが機能性層を有した場合の一実施形態。 50μmのPETフィルムに12μmのPETフィルムを貼り合せた場合のロール加熱温度とカール矯正量の実施例を示す。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示すように本発明のフィルム積層体10の製造方法は、第1のフィルム基材11の一方の面に接着剤を塗布する工程と、接着剤に含まれる揮発性成分を乾燥して接着層12を形成する工程と、乾燥後の接着剤の塗布面側と第2のフィルム基材13の一方の面とを対向させて重ね合わせて熱圧により貼り合わせる工程からなり、前記第2のフィルム基材13は、第1のフィルム基材11との貼り合わせ工程の前に、貼り合せ面側を加熱する工程を経ることを特徴とする。
このような製造方法が可能な装置としては、例えば汎用のドライラミネータを用いることができる。具体的には、第1のフィルム基材11を巻出す第1巻出しユニット20a、第2のフィルム基材13を巻出す第2巻出しユニット20b、貼り合わせ後のフィルム積層体を巻取る巻取りユニット30、接着剤を塗布する塗布ユニット40、接着剤の揮発成分を乾燥させて接着層12を形成するための乾燥ユニット50、第2のフィルム基材13の貼り合せ面を加熱する加熱ユニット60、第1のフィルム基材11と第2のフィルム基材13とを貼り合わせるためのラミネートユニット70を具備した装置が好ましい。
図2(a)は上記の方法にて製造した、フィルム積層体10の一実施形態を示している。また、図2(b)は、第1のフィルム基材11及び第2のフィルム基材13のそれぞれが機能性層11a、13aを有した場合の一実施形態を示している。
本発明のフィルム積層体10の製造方法は、第1のフィルム基材11の一方の面に接着剤を塗布、乾燥して接着層12を形成し、続いて第2のフィルム基材13と積層する前に
、第2のフィルム基材13の貼り合せ面を、例えば加熱ユニット60として備えた加熱ロールに接触させて加熱することで第2のフィルム基材の表裏に変形差を生じることを特徴とする。
上記で説明したように、第2のフィルム基材13の貼り合せ面を加熱ロールに接触させて意図的に加熱することで、第2のフィルム基材13の反対面に熱変形(歪)を生じさせることができる。この熱変形(歪)量を、第1のフィルム基材11の変形量(カールの度合い)を抑制するレベルに調整することで、ラミネート(貼り合わせ)後のフィルム積層体10のカールを精度よく抑制することができる。
本発明に係る第1のフィルム基材11の巻出しユニット20a、巻取りユニット30、塗布ユニット40、乾燥ユニット50、更には第2のフィルム基材13の片面のみを加熱する加熱ユニット60等は特に限定するものではない。中でも、第2のフィルム基材13の貼り合せの面側を加熱する加熱ユニット60については、均一に安定して加熱できる誘電加熱方式の加熱ロールが好ましい。
前記加熱ユニット60による第2のフィルム基材に対する加熱温度は、前記第2のフィルム基材のガラス転移温度以下が好ましい。一般に、巻取り形態のフィルム基材を用いて連続して加工する製造工程においてはフィルム基材に張力が掛けられた状態であるため、ガラス転移温度以上の加熱を行うとフィルム基材の塑性変形に伴う膨張による弛みが生じ、カールの制御が困難となる。
本発明に係る第1のフィルム基材としては、接着剤の塗布工程及び加熱による乾燥工程を考慮すると、耐溶剤性、耐熱性、機械的強度等の物性を有するものが好ましいが、特に限定するものではない。
また、第2のフィルム基材としては、求めるフィルム積層体のカール抑制を考慮して、弾性率が1000〜5000MPaであるものが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。この範囲の引張弾性率であれば、第1のフィルムとの貼り合わせ前の加熱により、接着剤の乾燥後に生じる第1のフィルム基材11の塑性変形を調整するに足る変形を意図的に起こすことができ、その結果、カールを抑制することができる。フィルム基材の引張弾性率はJISK7161の引張試験法を用いて測定できる。
例えば、第1のフィルム基材の接着剤の塗布、乾燥後の内側方向(正方向とすると)へのカール量(塑性変形の大きさ)を計測し、その正方向のカールを打ち消すために、第2のフィルム基材への加熱温度を調整することでカールを抑制できる。例えば、厚さ67μmのPETフィルム積層体(PET50μm/接着剤5μm/PET12μm)の場合には、負方向のカールがその大きさになるように加熱温度を30〜80℃の範囲で調整することで、貼り合せたフィルム積層体のカールを抑制することができる。
第1及び第2のフィルム基材は機能性層を有してもよく、一実施形態として、図2(b)には第1のフィルム基材11に機能性層11aを有した例を示している。機能性層11aとして、例えばガスバリア層などが挙げられる。
一般にガスバリア層はシリカ、アルミナ等の無機酸化物を蒸着法などにより薄膜として形成される。また、ガスバリア層にはポリマー、有機無機混合層等のコーティング層を積層しても良い。このガスバリア層を有するフィルム積層体は塑性変形を生じた状態で巻取られ、保存されると、その後、塑性変形を矯正して使用する際にガスバリア層に亀裂が入り易く、それが原因でガスバリア性の低下を招く恐れがある。本発明の製造方法によれば
、このガスバリア性の低下を防ぐことができ、その結果、長期貯蔵や信頼性の高いガスガリア性を供することができる。
さらに別の一実施形態として、第1のフィルム基材は複数のフィルムを積層した複合基材であってもよい。例えば、ガスバリア層等の機能性層を有するフィルム基材に、別の機能性フィルムを積層したものであってもよい。機能性フィルムとしては、例えばカーボンブラックや酸化チタン等で着色した遮光性/耐光性フィルムが挙げられるが、これに限られない。第2のフィルム基材も同様に機能性フィルムとしてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
第1のフィルム基材として厚さ50μmのPETフィルム、接着剤、厚さ12μmのPETフィルムを順次積層してなるフィルム基材を用い、ドライラミネータにより、2液硬化型の接着剤を乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗布、乾燥した。この時のカールの大きさを測定したところ35mmであった。なお、以下のカールの測定方法は下記方法で行った。
次に上記と同様の第1のフィルム基材を用い、図1に示すドライラミネータにより、2液硬化型の接着剤を乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗布、乾燥し、第2のフィルム基材として厚さ50μmのPETフィルムと貼り合せフィルム積層体を作製した。この時、貼り合わせ前に、第2のフィルム基材である厚さ50μmのPETフィルムの第1のフィルム基材との貼り合わせ面側を、温度75℃(図3参照)に加熱した誘電加熱ロールに接触させて加熱した。この時のカールの大きさを測定したところ平均10mmであった。なお、第2のフィルムの引張弾性率は2750MPaであった。
<実施例2>
第1のフィルム基材として厚さ50μmの白PETフィルム、接着剤、内面に酸化アルミニウム層とPVA/金属アルコキシドシリコンの複合コーティング膜からなるガスバリア層を有する厚さ12μmのPETフィルムを順次積層してなるフィルム基材を用い、ドライラミネータにより、2液硬化型の接着剤を乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗布、乾燥した。この時のカールの大きさを測定したところ平均40mmであった。
次に上記と同様の第1のフィルム基材を用い、図1に示すドライラミネータにより、2液硬化型の接着剤を乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗布、乾燥し、第2のフィルム基材として厚さ50μmの白PETフィルムと貼り合せフィルム積層体を作製した。この時、貼り合わせ前に、第2のフィルム基材である厚さ50μmの白PETフィルムの第1のフィルム基材との貼り合わせ面側から温度40℃に加熱した誘電加熱ロールに接触させて加熱した。この時のカールの大きさを測定したところ平均30mmであった。
<比較例1>
第2のフィルム基材を加熱しないこと以外は実施例1と同様にしてフィルム積層体を作製した。
<比較例2>
第2のフィルム基材を加熱しないこと以外は実施例2と同様にしてフィルム積層体を作製した。
<カールの測定方法>
測定対象となるフィルム基材(積層体も含む)を20cm角の大きさに断裁し、定盤の上に置き、定盤からの反りの最大高さを測定した。なお、第1のフィルム基材の塗布面側の反りを正方向、逆を負方向とし、第2のフィルム基材は加熱面の逆方向の反りを負方向とした。また、測定枚数は25枚とした。
<比較結果>
同じ材料構成である実施例1と比較例1を比べると、実施例1で得られたフィルム積層体のカールは、第1のフィルム基材を下にした場合の反りが10mm以下であった。一方、比較例1では反りが約30mmであった。これにより、第2のフィルム基材への加熱の効果が確認できた。また、同様に実施例2と比較例2を比べると、カールの最大高さの差は平均10mmと実施例2の方が小さく、本発明のフィルム積層体の製造方法の効果が確認できた。
2種類のフィルム基材を接着層を介して積層してなるフィルム積層体を反り等の塑性変形を抑制して製造することができる。
10 フィルム積層体
11 第1のフィルム基材
11a 機能性層
12 接着層
13 第2のフィルム基材
13a 機能性層
20a 第1巻出しユニット
20b 第2巻出しユニット
30 巻取りユニット
40 塗布ユニット
50 乾燥ユニット
60 加熱ユニット
70 ラミネートユニット(ロール)

Claims (4)

  1. 第1のフィルム基材と第2のフィルム基材とを接着剤を介して貼り合わせてなるフィルム積層体の製造方法であって、
    第1のフィルム基材の一方の面に接着剤を塗布する工程と、接着剤に含まれる揮発性成分を乾燥する工程と、乾燥後の接着剤の塗布面側と第2のフィルム基材の一方の面とを対向させて重ね合わせて熱圧により貼り合わせる工程からなり、
    前記第2のフィルム基材は、第1のフィルム基材との貼り合わせ工程の前に、加熱する工程を経ることを特徴とするフィルム積層体の製造方法。
  2. 前記第2のフィルム基材を加熱する工程での加熱温度がガラス転移温度以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体の製造方法。
  3. 前記第2のフィルム基材の弾性率が1000〜5000MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム積層体の製造方法。
  4. 第1のフィルム基材の一方の面にガスバリア層が形成され、その上に接着剤が塗布されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム積層体の製造方法。
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CN112123792A (zh) * 2020-09-04 2020-12-25 江苏艾锐博精密金属科技有限公司 一种胶片和屏蔽罩成型贴胶工艺

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