特許文献1のパラレルリンク機構は、構成が比較的簡単であるが、各リンクの作動角が小さい。そのため、トラベリングプレートの作動範囲を大きく設定すると、リンク長が長くなることにより、機構全体の寸法が大きくなって装置の大形化を招くという問題がある。また、機構全体の剛性が低く、トラベリングプレートに搭載されるツールの重量、つまりトラベリングプレートにおける可搬重量が小さいものに制限されるという問題もある。
特許文献2のリンク作動装置は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、4節連鎖の3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結した構成としたパラレルリンク機構を用いている。これにより、コンパクトでありながら、高速、高精度で、広範な作動範囲の動作が可能である。
しかしながら、特許文献2のリンク作動装置は2自由度の機構であるため、このリンク作動装置だけでは、立方体や直方体の複数の側面、あるいは球体の球面等のような3次元形状の被作業体に対して作業を行うことはできない。3次元形状の被作業体に対して作業を行う場合、通常は、合計4自由度以上になるように、リンク作動装置に2自由度以上の機構を追加する必要があった。
この発明の目的は、2自由度のリンク作動装置に1自由度の直動機構を追加しただけの構成でありながら、3次元形状の被作業体に対する作業が可能なパラレルリンク機構を用いた作業装置を提供することである。
この発明のパラレルリンク機構を用いた作業装置は、被作業体に対して作業体で接触状態または非接触状態で作業を行う作業装置であって、前記被作業体または前記作業体を姿勢変更可能に支持するパラレルリンク機構と、このパラレルリンク機構を作動させる姿勢制御用アクチュエータと、前記被作業体と前記作業体とを相対的に1軸方向に移動させる直動機構とを備える。
前記パラレルリンク機構は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記先端側のリンクハブに前記被作業体および前記作業体のうちの姿勢変更される方が設けられている。
前記姿勢制御用アクチュエータは、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更するように、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に設けられている。
前記直動機構は、前記基端側のリンクハブの中心軸と同軸上または平行に前記被作業体と前記作業体とを相対的に移動させるものである。なお、「リンクハブの中心軸」とは、前記リンクハブと前記端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点を前記リンクハブの「球面リンク中心」と称する場合、この球面リンク中心を通り前記リンクハブと前記端部リンク部材の回転対偶の中心軸と直角に交わる直線を指す。
前記被作業体のうちの前記作業体により作業される部位は、前記基端側のリンクハブと前記先端側のリンクハブとの間の内部空間に位置し、かつ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられた方のリンクハブの球面リンク中心から、前記被作業体の外面のうちの前記作業体に対し反対側に位置する面である底面までの距離が、前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブの各球面リンク中心間の距離の1/2以上である。
前記パラレルリンク機構は、基端側のリンクハブと、先端側のリンクハブと、3組以上のリンク機構とで、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブが直交2軸周りに回転自在な2自由度機構を構成する。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、先端側のリンクハブの可動範囲を広くとれる。例えば、基端側のリンクハブの中心軸と先端側のリンクハブの中心軸の折れ角の最大値は約±90°であり、基端側のリンクハブに対する先端側のリンクハブの旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。
このパラレルリンク機構を用いた作業装置は、パラレルリンク機構の2自由度と直動機構の1自由度とで計3自由度の構成となる。3自由度の構成であっても、被作業体のうちの作業体により作業される部位を基端側のリンクハブと先端側のリンクハブとの間の内部空間に位置させて、作業体が被作業体に対して前記内部空間で作業を行うようにしている。これに加え、被作業体が設けられた方のリンクハブの球面リンク中心から被作業体の底面までの距離を、基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブの各球面リンク中心間の距離の1/2以上としている。
これにより、姿勢制御用アクチュエータによりパラレルリンク機構を作動させて被作業体または作業体の姿勢を変更すると共に、直動機構により被作業体と作業体とを相対的に1軸方向に移動させることで、被作業体の底面を除く各面に対して作業体で接触状態または非接触状態で作業を行うことができる。3自由度の構成であるので、従来の4自由度の構成と比較して、コンパクト化が実現できる。また、パラレルリンク機構により被作業体の姿勢変更を高速、高精度で行えるので、高速、高精度の作業が可能である。
3自由度の構成であっても、被作業体の底面を除く各面に対して作業体で作業を行うことができる理由を説明する。
基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブの各球面リンク中心間の距離をL、基端側のリンクハブの中心軸と先端側のリンクハブの中心軸とが成す角度である折れ角をθとした場合、基端側および先端側の各リンクハブの中心軸の交点と各球面リンク中心との距離xは、x=L/(2cos(θ/2))である。折れ角θが大きくなるにつれて、距離xは大きくなる。そのため、被作業体が設けられた方のリンクハブの球面リンク中心から被作業体の前記底面までの距離Tが、T≦L/2である場合、折れ角θが大きくなるにつれて被作業体の底面の位置は被作業体が設けられていない方のリンクハブの中心軸から離れる方向に移動する。被作業体の底面の位置が前記中心軸から大きく離れてしまうと、立方体や直方体の複数の側面、円筒部材の側面、球体の球面のような3次元形状の被作業体の側面を底面位置まで作業体をアプローチできない。
一方、T>L/2である場合、折れ角θが変化しても、必ずT>L/(2cos(θ/2))を満たす姿勢が存在するので、前記3次元形状の被作業体の側面に対しても作業体をアプローチできる。よって、3自由度の構成であっても、3次元形状の被作業体の側面に対して接触状態または非接触状態で作業を行うことが可能である。
また、被作業体のうちの作業体により作業される部位が基端側のリンクハブと先端側のリンクハブとの間の内部空間に位置していると、作業体が被作業体に対して前記内部空間で作業を行う。この場合、内部空間の外で作業を行う場合と比較して、先端側のリンクハブに設けられる作業体または被作業体の重心がパラレルリンク機構の回転中心である基端側および先端側の各リンクハブの中心軸の交点に近くなる。このため、作業体または被作業体の慣性モーメントが小さくなり、重量の大きい作業体または被作業体を先端側リンクハブに設けた場合でも、高速動作が可能となる。また、姿勢変更用アクチュエータの低出力化、省エネ化、コンパクト化が可能となる。
この発明において、前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられる方のリンクハブの中心軸は前記被作業体の少なくとも一部分を通り、もう一方のリンクハブの中心軸は前記作業体における前記被作業体に対して作業する部分である作業部の中心軸と一致すると良い。この構成により、被作業体に対して複数方向からの作業が可能となり、作業体の作業部の中心軸が被作業体の側面と交差する面積が増加し、作業範囲が広くなる。また、被作業体や作業体の位置を計算する関係式が比較的簡単な形となり、姿勢制御用アクチュエータおよび直動機構の制御が容易になる。
この発明において、前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられた方のリンクハブの球面リンク中心から前記被作業体の前記底面までの距離をT、前記基端側のリンクハブの球面リンク中心と前記先端側のリンクハブの球面リンク中心間の距離をL、前記パラレルリンク機構が作動可能範囲の最大域まで作動した状態における前記基端側のリンクハブの中心軸と前記先端側のリンクハブの中心軸とが成す角度である最大折れ角をθmaxとした場合、
T≧L/(2cos(θmax/2))
の関係が成り立つと良い。
パラレルリンク機構が作動可能範囲の最大域まで作動した場合、先端側または基端側の球面リンク中心から先端側または基端側のリンクハブの中心軸の交点までの距離がL/(2cos(θmax/2))となる。距離TをL/(2cos(θmax/2))以上とすれば、最大折れ角θmaxの作動範囲内において、作業体の作業部の中心軸が被作業体の側面と交差する面積が増加し、作業範囲が広くなる。
この発明において、前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられた方のリンクハブの中心軸から前記被作業体の外周面までの最大距離をM、前記各中央リンク部材の内側面の中央部を結ぶ円である内側面軌道円の半径をR、前記先端側のリンクハブの球面リンク中心から前記被作業体の前記底面までの距離をT、前記パラレルリンク機構が作動可能範囲の最大域まで作動した状態における前記基端側のリンクハブの中心軸と前記先端側のリンクハブの中心軸とが成す角度である最大折れ角をθmaxとした場合、
R≧T・sin(θmax/2)+M
の関係が成り立つと良い。ここで、中央リンク部材の「内側面」とは、基端側と先端側の球面リンク中心を結ぶ直線の中点に対し対向する面のことである。
このようにパラレルリンク機構の各リンク機構を構成することで、被作業体や作業体が中央リンク部材と干渉することを回避できる。これにより、パラレルリンク機構の可動範囲と作業範囲を広くとれるようになる。
この発明において、前記被作業体を前記先端側のリンクハブに設けると共に、前記直動機構を前記基端側のリンクハブに設置し、この直動機構で前記作業体を移動させると良い。例えば、液体塗布、絵付け、加工等の作業では、被作業体よりも作業体の方の嵩が大きく、かつ質量が大きい場合が多い。この構成であると、被作業体と比べて嵩や質量が大きな作業体を基端側のリンクハブに設けることで、姿勢変更用アクチュエータの負荷を低減できる。その結果、作業装置のコンパクト化やコスト低減につながる。
上記構成の場合、前記パラレルリンク機構を前記先端側のリンクハブが下向きとなるように設置し、前記直交2軸直動機構を前記パラレルリンク機構の上方に配置すると良い。これにより、姿勢制御用アクチュエータ、直動機構等の制御用機器や作業体が被作業体の下方に配置されていない。したがって、被作業体から発生する切粉等や被作業体に付着させるグリース、塗料等が制御用機器や作業体に付着して、これらに悪影響を与えることを防止できる。
この発明において、前記被作業体を前記先端側のリンクハブに設けると共に、前記作業体を固定部となる架台に設置し、前記直動機構で前記パラレルリンク機構全体を移動させることで、前記被作業体と前記作業体とを相対的に1軸方向に移動させると良い。この場合も、前記同様に、被作業体と比べて嵩や質量が大きな作業体を基端側のリンクハブに設けることで、姿勢変更用アクチュエータの負荷を低減できる。その結果、作業装置のコンパクト化やコスト低減につながる。
この発明において、前記被作業体を、前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられる方のリンクハブの中心軸に対して直交する軸回りに回転させる回転機構を設けてもよい。この場合、パラレルリンク機構の2自由度と直動機構の1自由度と回転機構の1自由度とで、計4自由度の構成となる。前記特許文献2のリンク作動装置のような2自由度の構成に直動機構を追加して、立方体や直方体の複数の側面、円筒体の側面、球体の球面等のような3次元形状の被作業体の全周面(立方体や直方体の場合は6つの面)に対して作業を行うためには、3つ以上の直動機構を追加する必要がある。つまり、5自由度以上の機構となる。
この構成によると、1つの直動機構と1つの回転機構とを追加することで、4自由度の構成でありながら、回転機構で被作業体を回転させることにより、被作業体の全周面に対して作業を行うことができる。回転機構による被作業体の回転中心を、基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブのうちの被作業体が設けられる方のリンクハブの中心軸に対して直交する軸とすると、作業体による被作業体の作業位置を計算する関係式が比較的簡単となり、姿勢制御用アクチュエータおよび直動機構の制御が容易になる。
前記回転機構を設ける場合、一端が前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられる方のリンクハブに固定され他端が前記内部空間の外側の空間である外部空間へ延びた回転機構固定部材の前記他端に前記回転機構を設置し、この回転機構の出力軸に被作業体固定部材を設置し、この被作業体固定部材の先端を前記3組以上のリンク機構のうちの隣り合う2組のリンク機構の間を通って前記内部空間に挿入し、この被作業体固定部材の前記先端に前記被作業体を設置すると良い。
このように、回転機構をスペースに余裕のあるパラレルリンク機構の外部空間に配置することで、各リンク機構と回転機構とが干渉することを防止でき、より広い作動範囲を実現できる。
この発明のパラレルリンク機構を用いた作業装置は、被作業体に対して作業体で接触状態または非接触状態で作業を行う作業装置であって、前記被作業体または前記作業体を姿勢変更可能に支持するパラレルリンク機構と、このパラレルリンク機構を作動させる姿勢制御用アクチュエータと、前記被作業体と前記作業体とを相対的に1軸方向に移動させる直動機構とを備え、前記パラレルリンク機構は、基端側のリンクハブに対し先端側のリンクハブを、3組以上のリンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各リンク機構は、それぞれ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブに一端が回転可能に連結された基端側および先端側の端部リンク部材と、これら基端側および先端側の端部リンク部材の他端に両端がそれぞれ回転可能に連結された中央リンク部材とを有し、前記先端側のリンクハブに前記被作業体および前記作業体のうちの姿勢変更される方が設けられ、前記姿勢制御用アクチュエータは、前記基端側のリンクハブに対する前記先端側のリンクハブの姿勢を任意に変更するように、前記3組以上のリンク機構のうちの2組以上のリンク機構に設けられ、前記直動機構は、前記基端側および先端側のリンクハブと前記基端側および先端側の端部リンク部材の各回転対偶の中心軸、および前記基端側および先端側の端部リンク部材と前記中央リンク部材の各回転対偶の中心軸がそれぞれ交差する点を前記基端側および先端側のリンクハブの球面リンク中心と称し、この基端側および先端側の球面リンク中心を通り前記基端側および先端側のリンクハブと前記基端側および先端側の端部リンク部材の回転対偶の中心軸と直角に交わる直線を基端側および先端側のリンクハブの中心軸と称する場合、前記基端側のリンクハブの中心軸と同軸上または平行に前記被作業体と前記作業体とを相対的に移動させるものであり、前記被作業体のうちの前記作業体により作業される部位は、前記基端側のリンクハブと前記先端側のリンクハブとの間の内部空間に位置し、かつ前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブのうちの前記被作業体が設けられた方のリンクハブの球面リンク中心から、前記被作業体の外面のうちの前記作業体に対し反対側に位置する面である底面までの距離が、前記基端側のリンクハブおよび前記先端側のリンクハブの各球面リンク中心間の距離の1/2以上であるため、被作業体が比較的小さければ、2自由度のリンク作動装置に1自由度の直動機構を追加しただけの構成でありながら、3次元形状の被作業体に対する作業が可能である。
この発明の第1実施形態に係るパラレルリンク機構を用いた作業装置を図1〜図9と共に説明する。図1、図2はこの作業装置の互いに異なる状態を示す正面図である。作業装置1は、被作業体2に対して作業体3で作業を行う装置である。土台4の上に建てられて複数本の支柱5によって水平状のベース部材6が支持され、このベース部材6にリンク作動装置7が設置されていると共に、前記土台4に直動機構8が設置されている。リンク作動装置7は、被作業体2を姿勢変更可能に支持するパラレルリンク機構9と、このパラレルリンク機構9を作動させる姿勢制御用アクチュエータ10とで構成されている。直動機構8は、被作業体2に対して作業体3を1軸方向に移動させる機構である。
図3はリンク作動装置の正面図、図4、図5はリンク作動装置の互いに異なる状態を示す斜視図である。リンク作動装置7のパラレルリンク機構9は、基端側のリンクハブ12に対し先端側のリンクハブ13を3組のリンク機構14を介して姿勢変更可能に連結したものである。なお、図3では、1組のリンク機構14のみが示されている。リンク機構14の数は、4組以上であっても良い。
各リンク機構14は、基端側の端部リンク部材15、先端側の端部リンク部材16、および中央リンク部材17で構成され、4つの回転対偶からなる4節連鎖のリンク機構をなす。基端側および先端側の端部リンク部材15,16はL字形状であり、一端がそれぞれ基端側のリンクハブ12および先端側のリンクハブ13に回転自在に連結されている。中央リンク部材17は、両端に基端側および先端側の端部リンク部材15,16の他端がそれぞれ回転自在に連結されている。
パラレルリンク機構9は、2つの球面リンク機構を組み合わせた構造である。基端側のリンクハブ12と基端側の端部リンク部材15の各回転対偶、および基端側の端部リンク部材15と中央リンク部材17の各回転対偶の中心軸が、基端側の球面リンク中心PA(図3)で交差している。同様に、先端側のリンクハブ13と先端側の端部リンク部材16の各回転対偶、および先端側の端部リンク部材16と中央リンク部材17の各回転対偶の中心軸が、先端側の球面リンク中心PB(図3)で交差している。
また、基端側のリンクハブ12と基端側の端部リンク部材15の各回転対偶と基端側の球面リンク中心PAとの距離は互いに同じであり、基端側の端部リンク部材15と中央リンク部材17の各回転対偶と基端側の球面リンク中心PAとの距離も互いに同じである。同様に、先端側のリンクハブ13と先端側の端部リンク部材16の各回転対偶と先端側の球面リンク中心PBとの距離は互いに同じであり、先端側の端部リンク部材16と中央リンク部材17の各回転対偶と先端側の球面リンク中心PBとの距離も互いに同じである。基端側および先端側の端部リンク部材15,16と中央リンク部材17との各回転対偶の中心軸は、ある交差角γ(図3)を持っていてもよいし、平行であってもよい。
図6(A)は基端側のリンクハブ12、基端側の端部リンク部材15等の断面図で、図6(B)は図6(A)の拡大図である。図6(A)に、基端側のリンクハブ12と基端側の端部リンク部材15の各回転対偶の中心軸O1と、球面リンク中心PAとの関係が示されている。先端側のリンクハブ13および先端側の端部リンク部材16の形状ならびに位置関係も図6(A)および図6(B)と同様である(図示せず)。図6(A)では、基端側のリンクハブ12と基端側の端部リンク部材15との各回転対偶の中心軸O1と、基端側の端部リンク部材15と中央リンク部材17との各回転対偶の中心軸O2とが成す角度αが90°となっている。ただし、前記角度αは90°以外であっても良い。
3組のリンク機構14は、幾何学的に同一形状をなす。幾何学的に同一形状とは、図7に示すように、各リンク部材15,16,17を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが、中央リンク部材17の中央部に対する基端側部分と先端側部分が対称を成す形状であることを言う。図7は、一組のリンク機構14を直線で表現した図である。この実施形態のパラレルリンク機構9は回転対称タイプで、基端側のリンクハブ12および基端側の端部リンク部材15と、先端側のリンクハブ13および先端側の端部リンク部材16との位置関係が、中央リンク部材17の中心線Cに対して回転対称となる位置構成になっている。各中央リンク部材17の中央部は、共通の軌道円D上に位置している。
基端側のリンクハブ12と先端側のリンクハブ13と3組のリンク機構14とで、基端側のリンクハブ12に対し先端側のリンクハブ13が直交2軸周りに回転自在な2自由度機構が構成されている。言い換えると、基端側のリンクハブ12に対して先端側のリンクハブ13を、回転が2自由度で姿勢変更自在な機構である。この2自由度機構は、コンパクトでありながら、基端側のリンクハブ12に対する先端側のリンクハブ13の可動範囲を広くとれる。
例えば、基端側および先端側の球面リンク中心PA,PBを通り、基端側および先端側のリンクハブ12,13と基端側および先端側の端部リンク部材15,16の各回転対偶の中心軸O1(図6)と直角に交わる直線を基端側および先端側のリンクハブ12,13の中心軸QA,QBとした場合、基端側のリンクハブ12の中心軸QAと先端側のリンクハブ13の中心軸QBとの折れ角θ(図7)の最大値を約±90°とすることができる。また、基端側のリンクハブ12に対する先端側のリンクハブ13の旋回角φ(図7)を0°〜360°の範囲に設定できる。折れ角θは、基端側のリンクハブ12の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ13の中心軸QBが傾斜した垂直角度のことである。一方、旋回角φは、基端側のリンクハブ12の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ13の中心軸QBが傾斜した水平角度のことである。
基端側のリンクハブ12に対する先端側のリンクハブ13の姿勢変更は、基端側のリンクハブ12の中心軸QAと先端側のリンクハブ13の中心軸QBとの交点Oを回転中心として行われる。図4は、基端側のリンクハブ12の中心軸QAと先端側のリンクハブ13の中心軸QBが同一線上にある状態を示し、図5は、基端側のリンクハブ12の中心軸QAに対して先端側のリンクハブ13の中心軸QBが或る作動角をとった状態を示す。姿勢が変化しても、基端側と先端側の球面リンク中心PA,PB間の距離L(図7)は変化しない。
このパラレルリンク機構9において、以下の条件1〜4をすべて満たすとき、中央リンク部材17の対称面に対して、中央リンク部材17と基端側および先端側の端部リンク部材15,16との角度位置関係を基端側と先端側とで同じにすれば、幾何学的対称性から基端側のリンクハブ12および基端側の端部リンク部材15と、先端側のリンクハブ13および先端側の端部リンク部材16とは同じに動く。
(条件1)各リンク機構14における基端側および先端側のリンクハブ12,13と基端側および先端側の端部リンク部材15,16の回転対偶の中心軸O1の角度および基端側および先端側の球面リンク中心PA,PBからの長さが互いに等しい。
(条件2)各リンク機構14の基端側および先端側のリンクハブ12,13と基端側および先端側の端部リンク部材15,16の回転対偶の中心軸O1、および基端側および先端側の端部リンク部材15,16と中央リンク7の回転対偶の中心軸O2が、基端側および先端側において基端側および先端側の球面リンク中心PA,PBと交差する。
(条件3)基端側の端部リンク部材15と先端側の端部リンク部材16の幾何学的形状が等しい。
(条件4)中央リンク部材17についても基端側の先端側とで形状が等しい。
図1〜図6(B)に示すように、基端側のリンクハブ12は、前記ベース部材6と、このベース部材6と一体に設けられた3個の回転軸連結部材21とで構成されている。ベース部材6は中央部に円形の貫通孔6a(図6(A))を有し、この貫通孔6aの周囲に3個の回転軸連結部材21が円周方向に等間隔で配置されている。貫通孔6aの中心は、基端側のリンクハブ中心軸QA上に位置する。各回転軸連結部材21には、軸心が基端側のリンクハブ中心軸QAと交差する回転軸22が回転自在に連結されている。この回転軸22に、基端側の端部リンク部材15の一端が連結されている。
1つの基端側の端部リンク部材15およびその両端周辺部を拡大した図6(B)に示すように、回転軸22は、大径部22a、小径部22b、および雄ねじ部22cを有し、小径部22bで2個の軸受23を介して回転軸連結部材21に回転自在に支持されている。軸受23は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。これらの軸受23は、回転軸連結部材21に設けられた内径溝24に嵌合状態で設置され、圧入、接着、加締め等の方法で固定されている。他の回転対偶部に設けられる軸受の種類および設置方法も同様である。
回転軸22は、大径部22aで後述の減速機構52の出力軸52aに同心軸上に配置されている。その連結構造の詳細は、後述する。また、回転軸22には、この回転軸22と一体に回転するように、基端側の端部リンク部材15の一端が連結されている。基端側の端部リンク部材15の一端に切欠き部25が形成され、この切欠き部25の両側部分が内外一対の回転軸支持部26,27を構成している。これら一対の回転軸支持部26,27に貫通孔26a,27aがそれぞれ形成されている。前記回転軸連結部材21が切欠き部25内に配置され、回転軸22の小径部22bが貫通孔26a,27a、および軸受23の内輪に挿通されている。回転軸22の雄ねじ部22cは、内側の回転軸支持部27よりも内側に突出している。
回転軸22の大径部22aの外周にスペーサ28が嵌合され、このスペーサ28を介して基端側の端部リンク部材15と減速機構52の出力軸52aとがボルト29で固定されている。さらに、回転軸22の雄ねじ部22cにナット30が螺着されている。軸受23の内輪と一対の回転軸支持部26,27との間に、スペーサ31,32が介在されており、ナット30の螺着時に軸受23に予圧が付与される。
基端側の端部リンク部材15の他端には、中央リンク部材17の一端に回転自在に連結された回転軸35が連結されている。この中央リンク部材17の回転軸35は、リンクハブ12の回転軸22と同様に、大径部35a、小径部35b、および雄ねじ部35cを有し、小径部32bで2個の軸受36を介して中央リンク部材17の一端に回転自在に支持されている。基端側の端部リンク部材15の他端に切欠き部37が形成され、この切欠き部37の両側部分が内外一対の回転軸支持部38,39を構成している。これら回転軸支持部38,39に貫通孔38a,39aがそれぞれ形成されている。回転軸35の雄ねじ部35cは、内側の回転軸支持部39よりも内側に突出している。
前記切欠き部37内に中央リンク部材17の一端が配置され、回転軸35の小径部35bが貫通孔38a,39a、および軸受36の内輪に挿通されている。さらに、回転軸35の雄ねじ部35cにナット40が螺着されている。軸受36の内輪と一対の回転軸支持部38,39との間に、スペーサ41,42が介在されており、ナット40の螺着時に軸受36に予圧が付与される。
図1〜図5に示すように、先端側のリンクハブ13は、平板状の先端部材40と、この先端部材40の底面に円周方向等配で設けられた3個の回転軸連結部材41とで構成されている。各回転軸連結部材41が配置される円周の中心は、先端側のリンクハブ中心軸QB上に位置する。各回転軸連結部材41は、軸心がリンクハブ中心軸QBと交差する回転軸43が回転自在に連結されている。この先端側のリンクハブ13の回転軸43に、先端側の端部リンク部材16の一端が連結されている。先端側の端部リンク部材16の他端には、中央リンク部材17の他端に回転自在に連結された回転軸45が連結されている。
先端側のリンクハブ13の回転軸43および中央リンク部材17の回転軸45も、前記回転軸35と同じ形状であり、かつ2個の軸受(図示せず)を介して回転軸連結部材41および中央リンク部材17の他端にそれぞれ回転自在に連結されている。
リンク作動装置7の姿勢制御用アクチュエータ10は、減速機構52を備えたロータリアクチュエータであり、基端側のリンクハブ12のベース部材6の上面に、前記回転軸22と同軸上に設置されている。姿勢変更用アクチュエータ10と減速機構52は一体に設けられ、モータ固定部材53により減速機構52がベース部材6に固定されている。この実施形態では、3組のリンク機構14のすべてに姿勢変更用アクチュエータ10が設けられている。ただし、3組のリンク機構14のうち少なくとも2組に姿勢変更用アクチュエータ10を設ければ、基端側のリンクハブ12に対する先端側のリンクハブ13の姿勢を確定することができる。
図6(B)において、減速機構52はフランジ出力であって、大径の出力軸52aを有する。出力軸52aの先端面は、出力軸52aの中心線と直交する平面状のフランジ面54となっている。出力軸52aは、前記スペーサ28を介して、基端側の端部リンク部材15の回転軸支持部26にボルト29で接続されている。前記回転軸22の大径部22aが、基端側のリンクハブ12と基端側の端部リンク部材15の回転対偶部を構成し、この大径部22aが、減速機構52の出力軸52aに設けられた内径溝57に嵌っている。
直動機構8は、図1、図2に示すように、土台4に固定されたブラケット61に設置され、上下方向に進退可能な移動体8aと、この移動体8aを移動させる駆動源であるモータ8bとを有する。移動体8aには作業体設置部材62が取り付けられ、この作業体設置部材62は、ベース部材6の貫通孔6aを貫通してベース部材6の上方へ延びている。作業体設置部材62の上端に作業体固定部材63が設けられ、この作業体固定部材63に作業体3が固定されている。これにより、直動機構8を駆動することで、作業体3が上下方向、すなわち基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動する。
先端側のリンクハブ13の先端部材40に、この先端側のリンクハブ13の中心軸QBに沿って下方に延びる棒状の被作業体固定部材65が設けられ、この被作業体固定部材65の下端に被作業体2が保持されている。被作業体2は、例えば図8(A)に示すような平面形状が円形の円筒体形状、あるいは図8(B)に示すような平面形状が矩形の直方体形状の3次元形状であって、作業体3に対し反対側に位置する面である底面2a(図1、図2)で被作業体固定部材65の下端に固定される。
図1、図2において、作業体3は、この実施形態の場合、作業部3aが被作業体2に対して接触して作業を行う切削加工機である。作業部3aの中心軸は、基端側のリンクハブ12の中心軸QAと一致している。作業部3aは、例えば図9(A),図9(B),図10(A)および図10(B)に示すエンドミルのような回転工具からなる。図9(A),図9(B)の回転工具(作業部3a)は先端が球状であって、主に曲面の切削に用いられる。図10(A),図10(B)の回転工具(作業部3a)は先端が円すい状であって、例えば、センターの面取りに用いられる。作業体3は、被作業体2に対して非接触で作業を行うものであってもよい。被作業体2に対して作業体3が行う作業としては、切削加工以外に、液体の塗布、絵付け、検査等がある。
このパラレルリンク機構9を用いた作業装置1は、パラレルリンク機構9の2自由度と直動機構8の1自由度とで計3自由度の構成である。3自由度の構成であっても、被作業体2の底面2aを除く各面に対して作業体3で作業を行うことができるように、以下の条件A,Bが定められている。
(条件A)被作業体2のうちの作業体3により作業される部位が、基端側のリンクハブ12と先端側のリンクハブ13との間の空間であるパラレルリンク機構9の内部空間S1に位置している。つまり、作業体3が被作業体2に対して前記内部空間S1で作業を行う。
(条件B)基端側のリンクハブ12および先端側のリンクハブ13のうちの被作業体2が設けられた方のリンクハブの球面リンク中心から、被作業体2の底面2aまでの距離Tが、基端側のリンクハブ12および先端側のリンクハブ13の各球面リンク中心PA,PB間の距離Lの1/2以上である。この実施形態の場合、先端側のリンクハブ13に被作業体2が設けられているため、先端側のリンクハブ13の球面リンク中心PBから、被作業体2の底面2aまでの距離Tが、球面リンク中心PA,PB間の距離Lの1/2以上である。
3自由度の構成であっても、被作業体2の底面2aを除く各面に対して作業体3で作業を行うことができる理由を説明する。
基端側および先端側の各リンクハブ12,13の中心軸QA,QBの交点Oと各球面リンク中心PA,PBとの距離xは、x=L/(2cos(θ/2))である。折れ角θが大きくなるにつれて、距離xは大きくなる。そのため、被作業体2が設けられた先端側のリンクハブ13の球面リンク中心PBから被作業体2の底面2aまでの距離Tが、T≦L/2である場合、折れ角θが大きくなるにつれて被作業体2の底面2aの位置は基端側のリンクハブ13の中心軸QBから離れる方向に移動する。被作業体2の底面2aの位置が前記中心軸QAから大きく離れてしまうと、立方体や直方体の複数の側面、円筒部材の側面、球体の球面等のような3次元形状の被作業体2の側面を底面位置まで作業体3をアプローチできない。
一方、T>L/2である場合、折れ角θが変化しても、必ずT>L/(2cos(θ/2))を満たす姿勢が存在するため、前記3次元形状の被作業体2の側面に対しても作業体3をアプローチできる。よって、3自由度の構成であっても、3次元形状の被作業体2の側面に対して接触状態または非接触状態で作業を行うことが可能である。
上記距離Tと距離Lの関係に関して、より詳しくは、
T≧L/(2cos(θmax/2))・・・式1
の関係が成り立つようにすると良い。なお、θmaxは最大折れ角で、パラレルリンク機構9が作動可能範囲の最大域まで作動した状態における折れ角θである。
パラレルリンク機構9が作動可能範囲の最大域まで作動した場合、距離LはL/(2cos(θmax/2))となる。距離TをL/(2cos(θmax/2))以上とすれば、最大折れ角θmaxの作動範囲内において、作業体3の作業部3aの中心軸が被作業体2の側面と交差する面積が増加し、作業範囲が広くなる。
また、被作業体2および作業体3が中央リンク部材17と干渉することを避けるために、各部の寸法関係を次のように定めると良い。すなわち、被作業体2が設けられた先端側のリンクハブ13の中心軸QBから被作業体2の外周面までの最大距離をM、各中央リンク部材17の内側面の中央部を結ぶ円である内側面軌道円の半径をRとした場合、
R≧T・sin(θmax/2)+M・・・式2
の関係が成り立つようにする。ここで、最大距離Mは、図8(A)のように被作業体2の平面形状が円形である場合は半径となり、図8(B)のように被作業体2の平面形状が矩形である場合は、矩形の中心から角までの距離となる。また、中央リンク部材17の「内側面」とは、基端側と先端側の球面リンク中心を結ぶ直線PA−PBの中点に対し対向する面のことである。
このようにパラレルリンク機構9の各リンク機構14を構成することで、被作業体2や作業体3が中央リンク部材17と干渉することを回避できる。それにより、パラレルリンク機構9の可動範囲およびリンク作動装置7の作業範囲を広くとれる。
この作業装置1による具体的な作業の動作を図11と共に説明する。
図11の工程(A)〜(C)は、被作業体2の先端面2bに対して作業体3で作業を行う過程を示し、工程(D),(E)は、被作業体2の左側面2cに対して作業体3で作業を行う過程を示す。図11の工程(A)では、基端側のリンクハブ12の中心軸QAと先端側のリンクハブ13の中心軸QBが一致しており、先端面2bの中心位置に作業体3の作業部3aが当接している。
この状態から、姿勢変更用アクチュエータ10(図1、図2)を駆動してパラレルリンク機構9を図の左側に傾けると共に、直動機構8(図1、図2)を駆動して作業体3を上方に移動させる。これにより、図11の工程(B),(C)のように、作業体3の作業部3aが被作業体2の先端面2bに当接しながら中央位置から左端へと移動して、先端面2bに対して作業をする。姿勢変更用アクチュエータ10および直動機構8は、互いに連係して動作するように制御される。
図11の工程(C)の状態から、前記同様に、パラレルリンク機構9を図の左側に傾けると共に、作業体3を上方に移動させることにより、作業体3の作業部3aが被作業体2の左側面2cに当接しながら下端から上端へと移動して、左側面2cに対して作業をする(図11の工程(D),(E))。パラレルリンク機構9を傾き方向を変えることで、被作業体2の右側面や前後の側面についても同様に作業をすることができる。
図11の工程(E)のように、パラレルリンク機構9を最大折れ角θmaxまで傾けたときに、作業体3の作業部3aが被作業体2の側面2cの上端に当接するようになっていれば、被作業体2の底面2aを除く各面に対して作業を行うことができる。この場合、前記式1の関係が成り立つようにすることで、作業範囲が広くなる。また、前記式2の関係が成り立つようにすることで、パラレルリンク機構9の可動範囲およびリンク作動装置7の作業範囲を広くとれる。
このように、パラレルリンク機構9を用いた作業装置1は、リンク作動装置7を作動させて先端側のリンクハブ13に設置された被作業体2の姿勢を変更すると共に、直動機構8により作業体3を1軸方向に移動させることで、被作業体2の底面を除く各面に対して作業体3で接触作業または非接触作業を行うことができる。リンク作動装置7により被作業体2の姿勢変更を高速、高精度で行えるので、高速、高精度の作業が可能である。
この実施形態のように、作業体3の作業部3aの中心軸を基端側のリンクハブ12の中心軸QAと一致させ、かつ作業体3を直動機構8により基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動させると、作業体3や被作業体2の位置を計算する関係式が比較的簡単となり、姿勢制御用アクチュエータ10および直動機構8の制御が容易である。
例えば、液体塗布、絵付け、切削加工等の作業では、被作業体2よりも作業体3の方が嵩や質量が大きい場合が多い。被作業体2と比べて嵩や質量が大きな作業体3が基端側のリンクハブ12に設けられているので、姿勢変更用アクチュエータ10の負荷を低減できる。その結果、作業装置1のコンパクト化やコスト低減につながる。
また、作業体3が被作業体2に対してパラレルリンク機構9の内部空間S1で作業を行う。したがって、内部空間S1の外で作業を行う場合と比較して、先端側のリンクハブ13に設けられる被作業体2の重心がパラレルリンク機構9の回転中心である基端側および先端側の各リンクハブ12,13の中心軸QA,QBの交点Oに近くなる。このため、被作業体2の慣性モーメントが小さくなり、重量の大きい被作業体2を先端側リンクハブ13に設けた場合でも、高速動作が可能となる。また、姿勢変更用アクチュエータ10の低出力化、省エネ化、コンパクト化が可能となる。
以下、この発明の異なる実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、前記実施形態と同じ構成である部材については、同じ符号を付して表し、説明を省略する。
図12に示す第2実施形態の作業装置1は、直動機構8としてボールねじ機構を用いた構成を採用している。すなわち、ベース部材6から下方に延びる複数のシャフト70に、リニアブッシュ71を介して昇降台72が昇降可能に案内され、この昇降台72に作業体設置部材62が取り付けられている。この作業体設置部材62の上端に設けた作業体固定部材63に作業体3が固定されている。ベース部材6からねじ軸73が前記シャフト70と平行に下方に延びており、このねじ軸73に、昇降台72に設けたナット74が螺合している。モータ75でねじ軸73を回転させると、昇降台72が昇降し、作業体3が基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動する。このボールねじ機構を用いた直動機構8は、図1、図2に示す第1実施形態の直動機構8と比較して、構成が簡単であると共に、ベース部材6の高さ位置を低くできるという利点がある。
図13に示す第3実施形態の作業装置1は、パラレルリンク機構9を先端側のリンクハブ13が下側となるように設置し、直動機構8をパラレルリンク機構9の上方に配置してある。被作業体2は先端側のリンクハブ12に設置され、作業体2は直動機構8により基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動させられる。図13の直動機構8はボールねじ機構を用いた構成であるが、図1、図2の第1実施形態の作業装置1に用いられている直動機構8であってもよい。
この第3実施形態によれば、姿勢制御用アクチュエータ10、直動機構8等の制御用機器や作業体3が被作業体2の下方に配置されていない。これにより、被作業体2から発生する切粉等や被作業体2に付着させるグリース、塗料等が制御用機器や作業体3に付着して、これらに悪影響を与えることを防止できる。
図14に示す第4実施形態の作業装置1は、パラレルリンク機構9および直動機構8の配置は図1、図2に示す第1実施形態の作業装置1と同じであるが、作業体3を先端側のリンクハブ12に設置し、被作業体3を直動機構8により基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動させている。つまり、図1、図2に示す第1実施形態の作業装置1と比較して、被作業体2と作業体3の配置が逆になっている。この場合も、リンク作動装置7および直動機構8を作動させることで、被作業体2の底面2aを除く各面に対して作業体3で作業を行うことができる。
図15に示す第5実施形態の作業装置1は、被作業体2を先端側のリンクハブ13に設けると共に、作業体2の固定部となる架台77に設置し、直動機構8でリンク作動装置7全体を移動させることで、被作業体2と作業体3とを相対的に1軸方向に移動させる構成である。詳しくは、架台77に作業体設置部材62が取り付けられ、この作業体設置部材62の上端に設けた作業体固定部材63に作業体3が固定されている。
直動機構8はボールねじ機構を用いた構成であって、土台4から上方に延びる複数のシャフト70に、リニアブッシュ71を介して基端側のリンクハブ12のベース部材6が昇降可能に案内されている。土台4に設置したモータ75からねじ軸73が前記シャフト70と平行に上方に延びており、このねじ軸73に、ベース部材6に設けたナット74が螺合している。モータ75でねじ軸73を回転させると、ベース部材6が昇降し、作業体3が基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動する。
この場合も、前記同様に、被作業体2と比べて嵩や質量が大きな作業体3を基端側のリンクハブ12に設けることで、姿勢変更用アクチュエータ10の負荷を低減できる。その結果、作業装置1のコンパクト化やコスト低減につながる。
つぎに、被作業体を、基端側のリンクハブおよび先端側のリンクハブのうちの被作業体が設けられる方のリンクハブの中心軸に対して直交する軸回りに回転させる回転機構を設けた実施形態について説明する。但し、以下の各実施形態は、基端側のリンクハブ12に作業体3が設置され、先端側のリンクハブ13に被作業体2が設置された例である。
図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1は、図1、図2に示す3自由度の構成の作業装置1に対して、被作業体2を回転させる回転機構90を設けて4自由度の構成としたものである。図1、図2に示す第1実施形態の作業装置1が、先端側のリンクハブ13の先端部材40に設けられた被作業体固定部材65の下端に被作業体2を保持するのに対し、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1は、以下のように先端側のリンクハブ13に被作業体2が設置されている。
すなわち、先端側のリンクハブ13の先端部材40の外周縁に回転機構固定部材91の一端が固定されている。この回転機構固定部材91は、先端側のリンクハブ13の中心軸QBと平行に基端側のリンクハブ12の側に延びており、他端がパラレルリンク機構9の外部空間S2に位置する。外部空間S2は、前記内部空間S1の外側の空間である。この回転機構固定部材91の他端に回転機構90が設置されている。回転機構90は例えばモータである。
回転機構90の出力軸90aが先端側のリンクハブ13の中心軸QBに対して直交する軸92に沿って内部空間S1の側に突出しており、この出力軸90aに、同軸上に延びる被作業体固定部材93が固定されている。被作業体固定部材93は、その先端が3組以上のリンク機構14のうちの隣り合う2組のリンク機構14の間を通って内部空間S1に挿入されている。この被作業体固定部材93の先端に被作業体2が設置されている。被作業体2は、例えば前記軸92を中心軸とする円筒体である。被作業体2は他の形状、例えば立方体、直方体、球体等であっても良い。
第6実施形態では、パラレルリンク機構9の2自由度と直動機構8の1自由度と回転機構の1自由度90とで、計4自由度の構成となっている。4自由度の構成でありながら、図17のように被作業体2の端面に対して作業を行うことは勿論、回転機構90により被作業体2を前記軸92の回りに回転させることで、被作業体2の全周面に対して作業を行うことができる。
また、回転機構90がスペースに余裕のあるパラレルリンク機構9の外部空間S2に配置されているので、各リンク機構14と回転機構90とが干渉することが防止され、より広い作動範囲を実現できる。回転機構90による被作業体2の回転中心が、先端側のリンクハブ13の中心軸QBに対して直交する軸92と一致しているので、作業体3による被作業体3の作業位置を計算する関係式が比較的簡単となり、姿勢制御用アクチュエータ10および直動機構8の制御が容易である。
図18に示す第7実施形態の作業装置1は、図12に示す第2実施形態の作業装置1に、被作業体2を回転させる回転機構90を設けたものである。回転機構90および被作業体2は、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1と同様に、先端側のリンクハブ13に設置されている。これにより、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1と同様の作用・効果が得られる。
図19に示す第8実施形態の作業装置1は、図13に示す第3実施形態の作業装置1に、被作業体2を回転させる回転機構90を設けたものである。回転機構90および被作業体2は、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1と同様に、先端側のリンクハブ13に設置されている。これにより、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1と同様の作用・効果が得られる。
図20に示す第9実施形態の作業装置1は、図15に示す第5実施形態の作業装置1と同様に、作業体3は位置固定で、直動機構8でリンク作動装置7全体を移動させる構成のものに、被作業体2を回転させる回転機構90を設けたものである。ただし、リンク作動装置7を移動させる構成は互いに異なっている。回転機構90および被作業体2は、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1と同様に、先端側のリンクハブ13に設置されている。これにより、図16、図17に示す第6実施形態の作業装置1と同様の作用・効果が得られる。
図20に示す第9実施形態の作業装置1のリンク作動装置7を移動させる構成について説明する。土台4の上に複数本の支柱5が建てられ、これら複数本の支柱5によって水平状の架台77が支持されている。この架台77に作業体設置部材62が取り付けられ、この作業体設置部材62の上端に設けた作業体固定部材63に作業体3が固定されている。
直動機構8はボールねじ機構を用いた構成であって、架台77から上方に延びる複数のシャフト70に、リニアブッシュ71を介して基端側のリンクハブ12のベース部材6が昇降可能に案内されている。架台77の底面に設置したモータ75からねじ軸73が前記シャフト70と平行に上方に延びており、このねじ軸73に、ベース部材6に設けたナット74が螺合している。モータ75でねじ軸73を回転させると、ベース部材6が昇降し、作業体3が基端側のリンクハブ12の中心軸QAに沿って移動する。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲から定まるこの発明の範囲内またはこれと均等の範囲内のものと解釈される。