JP2016153134A - 摩擦攪拌接合用ツールを用いた三層以上の積層構造接合体の製造方法とその方法により製造された積層構造接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに固相接合が可能な上層部材及び下層部材の間に、少なくとも一層の比較的に低融点の中間層部材を挟んだ積層構造の接合体、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】摩擦攪拌接合用ツールによって、互いに固相接合可能な上層部材及び下層部材の間に、前記上層部材及び前記下層部材のいずれよりも融点が低い中間層部材が少なくとも一層挟まれている積層構造接合体を製造する方法であって、上層部材を変形させ、上層部材断片を分離させて中間層部材を押しのけて前記下層部材の表面へ到達するようにすることで、上層部材断片の一部と下層部材とを固相接合させ、かつ、前記上層部材断片の少なくとも一部が、前記中間層部材に埋まりこむことによって、前記中間層部材を前記下層部材に固定するようにする。【選択図】図2
Description
本発明は、摩擦攪拌接合用ツールを用いた三層以上の積層構造接合体の製造方法とその方法により製造された積層構造接合体に関するものである。
二層に重ね合わせた金属部材を接合する方法として、摩擦攪拌接合が知られている。この方法により接合をする場合、まず、二層に重ね合わせた金属部材の一方に、高速回転する摩擦攪拌接合用のツールを押し付ける。このとき、ツールと金属部材との摩擦によって、金属部材のツールが押し付けられた箇所に摩擦熱が発生する。すると、この摩擦熱を受けた金属部材は軟化し、二つの金属は接合することになる。
ここで、このような接合には、二種類のメカニズムがある。一つは、軟化した金属同士が塑性流動状態となって混ざり合って接合するものであり、もう一つは、材料同士が熱により反応生成物を作って接合するものである。後者の場合には、部材の塑性流動により酸化被膜や汚れの層が破れて、反応生成物が生じることにより固相接合する。固相接合は、金属接合のうちの界面接合の一種であり、金属を溶かして接合する溶融接合とは異なるカテゴリーに属するものである。また、固相のままで接合するということを意味し、接合される部材間の攪拌が生じるものでもない。
積層構造接合体の製造方法としては、摩擦攪拌接合による点接合と線接合が知られている。これらの接合方法をそれぞれ図5と図6を参照しながら説明する。
まず、図5は、摩擦攪拌接合により点接合する方法を示す斜視図である。摩擦攪拌接合を行う場合、図5に示すように、まず対象となる金属部材を重ねて配置する。次に、回転可能に設けた摩擦攪拌接合用ツール21を、最上部に配置した上層部材23の上部に、高速回転させながら押し付ける。これにより、摩擦攪拌接合用ツール21と上層部材23との間で摩擦熱が発生する。すると、上層部材23の、摩擦攪拌接合用ツール21を押し付けた箇所が局所的に高温となり軟化する。
さらに、押し付けられた摩擦攪拌接合用ツール21は、高速回転しながら軟化した箇所に挿入していく。このとき、軟化した金属部材は、非溶融状態のまま、摩擦攪拌接合用ツール21から加えられた力によって塑性流動する。これにより、上層部材23の下側に重ねた部材も局所的に熱せられて軟化するか、同様に酸化被膜や汚れの膜を破る。そして、摩擦攪拌接合用ツール21の周囲の金属部材同士が攪拌されて混ざり合い、あるいは金属間の熱による反応生成物を生じる。その後、摩擦攪拌接合用ツール21を上部に抜きとることで、軟化した部分が冷却して凝固し、重ね合わせた金属部材同士を接合する。なお、下層部材25の下側には、図示しない固定用の治具があり、接合対象の部材23、25を支えている。
次に、図6は、摩擦攪拌接合により線接合する方法を示す斜視図である。図6に示すように、軟化した上層部材に挿入した摩擦攪拌接合用ツール21が上層部材の表面に沿って移動することで、一定の範囲を連続して接合できる。
特許文献1では、この摩擦攪拌接合により、二つの金属部材を接合している。ここでは、互いに摩擦攪拌接合が可能な材料として、ステンレス系もしくは鉄系の板状の材料を選択している。このように、摩擦攪拌接合をするためには、互いに摩擦攪拌接合可能な部材を選択する必要がある。
また、特許文献2に示すように、金属部材を三層に重ねることで、互いに摩擦攪拌接合する方法が知られている。しかしながら、この方法によれば、摩擦攪拌接合用ツールを、上層部材が下層部材に到達するように十分深く挿入する必要があり、接合に比較的時間がかかる。また、この挿入によれば、接合箇所に深い孔を残す傾向がある。
一方、特許文献3に示すように、三層に重ねた金属部材のうち、中間層に摩擦攪拌接合ができない金属部材を配置した場合においても、接合を可能にする方法がある。この方法によれば、中間層にあらかじめ十分な大きさの孔を設けておく。そして、ツールとの摩擦熱によって軟化した上層の金属部材が変形し、中間層に設けた孔を通って下層の金属部材と接触する。しかし、この方法によって、あらかじめ中間層に孔を設け、その孔と接合箇所の位置合わせをするといった手間が生じる。
本発明の目的は、互いに固相接合が可能な比較的に高融点の上層部材及び下層部材の間に、少なくとも一層の比較的に低融点の、下層部材と熱による反応生成物を作らない材質の中間層部材を挟んだ積層構造の接合体、及びその製造方法を提供することにある。ここでいう「高融点」または「低融点」とは、二者の間で相対的に融点が高いか、低いことを意味するものである。
本発明は、互いに固相接合可能な金属の上層部材及び下層部材の間に、前記上層部材及び前記下層部材のいずれよりも融点が低い中間層部材が少なくとも一層挟まれている積層構造接合体を製造する方法であって、高速回転する摩擦攪拌接合用ツールを前記上層部材に押し当てて摩擦熱によって軟化させ、前記摩擦攪拌接合用ツールを挿入することによって前記軟化した上層部材を変形させるとともに、前記摩擦攪拌接合用ツールの下側に位置する上層部材断片とその周囲に位置する上層部材とに分離するように破断させ、前記上層部材断片が前記中間層部材を押しのけて前記下層部材の表面へ到達する深さまで前記摩擦攪拌接合用ツールを挿入することによって、該到達箇所において上層部材断片の一部と前記下層部材とを固相接合させた第一接合部を形成させ、かつ、前記上層部材断片の少なくとも一部が、前記中間層部材に埋まりこむことによって、前記中間層部材を前記下層部材に固定するようにする、積層構造接合体の製造方法を提供する。
また、前記中間層部材と前記下層部材とは、互いに熱により固相接合できない組み合わせであってもよい。
また、前記中間層部材は、前記上層部材及び前記下層部材よりも接合時における硬度が低くてもよい。
また、前記摩擦攪拌接合用ツールは、ショルダー部と、前記ショルダー部の先端に設けた前記ショルダー部よりも外径の小さいプローブ部とを有し、前記摩擦攪拌接合用ツールを挿入する長さのうち、前記プローブ部が前記上層部材に挿入する長さは、前記上層部材の厚さと前記中間層部材の厚さとのうち、大きい方の厚さ以上であってもよい。
また、互いに固相接合可能な金属の上層部材及び下層部材の間に、前記上層部材及び前記下層部材のいずれよりも融点が低い中間層部材が少なくとも一層挟まれている積層構造接合体であって、前記上層部材は、前記中間層部材を押しのけて前記下層部材と固相接合または溶着接合している上層部材断片と、前記中間層部材と固相接合している上層部材とに分離しており、前記上層部材断片は一部が前記中間層部材に埋まりこむことで、前記中間層部材を前記下層部材に固定している積層構造接合体を提供する。
また、本発明にかかる積層構造接合体は、前記中間層部材と前記下層部材とは、互いに固相接合できない組み合わせであってもよい。
また、本発明にかかる積層構造接合体は、前記中間層部材は、前記上層部材及び前記下層部材よりも接合時における硬度が低いものであってもよい。
本発明によれば、互いに固相接合が可能な比較的に高融点の上層部材及び下層部材の間に、少なくとも一層の比較的に低融点の、下層部材と熱による反生成応物を作らず、固相接合を起こしにくい材質の中間層部材を挟んだ積層構造接合体と、その製造方法とを提供できる。
以下、本発明に係る三層以上の積層構造接合体とその製造方法について、図1〜4を用いて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1は、三層の部材と接合用ツールを示す断面図である。図1に示すように、ここでは接合対象の部材として、上層部材3と、下層部材5と、その間に挟んだ中間層部材7とを用意している。
まず、図1は、三層の部材と接合用ツールを示す断面図である。図1に示すように、ここでは接合対象の部材として、上層部材3と、下層部材5と、その間に挟んだ中間層部材7とを用意している。
また、本実施形態における摩擦攪拌接合用ツール1は、下端にプローブ13を、その上方にショルダー15を備えている。このプローブ13は、略円柱の形状をしており、その底面部の外径は接合をする箇所と対応した大きさになっている。また、その高さは中間層部材7の厚さ以上となっている。そして、プローブ13の上部には、プローブ13よりも外径の大きな略円柱形状のショルダー15がある。この摩擦攪拌接合用ツール1は、工具鋼や超鋼材のような素材で作製できる。
ここで図2は、第1の実施形態に係る積層構造接合体の接合状態を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態にかかる製造方法によれば、三層の部材からなる積層構造接合体を製造することができる。
図2に示すように、本実施形態にかかる製造方法によれば、三層の部材からなる積層構造接合体を製造することができる。
本実施形態においては、回転可能に設けた摩擦攪拌接合用ツール1のプローブ13を、最上部に配置した上層部材3の上部に、高速回転させながら押し付ける。これにより、摩擦攪拌接合用ツール1と上層部材3との間で摩擦熱が発生する。すると、摩擦攪拌接合用ツール1を押し付けた箇所が局所的に高温となり上層部材3が軟化する。
さらに、軟化した上層部材3は、プローブ13に押されて下方に向かって変形し、中間層部材7をその周囲に押しのける。そして、この変形した上層部材3が中間層部材7を完全に押しのけると、上層部材3は下方向に押し込まれる。
この際、上層部材3の変形過程において、プローブ13の下側に位置する部分は、上層部材3から破断して分離し、上層部材断片33を形成する。この上層部材断片33は、下層部材5へ到達し、その下側が下層部材5の表面と熱による反応生成物が生じることにより固相接合する。このときの接合は、軟化した金属同士の一部が塑性流動状態となって混ざり合って接合する態様もありうる。
また、上層部材3は、プローブ13の挿入による変形前に、上層部材断片33の位置した部分(すなわちプローブ13の挿入部)が孔となる。また、この孔の周囲では、上層部材3の端部が、プローブ13によって下層部材5の方向へと引っ張られて変形し、上層部材断片33の破断後に、突起部31を形成する。
ここで、図3は、第1の実施形態に係る積層構造接合体の接合部の断面写真である。図3に示すように、上層部材3から分離した上層部材断片33は、中間層部材7を押しのけて下層部材5へ到達し、下層部材5と固相接合している。また、上層部材断片33は、一部が中間層部材7に食い込むことで、中間層部材7を下層部材5に、より強固に固定できる。一方で、上層部材3にできた突起部31の周囲で、中間層部材7と固相接合している。
ここで、図4は、第1の実施形態に係る積層構造接合体における、上層部材3と中間層部材7の接合部断面の拡大写真である。上層部材3は、接合の過程において、主に突起部31の周囲で中間層部材7と固相接合し、第一接合部61を形成している。図4に示すように、このとき突起部31の一部と中間層部材7とは軟化しており、上層部材3と中間層部材7の間には反応生成物の層ができる。そしてこの反応生成物の層によって、上層部材3と中間層部材7は接合する。なお、この接合は、軟化した金属同士が塑性流動状態となって、その一部が混ざり合って接合する態様もありうる。
一方で、下層部材5へ到達した上層部材断片33は、プローブ13によって、その下側の一部が、下層部材5と固相接合する。また、この接合部の周囲では、上層部材断片33の他の一部が中間層部材7の層の一部に埋まりこみ、中間層部材7を下層部材5に固定する。
また、この接合工程において、プローブ13の上層部材3への挿入深さは、上層部材3と中間層部材7との厚さのうち、大きい方の厚さ以上であることが好ましい。これにより、プローブ13は、上層部材3を中間層部材7に押し込むとともに、上層部材断片33を形成することができる。また、この上層部材断片33は、プローブ31の押し込みによって、下層部材5へと到達できる。
ここで、本実施形態における、各構成部材の条件の一例を示す。本実施形態においては、上層部材3として板厚約1.0mmの鋼板を、中間層部材7として板厚約1.2mmの国際アルミニウム合金番号が6000番台のアルミニウム合金を、そして下層部材5として板厚約1.0mmの鋼板を用いている。接合時における、摩擦攪拌接合用ツール1の回転数は約500rpmとし、上層部材3への挿入量は約1.6mmとしている。
また、摩擦攪拌接合用ツール1の挿入後、約2秒間この状態を保持する。このような条件にあっては、上層部材3は、中間層部材7を押しのけて、上層部材断片33が下層部材5の表面へと到達し、下層部材5と熱反応生成物を生じることにより固相接合する。なお、ここに挙げた条件は、本実施形態の一例にすぎず、これらの条件に限られるものではない。
本実施形態にかかる接合においては、上層部材3から破断した上層部材断片33が、中間層部材7を押しのけて、下層部材5の表面へと到達する。ここで、上層部材3が中間層部材7を押しのけるためには、中間層部材が接合時の温度で上層部材3の上層部材断片33及び下層部材5よりも軟質であればよい。そのためには、中間層部材7は、常温での硬度が上層部材3より高いものであっても、上層部材3の変形時の温度において上層部材3の上層部材断片33及び下層部材5よりも軟質であればよい。つまり、中間層部材7の融点が上層部材3及び下層部材5よりも低ければよい。また、中間層部材7の硬度は、常温においても上層部材3及び下層部材5よりも低いことが好ましい。
ここで、表1は、上層部材3、中間層部材7、下層部材5のその他の組み合わせである。表1に示すように、本態様によれば、中間層部材7と下層部材5とが互いに反応生成物による固相接合可能な部材であっても接合できる。この場合、中間層部材7は、上層部材3、上層部材断片33、下層部材5とそれぞれ熱による反応生成物を生じ、固相接合する。
ここで、本その他の態様における、各構成部材の条件の一例を示す。本実施形態においては、上層部材3として板厚約1.0mmの鋼板を、中間層部材7として板厚約1.2mmの国際アルミニウム合金番号が6000番台のアルミニウム合金を、そして下層部材5として板厚約1.0mmの鋼板を用いている。また、摩擦攪拌接合用ツール1は、超鋼材の直径約6mm、高さ約1.6mmの略円柱形のプローブ13と、直径約10mm、高さ約10mmのショルダー15を備えている。接合時における、摩擦攪拌接合用ツール1の回転数は約500rpmとし、上層部材3への挿入量は約1.6mmとしている。
また、摩擦攪拌接合用ツール1の挿入後、約2秒間この状態を保持する。このような条件にあっては、上層部材3が中間層部材7を押しのけて、上層部材断片33が下層部材5の表面へと到達し、熱反応生成物の形成による固相接合または溶着接合によって接合する。ここで、上層部材3には、接合用ツールの直径に対応した孔があることになる。なお、ここに挙げた条件は、本実施形態の一例にすぎず、これらの条件に限られるものではない。
[第2の実施形態]
第2の実施形態について、表2を用いて説明する。本第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であるため、第1の実施形態と同一部分、または、類似部分には、同一符号を用いて、重複する説明を省略する。
第2の実施形態について、表2を用いて説明する。本第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であるため、第1の実施形態と同一部分、または、類似部分には、同一符号を用いて、重複する説明を省略する。
ここで、表2に、本実施形態にかかる固相接合によって接合可能な上層部材3及び下層部材5と、上層部材3とは反応生成物による固相接合が可能なものの、下層部材5とは反応生成物による固相接合ができない中間層部材7の部材の組み合わせの一例を示す。表2においては、上層部材3は中間層部材7及び下層部材5のいずれとも反応生成物による固相接合可能であり、かつ、中間層部材7は下層部材5とは反応生成物を生じない組み合わせとなっている。なお、表2に記載した部材の組み合わせは一例であって、ここに挙げたものには限らない。
表2における、No.1の組み合わせの場合、中間層部材7に用いたマグネシウム合金は、下層部材5に用いた鉄との間で反応生成物を生じないので、熱による固相接合ができない組み合わせである。例えばアルミニウムやアルミニウム合金と、軟鋼、低合金鋼、ステンレス鋼は、熱による固相接合が可能である。マグネシウム合金とアルミニウム合金とは固相接合が可能であるが、マグネシウム合金と、軟鋼、ステンレス鋼、鋼鉄とは固相接合できない。また、同種の金属同士は一般に固相接合できる。
このように、中間層部材7と下層部材5が互いに熱による固相接合できない組み合わせである場合、中間層部材7は下層部材5と固相接合しない。このような場合、中間層部材7は、食い込んだ上層部材断片33によって下層部材5へと、機械的な力で固定される構造になっている。
また、表2には、代表的な金属の名前として、アルミニウム合金やマグネシウム合金などを例に挙げているが、これらの部材はその成分や種類によって異なる硬度や融点を持つものがある。表2における、No.1の組み合わせにおいては、アルミニウム合金の融点がマグネシウム合金の融点と比較して高いことを想定している。参考に、表3には、代表的な種類のアルミニウム合金とマグネシウム合金の融点を示す。表3に示すように、アルミニウム合金やマグネシウム合金などは、その種類によって融点が様々である。また、本実施形態において、上層部材3にアルミニウム合金を配置する場合は、このアルミニウム合金は中間層部材7として配置したマグネシウム合金よりも、接合時における硬度が高いことが好ましい。
ここで、図4は、第1の実施形態に係る接合体の、接合部断面の拡大写真である。図4に示すように、第一接合部においては、上層部材3と、中間層部材7との間の第一接合部61に、反応生成物が層状に生成されている。
[第3の実施形態]
第3の実施形態について、表4を用いて説明する。本第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態の変形例であるため、第1及び第2の実施形態と同一部分、または、類似部分には、同一符号を用いて、重複する説明を省略する。
第3の実施形態について、表4を用いて説明する。本第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態の変形例であるため、第1及び第2の実施形態と同一部分、または、類似部分には、同一符号を用いて、重複する説明を省略する。
表4には、上層部材3、中間層部材7、下層部材5のその他の組み合わせを示す。表4に示すように、中間層部材7には金属以外の部材を配置することもできる。この場合、上層部材3と中間層部材7との接合部、及び、中間層部材7と下層部材5との接合部は、中間層部材が熱溶着する。例えば、表4のNo.1〜No.7においては、中間層部材7を熱可塑性樹脂としている。このような材料を中間層部材7に用いることによって、中間層部材7と下層部材5とが互いに熱による反応生成物を生じない、つまり固相接合しない組み合わせであっても、これらを接合できる。
なお、金属と樹脂を接合するための異種材料接合技術としては、金属表面に化学エッチングを行い、樹脂が食い込むための凹凸形状を形成したり、ベースになる金属表面に金属化合物皮膜を化学的に形成し、その上に反応性官能基を導入することにより樹脂に対する接合力を付与するといった技術が知られている。これらの技術を応用する場合において、樹脂と処理された金属を、摩擦攪拌接合用ツール1を用いて摩擦熱を発生させ、熱圧着することなどで、樹脂と金属間の異種材料接合を実現できる。このような金属と樹脂の異種材料接合技術は上層部材3と中間層部材7との間において特に重要である。
[その他の態様]
前述した実施形態の説明は、本発明にかかる接合体及びその製造方法を示す例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各構成は前記した実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
前述した実施形態の説明は、本発明にかかる接合体及びその製造方法を示す例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各構成は前記した実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、前述した実施形態に示したプローブ13及びショルダー15の材質は超鋼材を用いているが、材質はこれらに限定されず、接合対象の部材よりも硬度が高く、かつ融点が高い材質であればその他の材質を用いても良い。例えば工具鋼やコバルト合金、セラミックなどを用いることもできる。
また、前述した実施形態においては、表面が平滑な板状の部材を水平に重ねて接合しているが、接合対象の部材は、このような形状に限られず、各部材の接合箇所が密着していれば、その他の形状であってもよい。例えば、各部材が凹凸を持っていても、接合部において接合対象の部材同士が密着していればよい。
また、前述した実施形態においては、各部材は厚さが一様な部材を接合する場合を例に挙げて説明しているが、接合対象の部材はこのような形状に限られるものではない。例えば、曲面や段差を有していて、位置に応じて厚みが変化するような部材を用いてもよい。また、中間層部材を積層する枚数は、三層や四層に限られず、それよりも多い複数枚であってもよい。この場合、積層された部材のうち、互いに接触する部材同士が熱による固相接合または溶着接合可能であることが好ましい。
また、中間層部材7に複数の部材を配置した場合も、本発明によって問題なく接合できる。この場合、中間層部材7を構成する複数の部材の厚みは、それぞれ同等の厚みである必要はなく、互いに異なったものであってもよい。なお、本発明は点接合にも、線接合にも、面接合にも適用できる。
1 摩擦攪拌接合用ツール
3 上層部材
5 下層部材
7 中間層部材
13 プローブ
15 ショルダー
21 摩擦攪拌接合用ツール
23 上層部材
25 下層部材
31 突起部
33 上層部材断片
61 第一接合部
62 第二接合部
3 上層部材
5 下層部材
7 中間層部材
13 プローブ
15 ショルダー
21 摩擦攪拌接合用ツール
23 上層部材
25 下層部材
31 突起部
33 上層部材断片
61 第一接合部
62 第二接合部
Claims (7)
- 互いに固相接合可能な金属の上層部材及び下層部材の間に、前記上層部材及び前記下層部材のいずれよりも融点が低い中間層部材が少なくとも一層挟まれている積層構造接合体を製造する方法であって、
高速回転する摩擦攪拌接合用ツールを前記上層部材に押し当てて摩擦熱によって軟化させ、
前記摩擦攪拌接合用ツールを挿入することによって前記軟化した上層部材を変形させるとともに、前記摩擦攪拌接合用ツールの下側に位置する上層部材断片とその周囲に位置する上層部材とに分離するように破断させ、
前記上層部材断片が前記中間層部材を押しのけて前記下層部材の表面へ到達する深さまで前記摩擦攪拌接合用ツールを挿入することによって、該到達箇所において上層部材断片の一部と前記下層部材とを固相接合させた第一接合部を形成させ、かつ、前記上層部材断片の少なくとも一部が、前記中間層部材に埋まりこむことによって、前記中間層部材を前記下層部材に固定するようにする
積層構造接合体の製造方法。 - 前記中間層部材と前記下層部材とは、互いに熱により固相接合できない組み合わせである請求項1に記載の積層構造接合体の製造方法。
- 前記中間層部材は、前記上層部材及び前記下層部材よりも接合時における硬度が低い、請求項1又は請求項2に記載の積層構造接合体の製造方法。
- 前記摩擦攪拌接合用ツールは、ショルダー部と、前記ショルダー部の先端に設けた前記ショルダー部よりも外径の小さいプローブ部とを有し、
前記摩擦攪拌接合用ツールを挿入する長さのうち、前記プローブ部が前記上層部材に挿入する長さは、前記上層部材の厚さと前記中間層部材の厚さとのうち、大きい方の厚さ以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の積層構造接合体の製造方法。 - 互いに固相接合可能な金属の上層部材及び下層部材の間に、前記上層部材及び前記下層部材のいずれよりも融点が低い中間層部材が少なくとも一層挟まれている積層構造接合体であって、
前記上層部材は、前記中間層部材を押しのけて前記下層部材と固相接合または溶着接合している上層部材断片と、前記中間層部材と固相接合している上層部材とに分離しており、
前記上層部材断片は一部が前記中間層部材に埋まりこむことで、前記中間層部材を前記下層部材に固定している積層構造接合体。 - 前記中間層部材と前記下層部材とは、互いに固相接合できない組み合わせである前記請求項5に記載の積層構造接合体。
- 前記中間層部材は、前記上層部材及び前記下層部材よりも接合時における硬度が低い、請求項5又は請求項6に記載の積層構造接合体。
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