JP2016152875A - 検出装置及び検出方法 - Google Patents
検出装置及び検出方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016152875A JP2016152875A JP2015031995A JP2015031995A JP2016152875A JP 2016152875 A JP2016152875 A JP 2016152875A JP 2015031995 A JP2015031995 A JP 2015031995A JP 2015031995 A JP2015031995 A JP 2015031995A JP 2016152875 A JP2016152875 A JP 2016152875A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- light
- measurement
- arithmetic processing
- light receiving
- blood vessel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
- Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
Abstract
【課題】測定対象物におけるターゲット物質の存在を適正に検出すること。【解決手段】電子機器10において発光部111は、電子機器10を装着した使用者の身体部位を測定対象物として照射光を照射し、受光部113は、照射光が測定対象物を透過した透過光を受光する。そして、演算処理部160は、n種類(n≧2)のスペクトル光に係る受光部111の受光結果を所定の重み係数を用いて合成し、測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出する演算処理を行う。電子機器10は、測定対象物におけるターゲット物質の存在を適正に検出することができる。【選択図】図11
Description
本発明は、検出装置等に関する。
使用者の生体情報を取得するものとして、センサー面を使用者の皮膚面に接触させ、照射光を使用者の生体内に向けて照射することで血管又は血液に係る光計測を行う装置が知られている。この種の装置では、照射光の伝播経路上に存在する体毛が計測精度を低下させる要因となる場合があり、対策が検討されていた。
例えば、特許文献1では、生体表面の複数地点で血中グルコース濃度の測定(光計測)を行い、一の地点に体毛が存在していたとしても、他の地点での測定結果を用いることで測定の確実性を向上させている。
しかしながら、特許文献1では、光計測を行う各地点に実際に体毛が存在するかどうかは判断しておらず、体毛が確実に存在しない地点を選ぶのは難しい。また、体毛以外にも、シミやホクロ等の他の検出妨害物も同様の問題があった。
一方で、例えば特許文献1のように血中グルコース濃度を取得する場合であれば、体毛等の検出妨害物が存在するかどうかとは別に、そもそも皮下に血管が存在することを正しく検出できるかが問題であった。
そのため、突き詰めるところ、ターゲット物質が存在するか否かを適正に検出できる技術が求められていた。ターゲット物質は、血液でもよいし、体毛等の検出妨害物でもよいのである。
一方で、例えば特許文献1のように血中グルコース濃度を取得する場合であれば、体毛等の検出妨害物が存在するかどうかとは別に、そもそも皮下に血管が存在することを正しく検出できるかが問題であった。
そのため、突き詰めるところ、ターゲット物質が存在するか否かを適正に検出できる技術が求められていた。ターゲット物質は、血液でもよいし、体毛等の検出妨害物でもよいのである。
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、測定対象物におけるターゲット物質の存在を適正に検出することを目的とする。
以上の課題を解決するための第1の発明は、測定対象物に照射光を照射する発光部と、前記照射光が前記測定対象物を透過した透過光を受光する受光部と、n種類(n≧2)のスペクトル光に係る前記受光部の受光結果を所定の重み係数を用いて合成して前記測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出する演算処理を行う演算処理部と、を備えた検出装置である。
また、別形態として、測定対象物に照射光を照射することと、前記照射光が前記測定対象物を透過した透過光を受光することと、n種類(n≧2)のスペクトル光に係る前記受光の結果を所定の重み係数を用いて合成して前記測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出する演算処理を行うことと、を含む検出装置が実行する検出方法を構成することとしてもよい。
第1の発明及び別形態によれば、n種類以上のスペクトル光に係る受光部の受光結果を重み付けして合成することで、測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出することができる。これによれば、測定対象物におけるターゲット物質の存在を適正に検出することができる。
第2の発明は、前記重み係数が、m個の物質に対して前記n種類(n≧m≧2)のスペクトル光を透過させた場合の光特性に基づいて定められており、前記演算処理部が、前記m個の物質のうちの何れかを前記ターゲット物質として前記演算処理を行う、第1の発明の検出装置である。
第2の発明によれば、スペクトル光の種類の数nと同じかそれより少ない2個以上の物質であって、そのうちの1つをターゲット物質とするm個の物質の各スペクトル光における光特性に基づいて、各スペクトル光に係る受光結果の合成に用いる重み係数を定めることができる。
第3の発明は、前記重み係数が、前記n種類のスペクトル光のピーク波長における前記m個の物質の吸光度に基づいて定められている、第1又は第2の発明の検出装置である。
第3の発明によれば、各スペクトル光の各々のピーク波長におけるm個の物質の吸光度に基づいて重み係数を定めることができるため、この重み係数を用いて測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出することができる。
第4の発明は、前記演算処理部が、所定の行列演算を用いて前記演算処理を実行する、第3の発明の検出装置である。
第4の発明によれば、所定の行列演算によってターゲット物質の成分を抽出することができる。
第5の発明は、前記発光部が、前記測定対象物の被測定面に対して照射光を照射し、前記受光部は、前記被測定面の各位置で前記透過光を受光し、前記演算処理部が、前記被測定面における前記ターゲット物質の分布を算出する、第1〜第4の何れかの発明の検出装置である。
第5の発明によれば、測定対象物の被測定面の全域でターゲット物質の成分を抽出し、被測定面におけるターゲット物質の分布を算出することができる。
第6の発明は、前記測定対象物が生体の所定部位であり、前記演算処理部が、前記生体中の所定物質を前記ターゲット物質として前記生体に含有された前記ターゲット物質に係る生体情報を算出する、第1〜第5の何れかの発明の検出装置である。
第6の発明によれば、生体中の所定物質の成分を抽出でき、生体に含有された所定物質に係る生体情報を得ることができる。
第7の発明は、前記測定対象物が生体の所定部位であり、前記演算処理部が、血液中の所定物質を前記ターゲット物質として前記被測定面における血管分布を算出する、第5の発明の検出装置である。
第7の発明によれば、血液中の所定物質の成分を抽出でき、生体の所定部位の被測定面における血管分布を得ることができる。
第8の発明は、前記演算処理部が、前記血管分布のうち、所定の計測適合条件を満たす計測位置を判定することと、前記発光部および前記受光部を制御して当該計測位置において血管又は血液に係る光計測を実行することと、を行う、第7の発明の検出装置である。
第8の発明によれば、被測定面の血管分布のうちの所定の計測適合条件を満たす計測位置を判定することができ、当該計測適合条件を満たす計測位置で血管又は血液に係る光計測を実行することができる。
第9の発明は、前記演算処理部が、前記生体の前記被測定面における所定の色素物質の分布を算出し、当該色素物質の成分が所定の低成分条件を満たすことを前記計測適合条件に含めて前記計測位置を判定する、第8の発明の検出装置である。
第9の発明によれば、被測定面における所定の色素物質の分布を得ることができ、被測定面の血管分布のうち、所定の色素物質の成分が所定の低成分条件を満たす計測位置で血管又は血液に係る光計測を実行することができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための一形態として、本発明を適用した検出装置を組み込んだ電子機器について説明する。なお、以下説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明が適用可能な形態は、以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付す。
[全体構成]
図1は、本実施形態における電子機器10の全体構成例を示す外観図である。本実施形態の電子機器10は、皮下に血管が走行する生体の所定部位を測定対象物として血液に係る光計測を行い、血中グルコース濃度(血糖値)を非侵襲に取得(算出)する装置であって、医療機器である。例えば、図1に示すように、電子機器10は、腕時計型のウェアラブル機器として構成され、本体ケース12に設けられたバンド14により測定対象物とする使用者2の腕や足、頸等の部位に装着・固定して使用される。
図1は、本実施形態における電子機器10の全体構成例を示す外観図である。本実施形態の電子機器10は、皮下に血管が走行する生体の所定部位を測定対象物として血液に係る光計測を行い、血中グルコース濃度(血糖値)を非侵襲に取得(算出)する装置であって、医療機器である。例えば、図1に示すように、電子機器10は、腕時計型のウェアラブル機器として構成され、本体ケース12に設けられたバンド14により測定対象物とする使用者2の腕や足、頸等の部位に装着・固定して使用される。
この電子機器10は、本体ケース12の表面(使用者2に装着した時に外向きになる面)において、操作入力手段として、操作スイッチ16と、画像表示手段を兼ねるタッチパネル18とを備える。使用者2等は、これらを用いて計測開始操作等の各種操作入力をすることができる。
本体ケース12の側面には、外部装置と通信するための有線ケーブルを着脱できる通信装置20と、メモリーカード22へのデータの読み書きを実現するリーダーライター24とが設けられ、本体ケース12の内部には、充電式の内蔵バッテリー26と、制御基板30とが内蔵されている。そして、本体ケース12の背面(使用者2に装着した時に使用者2の皮膚に接触する面)側において、照射波として使用者2の生体内に向けて照射光を照射し、反射光を受光するためのセンサーモジュール50を備える。
通信装置20は、外部装置との通信を無線で行う構成ならば、無線通信モジュール及びアンテナにより実現される。また、メモリーカード22は、データの書き換えが可能な着脱式の不揮発性メモリーである。このメモリーカード22としては、フラッシュメモリーの他、強誘導体メモリー(FeRAM:Ferroelectric Random Access Memory)や、磁気抵抗メモリー(MRAM:Magnetoresistive Random Access Memory)等、書き換え可能な不揮発性メモリーを用いることができる。
内蔵バッテリー26への充電方式は適宜設定できる。例えば、本体ケース12の背面側に電気接点を別途設け、家庭用電源に接続されたクレードルにセットし、電気接点を介してクレードル経由で通電・充電される構成でもよいし、非接触式の無線式充電でもよい。
制御基板30には、CPU(Central Processing Unit)32と、メインメモリー34と、計測データ用メモリー36と、タッチパネルコントローラーIC(Integrated Circuit)38と、センサーモジュールコントローラー40とが搭載されている。また、その他にも、電源管理ICや、画像処理用IC等の電子部品が適宜搭載される。
メインメモリー34は、プログラムや初期設定データを格納したり、CPU32の演算値を格納することのできる記憶媒体である。RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー等を適宜用いて実現される。なお、プログラムや初期設定データは、メモリーカード22に格納されている構成でもよい。
計測データ用メモリー36は、データ書き換えが可能な不揮発性メモリーであって、生体情報(ここでは血糖値)の計測結果を格納するための記憶媒体である。この計測データ用メモリー36としては、フラッシュメモリーの他、強誘導体メモリー(FeRAM)や、磁気抵抗メモリー(MRAM)等、書き換え可能な不揮発性メモリーを用いることができる。なお、計測結果は、メモリーカード22に格納される構成でもよい。
タッチパネルコントローラーIC38は、タッチパネル18に画像を表示させるためのドライバー機能を実現し、またタッチ入力を実現するための機能を実現するICである。タッチパネル18と併せて公知技術を適宜利用することで実現可能である。
センサーモジュールコントローラー40は、センサーモジュール50による照射光の照射機能、及び照射光が使用者2の生体組織を透過した光(透過光)や反射した光(反射光)の受光機能を担うICや回路を有する。より具体的には、センサーモジュールコントローラー40は、センサーモジュール50が備える複数の発光素子(通電により照射光を発する素子)を個別に発光制御するICや回路からなる発光コントローラー部42と、センサーモジュール50が備える複数の受光素子(受光した光量に応じた電気信号を発する素子)による受光を制御するICや回路からなる受光コントローラー部44とを含む。
なお、センサーモジュールコントローラー40は、複数のICにより構成してもよい。例えば、発光コントローラー部42に相当するICや回路と、受光コントローラー部44に相当するICや回路とをそれぞれ別のICとする構成も可能である。或いは、これらの機能の一部をCPU32により実現する構成も可能である。
図2は、センサーモジュール50の構成例を示す図であって、(1)正面図、(2)断面図に相当する。なお、理解を容易にするために発光素子52や受光素子54を意図的に大きく記している。また、サイズ、縦横比等もこれに限られるものではなく、適宜設定可能である。
センサーモジュール50は、複数の発光素子52を平面状に配列した層と、複数の受光素子54を平面状に配列した層とを積層して構成されるデバイスである。換言すれば、光源内蔵型のイメージセンサーであり、照射光の照射及び受光の両方の機能を実現するセンサーアレイである。センサーモジュール50は、センサーモジュールコントローラー40と一体に構成されるとしてもよい。
発光素子52は、照射光を照射する発光部であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、OLED(Organic light-emitting diode)等により実現できる。例えば、皮下透過性を有する近赤外光を含む光を発光可能な素子とする。
受光素子54は、照射光の透過光や反射光を受光し、受光した受光光の光強度(受光量)に応じた電気信号を出力する撮像素子である。例えば、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)等の半導体素子で実現できる。1つの受光素子54は、RGB各波長成分を受光する複数の素子を含むものとする。
そして、センサーモジュール50は、基底側(本体ケース12の表側)から順に、
1)複数の受光素子54を平面状且つ格子状に配列した受光層51、
2)各受光素子54へ向かう光以外を選択的に遮蔽する遮光層53、
3)所定の透過波長域の光を選択的に透過する分光層55、
4)隣接する受光素子54の間であって、生体組織を透過・反射した光が受光素子54へ到達する際の光路を阻害しない位置に、複数の発光素子52を平面状且つ格子状に配列した発光層57、
を積層して備える。
1)複数の受光素子54を平面状且つ格子状に配列した受光層51、
2)各受光素子54へ向かう光以外を選択的に遮蔽する遮光層53、
3)所定の透過波長域の光を選択的に透過する分光層55、
4)隣接する受光素子54の間であって、生体組織を透過・反射した光が受光素子54へ到達する際の光路を阻害しない位置に、複数の発光素子52を平面状且つ格子状に配列した発光層57、
を積層して備える。
受光層51の受光素子54は、公知のCCDイメージセンサー等のように、ピクセルがXs−Ys直交座標系で識別できるマトリクス状に配置されている。つまり、センサーモジュール50は公知のイメージセンサーと同様に機能する。なお、受光素子54の形状や大きさ、配置パターンは適宜設定可能である。
発光層57の発光素子52は、センサーモジュール50を正面(本体ケース12の裏側)から見ると、近隣の受光素子54の隅の突き合わせ部に1つずつ配置される。より具体的には、4つの受光素子54の角の突き合わせ部に1つの発光素子52が配置されており、発光素子52全体としては受光素子54と同じXs−Ys直交座標系で識別できるマトリクス状に配置されている。センサーモジュール50は、発光素子52を選択的に発光させる駆動機構を有しており、発光素子52は、例えば、液晶パネルディスプレイのアクティブマトリクス方式と同様に駆動制御できるようになっている。
分光層55は、透過波長域の中心波長や波長幅を可変に設定可能な分光フィルター等を用いて構成され、透過する光の波長域を透過波長域に制限して各受光素子54へ向かう光を透過させる。
こうした積層構造を有したセンサーモジュール50の作成には、公知のCCDイメージセンサーやOLEDディスプレイの製造に用いられる半導体微細加工技術を適宜応用することができる。
なお、発光素子52の大きさや配置間隔、受光素子54の大きさや配置間隔等は、適宜設定可能である。例えば、配置間隔は、1〜500[μm]とすると好適であり、製造コストと計測精度との兼ね合いから、例えば50〜200[μm]程度とすることもできる。また、センサーモジュール50には、発光素子52の発光によって照射される照射光の照射範囲を絞ったり、偏光する目的、或いは生体組織を透過・反射した光を受光素子54に的確に集める目的で、更なる光学素子を有する集光層を設けることもできる。また、表面の損傷を防止する保護層等を適宜設けてもよい。また、発光素子52と受光素子54とが積層された構成に限らず、発光素子52と受光素子54とが並置されていてもよい。
[血糖値取得処理の概要]
光計測に先立ち、電子機器10は、センサーモジュール50が露出している本体ケース12の裏面を使用者2の皮膚に密着させるようにしてバンド14で固定される。センサーモジュール50を皮膚に密着させることで、照射光の皮膚面での反射や皮膚面付近の組織での散乱といった計測精度を下げる要因を抑制することができる。
光計測に先立ち、電子機器10は、センサーモジュール50が露出している本体ケース12の裏面を使用者2の皮膚に密着させるようにしてバンド14で固定される。センサーモジュール50を皮膚に密着させることで、照射光の皮膚面での反射や皮膚面付近の組織での散乱といった計測精度を下げる要因を抑制することができる。
計測手順としては先ず、センサーモジュール50を被せた装着部位皮下を走行する血管部分を選択し、照射光の照射及び受光を行う。そして、受光結果(受光光の光強度)から血管透過光成分を抽出し、抽出した血管透過光成分量を反映した相対スペクトル(吸光スペクトル)から血中グルコース濃度を血糖値として算出する。
ここで、血管部分を選択するためには、装着部位皮下のどこに血管が存在するかを把握する必要がある。詳細は後述するが、本実施形態では、分光測定を実行して、ピーク波長が第1測定波長λ1である第1スペクトル光の分光画像(第1の分光画像)と、ピーク波長が第2測定波長λ2である第2スペクトル光の分光画像(第2の分光画像)とを取得し、第1の分光画像と第2の分光画像とを所定の重み係数を用いて合成することで、センサーモジュール50が接触する皮膚面(被測定面)における血管の分布及び検出妨害物の分布を算出する(分布算出処理)。
図3は、分布算出処理で得られた被測定面における血管分布を模式的に示す図である。図3の例では、ドットパターンでハッチングした帯状の領域が血管7の位置を示し、白抜きされた箇所が装着部位皮下に血管7が存在しない生体組織部分(非血管部)8である。
分布算出処理を終えたら、血管透過光(血管7を透過した光)を得るのに適した照射光の照射位置(計測用発光素子52−1)、計測用受光位置(計測用受光素子54−1)、及びリファレンス用受光位置(リファレンス用受光素子54−2)を選択する(照射受光位置選択処理)。リファレンス用受光位置は、リファレンス用の透過光を得るために選択する。リファレンス用の透過光は、血管7を透過せず、血管7の近傍の非血管部8のみを透過した光のことである。
図4は、生体組織内での光の伝播を説明する図であり、使用者2の装着部位皮下の深さ方向に沿った断面を示している。図4に示すように、センサーモジュール50においてある発光素子52から照射された光は、皮膚面から生体組織内に侵入して拡散反射し、そのうちの一部がある受光素子54に到達する。その光の伝播経路は、いわゆるバナナ形状(2つの弧で挟まれた領域)を成し、ほぼ中央付近で深さ方向の幅が最も広くなる。伝播経路の深さ(到達可能な深さ)Dは、発光素子52と受光素子54との間隔Wが小さいほど浅く、間隔Wが大きいほど深くなる。
ここで、計測精度を高めるには、より多くの血管透過光が受光素子54で受光されることが望ましい。このことから、発光素子52と受光素子54との間の最適な間隔(最適距離)Wは、発光素子52と受光素子54との間のほぼ中央に血管7が位置する前提で、想定される血管7の深さ(皮膚面から血管中心までの距離)Dに応じて定めることができる。最適距離Wは、血管7の深さDの約2倍の距離である。例えば、深さDを3mm程度とすると、最適距離Wは5〜6mm程度となる。
そこで、「照射位置と計測用受光位置との間の中央部に血管7が位置し、照射位置と計測用受光位置との間の距離が所定の最適距離Wに等しい」ことを第1の相対位置条件とし、「照射位置とリファレンス用受光位置との間に血管7が存在せず、照射位置とリファレンス用受光位置との間の距離が所定の最適距離Wに等しい」ことを第2の相対位置条件とする。そして、照射受光位置選択処理では、これら第1の相対位置条件及び第2の相対位置条件を満たすか否かを計測適合条件として判定し、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置を選択する。
図5は、照射受光位置選択処理を説明する図である。先ず、分布算出処理で得た被測定面における血管分布に従い、血管7の中心線L上に計測位置P11を設定する。そして、設定した計測位置P11に基づいて、第1の相対位置条件を満たし、且つ第2の相対位置条件を満たす発光素子52及び受光素子54の組合せを検索する。具体的には、中央部に計測位置P11が位置し、互いの距離が最適距離Wである発光素子52を計測用発光素子52−1、受光素子54を計測用受光素子54−1とすることで照射位置及び計測用受光位置を選択する。また、照射位置及び計測用受光位置を結ぶ延長線上であって、照射位置からみて計測用受光位置とは反対側にリファレンス用受光位置を選択し、リファレンス用受光素子54−2とする。照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置の各位置は、何れも血管7上に位置しない(非血管部8上に位置する)こととする。
設定した計測位置P11で発光素子52及び受光素子54の組合せが見つからない場合は、計測位置を中心線L上の別の位置に設定し、発光素子52及び受光素子54の組合せを再検索する。それでも見つからない場合には、同様にこれを繰り返すことで、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置を選択する。
続いて、分布算出処理で得た被測定面における検出妨害物分布に従い、例えば、「計測用受光位置とリファレンス用受光位置との間に検出妨害物が存在しないこと」を計測位置P11における検出妨害物の低成分条件とし、この低成分条件を満たすか否かを計測適合条件としてさらに判定する。具体的には、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置の各位置を検出妨害物分布と照らし合わせ、例えば、計測用受光位置とリファレンス用受光位置とを結ぶ直線に沿った所定幅の領域と検出妨害物の領域とが重なる場合に低成分条件を満たしていないと判定する。この場合は、上記発光素子52及び受光素子54の組合せが見つからない場合と同様に、計測位置を別の位置に設定して再検索を行う。低成分条件を満たしていれば、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置を確定する。
照射受光位置選択処理を終えたら、光計測を実行して血糖値を算出する。先ず、照射位置(計測用発光素子52−1)を発光させて照射光を照射し、計測用受光位置(計測用受光素子54−1)及びリファレンス用受光位置(リファレンス用受光素子54−2)の受光結果から血管透過光成分を抽出する。例えば、計測用発光素子52−1を発光させるとともに、分光層55の透過波長域を所定の計測波長幅ずつずらしながら全ての受光素子54による受光を制御することで、近赤外光内の波長λ毎に血管透過光の透過率T(λ)を求める。なお、分光層55の透過波長域を変化させる構成に限らず、計測用発光素子52−1の発光波長を所定の計測波長幅ずつずらして照射光の波長λを変化させる構成としてもよい。
血管透過光の透過率T(λ)は、計測用受光素子54−1の受光結果として得られた光強度Os(λ)と、リファレンス用受光素子54−2の受光結果として得られた光強度Or(λ)とから、式(1)で求めることができる。そして、求めた透過率T(λ)から吸光率を求め、吸光スペクトルを生成する。
T(λ)=Os(λ)/Or(λ) ・・・(1)
T(λ)=Os(λ)/Or(λ) ・・・(1)
その後は、予め定められた血中グルコース濃度と吸光度との関係を示す「検量線」を用いて、吸光スペクトルから血糖値を算出(推定)する。なお、吸光スペクトルを生成し、血糖値を算出する手法については公知技術を適宜採用することができる。
なお、照射受光位置選択処理で設定する計測位置の数は1つに限らず、複数設定してもよい。この場合には、計測位置毎に選択した全ての計測用発光素子52−1を発光させて照射光を照射し、対応する計測用受光素子54−1及びリファレンス用受光素子54−2の受光結果から血管透過光成分を抽出する。これによれば、設定した計測位置毎に血糖値を求めることができる。
[分布算出処理の原理]
例えば、被測定面の全域に近赤外領域(近赤外域ともいう)の光を照射して装着部位皮下の画像を取得すると、血管部分は、非血管部よりも輝度が低く暗くなる。血管は、内部を流れる血液の影響で血管が存在しない個所よりも近赤外線を吸収し易いためである。しかし、皮膚面や表層に体毛やシミ、ホクロ等の検出妨害物が存在する場合、これらの領域も輝度が低く暗くなる。そのため、単純に装着部位皮下の画像を取得して輝度の低い領域を血管とするのでは、誤って妨害対象物の領域を血管としてしまう問題がある。このように、装着部位皮下のどこに血管が存在するのかを正しく把握できないと、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置の各位置を血管透過光を得るのに適した組合せとして選択できず、計測精度の低下を招く。
例えば、被測定面の全域に近赤外領域(近赤外域ともいう)の光を照射して装着部位皮下の画像を取得すると、血管部分は、非血管部よりも輝度が低く暗くなる。血管は、内部を流れる血液の影響で血管が存在しない個所よりも近赤外線を吸収し易いためである。しかし、皮膚面や表層に体毛やシミ、ホクロ等の検出妨害物が存在する場合、これらの領域も輝度が低く暗くなる。そのため、単純に装着部位皮下の画像を取得して輝度の低い領域を血管とするのでは、誤って妨害対象物の領域を血管としてしまう問題がある。このように、装着部位皮下のどこに血管が存在するのかを正しく把握できないと、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置の各位置を血管透過光を得るのに適した組合せとして選択できず、計測精度の低下を招く。
一方で、血管透過光を得るのに適した組合せとして各位置が選択できても、照射位置から計測用受光位置に至る光の伝播経路上や、照射位置からリファレンス用受光位置に至る光の伝播経路上に検出妨害物が存在すると、計測精度を低下させる要因となる。例えば、何れか一方の伝播経路上にのみ検出妨害物が存在する場合、式(1)で光強度Os(λ),Or(λ)の比として求めた透過率T(λ)に誤差が生じ、計測精度を低下させる。
ところで、血液中にはヘモグロビン、体毛等の検出妨害物にはメラニンという特徴的な色素が含まれており、これらは異なる光特性を有する。図6は、ヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)とメラニンの吸光スペクトルを示す図である。図6に示すように、メラニンの吸光スペクトルは、波長が長くなるにつれて滑らかに減少するのに対し、ヘモグロビンの場合、530[nm]〜590[nm]付近で特異的な吸収ピークが現れる。このように、ヘモグロビンとメラニンとでは吸光スペクトルが異なるため、例えば、595[nm]と650[nm]とでは、ヘモグロビンの吸光度とメラニンの吸光度との差が大きく異なる。ただし、それ以外の波長であっても、その波長によって両者の関係は異なる。そこで、分布算出処理では先ず、異なる2つの第1測定波長λ1及び第2測定波長λ2で分光測定を行う。
図7は、分光測定を説明する概念図であって、装着部位皮下の断面図に相当する。なお、センサーモジュール50は簡略表記している。分光測定では、先ず、センサーモジュール50が備える発光素子52を一斉発光させて被測定面の全域に照射光を照射するとともに、全ての受光素子54を用いて装着部位皮下の生体組織の透過光を受光する。そして、その際に、分光層55の透過波長域を中心波長が第1測定波長λ1である狭波長幅に設定することでピーク波長が第1測定波長λ1の第1スペクトル光を分光し、第1の分光画像を取得する。続けて、透過波長域の中心波長を第2測定波長λ2とすることでピーク波長が第2測定波長λ2の第2スペクトル光を分光し、第2の分光画像を取得する。
第1測定波長λ1及び第2測定波長λ2とする波長は適宜設定してよい。図8は、近赤外域の700[nm]を第1測定波長λ1として取得した第1の分光画像の一例を示す図である。また、図9は、810[nm]を第2測定波長λ2として取得した第2の分光画像の一例を示す図である。このようにして取得した第1の分光画像の画像データは、Xs−Ys直交座標系のピクセル座標の各々に対応する各受光素子54で受光した第1スペクトル光の吸光スペクトルの集合となる。一方、第2の分光画像の画像データは、第2スペクトル光の吸光スペクトルの集合となる。
ここで、ピクセル座標を測定位置rとすると、測定位置rにおける第1測定波長λ1の吸光度μmes(r,λ1)は式(2)で、測定位置rにおける第2測定波長λ2の吸光度μmes(r,λ2)は式(3)で表すことができる。式(2),(3)において、μH(λ1)は、ヘモグロビンの第1測定波長λ1における単位量あたりの吸光度を表し、μH(λ2)は、ヘモグロビンの第2測定波長λ2における単位量あたりの吸光度を表す。μM(λ1)は、メラニンの第1測定波長λ1における単位量あたりの吸光度を表し、μM(λ2)は、メラニンの第2測定波長λ2における単位量あたりの吸光度を表す。CH(r)は、該当する被測定面内の位置又はその皮下に存在するヘモグロビン量を表し、CM(r)は、同位置又はその皮下に存在するメラニン量を表す。
式(2)においてμmes(r,λ1)は、測定位置rにおける第1スペクトル光の吸光度(すなわち対応する受光素子54の受光結果)と置き換えることができ、式(3)においてμmes(r,λ2)は、測定位置rにおける第2スペクトル光の吸光度(対応する受光素子54の受光結果)と置き換えることができる。その場合、μH(λ1)をヘモグロビンの第1スペクトル光の吸光度、μH(λ2)をヘモグロビンの第2スペクトル光の吸光度とし、μM(λ1)をメラニンの第1スペクトル光の吸光度、μM(λ2)をメラニンの第2スペクトル光の吸光度としてもよい。
したがって、未知変数はCH(r),CM(r)の2つであるから、式(2),(3)を連立させればその値を求めることができる。なお、より精度を高めるために、3つ以上の測定波長で分光測定を行い、CH(r),CM(r)を求めるようにしてもよい。
実際の処理では、式(2),(3)を変形して予め重み係数WH(λ1),WH(λ2),WM(λ1),WM(λ2)を定めておく。先ず、式(2),(3)は、式(4)のように行列表記できる。
したがって、CH(r),CM(r)は、逆行列を用いた式(5)に示す行列演算により算出できる。
式(5)の逆行列を、重み係数WH(λ1),WH(λ2),WM(λ1),WM(λ2)を用いた式(6)で定義する。
式(5)は、重み係数WH(λi),WM(λi)(i=1,2)を用いた式(7),(8)で表される。
したがって、式(7)に従い重み係数WH(λ1),WH(λ2)を用いてヘモグロビン量CH(r)を算出することで、ヘモグロビンをターゲット物質としてその測定位置rにおける成分を抽出できる。そして、ヘモグロビン量CH(r)の算出を全てのピクセルについて行って第1の分光画像と第2の分光画像とを合成すれば、被測定面における血管分布を算出できる。図10に、図8の第1の分光画像と図9の第2の分光画像とを合成した結果を示す。
同様に、式(8)に従い重み係数WM(λ1),WM(λ2)を用いてメラニン量CM(r)を算出すれば、メラニンをターゲット物質としてその測定位置rにおける成分を抽出できる。そして、メラニン量CM(r)の算出を全てのピクセルについて行えば、被測定面における検出妨害物分布を算出できる。なお、ヘモグロビン成分のみを抽出したい場合は式(7)の演算処理のみを行えばよいし、メラニン成分のみを抽出したい場合は式(8)の演算処理のみを行えばよい。
[機能構成]
図11は、電子機器10の主要な機能構成例を示すブロック図である。図11に示すように、電子機器10は、センサー部110と、操作入力部130と、表示部140と、通信部150と、演算処理部160と、記憶部180とを備える。
図11は、電子機器10の主要な機能構成例を示すブロック図である。図11に示すように、電子機器10は、センサー部110と、操作入力部130と、表示部140と、通信部150と、演算処理部160と、記憶部180とを備える。
センサー部110は、図2のセンサーモジュール50に該当し、複数の発光素子52で構成される発光部111と、複数の受光素子54で構成される受光部113とを有する。発光部111を構成する各発光素子52の配置位置(Xs−Ys座標値)は、該当する発光素子52に割り振られた発光素子番号と対応付けた発光素子リスト183として予め記憶部180に格納されている。また、受光部113を構成する各受光素子54の配置位置(Xs−Ys座標値)は、該当する受光素子54に割り振られた受光素子番号と対応付けた受光素子リスト184として予め記憶部180に格納されている。
操作入力部130は、ボタンスイッチやダイヤルスイッチ等の各種スイッチ、タッチパネル等の入力装置によって実現されるものであり、使用者2等によって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を演算処理部160に出力する。図1の操作スイッチ16、タッチパネル18がこれに該当する。
表示部140は、LCD(Liquid Crystal Display)やELディスプレイ(Electroluminescence display)等の表示装置によって実現されるものであり、演算処理部160から入力される表示信号に基づいて各種画面を表示する。図1のタッチパネル18がこれに該当する。
通信部150は、装置内部で利用される情報を外部の情報処理装置との間で送受するための通信装置である。図1の通信装置20がこれに該当する。通信部150の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレードルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
演算処理部160は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の制御装置及び演算装置によって実現されるものであり、電子機器10の各部を統括的に制御する。図1の制御基板30がこれに該当する。この演算処理部160は、発光制御部161と、受光制御部162と、分光画像取得部163と、血管分布算出部164と、妨害物分布算出部165と、照射受光位置選択部166と、吸光スペクトル生成部167と、血糖値算出部168とを備える。なお、演算処理部160を構成する各部は、専用のモジュール回路等のハードウェアで構成することとしてもよい。
発光制御部161は、発光部111を構成する発光素子52を個別に発光制御する。例えば、いわゆるアクティブマトリクス方式の駆動制御技術を利用することで実現できる。受光制御部162は、受光部113の受光素子54により受光した受光光からその受光量に応じた電気信号を読み出す制御を行う。
分光画像取得部163、血管分布算出部164、及び妨害物分布算出部165は、上記した分布算出処理を行う機能部であり、分光画像取得部163は、分光測定を実行して第1の分光画像と第2の分光画像とを取得する。血管分布算出部164は、上記した重み係数WH(λ1),WH(λ2)を用いて第1の分光画像と第2の分光画像とを合成し、血管分布を算出する。妨害物分布算出部165は、上記した重み係数WM(λ1),WM(λ2)を用いて第1の分光画像と第2の分光画像とを合成し、検出妨害物分布を算出する。
照射受光位置選択部166は、上記した照射受光位置選択処理を行い、血管上に設定した計測位置に基づいて計測適合条件を満たす照射位置(計測用発光素子52−1)、計測用受光位置(計測用受光素子54−1)、及びリファレンス用受光位置(リファレンス用受光素子54−2)を選択する。
吸光スペクトル生成部167は、発光制御部161及び受光制御部162の制御のもと、計測用発光素子52−1から照射光を照射し、計測用受光素子54−1及びリファレンス用受光素子54−2の受光結果に基づいて吸光スペクトルを生成する。血糖値算出部168は、吸光スペクトルに基づいて血糖値を算出する。例えば、重回帰分析法、主成分回帰分析法、PLS回帰分析法、独立成分分析法等の分析法を用いて吸光スペクトルから血糖値を算出する。
記憶部180は、ROMやフラッシュROM、RAM等の各種IC(Integrated Circuit)メモリーやハードディスク等の記憶媒体により実現されるものであり、電子機器10を動作させ、この電子機器10が備える種々の機能を実現するためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ、処理結果等が格納される。図1では、制御基板30が搭載するメインメモリー34や計測データ用メモリー36、メモリーカード22がこれに該当する。
この記憶部180には、演算処理部160を発光制御部161、受光制御部162、分光画像取得部163、血管分布算出部164、妨害物分布算出部165、照射受光位置選択部166、吸光スペクトル生成部167、及び血糖値算出部168として機能させ、血糖値取得処理(図12を参照)を行うための計測プログラム181と、発光素子リスト183と、受光素子リスト184と、重み係数データ185とが予め格納される。計測プログラム181は、分布算出処理を行うための分布算出プログラム182を含む。重み係数データ185には、式(6)で定義される重み係数WH(λ1),WH(λ2),WM(λ1),WM(λ2)が格納される。また、記憶部180には、分光画像データ186と、血管分布データ187と、妨害物分布データ188と、計測結果データ189とが血糖値取得処理の過程で格納される。
[処理の流れ]
図12は、血糖値取得処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここで説明する処理は、演算処理部160が記憶部180から計測プログラム181を読み出して実行することで実現できる。この血糖値取得処理は、電子機器10が使用者2の身体に装着され、所定の計測開始操作が入力されると開始される。
図12は、血糖値取得処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここで説明する処理は、演算処理部160が記憶部180から計測プログラム181を読み出して実行することで実現できる。この血糖値取得処理は、電子機器10が使用者2の身体に装着され、所定の計測開始操作が入力されると開始される。
血糖値算出処理では、はじめに、上記した分布算出処理としてステップS1〜ステップS7の処理を行う。すなわち先ず、分光画像取得部163が分光測定を実行し、第1の分光画像を取得するとともに(ステップS1)、第2の分光画像を取得する(ステップS3)。取得した第1の分光画像及び第2の分光画像の画像データは、分光画像データ186として記憶部180に格納される。
そして、血管分布算出部164が、式(7)に従い、重み係数WH(λ1),WH(λ2)を用いてピクセル毎にヘモグロビン量CH(r)を算出することで第1分光画像と第2分光画像とを合成し、血管分布を算出する(ステップS5)。このとき、血管分布算出部164は、ピクセル毎に求めたヘモグロビン量CH(r)を適宜基準濃度と比較し、2値化やフィルター処理をする。基準濃度未満のピクセルが血管を示すことになる。算出した血管分布は、血管分布データ187として記憶部180に格納される。
また、妨害物分布算出部165が、式(8)に従い、重み係数WM(λ1),WM(λ2)を用いてピクセル毎にメラニン量CM(r)を算出することで第1分光画像と第2分光画像とを合成し、検出妨害物分布を算出する(ステップS7)。この場合も、妨害物分布算出部165は、ピクセル毎に求めたメラニン量CM(r)を適宜基準濃度と比較し、2値化やフィルター処理をする。基準濃度未満のピクセルが検出妨害物を示すことになる。算出した検出妨害物分布は、妨害物分布データ188として記憶部180に格納される。
続いて、照射受光位置選択部166が、上記した照射受光位置選択処理としてステップS9〜ステップS15の処理を行う。すなわち先ず、照射受光位置選択部166は、ステップS5で算出した血管分布に従って血管上に計測位置を設定する(ステップS9)。そして、照射受光位置選択部166は、ステップS9で設定した計測位置に基づいて、第1の相対位置条件を満たし、且つ第2の相対位置条件を満たす照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置を選択する(ステップS11)。続いて、照射受光位置選択部166は、ステップS7で算出した検出妨害物分布に従い、ステップS11で選択した各位置に基づき低成分条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。低成分条件を満たさないと判定した場合には(ステップS15:No)、照射受光位置選択部166は、ステップS9に戻って再度血管分布に従い別の計測位置を設定し、上記した処理を繰り返す。
低成分条件を満たすと判定したならば(ステップS15:YES)、光計測の実行に移る。すなわち先ず、吸光スペクトル生成部167が、発光制御部161及び受光制御部162の制御のもとで計測用発光素子52−1を発光させ、全ての受光素子54により受光させる(ステップS17)。そして、吸光スペクトル生成部167は、計測用受光素子54−1及びリファレンス用受光素子54−2の受光結果に基づいて吸光スペクトルを生成する(ステップS19)。その後は、血糖値算出部168が、吸光スペクトルから血糖値を算出する(ステップS21)。算出した血糖値は計測日時等と対応付けられ、計測結果データ189として記憶部180に蓄積される。また、ここで算出した血糖値は、適宜表示部140に表示される。
以上説明したように、本実施形態によれば、検出妨害物を血管として誤認識することなく、被測定面における血管分布を精度良く算出することができる。これによれば、被測定面内の血管の位置を適正に把握することができる。よって、光計測の計測位置を確実に血管上に設定した上で、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置を選択できる。加えて、被測定面における検出妨害物を算出することができ、被測定面内の検出妨害物の位置を適正に把握することができる。そして、照射位置、計測用受光位置、及びリファレンス用受光位置の各位置を検出妨害物分布と照らし合わせて低成分条件を満たすか否かを判定し、満たさない場合は、計測位置を変えて各位置を選択し直すことができる。よって、検出妨害物を避けて光計測を実行でき、計測用受光素子54−1及びリファレンス用受光素子54−2の受光結果に検出妨害物が影響を及ぼす事態を防止することができる。したがって、光計測を精度良く実行し、高い精度で血糖値を算出することが可能となる。
なお、上記した実施形態では、2種類のスペクトル光の分光画像を取得し、測定対象物に含有され得るヘモグロビン及びメラニンの2個の物質をターゲット物質として想定して各分光画像を合成することで、血管分布と検出妨害物分布とを算出する場合を説明した。これに対し、スペクトル光の種類をn種類とし、測定対象物に含有され得る物質をm個とした場合に、n≧m≧2であれば、m個の物質の成分を同様の手順で抽出することができる。実際の処理では、m個全ての物質をターゲット物質として各々の成分を抽出してもよいし、そのうちの1つ以上の物質をターゲット物質としてその成分を抽出してもよい。
先ず、n=mの場合、測定位置rにおける波長λi(i=1,2,・・・,n)の吸光度μmes(r,λi)は式(9)で表すことができる。式(9)において、μm(λi)は、物質j(j=1,2,・・・,m)の波長λiにおける単位量あたりの吸光スペクトルを表す。Cj(r)は、該当する被測定面内の位置又はその皮下に存在する物質jの量を表す。
式(9)は、式(10)のように行列表記できる。
したがって、Cj(r)は、逆行列を用いた式(11)に示す行列演算により算出できる。
式(11)の逆行列を、重み係数Wj(λi)を用いた式(12)で定義する。
式(11)は、重み係数Wj(λi)を用いた式(13)で表される。
一方、n>mの場合は、式(11)のように逆行列を用いることができないため、疑似逆行列を用いる。この場合は、Cj(r)は、疑似逆行列を用いた式(14)に示す行列演算により算出できる。なお、n=mの場合、逆行列と疑似逆行列とは一致する。また、行例をAにて記載した場合、A−1はAの逆行列を、ATはAの転置行列を示す。
式(14)の疑似逆行列を、重み係数Wj(λi)を用いた式(15)で定義する。これによれば、式(14)は、n=mの場合と同じ上記式(13)で表すことができる。
また、上記した実施形態では、生体の所定部位において血液に係る光計測を実行し、生体情報として血糖値を取得(算出)する場合を説明したが、生体情報として例えばその他の血液成分や酸素飽和度等を取得する場合にも同様に適用できる。あるいは、生体情報として脈波を取得する等、血管に係る光計測を実行する場合にも同様に適用できる。
また、上記した実施形態では、センサーモジュール50と接触する皮膚面の全域を被測定面として被測定面における血管分布及び検出妨害物分布を算出することとしたが、必ずしも被測定面の全域で分布を算出する必要はない。1つのピクセル座標すなわち対応する1つの受光素子54に着目すれば、該当する被測定面内の位置を対象にヘモグロビン成分やメラニン成分を抽出することができる。
また、測定対象物は生体の所定部位に限定されるものではなく、生体以外を測定対象物として含有物質の成分を抽出する場合にも同様に適用できる。
また、本発明の検出装置は、静脈認証装置にも適用することができる。その場合、検出妨害物の影響を受けることなく血管分布が得られることから、安定した認証が行える。その他、血管分布等を皮膚面に投影して可視化する装置への適用も可能である。
10 電子機器、50 センサーモジュール、110 センサー部、111 発光部、52 発光素子、52−1 計測用発光素子、113 受光部、54 受光素子、54−1 計測用受光素子、54−2 リファレンス用受光素子、130 操作入力部、140 表示部、150 通信部、160 演算処理部、161 発光制御部、162 受光制御部、163 分光画像取得部、164 血管分布算出部、165 妨害物分布算出部、166 照射受光位置選択部、167 吸光スペクトル生成部、168 血糖値算出部、180 記憶部、181 計測プログラム、182 分布算出プログラム、183 発光素子リスト、184 受光素子リスト、185 重み係数データ、186 分光画像データ、187 血管分布データ、188 妨害物分布データ、189 計測結果データ、2 使用者、7 血管、8 非血管部
Claims (10)
- 測定対象物に照射光を照射する発光部と、
前記照射光が前記測定対象物を透過した透過光を受光する受光部と、
n種類(n≧2)のスペクトル光に係る前記受光部の受光結果を所定の重み係数を用いて合成して前記測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出する演算処理を行う演算処理部と、
を備えた検出装置。 - 前記重み係数は、m個の物質に対して前記n種類(n≧m≧2)のスペクトル光を透過させた場合の光特性に基づいて定められており、
前記演算処理部は、前記m個の物質のうちの何れかを前記ターゲット物質として前記演算処理を行う、
請求項1に記載の検出装置。 - 前記重み係数は、前記n種類のスペクトル光のピーク波長における前記m個の物質の吸光度に基づいて定められている、
請求項1又は2に記載の検出装置。 - 前記演算処理部は、所定の行列演算を用いて前記演算処理を実行する、
請求項3に記載の検出装置。 - 前記発光部は、前記測定対象物の被測定面に対して照射光を照射し、
前記受光部は、前記被測定面の各位置で前記透過光を受光し、
前記演算処理部は、前記被測定面における前記ターゲット物質の分布を算出する、
請求項1〜4の何れか一項に記載の検出装置。 - 前記測定対象物は生体の所定部位であり、
前記演算処理部は、前記生体中の所定物質を前記ターゲット物質として前記生体に含有された前記ターゲット物質に係る生体情報を算出する、
請求項1〜5の何れか一項に記載の検出装置。 - 前記測定対象物は生体の所定部位であり、
前記演算処理部は、血液中の所定物質を前記ターゲット物質として前記被測定面における血管分布を算出する、
請求項5に記載の検出装置。 - 前記演算処理部は、前記血管分布のうち、所定の計測適合条件を満たす計測位置を判定することと、前記発光部および前記受光部を制御して当該計測位置において血管又は血液に係る光計測を実行することと、を行う、
請求項7に記載の検出装置。 - 前記演算処理部は、前記生体の前記被測定面における所定の色素物質の分布を算出し、当該色素物質の成分が所定の低成分条件を満たすことを前記計測適合条件に含めて前記計測位置を判定する、
請求項8に記載の検出装置。 - 測定対象物に照射光を照射することと、
前記照射光が前記測定対象物を透過した透過光を受光することと、
n種類(n≧2)のスペクトル光に係る前記受光の結果を所定の重み係数を用いて合成して前記測定対象物に含まれるターゲット物質の成分を抽出する演算処理を行うことと、
を含む検出装置が実行する検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015031995A JP2016152875A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | 検出装置及び検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015031995A JP2016152875A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | 検出装置及び検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016152875A true JP2016152875A (ja) | 2016-08-25 |
Family
ID=56760797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015031995A Pending JP2016152875A (ja) | 2015-02-20 | 2015-02-20 | 検出装置及び検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016152875A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020141811A (ja) * | 2019-03-05 | 2020-09-10 | 花王株式会社 | 肌画像処理方法 |
JP2023502568A (ja) * | 2019-10-17 | 2023-01-25 | ノヴァ バイオメディカル コーポレイション | 凝血アッセイ装置およびその方法 |
JP7573605B2 (ja) | 2019-10-17 | 2024-10-25 | ノヴァ バイオメディカル コーポレイション | 凝血アッセイ装置およびその方法 |
-
2015
- 2015-02-20 JP JP2015031995A patent/JP2016152875A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020141811A (ja) * | 2019-03-05 | 2020-09-10 | 花王株式会社 | 肌画像処理方法 |
JP7246974B2 (ja) | 2019-03-05 | 2023-03-28 | 花王株式会社 | 肌画像処理方法 |
JP2023502568A (ja) * | 2019-10-17 | 2023-01-25 | ノヴァ バイオメディカル コーポレイション | 凝血アッセイ装置およびその方法 |
JP7573605B2 (ja) | 2019-10-17 | 2024-10-25 | ノヴァ バイオメディカル コーポレイション | 凝血アッセイ装置およびその方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6442826B2 (ja) | 血液成分分析方法および血液成分分析装置 | |
JP6364792B2 (ja) | 生体情報処理方法、生体情報処理装置、コンピューターシステム、及びウェアラブル機器 | |
JP6291875B2 (ja) | 血糖値計測装置及び血糖値計測方法 | |
JP6201315B2 (ja) | 血液成分測定方法、血液成分測定装置及び医療機器 | |
JP6364793B2 (ja) | 生体情報処理装置及び生体情報処理方法 | |
JP6201316B2 (ja) | 血液成分測定方法、血液成分測定装置及び医療機器 | |
JP6201314B2 (ja) | 血液成分測定方法、血液成分測定装置及び医療機器 | |
US20170303838A1 (en) | Analyte-sensing device | |
JP2016073483A (ja) | 生体情報取得装置 | |
US20170215778A1 (en) | Biological information acquisition device and biological information acquisition method | |
JP6769171B2 (ja) | 生体情報取得装置および生体情報取得方法 | |
JP2016152875A (ja) | 検出装置及び検出方法 | |
JP2017136184A (ja) | 生体情報取得装置及び生体情報取得方法 | |
US10229091B2 (en) | Method for reconstructing the optical properties of a medium with computing of a signal corrected as a function of a first modeling function for a reference medium and of a second distribution for a medium to be characterized, and associated reconstruction system | |
JP6658307B2 (ja) | 生体情報取得装置及び生体情報取得方法 | |
JP2017189489A (ja) | 生体情報測定装置及び生体情報測定方法 | |
JP2016106660A (ja) | 生体情報取得装置および生体情報取得方法 | |
JP2016106870A (ja) | 生体情報取得装置および生体情報取得方法 | |
JP2017136183A (ja) | 生体情報取得装置及び生体情報取得方法 | |
US11172853B2 (en) | Biological information acquisition device and biological information acquisition method | |
JP2017189327A (ja) | 生体情報取得装置及び生体情報取得方法 |