JP7246974B2 - 肌画像処理方法 - Google Patents
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Description
また、血管のうち、皮下の比較的浅い箇所にある毛細血管の形状や数を観察するには、一般に皮膚の表面からの撮影画像が使用されている。特許文献2に記載の体表評価装置では、液浸方式の拡大鏡により真皮上層から液浸方式で皮膚内部反射光画像を取得している。また、特許文献2には、画像の撮影倍率が100倍から1000倍程度であることが記載されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、肌表面の毛の影響を除いて毛細血管を高精度に観察可能な肌画像処理方法に関する。
本実施形態の肌画像処理装置は、人の肌(皮膚)の下であって、かつ皮膚表面に比較的近い真皮およびその付近に存在する毛細血管を評価する用途に使用されるものである。人の肌の色は、主にヘモグロビン、メラニン色素及びその他の色成分等の色素で構成される。このため、本実施形態は、肌を撮像した画像(以下、「肌画像」とも記す)をヘモグロビンに関する色成分、メラニン色素に関する色成分及びその他の色成分に分別し、このうちのヘモグロビンに関する色成分により毛細血管を検出する。
以下、本実施形態についてより詳細に説明する。なお、本実施形態は、黄色人種で黒髪の人間の肌表面を処理対象にする例について説明する。
図1は、第一実施形態の肌画像処理方法を説明するためのフローチャートである。図2は、図1に示すフローチャートの処理を実行する画像処理装置20を説明するための図である。図1に示す肌画像処理方法は、拡大画像を取得する拡大画像の取得工程(ステップS101)と、RGB画像を成分分離する工程(ステップS102)と、ヘモグロビン色成分の管状構造を抽出する工程(ステップS103)と、抽出した管状構造の画素値のヒストグラムを平坦化する工程(ステップS104)と、ヒストグラムから二値化のための閾値を決定する工程(ステップS105)と、粒状ノイズを除去する工程(ステップS106)と、毛領域を検出する工程(ステップS107)と、毛状ノイズを除去する工程(ステップS108)と、血管領域(以下、「血管パターン」と記す)を抽出する工程(ステップS109)と、を含んでいる。
なお、上記画素値は、撮像された画像を構成する画素の値であればよく、階調値や輝度等であってもよい。
また、画像処理装置20は、ディスプレイ23に接続されていて、抽出された血管パターンを表す画像、血管パターンの数や密度等がディスプレイ23に表示される。
第一実施形態の肌画像処理方法では、図1に示すように、肌画像をRGB(Red,Green,Blue)の拡大画像として取得する(ステップS101)。拡大画像の取得は、肌の表面を撮影することによって行われる。拡大の倍率は、比較的広範囲を観察する場合には等倍から100倍程度、毛細血管形状を観察する場合には100倍から1000倍程度が望ましい。また、第一実施形態では、皮膚の表面に比較的近い毛細血管を観察するため、皮膚表面の内部反射光画像を撮影している。
肌画像の撮影は、図3(a)に示すように、被写体配置部1、顕微鏡システム3、画像処理部4及び画像表示部5によって行われる。被写体配置部1は、被写体である身体部位(図3(b)の例では前腕内側)を配置する撮影台の部位である。被写体配置部1は、被写体と反対側に設置される顕微鏡システム3による被写体の観察が可能であれば、特に材質を限定するものではないが、例えばガラス板を用いることが好ましい。撮影台2は、被写体配置部1を備え、被写体配置部1を介して被写体と反対側に顕微鏡システム3を配置することができればその形状や構成は特に限定されない。このようなシステムは、例えば、図3(b)に示すように、顕微鏡システム3の周囲に支柱9を設けて被写体配置部1及び撮影台2を支持し、顕微鏡システム3が身体部位8を下方から撮影するものであってもよい。
画像処理部4は、カメラ3cによって取得された静止画像のデータを入力し、静止画像を画素によって再現するための画像データを生成する。生成された画像データは、画像表示部に出力されて観察画像を拡大して示す拡大画像となる。
モードAでノイズ除去を行う場合、画像処理部22は、RGB画像である拡大画像をヘモグロビン色成分、メラニン色成分及び陰影成分の三成分に分離する(ステップS102)。
図4(a)は、RGB画像の三成分をヘモグロビン色成分(H)、メラニン色成分(M)、陰影成分(L)に変換する式を示す図である。図4(b)は、r,g,bの直交座標系をh,m,lの斜交座標系に変換することを説明するための図である。図4(a)に示すように、r,g,bは、RGB画像をR成分、G成分、B成分に分離し、-logR,-logG,-logBをとることによって各々生成される。
r=-logR
g=-logG
b=-logB
式(3)に示すr、g、bの座標系をヘモグロビンベクトル、メラニンベクトル、陰影ベクトル座標で表すと、図4(b)に示す互いに直交するr軸、g軸、b軸によって形成される直交座標にヘモグロビンベクトル、メラニンベクトル、陰影ベクトルを与えることによって斜交座標が形成される。ヘモグロビンベクトル上のヘモグロビン色成分、メラニンベクトル上のメラニン色成分及び陰影ベクトル上の陰影成分の交点により、画像上の画素kが表される。
上記のヘモグロビン色成分とメラニン色成分を分離する処理は、独立成分分析の他、重回帰分析、主成分分析、ルックアップテーブル方式、などを用いることができる。
第一実施形態は、血管パターンの抽出に先立って、図5(a)中の血管パターンを明確化する処理を行う。この処理にあたり、画像処理部22は、図5(a)のヘモグロビン画像をフィルタ処理し、ヘモグロビン画像から管状構造を抽出する(ステップS103)。フィルタ処理に使用されるフィルタとしては、例えば、Frangiにより提案されたHessian行列をもとに特定の構造の抽出を行うmultiscaleフィルタ(Frangiフィルタ)、あるいはshikataフィルタが好適である。
図6(a)から図6(d)によれば、処理の過程で毛細血管を除くパターンがノイズとして消去され、毛細血管が血管パターンとして明確に特定されるようになる。
次に、画像処理部22は、粒状ノイズよりも大きい毛状ノイズの除去を実行する(ステップS108)。第一実施形態では、毛状ノイズの除去にあたり、拡大画像から毛が映り込んでいる領域を検出し(ステップS107)、この領域を処理の対象から外している。
図8(a)、図8(b)は、ステップS108の毛領域の検出を説明するための図である。図8(a)は、毛100が写りこんだ図6(d)に示す血管抽出画像96を示している。図8(b)は、拡大画像95における例えば画像全体の割合のうちR、G、Bのそれぞれの階調値が低輝度側の0.01%以下の画素のみを「黒」であるとして抽出したマスクパターン97を示している。図8(c)は、血管抽出画像96にマスクパターン97を重ねた状態を示すマスク後画像98を示している。
なお、ここで「画素が連続する」とは、画素が互いに接触していて間に他の画素が存在しないことを指すが、画像上のノイズとみなせる程度の離間は連続するとみなす場合がある。また、第一実施形態でいう「画素が連続する」の意味は、画素が一方向に連続するもののみを指すのではなく、画素が連続する方向を連続的に変えながら環状に連なるものであってもよい。
モードBは、図1に示すように、ステップS107の毛領域の検出処理及びステップS108の毛状ノイズの除去をヘモグロビン画像の抽出の前に実行する処理モードである。モードBにより血管パターンを抽出する場合、第一実施形態は、毛状ノイズが除去された拡大画像をヘモグロビン色成分、メラニン色成分及び陰影成分に分離し、このうちのヘモグロビン色成分によって生成されるヘモグロビン画像を使ってステップS103からステップS106を実行する。
第一実施形態では、トレース評価の結果を正答と仮定し、第一実施形態によって抽出された血管パターンが正答と一致した場合に第一実施形態の肌評価方法が正答したと判定する。また、この際、第一実施形態では、トレース評価において血管パターンであると判定された画素と第一実施形態で血管パターンであると判定された画素とが一致した場合の一致数、トレース評価において血管パターンでないと判定された画素と第一実施形態で血管パターンでないと判定された画素とが一致した場合の一致数の合計を正答数とする。この結果、第一実施形態の肌画像処理方法は、全抽出画素のうちの96.55%画素が正答した。
このような結果により、第一実施形態の肌画像評価方法は、公知の評価方法と同程度の正答率を得ることができるものといえる。
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態の肌画像処理方法では、図1に示すマスクパターンを生成する工程(ステップS108)が、陰影成分を含む画素が連続する範囲をマスクパターンとする。
図9(a)、図9(b)は、陰影成分からマスクパターンを生成する工程を説明するための図である。なお、このような図9(a)、図9(b)は、図8(a)から図8(c)の画像とは異なる取得画像について処理を行った例を示している。第二実施形態において、画像処理部22は、第一実施形態と同様に、陰影成分を抽出する。図9(a)は、抽出された陰影成分によって生成される陰影画像からFrangiフィルタにより管形状を抽出し、ヒストグラムを平坦化して閾値を調整し、さらにノイズ除去したマスクパターン91を示している。図9(a)中の線状のノイズ102が毛由来のノイズであり、環状のノイズ110は、表面反射を除去するために皮膚表面に塗布する液体に混入した泡及び泡の影によるものである。図9(b)は、粒状ノイズの除去後のヘモグロビンの血管抽出画像96にマスクパターン91を重ねることによってマスク後画像98を生成することを説明するための図である。
なお、第二実施形態では、上記処理において、陰影成分とヘモグロビン成分とを重ねることを考慮し、ヘモグロビン画像から毛状のノイズを除去するマスク処理に先立って予め陰影画像からヘモグロビン成分を減じておくことが好ましい。マスクパターン91を血管抽出画像96に重ねると、マスクパターン91に含まれるヘモグロビン成分と血管抽出画像96に含まれるヘモグロビン成分とが重なってノイズとなることを防ぐためである。
また、第一実施形態、第二実施形態の画像処理方法は、安静時の肌画像中の血管面積の算出、皮膚への外用剤塗布の前後における血管面積の変化の検出、皮膚への物理刺激による血管面積の変化の観察、細線化処理による血管ネットワークの可視化、血管の分岐数の算出等に適用することが考えられる。
2・・・撮影台
3・・・顕微鏡システム
3a・・・レンズ
3b・・・光源
3c・・・カメラ
4・・・画像処理部
5・・・画像表示部
6・・・スペーサー
7・・・流体注入部
8・・・身体部位
9・・・支柱
10・・・シリンジ
11・・・位置調整機構
20・・・画像処理装置
21・・・画像入力部
22・・・画像処理部
23・・・ディスプレイ
91・・・マスクパターン
95・・・拡大画像
96・・・血管抽出画像
97・・・マスクパターン
98・・・マスク後画像
100・・・毛
102・・・ノイズ
110・・・ノイズ
H・・・ヘモグロビン色成分
L・・・陰影成分
M・・・メラニン色成分
Claims (9)
- ヘモグロビンに関する色成分を表す第一色成分と、メラニンに関する色成分を表す第二色成分と、前記第一色成分及び前記第二色成分を除く色成分に関する第三色成分とを含む肌表面の拡大画像を処理する肌画像処理方法であって、
前記第一色成分によって生成される第一色成分画像から、前記第一色成分を所定量以上含む画素が所定の長さ以上連続する血管パターンを抽出する血管パターン抽出工程と、
前記拡大画像のうち予め設定されている値より黒色に近い画素が連続する範囲を、前記血管パターン抽出工程において除外すべき画素が連続するマスクパターンとして生成するマスクパターン生成工程と、
前記マスクパターンをマスクにして前記拡大画像または前記第一色成分によって生成される血管抽出画像からノイズを除くノイズ除去を実行するノイズ除去工程と、
を含む肌画像処理方法。 - ヘモグロビンに関する色成分を表す第一色成分と、メラニンに関する色成分を表す第二色成分と、前記第一色成分及び前記第二色成分を除く色成分に関する第三色成分とを含む肌表面の拡大画像を処理する肌画像処理方法であって、
前記第一色成分によって生成される第一色成分画像から、前記第一色成分を所定量以上含む画素が所定の長さ以上連続する血管パターンを抽出する血管パターン抽出工程と、
前記第三色成分を含む画素が連続する範囲を、前記血管パターン抽出工程において除外すべき画素が連続するマスクパターンとして生成するマスクパターン生成工程と、
前記マスクパターンをマスクにして前記拡大画像または前記第一色成分によって生成される血管抽出画像からノイズを除くノイズ除去を実行するノイズ除去工程と、
を含む肌画像処理方法。 - 前記ノイズ除去工程は、肌表面の前記拡大画像のうちの前記マスクパターンと重なる範囲をノイズとして除去する、請求項1又は2に記載の肌画像処理方法。
- 前記ノイズ除去工程は、前記第一色成分画像のうちの前記マスクパターンと重なる範囲をノイズとして除去する、請求項1又は2に記載の肌画像処理方法。
- 前記ノイズ除去工程は、前記マスクパターンから前記第一色成分を除いた後に前記第一色成分画像からノイズを除去する、請求項4に記載の肌画像処理方法。
- ヘモグロビンに関する色成分を表す第一色成分と、メラニンに関する色成分を表す第二色成分と、前記第一色成分及び前記第二色成分を除く色成分に関する第三色成分とを含む肌表面の拡大画像を処理する肌画像処理装置であって、
前記第一色成分によって生成される第一色成分画像から、前記第一色成分を所定量以上含む画素が所定の長さ以上連続する血管パターンを抽出する血管パターン抽出部と、
前記拡大画像のうち予め設定されている値より黒色に近い画素が連続する範囲を、前記血管パターン抽出部において除外すべき画素が連続するマスクパターンとして生成するマスクパターン生成部と、
前記マスクパターンをマスクにして前記拡大画像または前記第一色成分によって生成される血管抽出画像からノイズを除くノイズ除去を実行するノイズ除去部と、
を備える肌画像処理装置。 - ヘモグロビンに関する色成分を表す第一色成分と、メラニンに関する色成分を表す第二色成分と、前記第一色成分及び前記第二色成分を除く色成分に関する第三色成分とを含む肌表面の拡大画像を処理する肌画像処理装置であって、
前記第一色成分によって生成される第一色成分画像から、前記第一色成分を所定量以上含む画素が所定の長さ以上連続する血管パターンを抽出する血管パターン抽出部と、
前記第三色成分を含む画素が連続する範囲を、前記血管パターン抽出部において除外すべき画素が連続するマスクパターンとして生成するマスクパターン生成部と、
前記マスクパターンをマスクにして前記拡大画像または前記第一色成分によって生成される血管抽出画像からノイズを除くノイズ除去を実行するノイズ除去部と、
を備える肌画像処理装置。 - ヘモグロビンに関する色成分を表す第一色成分と、メラニンに関する色成分を表す第二色成分と、前記第一色成分及び前記第二色成分を除く色成分に関する第三色成分とを含む肌表面の拡大画像を処理する血管像解析装置であって、
前記第一色成分によって生成される第一色成分画像から、前記第一色成分を所定量以上含む画素が所定の長さ以上連続する血管パターンを抽出する血管パターン抽出部と、
前記拡大画像のうち予め設定されている値より黒色に近い画素が連続する範囲を、前記血管パターン抽出部において除外すべき画素が連続するマスクパターンとして生成するマスクパターン生成部と、
前記マスクパターンをマスクにして前記拡大画像または前記第一色成分によって生成される血管抽出画像からノイズを除くノイズ除去を実行するノイズ除去部と、
前記血管パターン抽出部により抽出された血管パターンを解析する血管解析部と、
を備える血管像解析装置。 - ヘモグロビンに関する色成分を表す第一色成分と、メラニンに関する色成分を表す第二色成分と、前記第一色成分及び前記第二色成分を除く色成分に関する第三色成分とを含む肌表面の拡大画像を処理する血管像解析装置であって、
前記第一色成分によって生成される第一色成分画像から、前記第一色成分を所定量以上含む画素が所定の長さ以上連続する血管パターンを抽出する血管パターン抽出部と、
前記第三色成分を含む画素が連続する範囲を、前記血管パターン抽出部において除外すべき画素が連続するマスクパターンとして生成するマスクパターン生成部と、
前記マスクパターンをマスクにして前記拡大画像または前記第一色成分によって生成される血管抽出画像からノイズを除くノイズ除去を実行するノイズ除去部と、
前記血管パターン抽出部により抽出された血管パターンを解析する血管解析部と、
を備える血管像解析装置。
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