JP2016152704A - リチウムイオン電池の充放電制御装置および制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この図20の曲線において、特に、SoCが40%前後の一部電位域(R1)はフラットとなるため、電荷残量の電位依存性が小さい。またLIBは、製造直後から繰り返される電荷蓄積ならびに充放電のストレスを受け、容量低下、内部抵抗増加、あるいは漏洩電流増加などの劣化に伴ないQsoc−VB曲線が変化する。よって、電池電位から電荷残量の推定には支障となり従来の電圧制御方法による充放電管理を難しくしている。
このような多数回にわたる充電時にセットする満充電(以下SoC100%と称する。)電位は、その後の充放電サイクル劣化により変化し、電位起点は一定せず変化する問題がある。また、蓄電性の経時劣化、回路制御性や熱環境各要因から高充電状態のLIBは、過充電リスクがある。同様に、LIBを保存する場合も充電電位は高SoC(満充電を含む高充電状態)より低SoCの方が望ましいが、2.4Vまで下げすぎると過放電リスクが生じる。この場合、保存電位は経験的には3V前後と言われる。
従来の第1の例における充放電制御特性図を図21に示し、図21(a)は外部負荷変化に対する電池電位VBの特性を、図21(b)は外部負荷変化に対する残量電荷SoCの特性を示す。図21は毎回、満充電を含む十分な電荷量を充電し、放電開始時は常に高い電位状態に設定される。この場合、重負荷や長時間使用によって過放電にならないように放電深度(放電深さ量とも言う)DoD(Depth Of Discharge)管理が求められる。放電深度DoDは放電量の度合いを言い、この放電量は放電時間と放電電流から算出される。
従来の第2の例は、LIBの電荷量を制御量とする充放電制御の例(特許文献1、2を参照)がある。図22は、サイクル中に取得した充電終期電位Vecおよび放電終期電位Vedの両電位と、所定の上限電位Vhighならびに下限電位Vlowの各設定電位をプロットしたSoC−VB特性図である。
従来の第3の充放電制御の例は、充放電サイクル劣化の点から有利とされる低SoC(0.5以下)での充電制御を行っている。
第1の従来例は予期しない重負荷に応えるように、毎サイクル時の放電開始電圧を満充電を含む高充電電位に充電にする。ここで、電池電位VBを4.2Vから4.1Vに少し下げたとしても、高充電状態を維持する限り、劣化の進行及び過充電リスクを伴う。
また放電深度DoDが浅い場合、各サイクル毎に満充電電位から外部放電を始めるので、結果的に平均電荷残量は高い状態のままである。
a)満充電から放電開始する場合、図21の放電電流特性は、充放電サイクルの平均電荷残量値が高いため電池劣化には不利な条件にある。
b)累積電荷量は劣化と密接な関係があり、充放電サイクル期間中の平均電荷残量を高い状態にしておくことは、電荷蓄積による劣化を進行させる。
c)無負荷もしくは使用頻度の低い条件のLIBを長時間、満充電状態に放置しておくことは、周辺制御回路や熱環境の異変が電池の発煙発火・爆発現象を誘発する過充電リスクを負う。充放電サイクル期間中では、過充電リスクの高い満充電管理をより厳密に行なう必要がある。
(a)低SoCで電池を使用すると内部抵抗が大きいので、自己発熱に因る温度上昇を伴う。この温度上昇は熱的劣化の遠因となる。
(b)常に電池電位が低電圧領域を推移することになるので、明らかに制御範囲は狭く、制御幅の余裕が少ない。実際に不意の重負荷の場合には過放電を起こす可能がある。
(c)低SoC制御による電池の空き容量があると、消費電力対重量比の点から費用効率は高くない。
Q=K1×Q1+K2×Q2
但し、係数K1とK2は負荷状態によって異なる値とする。
Q=K1×Q1+K2×Q2
但し、係数K1とK2は負荷状態によって異なる値とする。
また従来方法と異なるサイクル平均電荷量による電荷量制御を行うことで、常にLIBの平均電位を中電位にすることができ、過充電ならびに過放電リスクから回避できる効果がある。また、放電負荷の変動に追従するように、サイクル平均電荷量を自動的に制御させることで、蓄電量の過剰分を徹底排除し、高充電化に伴なう蓄積劣化が緩和できる効果がある。
充放電サイクル時の平均電荷量は、電位換算で中位に設定したので、発熱を伴って急激に電池容器が膨張したり、これに続く安全弁が開放したりして、充電量100%を超えるか、0%を下回るような充放電状態の電池に対する過充電および過放電リスクを避けることができる効果がある。
以下、この発明の実施の形態1に係るリチウムイオン電池の充放電制御装置および制御方法について図1から図11に基づいて説明する。 図1はこの発明のリチウムイオン電
池(以下、LIB)の充放電制御装置の概要図、図2はLIBの充放電制御装置の機能ブロック図、図3はLIBの充放電制御装置の中の放電電流入力部の具体的構成図、図5はLIBの充放電制御装置の中の充電電流出力部の具体的構成図である。
LIB充放電制御装置100は、制御部20と充放電処理部30で構成され、制御部20から充放電処理部30に対しては充電時刻信号TCsw、放電時刻信号TDswおよび充電電流信号SIcなどの制御信号が入力され、充放電処理部30から制御部20に対しては電池電位信号SVB、放電電流信号SIDなどの制御信号が入力されるようになっている。これら制御信号については図2で詳しく説明する。
放電電流入力部21は、充放電処理部30から出力される放電電流IDである放電電流信号SID(符号の先頭にSが付く場合は、その信号を指す場合がある。以下同様)並びにLIB200の電池電位VBである電池電位信号SVBを入力し、放電電荷量Q1である第1の積算放電電荷信号SQ1と放電電荷量Q2である第2の積算放電電荷信号SQ2および負荷状態判別信号Sselを出力する。この第1の積算放電電荷信号SQ1、第2の積算放電電荷信号SQ2および負荷状態判別信号Sselについては図3で詳しく説明する。
タイマスケジューラ23は、充電期に充放電処理部30に対して時間制御信号である充電時刻信号TCswを出力し、放電期に充放電処理部30に対して時間制御信号である放電時刻信号TDswを出力する。また、放電電流入力部21および充電電流出力部22に対して時刻開始信号Ttrgを出力する。
タイマスケジューラ23が発信する充電時刻信号TCswにより充電スイッチ(SW1)31が閉となり、LIB200は外部電源300から電流供給を受ける充電経路が形成され、タイマスケジューラ23の指令のもとで充電シーケンスが作動する。このとき、電流レギュレータ(A1)32は、充電電流出力部22が出力する充電電流信号SIcを受けて、充電電流Icrgが一定値の電流供給制御を行う。この充電の間、放電スイッチ(SW2)33はスイッチオフの状態のままである。
放電電位弁別部21Aは、コンパレータ211と第1積分器212aと第2積分器212bで構成され、LIB200の放電時における電池電位VBである電池電位信号SVBと、放電電流メータ(A2)34が計測した放電電流IDである放電電流信号SIDおよび平衡電位発生部21Dが出力した所定の平衡電位Vmである平衡電位信号SVmを入力している。
平衡電位発生部21Dは、所定の平衡電位Vmを出力する電源218を有し、平衡電位Vmの平衡電位信号SVmは放電電位弁別部21Aと放電状態判定部21Bに出力される。ここで所定の平衡電位Vmとは、充放電サイクルの中間電位であって、定常負荷の場合はこの中間電位を中心に平衡するので平衡電位と呼ぶ。例えばサイクル平均電荷量について、初期のあるいは充放電期間中に測定したQsoc−VB曲線から求めた平均電荷量の電位値とする。
コンパレータ211が生成する放電前期信号TRG1および放電後期信号TRG2は、スケジューラ23からの放電時刻信号TDswと同期した時刻開始信号Ttrgを受けて出力し、放電後期信号TRG2は、電池電位信号SVBが所定の平衡電位信号SVmと一致(VB=Vm)した時点で出力する。
放電が前期か後期かの判断は、平衡電位信号SVmの電位Vmと電池電位信号SVBの電位VBの電位差(VB−Vm=ΔVBm)の極性から、電位差ΔVBmが正の場合(VB>Vm)は放電前期信号TRG1がオンとなって前期と判断する。一方、電位差ΔVBmが負の場合(VB<Vm)は放電後期信号TRG2がオンとなって後期と判断する。
3つの信号ホルダーのうち、信号ホルダー213aは、放電期の電池電位信号SVBを入力してLIB200の放電開始直前に放電初期の充電終電位Vecとして充電終電位信号SVecを一時的に記憶する充電終電位ホルダーであり、同様に信号ホルダー213bは、放電終了直後に電池電位信号SVBを入力してLIB200の放電終了時の放電終電位Vedとして放電終電位信号SVedを一時記憶する放電終電位ホルダーである。信号ホルダー213cは、平衡電位発生部21Dが出力した所定の平衡電位Vmである平衡電位信号SVmを一時記憶する平衡電位ホルダーである。3つの信号ホルダー213a、213b、213cによる記憶は、タイマスケジューラ23からの時刻開始信号Ttrgに従ってそれぞれ一時記憶する。
入力し、以下の条件式(1)に基づいて、放電時の負荷状態が(a)定常負荷、(b)軽負荷、(c)重負荷のいずれであるかの判定を行い、判定結果として負荷量判別信号Sselを出力する。本処理は、放電終了後の準備期間において3信号が出そろったところで行う。
(a)定常負荷:Ved<Vm,Vec>Vm
(b)軽負荷 :Ved>Vm,Vec>Vm ・・・(1)
(c)重負荷 :Ved<Vm,Vec<Vm
こうして放電状態判定器217は、放電負荷状態を電池電位信号SVBと平衡電位信号SVmとの比較処理により、定常負荷、軽負荷、ならびに重負荷の3パターンに状態判別した負荷量判別信号Sselを出力する。
充電電流出力部22は、放電電流入力部21からの第1の積算放電電荷信号SQ1、第2の積算放電電荷信号SQ2および負荷量判別信号Sselを受けて、次サイクル時における充電電流信号SIcを出力する。
Qc(i+1)=K1×Q1(i)+ K2×Q2(i)・・・・(2)
ここでK1、K2は負荷量判別信号Sselによる負荷状態(定常負荷、軽負荷、重負荷)に応じた係数値で、このK1、K2は負荷状態に応じて異なる値を選択する。
そして、充電電流出力算出部224は、この充電電荷量Qcである充電電荷信号SQcと所定の充電時間Twから次サイクル時における充電電流信号SIcを決める。
図6はLIB充放電制御装置100の充放電制御動作のタイムダイヤグラム(模式図)であり、図7はLIB充放電制御装置100の放電期間における制御動作のタイムダイヤグラムである。
一般にLIB200は、外部電源300および外部負荷400を接続すれば、繰り返し充放電回数に比例して、また蓄電状態であれば無負荷でも不可逆的な容量低下が進む。このように、充放電回数n並びに、製造直後からの電荷蓄積量Qに依存してLIB200が
蓄積できる電荷容量Ccellは確実に低下していく。
更に、充放電サイクルの平均電荷残量が高い状態では、サイクル性ならびに蓄電性に起因する電池劣化が同時に進むものと考えられることから、負荷変動下での電池に与えるストレスを最小化するように充放電制御を行うことで、余剰容量を削減し軽量効果も期待するところである。
第1工程の充電期において、制御部20のタイマスケジューラ23は、充電時刻信号TCswによる充電信号を送出し、充放電処理部30の充電スイッチ(SW1)31をオンして、外部電源300からLIB200に充電を開始する。このとき電流レギュレータ(A1)32は、制御部20の充電電流出力部22が出力する充電電流信号SIcを受けて、図6に示す充電電流Icrgが一定値の電流供給制御を行い、外部電源300からLIB200に供給する電流が制御されながら充電をしていき、電池電位VBも上昇していく。
所定の時間経過後もしくは充電条件を満たせば、充電時刻信号Tcswは充電スイッチ(SW1)31をオフし、充電を終了する。
また、電池電位VBと平衡電位Vmの電位比較で、VB<Vmならば放電後期信号TRG2がオンとなって、第2積分器212bは第2(後期)積分期間で電流積分した第2の積算放電電荷信号SQ2を出力する。そしてこの第1の積算放電電荷信号SQ1および第2の積算放電電荷信号SQ2を用いて不平衡分を調整量として抽出する。
この積分動作の様子は、図6の第1の積算放電電荷信号SQ1、第2の積算放電電荷信号SQ2の直線的に上昇するランプ関数で模擬的に示している。
次に、第1工程の充電期間と第2工程の放電期間に続く、第3工程の充放電準備期間では、LIB制御回路100はスケジューラ23に従って、次ステップの充電動作に入る為の事前処理を行う。この処理フローを図8に基づいて説明する。
充電電荷量Qcの算出処理において、充電量は、3種類の放電負荷モードである(a)定常負荷、(b)軽負荷、(c)重負荷に依存する。
そして、負荷状態に応じて式(2)の係数K1、K2の値を変えるようにしたものである。
この係数K1、K2は一例として次に挙げる値を採用する。
(a)定常負荷 K1=0.75、K2=1.25
(b)軽負荷 K1=0.5、 K2=0.5
(c)重負荷 K1=1.0、 K2=1.0
式(2)による演算は、図5の定常負荷量算出部221A、軽負荷量算出部221B、重負荷量算出部221Cの何れか1つが負荷状態によって選択されて行う。
このように加重係数K1、K2とすることで、特に、重負荷では重み係数1に依り充電量を増加させ、軽負荷では充電補給量を50%削減により平衡電位Vmに緩やかに収束させるなど配慮を行ってより安定な充電電荷量制御ができる効果がある。
このようにサイクル平均電荷量Qmに相当する設定電位(平衡電位Vm)を一定に保つ限り、充放電サイクル下の充放電平均電荷量は安定化する。
次にこの発明の実施の形態2に係るリチウムイオン電池の充放電制御装置および制御方法を図12から図14および図8Bに基づいて説明する。
図12は実施の形態2によるLIBの充放電制御装置の制御部に使用される放電電流入力部21の具体的構成図である。その他の構成は実施の形態1と同じに付き、構成図およびその説明を省略する。
図12において、放電電流入力部21は、放電電位弁別部21Aと放電状態判定部21Bと平衡電位生成部21Cで構成される。ここで、放電電位弁別部21Aと放電状態判定部21Bは実施の形態1の図3と同じであるが、実施の形態2では実施の形態1の平衡電位発生部21Dの代わりに平衡電位生成部21Cが設けられている。平衡電位生成部21Cは、電荷量加算器214、放電深度−平衡電位変換器(DoD−Vm変換器)215で構成されている。
平衡電位生成部21Cの電荷量加算器214は、放電電位弁別部21Aの出力である第1の積算放電電荷信号SQ1と第2積算放電電荷信号SQ2を入力し、それらを単純加算して放電深度DoDに相当する放電電荷信号SQDODを出力する。DoD−Vm変換器215は、放電電荷信号SQDODを入力して平衡電位Vmを算出する。この算出は以下に詳しく説明する。
実施の形態2では、サイクル放電時に求めた放電深度DoD(放電深さ量)とサイクル平均電荷量Qmの2つの物理量において、放電時の放電深度50%が次サイクル時のサイクル平均電荷量となるように電荷補充する方法・手段を提供する。
このようなサイクル充放電におけるLIB200の電荷残量の時間平均値が、それぞれ放電サイクル時の放電深度DoDの50%となる電荷量制御する手段では、充放電サイクル下の電池劣化が抑制できるように、LIB200の電荷残量の平均値を設定制御するものである。
実施の形態2における電荷量制御に係るアルゴリズムを以下に説明する。
充放電サイクル中に進む容量低下は、繰り返しサイクルと充電電荷量から決まる総電荷量(Qcell×F100%)に関係がある。容量劣化に関する簡易モデル式(3)は、式中第1項はサイクル数に依存する劣化要因、第2項は蓄電電荷量に依存する劣化要因である。
∝α1×n×Qcell×DoD+α2×Qm×Tlimit
∝α1×Tlimit/Td×Qcell×DoD+α2×Qm×Tlimit ・・・(3)
n : サイクル数
Qcell : 電池容量[AH]
F100% : 充放電サイクル寿命(DoD100%)[回]
Tlimit : 限界サイクル数[Hrs]
Td : 充放電周期[Hrs]
DoD : 放電深度[%] Qm: 平均電荷残量[AH]
α1 : サイクル限界係数 α2: 保存寿命係数
式(3)の限度サイクル数Tlimitは電池の使用寿命に寄与する効果係数FOM
(Figure−Of−Merit)に置き換えて、次式(4)が導かれる。
実施の形態2による制御手段は、放電量と同量分を充電させる際に、蓄電容量の上限値(QSOC_max)と下限値(QSOC_min)の制約に配慮して、サイクル平均電荷量QmがQDOD/2と同量となるように充電制御する。
図13は制御バイアス電位各量の相対電位を示すSoC−VB特性図であり、蓄電容量の上限値(QSOC_max)は図13の上限リミット値VULに相当し、下限値(QSOC_min)は図13の下限リミット値VLLに相当する。
Qm=QDOD/2+QSOC_min ・・・・・・・(5)
となるように維持する。
これより放電深度QDODから求めた制御すべきサイクル平均電荷量Qmは一意的に平衡電位Vmを決めることができ、平衡電位Vmを出力する。
図8Bの右側処理フローは、放電期を前期と後期に分けるための設定電位である平衡電位Vmを求めるもので、放電電圧開始から予め設定した平衡電位Vmまでの第1の放電電荷量Q1と、続く平衡電位Vmから放電終止電圧までの第2の放電電荷量Q2の2つの計測量を加算し、その加算した放電電荷量QDODから式(5)に従って次サイクル期のサイクル平均電荷量Qmを算出し、このサイクル平均電荷量Qmから平衡電位Vmを算出する。
即ち、平衡電位生成部21Cは、定常負荷での充電および放電の両動作が残量電荷上限と下限の範囲で繰り返され、放電深度DoDに応じて電池電位VBならびに電池残量電荷量QSOCが時間的に変動する充放電サイクル過程で、平衡電位Vmは、充放電サイクル放電期に計測した放電深度50%(QDOD/2)と残量電荷下限の量QSOC_minの和から決定する。
式(5)を式(4)に代入して、FOM値は次式(6)となる。
よって軽負荷の場合、LIB充放電制御装置100は、サイクル平均電荷量Qm値が低い状態に保つように、Qsoc−VB曲線を参照してその平衡電位Vmをなるべく低電位に設定する。
図14は、外部負荷量に依存する放電深度DoDに対応して最適な平衡電位Vm(平衡電荷量Qmに相当)にシフトしている様子を模式的に示す例である。
ここで、充放電サイクルでのサイクル平均電荷量Qmと放電深度DoDに関するQsoc−VB曲線参照手段として、テーブルを利用した離散的な数値配列を用いてもよい。
このように充放電サイクル時のサイクル平均電荷量について、放電負荷量の変動に追従させて制御するので、蓄電量の過剰分を徹底排除し、高充電化に伴う蓄積劣化が緩和できることとなり、充放電サイクルの蓄積電荷量に起因する容量劣化の軽減により電池ストレスが大幅に緩和する効果がある。
次に、この発明の実施の形態3に係るリチウムイオン電池の充放電制御装置および制御方法について図15から図19に基づいて説明する。
図15は実施の形態3によるLIBの充放電制御装置の制御部に使用される放電電流入力部21の具体的構成図である。その他の構成は実施の形態1と同じに付き、構成図およびその説明を省略する。
図15において、放電電流入力部21は、放電電位弁別部21Aと放電状態判定部21Bと平衡電位生成部21Cで構成される。ここで、放電電位弁別部21Aと放電状態判定部21Bは実施の形態1の図3と同じであるが、実施の形態3では実施の形態1の平衡電位発生部21Dの代わりに平衡電位生成部21Cが設けられている。平衡電位生成部21Cは、電荷量加算器214、放電深度−平衡電位変換器(DoD−Vm変換器)215、および変換係数参照器216で構成される。
放電負荷量が一定の定常状態ならば、充放電を繰り返すLIB200の電荷残量QSOCの経過時間特性は、サイクル平均電荷量Qmを中心に安定する。この充放電の安定状態は、放電電流IDならびに電池電圧VBから確認できる。ここに、図20のQSOC‐VB曲線を参照してサイクル平均電荷量Qmから平衡電位Vmを取得することができる。
一般にQSOC‐VB曲線における残量電荷量QSOCの電位VBに対する関数は、図20に代表するように高次関数で表現される。本案では変換処理に粗な関数近似によるテーブル参照方式を採用する。
一例として、例えば、放電電荷量がQDOD10%の場合、図16の表を参照して、平衡電位Vmは3.721Vが出力される。ここで、10%〜20%間のQDOD値の場合は、直線内挿に依り決定するか、粗近似で良い場合には20%値が採用できる。
図17にSoC(min)に対する放電深度DoDとサイクル平均電荷量Qmの関係を示す。図17は、両変数の関係は、SoC(min)の値0%〜20%により異なることを示す。
図16の表は、放電深度QDODが10%から100%が放電量の範囲として管理される。ここでは、各放電深度QDODに対応して平均電荷残量Qmは、安定負荷ならばQDOD10%の時はQm10%、QDOD100%の時はQm55%となるよう、上限量と下限量が決められて充放電制御が行われる。
また、この平均電荷残量Qmに対応する平衡電位Vmが一意的に決まるのは自明である。定常負荷の場合は、この平衡電位Vmを中心に平衡するので平衡電位Vmと呼んでいる。
サイクル平均電荷量Qmの追従特性は実施の形態2で説明した図14と同様である。図14は、定常負荷の範囲で、負荷量が段階的に変化する様子を示す。図14より放電深度DoD値とサイクル平均電荷量Qm値とは比例関係にある。平衡電位Vmは平均電荷残量Qmに一意的に対応するので、負荷量に応じて段階的に変化する。
実際に、ランダムな負荷変動に対応して、平衡電位Vm値は毎サイクル時に追従させるのは必ずしも好ましくない場合がある。このため、低周波フィルターを挿入することで、放電深度DoDの変化に対する応答追従時間を遅くすることも可能である。
図18は、定常負荷時を時間拡大した2サイクル分の充放電サイクル図を示す。図18は、2サイクルとも充電終電位Vecおよび放電終電位Vedが同じ値なので、平衡電位Vmの追従制御動作はしない。
また、充放電サイクル時のサイクル平均電荷量は放電負荷量の変動に適応させて制御するので、高充電状態の期間が減ることとなり、充放電サイクルの蓄積電荷量に起因する容量劣化の軽減により電池ストレスが大幅に緩和する効果がある。
次にこの発明の実施の形態4に係るリチウムイオン電池の充放電制御装置および制御方法について図19に基づいて説明する。
実施の形態4の発明は、外部負荷400が不明な場合および保存状態から充電する場合、初回に限りLIB200を高充電あるいは満充電に充電制御するようにしたものである。
即ち、LIB200が保管モードあるいは低電力の待機状態にある場合で、LIB200を外部負荷400に接続した初回放電に限り、その放電開始前にLIB200を満充電あるいは高充電状態にするようにしたものである。
このように実施の形態4の発明では、外部負荷400が不明な場合およびLIB200の保存状態から充電する場合、待機もしくは保存状態から定常負荷状態に遷移するまでの、その遷移時の1回に限り、LIB制御装置100はLIB200を満充電あるいは高充電に充電制御する。
定常動作では、この発明の制御方法に依れば上述したように安定した動的な遷移応答ができるが、たとえば初期立ち上げ時の外部負荷400が不明の場合、あるいは保存時からの立ち上げるなどの場合には、初回の充電時のみ一旦高充電にすることで過放電トラブルを避ける効果がある。
21B:放電状態判定部、 21C:平衡電位生成部、 21D:平衡電位発生部、 22:充電電流出力部、 23:タイマスケジューラ、 30:充放電処理部、
31:充電スイッチ(SW1)、 32:充電電流レギュレータ(A1)、
33:放電スイッチ(SW2)、 34:放電電流メータ(A2)、
100:LIB充放電制御装置、 200:リチウムイオン電池(LIB)、
300:外部電源、 400:外部負荷、 Q1:第1(前期)積分放電電荷量
Q2:第2(後期)の積分放電電荷量、 Ssel:負荷量(放電状態)判別信号、
Vm:平衡電位、 Vec:充電終電位、 Ved:放電終電位
Claims (8)
- 放電電流入力部と充電電流出力部とタイマスケジューラからなる制御部と、この制御部からの制御信号により、外部電源からの供給電流を受けてリチウムイオン電池を充電する充電回路と前記リチウムイオン電池からの放電電流を外部負荷に出力する放電回路とを形成する充放電処理部を備え、
前記放電電流入力部は、前記リチウムイオン電池の放電期を2区間に弁別するための所定の平衡電位に基づいて前期に計測した第1の放電電荷量Q1と後期に計測した第2の放電電荷量Q2を算出する放電電位弁別部と、放電時の負荷状態を判別する放電状態判定部を有し、前記充電電流出力部は、前記放電電流入力部からの前記第1の放電電荷量Q1と前記第2の放電電荷量Q2と、前記放電状態判定部からの負荷状態から、次式に従って次サイクルの充電電荷量Qを演算することを特徴とするリチウムイオン電池の充放電制御装置。
Q=K1×Q1+K2×Q2
但し、係数K1とK2は負荷状態によって異なる値とする。 - 前記放電電流入力部は、前記リチウムイオン電池の放電期を2区間に弁別するための所定の平衡電位を発生するための平衡電位発生部を有し、前記平衡電位発生部からの平衡電位は、充放電サイクル初期のリチウムイオン電池の中間電位、あるいは充放電サイクル期間中に測定したQsoc−VB曲線から求めた平均電荷量の電位値とした請求項1に記載のリチウムイオン電池の充放電制御装置。
- 前記放電電流入力部は、前記リチウムイオン電池の放電期を2区間に弁別するための所定の平衡電位を発生するための平衡電位生成部を有し、前記平衡電位生成部は、定常負荷での充電および放電の両動作が残量電荷上限と下限の範囲で繰り返され、放電深度に応じて電池電位ならびに電池残量電荷量が時間的に変動する充放電サイクル過程で、前記平衡電位は、充放電サイクル放電期に計測した放電深度50%と前記残量電荷下限の量の和から決定することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池の充放電制御装置。
- 前記放電電流入力部は、前記リチウムイオン電池の放電期を2区間に弁別するための所定の平衡電位を発生するための平衡電位生成部を有し、前記平衡電位生成部は、充放電サイクル放電期に計測した放電深度を用いて次サイクル期の平均電荷量を算出し、この平均電荷量から前記リチウムイオン電池の残量電荷量に対する電池電位特性から平衡電位を一意的に決定する放電深度−平衡電位テーブルを備え、この放電深度―平衡電位テーブルにより前記平衡電位を生成したことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池の充放電制御装置。
- 前記放電状態判定部は、負荷状態を定常負荷と軽負荷と重負荷の3つに判別し、前記負荷状態によって前記係数K1とK2は、下記の値にしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の充放電制御装置。
(a)定常負荷 K1=0.75、K2=1.25
(b)軽負荷 K1=0.5、 K2=0.5
(c)重負荷 K1=1.0、 K2=1.0 - 前記リチウムイオン電池の充放電制御装置は、リチウムイオン電池が待機もしくは保存状態から定常負荷状態に遷移する場合に、その遷移時の1回に限り、前記リチウムイオン電池を満充電あるいは高充電にするようにした請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の充放電制御装置。
- 前記リチウムイオン電池の充放電制御装置は、低負荷状態から高負荷状態への遷移が予
想される場合に、その遷移時の1回に限り、前記リチウムイオン電池を満充電あるいは高充電にするようにした請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の充放電制御装置。 - 外部電源からの供給電流を受けてリチウムイオン電池を充電する充電回路と前記リチウムイオン電池からの放電電流を外部負荷に出力する放電回路とを切替制御すると共に、前記リチウムイオン電池の放電量に応じた充電を行うよう制御するリチウムイオン電池の充放電制御方法において、
前記リチウムイオン電池の放電期間を所定の平衡電位に基づいて2区間に弁別して、前期に計測した第1の放電電荷量Q1と後期に計測した第2の放電電荷量Q2を算出すると共に、放電時の負荷状態を判別し、前記第1の放電電荷量Q1と前記第2の放電電荷量Q2と前記放電時の負荷状態から、次式に従って次サイクルの充電電荷量Qを演算することを特徴とするリチウムイオン電池の充放電制御方法。
Q=K1×Q1+K2×Q2
但し、係数K1とK2は負荷状態によって異なる値とする。
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