JP2016150348A - 金型の製造方法および再生加工方法 - Google Patents

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Michio Sugiura
道雄 杉浦
彰紀 杉浦
Akinori Sugiura
彰紀 杉浦
俊樹 瀧口
Toshiki Takiguchi
俊樹 瀧口
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Abstract

【課題】 金型そのものの寿命を延ばすことではなく、均一な製品加工のための金型を効率的に作製するための製造方法、および摩耗した金型を再生させるための方法を提供する。
【解決手段】 金型の製造方法は、ホビング加工に使用するホブを有する一次金型を放電加工により作製する一次金型作製工程A1と、一次金型を使用してホビング加工により二次金型を作製する二次金型作製工程A2と、二次金型を放電加工によって仕上げ加工を行う仕上げ工程A3とを含む。金型の再生加工方法は、摩耗した金型をホビング加工後の二次金型とみなして、放電加工により仕上げ工程A3を行うものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鍛造加工に使用される金型の製造方法と、鍛造加工により摩耗した金型の再生加工の方法に関するものである。
鍛造加工は、一般的に熱間または温間において行われることから、高温に加熱されたワークに接触することから、熱軟化またはヒートラックの発生原因となり、また、ワークに対する衝撃が繰り返されることから、摩耗の頻度が高いものとされている。そこで、鍛造加工に使用される金型について、耐熱性および/または耐摩耗性を向上させることによって寿命を改善する技術が開発されている。
これらの技術は、製造された金型から軟化層を除去し、または軟化層を加工硬化層に変質させるもの(特許文献1参照)、金型に対し、耐熱耐摩耗を有する合金粉末を肉盛溶接するもの(特許文献2参照)、さらに、ホビング加工により鍛造金型を製造する際に、鍛造金型材料のうちホビングを受ける面に耐熱性金属のシートを溶接によって貼り付け、一体化した金型材料として加工するもの(特許文献3参照)があった。
特開平8−300066号公報 特開平9−285837号公報 特開2002−35883号公報
一般に、鍛造用の金型は、耐熱性および耐摩耗性が要求されることから、冷間ダイス鋼、熱間ダイス鋼または高速度鋼などが使用されるが、これらの材料を使用しても寿命が短いことから、熱処理を行い、または化学的な表面処理により、材料そのものの強化(長寿命化)する工夫がなされていた。しかし、通常の処理方法による場合では、鍛造用の金型の寿命を長期化させることは難しく、その結果として、前傾の特許文献のような製造方法が提案されるに至っている。
ところで、特許文献1に開示される技術は、ホビング加工後(正確には、その後の熱処理後)の金型に存在する軟化層を放電加工等によって除去するか、または、硬球を使用するショットピーニングによって加工硬化を生じさせ、深い層に至る硬化層を形成するというものである。また、ショットブラストによる加工硬化に比較してショットピーニングが優れていることを示している。その実験結果によれば、ショットブラスト加工との比較として、ショットピーニングおよび放電加工による場合の寿命が約3倍に延びていることが確認できる。
しかしながら、寿命が約3倍に延びたとしても、同じ金型を3個使用するとことが1個の金型で処理できることを示すものであり、金型3個分の加工を行った後は、当該金型を廃棄せざるを得ない。従って、ショットピーニングおよび放電加工等の手間を掛けた場合と、そのような処理を行わない場合とで、その加工コストが大きく異なるものではないという懸念が残っていた。
また、特許文献2に開示される技術は、耐熱耐摩耗合金を肉盛溶接するものであるが、この場合においても、比較例との平均寿命差は、2倍を超えることがなく、やはり上記特許文献1と同様の懸念が残っていた。さらに、特許文献3に開示される技術は、ベベルギアの加工という特殊形状に使用する金型としては効果的であるとしても、やはり寿命の差は2倍を超えることはなく、これまた同様の懸念を残すものとなっていた。
さらに、上記各文献には再生方法については開示されておらず。また、前記の各従来技術は、金型の耐熱性および耐摩耗性を向上させるために、硬質材料を使用し、または加工硬化させるものであるため、その後の加工が困難であり、寿命により摩耗した金型を加工して再生することは容易でなかった。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、金型そのものの寿命を延ばすことではなく、均一な製品加工のための金型を効率的に作製するための製造方法、および摩耗した金型を再生させるための方法を提供することである。
そこで、金型の製造方法に係る本発明は、鍛造加工に使用する金型の製造方法であって、ホビング加工に使用するホブを有する一次金型を放電加工により作製する一次金型作製工程と、前記一次金型を使用してホビング加工により二次金型を作製する二次金型作製工程と、前記二次金型を放電加工によって仕上げ加工を行う仕上げ工程とを含むことを特徴とするものである。
上記構成の製造方法によれば、一次金型は放電加工によって作製されることから、精度良く作製することができる。この一次金型を使用してホビング加工することにより二次金型は、金型材料におけるメタルフローの切断が解消でき、また、金属組織の微細化を可能にするため、強度面および耐性面において、金型としての適度な耐久性を有することとなる。さらに、この二次金型を放電加工により仕上げることにより、製造される金型の制度を向上させることができるのである。ところで、二次金型は、一次金型を使用するホビング加工によって作製されることから、一次金型によって複数の同じ条件の二次金型を作製することができる。また、二次金型の仕上げは放電加工によるため、複数の二次金型を同様の電極を使用する放電加工機によって加工することにより、ほぼ均等な金型を複数製造することができる。従って、単一の一次金型から複数の同種かつ略同一の金型が作製されるため、鍛造加工に供される金型が摩耗した際には、金型を交換することにより加工を継続することができるのである。つまり、金型の寿命を延ばすものではないが、略同一の複数の金型を順次交換することにより同一製品の加工を可能にするものである。
上記構成の発明においては、前記仕上げ工程が、NC制御された加工機による予備切削工程を含むものであってもよい。
このような場合には、放電加工の前工程として予備切削工程を行うことにより、放電加工によって加工すべき範囲を著しく少ないものとすることができる。また、予備切削工程がNC制御(数値制御)された加工による場合、大量に作製される二次金型に対して、同程度の切削加工を行うことができ、放電加工の前段階においても略均等な状態とすることができる。従って、時間を短縮しつつ金型の精度を維持することができる。
さらに、金型の製造方法に係る本発明は、鍛造加工に使用する金型の製造方法であって、ホビング加工に使用するホブを有するマスター型を放電加工により作製するマスター型作製工程と、前記マスター型を使用してホビング加工により中間型を作製する中間型作製工程と、前記中間型を放電加工によって仕上げられる基礎金型を作製する基礎金型作製工程と、前記基礎金型を使用して鍛造加工により一次金型を作製する一次金型作製工程と、前記一次金型を使用してホビング加工により二次金型を作製する二次金型作製工程と、前記二次金型を放電加工によって仕上げ加工を行う仕上げ工程とを含むことを特徴としている。
上記構成の製造方法によれば、一次金型は、マスター型から作製される中間型を経由して製造される基礎金型を使用して鍛造可能により作成されるものであり、基礎金型によって作製される複数の一次金型に基づいて、製品の製造のための金型を製造することができる。これにより、金型製造には、その基準となる複数の一次金型を使用することができることとなり、一次金型を用いてさらに多数の二次金型を作製することができ、仕上げ加工工程を経由した金型を大量に製造することができる。
なお、上記構成の発明においても、前記基礎金型作製工程および/または仕上げ工程には、放電加工の前にNC制御された加工機による切削工程を含むものとすることができる。
この場合においても、放電加工前に切削加工が行われることにより、放電加工によって加工すべき範囲を少なくすることができる。また、前記と同様に、切削工程がNC制御(数値制御)された加工によるため、中間型や二次金型を同じ程度に切削することができる。従って、これもまた、短時間による高精度な加工を可能とするものである。
また、上記各構成の発明について、前記一次金型作製工程または前記マスター型作製工程に使用される放電加工は、予め設計された三次元データに基づいて作製された電極が使用され、該電極を使用する放電加工機によって複数の一次金型またはマスター型を作製する工程であり、前記二次金型作製工程または前記中間型作製工程は、複数の前記一次金型またはマスター型を同時に使用して多数の二次金型または中間型を製造する工程であるものであってもよい。
この場合、一次金型またはマスター型の製造の全てが放電加工によるため、当該放電加工を行う際に使用される電極形状が同一であれば、同様の一次金型またはマスター型を複数作製することができる。すなわち、二次金型または中間型を作製するにあたり、ホビング加工によって一次金型またはマスター型が摩耗した場合であっても、一次金型またはマスター型が交換可能となるため、一次金型またはマスター型の摩耗の程度に応じて、これらの型を交換しつつ二次金型または中間型を作製することができるのである。また、交換用の一次金型またはマスター型を全て使用した場合でも、前記三次元データを使用すれば、再び同じ一次金型またはマスター型を作製することができるものである。
他方、金型の再生加工方法に係る本発明は、前記各構成の発明により製造された金型について、鍛造加工により摩耗した前記金型を再生する加工方法であって、 摩耗した金型をホビング加工後の二次金型とみなして、放電加工により前記仕上げ工程を行うことを特徴とするものである。
上記構成の再生加工方法によれば、当初に製造された金型は、基礎的部分(いわゆるブランク)がホビング加工によって作製されていることから、組織の微細化などにより、鍛造加工に耐え得る強度を備えており、摩耗した部分を削除したとしても鍛造加工用の金型として使用可能となる。また、摩耗した部分の加工は放電加工によるため、金型に必要な寸法精度を再現することも可能となる。なお、ここで、使用される放電加工機には、前記金型の製造方法に使用される加工用電極と同じものを用いることができ、型形状および型寸法を同じ状態で仕上げることができる。
上記構成の発明においては、前記仕上げ工程には、NC制御された加工機による予備切削工程を含むように構成してもよい。
これは、例えば、摩耗部分の肉厚が大きく、削除のための加工量が多い場合に、予め切削加工によって切削除去することにより、放電加工による仕上げ量を少なくすることができる。このときの切削加工機がNC制御されるものであるから、前記金型の製造方法における二次金型の加工と同様に取り扱うことができる。
金型の製造方法に係る本発明によれば、個々の金型の製品寿命を延ばすことはできないが、同じような寸法に仕上げられる複数の鍛造用金型を複数製造することができることから、これらの複数の金型を交換することにより、継続的に鍛造加工を行うことが可能となる。そして、これらの金型は、基準となる一次金型によって作製されるものであり、複数の同形の金型を効率よく製造することができるものである。
また、金型の再生加工方法に係る本発明によれば、前記金型の製造方法を利用しつつ、摩耗した金型の再生を可能にし、資源の有効利用を実現するものである。そして、再生された金型は、当初より前記金型の製造方法によって製造されたものであるから、金型材料そのものは、鍛造金型に供することができる程度の強度を備えるものであり、新規作製の金型に劣ることのない再生金型を得ることができる。
金型の製造方法に係る第1の実施形態を示す工程図である。 第1の実施形態による金型の製造過程を示す説明図である。 第1の実施形態による金型の製造過程を示す説明図である。 金型の製造方法に係る第1の実施形態の変形例を示す工程図である。 金型の製造方法に係る第2の実施形態を示す工程図である。 第2の実施形態による金型の製造過程を示す説明図である。 第2の実施形態による金型の製造過程を示す説明図である。 金型の再生加工方法に係る実施形態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、金型の製造方法に係る発明の第1の実施形態を示す工程図である。この図に示されるように、金型の製造工程は、一次金型作製工程A1、二次金型作製工程A2、仕上げ工程A3、および最終工程としての熱処理工程A4で構成される。
一次金型作製工程A1は、ホビング加工に使用するホブを有する一次金型を作製するものであり、放電加工によって製造される。放電加工は、周知のとおり、加工液中においてアーク放電を発生させ、電極形状に合わせてワーク表面の一部を溶融し、加工液の気化に伴う圧力によって溶融部分を除去することにより加工する方法である。従って、電極形状に応じて精密な加工が可能である。また、ホブ(Hob)とは、ホビング(Hobbing)加工に使用される雄部であり、ホビング加工とは、このホブを型材料(いわゆるブランク)に圧入することにより、型材料にキャビティ(雌部)を形成する加工法である。
従って、ホブを含む一次金型が精度良く製造されることにより、型材料に圧入されるキャビティの精度は安定し、その結果として、二次金型の精度も向上することとなる。ここで、ホビング加工は、通常、熱間または温間で圧入されるホットホビングであり、圧入により材料の表面形状が変形するが、圧入により移動した金属材料は、周辺の雄部へ移動することとなる。そのため、メタルフローは切断されることがなく、圧入時の圧縮力により組織が微細化するため、強度面において優れた成型法である。ただし、ホブの摩耗等により、寸法精度のバラツキが懸念されるものである。
そこで、本実施形態では、二次金型を製造した後、さらに仕上げ工程A3により、金型の精度を向上させている。なお、二次金型の作製においてホビング加工を使用することから、熱処理工程A4を行っている。これは、ホビング加工による内部ひずみを除去するための工程であり、専ら焼き鈍しによる熱処理が行われる。金型表面の硬化を目的とする熱処理を必要とする場合は焼き入れ処理を行ってもよい。この熱処理工程A4は、本実施形態では、仕上げ工程A3の後に行っているが、内部ひずみの除去のみを目的とする場合には、仕上げ工程A3の前に行ってもよく、ホビング加工による型材料の変形の程度によっては省略してもよい。
上記のような本実施形態による金型の製造方法によれば、一つの一次金型を使用して複数の同じ金型を製造することができる。この状態を図2および図3に示す。
図2および図3には、例えば、3個の型材料S1,S2,S3に対し、一次金型1を使用して、それぞれ3個の二次金型2a,2b,2cをホビング加工により作製している状態を示している。
これらの図に示されているように、一次金型1には、パンチングプレートと称する金型基部11に雄型のホブ12が突出するように設けられており(図2(a)参照)、これを、熱間または温間、すなわち適度な温度に加熱された型材料S1〜S3に順次圧入するのである。まず、一次金型1を第1の型材料S1に対して押圧し、ホブ12の雄型を型材料S1に圧入するのである(図2(b)参照)。そして、一次金型1を離型すれば、ホブ12によってキャビティ21が形成された二次金型2aを得ることができるのである(図2(c)参照)。これを第2の型材料S2および第3の型材料S3についても同様に施すことにより(図3(a)および(b)参照)、3個の二次金型2a,2b,2cがほぼ同じ条件で作製されるのである(図2(c)参照)。これを上述の仕上げ工程A3により仕上げ加工することにより、金型3個を製造することができるのである。
このように製造された複数の金型は、順次、鍛造用金型として鍛造加工に供されるのであるが、鍛造加工により一つの金型が摩耗した際には、他の金型に交換し、さらに鍛造加工を継続することができるのである。
ここで、図2に基づく前記説明では、例示として3個の金型の製造(二次金型2a〜2cの作製)を示したが、一次金型1(特にホブ12)がホビング加工に必要な寸法精度を有する限り、さらに多数の二次金型を作製することができる。また、一次金型1が、ホビング加工により摩耗し、所望の寸法精度を有しないものとなった場合には、同様の一次金型1を再度作製することとなる。このとき、一次金型1は、前述のように放電加工によって作製されるものであるから、同じ電極を使用すれば、同様の一次金型1を作製することは可能であり、しかも複数の一次金型を作製し得るものである。手順として、一次金型1が摩耗する度に一次金型1を再度加工してもよいが、予め複数の一次金型1を作製しておいてもよい。
次に、本実施形態の変形例について説明する。図4は、変形例の工程図を示すものである。この図に示しているように、変形例では、仕上げ工程A3が、予備切削工程A3−1と、放電加工工程A3−2とに分かれている。放電加工工程A3−2は、前述の仕上げ工程A3と同様であり、放電加工により精度を向上させるためのものであるが、予備切削工程A3−1は、放電加工前に二次金型の一部切削加工するものである。
具体的には、NC制御(数値制御)されたフライス盤等によって二次金型の表面を切削加工するものである。本来的には、前述のホビング加工によって、二次金型には、ホブによって好適寸法のキャビティが形成されるものであるが、ホビング加工の限界(型材料の変形限界)の問題、またはホブの摩耗等によって、所望寸法のキャビティを形成されることができない場合に、予備切削によって一部を切削加工するのである。この予備切削工程A3−1により、放電加工による加工範囲が限定的となり、加工時間を短縮することができるのである。
なお、NC制御された加工機は、周知のとおり、三次元方向への数値制御が可能であり、予め組み込まれた加工手順に従って切削工具を移動させ、所望形状に切削することができるものである。従って、放電加工前に予備切削を行う場合であっても、放電加工によって加工すべき肉代を残した状態とすることができ、加工表面の円滑化および加工精度の観点から、仕上げのために放電加工を行うようにしている。
次に、金型の製造方法に係る本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本実施形態の工程図を示すものである。この図に示されるように、マスター型作製工程B1、中間型作製工程B2、基礎金型作製工程B3を経由して、この基礎金型から一次金型を作製する工程B5に移行するものである。一次金型作製工程B5によって一次金型が作製された後の工程は第1の実施形態と同様である。
ここで、マスター型、中間型および基礎金型について説明する。なお、作製方法は異なるものの作製された一次金型は第1の実施形態と同じものである。図6および図7は、マスター型、中間型および基礎金型の製造方法を示している。図6(a)に示すように、マスター型3は、パンチングプレート31に、ホビング加工に使用されるホブ32を有するものであり、放電加工によって作製されるものである。このマスター型3は、一次金型1(図2(a)参照)の原型となるものである。
そして、図6(b)〜(d)に示すように、ホブ32を金型材料Tに圧入することにより、キャビティ41を有する中間型4を作製するのである。この中間型4について、さらに放電加工を行うことにより、一次金型1の作製に必要となる寸法精度を有する基礎金型5を作製するのである(図7(a)参照)。なお、図7(a)の図中における一点鎖線は、放電加工により除去された部分を示しており、当該部分が除去された後の状態が、基礎金型5となるのである。
このように作製された基礎金型5を使用し、鍛造加工によって一次金型1を作製している(図7(b)および(c)参照)。基礎金型5は、前述のように、鍛造加工により作製される一次金型1の形状および寸法(特に、パンチングプレート11となるべき部分に対するホブ12の形状および突出長など)が所望の状態となるように、予め設計されておいる。従って、この基礎金型5を使用し、型材料Uに対して鍛造加工を行うこと(図7(b)参照)により、高品質な一次金型1を作製することができる(図7(c)参照)。なお、単一の基礎金型5を使用する鍛造加工により、同様の一次金型1は複数作製され得ることから、同種の一次金型1を量産することができる。
なお、鍛造加工の信頼性から、量産される一次金型の寸法精度は良好であることが想定されるが、その精度が不安である場合には、さらに放電加工により仕上げる工程を追加するものであってもよい。また、上述のように、中間型4は、ホビング加工によって作製されるために、基礎金型5の完成前に熱処理工程B4(図5参照)を行うようにしてもよい。さらに、基礎金型5の作製において、放電加工によって仕上げる前に予備切削工程として、NC制御された加工機によって予備切削する工程を追加することも可能である。
このように作製された一次金型1は、前述の第1の実施形態と同様に、型材料にホブ12を圧入して二次金型2を作製し、これを仕上げ加工することにより金型を完成させるものである(図2および図3参照)。上述のような本実施形態によれば、一次金型1は、放電可能によるものではなく、鍛造加工によることとなり、短時間で多数の一次金型を量産できることとなる。そして、一次金型1が量産されることにより、二次金型(後の金型)2をさらに大量に作製することができる。従って、マスター型を極めて少ない数(極端な場合は1個)だけ作製することにより、必要な数量の金型を製造することができるのである。
すなわち、前述のように、鍛造可能により製品を製造する際、金型が摩耗すれば、他の金型に交換して鍛造加工を継続するのであるが、当該製品を必要な個数の金型が準備できれば、金型の寿命を考慮することなく、所望数量の製品加工を可能にすることとなるのである。
以上のとおり、金型の製造方法に係る本発明の実施形態によれば、ほぼ均等な金型を多数製造することができるので、金型の摩耗が進行する都度に他の金型に交換しつつ鍛造加工を継続することを可能にするものである。
次に、金型の再生方法に係る本発明の実施形態について説明する。図8は、本実施形態による金型再生の一例を示すものである。図8(a)に示されているように、鍛造加工に供された結果、摩耗した金型(摩耗型と略称する)6は、本来的に要求される形状または寸法を備えていない状態となっている。一般的には、雄部61,62が摩耗し、キャビティ63の摩耗は少ない。特に、雄部61,62とキャビティ63との境界に位置する角部分の摩耗が激しく、当該部分には不要なアール形状となることが多い。
そこで、本実施形態では、摩耗により変形した部分を除去するための加工を行うのである。この加工には、放電加工が使用され、場合によってはNC制御された加工により予備切削の後に放電加工により仕上げられるものである。
予備切削は、前述した予備切削工程A3−1(図3参照)と同様の工程であり、放電加工は、前述した仕上げ加工工程A3,A3−2と同様である。このようにして、再生金型7を完成させるのである。
ところで、再生すべき摩耗型6は、前述の金型の製造方法によって製造されたものに対するものである。従って、摩耗型6が摩耗する前の金型は、前述の各工程を経由したものである。そのため、金型の基礎となる二次金型は、一次金型を使用するホビング加工によって作製されており、当該ホビング加工により型材料は、メタルフローの切断はなく、組織が微細化されたものである。つまり、型材料の基礎的強度は、二次金型と同程度ということができる。そのため、摩耗型6を切削加工および/または放電加工することは、本来の金型の整合方法における仕上げ加工と同等であり、これらの加工により再生金型7は、本来の金型と同等品として再生させるのである。
なお、図8(a)に示すように、切削加工および/または放電加工により除去される部分は、摩耗により形状または寸法が異なる状態となる部分(図中一点鎖線で示す部分)であり、雄部61,62の表面を除去する際には、突出長の減少を招来させることから、キャビティ63の底部にも除去すべき部分(図中二点鎖線で示す部分)が存在することとなる。このとき、キャビティ63の底部が形成される基部の肉厚は、当初の寸法D1から薄肉の寸法D2(図8(b)参照)に変化することとなるが、予め再生加工を想定して、当初の肉厚寸法D1を大きく製造しておくことも可能である。
以上のように、本実施形態によれば、摩耗型を二次金型とみなして仕上げ加工を行うことにより、再度鍛造加工に使用できる金型として再生させることができ、資源を有効利用しつつ、加工コストの低減に資することとなる。
本発明の実施形態は以上のとおりであるが、これらの実施形態は、本発明の一例を示すものであって、本発明がこれらの実施形態に限定される趣旨ではない。従って、本発明の技術思想の範囲内において種々変更することは可能である。
例えば、前記実施形態に供される型材料の材質については、特に示していないが、一般的に鍛造加工用の型材料として使用される冷間ダイス鋼、熱間ダイス鋼または高速度鋼などを使用することができるほか、これらについて熱処理を行い、または化学的な表面処理したものを使用することができる。また、従来技術に挙げられるように、ショットピーニングによって、金型表面を強化させる工程を追加してもよく、耐熱耐摩耗合金を肉盛溶接する工程を追加してもよい。さらには、型材料の表面に硬質材料のプレートを積層し、これにホビング加工する手法を採用してもよい。
また、実施形態を説明する図において、ホブ12,32は、各1個を形成させたもののみ示しているが、これは実施形態をわかりやすくするためのものであり、現実には、複数のホブがパンチングプレート11,31から立設されるものである。
1 一次金型
2 二次金型
3 マスター型
4 中間型
5 基礎金型
6 摩耗型
7 再生金型
11,31 パンチングプレート
12,32 ホブ
21,41 キャビティ
61,62 雄部
63 キャビティ
S1,S2,S3,T,U 型材料

Claims (7)

  1. 鍛造加工に使用する金型の製造方法であって、
    ホビング加工に使用するホブを有する一次金型を放電加工により作製する一次金型作製工程と、前記一次金型を使用してホビング加工により二次金型を作製する二次金型作製工程と、前記二次金型を放電加工によって仕上げ加工を行う仕上げ工程とを含むことを特徴とする金型の製造方法。
  2. 前記仕上げ工程は、NC制御された加工機による予備切削工程を含むものである請求項1に記載の金型の製造方法。
  3. 鍛造加工に使用する金型の製造方法であって、
    ホビング加工に使用するホブを有するマスター型を放電加工により作製するマスター型作製工程と、前記マスター型を使用してホビング加工により中間型を作製する中間型作製工程と、前記中間型を放電加工によって仕上げられる基礎金型を作製する基礎金型作製工程と、前記基礎金型を使用して鍛造加工により一次金型を作製する一次金型作製工程と、前記一次金型を使用してホビング加工により二次金型を作製する二次金型作製工程と、前記二次金型を放電加工によって仕上げ加工を行う仕上げ工程とを含むことを特徴とする金型の製造方法。
  4. 前記基礎金型作製工程および/または仕上げ工程は、放電加工の前にNC制御された加工機による切削工程を含むものである請求項3に記載の金型の製造方法。
  5. 前記一次金型作製工程または前記マスター型作製工程に使用される放電加工は、予め設計された三次元データに基づいて作製された電極が使用され、該電極を使用する放電加工機によって複数の一次金型またはマスター型を作製する工程であり、前記二次金型作製工程または前記中間型作製工程は、複数の前記一次金型またはマスター型を同時に使用して多数の二次金型または中間型を製造する工程である請求項1ないし4のいずれかに記載の金型の製造方法。
  6. 請求項1ないし5に記載の金型の製造方法により製造された金型について、鍛造加工により摩耗した前記金型の再生加工方法であって、
    摩耗した金型をホビング加工後の二次金型とみなして、放電加工により前記仕上げ工程を行うことを特徴とする金型の再生加工方法。
  7. 前記仕上げ工程は、NC制御された加工機による予備切削工程を含むものである請求項6に記載の金型の再生加工方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106425346A (zh) * 2016-10-21 2017-02-22 重庆夫日用品有限责任公司 一种牙刷模具的加工工艺
CN106498144A (zh) * 2016-10-27 2017-03-15 吉林省维尔特隧道装备有限公司 全断面隧道掘进机滚刀刀圈的梯度硬度热处理方法
CN108161380A (zh) * 2017-12-04 2018-06-15 南通斯迈尔精密设备有限公司 一种半导体封装模具的型腔加工工艺

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