JP2016149111A - 無線icタグ装置および無線icタグ札 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属物体が実装されたICパッチ導体の近傍に配置されても,リーダとICパッチ導体間で通常の動作を行わせる。【解決手段】パッチアンテナ構成の無線ICタグ装置115において、接地導体104をICパッチ導体105から分離し、空隙を介してその代わりに独立した機能を有する金属物体等で置き換え、金属対応タグの取外しは不要でタグの再利用が容易にする。また、ICパッチ導体をコンテナ等に設け、収納する役割等と金属物体の保管、管理等も同時に行う。【選択図】図1

Description

本発明は、金属物体にも対応できる無線ICタグ装置に関するものである。
無線ICタグは、各種の物体に貼り付けられ又はそれらの中に埋め込まれ、物品のトレーサビリティや、物体管理、人、物の入退管理など各種の用途に利用されている。
通常RFIDシステムは、リーダ(及びライタ)と、無線ICタグで構成される。リーダから放射された無線信号は無線ICタグにより受信され、その無線信号の電力によりタグは起動し、その内蔵メモリに格納されたタグ情報に従って無線信号を変調して、変調された無線信号をリーダへ返信する。この信号に応答して、リーダは受信した無線信号を復調することによりタグ情報を得る。
しかし、利用形態において、一般的な無線ICタグは金属体の近傍や直接に金属体に実装する場合、リーダとの通信が困難となる。そのため、種々の方法が工夫されており、それらは一般的に金属対応タグと称されている。
従来から、金属体にも適用できる無線ICタグとして、例えば、特許文献1および2に、無線ICタグの例が開示されている。この従来例では、例えば1/2波長のマイクロストリップ線路共振器を用いたパッチアンテナに無線ICタグを設けて無線ICタグ装置を形成し、接地導体側を金属物体等に装着しても、リーダとの通信を可能としている。
特許第3902192号 特許第4235663号
上記特許文献1および2は、電波偏波変換共振反射器とよばれているパッチアンテナ構成の無線ICタグ装置で、金属物体にも適用できる装置を示している。
従来例のタグ構成を図7に示す。
従来例の金属対応無線ICタグ装置115は、無線ICタグ101、パッチ導体102、誘電体103、接地導体104で構成される。ここでは、無線ICタグとパッチ導体および誘電体からなるものをICパッチ導体105名付ける。114はリーダを示す。無線ICタグ装置は、ICパッチ導体と接地導体104でパッチアンテナを形成し、平面アンテナ共振するよう設計されている。パッチアンテナは、接地導体を有するため、この面側に金属体が近接又は直接貼付けても無線ICタグ装置は作動する。接地導体は、タグ装置として組み込むか、あるいは金属物体を接地導体として固定し使用する。そのため、タグ装置を、再利用する場合、金属物体から取り離し他の物体、物品に実装する手間を必要とする。又、タグ装置が物体から脱落しないように強力な接着剤で物体に実装する場合、タグ装置を物体から切り離す際に、タグ装置が破損することがある。
本発明は、従来のパッチアンテナ構成の金属対応タグにおいて接地導体を切り離し、何らかの空隙を設けて、接地導体の代わりに独自の機能を有する金属物体や物品等で置換え使用する。そのため、接地導体は不要で金属対応タグの再利用に際して、物品、物体からそれらを切り離す必要はなく、その手間や、切り離す際に生じる無線ICタグの破損等の問題は生じない。更に、空隙を用いる事により、無線ICタグ装置のアンテナ効率を高め感度を良くすることも目的とする。又、本発明は、物品の収納や保管、輸送等他の用途にも利用するものに金属物体にも対応できるタグ機能をもたせるものである。更には金属対応タグ付荷札や値札等が実現される。これにより従来の問題点を解決すると共に新しい用途を開拓する。
特許文献1では、パッチアンテナ構成における誘電体と、接地導体、またはパッチ導体等を着脱可能としている。又、両文献の無線ICタグ装置では、それを構成する誘電体、パッチ導体、接地導体や無線ICタグの配置方法を定める方法として“設けられ”という用語で説明し、その用語の定義を文献1の段落0018項で規定している。
その規定の中で面又は導体から“空隙”を介して設けられてもよい、と規定している。
このことは、接地導体は、誘電体から空隙を介して設けてもよいと定義している。
しかし、空隙を介して設けるとは如何なる状態か、又如何なる効果を発生させるのかの具体例は提示されていない。
本発明は、特許文献1、2に記載の空隙を設ける構成法を発展させ具体的な構成例を示し、無線タグ装置の新たな構成方法と効果と新しい用途を開拓するものでもある。
本発明は、“空隙”を介して設ける状態の1例として接地導体を除いたICパッチ導体を、物品、物体を設置、配置する各種の棚やコンテナ等の容器や物を運搬する台車等に実装する。例えば容器に収納する金属物体が、実装されたICパッチ導体の近傍に配置されても、ICパッチ導体は空隙を介して近傍の金属物体との間で平面アンテナ共振を行うよう設計される。そのためリーダとICパッチ導体間では通常の動作を行う。
特に、ICパッチ導体をダンボールコンテナ等の空気層を含む低誘電率のコンテナ側壁に取り付ける場合は、該側壁と空隙(隙間)を介して接地導体を配置した時に平面アンテナ共振を呈するようにICパッチ導体を設計する。そのため、該ICパッチ導体は、空間においてもその共振周波数内で共振しタグとして動作する。
物品棚やコンテナや台車に実装したICパッチ導体のICには、物品棚やコンテナや台車自体の情報や載置、収納、積載した物品、物体の情報が記録される。 そのため、物品棚、コンテナや台車は、本来の物品、物体を載置、収納、運搬等の役割と、それら自体の管理や、物品、物体情報の管理等を行う無線ICタグ装置となる。
本発明の他の例では、パッチアンテナ構成の無線ICタグ装置において、ICパッチ導体と接地導体間の少なくとも一部あるいは全部を切り離して、その間に少なくとも空隙を設け、接地導体の代わりにそれ自体で他の機能を有する金属物体や他の物体、物品で置き換える。この時、ICパッチ導体には、接地導体に相当する物体、物品との位置関係を固定する紐やテープ、針金、プラスチック等の取り付け部品を用いる。ICパッチ導体に物体情報等を表記したラベル等を貼付すれば、金属物体近傍でも使用可能な金属対応タグ付伝票や荷札、名札、値札等が実現される。
更に、本発明をリストバンドタグやゼッケン等人体にも適用できる無線ICタグ装置としての新しい用途を提案するものである。
本発明による無線ICタグ装置は、少なくとも無線ICタグと一体化したパッチ導体を備えたICパッチ導体であって、
該前ICパッチ導体との間に空隙を介し対向して接地導体を配置したパッチアンテナ構成とし、前記接地導体を、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体までの空隙間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内でパッチ導体に近接して配置した時、少なくとも前記ICパッチ導体と空隙と接地導体からなるパッチアンテナが信号周波数で平面アンテナ共振を行うように形状を定めた前記ICパッチ導体と、
独自の機能を有する金属物体または、金属体でない物体を備え、該ICパッチ導体と前記金属物体または、金属体でない物体間の一部又は全部を空隙を介し対向して配置した構成を特徴とする。
本発明による無線ICタグ装置は、少なくとも無線ICタグと一体化したパッチ導体を備えたICパッチ導体であって、
該前ICパッチ導体との間に空隙を介し対向して接地導体を配置したパッチアンテナ構成とし、前記接地導体を、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体までの空隙間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内でパッチ導体に近接して配置した時、少なくとも前記ICパッチ導体と空隙と接地導体からなるパッチアンテナが信号周波数で平面アンテナ共振を行うように形状を定めた前記ICパッチ導体と、
物体を収納する容器又は該物体を配置する配置機材を備え、該ICパッチ導体とは空隙を介して前記物体を収納または配置する前記容器または配置機材に前記ICパッチ導体を設けたことを特徴とする。
本発明による無線ICタグ札は、少なくとも無線ICタグと一体化したパッチ導体を備えたICパッチ導体であって、
該ICパッチ導体との間に空隙を介し対向して接地導体を配置したパッチアンテナ構成とし、前記接地導体を、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体までの空隙間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内でパッチ導体に近接して配置した時、少なくとも前記ICパッチ導体と空隙と接地導体からなるパッチアンテナが信号周波数で平面アンテナ共振を行うように形状を定めた前記ICパッチ導体と、
物体に空隙を介して取り付ける札とを備え、該札に前記ICパッチ導体を設けたことを特徴とする。
配置機材とは、物品、物体を載置、配置、固定する機材や、ICパッチ導体と物体、物品の位置関係を決めるため用いる機材、部品をいう。
例えば、物体、物品を載置、配置しその位置を決める、台車、コンテナ(容器)、物品を保管、陳列する各種棚等である。なお、物体を収納する機能を有するコンテナ(容器)は、別記している。又、物体とは、人体を含むものとする。更に、後述するように本発明では、ICパッチ導体と物品、物体から形成したものを広く無線ICタグ装置と名付け、又、同様にICパッチ導体を容器や台車、棚等の物体配置機材に設けたものも、無線ICタグ装置と名付けている。
従って、本発明によれば、以下の特有の効果を奏する。
本発明では、従来の金属対応タグ装置の接地導体を、少なくともICパッチ導体より分離し、ICパッチ導体と接地導体間の一部あるいは全部に空隙を設け、それを介して接地導体の代わりに独立した物品、物体等で置き換える。即ち、独立した金属物体、物品他を無線ICタグ装置で分離した構成部の一部として使用する。そのため、例えば無線ICタグ装置を再利用する時、タグ装置のパッチ導体や、接地導体を物体、物品から取り外し他の物体に使用する等の手間が省け、又、その際の破損事故を解消する。更に、パッチ導体と接地導体に代わる金属物体等の間に空隙を有するため、パッチアンテナの放射効率を高め、タグの性能を高める効果もある。又、物品棚や、コンテナ、台車に本発明を適用することにより、本来の物の載置、収納、運搬する本来の機能の他、タグによるこれら機材の管理と、機材に収納、積載、載置する金属物体、物品等の管理などの役割を同時に行う事ができる。又、金属物体近傍でも使用可能な新しい、金属対応タグ荷札、値札、伝票、名札(カード)等としても使用できる。これにより、本発明は、無線ICタグ装置を用いたRFIDシステムの運用面での簡略化とシステムコストの低廉化に貢献するとともに、新しい用途を開拓する。
ICパッチ導体の基本実施例 ダンボールコンテナに本発明を実施した例 台車に本発明を実施した例 曲面状金属物体に本発明を実施した例 ワイヤハーネスに本発明を実施した例 リストバンドやゼッケンに本発明を実施した例 従来の無線ICタグ装置
<第1の実施例>
本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明のICパッチ導体105使用の第1の実施例を示す。図1の(A)は正面図で、(B)は側面図である。ICパッチ導体105は、無線ICタグ101と電気的に結合、一体化したパッチ導体102、誘電体とから構成される。誘電体103はICパッチ導体を形成するため必要により用いるもので、無くともよい。物体108は、前述の接地導体に代わるものでここでは金属物体そのものや、それらを容器に収納した物体とする。116は、ICパッチ導体と物体とを配置するもので物品棚等である。又、図においてICパッチ導体は、リーダ側に対して左右反転させてもよい。無線ICタグ装置115は、少なくともICパッチ導体105と物体108から構成される。
図1(B)の空隙は、仮に接地導体104(金属物体)が置かれた場合、例えば、誘電体103がないか、薄く厚さが無視できる場合、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体105と、接地導体104までの間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内で、特に接地導体がICパッチ導体により近接して配置したとき、両者からなるパッチアンテナは、信号波の共振周波数で平面アンテナ共振を行うようICパッチ導体105の形状を定める。
ICパッチ導体105と接地導体104から形成されるパッチアンテは、両者間の誘電体の比誘電率が低いほどアンテナとしての放射効率が高い。そのため、仮にICパッチ導体に含まれる低比誘電率の誘電体103を用いても、空隙の空気の比誘電率を利用することができ、等価的比誘電率は更に低いものとなる。等価比誘電率は1〜2程度に設定するのが望ましい。
上記の条件設定の根拠は、下記参考資料に記されている。
参考資料:社団法人電子情報通信学会発行、小型・平面アンテナ 羽石操他著の資料のページ107、図4.11によれば、円形平面アンテナにおいて、パッチ導体と接地導体間の間隔tと、信号波の空間電波波長λに対する、平面アンテナの放射効率と無負荷Qとの関係が、t/λが0.1程度までの計算結果と測定値が示されている。
同図において、t/λが0.04辺りまでは、放射効率はt/λに対して大きくなるが、それ以上大きくしてもさほど変化しない。又比誘電率は小さいほど放射効率は高くなる。従って、仮に接地導体をt/λが0.04以内のどこかに設定し、平面アンテナ共振を呈するようパッチ導体長を設定すればよい。
図1にて、接地導体104をICパッチ導体105と接触に近いごく近傍に設けた通常のパッチアンテナと同様の状態で、パッチ導体102の長さと誘電体103の比誘電率との関係を説明する。1例として、通常の細長い半波長パッチ導体を利用した時、パッチ導体の電気的長さLは、略λ/2√εとなる。ここで、λは空気中の信号波の波長、εはパッチアンテナに用いた誘電体103の比誘電率である。このように長さLを設定すれば、パッチアンテナは平面アンテナ共振を行う。本発明では、ICパッチ導体と物品、物体から形成したものを広く無線ICタグ装置と名付け、又、同様にICパッチ導体を容器や、台車、棚等の物体配置機材に設けたものも、無線ICタグ装置と名付けている。そのため第1の実施例は、金属物体にも対応できる無線ICタグ組込物品棚となる。
<第2の実施例>
第2の実施例を図2に示す。当事例は、容器としてダンボールコンテナに本発明を実施した無線ICタグ装置115の図で、コンテナ内には金属物体、物品を収納したものである。同図(A)はコンテナの正面から見た図で、図(B)は、コンテナの側面から透視した側面図である。図(C)は、ICパッチ導体105を示し、無線ICタグ101とパッチ導体102から形成される。同図では、長さがLのパッチ導体を示している。
Figure 2016149111
図2で、無線ICタグ装置115は、表示ラベルは107、ICパッチ導体105、コンテナ106、物体、物品108からなる。誘電体コンテナ106の側壁と、金属物品、物体108の間は空隙である。ICパッチ導体は、従来例の文献2の請求項に記されているように、無線ICタグの放射電界成分と電波偏波変換共振反射器、即ちパッチアンテナの共振軸が実質的に一致するように設けたものや、又、タグICがパッチ導体に埋め込まれパッチアンテナとして平面アンテナ共振を伴うものならよい。
ICパッチ導体のIC内には、コンテナに収納された物体、物品の情報の他、使用するコンテナ自体の識別番号等も電子記録される。又、必要により、それらの関連情報は表示ラベルもに記載される。
この形態において、コンテナ側壁106に固定されたICパッチ導体105は、前述のとおり図1における接地導体104(当例では金属物体、物品108に対応する) が、規定の領域、例えばコンテナ側壁に密着に近い状態において、ICパッチ導体105と接地導体104の関係は平面アンテナ共振を行うようパッチ導体の形状が決められている。従って、両者からなるパッチアンテナは適切な平面アンテナ共振により有効なアンテナ動作を呈し、ICパッチ導体内の無線ICタグ101の情報をリーダ側に返送する。即ち当コンテナ自体も、金属物体にも対応する金属対応タグ装置として機能する。金属物体でない場合はICパッチ導体の共振特性に従って動作する。これによりコンテナ自体は金属対応無線ICタグ装置であり、又、本来の各種の物体、物品を収納するコンテナとして使用され非常に効率的な装置となる。本発明では、ICパッチ導体と物品、物体から形成したものを広く無線ICタグ装置と名付け、又、同様にICパッチ導体を容器や、台車、棚等の物体配置機材に設けたものも、無線ICタグ装置と名付けている。
なお、図2では、複数個の物体、物品を含むコンテナとして示しているが、物体、物品はむき出しの金属体であっても、又、金属製物体が、紙箱等の容器で収納されたものでもよい。更に、電気機器や、乾物や菓子類の入った缶、アルミコーティングされた化粧品や薬品等単一の金属製商品を収納したボール紙等の容器にも同様に適用されるが説明は省略する。
<パッチ導体設定の実験例>
次に図2の第2の実施例で、接地導体104に代わる金属物体が、ダンボールコンテナ側壁の内側で極近傍に配置されたものとして、1mm厚のアルミ板をダンボールコンテナ
の内側に密着させ、図2(C)のパッチ導体102の長さと、ダンボールの比誘電率の関係を実験により確認した。その結果を説明する。
用いたICパッチ導体102は、その共振軸方向と無線ICタグの放射電界の方向が一致するように両者を一部重ねて電気的に結合させた。
まず、厚さ4mmのダンボールに図2(C)に示した無線ICタグ101を取り付けたパ
ッチ導体102、即ちICパッチ導体をダンボールに貼り付ける。パッチ導体102の形
状は、略半波長アンテナとして設定し、アルミテープを用いて、幅10mm、長さをLm
mの長方形とする。このICパッチ導体に対してダンボールを介して1mm厚のアルミ板
を密着させパッチアンテナを形成し、パッチ導体の正面から周波数920MHzのリーダ
信号を照射し、パッチ導体の長さLを端部から少しずつ切除しながら、無線ICタグ装置
としての読取距離を測定した。その結果、読取距離は、パッチ導体長Lが、139mmの
時最も長く5mとなり最適な平面アンテナ共振を伴うことを確認した。
一方、920MHzの信号波に対する空間での半波長は、163mmである。従ってダン
ボールコンテナにおける波長短縮率は1.17程度である。そのため、ダンボールの比誘
電率は、その内部に空気層が存在するため小さく1、08程度との実験結果を得た。
本発明では、接地導体の代わりに金属物体等を配置するが、コンテナ側壁と金属物体間は空隙を含むためダンボールを含めた等価比誘電率は、更に小さくなりパッチアンテナとして非常に高利得な無線ICタグ装置となり優れた特性を有するものとなる。
次に、4mm厚のダンボールとアルミ板接地導体の間に空隙を設けるため、1mm厚のスチレンペーパーの小片を両者間に挟んで空隙を有するパッチアンテナを構成した。従って、ICパッチ導体と接地導体間は5mmの間隔となる。この状態において、先と同様にリーダ信号を与え、読取距離を測定したところ、6.8mに伸張した。更に、接地導体を除去しICパッチ導体が単独で空間に置かれた状態で、読取り距離を測定したところ、10mとなった。このアンテナは、空間においても単独で周波数920MHzあたりで共振することを示している。因みに、図2(C)のICパッチ導体において、パッチ導体をなくし、用いた無線ICタグのみをダンボールに貼り、先と同等に4mm厚のダンボールの内側に接地導体を密着して配置した時の読取距離は0.7mで、平面アンテナ共振による大きな効果を示している。
このことは、比誘電率の低いダンボールコンテナを使い、コンテナ内部に金属物体(比誘電率は無限大と見做せる)が置かれた時には、ICパッチ導体は、パッチアンテナとして動作し、衣料、紙類や大きな金属体を有しない日用品等一般的な比誘電率の反射物体が置かれた時には、ICパッチ導体は例えば半波長アンテナとして動作する。
このように、ICパッチ導体をコンテナに用いた当事例では、予め低比誘電率のコンテナ容器を使用し更に空隙を利用し、ICパッチ導体が平面アンテナ共振を行う共振周波数と、接地導体(金属物体)を除去し、ICパッチ導体が、空間に置かれた状態に近い時の共振周波数とが近くなるように工夫し、コンテナの収納物が、金属物体、物品においても、又、収納物が衣類、日用品等で通常の比誘電率の場合でも無線ICタグ装置として性能を発揮するよう工夫したものである。
<第3の実施例>
図3は第3の実施例を示す。同図は、物体、物品を積載し運搬等に使用する台車、カートにICパッチ導体を設け、無線ICタグ装置115とした例である。図3(A)は台車の正面から見た図、(B)はその側面図で、台車本体は111、台車の前側に設けた誘電体(板)は103、その誘電体の前面に装着した無線ICパッチは105、台車に搭載した物体、物品は108で示す。
この台車の上には、例えば金属物体、物品やそれらを収納した容器、コンテナ等の物体108が積載さる。金属物体に限らず他の物品、物体でもよい。この台車111に金属物体108が搭載された場合、ICパッチ導体105と積載物品108間は何らかの空隙が存在する。ICパッチ導体は、前述の通り近傍に金属物体が置かれた時、空隙を介して平面アンテナ共振を伴いパッチアンテナとして動作する。そのため、ICパッチ導体と物体によるパッチアンテナは、高いアンテナ利得を有する無線ICタグ装置として動作し、該タグ装置は長い良好な通信距離(読取り距離)を伴うタグ装置となる。物品、物体が、通常の比誘電率で形成された場合は、ICパッチ導体からなるアンテナは空間で共振し良好なタグ装置としての特性を示す。この場合も、物体を積載、運搬する機能を有する台車の情報も物体情報と共にICパッチアンテナに記録でき、台車自体もIC無線タグ装置と名付けている。当事例の台車は、本来の物体を運搬する独自の機能と、積載する金属物体にも対応可能なICパッチ導体を設けた無線ICタグ装置となる。
<第4の実施例>
4図は、無線ICタグ札109の実施例を示す。当実施例では、表面が曲面状の金属物体図4−1と、平面状の物体図4−2の2種の例を示す。実施例図4−1の(A)は、その側面図で、(B)は斜視図である。同図は、ICパッチ導体105に、表記ラベル107を装着し、更に金属物体等108に取り付けるための紐や、テープ、プラスチック材や針金等の簡単な取り付け部品112を設けて位置固定のため、物体108に取り付けた例である。ICパッチ導体は、前述の説明のようにパッチ導体に無線ICタグが結合されている。又、ICパッチ導体は形成のために誘電体(板)103等を用いている。
リーダ側から見て、ラベル107を貼り付けたICパッチ導体105と空隙を介して金属物体108等が存在する。同図では、金属物体として、例えば、大きなスチール板を巻き込んだドラム状の物体、あるいはドラム缶のような、表面が曲面状の物体にICパッチ導体を用いて無線ICタグ装置を形成した例である。ICパッチ導体前面のラベル107は、例えば物品、物体固有の情報が表示され、ICパッチ導体の無線ICタグのICメモリにはそれらの関連情報が記録されている。これは、金属物品、物体等に使用する伝票、荷札や値札タグ等の役割を有する。
空気層となる空隙は、前述のとおり、仮に接地導体が前記規定した少なくともt/λ=0.1以内の何れかの位置に、例えば同図でICパッチ導体の近傍に接地導体を置いた時にICパッチ導体と接地導体が平面アンテナ共振を呈するようにICパッチ導体の導体長が決められている。
ICパッチ導体の大きさは、接地導体の代わりとなる金属物体108の大きさより小さいものを使用するのが望ましい。ICパッチ導体から後方の物体側へ透写した仮想平面117におけるICパッチ導体の面積が、物体面より小さい程より通常の平面アンテナ共振を呈する。その結果、リーダから送られてきた信号波は、ICパッチ導体と金属物体による平面アンテナ共振により信号波は共振しICパッチ導体に結合された無線タグICの情報を取得して、その情報をリーダへ返送する
使用するパッチ導体の形状は、後方の金属物体、物品の形状に対応して選定することが望ましい。例えば、斜視図(B)で示したように曲面に直交したX軸に対して平行に幅の狭い細長のパッチ導体を使用すれば、パッチ導体の長さ方向と曲面間の間隔は均一状態に近くなる。これによりICパッチ導体と金属物体からなるパッチアンテナは、より正常な平面アンテナ共振を呈する。
先の段落0019で示した参考資料によれば、t/λが0.04辺りから大きくなっても、パッチアンテナの放射効率は大きく変化しないから、空隙がこの程度離れておれば、パッチ導体と、金属体との間隔が変化しても無線ICタグ動作には大きな影響を与えない。
例えば、920MHzにおける空間波長は326mmであるから、t/λが0.04となる間隙tは13mm程度となる。そのため、空隙が13mm以上離れた場合は、物体の表面形状の凹凸があっても大きな問題にならないと見做せる。又、タグを使用する曲面状の金属物体、物品の形状が決まっているならば、曲面に近い形状に湾曲したICパッチ導体を使用して、金属物体の曲面に沿って配置するように取り付け部品により固定する事もできる。
図4−2は、表面が平坦な金属物体等108に無線ICタグ札109を用いた例である。ラベルは107、ICパッチ導体は105、物体の取り付け部品は、テープ112である。誘電体103は、ICパッチ導体を金属物体108から浮かし空隙を設けるため用いている。この空隙により、パッチアンテナの利得が高まり無線ICタグとしてより良好な特性を示す。当図では、誘電体の小片をICパッチ導体105の端部に用いているが、中央付近や両端に用いて、金属物体108と平坦な状態になるよう設定してもよい。又、誘電体の小片等をラベル107の両面に用いれば、ラベルが金属物体に対して反転しても空隙が生じ金属対応無線タグIC札(ラベル)として動作する。
<第5の実施例>
図5は、複数の絶縁体で覆われたケーブルを束ねたケーブルハーネスにおける無線ICタグ札(ラベル)109の実施例を示している。図で、必要により用いる表示ラベルは省略している。ICパッチ導体は105、物体は108であり、複数のケーブルを誘電体(絶縁体)のビニールテープ等で束ねたケーブルハーネスである。ケーブル内の導体は118である。無線ICタグ札は、細長い形状でケーブルハーネスの長さ方向に沿って取り付け部品の紐112で結んでいる。ICパッチ導体は、近傍に金属物体が配置されたとき平面アンテナ共振を伴うよう設定されているから、近傍に金属体が存在しても動作可能であり、無線ICタグ札として動作する。本発明をケーブルに適用する場合、ケーブル内の導体の直径が大きい程、あるいはハーネス内のケーブル本数が多いほど金属物体の体積が大きくなるから、ICパッチ導体に対向する面積も大きくなりより正常な平面アンテナ共振を呈する。ICパッチ導体の形状は、対向する金属物体の面積内におさまるような形状に設定するのが望ましい。
<第6の実施例>
図6は、上記の無線ICパッチ導体を人体に接近して使用する場合の無線ICタグ札109の例である。図6(A)はリストバンド無線ICタグ札で、図(B)は、マラソンやイベント等で使用するゼッケンに本発明を適用した例である。図(A)で、パッチ導体102と無線ICタグ101からなるICパッチ導体105は、誘電体103に固定されている。この例では、誘電体としてフェルト材や発泡ポリエステル等柔らかく低比誘電率のものを利用してICパッチ導体を形成するのが望ましい。ICパッチ導体は、近接する人体の腕(図面では省略する)とは切り離され、腕に取り付けた場合は、両者間のどこかには空隙が存在する。人体の比誘電率は42程度といわれ、金属体の比誘電率に比べて極端に低い。この時、ICパッチ導体は、空間における共振周波数に近くその特性を示す。リーダから送られた信号は、ICパッチ導体の共振帯域内で捕捉され、無線ICタグの情報を取り出し反射波としてリーダ側に返送される。図6(B)のゼッケンは、綿やポリエステル製の布等誘電体で形成される。動作は、図6(A)の場合と同様であり説明は省略する。
以上の実施例で説明したとおり、無線ICタグ装置は、金属体に使用する場合に従来必要であった接地導体を部分的にあるいは全部を切り離し、空隙を設け、接地導体の代わりに金属物体や物品等を使用する。そのため、接地導体の製作は不要であり、複雑な表面形状の金属体に対しても容易に適用できる。又従来のように金属対応タグの再利用に際しても、タグの取り外しや再貼付等の手間も省け、それに伴うタグの破損等を回避する。又、空隙を利用するため、パッチアンテナの利得が高まりタグを高感度化する。又、本発明を用いれば、無線ICタグ装置自体が物体、物品の収納、運搬、管理等を行うコンテナやカートや物品棚等の本来の役割も兼ねる。更に金属対応無線ICタグ荷札や値札等にも利用可能でRFIDシステムの簡素化や、利用工数の削減など経済性を高め新しい用途を創出する。
101・・・・・・・・・・・・・無線ICタグ
102・・・・パッチ導体
103・・・・・・・・・誘電体
104・・・・・・・・接地導体
105・・・・・・・・ICパッチ導体
106・・・・・・・・・・・・誘電体コンテナ
107・・・・・・・・・・ラベル
108・・・・・・・物体、物品
109・・・・・無線ICタグ札
110・・・・・タグIC
111・・・・・・台車
112・・・・・・・取り付け部品
113・・・・・・ゼッケン
114・・・・・・リーダ/ライタ
115・・・・・・無線ICタグ装置
116・・・・・・物品棚
117・・・・・ICパッチ導体が配置された仮想平面
118・・・・・ケーブル導体

























Claims (3)

  1. 少なくとも無線ICタグと一体化したパッチ導体を備えたICパッチ導体であって、
    該前ICパッチ導体との間に空隙を介し対向して接地導体を配置したパッチアンテナ構成とし、前記接地導体を、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体までの空隙間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内でパッチ導体に近接して配置した時、少なくとも前記ICパッチ導体と空隙と接地導体からなるパッチアンテナが信号周波数で平面アンテナ共振を行うように形状を定めた前記ICパッチ導体と、
    独自の機能を有する金属物体または、金属体でない物体を備え、該ICパッチ導体と前記金属物体または、金属体でない物体間の一部又は全部を空隙を介し対向して配置した構成を特徴とする無線ICタグ装置。
  2. 少なくとも無線ICタグと一体化したパッチ導体を備えたICパッチ導体であって、
    該前ICパッチ導体との間に空隙を介し対向して接地導体を配置したパッチアンテナ構成とし、前記接地導体を、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体までの空隙間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内でパッチ導体に近接して配置した時、少なくとも前記ICパッチ導体と空隙と接地導体からなるパッチアンテナが信号周波数で平面アンテナ共振を行うように形状を定めた前記ICパッチ導体と、
    物体を収納する容器又は該物体を配置する配置機材を備え、該ICパッチ導体とは空隙を介して前記物体を収納または配置する前記容器または配置機材に前記ICパッチ導体を設けたことを特徴とする無線ICタグ装置。
  3. 少なくとも無線ICタグと一体化したパッチ導体を備えたICパッチ導体であって、
    該ICパッチ導体との間に空隙を介し対向して接地導体を配置したパッチアンテナ構成とし、前記接地導体を、到来する信号波から見て、前記ICパッチ導体までの空隙間隔tが、信号周波数の電波波長λの少なくともt/λ=0.1以内でパッチ導体に近接して配置した時、少なくとも前記ICパッチ導体と空隙と接地導体からなるパッチアンテナが信号周波数で平面アンテナ共振を行うように形状を定めた前記ICパッチ導体と、
    物体に空隙を介して取り付ける札とを備え、該札に前記ICパッチ導体を設けたことを特徴とする無線ICタグ札。



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