JP2016145621A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents

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Satoshi Kitano
聡 北野
唯久 田中
Tadahisa Tanaka
唯久 田中
前野 栄二
Eiji Maeno
栄二 前野
洋生 森本
Hiroo Morimoto
洋生 森本
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Abstract

【課題】エンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータでのエンジン始動時において適正な張力をベルトに付与することができるようにした適正な機能を長期に亘って発揮する油圧式オートテンショナを提供する。
【解決手段】プランジャ30とバルブスリーブ14の摺動面間に第1リーク隙間Lを設け、一方、プランジャ30とロッド15の摺動面間に第2リーク隙間Lを設ける。エンジンの通常運転時、圧力室16のオイルを流路抵抗の小さな第2リーク隙間Lからリザーバ室24にリークさせる。エンジン始動時、プランジャ30を上昇させて弁孔33を閉じ、圧力室16のオイルを流路抵抗の大きな第1リーク隙間Lからリザーバ室24にリークさせてベルトが適正な張力に保持される。バルブスリーブ14とプランジャ30を表面改質処理を施して摩耗を抑制し、エンジンの通常運転時およびエンジン始動時において常に適正な機能を発揮させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ等の補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる油圧式オートテンショナに関する。
二酸化炭素の排出量を削減するため、車両の停止時にエンジンを停止し、アクセルペダルの踏み込による車両の発進時にエンジンを瞬時に始動させるISG(Integrated Starter Generator)のアイドルストップ機構が搭載されたエンジンが提案されている。
図11(a)は、エンジン補機駆動とエンジン始動を両立するISGのアイドルストップ機構が搭載されたエンジンのベルト伝動装置を示し、クランクシャフト1に取り付けられたクランクシャフトプーリPと、ISGのスタータ・ジェネレータ2の回転軸に取り付けられたスタータ・ジェネレータプーリPと、ウォータポンプ等の補機3の回転軸に取り付けられた補機プーリP間にベルト4を掛け渡し、エンジンの通常運転時、同図に示すように、クランクシャフトプーリPの矢印で示す方向の回転によりスタータ・ジェネレータ2および補機3を駆動し、スタータ・ジェネレータ2をジェネレータとして機能させるようにしている。
一方、スタータ・ジェネレータ2の駆動によるエンジンの始動時、図11(b)に示すように、スタータ・ジェネレータプーリPの矢印で示す方向の回転によりクランクシャフトプーリPを回転させて、スタータ・ジェネレータ2をスタータとして機能させるようにしている。
上記のようなベルト伝動装置においては、クランクシャフトプーリPとスタータ・ジェネレータプーリPにわたるベルト部4aにテンションプーリ5を設け、そのテンションプーリ5を回転自在に支持する揺動可能なプーリアーム6に油圧式オートテンショナAの調整力を付与してテンションプーリ5がベルト4を押圧する方向にプーリアーム6を付勢し、ベルト4の張力変化を油圧式オートテンショナAにより吸収するようにしている。
油圧式オートテンショナAとして、特許文献1や特許文献2に記載されたものが従来から知られている。この油圧式オートテンショナにおいては、シリンダの底面上に突設されたバルブスリーブ内にロッドの下端部を摺動自在に挿入して、バルブスリーブ内に圧力室を形成し、上記ロッドの上端部に設けられたばね座とシリンダの底面間にリターンスプリングを組み込んで、ロッドとバルブスリーブを伸長する方向に付勢している。
また、シリンダの内周とバルブスリーブの外周間に密閉されたリザーバ室を設け、そのリザーバ室の下部と上記圧力室の下部をシリンダの底面部に形成された油通路で連通し、バルブスリーブの下端部内にはチェックバルブを組込み、ロッドに押込み力が負荷され、圧力室の圧力がリザーバ室の圧力より高くなった際、チェックバルブを閉鎖して油通路と圧力室の連通を遮断するようにしている。
上記の構成からなる油圧式オートテンショナは、ばね座の上面に設けられた連結片を図11(a)に示すエンジンブロックに回動自在に連結し、シリンダの下面に設けられた連結片をプーリアーム6に連結して、ベルト4からテンションプーリ5およびプーリアーム6を介してロッドに押込み力が負荷された際に、チェックバルブを閉じ、圧力室内に封入されたオイルをバルブスリーブとロッドの摺動面間に形成されたリーク隙間に流動させ、その流動時のオイルの粘性抵抗により圧力室内に油圧ダンパ力を発生させて上記押込み力を緩衝するようにしている。
特開2009−275757号公報 特開2012−241794号公報
ところで、従来の油圧式オートテンショナにおいては、ロッドに押込み力が負荷された際、圧力室内のオイルをバルブスリーブとロッドの摺動面間に形成された単一のリーク隙間からリークさせる構成であるため、エンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータ2でのエンジン始動時のそれぞれにおいてベルト4に適正な張力を付与することができない。
すなわち、リーク隙間をエンジンの通常運転時におけるベルトの張力変動を吸収可能な大きさに設定すると、リーク隙間が大きいため、スタータ・ジェネレータ2の駆動によるエンジンの始動時にロッドが大きく押し込まれてベルト4に弛みが生じ、ベルト4とプーリP乃至Pの接触部で滑りが生じ、ベルト寿命の低下やスタータ・ジェネレータ2によるエンジン始動不良が生じる可能性がある。
一方、リーク隙間をスタータ・ジェネレータ2の駆動によるエンジンの始動時におけるベルト4の張力変動を吸収可能な大きさに設定すると、リーク隙間が小さいために、エンジンの通常運転時におけるベルト4の張力が高くなり過ぎてベルト4が過張力となり、ベルト4やプーリP乃至Pを回転自在に支持する軸受が損傷し易くなり、燃料の消費が多くなるという問題が生じる。
近年、燃費をより向上させるため、アイドリングストップの頻度を増加させる傾向にある。このとき、スタータ・ジェネレータでのエンジン始動時に油圧式オートテンショナに通常運転時よりも大きな軸方向荷重が作用するため、油圧式オートテンショナの摺動部で摩耗が生じ易くなり、耐久性に優れた油圧式オートテンショナの提供が要望されている。
この発明の課題は、エンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータでのエンジン始動時のそれぞれにおいてベルトに適正な張力を付与することができると共に、適正な機能を長期に亘って維持することができるようにした油圧式オートテンショナを提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、オイルが入れられた底付きシリンダの底面上にバルブスリーブを突設し、そのバルブスリーブの内部にロッドの下端部を挿入してバルブスリーブ内に圧力室を設け、前記ロッドの上部に設けられたばね座とシリンダの底面間に、シリンダとロッドを伸張する方向に付勢するリターンスプリングを組込み、前記シリンダの底部には、前記シリンダの内周とバルブスリーブの外周間にリザーバ室の下部と前記圧力室の下部を連通する油通路を形成し、前記バルブスリーブの下端部内に前記圧力室の圧力がリザーバ室内の圧力より高くなると閉鎖して圧力室と油通路の連通を遮断するチェックバルブを設け、前記ロッドに押込み力が負荷された際にチェックバルブを閉じ、圧力室内のオイルをリザーバ室にリークさせて圧力室内のオイルによる油圧ダンパ作用によってロッドに負荷される押込み力を緩衝するようにした油圧式オートテンショナにおいて、前記ロッドの下端部に底板を下部に有する円筒状のプランジャを嵌合し、そのプランジャを前記バルブスリーブの内径面およびロッドの下端部外径面のそれぞれに沿って摺動自在として、前記プランジャとバルブスリーブの摺動面間に第1リーク隙間を形成し、前記プランジャの底板と前記ロッドの下端面間に間隔が形成される状態でプランジャを抜止めする抜止め手段を設け、前記プランジャの内部に前記第1リーク隙間によって発生するダンパ力より弾性力の弱い弾性部材を組み込んでプランジャを下向きに付勢し、前記プランジャの底板には、弁座を上側に有し、その弁座のロッド下端面に対する着座によって閉鎖状態とされる弁孔を設け、前記プランジャの内側には、前記第1リーク隙間より流路抵抗が小さい第2リーク隙間を設け、前記バルブスリーブおよび前記プランジャのそれぞれに耐摩耗性を向上させる表面改質処理を施した構成を採用したのである。
上記の構成からなる油圧式オートテンショナにおいて、ISGのアイドルストップ機構が搭載されたエンジンの補機駆動用ベルト伝動装置におけるベルトの張力調整に際しては、エンジンブロック等のテンショナ取付け対象にロッド先端のばね座を連結し、シリンダをテンションプーリを支持するプーリアームに連結して、テンションプーリがクランクシャフトプーリとモータ・ジェネレータプーリ間のベルト部を押圧する方向にプーリアームを付勢し、ベルトを緊張させる。
上記のようなベルト伝動装置への油圧式オートテンショナの組込み状態において、エンジンの通常運転状態でベルトの張力が強くなり、そのベルトからロッドに押込み力が負荷されると、圧力室内の圧力が高くなり、チェックバルブが閉鎖し、圧力室内のオイルは弁孔からプランジャの内部に流入して流路抵抗の小さな第2リーク隙間からリザーバ室にリークする。その第2リーク隙間を流れるオイルの粘性抵抗により圧力室内に油圧ダンパ力が発生し、その油圧ダンパ力によって上記押込み力が緩衝され、ベルトは適正張力に保持される。
一方、スタータ・ジェネレータの駆動によるエンジン始動時、ベルトの張力は急激に大きくなって圧力室の圧力が急激に上昇する。この時、チェックバルブは閉鎖し、圧力室内のオイルの圧力によりプランジャが弾性部材の弾性に抗して上昇し、弁座がロッドの下端面に着座して弁孔が閉鎖し、圧力室内のオイルは第1リーク隙間からリザーバ室にリークする。
このとき、第1リーク隙間の流路抵抗は大きいため、オイルはゆっくりとリークして圧力室での圧力低下が少なく、圧力室での油圧ダンパ作用によりロッドの押し込みが抑制されてベルトはクランクシャフトを駆動するのに必要なベルト張力に保持され、ベルトとプーリ間のスリップが防止される。
ここで、スタータ・ジェネレータの駆動によるエンジン始動時、油圧式オートテンショナに大きな軸方向荷重が負荷され、バルブスリーブとプランジャの摺動部において摩耗が生じ易い。その摺動部において摩耗が生じると、第1リーク隙間量が変化して、圧力室内における油圧ダンパ力の切換えに異常が発生し、スタータ・ジェネレータの駆動によるエンジン始動時に必要なベルト張力を付与することができず、ベルトとプーリの接触部で滑りが生じて、エンジンに始動不良が生じる可能性がある。
しかし、この発明では、バルブスリーブおよびプランジャのそれぞれに耐摩耗性を向上させる表面改質処理を施しているため、摩耗することが少なく、第1リーク隙間は常に一定の大きさに保持されることになって、圧力室内における油圧ダンパ力の切換えに異常が発生することがなく、適正な機能を長期に亘って維持し、エンジンに始動不良が生じることはない。
ここで、表面改質処理は、ショットピーニングであってもよく、DLCコーティングであってもよい。
この発明に係る油圧式オートテンショナにおいて、第2リーク隙間は、ロッドとプランジャの摺動面間に形成された円環状隙間からなるものであってもよい。この場合、ロッドとプランジャのそれぞれに表面改質処理を施して耐摩耗性の向上を図り、第2リーク隙間の隙間量が一定に保持されるようにするのが好ましい。
ここで、第1リーク隙間の径方向の隙間量は10μm以上20μm未満とし、第2リーク隙間の径方向の隙間量は20μm以上60μm以下とすることにより、エンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータでのエンジン始動時のそれぞれにおいてベルトに適正な張力を付与することができる。
また、第2リーク隙間で発生するダンパ力を前記第1リーク隙間で発生するダンパ力の1/2〜1/20の範囲とすることによってもエンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータでのエンジン始動時のそれぞれにおいてベルトに適正な張力を付与することができる。
さらに、プランジャの下端部に前記底板を上壁とする円形凹部を設け、その凹部内に嵌合部材を圧入し、その嵌合部材と凹部の嵌合面間又は嵌合部材そのものに第2リーク隙間を形成するようにしてもよい。
この場合、第2リーク隙間は、渦巻き溝であってもよく、オリフィスであってもよい。また、螺旋溝であってもよい。
この発明に係る油圧式オートテンションにおいて、弾性部材として、コイルスプリングや皿ばねあるいはウェーブワッシャを採用することができる。
また、抜止め手段として、プランジャの内周上部にリング溝を設け、そのリング溝内に止め輪を組み込み、ロッドには上記止め輪の内周部を支持可能な段部を設けた構成からなるものを採用することができる。
この発明においては、上記のように、エンジンの通常運転時に圧力室内のオイルを流路抵抗の小さな第2リーク隙間からリザーバ室内にリークさせ、一方、スタータ・ジェネレータでのエンジン始動時に圧力室内の圧力によりプランジャを上昇させて弁孔を閉じ、圧力室内のオイルを流路抵抗の大きな第1リーク隙間からリザーバ室内にリークさせるようにしたので、エンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータでのエンジン始動時のそれぞれにおいてベルトに適正な張力を付与することができる。
また、バルブスリーブ、ロッド、プランジャおよび弾性部材のそれぞれに表面改質処理を施したことにより、これらの部品の摩耗を抑制し、エンジンの通常運転時およびスタータ・ジェネレータでのエンジン始動時のそれぞれにおいて常に適正な機能を発揮させることができる。
この発明に係る油圧式オートテンショナの実施の形態を示す縦断面図 図1のプランジャ装着部位を拡大して示す断面図 プランジャの底板に形成された弁孔の閉鎖状態を示す断面図 プランジャを下向きに付勢する弾性部材の他の例を示す断面図 プランジャを下向きに付勢する弾性部材のさらに他の例を示す断面図 第2リーク隙間の他の例を示す断面図 図6のVII−VII線に沿った断面図 第2リーク隙間のさらに他の例を示す断面図 第2リーク隙間のさらに他の例を示す断面図 図6に示す弾性部材をウェーブワッシャに変更した状態の断面図 アイドルストップ機構が搭載されたエンジンのベルト伝動装置を示し、(a)はエンジンの通常運転状態を示す正面図、(b)はスタータ・ジェネレータによるエンジンの始動状態を示す正面図
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、シリンダ11は底部を有し、その底部の下面に図11(a)に示すプーリアーム6に連結される連結片12が設けられている。
連結片12には、一側面から他側面に貫通する軸挿入孔12aが設けられ、その軸挿入孔12a内に筒状の支点軸12bとその支点軸12bを回転自在に支持する滑り軸受12cとが組み込まれ、上記支点軸12b内に挿通されてプーリアーム6にねじ係合されるボルトの締め付けにより支点軸12bが固定され、その支点軸12bを中心にしてシリンダ11が揺動自在の取付けとされる。
シリンダ11の底面には、スリーブ嵌合孔13が設けられ、そのスリーブ嵌合孔13内に鋼製のバルブスリーブ14の下端部が圧入されている。バルブスリーブ14内にはロッド15の下部が摺動自在に挿入され、そのロッド15の挿入によって、バルブスリーブ14内には上記ロッド15の下側に圧力室16が設けられている。
ロッド15のシリンダ11の外部に位置する上端部にはばね座17が固定され、そのばね座17とシリンダ11の底面間に組込まれたリターンスプリング18は、シリンダ11とロッド15が相対的に伸張する方向に付勢している。
ばね座17の上端にはエンジンブロックに対して連結される連結片19が設けられている。連結片19には一側面から他側面に貫通するスリーブ挿入孔19aが形成され、そのスリーブ挿入孔19a内にスリーブ19bと、そのスリーブ19bを回転自在に支持する滑り軸受19cとが組み込まれ、上記スリーブ19b内に挿通されるボルトによって連結片19がエンジンブロックに回転自在に連結される。
ばね座17は成形品からなり、その成形時にシリンダ11の上部外周を覆う筒状のダストカバー20と、リターンスプリング18の上部を覆う筒状のスプリングカバー21とが同時に成形されて、ばね座17に一体化されている。
ここで、ばね座17は、アルミのダイキャスト成形品であってもよく、あるいは、熱硬化性樹脂等の樹脂の成形品であってもよい。
スプリングカバー21は、ばね座17の成形時にインサート成形される筒体22によって外周の全体が覆われている。筒体22は、鋼板のプレス成形品からなる。
シリンダ11の上側開口部内にはシール部材としてのオイルシール23が組込まれ、そのオイルシール23の内周が筒体22の外周面に弾性接触して、シリンダ11の上側開口を閉塞し、シリンダ11の内部に充填されたオイルの外部への漏洩を防止し、かつ、ダストの内部への侵入を防止している。
上記オイルシール23の組み込みにより、シリンダ11とバルブスリーブ14との間に密閉されたリザーバ室24が形成される。リザーバ室24と圧力室16は、スリーブ嵌合孔13とバルブスリーブ14の嵌合面間に形成された油通路25およびスリーブ嵌合孔13の底面中央部に形成された円形凹部からなる油溜り26を介して連通している。
バルブスリーブ14の下端部内にはチェックバルブ27が組み込まれている。チェックバルブ27は、圧力室16内の圧力がリザーバ室24内の圧力より高くなると閉鎖して、圧力室16と油通路25の連通を遮断し、圧力室16内のオイルが油通路25を通ってリザーバ室24に流れるのを防止する。
図1および図2に示すように、ロッド15のバルブスリーブ14内に位置する下端部にはプランジャ30が嵌合されている。図2に示すように、プランジャ30は下部に底板31を有する円筒状をなし、その底板31の上面中央部に突出部32が設けられ、その突出部32の軸心上に上下に貫通する弁孔33が設けられている。
突出部32の上面は弁座34とされ、ロッド15の平坦な下端面に対する上記弁座34の着座によって弁孔33が閉鎖状態とされる。弁座34として、ここでは断面円弧状のものを示したが、図4および図5に示すような平坦面からなるものであってもよい。
プランジャ30は、ロッド15の外径面およびバルブスリーブ14の内径面に沿って摺動自在とされ、バルブスリーブ14に対する摺動面間に円環状隙間が設けられ、その円環状隙間が第1リーク隙間Lとされている。一方、ロッド15に対する摺動面間にも円環状隙間が形成され、その円環状隙間が第2リーク隙間L2とされている。
第1リーク隙間Lにおける径方向の隙間量は10μm以上20μm未満とされている。一方、第2リーク隙間L2の径方向の隙間量は20μm以上60μm以下とされ、その第2リーク隙間L2の流路抵抗が第1リーク隙間Lの流路抵抗より小さくされている。
プランジャ30は、ロッド15の下端面と底板31間に組み込まれた弾性部材37によって下向きに付勢されており、上記ロッド15との間に設けられた抜止め手段40によって弁座34とロッド15の下端面間に間隙が形成される状態、つまり、弁孔33が開放する状態で抜止めされるようになっている。
弾性部材37として、ここでは、径の異なる2つのコイルスプリングを示したが、弾性部材37はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すような皿ばねであってもよく、あるいは、図5に示すようウェーブワッシャであってもよい。この弾性部材37の弾性力は、第1リーク隙間Lによって発生するダンパ力より弱く、第2リーク隙間Lによって発生するダンパ力より強くなっている。
抜止め手段40は、プランジャ30の内周上部にリング溝41を設け、そのリング溝41内に止め輪42を組み込み、ロッド15には上記止め輪42の内周部が嵌合可能な環状溝43を設け、その環状溝43の下側段部44に対する止め輪42の内周部の当接によってプランジャ30を抜止めするようにしている。
実施の形態で示す油圧式オートテンショナは上記の構成からなり、図11(a)に示すアイドルストップ機構が搭載されたエンジンの補機駆動用ベルト伝動装置への組込みに際しては、シリンダ11の閉塞端に設けた連結片12をエンジンブロックに連結し、かつ、ばね座17の連結片19をプーリアーム6に連結して、そのプーリアーム6に調整力を付与する。
上記のようなベルト4の張力調整状態において、エンジンの通常運転状態において、補機3の負荷変動等によってベルト4の張力が変化し、上記ベルト4の張力が弱くなると、リターンスプリング18の押圧によりシリンダ11とロッド15が伸張する方向に相対移動してベルト4の弛みが吸収される。
ここで、シリンダ11とロッド15が伸張する方向に相対移動するとき、圧力室16内の圧力はリザーバ室24内の圧力より低くなるため、チェックバルブ27が開放する。このため、リザーバ室24内のオイルは油通路25から油溜り26を通って圧力室16内にスムーズに流れ、シリンダ11とロッド15は伸張する方向にスムーズに相対移動してベルト4の弛みを直ちに吸収する。
一方、ベルト4の張力が強くなると、ベルト4から油圧式オートテンショナのシリンダ11とロッド15を収縮させる方向の押込み力が負荷される。このとき、圧力室16内の圧力はリザーバ室24内の圧力より高くなるため、チェックバルブ27が閉鎖し、圧力室16内のオイルは弁孔33からプランジャ30内に流入し、第2リーク隙間L2からリザーバ室24にリークし、上記第2リーク隙間L2を流動するオイルの粘性抵抗によって圧力室16内に油圧ダンパ力が発生する。その油圧ダンパ力により、油圧式オートテンショナに負荷される上記押込み力が緩衝される。
このとき、第2リーク隙間L2は、エンジンの通常運転時におけるベルト4の張力変動を吸収可能な大きさに設定されているため、エンジンの通常運転時におけるベルト4の張力が高くなり過ぎることはなく、適正張力に保持される。
一方、スタータ・ジェネレータ2の駆動によるエンジン始動時、ベルト4の張力は急激に大きくなってロッド15に対する押込み力が強くなり、圧力室16の圧力が急激に上昇する。このとき、チェックバルブ27は閉鎖すると共に、圧力室16内のオイルの圧力によりプランジャ30が弾性部材37の弾性に抗して上昇し、図3に示すように、弁座34がロッド15の下端面に着座して弁孔33が閉鎖し、圧力室16内のオイルが第1リーク隙間Lからリザーバ室24にリークする。
このとき、第1リーク隙間Lの流路抵抗は第2リーク隙間L2の流路抵抗より大きいため、オイルはゆっくりとリザーバ室24にリークして圧力室16での圧力低下が少なく、その圧力室16での油圧ダンパ作用によりロッド15の押し込みが抑制されてベルト4はクランクシャフト1を駆動するのに必要なベルト張力に保持され、ベルト4とプーリP乃至P間のスリップが防止される。
上記のように、スタータ・ジェネレータ2の駆動によるエンジン始動時、ロッド15に大きな軸方向荷重が負荷されるため、スリーブ14とプランジャ30の摺動部、ロッド15とプランジャ30の摺動部において摩耗が生じ易い。また、ロッド15と弾性部材37の接触部においても摩耗が生じ易い。
ここで、スリーブ14とプランジャ30の摺動部やロッド15とプランジャ30の摺動部において摩耗が生じると、第1リーク隙間Lや第2リーク隙間Lのリーク隙間量が変化して、圧力室16内における油圧ダンパ力の切換えに異常が発生し、スタータ・ジェネレータ2の駆動によるエンジン始動時に必要なベルト張力を付与することができず、ベルト4とプーリP乃至Pの接触部で滑りが生じて、エンジンに始動不良が生じる可能性がある。
上記のような不都合の発生を防止するため、実施の形態においては、バルブスリーブ14、ロッド15、プランジャ30および弾性部材37のそれぞれに耐摩耗性を向上させる表面改質処理を施している。
表面改質処理として、ショットピーニングやDLCコーティングを採用することができる。
上記のように、バルブスリーブ14、ロッド15、プランジャ30および弾性部材37のそれぞれを表面改質処理することによって、これら各種の部品の耐摩耗性の向上を図ることができるため、摩耗することが少なく、第1リーク隙間Lおよび第2リーク隙間Lのそれぞれは常に一定の大きさに保持されることになる。したがって、圧力室16内における油圧ダンパ力の切換えに異常が発生することがなく、油圧式オートテンショナは適正な機能を長期に亘って維持することになり、エンジンに始動不良が生じることはない。
図2においては、ロッド15とプランジャ30の摺動面間に形成された円環状隙間を第2リーク隙間L2としたが、第2リーク隙間L2はこれに限定されるものではない。図6乃至図9は第2リーク隙間Lの他の例を示している。
図6および図7においては、プランジャ30の下端部に底板31を上壁とする円形凹部50を設け、その凹部50内に円盤状の嵌合部材51を圧入し、その嵌合部材51の外周一部に、円形凹部50の内径面間に空隙52を形成する平坦部53を設け、上記嵌合部材51の上面に上記空隙52と弁孔33を連通する渦巻き溝を形成し、その渦巻き溝を第2リーク隙間Lとしている。
図6では、上記のように、嵌合部材51の上面に渦巻き溝からなる第2リーク隙間Lを設けたが、底板31の下面側に渦巻き溝からなる第2リーク隙間Lを設けてもよい。
図8においては、プランジャ30の下端部に形成された円形凹部50内に円盤状の嵌合部材51を圧入し、その嵌合部材51にテーパ状凹部54と、そのテーパ状凹部54を弁孔33に連通する小径のオリフィスを設け、上記オリフィスを第2リーク隙間Lとしている。
図9においては、プランジャ30の下端部に形成された円形凹部50内にキャップ状の嵌合部材51を圧入し、その嵌合部材51の外周に螺旋溝を設け、その螺旋溝を第2リーク隙間Lとしている。この場合、円形凹部50の内径面に螺旋溝からなる第2リーク隙間Lを設けてもよい。
図2では、ロッド15の外径面に形成された環状溝43の下側段部44に対する止め輪42の当接によってプランジャ30を抜止めしたが、図6に示すように、ロッド15の下部にプランジャ30の内径面間に隙間をもって嵌合されるフランジ45を設け、そのフランジ30の上面を段部46とし、その段部46に対する止め輪42の当接によってプランジャ30を抜止めしてもよい。
図8および図9では、図6と同様に、フランジ45の上面に対する止め輪42の当接によってプランジャ30を抜止めしている。図6、図8および図9に示す例においては、フランジ45の下面に柱状の弁体部47を設け、その弁体部47の下端に形成された円錐形面47aに弁孔33の上側に形成されたテーパ状の弁座34を着座させて弁孔33を閉鎖するようにしている。
また、図6、図8および図9では、積層された複数の皿ばねからなる弾性部材37でプランジャ30を下向きに付勢するようにしているが、弾性部材37として、図10に示すウェーブワッシャを採用するようにしてもよい。
なお、図6、図8および図9に示すいずれの例においても、バルブスリーブ14、ロッド15、プランジャ30および弾性部材37のそれぞれを表面改質処理して耐摩耗性の向上を図るようにしている。
11 シリンダ
14 バルブスリーブ
15 ロッド
16 圧力室
17 ばね座
18 リターンスプリング
24 リザーバ室
25 油通路
27 チェックバルブ
30 プランジャ
31 底板
33 弁孔
34 弁座
37 弾性部材
40 抜止め手段
41 リング溝
42 止め輪
44 段部
46 段部
50 円形凹部
51 嵌合部材
54 テーパ状凹部
第1リーク隙間
第2リーク隙間

Claims (9)

  1. オイルが入れられた底付きシリンダ(11)の底面上にバルブスリーブ(14)を突設し、そのバルブスリーブ(14)の内部にロッド(15)の下端部を挿入してバルブスリーブ(14)内に圧力室(16)を設け、前記ロッド(15)の上部に設けられたばね座(17)とシリンダ(11)の底面間に、シリンダ(11)とロッド(15)を伸張する方向に付勢するリターンスプリング(18)を組込み、前記シリンダ(11)の底部には、前記シリンダ(11)の内周とバルブスリーブ(14)の外周間に形成されたリザーバ室(24)の下部と前記圧力室(16)の下部を連通する油通路(25)を形成し、前記バルブスリーブ(14)の下端部内に前記圧力室(16)の圧力がリザーバ室(24)内の圧力より高くなると閉鎖して圧力室(16)と油通路(25)の連通を遮断するチェックバルブ(27)を設け、前記ロッド(15)に押込み力が負荷された際にチェックバルブ(27)を閉じ、圧力室(16)内のオイルをリザーバ室(24)にリークさせて圧力室(16)内のオイルによる油圧ダンパ作用によってロッド(15)に負荷される押込み力を緩衝するようにした油圧式オートテンショナにおいて、
    前記ロッド(15)の下端部に底板(31)を下部に有する円筒状のプランジャ(30)を嵌合し、そのプランジャ(30)を前記バルブスリーブ(14)の内径面およびロッド(15)の下端部外径面のそれぞれに沿って摺動自在として、前記プランジャ(30)とバルブスリーブ(14)の摺動面間に第1リーク隙間(L)を形成し、前記プランジャ(30)の底板(31)と前記ロッド(15)の下端面間に間隔が形成される状態でプランジャ(30)を抜止めする抜止め手段(40)を設け、前記プランジャ(30)の内部に前記第1リーク隙間(L)によって発生するダンパ力より弾性力の弱い弾性部材(37)を組み込んでプランジャ(30)を下向きに付勢し、前記プランジャ(30)の底板(31)には、弁座(34)を上側に有し、その弁座(34)のロッド下端面に対する着座によって閉鎖状態とされる弁孔(33)を設け、前記プランジャ(30)の内側には、前記第1リーク隙間(L)より流路抵抗が小さい第2リーク隙間(L)を設け、前記バルブスリーブ(14)および前記プランジャ(30)のそれぞれに耐摩耗性を向上させる表面改質処理を施したことを特徴とする油圧式オートテンショナ。
  2. 前記表面改質処理が、ショットピーニング、DLCコーティングの一種からなる請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
  3. 前記第2リーク隙間(L)が、前記ロッド(15)と前記プランジャ(30)の摺動面間に形成された円環状隙間からなる請求項1又は2に記載の油圧式オートテンショナ。
  4. 前記第1リーク隙間(L)の径方向の隙間量を10μm以上20μm未満とし、前記第2リーク隙間(L)の径方向の隙間量を20μm以上60μm以下とした請求項3に記載の油圧式オートテンショナ。
  5. 前記第2リーク隙間(L)で発生するダンパ力を前記第1リーク隙間(L)で発生するダンパ力の1/2〜1/20の範囲とした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の油圧式オートテンショナ。
  6. 前記プランジャ(30)の下端部に前記底板(31)を上壁とする円形凹部(50)を設け、その凹部(50)内に嵌合部材(51)を圧入し、その嵌合部材(51)と凹部(50)の嵌合面間又は嵌合部材(51)そのものに前記第2リーク隙間(L)が形成された請求項1又は2に記載の油圧式オートテンショナ。
  7. 前記第2リーク隙間(L)が、渦巻き溝、オリフィス、螺旋溝の一種からなる請求項6に記載の油圧式オートテンショナ。
  8. 前記弾性部材(37)が、コイルスプリング、皿ばね、ウェーブワッシャの一種からなる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の油圧式オートテンショナ。
  9. 前記抜止め手段(40)が、前記プランジャ(30)の内周上部にリング溝(41)を設け、そのリング溝(41)内に止め輪(42)を組み込み、前記ロッド(15)には前記止め輪(42)の内周部を支持可能な段部(44、46)を設けた構成からなる請求項1乃至8のいずれか1項に記載の油圧式オートテンショナ。
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