JP2016145371A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ベースフィルム上への薄膜形成において、ロールtoロールによる高い生産効率と真空環境下での成膜による欠陥の少ない膜質を両立した成膜装置及び成膜方法を提供することである。【解決手段】本発明の成膜装置は、大気圧又はその近傍の圧力環境下でロール体からベースフィルムを巻き出して搬送し、前記ベースフィルム上に成膜を行う成膜装置であって、前記ベースフィルムが搬送される環境の圧力調整部と、前記ベースフィルム上に真空環境下で薄膜を形成する成膜室と、前記圧力調整部と前記成膜部の間に、排気手段により減圧可能な中間室を備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置及び成膜方法に関する。具体的には、ベースフィルム上への薄膜形成において、ロールtoロールによる高い生産効率と、真空環境下での成膜による欠陥の少ない膜質を両立した成膜装置及び成膜方法に関する。
従来、ベースフィルム上に機能性層として無機膜が形成された機能性フィルムが広く利用されている。
食品、医薬品、電子デバイス等の包装材として用いられているガスバリアー性フィルムも、機能性フィルムの一つである。ガスバリアー性フィルムは、ベースフィルム上に形成されたガスバリアー層が、大気中の水、酸素等のガスを遮蔽して内容物の劣化を防ぐ。
無機膜を緻密な薄膜として形成できる方法として、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、スパッタリング法、プラズマ化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、等が知られている。
このような薄膜の形成においては、生産性を高める観点から、長手のロール形状のベースフィルムを用いて、ロールtoロール(roll to roll)によって成膜する成膜方法が知られている。
例えば、特許文献1には、ALD法による薄膜形成を行うための前駆体ガスを基材に対して局所的に出力可能な複数のヘッド部を備えることにより、成膜の際の自由度が高いロールtoロール法による成膜装置が開示されている。
ALD法は、異なる原料を交互に供給して各原料を反応させる成膜処理を複数サイクル繰り返し、1サイクルごとに原子層を1層ずつ堆積させて薄膜を形成する方法であるため、膜厚はベースフィルムに原料を反応させるサイクル数のみに依存する。したがって、成膜レートを上げるためには、反応させる原料を素早く入れ替える必要がある。特許文献1に記載されるようなロールtoロールによる成膜装置によれば、チャンバー内の原料の交換処理が不要であるため、ALD法による成膜の場合には特に、成膜時間が大幅に短縮されて生産効率が高まるという利点がある。
ALD法等による薄膜の形成は、真空又は減圧状態で行うことにより、ベースフィルムの内部から発生するガスや大気中の水分等が除去されて高品質な成膜が可能となる。薄膜の形成を大気圧環境下で行った場合には、蒸着に使用される原料使用率が低く、また除害設備が大掛かりになり、安全性にも課題を残していた。さらに、製膜空間中の原料濃度が高いため、空間中での不要な反応に伴うパーティクルが発生しやすくなり、フィルム成膜面上に付着することにより膜欠陥が生じやすいという問題があった。このように、コスト及び排気ガスの処理の負荷、さらに膜質の観点から、薄膜の形成は真空環境で行うことが望ましい。
特にALD法によれば、各原料を反応させる成膜処理の1サイクルごとに原子層を1層ずつ堆積させて薄膜を形成することにより緻密な薄膜を形成可能であるため、厚さ数nm程度の非常に薄い膜であっても、従来のCVD法等により形成される厚さ数十〜数百nmの膜と同程度のバリアー性を備えることが可能である一方、成膜環境におけるムラの発生がその後の成膜に大きく影響して支障をきたし、面内均一性が劣る点で問題となっていた。
例えば特許文献1に記載されるような生産効率の高いロールtoロール法による成膜装置において、真空装置内にフィルムロールを装填して、減圧工程を経て成膜を行い、巻き取り後のフィルムロールを取り出し、新規に成膜するためのフィルムロール元巻を装填するためには装置内の圧力を再び大気圧に戻す工程が必要で、全行程を終了するまでに多くの生産時間を要するという問題点がある。
そこで、例えば特許文献2には、大気圧又はその近傍の圧力環境下でロール状の樹脂フィルムを巻き出して、樹脂フィルム上にバリアー膜を成膜した後、圧力調整部を介して樹脂フィルムを真空状態の成膜室へ搬送して、透明導電膜を蒸着成膜する方法が開示されている。
特許文献2に記載された成膜方法によれば、圧力調整部を用いて成膜工程の一部のみを真空又は減圧状態にするので、ロールtoロールによる高い生産効率を維持しつつ、膜質が向上する。
しかし、大気圧又はその近傍の圧力環境と真空状態の成膜室との間に圧力調整部のみが介在する特許文献2に記載の方法では、大気圧中に保管されているベースフィルム中の残存ガスが成膜室内部で放出されたり、ベースフィルムの表面に付着、帯同した外気が圧力調整部を介して成膜室へ持ち込まれるため、蒸着薄膜の膜質はいまだ不十分であり、さらなる改善が求められていた。
特開2011−137208号公報 国際公開第2008/102808号
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされ、その解決課題は、ベースフィルム上への薄膜形成において、ロールtoロールによる高い生産効率と真空環境下での成膜による欠陥の少ない膜質を両立した成膜装置及び成膜方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、圧力調整部と成膜室の間に、排気手段により減圧可能な中間室を設けることによって、膜質が大幅に向上することを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.大気圧又はその近傍の圧力環境下でロール体からベースフィルムを巻き出して搬送し、前記ベースフィルム上に成膜を行う成膜装置であって、
前記ベースフィルムが搬送される環境の圧力調整部と、
前記ベースフィルム上に真空環境下で薄膜を形成する成膜室と、
前記圧力調整部と前記成膜部の間に、排気手段により減圧可能な中間室を備えることを特徴とする成膜装置。
2.前記中間室の室内を加熱及び冷却するための手段の少なくとも一方の手段を備えることを特徴とする第1項に記載の成膜装置。
3.前記中間室における前記ベースフィルムの搬送経路長が、前記圧力調整部における前記ベースフィルムの搬送経路長よりも長いことを特徴とする第1項又は第2項に記載の成膜装置。
4.前記成膜室において、原子層堆積法により前記ベースフィルム上に薄膜を形成することを特徴とする第1項から第3項のいずれか一項に記載の成膜装置。
5.巻き出し部より大気圧中でロールからベースフィルムを連続的に巻き出す工程、
前記ベースフィルムを圧力調整部を介して搬送する工程、
前記圧力調整部の搬送に続けて、排気手段により減圧可能な中間室を通過させる工程、
続けて成膜室においてベースフィルム上に真空環境下で薄膜を形成する工程
を有することを特徴とする成膜方法。
6.前記中間室の室内を加熱及び冷却する工程の少なくとも一方の工程を有することを特徴とする第5項に記載の成膜方法。
7.前記ベースフィルムが前記中間室に挿入されてから排出されるまでの所要時間が、前記圧力調整部に挿入されてから排出されるまでの所要時間よりも長いことを特徴とする第5項又は第6項に記載の成膜方法。
8.前記成膜室において、原子層堆積法により前記ベースフィルム上に成膜を行うことを特徴とする第5項から第7項のいずれか一項に記載の成膜方法。
9.前記ベースフィルムの搬送速度が30m/分以上であることを特徴とする第5項〜第8項のいずれか一項に記載の成膜方法。
本発明の上記手段により、ベースフィルム上への薄膜形成において、ロールtoロールによる高い生産効率と真空環境下での成膜による欠陥の少ない膜質を両立した成膜装置及び成膜方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察される。
ベースフィルムの表面又は内部に残留している大気や水分、ガス等、圧力調整部と成膜室の間に設けられた減圧手段を備えた中間室において効率よく除去されるため、成膜室への流入が低減する。結果として、ベースフィルムの表面又は内部に残留している大気や水分、ガス等と成膜の原料との不測の反応によるパーティクルの発生及びベースフィルムへの付着を防ぎ、膜質が向上すると考えられる。
本実施の形態に係る成膜装置の概略構成を示す概念図の一例 軸方向において段差が設けられたローラーの一例 変形例に係る成膜装置の概略構成を示す概念図の一例 従来の成膜装置の概略構成の一例 圧力調整部における搬送経路の概略構成を示す概念図 加熱手段を備えた中間室の概略構成の一例 冷却手段を備えた中間室の概略構成の一例 CVD法による成膜を行う本実施の形態に係る成膜装置の概略構成を示す概念図の一例
本発明の成膜装置は、大気圧又はその近傍の圧力環境下でロール体からベースフィルムを巻き出して搬送し、前記ベースフィルム上に成膜を行う成膜装置であって、前記ベースフィルムが搬送される環境の圧力調整部と、前記ベースフィルム上に真空環境下で薄膜を形成する成膜室と、前記圧力調整部と前記成膜部の間に、排気手段により減圧可能な中間室を備えることを特徴とする。この特徴は請求項1から請求項9までの各請求項に係る発明に共通の技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記中間室の室内を加熱及び冷却するための手段の少なくとも一方の手段を備えることが、ベースフィルム表面及び内部に残存したガスをさらに低減できることから好ましい。
さらに、本発明の効果発現の観点から、前記中間室における前記ベースフィルムの搬送経路長が、前記圧力調整部における前記ベースフィルムの搬送経路長よりも長いことが好ましい。
また、同様の観点から、前記成膜室において、原子層堆積法により前記ベースフィルム上に薄膜を形成することが好ましい。
本発明の成膜方法の好ましい態様は、上述した成膜装置と同様の態様に加えて、さらに、本発明の効果発現の観点から、前記ベースフィルムの搬送速度が30m/分以上であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
〔成膜装置〕
本発明の成膜装置は、大気圧又はその近傍の圧力環境下でロール体からベースフィルムを巻き出して搬送し、ロールtoロールにより前記ベースフィルム上に成膜を行う成膜装置において、前記ベースフィルムが搬送される環境の圧力を調整する圧力調整部と、前記ベースフィルム上に真空環境下で蒸着により成膜を行う成膜室と、前記圧力調整部と前記成膜室の間に、排気手段により減圧可能な中間室を備えることを特徴とする。
本発明の成膜装置においてベースフィルム上に薄膜を形成する方法としては、減圧下で行われる蒸着方法であれば特に限定されるものではないが、スパッタリング法、熱蒸着法等の物理蒸着法や光CVD、Cat−CVD、プラズマCVD、ALD法等の化学蒸着法が好ましく用いられる。
ALD法は、ベースフィルム上に2種以上の原料を交互に供給し、各原料を反応させる成膜処理を複数サイクル繰り返し、1サイクルごとに原子層(実際には化合物の分子層であり得る。)を1層ずつ堆積させて薄膜を形成する方法である。ALD法であれば、ALD法の1種であるPEALD(Plasma Enhanced ALD)法、熱ALD法等を用いることもできる。
本発明の成膜装置及び成膜方法は、薄膜で均一な膜が形成されるALD法を用いた場合に、特に顕著な効果が得られる。
本発明の成膜室で成膜される薄膜の厚さは通常1〜2000nmの範囲内であり、膜の厚さの均一性と生産性の観点から好ましくは3〜500nmの範囲内である。さらに好ましくは4〜50nmの範囲内である。
本発明の成膜室で成膜される薄膜は光学用途、パッシベーション、導電性層、絶縁性層など種々の目的で用いられる金属又は半金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、酸炭化物、炭窒化物の単独、若しくはその組み合わせの組成を取ることができる。
金属又は半金属としては、チタン、亜鉛、ニッケル、Nb、V、Ta、Hf、Cu、Co、Si、Fe、Y、Al等が挙げられる。
以下、本発明の実施の形態として、ALD法を用いて2種の原料を交互に供給して薄膜を形成する成膜装置の構成の一例を説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は、本実施の形態に係る成膜装置100の概略構成を示す概念図の一例である。図1に示すように、成膜装置100は、圧力調整部10、中間室20、及び成膜室30を備えている。
以下、ベースフィルム1をアンワインダー40により巻き出す側を上流側、ワインダー50により巻き取る側を下流側とする。
なお、圧力調整部は成膜室30の下流側にも設けられてもよく、その場合には、成膜室30と、成膜室30の下流側の圧力調整部11との間にも、中間室が設置されても良い。
[圧力調整部]
アンワインダー40から巻き出されたベースフィルム1は、圧力調整部10へ搬送される。成膜室30の上流側の圧力調整部10の構成は、ベースフィルム1が搬送される圧力環境を大気圧近傍から真空とすることができれば任意であるが、例えば、特開2010−17430号公報に記載されるような減圧ユニットを複数連結した減圧手段を用いることができる。
また、成膜室30の下流側の圧力調整部10の構成は、ベースフィルム1の搬送される圧力環境を真空近傍から大気圧近傍へとすることができれば任意であるが、例えば、特開2010−17430号公報に記載されるような復元ユニットを複数連結した圧力復元手段を用いることができる。
その他、本発明の圧力調整部10は、例えば国際公開2008/102868の図2に記載されるように、複数の緩衝チャンバーから成るものでもよい。具体的には、緩衝チャンバーは、搬送されたベースフィルム1が通過する開口部がオリフィス形状のシールロールを備えた隔壁で仕切られて、それぞれの排気ポンプの排気により圧力を独立で調整可能であり、シールロールはベースフィルム1の成膜面が無接触で丁度通り抜けられるだけの間隙を有している。ベースフィルム1は、シールロールの間隙を通過して、上流側の緩衝チャンバーの入り口側の大気圧近傍から下流側の緩衝チャンバーへ搬送されるにしたがって順次減圧となるよう調整され、最も下流側の緩衝チャンバーの出口では真空に至るように調整されて中間室20に送られる。
[中間室]
中間室20は、図1に示すように、大気圧から真空に変換するための圧力調整部10と、真空下で成膜を行う製膜室の間に位置する。
中間室20は室内の圧力を独立して制御可能な真空ポンプ21を備えていることが好ましい。さらには、中間室20内に窒素などの不活性なガスを供給する配管22を備えていることが好ましい。
中間室20内は、ガイドロールなど、長尺のベースフィルム1を搬送するための部材を有しておりその配置位置、本数等で中間室20内のベースフィルム1の搬送経路長を調整することができる。
中間室20内のベースフィルム1の搬送経路長は、ベースフィルム1が中間室20へ搬入される入口部20aから、ベースフィルム1が中間室20から搬出される出口部20bまでの間に、ベースフィルム1が通過する経路の長さであり、Lと定義する。
同様に、圧力調整部10内のベースフィルム1の搬送経路長は、ベースフィルム1が圧力調整部10へ搬入される入口部10aから、ベースフィルム1が圧力調整部10から搬出される出口部10bまでの間にベースフィルム1が通過する経路の長さであり、Lと定義する。
本発明の成膜装置100の圧力調整部10内のベースフィルム1の搬送経路長Lと中間室20内のベースフィルム1の搬送経路長Lの関係がL<Lであることが好ましい。この関係を満たすことによって、中間室20でベースフィルム1を長い時間滞留させることによって、成膜室30への直接的な外気の流入を効率よく防ぐことができることから、本発明の効果がより顕著にあらわれる。
また、Lに対するLの上限は、アンワインダー40からワインダー50までの総搬送経路長を最小限にすることで生産性の向上や生産工程終了後の基材ロスを低減する観点から、LはLの50倍以下であることが好ましい。
すなわち、L/Lの下限及び上限は下記の関係を満たすことが好ましい。
1.0<L/L<50.0
中間室20の容積は、圧力調整部10の容積よりも大きいことが好ましい。具体的には、「中間室20の容積」/「圧力調整部10の容積」で計算される容積比が10〜10000の範囲内であることが好ましく、20〜1000の範囲内であることがさらに好ましい。容積比を下限値より大きくすることで成膜室30への外気の混入を良好に低減できる。また、容積比を上限値より小さくすることで中間室20の排気能力を維持しながら本発明の効果を得ることができる。
中間室20は、加熱手段又は冷却手段を備えて、温度調整可能であることが好ましい。
本発明の成膜装置100の中間室20内で用いられる加熱手段は、電気式、ガス式、熱媒式等を用いることができる。中でも応答性の点から電気式加熱手段が好ましく、例えば、パイプヒーター、プレートヒーター、セラミックヒーター等が好ましく用いられる。
中間室20の加熱手段は、真空に維持された中間室20内のベースフィルム1表面からのガスの放出を促進する目的で用いられる。加熱の程度はベースフィルム1の耐熱性によっても異なるが、ベースフィルム1のガラス転移温度前後で用いられることが好ましい。例えば、ベースフィルム1がポリエステルテレフタレート(PET)を主成分とする場合は、ベースフィルム1の表面温度が60〜100℃程度となるように設定することが好ましい。
本発明の成膜装置100の中間室20内で用いられる冷却手段は、例えば、コンプレッサーを用い、不燃性かつ安全な混合冷媒ガスの圧縮/膨張を繰り返す冷却サイクルにて氷点下まで冷却を行う。中間室20内の水分子(HO)を超低温のクライオコイル(冷却用コイル)に吸着排気させる事で中間室20内の水蒸気を低減することができる。
中間室20内のクライオコイルの表面温度の設定値は−160〜−10℃の範囲が好ましい。クライオコイルの表面温度の下限値を−160℃以上とすることで中間室20内の窒素ガス等の不活性ガスの不要な補足を避けることができる。また、クライオコイルの表面温度の上限値を−10℃とすることで中間室20内の水蒸気を良好に補足することができる。
[成膜室]
中間室20を通過したベースフィルム1は、成膜室30に搬送される。成膜室30は、2種の原料ガス供給部(図示されてない。)から二つの原料ガス導入配管311及び321を通して供給されたガス状の原料が充填された成膜部31及び32と、二つの成膜部の間に位置する隔離部33とを備えている。成膜部31及び32と隔離部33とは、図示しない真空ポンプ等によって真空圧下に調整されている。また、成膜部31及び32と隔離部33とは、それぞれ仕切り板34で仕切られており、仕切り板34には、ベースフィルム1が通過できるように開口部341が設けられている。
例えば、成膜部31において、ベースフィルム1の表面に原料ガス導入配管311を通して供給されたガス状の第1原料が吸着する。成膜部32においては、原料ガス導入配管321を通して供給された第2原料によりベースフィルム1の表面に吸着した第1原料に対して酸化、窒化等の改質処理を行うことができる。
(隔離部)
成膜部31及び32は、不活性ガス導入管331から導入された不活性ガスを充填した隔離部33により隔てられている。ベースフィルム1上の余剰のガス状の原料は、不活性ガスとともにガス排出管332及び333から排気され除去される。
隔離部33中の不活性ガスは、成膜部31及び32に充填されたそれぞれのガス状の原料との反応性が低いガスをいう。使用できる不活性ガスとしては、例えば希ガス等が挙げられ、第1原料及び第2原料との反応性が低いのであれば、窒素ガス等も使用することができる。
後述する改質処理における反応が遅い場合、成膜部32から搬送されたベースフィルム1に、プラズマ処理部において、例えば酸素プラズマ処理を施して緻密な酸化物被膜を形成することもできる。この場合、プラズマ処理は、隔離部33中の不活性ガスとは独立して、仕切り板34で仕切られた、酸素ガスが充填された空間で行うことができる。
(成膜部)
本発明における成膜部は、原子層堆積法に必要な、それぞれガス状の原料が充填されたベースフィルム1が搬送される空間をいう。複数の成膜部31及び32には、それぞれガス状の原料が充填されるが、成膜部31及び32に、同じガスが充填されていてもよいし、それぞれ異なるガス状の原料が充填されていてもよいし、さらに複数のガス状の原料を混合して用いても良い。この中では、均一性の優れた成膜を行う観点から、図1で説明したように、成膜部31及び32は、原子層堆積法に必要なそれぞれ異なるガス状の原料が充填されていることが好ましい。しかし、例えば隔離部33内の一部に、図示されていない別の仕切り板34を設けることによって設けられたプラズマ処理部で改質処理を行う場合、成膜部31及び32の両方に、ガス状の第1原料を充填し、仕切り板34で仕切られたプラズマ処理部にガス状の第2原料を充填して、原子層堆積法による成膜を行うこともできる。
(仕切り板)
本発明で成膜部31及び32の空間を形成するための仕切り板34は耐熱性を有し、塵埃などの発生が少ないものであれは特に制限はない。鉄、銅、ニッケル、クロム、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、等の単独又は合金からなる金属が好ましい。成膜に用いる原料が腐食性を有する場合には耐腐食性を有するものが好ましく用いられる。価格や加工性、耐久性の点においてアルミニウム、ステンレスなどが好ましく用いられる。本発明で用いられる仕切り板34は、ベースフィルム1が成膜部31及び32内を複数回往復可能なように、ベースフィルム1に接触することなく通過可能なスリット状の開口部341を設ける。搬送時に通過するベースフィルム1と開口部341との間隔は、通常1〜100mmの範囲内が好ましく、より好ましくは5〜50mmの範囲内である。
ベースフィルム1と開口部341との間隔は、1mm以上であればベースフィルム1が搬送のばたつきにより仕切り板34と接触してダメージを受けることはなく、100mm以下の場合には成膜部31及び32内の原料濃度を安定化させることができる。
[ガス状の原料]
原料ガス導入配管311及び321を通して供給されるガス状の原料を、それぞれ第1原料及び第2原料とすると、形成する膜に応じて第1原料及び第2原料を選択することができる。
無機膜を形成する場合、第1原料としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)等の金属元素を含有する金属化合物を用いることができる。無機膜は、当該第1原料を改質処理して得られた金属酸化物、金属窒化物等の金属化合物を含有し得る。
例えば、改質処理により酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム等の金属化合物を含有する無機膜を形成する場合、第1原料としてはアルミニウムを含み、気化できるアルミニウム化合物であれば特に制限はない。そのようなアルミニウム化合物としては、例えば塩化アルミニウム(AlCl)、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリクロロアルミニウム等が挙げられる。
改質処理により酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)等の金属化合物を含有する無機膜を形成する場合、第1原料としてはトリシラン(Si)、ジシラン(Si)、モノシラン(SiH)の他、モノクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)、テトラクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiHCl)等のクロロシラン系、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH)、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CHH)、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C)、ビスターシャリーブチルアミノシラン(SiH[NH(C)])等のアミノシラン系、Si(OC、SiHCl、Si(NO等が挙げられる。
改質処理により酸化チタン(TiO)、窒化チタン、炭窒化チタン等の金属化合物を含有する無機膜を形成する場合、第1原料としてはTiF、四塩化チタン(TiCl)、TiBr、TiI、テトラキスジメチルアミノチタン([(CHN]Ti)、テトラキスジエチルアミノチタンTi[N(C、Ti[N(CCH)]、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti[(OCH)(CH)が挙げられる。
第2原料としては、第1原料を酸化する場合は水(HO)、酸素、オゾン(O)、メタノール、エタノール等を用いることができる。第1原料を窒化する場合は窒素、アンモニア(NH)等を用いることができる。これらのガスに、水素(H)ガスを併用してもよい。
無機膜をガスバリアー層として形成する場合には、ガスバリアー性を高める観点から、無機膜が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)等の金属酸化物層を形成することが好ましい。より好ましくは、金属酸化物層を形成することである。トリメチルアルミニウム、四塩化チタン等を第1原料とする酸化アルミニウム、酸化チタンは、分子量の大きさが膜の凹凸の補修に適しており、カバレッジ性が高まることから、特に好ましい。
成膜時には、ベースフィルム1を成膜部31に搬送し、ガス状の第1原料を供給すると、ベースフィルム1の表面に第1原料が吸着する。その後、ベースフィルム1を成膜部32に搬送し、第2原料のガスを供給して、ベースフィルム1の表面に吸着した第1原料を改質処理することにより、膜を形成する。繰り返すことにより、膜を堆積させる。なお、ベースフィルム1は、隔離部33を通過して各成膜部31及び32に搬送されるので、余剰の第1原料及び第2原料は隔離部33において除去される。繰り返す回数は、特に制限はないが、十分なガスバリアー性を得るために10〜1000回とすることができる。成膜される層の好ましい膜厚としては1〜100nmの範囲内である。
〔ベースフィルム搬送手段〕
成膜装置100内のベースフィルム搬送手段により、長尺のベースフィルム1をロール体から巻き出し、圧力調整部10、中間室20を経て成膜室30に搬送し、複数の成膜部31及び32内を交互に搬送して、当該ベースフィルム1に原子堆積法により成膜を行って巻き取る。ベースフィルム搬送手段は、ベースフィルム1の表面、又は裏面に接触、非接触の手段いずれも用いることができる。中でもベースフィルム1の成膜表面に触れる面積が少ないことから、巻き出した前記ベースフィルム1の幅方向の両端が保持されて前記複数の成膜部31及び32内を交互に搬送することが好ましい。幅方向の両端を保持する方法としては、図2に示されるような端部のみ直径が太いローラー、中央が連続的に凹んだ形状のローラー、ベースフィルム1の端を把持して搬送する方法等を使用することができる。中でも、幅手方向の端部を把持して搬送する機構を備えた搬送手段によれば、成膜室30内でのベースフィルム1の曝露面積を広く確保できると同時に、原料ガスの流れを妨げる部材を低減し、特定の成膜室空間容積の中でよどみのない原料ガスフローを達成することができるため好ましい。
ベースフィルム1の搬送速度は任意であるが、搬送が速いほど搬送時の同伴空気の巻き込み量が多いため、成膜室30を真空環境にするためには、圧力調整部10と成膜室30の間に中間室20を設けることが特に効果的となる。具体的には、ベースフィルム1の搬送速度が30m/分以上の場合に、圧力調整部10と成膜室30の間に中間室20を設けることが特に好ましい。また、ベースフィルム1の搬送を安定させてばたつきを抑制し、ベースフィルム1の成膜面が成膜装置100内の部材に接触しない構成とするため、搬送速度の上限は100m/分とすることが好ましい。
ベースフィルム1としては、フィルム状の樹脂等を用いることができる。中でも、透明性が高い樹脂であることが好ましい。ベースフィルム1として用いることができる樹脂としては、例えばメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)等が挙げられる。
ベースフィルム1の厚さは特に限定されないが、10μm以上であると把持型の搬送機構による把持が容易となる。一方、膜の損傷を避けるためには、非接触型のローラーを使用したローラー搬送も可能であるが、厚さが100μm以下のベースフィルム1をローラー搬送すると、フィルムの剛性不足により搬送不良が生じやすい。そのため、厚さが100μm以下のベースフィルム1に対しては、把持型の搬送機構が有効となる。
ベースフィルム1の幅方向の長さは、0.1〜3.0mの範囲内であることが好ましく、0.5〜2.0mの範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、搬送機構の設計及びメンテナンスが容易であり、真空圧下に調整する時間も長引かず生産性が向上する。
〔変形例:保護層の形成〕
本発明の成膜装置100は、ベースフィルム1の成膜された表面を保護するために、成膜室30とその下流の圧力調整室11の間に保護層成膜室39を設けてもよい。
図3は、保護層を形成する場合の成膜装置101の概略構成を示している。成膜装置101は、保護層成膜室39をさらに備えていること以外は、成膜装置100と構成が同じである。図3において、成膜装置100と同じ構成部には同じ符号が付されている。
保護層の形成方法は、真空下で成膜可能な方法であれば任意であるが、例えば、プラズマCVD、光CVD、Cat−CVD等の化学蒸着法、熱蒸着、スパッタ、または物理蒸着法等により形成される。保護層成膜室39は、図3に示すように、例えば蒸着材料391の入った蒸着源392を備える。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔ガスバリアー性フィルム1の作製〕
(ベースフィルム)
ベースフィルム1として、幅50cm、厚さ125μm、長さ500mのポリエステルフィルムMELINEX ST504(DuPont Teijin Films U.S. Limited社製)を2本用意した。
このポリエステルフィルムを、0.01Torrの減圧下において、80℃まで加熱して3時間の脱気処理を施したものを図4に示されるような中間室を備えない成膜装置100Bのアンワインダー40及び41にフィルムロールとして1本ずつセットし、アンワインダー40のフィルム先端部を、ワインダー50まで搬送して巻取り固定した。
なお、アンワインダー41は1本目のベースフィルム1の搬送がアンワインダー40の後端まで進行した際に、アンワインダー40の後端部とアンワインダー41の先端部を接続して連続的に2本目のベースフィルム1の搬送が可能なように切り替えられるように用意されている。
(搬送方法)
ベースフィルム1の搬送手段として、図2に示した両端径が大きく中央部系の小さい段付きの搬送ロールを用い搬送されるフィルムの表面が接触しない領域ができるようにした。
(大気圧から真空への圧力調整部)
特開2010−174370号公報に記載の減圧ユニットを複数段用いて圧力調整部10とし、アンワインダー40から巻き出されたベースフィルム1の圧力環境が、圧力調整部10の上流側の大気圧から、圧力調整部10下流側において4Paとなるまで減圧を行った。
(成膜室)
次に、図4に示すように、成膜室30の成膜部31及び32の搬送フィルムの折り返し部ごとにガス状の原料が原料ガス導入配管311及び321を通して供給される原子層堆積法の成膜室30により、成膜部31にガス状の第1原料としてトリメチルアルミニウム、成膜部32にガス状の第2原料として水蒸気、隔離部33に乾燥窒素ガスを用いて、上記ベースフィルム1上にガスバリアー層として厚さ20nmの酸化アルミニウム膜を成膜した。ロールtoロール型のシステム構成での各堆積サイクルで、ベースフィルム1は、それぞれの成膜部31及び32を装置内で複数回通過させた。膜厚は、対となる成膜室30内での折り返しの回数で調整した。
酸化アルミニウム膜の具体的な成膜条件は、以下のとおりである。
(成膜条件)
酸化アルミニウム膜の第1原料:トリメチルアルミニウム
成膜部31内の1回の折り返しごとの滞在時間:4.0秒
酸化アルミニウム膜の第2原料:水蒸気
成膜部32内の1回の折り返しごとの滞在時間:4.0秒
隔離部33内で使用した不活性ガス:窒素ガス
滞在時間:5.0秒
酸化アルミニウム膜の堆積速度:0.1nm/サイクル
ベースフィルム1の搬送速度:5.0m/分
ベースフィルム1の温度:95℃
(真空から大気圧への圧力調整部)
成膜室30を通過したベースフィルム1を大気圧へ戻すための圧力調整部11として特開2010−174370号公報に記載の圧力復元ユニットを複数段用いることにより、製膜後のベースフィルム1を大気圧中に搬出してワインダー50側に巻き取った。なおワインダー51はワインダー50の巻径が最大となった際に、搬送を中断することなくベースフィルムを巻き取るワインダーを連続的に交換可能なように待機している。
以上の条件で安定化させた状態でベースフィルム1を100m搬送することで、長尺の酸化アルミニウム膜が形成されたガスバリアー性フィルムを得た。
〔ガスバリアー性フィルム2の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、図1に示すように圧力調整部10と成膜室30の間に中間室20を設けた以外はガスバリアー性フィルム1の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム2を作製した。
中間室20においては、具体的には、微量の乾燥窒素ガスを供給しながら、大気圧下で乾燥窒素を充填した中間室20を真空ポンプ(図示せず)を用いて減圧することにより圧力を3Paに安定化させた。
ガスバリアー性フィルム2の作製において、中間室20におけるベースフィルム1の搬送経路長Lは、図5(a)に示すようにローラーの位置によって調整される。圧力調整部10におけるベースフィルム1の搬送経路長Lの10.0倍である。
〔ガスバリアー性フィルム3の作製〕
ガスバリアー性フィルム2の作製において、中間室20に加熱手段23を設けた以外はガスバリアー性フィルム2の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム3を作製した。
加熱手段23は、真空用ヒーターPLV(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製、電気式遠赤外線ヒーター)の基本ユニット(放射プレート231の熱放射面の大きさ195mm×20mm)を用いた。図6に示されるように放射プレート231を幅手方向に3列、長手方向に5段設置することにより、ベースフィルム1の搬送経路長の合計約1mの長さに渡って放射プレート231がベースフィルム1に対して平行となり、放射プレート231とベースフィルム1の距離は20mmとなるように配置された。加熱手段23による加熱は、ベースフィルム1表面の温度が静止状態での最高到達温度が90℃となるように調整された。
〔ガスバリアー性フィルム4の作製〕
ガスバリアー性フィルム2の作製において、図5(b)に示されるように中間室20内のベースフィルム搬送経路長Lを調整して、中間室20におけるベースフィルム1の搬送経路長Lを圧力調整部10におけるベースフィルム1の搬送経路長Lの長さの1.2倍とした以外はガスバリアー性フィルム2の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム4を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム5の作製〕
ガスバリアー性フィルム2の作製において、図5(c)に示されるように中間室20内のベースフィルム搬送経路長Lを調整して、中間室20におけるベースフィルム1の搬送経路長Lを圧力調整部10におけるベースフィルム1の搬送経路長Lの長さの0.8倍とした以外はガスバリアー性フィルム4の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム5を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム6の作製〕
ガスバリアー性フィルム2の作製において、中間室20に冷却手段24を設けた以外はガスバリアー性フィルム2の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム6を作製した。
冷却手段24は、真空排気用超低温冷却装置「NeoCold」RCT752(新明和工業株式会社製)を用いて、図7に示されるようにクライオコイル241を中間室20内に設置し、成膜開始前10分から製膜終了直後まで稼働させた。冷却手段24による冷却は、クライオコイル241の表面温度が−120℃となるように調整された。
〔ガスバリアー性フィルム7〜10の作製〕
ガスバリアー性フィルム3の作製において、ベースフィルム1の搬送速度をそれぞれ表1に示す値とした以外はガスバリアー性フィルム3の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム7〜10を作製した。
〔ガスバリアー性フィルム11の作製〕
ガスバリアー性フィルム1の作製において、成膜室30において特開2012−126969号公報に記載されるようなプラズマCVD装置を用いて成膜を行った以外はガスバリアー性フィルム1の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム11を作製した。
具体的には、図8に示される成膜装置200のように、一対の成膜ローラー351及び352の間に、磁場発生装置361〜364を用いて磁場を印加するとともに、それぞれの成膜ローラー351及び352にプラズマ発生用電源37より電力を供給し、成膜ローラー351と352の間でプラズマを発生させて放電空間を形成し、この放電空間に、原料ガスとしてのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と反応ガスとしての酸素ガスから構成される成膜ガスを、成膜ガス供給管38より供給して、下記に示す成膜条件(プラズマCVD条件)にて、プラズマCVD法による薄膜形成を行い、基材面上に、ガスバリアー層を形成した。
〈成膜条件〉
原料ガス:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO) 供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute、0℃、1気圧基準)
反応ガス:酸素ガス(O) 供給量:500sccm(0℃、1気圧基準)
真空チャンバー内の真空度:2.5Pa
プラズマ発生用電源37からの印加電力:0.9kW
プラズマ発生用電源37の周波数:70kHz
樹脂基材ユニットの搬送速度:1.0m/min
以上のようにして作製したガスバリアー性フィルム11のガスバリアー層の厚さは、250nmであった。
〔ガスバリアー性フィルム12の作製〕
ガスバリアー性フィルム11の作製において、図1に示すように圧力調整部10と成膜室30の間に中間室20を設けた以外はガスバリアー性フィルム11の作製と同様に成膜してガスバリアー性フィルム12を作製した。
ガスバリアー性フィルム12の作製において、中間室20の具体的な構成は、ガスバリアー性フィルム2の作製と同様である。
《ガスバリアー性フィルムの評価》
以上のように作製したガスバリアー性フィルム1〜12の膜質を、表面均一性、すなわち単位面積当たりの膜欠陥の数と水蒸気透過度を比較して評価した。
〔膜欠陥〕
各ガスバリアー性フィルム試料を電子顕微鏡で観察した単位面積当たりの、長径2μm以上の欠陥数を測定して、膜欠陥を評価した。
膜欠陥の評価結果は、中間室20を設けることなく同一の成膜方法を用いて作製されたガスバリアー性フィルムにおける欠陥数を基準とした相対値で示す。具体的には、ガスバリアー性フィルム1の欠陥数を、ALD法により作製されたガスバリアー性フィルムの基準値Dとし、ガスバリアー性フィルム2〜10の欠陥数をDに対する相対値で示す。同様に、ガスバリアー性フィルム11の欠陥数を、プラズマCVD法により作製されたガスバリアー性フィルムの基準値Dとし、ガスバリアー性フィルム12の欠陥数をDに対する相対値で示す。
〔水蒸気透過度〕
各ガスバリアー性フィルム試料の水蒸気透過度を、水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W(MOCON社製)を用いて測定した。測定は、温度38℃、相対湿度90%の環境下で行った。
水蒸気透過度の評価結果は、中間室20を設けることなく同一の成膜方法を用いて作製されたガスバリアー性フィルムにおける水蒸気透過度を基準とした相対値で示す。具体的には、ガスバリアー性フィルム1の水蒸気透過度を、ALD法により作製されたガスバリアー性フィルムの基準値Wとし、ガスバリアー性フィルム2〜10の評価結果をWに対する相対値で示す。同様に、ガスバリアー性フィルム11の水蒸気透過度を、プラズマCVD法により作製されたガスバリアー性フィルムの基準値Wとし、ガスバリアー性フィルム12の水蒸気透過度をWに対する相対値で示す。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2016145371
表1より、図1に示されるような本発明の成膜装置100を用いて酸化アルミニウム膜を成膜したガスバリアー性フィルム2〜10及び12は、図4に示されるような中間室20を備えない成膜装置により成膜されたガスバリアー性フィルム1及び11と比較して、膜欠陥及び水蒸気透過率が大きく減少し、膜質が改善することがわかる。
さらに、ガスバリアー性フィルム2及び12より、成膜方法がALD法である場合に本発明の効果が特に顕著である。また、ガスバリアー性フィルム2、3、及び6の比較より、中間室20においてベースフィルム1を加熱又は冷却することによってさらに膜質が改善し、特に加熱によって最も高い膜質のフィルムが得られることがわかる。
また、ガスバリアー性フィルム2、4、及び5の比較より、中間室20内の搬送経路長が圧力調整部10内の搬送経路長に対して長いほど、膜質が改善することがわかる。
また、ガスバリアー性フィルム3及び7〜10の比較より、ベースフィルム1の搬送速度が30〜100m/分の範囲内である場合には、特に膜欠陥が少なく、膜質が改善することがわかる。
1 ベースフィルム
100、101、100B、200 成膜装置
10、11 圧力調整部
20 中間室
21 真空ポンプ
22 配管
23 加熱手段
231 放射プレート
24 冷却手段
241 クライオコイル
30 成膜室
31、32 成膜部
311、321 原料ガス導入配管
33 隔離部
331 不活性ガス導入管
332、333 ガス排出管
34 仕切り板
341 開口部
351、352 成膜ローラー
361〜364 磁場発生装置
37 プラズマ発生用電源
38 成膜ガス供給管
39 保護層成膜室
391 蒸着材料
392 蒸着源
40、41 アンワインダー
50、51 ワインダー

Claims (9)

  1. 大気圧又はその近傍の圧力環境下でロール体からベースフィルムを巻き出して搬送し、前記ベースフィルム上に成膜を行う成膜装置であって、
    前記ベースフィルムが搬送される環境の圧力調整部と、
    前記ベースフィルム上に真空環境下で薄膜を形成する成膜室と、
    前記圧力調整部と前記成膜部の間に、排気手段により減圧可能な中間室を備えることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記中間室の室内を加熱及び冷却するための手段の少なくとも一方の手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記中間室における前記ベースフィルムの搬送経路長が、前記圧力調整部における前記ベースフィルムの搬送経路長よりも長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記成膜室において、原子層堆積法により前記ベースフィルム上に薄膜を形成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の成膜装置。
  5. 巻き出し部より大気圧中でロールからベースフィルムを連続的に巻き出す工程、
    前記ベースフィルムを圧力調整部を介して搬送する工程、
    前記圧力調整部の搬送に続けて、排気手段により減圧可能な中間室を通過させる工程、
    続けて成膜室においてベースフィルム上に真空環境下で薄膜を形成する工程
    を有することを特徴とする成膜方法。
  6. 前記中間室の室内を加熱及び冷却する工程の少なくとも一方の工程を有することを特徴とする請求項5に記載の成膜方法。
  7. 前記ベースフィルムが前記中間室に挿入されてから排出されるまでの所要時間が、前記圧力調整部に挿入されてから排出されるまでの所要時間よりも長いことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の成膜方法。
  8. 前記成膜室において、原子層堆積法により前記ベースフィルム上に成膜を行うことを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか一項に記載の成膜方法。
  9. 前記ベースフィルムの搬送速度が30m/分以上であることを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれか一項に記載の成膜方法。
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