JP2016143678A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度のラジカルを用いた成膜処理を提供する。【解決手段】成膜装置は、真空容器と、基板を載置可能な回転テーブルと、該回転テーブルの回転方向に沿って設けられ、回転テーブルの表面上に第1の処理ガスを供給する第1の処理ガス供給領域48Aと、回転テーブルの回転方向に沿って第1の処理ガス供給領域48Aと離間して設けられ、回転テーブル2の表面に第1の処理ガスと反応して反応生成物を生成可能な第2の処理ガスを供給する第2の処理ガス供給領域48Bと、第2の処理ガス供給領域48Bに連通する前記真空容器の側壁に設けられた開口32を介して真空容器の外側の側壁に隣接して設けられ、第2の処理ガスのラジカルを生成可能するとともに開口32を介して第2の処理ガスのラジカルを第2の処理ガス供給領域に噴射供給するラジカル生成手段80とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、成膜装置に関する。
従来から、真空容器内に基板を水平に載置する回転テーブルを設け、回転テーブルの周方向に互いに分離領域を介して離間した領域に夫々第1の処理ガス及び第2の処理ガスを供給する第1の処理ガス供給部及び第2の処理ガス供給部を設けるとともに、真空容器の天板上にプラズマ発生部を設け、第1の処理ガスと第2の処理ガスとの反応生成物をプラズマにより改質処理する原子堆積法(ALD、Atomic Layer Deposition)を用いた成膜装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−253313号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、改質処理において、第2の処理ガスをラジカル化して供給しているが、Nガス等のラジカルの寿命が短いガスを用いた成膜処理の場合、高密度のラジカルを得るのが困難な場合があるという問題があった。
そこで、本発明は、高密度のラジカルを得ることが可能であり、ラジカルの寿命が短いガスを用いた成膜処理においても、高品質の膜を得ることが可能な成膜装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る成膜装置は、真空容器と、
該真空容器内に設けられ、表面上に基板を載置可能な基板載置領域を有する回転テーブルと、
該回転テーブルの回転方向に沿って設けられ、前記回転テーブルの表面上に第1の処理ガスを供給可能な第1の処理ガス供給領域と、
前記回転テーブルの回転方向に沿って前記第1の処理ガス供給領域と離間して設けられ、前記回転テーブルの表面に前記第1の処理ガスと反応して反応生成物を生成可能な第2の処理ガスを供給可能な第2の処理ガス供給領域と、
前記第2の処理ガス供給領域に連通する前記真空容器の側壁に設けられた開口を介して前記真空容器の外側の側壁に隣接して設けられ、大気圧下で前記第2の処理ガスのラジカルを生成可能であるとともに前記開口を介して前記第2の処理ガスのラジカルを前記第2の処理ガス供給領域に噴射供給可能なラジカル生成手段と、を有する。
本発明によれば、高密度のラジカルを生成することができ、ガスの種類を問わず高品質な成膜を行うことができる。
本発明の実施形態による成膜装置の断面図である。 図1の成膜装置の内部の概略構成に示す斜視図である。 図1の成膜装置の平面図である。 図1の成膜装置における供給領域及び分離領域の一例を示す断面図である。 図1の成膜装置の他の断面図である。 図1の成膜装置のまた別の断面図である。 本発明の実施形態に係る成膜装置のラジカル源の一例の構成を示した図である。図7(a)は、ラジカル源を無声放電式ラジカル源として構成した第1の例が示されている。図7(b)は、ラジカル源を無声放電式ラジカル源として構成した第2の例が示されている。 ラジカル源の真空容器への取り付け構造の一例を示した縦断面図である。 シミュレーション条件を説明するための図である。 管状部の内周面の開口端の位置及び角度を第1の位置及び角度に調整した場合のシミュレーション結果である。図10(a)は、最大流速をそのまま示したシミュレーション結果である。図10(b)は、図10(a)の最大流速を360m/sに換算してシミュレーション結果を示した図である。 管状部の内周面の開口端の位置及び角度を第2の位置及び角度に調整した場合のシミュレーション結果である。図11(a)は、最大流速をそのまま示したシミュレーション結果である。図11(b)は、図11(a)の最大流速を360m/sに換算してシミュレーション結果を示した図である。 管状部の内周面の開口端の位置及び角度を第3の位置及び角度に調整した場合のシミュレーション結果である。図12(a)は、最大流速をそのまま示したシミュレーション結果である。図12(b)は、図12(a)の最大流速を360m/sに換算してシミュレーション結果を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明の実施形態による成膜装置は、図1(図3のA−A線に沿った断面図)及び図2に示すように、概ね円形の平面形状を有する扁平な真空容器1と、この真空容器1内に設けられ、真空容器1の中心に回転中心を有する回転テーブル2と、を備える。真空容器1は、容器本体12と、これから分離可能な天板11とから構成されている。天板11は、例えばOリングなどの封止部材13を介して容器本体12に取り付けられ、これにより真空容器1が気密に密閉される。天板11及び容器本体12は、例えばアルミニウム(Al)で作製することができる。
図1を参照すると、回転テーブル2は、中央に円形の開口部を有しており、開口部の周りで円筒形状のコア部21により上下から挟まれて保持されている。コア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は容器本体12の底面部14を貫通し、その下端が当該回転軸22を鉛直軸回りに回転させる駆動部23に取り付けられている。この構成により、回転テーブル2はその中心軸を回転中心として回転することができる。なお、回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20はその上面に設けられたフランジ部分を介して真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられており、これにより、ケース体20の内部雰囲気が外部雰囲気から隔離されている。
図2及び図3に示すように、回転テーブル2の上面に、それぞれウエハWが載置される複数(図示の例では5つ)の円形凹部状の載置部24が等角度間隔で形成されている。ただし、図3ではウエハWを1枚のみを示している。
図4を参照すると、載置部24と載置部24に載置されたウエハWとの断面が示されている。図示のとおり、載置部24は、ウエハWの直径よりも僅かに(例えば4mm)大きい直径と、ウエハWの厚さに等しい深さとを有している。載置部24の深さとウエハWの厚さがほぼ等しいため、ウエハWが載置部24に載置されたとき、ウエハWの表面は、回転テーブル2の載置部24を除く領域の表面とほぼ同じ高さになる。仮に、ウエハWとその領域との間に比較的大きい段差があると、その段差によりガスの流れに乱流が生じ、ウエハW上での膜厚均一性が影響を受ける。この影響を低減するため、2つの表面がほぼ同じ高さにある。「ほぼ同じ高さ」は、高さの差が約5mm以下であって良いが、加工精度が許す範囲でできるだけゼロに近いと好ましい。
図2から図4を参照すると、回転テーブル2の回転方向(例えば図3の矢印RD)に沿って互いに離間した2つの凸状部4が設けられている。図2及び図3では天板11を省略しているが、凸状部4は、図4に示すように天板11の下面に取り付けられている。また、図3から分かるように、凸状部4は、ほぼ扇形の上面形状を有しており、その頂部は真空容器1のほぼ中心に位置し、円弧は容器本体12の内周壁に沿って位置している。さらに、図4に示すように、凸状部4は、その下面44が回転テーブル2から高さh1に位置するように配置される。
また、図3及び図4を参照すると、凸状部4は、凸状部4が二分割されるように半径方向に延びる溝部43を有し、溝部43には分離ガスノズル41(42)が収容されている。溝部43は、本実施形態では、凸状部4を二等分するように形成されるが、他の実施形態においては、例えば、凸状部4における回転テーブル2の回転方向上流側が広くなるように溝部43を形成しても良い。分離ガスノズル41(42)は、図3に示すように、容器本体12の周壁部から真空容器1内へ導入され、その基端部であるガス導入ポート41a(42a)を容器本体12の外周壁に取り付けることにより支持されている。
分離ガスノズル41(42)は、分離ガスのガス供給源(図示せず)に接続されている。分離ガスはチッ素(N)ガスや不活性ガスであって良く、また、成膜に影響を与えないガスであれば、分離ガスの種類は特に限定されない。本実施形態においては、分離ガスとしてNガスが利用される。また、分離ガスノズル41(42)は、回転テーブル2の表面に向けてNガスを吐出するための吐出孔40(図4)を有している。吐出孔40は、長さ方向に所定の間隔で配置されている。本実施形態においては、吐出孔40は、約0.5mmの口径を有し、分離ガスノズル41(42)の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。
以上の構成により、分離ガスノズル41とこれに対応する凸状部4とにより、分離空間Hを画成する分離領域D1が提供される。同様に、分離ガスノズル42とこれに対応する凸状部4とにより、分離空間Hを画成する分離領域D2が提供される。また、分離領域D1に対して回転テーブル2の回転方向下流側には、分離領域D1,D2と、回転テーブル2と、天板11の下面45(以下、天井面45)と、容器本体12の内周壁とで概ね囲まれる第1の領域48A(第1の供給領域)が形成されている。さらに、分離領域D1に対して回転テーブル2の回転方向上流側には、分離領域D1,D2と、回転テーブル2と、天井面45と、容器本体12の内周壁とで概ね囲まれる第2の領域48B(第2の供給領域)が形成されている。分離領域D1,D2において、分離ガスノズル41,42からNガスが吐出されると、分離空間Hは比較的高い圧力となり、Nガスは分離空間Hから第1の領域48A及び第2の領域48Bへ向かって流れる。言い換えると、分離領域D1,D2における凸状部4は、分離ガスノズル41,42からのNガスを第1の領域48A及び第2の領域48Bへ案内する。
また、図2及び図3を参照すると、第1の領域48Aにおいて容器本体12の周壁部から回転テーブル2の半径方向に処理ガスノズル31が導入されている。一方、第2の領域48Bにおいては、容器本体12の周壁部にオリフィス32が設けられている。オリフィス32は、容器本体12の周壁部(又は側壁)を貫通するように形成された開口であり、細長い管状の形状を有する管状部32aと、漏斗状、ラッパ状又はテーパー状の形状部分を含み管状部32aより大きな径を有するテーパー部32bとを有する。なお、オリフィス32の導入方向は、処理ガスノズル31と同様に回転テーブル2の半径方向に沿っている。
処理ガスノズル31は、分離ガスノズル41,42と同様に、基端部であるガス導入ポート31aを容器本体12の外周壁に取り付けることにより支持されている。なお、処理ガスノズル31は、半径方向に対して所定の角度をなすように導入されてもよい。一方、オリフィス32は、容器本体12に段差を有する開口部16が形成され、開口部16と嵌合する段差を有するガス導入部材17を貫通するようにして形成されている。なお、開口部16とガス導入部材17との段差部の対向面には、O−リング等のシール部材18が必要に応じて設けられてよい。なお、本実施形態においては、オリフィス32がガス導入部材17に形成され、ガス導入部材17を容器本体12の開口部16に取り付けることにより容器本体12にオリフィス32を設ける構成を示しているが、容器本体12に直接オリフィス32を設ける構成としてもよい。また、ガス導入部材17を用いる場合であっても、開口部16及びガス導入部材17の形状は、用途に応じて種々の形状としてよい。
また、オリフィス32の内周面の開口端、つまり管状部32aの開口端には、管状部32aの周囲を囲むようなカバー34を必要に応じて設けてもよい。カバー34は、分離ガスがオリフィス32内に導入されることを防ぐために設けられる。
処理ガスノズル31は、回転テーブル2の上面(ウエハの載置部24がある面)に向けて処理ガスを吐出するための複数の吐出孔33を有している(図4参照)。本実施形態においては、吐出孔33は約0.5mmの口径を有し、処理ガスノズル31の長さ方向に沿って約10mmの間隔で配列されている。
一方、オリフィス32は、処理ガスノズル31と類似した形状を有する管状部32aを容器本体12の側壁の内周面側に有するが、内周面と連通する開口端がガスの噴射口となるだけであり、噴射口は1つだけである。
図示を省略するが、処理ガスノズル31は、第1の処理ガスのガス供給源に接続されている。一方、オリフィス32は、図2及び図3に示すように、フランジ配管90を介してラジカル源80に接続されている。ラジカル源80は、第2の領域48Bに第2の処理ガスのラジカルを大気圧下で生成し、第2の処理ガスのラジカルを第2の領域48Bに供給するためのラジカル生成手段である。ラジカル源80は、第2の処理ガスを大気圧下でラジカル化できれば、種々のラジカル生成手段が用いられてよいが、例えば、無声放電によりラジカルを生成してもよいし、触媒等を用いてラジカルを生成してもよい。なお、ラジカル源80の構成の詳細は後述するが、大気圧下でラジカルを生成するため、真空状態の真空容器1の内部とは大きな圧力差があるため、ラジカル源80で生成されたラジカルは、レーザのようにオリフィス32から真空容器1内に導入される。よって、ラジカル源80で生成されたラジカルは、オリフィス32の管状部32aから第2の領域48B内に噴射供給されて導入される。
フランジ配管90は、ラジカル源80を容器本体12の外周壁に固定接続するための手段であり、フランジ部90aと配管部90bとを有する。配管部90bは短く構成され、ラジカル源80を真空容器1に隣接して配置するよう構成する。ラジカル源80で生成されるラジカルの寿命が短い場合には、ラジカル源80と真空容器1とを連結する配管部90bが長いと、ラジカル源80で生成されたラジカルが配管部90b内で失活してしまい、真空容器1内に十分なラジカルを供給できなくなるおそれがある。よって、本実施形態に係る成膜装置においては、フランジ配管90の配管部90bを短く構成し、ラジカル源80を真空容器1に隣接して配置する。フランジ部90aは、ラジカル源80を容器本体12の外周壁に取り付けるための手段である。フランジ配管90を設けることにより、オリフィス32を介してラジカル源80と第2の領域48Bが連通し、ラジカル源80で生成されたラジカルが第2の領域48Bに供給可能となる。
なお、本実施形態においては、フランジ配管90を用いてラジカル源80と真空容器1とを接続固定した例を挙げて説明しているが、ラジカル源80を、真空容器1の外周壁と一体化して構成してもよい。
第1の処理ガス及び第2の処理ガスとしては後に述べる組み合わせを始めとして種々のガスを使用できるが、本実施形態においては、第1の処理ガスとしてビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)ガスを利用し、第2の処理ガスとして窒素(N)ガスを利用した例を挙げて説明する。窒素ガスは、ラジカルの寿命が短く、高密度のラジカルを生成するのが困難なガスである。本実施形態に係る成膜装置では、高密度のラジカルを大気圧下で生成するとともに、真空容器1内の圧力差を利用して、ラジカルを真空容器1内に噴射供給する。よって、ラジカルを失活させることなく真空容器1の中心部まで到達させることができ、そのような短寿命の成膜に極めて有効である。但し、本実施形態に係る成膜装置は、そのような短寿命のラジカルのガスのみならず、他の酸素、オゾン等の酸化ガス、アンモニア等の窒化ガスを用いる場合にも当然に適用可能である。また、原料ガス、即ち第1の処理ガスについても、他のシリコン含有ガスを用いてもよいし、シリコン含有ガス以外の原料ガスを用いてもよい。本実施形態に係る成膜装置は、成膜する膜の種類及び用いるガスの種類に拘わらず、種々の組み合わせに適用可能である。なお、窒素ラジカルには、窒素分子(N)ラジカル及び窒素原子(N)ラジカルの双方を含んでよい。
また、以下の説明において、処理ガスノズル31の下方の領域を、BTBASガスをウエハに吸着させるための処理領域P1といい、オリフィス32のからのラジカルが供給可能な下方の領域を、Nガスをウエハに吸着したBTBASガスと反応(窒化)させるための処理領域P2という場合がある。
再び図4を参照すると、分離領域D1には平坦な低い天井面44があり(図示していないが分離領域D2においても同様)、第1の領域48A及び第2の領域48Bには、天井面44よりも高い天井面45がある。このため、第1の領域48A及び第2の領域48Bの容積は、分離領域D1,D2における分離空間Hの容積よりも大きい。また、後述するように、本実施形態による真空容器1には、第1の領域48A及び第2の領域48Bをそれぞれ排気するための排気口61,62が設けられている。これらにより、第1の領域48A及び第2の領域48Bを、分離領域D1,D2の分離空間Hに比べて低い圧力に維持することができる。この場合、第1の領域48Aにおいて処理ガスノズル31から吐出されるBTBASガスは、分離領域D1,D2の分離空間Hの圧力が高いため、分離空間Hを通り抜けて第2の領域48Bへ到達することができない。また、第2の領域48Bにおいてオリフィス32から噴射されるNガスは、分離領域D1,D2の分離空間Hの圧力が高いため、分離空間Hを通り抜けて第1の領域48Aへ到達することができない。したがって、両処理ガスは、分離領域D1,D2により分離され、真空容器1内の気相中で混合されることは殆ど無い。
なお、低い天井面44の回転テーブル2の上面から測った高さh1(図4)は、分離ガスノズル41(42)からのNガスの供給量にもよるが、分離領域D1,D2の分離空間Hの圧力を第1の領域48A及び第2の領域48Bの圧力よりも高くできるように設定される。高さh1は例えば0.5mmから10mmであると好ましく、できる限り小さくすると更に好ましい。ただし、回転テーブル2の回転ぶれによって回転テーブル2が天井面44に衝突するのを避けるため、高さh1は3.5mmから6.5mm程度であって良い。また、凸状部4の溝部43に収容される分離ガスノズル42(41)の下端から回転テーブル2の表面までの高さh2(図4)も同様に0.5mm〜4mmであって良い。
以上の構成を有する分離領域D1,D2によれば、回転テーブル2が例えば約240rpmの回転速度で回転した場合であっても、BTBASガスとNガスとをより確実に分離することができる。
図1、図2、及び図3を再び参照すると、コア部21を取り囲むように天板11の下面に取り付けられた環状の突出部5が設けられている。突出部5は、コア部21よりも外側の領域において回転テーブル2と対向している。本実施形態においては、図5に明瞭に示すように、空間50の下面の回転テーブル2からの高さh15は、空間Hの高さh1よりも僅かに低い。これは、回転テーブル2の中心部近傍での回転ぶれが小さいためである。具体的には、高さh15は1.0mmから2.0mm程度であって良い。なお、他の実施形態においては、高さh15とh1は等しくても良く、また、突出部5と凸状部4は一体に形成されても、別体として形成されて結合されても良い。なお、図2及び図3は、凸状部4を真空容器1内に残したまま天板11を取り外した真空容器1の内部を示している。
図1の約半分の拡大図である図5を参照すると、真空容器1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されており、これにより、天板11とコア部21との間の空間52にNガスが供給される。この空間52に供給されたNガスにより、突出部5と回転テーブル2との狭い隙間50は、第1の領域48A及び第2の領域48Bに比べて高い圧力に維持され得る。このため、第1の領域48Aにおいて処理ガスノズル31から吐出されるBTBASガスは、圧力の高い隙間50を通り抜けて第2の領域48Bへ到達することができない。また、第2の領域48Bにおいてオリフィス32から吐出されるNガスは、圧力の高い隙間50を通り抜けて第1の領域48Aへ到達することができない。したがって、両処理ガスは、隙間50により分離され、真空容器1内の気相中で混合されることは殆ど無い。すなわち、本実施形態の成膜装置においては、BTBASガスとNガスとを分離するために回転テーブル2の回転中心部と真空容器1とにより画成され、第1の領域48A及び第2の領域48Bよりも高い圧力に維持される中心領域Cが設けられている。
図6は、図3のB−B線に沿った断面図の約半分を示し、ここには凸状部4と、凸状部4と一体に形成された突出部5が図示されている。図示のとおり、凸状部4は、その外縁においてL字状に屈曲する屈曲部46を有している。屈曲部46は、回転テーブル2と容器本体12との間の空間を概ね埋めており、処理ガスノズル31からのBTBASガスとオリフィス32からのNガス(ラジカルを含む、以下同様)とがこの隙間を通して混合するのを阻止する。屈曲部46と容器本体12との間の隙間、及び屈曲部46と回転テーブル2との間の隙間は、例えば、回転テーブル2から凸状部4の天井面44までの高さh1とほぼ同一であって良い。また、屈曲部46があるため、分離ガスノズル41,42(図3)からのNガスは、回転テーブル2の外側に向かっては流れ難い。よって、分離領域D1,D2から第1の領域48A及び第2の領域48BへのNガスの流れが促進される。なお、屈曲部46の下方にブロック部材71bを設ければ、分離ガスが回転テーブル2の下方まで流れるのを更に抑制することができるため、更に好ましい。
なお、屈曲部46と回転テーブル2との間の隙間は、回転テーブル2の熱膨張を考慮し、回転テーブル2が後述のヒータユニットにより加熱された場合に、上記の間隔(h1程度)となるように設定することが好ましい。
一方、第1の領域48A及び第2の領域48Bにおいて、容器本体12の内周壁は、図3に示すように外方側に窪み、排気領域6が形成されている。この排気領域6の底部には、図3及び図5に示すように、例えば排気口61,62が設けられている。これら排気口61,62は各々排気管63を介して真空排気装置である例えば共通の真空ポンプ64に接続されている。これにより、主に第1の領域48A及び第2の領域48Bが排気され、したがって、上述の通り、第1の領域48A及び第2の領域48Bの圧力が分離領域D1,D2の分離空間Hの圧力よりも低くすることができる。
また、図3を参照すると、第1の領域48Aに対応する排気口61は、回転テーブル2の外側(排気領域6)において処理ガスノズル31の下方に位置している。これにより、処理ガスノズル31の吐出孔33(図4)から吐出されるBTBASガスは、回転テーブル2の上面に沿って、処理ガスノズル31の長手方向に排気口61へ向かって流れることができる。
再び図1を参照すると、排気管63には圧力調整器65が設けられ、これにより真空容器1内の圧力が調整される。複数の圧力調整器65を、対応する排気口61,62に対して設けてもよい。また、排気口61,62は、排気領域6の底部(真空容器1の底部14)に限らず、真空容器の容器本体12の周壁部に設けても良い。また、排気口61,62は、排気領域6における天板11に設けても良い。ただし、天板11に排気口61,62を設ける場合、真空容器1内のガスが上方へ流れるため、真空容器1内のパーティクルが巻き上げられて、ウエハWが汚染されるおそれがある。このため、排気口61,62は、図示のように底部に設けるか、容器本体12の周壁部に設けると好ましい。また、排気口61,62を底部に設ければ、排気管63、圧力調整器65、及び真空ポンプ64を真空容器1の下方に設置することができるため、成膜装置のフットプリントを縮小する点で有利である。
図1、図5及び図6に示すように、回転テーブル2と容器本体12の底部14との間の空間には、加熱部としての環状のヒータユニット7が設けられ、これにより、回転テーブル2上のウエハWが、回転テーブル2を介して所定の温度に加熱される。また、ブロック部材71aが、回転テーブル2の下方及び外周の近くに、ヒータユニット7を取り囲むように設けられるため、ヒータユニット7が置かれている空間がヒータユニット7の外側の領域から区画されている。ブロック部材71aより内側にガスが流入することを防止するため、ブロック部材71aの上面と回転テーブル2の下面との間に僅かな間隙が維持されるように配置される。ヒータユニット7が収容される領域には、この領域をパージするため、複数のパージガス供給管73が、容器本体12の底部を貫通するように所定の角度間隔をおいて接続されている。なお、ヒータユニット7の上方において、ヒータユニット7を保護する保護プレート7aが、ブロック部材71aと隆起部BU(図5参照)とにより支持されており、これにより、ヒータユニット7が設けられる空間にBTBASガスやNガスが仮に流入したとしても、ヒータユニット7を保護することができる。保護プレート7aは、例えば石英から作製すると好ましい。
図2及び図3を参照すると、容器本体12の周壁部には搬送口15が形成されている。ウエハWは、搬送口15を通して搬送アーム10により真空容器1の中へ、又は真空容器1から外へと搬送される。この搬送口15にはゲートバルブ(図示せず)が設けられ、これにより搬送口15が開閉される。また、凹部24の底面には3つの貫通孔(図示せず)が形成されており、これらの貫通孔を通して図示しない3本の昇降ピンが上下動することができる。昇降ピンは、ウエハWの裏面を支えて当該ウエハWを昇降させ、ウエハWの搬送アーム10との間で受け渡しを行う。
また、この実施形態による成膜装置には、図3に示すように、装置全体の動作のコントロールを行うための制御部100が設けられている。この制御部100は、例えばコンピュータで構成されるプロセスコントローラ100aと、ユーザインタフェース部100bと、メモリ装置100cとを有する。ユーザインタフェース部100bは、成膜装置の動作状況を表示するディスプレイや、成膜装置の操作者がプロセスレシピを選択したり、プロセス管理者がプロセスレシピのパラメータを変更したりするためのキーボードやタッチパネル(図示せず)などを有する。なお、制御部100は、ラジカル源80の動作も制御してよい。
メモリ装置100cは、プロセスコントローラ100aに種々のプロセスを実施させる制御プログラム、プロセスレシピ、及び各種プロセスにおけるパラメータなどを記憶している。これらの制御プログラムやプロセスレシピは、ユーザインタフェース部100bからの指示に従って、プロセスコントローラ100aにより読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体100dに格納され、これらに対応した入出力装置(図示せず)を通してメモリ装置100cにインストールしてよい。コンピュータ可読記憶媒体100dは、ハードディスク、CD、CD−R/RW、DVD−R/RW、フレキシブルディスク、半導体メモリなどであってよい。また、プログラムは通信回線を通してメモリ装置100cへダウンロードしてもよい。
次に、図7を用いて、ラジカル源80の一例の構成について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る成膜装置のラジカル源80の一例の構成を示した図である。図7(a)、(b)においては、ラジカル源80を無声放電式ラジカル源として構成した例が示されている。
図7(a)に示すように、無声放電式のラジカル源80は、放電室81と、高電圧電極82と、按置電極83と、誘電体84とを備える。図7(a)に示すラジカル源80は、放電室81内に高電圧電極82と按置電極83とが対をなして対向して設けられ、高電圧電極82と按置電極83との間に誘電体84を設けて構成されている。また、高電圧電極82と按置電極83に交流高電圧を印加可能な交流高電圧電源110が高電圧電極82及び按置電極83に接続されて設けられている。
放電室81は、内部で無声放電を発生させるための容器であり、無声放電を発生させる際、内部は大気圧に保たれる。即ち、無声放電は大気圧下で放電が発生する大気圧放電の一種である。高電圧電極82及び按置電極83は、互いに対をなす電極であり、双方とも平板電極が用いられ、所定の間隔を有して平行に対向して配置される。即ち、高電圧電極82及び按置電極83は、平行平板電極として構成される。誘電体84は、種々の絶縁体を用いることができる。図7(a)においては、1枚の誘電体84が、高電圧電極82の按置電極83との対向面を覆うように設けられている。
かかる構成を有するラジカル源80において、ラジカルを生成するガスを高電圧電極82と按置電極83との間に供給し、交流高電圧電源110から高電圧電極82及び按置電極83に交流高電圧を印加する。これにより、無声放電が発生する。なお、図7(a)において、無声放電の発生を示す微小放電柱86が模式的に示されている。本実施形態においては、Nガスを供給し、Nラジカルを生成するが、酸素ガス、乾燥空気等を供給し、酸化ガスのラジカルを生成してもよい。また、無声放電は、一般的にオゾナイザに利用されている放電方式なので、ラジカル源80として、オゾナイザを用いてもよい。
図7(b)は、図7(a)とは異なる構成を有するラジカル源80aの一例を示した図である。ラジカル源80aにおいては、図7(a)で示したラジカル源80に加えて、按置電極83を覆う誘電体85を更に備えている。他の構成要素については、図7(a)と同様であるので、同様の構成要素に図7(a)と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図7(b)に係るラジカル源80aでは、図7(a)に係るラジカル源80と同様、ラジカルを生成するガスを高電圧電極82と按置電極83との間に供給し、交流高電圧電源110から高電圧電極82及び按置電極83に交流高電圧を印加することにより無声放電が発生するが、按置電極83を覆う誘電体85が設けられていることにより、高電圧電極82と按置電極83との間の誘電率が高くなり、無声放電の放電エネルギーを高めることができる。
図7で説明したように、ラジカル源80、80aは、無声放電方式のラジカル生成手段として構成してもよい。その他、ラジカル源80、80aを、放電室81内に金属触媒等の触媒を配置した触媒式のラジカル生成手段として構成してもよい。この場合も、大気圧下でラジカルの生成が可能であるので、ラジカル源80、80aからラジカルを真空容器1内に噴射供給することができる。
図8は、ラジカル源80の真空容器1への取り付け構造の一例を示した縦断面図である。図8に示すように、真空容器1の容器本体12の側壁に段差を有する開口部16を形成し、オリフィス32が形成されたガス導入部材17を開口部16に挿入する。開口部16とガス導入部材17との間には、O−リング等のシール部材18が設けられ、開口部16とガス導入部材17とが気密に嵌合するように構成される。また、オリフィス32と連通するようにフランジ配管90を介してラジカル源80が容器本体12の外周壁に取り付けられる。なお、フランジ配管90は、フランジ部90a及び配管部90bを有するが、配管部90bを設けずフランジ部90aのみをラジカル源80の放電室81に形成し、真空容器1とラジカル源80を一体形成してもよい。
また、ラジカル源80は、配管35を介してガス供給源36に接続され、ガス供給源36からラジカル源80に第2の処理ガス、例えば窒素ガスが供給される。
次に、図9〜12を参照して、オリフィス32の管状部32aの位置及び角度を変化させた本発明の実施形態に係る成膜装置のシミュレーション結果について説明する。
図9は、シミュレーション条件を説明するための図である。図9に示されるように、Nラジカルがオリフィス32の管状部32aから噴射されたときに、管状部32aから回転テーブル2の中心部に向かう直方体の空間37における流速をシミュレーション解析した。具体的な解析条件は、真空容器1内の圧力が10Torr、真空容器1内の温度は300℃である。また、オリフィス32の管状部32aの直径は1.9mm、Nラジカルは9slmの流量で供給した。ラジカル源80の内部は大気圧である。
図10は、オリフィス32の管状部32aの内周面の開口端の位置を回転テーブル2から10mm高い位置に設定し、回転テーブル2の表面と平行、即ち水平に管状部32aの角度を調整した場合のシミュレーション結果である。
図10(a)は、オリフィス32の管状部32aを回転テーブル2よりも10mm高い位置で回転テーブル2の表面と同じ角度で設置した場合のシミュレーション結果である。図10(a)のシミュレーション結果において、噴射された窒素ラジカルの最大流速は911.606m/s、最小流速は0m/sであった。また、シミュレーションの反復回数は8845回である。
図10(a)の右側に示すように、最小流速の0m/sから最大流速の911.606m/sの範囲において、空間37の流速分布が左側のシミュレーション結果で示されている。P、Q、R、S、Tの順に流速は小さくなる。図10(a)の左側の図に示されるように、ウエハW上における流速は、管状部32aに最も近い外側で大きく、管状部32aから離れて回転テーブル2の中心に近付くにつれて小さくなっており、Q、R、S、Tと推移している。しかしながら、ウエハW表面近傍に着目すると、回転テーブル2の外側(図中左側)では、流速の速いQ、Rの部分はウエハWの表面に接触しておらず、ウエハWの表面付近は最も流速の低いTの領域となっている。回転テーブル2の中心側(図中右側)でウエハWの表面に2番目に流速が小さい領域Sの部分が接触しているが、ウエハWの外側は、最も流速の低い領域である領域Tに接触している。
領域Sの流速は、全体の流速範囲内では2番目に低い流速範囲であるが、100m/s程度の流速は確保されているので、ウエハWに供給する流速としては十分な流速である。よって、本実施形態に係る成膜装置における第2の処理ガスのラジカル供給は、最も遠いウエハWの中心にも十分届くことが示されている。よって、噴出パワーとしては十分であることが示されている。また、回転テーブル2上のウエハWの回転移動は、回転テーブル2の中心側で遅く、外側で速いので、回転テーブル2の外周側の流速が速く、中心部が遅い噴射供給は、ラジカル供給の均一化を図るのに適した方法であることが分かる。
一方、図10(a)に示す通り、回転テーブル2の外側におけるウエハWとラジカルの接触は十分でないおそれもあり、管状部32aの位置、角度については、回転テーブル2の外側にもラジカルが供給されるような位置、角度を検討した方が良いことが示唆されている。
図10(b)は、図10(a)の最大流速911.606m/sを360m/sに換算して図10(a)のシミュレーション結果を示した図である。流速範囲を狭くすることにより、流速分布の相違がより明確に示されることを意図したシミュレーション結果である。図10(b)により明確に示される通り、管状部32aから噴射されるラジカルは、回転テーブル2の外側で高く、中心側で低くなっているが、中心側でも十分な流速を有している。しかしながら、ウエハWの表面付近に着目すると、回転テーブル2の中心側ではラジカルとウエハWの十分な接触がなされているが、外側ではラジカルがウエハWの表面に十分に接触していないことが示されている。
図11は、オリフィス32の管状部32aの内周側開口端の位置を回転テーブル2の表面より10mm高い位置に、管状部32aの長手方向の角度を回転テーブル2の表面よりも2度下向きの角度にして設置した場合のシミュレーション結果を示した図である。なお、その他の条件は図10で説明した条件と同様であるので、その説明を省略する。
図11(a)は、最大流速をそのまま示したシミュレーション結果であり、管状部32aから噴射されるラジカルの最大流速は1017.12m/s、最小流速は0m/sであった。この範囲で、流速の高い順に、領域P、Q、R、S、Tに分類しているのは図10と同様である。なお、シミュレーションの反復回数は8866回である。
図11(a)のウエハWの表面近傍に着目すると、ウエハWの回転テーブル2の外側において領域Sの流速範囲でラジカルが供給され、流速Sの範囲が大半を占め、中心側のみ流速Tの範囲となっている。これは、中心側が流速Tとなっているものの、流速Sに近いレベルの流速であるので、100m/s程度の流速は確保できており、ラジカルの供給流速としては十分な流速である。このように、オリフィス32の管状部32aの角度をやや下向きにすると、ラジカルが管状部32aに近い領域(回転テーブル2の外側)にも十分に供給され、更に中心側にも十分な流速でラジカルを供給できる状態となることが分かる。なお、ウエハWへのラジカルの供給方法は、ウエハWの表面全体をラジカルがなめるように接触するような供給方法が好ましく、図11(a)に示す流速分布は、そのようなラジカルの供給方法の状態を満たしている。
図11(b)は、図11(a)における0〜1017.13m/sを0〜360m/sの範囲に換算して流速分布を示したシミュレーション結果である。図11(b)により明確に示されるように、ウエハWの表面付近の流速は、Q、R、Sの範囲となり、十分な流速でウエハWの表面にラジカルが供給されていることが示されている。
図12は、オリフィス32の管状部32aの内周側開口端の位置を回転テーブル2の表面より5mm高い位置に、管状部32aの長手方向の角度を回転テーブル2の表面よりも1度下向きの角度にして設置した場合のシミュレーション結果を示した図である。図11に示したシミュレーション条件よりも、管状部32aの位置を若干低くして回転テーブル2の表面に近づけるとともに、管状部32aの長手方向の角度を下向き度合いを小さくし、水平状態に近付けたシミュレーション条件と言える。また、その他の条件は図10で説明した条件と同様であるので、その説明を省略する。
図12(a)は、最大流速をそのまま示したシミュレーション結果であり、管状部32aから噴射されるラジカルの最大流速は1111.69m/s、最小流速は0m/sであった。この範囲で、流速の高い順に、領域P、Q、R、S、Tに分類しているのは図10と同様である。なお、シミュレーションの反復回数は8814回である。
図12(a)のウエハWの表面近傍に着目すると、ウエハWの回転テーブル2の外側において領域Rの流速範囲でラジカルが供給されるとともに流速P、Rの範囲が大半を占め、中心側で流速S、Tの範囲となっている。図11(a)と同様、中心側が流速Tとなっているものの、流速Sに近いレベルの流速であるので、100m/s程度の流速は確保できており、ラジカルの供給流速としては十分な流速である。図12(a)におけるシミュレーション結果は、図11(a)のシミュレーション結果よりもより流速の面内均一性が良好になっていることが分かる。
図12(b)は、図12(a)における0〜1111.69m/sを0〜360m/sの範囲に換算して流速分布を示したシミュレーション結果である。図12(b)に示されるように、ウエハWの表面付近の流速は、P、Q、R、Sの範囲となり、図11(b)よりも高い流速でウエハWの表面に接触する領域が増加し、より効果的にラジカルがウエハWの表面に供給されていることが示されている。
図10〜12に示したように、オリフィス32の管状部32aの位置及び角度は、用途、条件に応じて種々変更可能であり、これらを調整することにより、ウエハWの表面へのラジカル供給の効率及び均一性を高めることができる。即ち、管状部32aの容器本体12の内周側の開口端を、回転テーブル2よりも高い位置で、水平又は下向きに傾斜させた範囲で、最適な位置及び傾斜角度に調整することにより、ラジカル供給の最適化を図ることができる。また、ラジカル供給の調整は、成膜される膜の膜厚等にも影響するので、管状部32aの調整により、面内均一性の良好な成膜を行うことができる。また、大気圧下でラジカルを生成するラジカル源80の利用により、高密度のラジカル生成と、これが失活する前に迅速にウエハWに供給することが可能であるので、高品質な成膜を行うことができる。
次に、本実施形態の成膜装置の動作(成膜方法)について説明する。まず、載置部24が搬送口15に整列するように回転テーブル2が回転して、ゲートバルブ(図示せず)を開く。次に、搬送アーム10により搬送口15を介してウエハWを真空容器1内へ搬入される。ウエハWは、昇降ピン(図示せず)により受け取られ、搬送アーム10が容器1から引き抜かれた後に、昇降機構(図示せず)により駆動される昇降ピン(図示せず)によって載置部24へと下げられる。上述の一連の動作が5回繰り返されて、5枚のウエハWが対応する凹部24に載置される。
続いて、真空容器1内が、真空ポンプ64及び圧力調整器65により、予め設定した圧力に維持される。回転テーブル2が上から見て時計回りに回転を開始する。回転テーブル2は、ヒータユニット7により前もって所定の温度(例えば300℃)に加熱されており、ウエハWがこの回転テーブル2に載置されることで加熱される。ウエハWが加熱され、所定の温度に維持されたことが温度センサ(図示せず)により確認された後、BTBASガスが反応ガスノズル31を通して第1の処理領域P1へ供給され、ラジカル源80で生成されたNガスのラジカルがオリフィス32を通して第2の処理領域P2へ噴射供給される。加えて、分離ガスノズル41,42からNガスが供給される。さらに、中心領域Cから、すなわち、突出部5と回転テーブル2との間から回転テーブル2の表面に沿ってNガスが吐出される。また、分離ガス供給管51、パージガス供給管72,73からもNガスが供給される。
ウエハWが反応ガスノズル31の下方の第1の処理領域P1を通過するときに、ウエハWの表面にBTBAS分子が吸着し、オリフィス32の下方の第2の処理領域P2と通過するときに、ウエハWの表面に窒素(N、N)ラジカルが吸着し、窒素ラジカルによりBTBAS分子が窒化され、反応生成物である窒化シリコン(SiN)膜が堆積する。上述のように、高密度な窒素ラジカルが高い流速でウエハWの表面に均一に供給されるので、高品質の窒化シリコン膜が、優れた面内均一性を有してウエハWの表面上に成膜される。また、ラジカルの供給は、回転テーブル2の回転速度が速い外側で高く、回転テーブル2の回転速度が遅い中心側で低い流速で行われるため、そのような回転テーブル2上の位置(半径)に依存する回転速度の相違を是正しつつラジカル供給を行うことができる。
なお、回転テーブル2の回転により、ウエハWが処理領域P1、P2の両方を一回通過すると、ウエハWの表面に窒化シリコンの一分子層(又は2以上の分子層)が形成される。次いで、ウエハWが領域P1、P2を交互に複数回通過し、所定の膜厚を有する窒化シリコン膜がウエハWの表面に堆積される。所定の膜厚を有する窒化シリコン膜が堆積された後、BTBASガスとNガスラジカルの供給を停止し、回転テーブル2の回転を停止する。そして、ウエハWは搬入動作と逆の動作により順次搬送アーム10により容器1から搬出され、成膜プロセスが終了する。
このように、本発明の実施形態に係る成膜装置によれば、大気圧下でラジカルの生成を行うラジカル源80を設け、これを真空容器1に隣接して配置することにより、高密度のラジカルを失活させること無く均一にウエハWの表面に噴射供給することができ、高品質の膜を良好な面内均一性を有して成膜することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 真空容器
2 回転テーブル
24 凹部(基板載置領域)
31 処理ガスノズル
32 オリフィス
32a 管状部
32b テーパー部
41、42 分離ガスノズル
48A 第1の領域
48B 第2の領域
80 ラジカル源
81 放電室
82、83 電極
84、85 誘電体
90 フランジ配管
90a フランジ部
90b 配管部
110 交流高電圧電源
W ウエハ
D 分離領域

Claims (12)

  1. 真空容器と、
    該真空容器内に設けられ、表面上に基板を載置可能な基板載置領域を有する回転テーブルと、
    該回転テーブルの回転方向に沿って設けられ、前記回転テーブルの表面上に第1の処理ガスを供給可能な第1の処理ガス供給領域と、
    前記回転テーブルの回転方向に沿って前記第1の処理ガス供給領域と離間して設けられ、前記回転テーブルの表面に前記第1の処理ガスと反応して反応生成物を生成可能な第2の処理ガスを供給可能な第2の処理ガス供給領域と、
    前記第2の処理ガス供給領域に連通する前記真空容器の側壁に設けられた開口を介して前記真空容器の外側の側壁に隣接して設けられ、大気圧下で前記第2の処理ガスのラジカルを生成可能であるとともに前記開口を介して前記第2の処理ガスのラジカルを前記第2の処理ガス供給領域に噴射供給可能なラジカル生成手段と、を有する成膜装置。
  2. 前記ラジカル生成手段は、放電室と、該放電室内に所定間隔を置いて配置された一対の電極と、該電極間に配置された誘電体とを有する無声放電発生手段である請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記放電室は、フランジを介して前記開口の周囲の前記真空容器の外側の側壁に直接接続された請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記真空容器の側壁に設けられた開口の内周面側には、前記回転テーブルの前記表面に略平行に細長く管状に延びる管状部が形成された請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜装置。
  5. 前記管状部は、前記回転テーブルの前記表面よりも上方の位置に、前記表面が形成する面よりも下向きの角度を有して設けられた請求項4に記載の成膜装置。
  6. 前記管状部の位置及び角度は、前記管状部から噴射供給される前記第2の処理ガスのラジカルが前記回転テーブルの表面に接触しつつ前記回転テーブルの中心部まで到達可能となるように調整された請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記真空容器の側壁に設けられた開口の内周面側の開口端の周囲には、前記回転テーブルの中心側に向かって延びる筒状のカバーが設けられた請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成膜装置。
  8. 前記回転テーブルの前記回転方向における前記第1の処理ガス供給領域と前記第2の処理ガス供給領域との間には、前記第1の処理ガスと前記第2の処理ガスとを分離する分離ガスが供給可能な分離領域が設けられた請求項1乃至7のいずれか一項に記載の成膜装置。
  9. 前記分離領域は、前記真空容器の天井面から下方に向かって突出した凸状部と、該凸状部内に形成された溝内に設けられた分離ガス供給手段とを有する請求項8に記載の成膜装置。
  10. 前記第1の処理ガス供給領域は、前記基板の表面上に吸着可能な原料ガスを前記第1の処理ガスとして供給可能である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の成膜装置。
  11. 前記ラジカル生成手段は、前記原料ガスと反応して酸化物又は窒化物を生成可能な酸化ガス又は窒化ガスのラジカルを前記第2の処理ガスのラジカルとして前記第2の処理ガス供給領域に噴射供給する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の成膜装置。
  12. 前記ラジカル生成手段は、前記窒化ガスのラジカルとして窒素ガスのラジカルを生成する請求項11に記載の成膜装置。
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