JP2016142622A - 漏水判定のための波形データ収集装置、漏水判定装置、漏水判定システム、およびプログラム - Google Patents

漏水判定のための波形データ収集装置、漏水判定装置、漏水判定システム、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】漏水の有無を判定するための複数の分析に供されることが可能な波形データを収集すること。
【解決手段】波形データ収集装置20は、配管等の検査対象の振動に対応する振動信号をセンサ44から取得するセンサ信号取得部21と、振動信号が増幅されても飽和しないような増幅率を決定し、この増幅率を用いて振動信号を増幅する増幅部22と、増幅された振動信号を波形データに変換する波形データ変換部30と、波形データに、増幅率の情報が付加されたファイルを生成するファイル生成部32とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、水道管等の地下埋設物の破損等によって生じる漏水の有無を判定するための技術に関し、漏水に伴って生じる振動や音響の波形データを収集する波形データ収集装置、この波形データに基づいて漏水の有無を判定する漏水判定装置、波形データ収集装置と漏水判定装置からなる漏水判定システム、およびこれらの動作を制御するためのプログラムに関する。
従来、水道管等の地下埋設物の破損等によって生じる漏水の有無の判定は、水道管の弁や水道メータが設置されている水道管の露出部分における振動を、熟練調査員が、音聴棒や電子式の音聴器を使って聴き、その結果に基づいて判断することによってなされている(第1の判定方法)。
また、検査期間中に、地中に埋設された配管上において発生する振動を、電気信号に変換し、この電気信号が、予め定められた判定基準電圧以上となる累積時間を求め、この累積時間の、検査期間に対する割合が、予め決められた判定基準値を超える場合に、漏水があると判定することによってもなされている(第2の判定方法)。
特開昭61−213647号公報
しかしながら、このような従来の漏水判定方法では、以下のような問題がある。
まず、第1の判定方法のように、人間的な処理によって漏水の有無を判定する場合、以下のような問題がある。
すなわち、漏水の有無を判断できる熟練調査員は、貴重な存在であり、その数は、全国的にも少ない。しかも、このような熟練調査員でさえ、一日に100箇所程度の調査するのが、物理的に限界である。そのために、熟練調査員によって、件数の多い各戸の漏水調査を行った場合、調査を完了するまでに、非常に多くの日数を要してしまう。
一方、第2の判定方法のように、機械的な処理によって漏水の有無を判定する場合、以下のような問題がある。
すなわち、センサやマイクによって取得される信号のレベルは、漏水の有無や、騒音の状況等によってさまざまである。例えば、配管上において発生する振動は、漏水によって発生する振動のみならず、漏水以外によって発生する雑音振動もある。これら雑音振動については、一過性のものについては問題ないが、自動販売機のコンプレッサや、浄化槽のファン、また柱上トランス等によって継続的に発生する大きな振動も存在する。
このため、漏水が発生していない場合であっても、漏水が発生しているものと誤判定される恐れがあるという問題がある。
このような誤判定を回避するためには、第2の判定方法だけでは不十分であり、配管に設置されたセンサやマイクによって取得された振動や音響の波形データに基づいて、例えば周波数分析、相関分析、特性分析、音聴分析等といったより詳細な分析がなされることが好ましい。
ところが、現状では、第2の判定方法のために供されている波形データは、前述したようなより詳細な分析のためには適していない。その理由は以下の通りである。
すなわち、配管に設置されたセンサやマイクによって取得された振動や音響の信号は、非常に微小であるため、この信号を電気信号に変換した後、さらに一定レベルまで増幅することによって波形データを取得する必要がある。しかしながら、前述したように、例えば、センサやマイクによって取得される振動は、漏水によって発生した小さな振動のみならず、コンプレッサやファン等の雑音による大きな振動も存在する。このため、このような振動を、一定レベルまで増幅して波形データを取得した場合、値が飽和(サチレーション)してしまう場合もある。値が飽和した波形データでは、第2の判定方法のような分析に用いることはできる場合があるものの、周波数分析、相関分析、特性分析、音聴分析等のような分析には用いることはできない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、漏水の有無の判定を、人間的な処理ではなく、機械的な処理によって行うことによって、調査員の負担を軽減するとともに、機械的な処理に付随していた誤判定を回避するために、漏水の有無を判定するための複数の分析に供することを可能にするように、飽和しない波形データを収集する波形データ収集装置、および波形データ収集装置を制御するためのプログラムを提供することにある。
また、第2の目的は、波形データ収集装置によって収集された飽和しない波形データに対して、漏水の有無を判定するための複数の分析を実行することによって、漏水の有無を高い精度で判定し、もって、誤判定の可能性を低減することが可能な漏水判定装置、および漏水判定装置を制御するためのプログラムを提供することにある。
実施形態の波形データ収集装置は、配管等の検査対象に備えられたセンサから、検査対象の振動に対応する振動信号を取得するセンサ信号取得部と、振動信号が増幅されても飽和しないような増幅率を決定し、決定された増幅率を用いて、振動信号を増幅する増幅部と、振動信号から前記波形データを生成するための波形データ生成部とを具備してなる。前記波形データ生成部はさらに、増幅された振動信号を波形データに変換する波形データ変換部と、変換された波形データに、決定された増幅率の情報が付加されたファイルを生成するファイル生成部と、を備える。
実施形態の漏水判定装置は、漏水の有無を判定する漏水判定部を備えている。漏水判定部はさらに、ファイル生成部によって生成されたファイルに含まれる波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、総期間の、検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する時間積分率算出部と、時間積分率を算出される各波形データを、時間積分率算出部に提供される前に増幅するための第2の増幅率を、各波形データについて第1の増幅率と第2の増幅率との積が同一となるように、各波形データのそれぞれについて決定する第2の増幅部とを備える。
あるいは、第2の増幅部を備える代わりに、時間積分率算出部はさらに、増幅率が、定められた基準値以上である場合には、判定基準電圧の絶対値を小さくし、基準値よりも小さい場合には、判定基準電圧の絶対値を大きくする。
さらに、実施形態の漏水判定システムは、このような波形データ収集装置と漏水判定装置とを備えて構成される。
図1は、第1の実施形態の漏水判定システムの全体構成例を示す概念図である。 図2は、同漏水判定システムにおける波形データ収集装置の構成例を示すブロック図である。 図3は、振動信号と、増幅された波形データと、飽和した波形データとの関係の一例を示す図である。 図4は、同波形データ収集装置の動作を示すフローチャートである。 図5は、同漏水判定システムにおける漏水判定装置の構成例を示すブロック図である。 図6は、時間積分率を算出するための原理を説明するための概念図である。 図7は、同漏水判定装置の動作(評価用データ生成及び一次判定)の例を示すフローチャートである。 図8は、同漏水判定装置の動作(二次判定および三次判定)の例を示すフローチャートである。 図9は、同漏水判定装置の動作(漏水無し判定)の例を示すフローチャートである。 図10は、第2の実施形態に適用される漏水判定装置の構成例を示す概念図である。 図11は、増幅率に応じて判定基準電圧を調整することを説明するための図である。 図12は、同漏水判定装置の動作(評価用データ生成及び一次判定)の例を示すフローチャートである。
以下に、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の漏水判定システム10の全体構成例を示す概念図である。
この漏水判定システム10は、複数の波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)と、これら波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)と無線通信ネットワーク40を介して通信可能な漏水判定装置50とを具備する。
(波形データ収集装置)
本実施形態における波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)は、調査員が携帯する専用端末でありうる。また、専用端末ではなくても、波形データ収集装置20の動作を制御するための専用のプログラムやアプリをインストールすることによって、例えばスマートフォンのような汎用端末も、波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)となりうる。
図2は、波形データ収集装置20の構成例を示すブロック図である。
波形データ収集装置20は、センサ信号取得部21と、増幅部22と、フィルタ部24と、A/D変換部26と、波形データ生成部28と、ハードディスクまたはメモリ等からなる記憶装置36とを備えてなる。波形データ生成部28は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、並びに、CPUが処理を実行するためのアプリケーション・プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える。波形データ生成部28は、図示しないROMに格納されるアプリケーション・プログラムを、図示しないRAMを利用してCPUに実行させることで、波形データ変換部30と、ファイル生成部32と、増幅率取得部34との機能を実現する。そして、波形データ収集装置20は、波形データを取得するために、検査対象である水道管等の配管42に設置された加速度センサ、振動センサ、マイクロホン等のセンサ44に接続されている。
なお、波形データ生成部28は、CPUを備える場合を例に説明したが、これに限定されない。波形データ生成部28は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を備え、波形データ変換部30と、ファイル生成部32と、増幅率取得部34との機能を実現するようにしても構わない。
センサ44は、配管42上を伝わる微小な信号を捉えて、例えばμV(マイクロ・ボルト)のオーダの振動信号aを生成する。そして、対応する配管42の識別情報iを、振動信号aに付加する。
波形データ収集装置20では、センサ信号取得部21が、この振動信号aおよび識別信号iを、センサ44から取得し、増幅部22に渡す。
増幅部22は、好適にはAGC(オート・ゲイン・コントロール)等の回路を備えており、このAGC機能によって、振動信号aが飽和(サチレーション)しないような増幅率bを決定する。そして、決定された増幅率bを増幅率取得部34に通知するとともに、決定された増幅率bを用いて振動信号aを増幅し、増幅信号cを生成し、識別情報iとともにフィルタ部24に渡す。一例であるが、増幅信号cは、mV(ミリ・ボルト)のオーダであれば、飽和しない。したがって、前述したように、振動信号aが、μVのオーダである場合、増幅率bは、100倍程度とすればよい。したがって、増幅部22は、AGC回路を備えていなくても、例えば、増幅率bとして、100倍のような適切な値とするように予め設定されていても良い。
フィルタ部24は、増幅信号cに対してアンチエリアジングを行うとともに、増幅信号cから、例えば車の通行音等の雑音が多く含まれる低周波領域等をカットする。そして、このようなフィルタ処理済信号dを、識別情報iとともにA/D変換部26に渡す。
A/D変換部26は、フィルタ処理済信号dをA/D変換し、このA/D変換によって得られたデジタル信号eを、識別情報iとともに波形データ変換部30に渡す。
波形データ変換部30は、デジタル信号eを、例えばWAVEファイルやAIFF等のような、一般的な音声データ・ファイル形式である波形データfに変換し、識別情報iとともにファイル生成部32に渡す。
図3(a)および図3(b)は、振2動信号aと、波形データfとの関係の一例を示す図である。図3(a)に示すように、例えばμVのオーダであるアナログ信号である振動信号aに、増幅率b(例えば、100倍)が乗じられ、フィルタ部24によるフィルタ処理、およびA/D変換部26によるA/D変換処理がなされた後に、図3(b)に示すように、例えばmVのオーダであるデジタル信号である波形データfが得られる。
増幅率取得部34もまた、増幅部22から送られた増幅率bを、ファイル生成部32に渡す。
ファイル生成部32は、波形データ変換部30からの波形データfに、増幅率取得部34からの増幅率bの情報が付加されたファイルgを生成し、識別情報iが認識できる適切なファイル名(例えば、識別情報iを含むファイル名)を付して記憶装置36内のファイル記憶部38に書き込む。波形データfへの増幅率bの情報の付加方法としては、例えば、ファイルgに付されるファイル名の一部に増幅率bの値を挿入する方法や、ファイルgの末尾のコメント欄等に増幅率bを書き込む方法等があるが、波形データfに対応する増幅率bを把握することが可能な形式であればその他の方式によって行っても良い。
波形データ収集装置20は、このようにして、センサ44によって検出された振動信号aに基づく波形データfに、この振動信号aに適用された増幅率bの情報が付加された、識別情報iが認識できるファイル名が付されたファイルgを保存する。
次に、以上のように構成した本実施形態の漏水判定システムにおける波形データ収集装置20の動作例を図4に示すフローチャートを用いて説明する。
配管42上を伝わる微小な振動が、センサ44によって取得され、対応する配管42を識別する識別情報iとともに、振動信号a(例えばμVのオーダ)が生成される(ステップS1)。
センサ44からの振動信号aおよび識別情報iが、センサ信号取得部21によって取得され、増幅部22へ渡される(ステップS2)。
増幅部22によって、振動信号aが飽和(サチレーション)しないような増幅率b(例えば100倍)が決定され、増幅率取得部34に通知される(ステップS3)。
さらに増幅部22によって、増幅率bを用いて振動信号aが増幅され、増幅信号cが生成され、識別情報iとともにフィルタ部24に渡される(ステップS4)。
フィルタ部24によって、増幅信号cに対するアンチエリアジングが行われ、増幅信号cから、例えば車の通行音等の雑音が多く含まれる低周波領域等がカットされることにより、フィルタ処理済信号dが生成され、識別情報iとともにA/D変換部26に渡される(ステップS5)。
A/D変換部26によって、フィルタ処理済信号dがA/D変換され、このA/D変換によって得られたデジタル信号eが識別情報iとともに波形データ変換部30に渡される(ステップS6)。
波形データ変換部30によって、デジタル信号eが、例えばWAVEファイルやAIFF等のような、一般的な音声データ・ファイル形式である波形データfに変換され、識別情報iとともにファイル生成部32に渡される(ステップS7)。
ステップS3において増幅率取得部34に通知された増幅率bもまた、ファイル生成部32に渡される(ステップS8)。
ファイル生成部32では、ステップS7において渡された波形データfに、ステップS8において渡された増幅率bの情報が付加されたファイルgが生成され、識別情報iが認識できるファイル名が付されて、記憶装置36内のファイル記憶部38に書き込まれる(ステップS9)。
このようにして、センサ44によって検出された振動信号aに基づく波形データfに、この振動信号aに適用された増幅率bの情報が付加されたファイルgが、識別情報iが認識できるファイル名を付されてファイル記憶部38に保存される。
このようにしてファイル記憶部38に保存されたファイルgに含まれる波形データfは、飽和していないので、以下にさらに詳細に説明されるように、無線通信ネットワーク40を介して漏水判定装置50にアップロードされ、漏水判定装置50においてなされる、周波数分析や、音聴分析のために使用されることが可能となる。
(漏水判定装置)
本実施形態における漏水判定装置50は、無線通信ネットワーク40を介して複数の波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)と通信可能な中央サーバでありうる。そして、例えば磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムや、インターネット等を介してダウンロードしたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって実現される。
図5は、漏水判定装置50の構成例を示すブロック図である。
漏水判定装置50は、無線通信ネットワーク40を介して各波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)と通信可能な通信部52と、漏水判定部54と、ディスプレイ等からなる表示部56と、ハードディスクまたはメモリ等からなる記憶部58とを備えてなる。
そして、通信部52が、無線通信ネットワーク40を介して各波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)からファイルgをダウンロードする。
漏水判定部54は、このファイルgに対して各種の分析を行うことによって、対応する配管42における漏水の有無を判定する。このために、漏水判定部54は、例えば、CPU、並びに、CPUが処理を実行するためのアプリケーション・プログラムやデータを格納するROM及びRAM等を備える。漏水判定部54は、図示しないROMに格納されるアプリケーション・プログラムを、図示しないRAMを利用して実行することで、増幅部60と、時間積分率算出部62と、周波数分析部64と、音聴分析部66との機能を実現する。
なお、漏水判定部54は、CPUを備える場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、FPGA等を備え、増幅部60と、時間積分率算出部62と、周波数分析部64と、音聴分析部66との機能を実現するようにしても構わない。
増幅部60は、通信部52によってダウンロードされたファイルgから、波形データfと増幅率bとを取得する。そして、増幅率bの値に基づいて、さらに別の増幅率jを決定し、この増幅率jを用いて波形データfをさらに増幅して、時間積分率算出部62でなされる判定に利用されるための評価用データhを生成し、時間積分率算出部62に渡す。評価用データhの生成の具体例については後述する。
時間積分率算出部62は、[背景技術]で説明された「第2の判定方法」を実施することによって、時間積分率(%)を算出する。図6は、時間積分率(%)を算出するための原理を説明するための概念図である。なお、図6は、評価用データhが飽和していない例を示している。
すなわち、時間積分率算出部62では、増幅部60からの評価用データhを対象として、検査期間T内において、予め定められた判定基準電圧Er以上となる期間t(1,2,・・・,i,・・・n)、つまり、+Er以上となる期間と、−Er以下となる期間との総和(Σt(i))を算出する。さらにこの総和(Σt(i))の、検査期間Tに対する割合(Σt(i)/T)×100)を取ることで、時間積分率(%)を算出する。判定基準電圧Erは、一例として、配管42に漏水がない場合に得られる最大電圧付近に設定する。
時間積分率(%)が大きいということは、評価用データhによって示される電圧が、配管42に漏水がない場合における最大電圧を超える可能性が高いということになる。前述したように、センサ44によって検出される振動信号aには、自動販売機のコンプレッサや、浄化槽のファン、また柱上トランス等による雑音振動も含まれている。したがって、時間積分率(%)が大きいだけでは、実際に漏水が発生していると断定することはできない。したがって、本実施形態では、時間積分率(%)があるしきい値を超える評価用データhに対応する配管42に対して、漏水の疑いがあるとの一次判定を行う。
このような一次判定が、時間積分率算出部62において効率良くなされるようにするために、増幅部60は、増幅率jを用いて波形データfを増幅して、評価用データhを生成し、時間積分率算出部62に渡す。ただし、このとき適用する増幅率jは、以下のような制約に基づいて決定される。
第1に、増幅率jに、正常な信号が飽和するほど大きな値を適用しない。正常な信号でさえも飽和するほど大きな値の増幅率jを適用しては、正常な信号と、漏水時に得られる信号との区別ができなくなってしまうからである。なお、正常な信号よりも高い信号(例えば、コンプレッサやファン等による雑音信号)については、飽和しても構わない。
第2に、各評価用データhについて、振動信号aからの総増幅率Mが一定になるように、増幅率jを決定する。すなわち、増幅率bと増幅率jとの積が、各評価用データhについて、一定値になるようにする。具体例を以下の通り説明する。
すなわち、増幅率bは、波形データf毎に個別に設定される。したがって、複数の波形データf(#1,#2,・・・#n)間での信号レベルでの比較を可能にするために、増幅部60は、各評価用データh(#1,#2,・・・#n)の最終的な増幅率Mが一定になるように、各波形データf(#1,#2,・・・#n)のためにそれぞれさらなる増幅率j(#1,#2,・・・#n)を決定する。つまり、増幅率b(#1)×増幅率j(#1)=増幅率b(#2)×増幅率j(#2)=・・・・=増幅率b(#n)×増幅率j(#n)=増幅率Mの関係が成立するようにする。
例えば、波形データ収集装置20(#1)からの波形データf(#1)の増幅率b(#1)が100倍であり、波形データ収集装置20(#2)からの波形データf(#2)の増幅率b(#2)が200倍である場合、増幅部60は、波形データf(#1)に対しては10倍の増幅率j(#1)を適用して評価用データh(#1)を生成し、波形データf(#2)に対しては5倍の増幅率j(#2)を適用して評価用データh(#2)を生成する。これによって、評価用データh(#1)および評価用データh(#2)ともに、振動信号a(#1)および振動信号a(#2)から1000倍増幅される(すなわち、増幅率M=1000)ことになる。このような調整をすることによって、波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)によって波形データf(#1,#2,・・・#n)に適用された増幅率b(#1,#2,・・・#n)が各々異なる場合であっても、時間積分率算出部62へ提供される評価用データh(#1,#2,・・・#n)の電圧レベルを合わせることによって、後述するように、時間積分率算出部62においてなされる判定基準電圧Erや基準値の選択が容易となり、複数の評価用データh(#1,#2,・・・#n)に対して同じ条件で時間積分率を算出することが容易になる。
図3(c)は、このようにして得られた評価用データhの一例を示す。前述したように、図3(a)は、センサ44によって取得された振動信号aの一例を示し、図3(b)は、この振動信号aに対して、増幅部22によって増幅率b(例えば、100倍)が乗じられることによって得られた増幅信号cを示している。図3(c)は、図3(b)の増幅信号cに対応する波形データfに、増幅部60によって増幅率j(例えば、10倍)が乗じられることによって生成される、飽和した評価用データhの例を示している。
時間積分率算出部62は、このようにして増幅部60によって生成された評価用データhに対して、前述したようにして、時間積分率(%)を算出する。
時間積分率算出部62は、時間積分率(%)の値が、予め定められたしきい値以上である評価用データhに対応する配管42に対して、漏水の疑いがあるとの一次判定を行う。
時間積分率算出部62によって、漏水の疑いがあるとの一次判定がなされた配管42に対応する波形データfは、さらに、周波数分析部64および音聴分析部66による二次判定および三次判定が行われる。
周波数分析部64は、時間積分率算出部62によって、漏水の疑いがあると一次判定された配管42に対応する波形データfに対して、周波数分析を行う。すなわち、周波数分析部64は、波形データfをFFT処理して、波形データfに含まれる周波数成分に基づいて、周波数特性を取得する。さらに、過去に収集された漏水時の波形データを記憶部58から取得し、この波形データを元に得られる漏水の周波数特性と、波形データfの周波数特性とを比較し、周波数特性パターンが一致している場合に、該波形データfに対応する配管42に漏水の疑いがあるとの二次判定を行う。
音聴分析部66は、周波数分析部64によって、漏水の疑いがあると二次判定がなされた配管42に対応する波形データfに対して、音聴分析を行い、音聴パターンを得る。さらに、過去に収集された漏水時の波形データを記憶部58から取得し、この波形データに基づく音聴パターンを取得する。そして、両音聴パターンの相関関係が得られた場合に、該波形データfに対応する配管42に漏水の疑いがあるとの三次判定を行う。あるいは、音聴分析部66は、記憶部58に記憶された過去に収集された漏水時の波形データを元に漏水音の音紋がパターン化された音紋パターンと、波形データfの音紋パターンとの類似性を分析する。そして、両音紋パターンに類似性が得られた場合に、該波形データfに対応する配管42に漏水の疑いがあるとの三次判定を行う。
これら一次乃至三次の判定結果は、表示部56から適宜閲覧することができる。
本実施形態の漏水判定装置50は、三次判定によっても漏水の疑いがあると判定された波形データfに対応する配管42に対して、漏水していると判定する。
このように、本実施形態の漏水判定装置50は、時間積分率算出部62による一次判定、次に周波数分析部64による二次判定、さらには音聴分析部66による三次判定からなる三段階の判定を行うことによって、漏水の判定をより正確に行うようにしている。
次に、以上のように構成した本実施形態の漏水判定システムにおける漏水判定装置50の動作例を図7、図8、および図9に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、通信部52によって、無線通信ネットワーク40を介して、各波形データ収集装置20(#1,#2,・・・#n)から、ファイルgがダウンロードされる(S10)。
次に、通信部52によってダウンロードされたファイルgから、増幅部60によって、波形データfと増幅率bとが取得される(S11)。
さらに、増幅部60では、時間積分率算出部62における時間積分率算出が効率良くなされるようにするために、波形データfをさらに増幅するための増幅率jが決定される(S12)。さらに、増幅部60では、この増幅率jが波形データfに適用されることによって、評価用データhが生成され、時間積分率算出部62に渡される(S13)。
なお、ステップS12において、増幅率jは、正常な信号が飽和するほど高い値にならないように、かつ、複数の評価用データhについて、振動信号aからの総増幅率M(すなわち、増幅率b×増幅率j)が一定になるように決定される。
次に、時間積分率算出部62において、漏水の有無に関する一次判定がなされる。この一次判定では、増幅部60からの評価用データhを対象として、検査期間T内において、予め定められた判定基準電圧Er以上となる期間t(1,2,・・・,i,・・・n)、つまり、+Er以上となる期間と、−Er以下となる期間との総和(Σt(i))が算出される(S14)。
なお、判定基準電圧Erは、時間積分率算出部62によって、例えば、配管42に漏水がない場合に得られる最大電圧付近に設定される。
さらに時間積分率算出部62では、ステップS14で算出された総和(Σt(i))の、検査期間Tに対する割合(Σt(i)/T)×100)が取られることで、時間積分率(%)が算出される(S15)。
前述したように、センサ44によって検出される振動信号aには、コンプレッサやファン等による雑音振動も含まれているので、時間積分率(%)が大きいというだけでは、対応する配管42に漏水があると断定することはできない。したがって、時間積分率(%)の値が、予め定められたしきい値以上である(S16:Yes)評価用データhは、対応する配管42に漏水の疑いがあるとの一次判定が、時間積分率算出部62によってなされる(S17)。
一方、時間積分率(%)の値が、予め定められたしきい値未満となる(S16:No)評価用データhに対応する配管42には、漏水はないと判定される(S30)。
ステップS17において、漏水の疑いがあるとの一次判定がなされた評価用データhに対応する波形データfは、次に、周波数分析部64において二次判定が行われる。
二次判定では、ステップS17において漏水の疑いがあると一次判定された評価用データhに対応する波形データfに対する周波数分析が、周波数分析部64によってなされる。例えば、周波数分析部64において、波形データfがFFT処理され、波形データfに含まれる周波数成分に基づいて、周波数特性が取得される(S18)。さらに、過去に収集された漏水時の波形データを元に得られた漏水の周波数特性と、波形データfの周波数特性とが比較され(S19)、周波数特性パターンが一致している場合(S20:Yes)、この波形データfに対応する配管42に、漏水の疑いがあるとの二次判定がなされる(S21)。
一方、周波数特性パターンが一致していない場合(S20:No)、この波形データfに対応する配管42に漏水はないと判定される(S30)。
次に、ステップS21において漏水の疑いがあると二次判定された配管42に対応する波形データfに対して、音聴分析部66によって三次判定がなされる。三次判定ではまず、音聴分析部66によって、波形データfの音聴が分析されることによって音聴パターンが得られる(S22)。そして、この音聴パターンと、過去に収集された漏水時の波形データに基づく音聴パターンとの相関関係が分析される(S23)。そして、両音聴パターンの相関が得られた場合(S24:Yes)に、この波形データfに対応する配管42に、漏水の疑いがあるとの三次判定がなされる(S25)。
一方、両音聴パターンに相関性がない場合(S24:No)、この波形データfに対応する配管42に漏水はないと判定される(S30)。
なお、ステップS22〜S23においてなされる音聴パターンを用いた相関分析に代えて、過去に収集された漏水時の波形データを元に生成される、漏水時の音紋パターンと、波形データfの音紋パターンとの間に類似性がある場合に、波形データfに対応する配管42に漏水の疑いがあるとの三次判定を行うようにしても良い。
前述したように、配管42における漏水の有無を判定するために、配管42に配置されたセンサ44によって取得された振動信号aを用いる場合、振動は、コンプレッサやファン等による継続的な雑音によってももたらされるために、高い精度での判定は困難であった。しかしながら、本実施形態の漏水判定装置50によれば、時間積分率算出部62による一次判定、次に周波数分析部64による二次判定、さらには音聴分析部66による三次判定からなる三段階の判定が行われることによって、これら雑音を分離することができるので、配管42における漏水の有無を高い精度で判定できるようになる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、漏水判定装置の構成のみが、第1の実施形態とは異なる。したがって、以下では、第1の実施形態と異なる点のみについて説明し、重複説明を避ける。
図10は、本発明の第2の実施形態に適用される漏水判定装置70の構成例を示すブロック図である。
図10に示す漏水判定装置70は、図5に示す漏水判定装置50から、増幅部60を省略した構成としている。
そして、第1の実施形態において増幅部60から時間積分率算出部62に渡されていた評価用データhの代わりに、通信部52からの波形データfが、評価用データhとして、時間積分率算出部62に渡される。
さらに、時間積分率算出部62は、時間積分率(%)の算出のために適用される判定基準電圧Erを、対応するファイルgに含まれる増幅率bに応じて調整する。例えば、図11に示すように、ファイルgに含まれる増幅率bが、予め定められた一定値である基準値以上である場合(増幅率b大)には、判定基準電圧Erの絶対値を小さくし、基準値よりも小さい場合(増幅率b小)には、逆に大きくする。
このように、増幅部60を備えず、波形データfを増幅しない場合であっても、増幅率bに応じて判定基準電圧Erの絶対値を調整することで、評価用データh(すなわち、通信部52からの波形データf)の時間積分率(%)を算出する。
図12は、漏水判定装置70の動作(評価用データ生成及び一次判定)の例を示すフローチャートである。
すなわち、漏水判定装置70は、漏水判定装置50によって実行されるステップS10〜S30のうち、ステップS12を実行せず、代わりに、ステップS13’〜S14’を実行する。
ステップS13’では、通信部52からの波形データfが、評価用データhとして、時間積分率算出部62に渡される。
また、ステップS14’では、対応するファイルgに含まれる増幅率bに応じて、時間積分率算出部62によって、時間積分率(%)の算出のために適用される判定基準電圧Erが調整される。例えば、図11に示すように、ファイルgに含まれる増幅率bが、予め定められた一定値である基準値以上である場合(増幅率b大)には、判定基準電圧Erの絶対値が小さくされ、基準値よりも小さい場合(増幅率b小)には、逆に絶対値が大きくされる。
このような構成によれば、漏水判定装置70は、波形データfを増幅しなくても、その代わりに、判定基準電圧Erを調整することによって、時間積分率(%)を算出することができる。よって、増幅部60を備えていなくても、第1の実施形態と同様に、時間積分率算出部62による一次判定、次に周波数分析部64による二次判定、さらには音聴分析部66による三次判定からなる三段階の判定を行ない、配管42における漏水の有無を高い精度で判定することが可能となる。
以上説明したように、各実施形態の漏水判定システムによれば、水道管等の地下埋設物における漏水の有無の判定を、人間的な処理ではなく、機械的な処理によって行うことによって、調査員の負担を軽減することができる。さらに、この処理を、複数段階の判定によって行うことによって、高い精度で漏水の有無を判定することが可能となる。
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、各実施形態では、周波数分析部64によって二次判定がなされ、音聴分析部66によって三次判定がなされる例を説明したが、音聴分析部66によって二次判定がなされ、周波数分析部64によって三次判定がなされるようにしても良い。
また、コンプレッサやファン等の振動がないことが明らかである配管42に対してであれば、周波数分析部64と音聴分析部66とのうちの一方を省略し、二段階の判定のみで漏水の有無を判定するようにしても良い。
また、音聴分析部66によってなされる分析に代えて、熟練調査員による判断によって、漏水の有無を判定するようにしても良い。すなわち、漏水の疑いがあると二次判定がなされた配管42に対応する波形データfを、ヘッドホンやスピーカから音として出力し、この音を熟練調査員が耳で聴くことにより、漏水音であるか、あるいはコンプレッサやファン等の音であるかを判断し、漏水の有無を判定するようにしても良い。前述したように、熟練調査員は、全国的にも少ない貴重な存在である。したがって、このような熟練調査員を、一次判定および二次判定との両方によって漏水の疑いがあると絞り込まれた配管42の波形データfの漏水判定のみに活用するようにしても、熟練調査員の作業負荷を大幅に軽減することができる。
10 漏水判定システム、20 波形データ収集装置、21 センサ信号取得部、22 増幅部、24 フィルタ部、26 A/D変換部、28 波形データ生成部、30 波形データ変換部、32 ファイル生成部、34 増幅率取得部、36 記憶装置、38 ファイル記憶部、40 無線通信ネットワーク、42 配管、44 センサ、50、70 漏水判定装置、52 通信部、54 漏水判定部、56 表示部、58 記憶部、60 増幅部、62 時間積分率算出部、64 周波数分析部、66 音聴分析部

Claims (13)

  1. 検査対象に備えられたセンサから、前記検査対象の振動に対応する振動信号を取得するセンサ信号取得部と、
    前記振動信号が増幅されても飽和しないような増幅率を決定し、前記決定された増幅率を用いて、前記振動信号を増幅する増幅部と、
    前記振動信号から波形データを生成するための波形データ生成部とを具備し、
    前記波形データ生成部は、
    増幅された振動信号を波形データに変換する波形データ変換部と、
    前記変換された波形データに、前記決定された増幅率の情報が付加されたファイルを生成するファイル生成部とを備える、波形データ収集装置。
  2. 前記増幅部は、AGC(オート・ゲイン・コントロール)機能を備え、前記AGC機能によって前記増幅率を決定する、請求項1に記載の波形データ収集装置。
  3. 前記増幅部と前記波形データ変換部との間に設けられ、前記増幅部によって増幅された振動信号に対して、アンチエリアジングおよび低周波領域のカットを含むフィルタ処理を施し、前記フィルタ処理が施された振動信号を、前記波形データ変換部側に提供するフィルタ部、をさらに備える請求項1または2に記載の波形データ収集装置。
  4. 前記フィルタ部と前記波形データ変換部との間に設けられ、前記フィルタ部によってフィルタ処理された振動信号に対してA/D変換を実施し、前記A/D変換が実施された振動信号を、前記波形データ変換部に提供するA/D変換部、をさらに備える請求項3に記載の波形データ収集装置。
  5. 検査対象における漏水の有無を判定する漏水判定部を具備し、
    前記漏水判定部は、
    前記検査対象の振動に対応する振動信号に対して、前記振動信号が増幅されても飽和しないような第1の増幅率で増幅されて生成された波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、前記総期間の、前記検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、前記算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、前記波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する時間積分率算出部を備え、
    前記時間積分率算出部はさらに、前記第1の増幅率が、定められた基準値以上である場合には、前記判定基準電圧の絶対値を小さくし、前記基準値よりも小さい場合には、前記判定基準電圧の絶対値を大きくする、漏水判定装置。
  6. 検査対象における漏水の有無を判定する漏水判定部を具備し、
    前記漏水判定部は、
    前記検査対象の振動に対応する振動信号に対して、前記振動信号が増幅されても飽和しないような第1の増幅率で増幅されて生成された波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、前記総期間の、前記検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、前記算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、前記波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する時間積分率算出部と、
    前記時間積分率を算出される各波形データを、前記時間積分率算出部に提供される前に増幅するための第2の増幅率を、前記各波形データについて前記第1の増幅率と前記第2の増幅率との積が同一となるように、前記各波形データのそれぞれについて決定する第2の増幅部とを備える、漏水判定装置。
  7. 前記漏水判定部は、前記漏水の疑いがあると判定された検査対象に対応する波形データに対する周波数分析を行い、この波形データの周波数特性を取得し、前記周波数特性を、過去に収集された漏水時の波形データを元に得られた周波数特性と比較し、両周波数特性に一致性が見られる場合、前記時間積分率算出部によって漏水の疑いがあると判定された検査対象に対して、漏水の疑いがあると判定する周波数分析部をさらに備える、請求項5または6に記載の漏水判定装置。
  8. 前記漏水判定部は、前記漏水の疑いがあると判定された検査対象に対応する波形データに対して、音聴分析を行って音聴パターンを取得し、この音聴パターンと、過去に収集された漏水時の波形データを元に得られた音聴パターンとの間に相関がある場合、前記周波数分析部によって漏水の疑いがあると判定された検査対象に対して、漏水の疑いがあると判定する音聴分析部をさらに備える、請求項5乃至7のうち何れか1項に記載の漏水判定装置。
  9. 検査対象における漏水の有無を判定するために使用される、前記検査対象の振動の波形データを収集する波形データ収集装置と、前記波形データ収集装置に通信ネットワークを介して接続され、前記波形データ収集装置によって収集された波形データに基づいて、前記検査対象における漏水の有無を判定する漏水判定装置とを備えてなる漏水判定システムであって、
    前記波形データ収集装置は、
    前記検査対象に備えられたセンサから、前記検査対象の振動に対応する振動信号を取得するセンサ信号取得部と、
    前記振動信号が増幅されても飽和しないような増幅率を決定し、前記決定された増幅率を用いて、前記振動信号を増幅する増幅部と、
    前記振動信号から前記波形データを生成するための波形データ生成部とを具備し、
    前記波形データ生成部は、
    前記振動信号を波形データに変換する波形データ変換部と、
    前記変換された波形データに、前記決定された増幅率の情報が付加されたファイルを生成するファイル生成部とを備え、
    前記漏水判定装置は、
    前記ファイル生成部によって生成されたファイルを、前記通信ネットワークを介して取得する通信部と、
    前記漏水の有無を判定する漏水判定部とを具備し、
    前記漏水判定部は、
    前記取得されたファイルに含まれる波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、前記総期間の、前記検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、前記算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、前記波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する時間積分率算出部を備え、
    前記時間積分率算出部は、前記第1の増幅率が、定められた基準値以上である場合には、前記判定基準電圧の絶対値を小さくし、前記基準値よりも小さい場合には、前記判定基準電圧の絶対値を大きくする、漏水判定システム。
  10. 検査対象における漏水の有無を判定するために使用される、前記検査対象の振動の波形データを収集する波形データ収集装置と、前記波形データ収集装置に通信ネットワークを介して接続され、前記波形データ収集装置によって収集された波形データに基づいて、前記検査対象における漏水の有無を判定する漏水判定装置とを備えてなる漏水判定システムであって、
    前記波形データ収集装置は、
    前記検査対象に備えられたセンサから、前記検査対象の振動に対応する振動信号を取得するセンサ信号取得部と、
    前記振動信号が増幅されても飽和しないような増幅率を決定し、前記決定された増幅率を用いて、前記振動信号を増幅する増幅部と、
    前記振動信号から前記波形データを生成するための波形データ生成部とを具備し、
    前記波形データ生成部は、
    前記振動信号を波形データに変換する波形データ変換部と、
    前記変換された波形データに、前記決定された増幅率の情報が付加されたファイルを生成するファイル生成部を備え、
    前記漏水判定装置は、
    前記ファイル生成部によって生成されたファイルを、前記通信ネットワークを介して取得する通信部と、
    前記漏水の有無を判定する漏水判定部とを具備し、
    前記漏水判定部は、
    前記取得されたファイルに含まれる波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、前記総期間の、前記検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、前記算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、前記波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する時間積分率算出部と、
    前記時間積分率を算出される各波形データを、前記時間積分率算出部に提供される前に増幅するための第2の増幅率を、前記各波形データについて前記第1の増幅率と前記第2の増幅率との積が同一となるように、前記各波形データのそれぞれについて決定する第2の増幅部とを備える、漏水判定システム。
  11. 検査対象における漏水の有無を判定するために使用される、前記検査対象の振動の波形データを収集する装置に適用されるプログラムであって、
    前記検査対象に備えられたセンサから、前記検査対象の振動に対応する振動信号を取得する機能と、
    前記振動信号が増幅されても飽和しないような増幅率を決定し、前記決定された増幅率を用いて、前記振動信号を増幅する機能と、
    前記振動信号を波形データに変換する機能と、
    前記変換された波形データに、前記決定された増幅率の情報が付加されたファイルを生成する機能と、
    をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  12. 検査対象における漏水の有無を判定する装置に適用されるプログラムであって、
    前記検査対象の振動に対応する振動信号に対して、前記振動信号が増幅されても飽和しないような第1の増幅率で増幅されて生成された波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、前記総期間の、前記検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、前記算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、前記波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する機能と、
    前記第1の増幅率が、定められた基準値以上である場合には、前記判定基準電圧の絶対値を小さくし、前記基準値よりも小さい場合には、前記判定基準電圧の絶対値を大きくする機能と、
    をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  13. 検査対象における漏水の有無を判定する装置に適用されるプログラムであって、
    前記検査対象の振動に対応する振動信号に対して、前記振動信号が増幅されても飽和しないような第1の増幅率で増幅されて生成された波形データを対象として、検査期間内において、定められた判定基準電圧以上となる総期間を算出し、前記総期間の、前記検査期間に対する割合を取ることによって、時間積分率を算出し、前記算出された時間積分率が、予め定められたしきい値以上である場合、前記波形データに対応する検査対象に漏水の疑いがあると判定する機能と、
    前記時間積分率を算出される各波形データを、前記時間積分率算出部に提供される前に増幅するための第2の増幅率を、前記各波形データについて前記第1の増幅率と前記第2の増幅率との積が同一となるように、前記各波形データのそれぞれについて決定する機能と、
    をコンピュータに実現させるためのプログラム。
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