JP2016141577A - 光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法 Download PDF

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圭祐 平川
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Abstract

【課題】 伝搬する光の損失を抑制することができる光ファイバを製造可能な光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法を提供する。【解決手段】 光ファイバ用母材1Pの製造方法は、クラッド20となるクラッドガラス体20Pを有する中間母材1Psを準備する準備工程P1と、パイプ52とパイプ52の一方の端部に設けられる切削部51とを有するドリルツール50を空孔内で回転させながら押し進めてクラッドガラス体20Pを削る削り工程と、を備え、削り工程の少なくとも一部において、空孔内に位置するパイプの少なくとも一部が、ドリルツール50とともに回転しないように保持される筒状のドリルカバー75で囲まれる。【選択図】図7

Description

本発明は、光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法に関し、製造される光ファイバの伝送損失を抑制する場合に好適なものである。
光ファイバの一種として、光ファイバの長手方向に沿って複数のコアを有するマルチコアファイバが知られている。このマルチコアファイバを線引きするための光ファイバ用母材の一つとして、クラッドとなるガラス体の長手方向に沿って複数の孔が形成され、この孔にコアロッドが挿入され、この中間母材がコラプスされることにより製造するものを挙げることができる。
また、光ファイバの他の一種として、光ファイバの長手方向に沿って複数の空孔が形成されているホーリーファイバが知られている。このホーリーファイバを線引きするための光ファイバ用母材は、クラッドとなるガラス体の長手方向に沿って複数の孔が形成されている。
下記特許文献1には、このようなクラッドとなるガラス体に空孔を形成する工程を含む光ファイバ用母材の製造方法が記載されている。当該製造方法における空孔の形成では、軸部材と軸部材の一方の端部に設けられるドリルヘッドとを有するドリルツールが用いられている。そして、ドリルツールがクラッドとなるガラス体に回転しながら押し進められ穿孔が行われる。また、形成された空孔の壁面を研磨する場合にも上記ドリルツールが用いられる。このドリルツールには、目の細かいドリルヘッドが用いられる。
特開2002−293562号公報
しかし、上記特許文献1に記載の光ファイバ用母材の製造方法において、穿孔や研磨を行う際にドリルツールの軸部材が湾曲する場合がある。このようにドリルツールの軸部材が湾曲すると、湾曲した軸部材が高速で回転しながらガラス体の内壁面に接触して、ガラス体に不純物が付着することがある。この不純物が残留した中間母材から製造された光ファイバ用母材を用いて光ファイバを製造すると、光ファイバを伝搬する光の損失が生じる傾向がある。特に、この不純物が遷移金属や希土類金属である場合、この遷移金属や希土類金属による光の吸収が生じ、当該光の損失を大きくてしまう傾向がある。
そこで、本発明は、伝搬する光の損失を抑制することができる光ファイバを製造可能な光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光ファイバ用母材の製造方法は、クラッドとなるクラッドガラス体を有する中間母材を準備する準備工程と、軸部材と前記軸部材の一方の端部に設けられるドリルヘッドとを有するドリルツールを空孔内で回転させながら押し進めて前記クラッドガラス体を削る削り工程と、を備え、前記削り工程の少なくとも一部において、前記空孔内に位置する前記軸部材の少なくとも一部が、前記ドリルツールとともに回転しない筒状のドリルカバーで囲まれることを特徴とするものである。
このような光ファイバ用母材の製造方法によれば、空孔内に位置するドリルツールの軸部材が湾曲する場合であっても、ドリルカバーが軸部材とクラッドガラス体の間に介在することにより、湾曲した軸部材がクラッドガラス体の内壁面に接触することを抑制することができる。これにより、クラッドガラス体の内壁面に軸部材に由来する不純物が付着することを抑制することができる。また、ドリルカバーはドリルツールと共に回転しないため、ドリルカバーに由来する不純物はクラッドガラス体に付着しづらい。従って、製造される光ファイバ用母材に不純物が残留することを抑制することができ、この光ファイバ用母材を用いて製造される光ファイバの伝送損失を抑制することができる。
なお、この不純物が残留することが抑制されることにより、不純物が残留する場合よりも光ファイバの機械的強度が低下することを抑制することができる。
また、前記削り工程において、前記ドリルツールと前記ドリルカバーとを共に前記空孔の長手方向に移動させることが好ましい。
ドリルツールの空孔への挿入長さが大きくなる場合であっても、ドリルツールとともにドリルカバーを移動させることにより、軸部材の所定の位置を囲むことができる。従って、例えば、軸部材の湾曲し易い位置をドリルカバーでカバーすることができる。
この場合、前記削り工程において、前記軸部材が前記空孔内に挿入される挿入長に合わせて、前記空孔内に挿入される前記ドリルカバーの長さを変化させることが好ましい。
このような光ファイバ用母材の製造方法によれば、ドリルツールが上下に移動する場合であっても、ドリルカバーが軸部材をカバーする範囲をドリルツールの挿入長さに合わせて変えることができる。従って、湾曲した軸部材がクラッドガラス体の内壁面に接触することをより適切に抑制することができる。
また、前記ドリルカバーは、遷移金属及び希土類金属を非含有とすることが好ましい。
このような光ファイバ用母材の製造方法によれば、ドリルカバーがクラッドガラス体に接触して、ドリルカバーを構成する材料がクラッドガラス体に付着する場合であっても、製造される光ファイバにドリルカバーに由来する遷移金属及び希土類金属が残留することを防止できる。
また、前記削り工程は、前記空孔を形成する穿孔工程を含み前記穿孔工程において、前記空孔内に位置する前記軸部材の少なくとも一部が前記ドリルカバーで囲まれることとしても良い。
また、前記削り工程は、前記空孔の内壁を研磨する研磨工程を含み、前記研磨工程において、前記空孔内に位置する前記軸部材の少なくとも一部が前記ドリルカバーで囲まれることとしても良い。
また、本発明の光ファイバの製造方法は、上記の光ファイバ用母材の製造方法により製造される光ファイバ用母材を線引きする線引工程を備えることを特徴とするものである。
上述のように、上記の光ファイバ用母材の製造方法により製造される光ファイバ用母材には不純物の残留が抑制される。従って、このような光ファイバ用母材を線引きすることにより、伝送損失を抑制することができる光ファイバを製造することができる。
以上のように、本発明によれば、製造される光ファイバの伝送損失を抑制することができる光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法が提供される。
本発明の第1実施形態に係る光ファイバの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。 図1の光ファイバを製造するための光ファイバ用母材の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。 図1の光ファイバの製造方法の工程を示すフローチャートである。 準備工程により準備される中間母材を示す図である。 穿孔工程に用いるドリルツールを示す図である。 穿孔工程に用いるドリルツールをドリル装置にチャッキングした様子を示す図である。 穿孔工程の様子を示す中間母材の長手方向に沿った断面図である。 封止工程後の様子を示す中間母材の長手方向に沿った断面図である。 研磨工程に用いるドリルツールを示す図である。 研磨工程に用いるドリルツールをドリル装置にチャッキングした様子を示す図である。 研磨工程の様子を示す中間母材の長手方向に沿った断面図である。 挿入工程後の様子を示す図である。 線引工程の様子を示す図である。 第2実施形態に係る光ファイバの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。 図14の光ファイバを製造するための光ファイバ用母材の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。 図15の光ファイバ用母材を製造するための中間母材を示す図である。
以下、本発明に係る光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光ファイバを示す図である。本実施形態の光ファイバはマルチコアファイバとされ、図1に示すようにマルチコアファイバ1は、複数のコア10と、複数のコア10の外周面を隙間なく囲むクラッド20と、クラッド20の外周面を被覆する内側保護層31と、内側保護層31の外周面を被覆する外側保護層32と、を備える。なお、本実施形態では、コア10の数が3つの場合について説明する。
本実施形態のマルチコアファイバ1では、それぞれのコア10が互いに所定距離離れて等間隔で配置されている。それぞれのコア10の直径は、例えば、6μm〜10μmとされ、クラッド20の直径は、例えば、125〜230μmとされる。また、それぞれのコア10の屈折率はクラッド20の屈折率よりも高く、それぞれのコア10のクラッド20に対する比屈折率差は、例えば、0.2%〜0.5%とされる。
また、マルチコアファイバ1は、コア10がゲルマニウム等の屈折率が高くなるドーパントが添加されたシリカガラスから成り、クラッド20が何ら添加物の無いシリカガラスやフッ素が添加されたシリカガラスから成る構成や、コア10が何ら添加物の無いシリカガラスから成り、クラッド20がフッ素等の屈折率が低くなるドーパントが添加されたシリカガラスから成る構成とされる。
図2は、図1のマルチコアファイバ1を製造するための光ファイバ用母材であるマルチコアファイバ用母材の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。図2に示すように、マルチコアファイバ用母材1Pは、略円柱状の形状をしており、それぞれのコア10となる複数のロッド状のコアガラス体10Pと、それぞれのコアガラス体10Pを囲むロッド状のクラッドガラス体20Pとから構成されている。このようなマルチコアファイバ用母材1Pが線引きされ、被覆されることにより、図1に示すマルチコアファイバ1となる。従って、コアガラス体10Pは、コア10と同じ材料から構成され、クラッドガラス体20Pはクラッド20と同じ材料から構成される。
次に、図2のマルチコアファイバ用母材1P、及び、マルチコアファイバ用母材1Pを用いた図1に示すマルチコアファイバ1の製造方法について説明する。
図3は、マルチコアファイバ用母材1P、及び、マルチコアファイバ1の製造方法の工程を示すフローチャートである。図3に示すように、マルチコアファイバ用母材1Pの製造は、準備工程P1と、第1チャッキング工程P2と、穿孔工程P3と、封止工程P4と、第2チャッキング工程P5と、研磨工程P6と、挿入工程P7と、コラプス工程P8とを備える。そして、マルチコアファイバ1の製造方法は、このようにして製造されたマルチコアファイバ用母材1Pを線引きする線引工程P9を更に備える。
<準備工程P1>
本工程は、クラッド20となるガラス体を有する中間母材を準備する工程である。図4は、本工程により準備される中間母材を示す図である。図4に示すように中間母材1Psは、図2に示すコアガラス体10Pを有しておらず、クラッドガラス体20Pのみからなる円柱状のガラスロッドから成る。
<第1チャッキング工程P2>
次に、第1チャッキング工程P2を行う。本工程は、中間母材1Psに空孔を形成するための穿孔用のドリルツールをドリル装置にチャッキングする工程である。
図5は、上記ドリルツールを示す図である。図5に示すように、ドリルツール50は、軸部材としてのパイプ52と、パイプ52の一方の端部に設けられるドリルヘッドとしての切削部51とを主な構成として備える。
パイプ52は、円筒状の形状をしており、中間母材1Psに形成する孔の直径よりも小さな外径を有している。パイプ52の外径は、例えば、中間母材1Psに形成する孔の直径より0.1〜0.5mm小さい大きさとされる。また、切削部51は、円筒状の形状をしており、中間母材1Psに形成する空孔の直径と同様の外径を有している。従って、切削部51は、パイプ52の外径よりも大きな外径を有している。例えば、パイプ52の外径と、切削部51の外径との差が0.5mm以下であれば、パイプ52が細くなりすぎて強度不足となることを抑制できたり、切削部51の外径が大きくなりすぎて、穿孔時にパイプ52や切削部51にかかる反力が大きくなることを抑制できるため好ましい。穿孔時にパイプ52や切削部51にかかる反力が大きくなることを抑制できることにより、パイプ52や切削部51の変形や消耗を抑制したり、中間母材1Psにかかる荷重を減らして中間母材1Psの破損を抑制したりすることができる。また、この差が、0.1mm以上であれば、後述のカバーを取り付け易くすることが出来る。また切削部51の貫通孔はパイプ52の貫通孔に繋がっている。このためドリルツール50には長手方向に沿った貫通孔50Hが形成されている。
図6は、本工程において、ドリルツール50をドリル装置にチャッキングした様子を示す図である。図6に示すように、本実施形態のドリル装置70は、動力源71と、ドリルチャック72と、ドリルカバー75と、接続部76とを備える。
動力源71は、図示しない鉛直方向の回転軸を有するモータを内蔵している。また、動力源71は、モータの回転軸方向に沿って上下動するよう構成されている。
動力源71に内蔵されるモータには軸を介してドリルチャック72が接続されている。従って、ドリルチャック72は、モータの軸の回転により回転し、動力源71の上下動に合わせて上下動する。ドリルチャック72は図示しない締め付け機構を有し、ドリルツール50をチャッキングする際には、この締め付け機構にドリルツール50のパイプ52を挿入して締め付ける。
接続部76は、ドリルカバー75と動力源71とを接続する。動力源71と接続部76を介して接続されるドリルカバー75は、筒状の部材であり、動力源71の上下動に合わせて上下動する。しかし、ドリルカバー75は、接続部76で保持されているため、ドリルチャック72にチャッキングされるドリルツール50と共に回転しない。ドリルカバー75の内径は、チャッキングされるドリルツール50のパイプ52の外径より大きくされる。従って、ドリルツール50のパイプ52をドリルカバー75の貫通孔内に挿入することができる。またドリルカバー75の外形は、ドリルツール50の切削部51の外径よりも小さくされる。従って、ドリルツール50で空孔を形成すると当該空孔内にドリルカバー75を挿入することができる。また、ドリルカバー75の長さは、ドリルツール50のパイプ52の長さより短くされる。従って、ドリルツール50のパイプ52をドリルカバー75の貫通孔の一方側から挿通して、パイプ52を他方側から突出させることができる。ドリルカバー75を構成する材料は特に限定されないが、遷移金属や希土類金属を非含有とすることが好ましく、非金属性の材料であることがより好ましい。ドリルカバー75が非金属性の材料から成る場合、このような非金属性の材料として樹脂やガラスを挙げることができ、樹脂の場合フッ素含有樹脂が好ましく、ガラスの場合クラッドガラス体と同じ材料であることが好ましい。
このようなドリル装置70にドリルツール50をチャッキングするには、まず、ドリルカバー75の貫通孔にドリルツール50のパイプ52を挿通する。このときドリルツール50の切削部51がドリルチャック72側と反対側を向くようにして、ドリルカバー75のドリルチャック72側と反対側からパイプ52を挿通して、ドリルカバー75のドリルチャック72側からパイプ52を突出させる。その後、ドリルカバー75のドリルチャック72側から突出するパイプ52をドリルチャック72でチャッキングする。なお、ドリルツール50がチャッキングされた状態において、ドリルツール50の切削部51がドリルカバー75に非接触の状態となるようにドリルツール50をチャッキングする。こうして、図6に示すように、ドリルツール50は、パイプ52の外周面がドリルカバー75で囲まれた状態でチャッキングされる。
<穿孔工程P3>
次に、穿孔工程P3を行う。具体的には、ドリルツール50により、準備した中間母材1Psにおけるコアガラス体10Pの中心が位置すべき場所を中心として、中間母材1Psの長手方向に沿った空孔20Hを形成する。本実施形態では当該空孔20Hは貫通孔とされる。また、本実施形態では、図2に示すようにマルチコアファイバ用母材1Pが複数のコアガラス体10Pを有するので、それぞれのコアガラス体10Pが配置される位置に空孔20Hを形成する。
図7は、穿孔工程P3の様子を示す中間母材1Psの長手方向に沿った断面図である。ただし、図7においては、理解の容易のため、ドリルツール50は、断面図で記載されていない。図7に示すように、本工程においては、ドリル装置70の動力源71内のモータにより、上記のドリルチャック72を回転させながら動力源71をクラッドガラス体20Pの長手方向に沿って移動させることで、ドリルツール50を回転させながらドリルツール50を中間母材1Psの長手方向に沿って押し進める。こうして、中間母材1Psの一端側からクラッドガラス体20Pを削り、クラッドガラス体20Pに空孔を形成する。このように本工程はクラッドガラス体20Pを削ることで空孔を形成するため、本工程は削り工程と理解することができる。
上記のようにドリルカバー75は、動力源71の上下動に合わせて上下動するため、ドリルツール50の移動に合わせてドリルカバー75も移動する。ドリルカバー75の外径は切削部51の外径よりも小さい。従って、パイプ52におけるドリルカバー75で囲まれている部位が空孔内に入り込むと、ドリルカバー75も空孔内に入り込む。こうして、穿孔した空孔内に位置するパイプ52の少なくとも一部がドリルカバー75で囲まれる。このとき、ドリルカバー75が空孔内におけるクラッドガラス体20Pの内壁に接触しないことが好ましい。なお、ドリルカバー75は、接続部76で動力源71に接続されているため、ドリルツールと共に回転しない。
また、空孔20Hの形成中においては、ドリルツール50の貫通孔50Hのパイプ52側から液体を導入する。この液体としては、例えば、水溶性切削液を挙げることができる。このように導入された液体は、ドリルツール50の貫通孔50Hを通り、切削部51の先端から吐出する。切削部51がクラッドガラス体20Pの途中まで進んでいる状態においては、クラッドガラス体20Pの空孔が貫通していないため、切削部51の先端から吐出する液体は、行き場を失い切削部51とクラッドガラス体20Pの内壁面との間を逆流して、パイプ52とドリルカバー75との間やドリルカバー75とクラッドガラス体20Pの内壁との間を流れ、形成された空孔のドリルツール50が挿入されている側から排出される。従って、中間母材1Psに形成する孔が貫通するまでは、切削部51とクラッドガラス体20Pとの摩擦によりクラッドガラス体20Pの温度が過度に上昇することが、この液体の流れにより防止され、さらに穿孔により生じるガラス屑が液体と共にドリルツール50が挿入されている側から排出される。
そして、本実施形態では、クラッドガラス体20Pに貫通孔が形成されるまで、穿孔工程P3を行う。こうして、クラッドガラス体20Pに空孔20H(貫通孔)を形成する。なお、貫通後においては、ドリルツール50の空孔20H内に棒状のガラス屑が生じるが、このガラス屑は、不要であるため除去する。このようにして、図4に示す中間母材1Psに複数の空孔20Hを形成する。
<封止工程P4>
次に形成した空孔20Hの一端側を封止する。図8は、本工程後の様子を示す中間母材の長手方向に沿った断面図である。なお、図8では便宜的に1つの空孔のみを示す。図8に示すように、封止を行う際、空孔20Hの一端側を塞ぐようにして、封止材79を空孔20Hが形成された中間母材1Psの一方の端面に圧着する。
この封止材79は、液体による膨張性を有する材料から構成されることが好ましい。このような材料としては、例えば、合成ゴムと高吸水性樹脂を発泡成形した混合物を挙げることができ、合成ゴムとしては、クロロプレン系ゴムを挙げることができ、高吸水性樹脂としては、水膨張性ポリウレタン樹脂を挙げることができる。このような材料により構成されることにより、封止材79は水により膨張する。なお、封止材79と空孔20Hとのシール性を高めるために、封止材79の体積膨張率は、110%/day以上であることが好ましい。また、後述のように封止材79に切削液の水圧がかかるため、封止材79の引張強さは0.1MPa以上であることが好ましい。また、後述のように封止材79の一部を空孔20Hの中に挿入する場合においては、封止材の伸びは100%以上であることが好ましい。
また、本工程においては、封止材79の一部が空孔20Hの一部に挿入されることが好ましい。このように封止材79の一部が空孔20Hの一部に挿入されるようにするためには、空孔20Hの位置に合わせて、予め封止材79の一部を凸状に形成しておけば良い。或いは、封止材を強くクラッドガラス体20Pに押しつけることにより、封止材を変形させて、封止材79の一部が空孔20Hの一部に挿入されるようにしても良い。
<第2チャッキング工程P5>
次に、第2チャッキング工程P5を行う。本工程は、中間母材1Psに形成され空孔20Hを囲むクラッドガラス体20Pの内壁を研磨するための研磨用のドリルツールをドリル装置にチャッキングする工程である。
図9は、上記ドリルツールを示す図である。図9に示すように、ドリルツール60は、軸部材としてのパイプ62と、パイプ62の一方の端部に設けられているドリルヘッドとしての研磨部61とを主な構成として備える。
パイプ62は、ドリルツール50のパイプ52と同様の円筒状の形状をしており、本工程後における空孔20Hの直径よりも小さな外径を有している。また、研磨部61は、筒状の形状をしており、パイプ62の貫通孔に繋がる貫通孔を有している。このため、ドリルツール60は、パイプ62から研磨部61まで通じる貫通孔60Hが形成されている。また、研磨部61の外周面におけるパイプ62側には、複数の凸部65と複数の凹部64とが、それぞれドリルツール60の長手方向に沿って形成されている。この凸部65を基準とした研磨部61の外径は、穿孔工程P3により形成された空孔20Hの直径よりも僅かに大きくされている。従って、ドリルツール60が軸中心に回転する場合における、研磨部61のパイプ62側の外径は、空孔20Hの直径よりも僅かに大きくなる。このため、研磨部61は、パイプ62の外径よりも大きな外径を有している。例えば、パイプ62の外径と、研磨部61の外径との差が0.5mm以下であれば、パイプ62の薄肉厚化により強度が弱くなることを防止できるため好ましく、この差が、0.1mm以上であれば、後述のカバーを取り付け易くすることができる。
図10は、本工程において、ドリルツール60をドリル装置にチャッキングした様子を示す図である。本実施形態では、第1チャッキング工程P2、穿孔工程P3で用いられたドリル装置70と同じドリル装置にドリルツール60をチャッキングする。
このようなドリル装置70にドリルツール60をチャッキングするには、まず、ドリルカバー75の貫通孔にドリルツール60のパイプ52を挿通する。このときドリルツール60の研磨部61がドリルチャック72側と反対側を向くようにして、ドリルカバー75のドリルチャック72側と反対側からパイプ62を挿通して、ドリルカバー75のドリルチャック72側からパイプ62を突出させる。その後、ドリルカバー75のドリルチャック72側から突出するパイプ62をドリルチャック72でチャッキングする。なお、ドリルツール60がチャッキングされた状態において、ドリルツール60の研磨部61がドリルカバー75に非接触の状態となるようにドリルツール60をチャッキングする。こうして、図10に示すように、ドリルツール60は、パイプ62の外周面がドリルカバー75で囲まれた状態でチャッキングされる。
<研磨工程P6>
次に、研磨工程P6を行う。具体的には、中間母材1Psの空孔20Hを形成するクラッドガラス体20Pの内壁面を研磨して平滑化する。なお、本工程を行うまでに封止工程P4が行われていればよく、封止工程P4及び第2チャッキング工程P5のどちらが先に行われてもよい。
図11は、研磨工程P6の様子を示す中間母材の長手方向に沿った断面図である。ただし、図11においては、理解の容易のため、ドリルツール60は、断面図で記載されていない。本工程においても、穿孔工程P3と同様にして、ドリル装置70の動力源71内のモータによりドリルチャック72を回転させながら、動力源71をクラッドガラス体20Pの長手方向に沿って移動させることで、ドリルツール60を回転させながらドリルツール60を中間母材1Psの長手方向に沿って押し進める。こうして図11に示すように、研磨工程P6においては、ドリルツール60を回転させながら、クラッドガラス体20Pに形成された空孔20Hの封止がされていない側から空孔20Hに挿入する。そして、空孔20Hを形成するクラッドガラス体20Pの内壁を削り当該内壁面を研磨する。このように本工程はクラッドガラス体20Pを削ることで内壁面を研磨するため、本工程は削り工程と理解することができる。
また、上記のようにドリルカバー75は、動力源71の上下動に合わせて上下動するため、ドリルツール60の移動に合わせてドリルカバー75も移動する。ドリルカバー75の外径はドリルツール50の切削部51の外径よりも小さいため、ドリルツール60の研磨部61の外形よりも小さい。従って、パイプ62におけるドリルカバー75で囲まれている部位が空孔20H内に入り込むと、ドリルカバー75も空孔20H内に入り込む。こうして、研磨された空孔20H内に位置するパイプ62の少なくとも一部がドリルカバー75で囲まれる。このとき、ドリルカバー75が空孔20H内におけるクラッドガラス体20Pの内壁に接触しないことが好ましい。なお、ドリルカバー75は、接続部76で動力源71に接続されているため、ドリルツールと共に回転しない。
また、ドリルツール60を回転させながら空孔20Hに挿入する際、ドリルツール60の貫通孔60Hに液体が導入される。この液体は、封止材79に吸収され、封止材79が膨張する液体である。例えば、封止材79が水による膨張性を有する場合、ドリルツール60の貫通孔60Hには、水が導入される。そして、貫通孔60Hに導入された液体は、ドリルツール60の先端からクラッドガラス体20Pの空孔20H内に吐出する。この液体の一部は封止材79により吸収されて、封止材79は空孔20Hに食い込むようにして膨張する。上述のように、封止工程P4において、封止材79の一部が空孔20Hに一部に挿入されている場合においては、空孔20Hに挿入されている封止材79の一部が空孔20Hの径方向に膨張し、封止材79はより強力に空孔20Hを封止することができる。
このように封止材79により、空孔20Hの一端側が封止されているため、研磨部61の先端から吐出する液体は、行き場を失い研磨部61とクラッドガラス体20Pの内壁面との間を逆流し、パイプ62とドリルカバー75との間やドリルカバー75とクラッドガラス体20Pの内壁との間を流れ、空孔20Hのドリルツール60が挿入されている側から排出される。このとき、研磨部61の外周面に長手方向に沿った複数の凹部64が形成されているため、液体がこの凹部64を流れることで、液体が研磨部61とクラッドガラス体20Pの内壁面との間を逆流し易くされている。こうして、研磨部61とクラッドガラス体20Pとの摩擦によりクラッドガラス体20Pの温度が過度に上昇することが防止され、さらに研磨により生じるガラス屑が液体と共にドリルツール60が挿入されている側から排出される。このようにして、空孔20Hを形成するクラッドガラス体20Pの内壁面は、ドリルツール60により研磨されて平滑化される。このようにして、全ての空孔20Hを研磨することにより、図2に示すマルチコアファイバ用母材1Pを得る。
<挿入工程P7>
次に、挿入工程を行う。図12は、本工程後の様子を示す図である。図12に示すように、本工程では、コアガラス体10Pを含みコアガラス体10Pの外周面がクラッドガラス体20Pと同じガラス体からなる被覆層20Pcで被覆されたガラスロッド15Pを研磨された中間母材1Psの空孔20Hに挿入する。このときガラスロッド15Pの直径を空孔20Hの直径よりも小さくして、挿入時にガラスロッド15Pがクラッドガラス体20Pの内壁面と擦れないようにする。こうして、中間母材1Psは、空孔20Hにコアガラス体10Pとなるガラスロッド15Pが挿入された状態となる。
なお、挿入前の中間母材1Psの空孔20Hに対して、エッチング処理をしてもよい。このエッチング処理においては、空孔20Hを形成する内壁における小さな凹凸の除去や、空孔20Hの内壁から水酸基等の不純物を除去するものである。エッチング処理に用いるエッチングガスあるいはエッチング液は、マルチコアファイバ用母材1Pに接続されたガラス管の貫通孔を通じて、マルチコアファイバ用母材1Pのそれぞれの空孔20Hに導入される。エッチングガスは、たとえば、SF6やCF4、CF4、C2F6、SiF4などのフッ化物ガスなどが挙げられ、エッチング液としてはフッ酸やバッファードフッ酸などの、あるいはフッ酸やBHFと硝酸の混酸などが挙げられる。
<コラプス工程P8>
次に、空孔20Hにガラスロッド15Pが挿入された中間母材1Psを真空炉に投入してコラプスする。こうしてガラスロッド15Pとクラッドガラス体20Pの内壁面との間における空孔20Hの不要な空間が潰されて、ガラスロッド15Pとクラッドガラス体20Pとが一体になる。ガラスロッド15Pの被覆層20Pcはクラッドガラス体20Pの一部となる。こうして、図2に示すマルチコアファイバ用母材1Pを得る。
<線引工程P9>
図13は、線引工程P9の様子を示す図である。
まず、本工程を行う準備段階として、準備工程P1〜コラプス工程P8により製造されたマルチコアファイバ用母材1Pを紡糸炉110に設置する。そして、紡糸炉110の加熱部111を発熱させて、マルチコアファイバ用母材1Pを加熱する。このときマルチコアファイバ用母材1Pの下端は、例えば2000℃に加熱され溶融状態となる。そして、マルチコアファイバ用母材1Pからガラスが溶融して、ガラスが線引きされる。そして、線引きされた溶融状態のガラスは、紡糸炉110から出ると、すぐに固化して、それぞれのコアガラス体10Pがそれぞれのコア10となり、クラッドガラス体20Pがクラッド20となり、複数のコア10とクラッド20とから構成されるマルチコアファイバ1の素線となる。その後、このマルチコアファイバ1の素線は、冷却装置120を通過して、適切な温度まで冷却される。冷却装置120に入る際、光ファイバの温度は、例えば1800℃程度であるが、冷却装置120を出る際には、光ファイバの温度は、例えば40℃〜50℃となる。
次に、光ファイバは、内側被覆層31となる紫外線硬化性樹脂が入ったコーティング装置131を通過し、この紫外線硬化性樹脂で被覆される。更に紫外線照射装置132を通過し、紫外線が照射されることで、紫外線硬化性樹脂が硬化して内側被覆層31が形成される。次に光ファイバは、外側被覆層32となる紫外線硬化性樹脂が入ったコーティング装置133を通過し、この紫外線硬化性樹脂で被覆される。更に紫外線照射装置134を通過し、紫外線が照射されることで、紫外線硬化性樹脂が硬化して外側被覆層32が形成され、図1に示すマルチコアファイバ1となる。
そして、マルチコアファイバ1は、ターンプーリー141により方向が変換され、リール142により巻取られる。
こうして図1に示すマルチコアファイバ1である光ファイバが製造される。
以上説明したように、本実施形態によるマルチコアファイバ用母材1Pの製造方法によれば、穿孔工程P3および研磨工程P6が削り工程とされ、これらの工程に中間母材の空孔20H内に位置するドリルツール50のパイプ52やドリルツール60のパイプ62が湾曲する場合であっても、ドリルカバー75がこれらパイプ52,60とクラッドガラス体20Pの間に介在することにより、湾曲したパイプ52,60がクラッドガラス体20Pの内壁面に接触することを抑制することができる。これにより、クラッドガラス体20Pの内壁面にパイプ52,62に由来する不純物が付着することを抑制することができる。また、ドリルカバー75はドリルツール50,60と共に回転しないため、ドリルカバー75に由来する不純物はクラッドガラス体20Pに付着しづらい。従って、製造されるマルチコアファイバ用母材1Pに不純物が残留することを抑制することができ、このマルチコアファイバ用母材1Pからを用いて製造されるマルチコアファイバ1の伝送損失を抑制することができる。
なお、マルチコアファイバ1は、不純物が残留することが抑制されることにより、不純物が残留するマルチコアファイバよりも機械的強度が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態のマルチコアファイバ用母材1Pの製造方法では、穿孔工程や研磨工程において、ドリルツール50,60とドリルカバー75とを共に空孔20Hの長手方向に移動させている。従って、パイプ52,62の所定の位置を予め囲むことで、ドリルツール50,60が上下に移動しても、当該位置が囲まれる状態を維持することができる。例えば、パイプ52,62の湾曲し易い位置をドリルカバー75でカバーすることができる。
しかも、本実施形態のマルチコアファイバ用母材1Pの製造方法では、穿孔工程や研磨工程において、パイプ52,62が空孔20H内に挿入される挿入長に合わせて、空孔内に挿入されるドリルカバー75の長さを変化させている。従って、ドリルカバー75がパイプ52,62をカバーする範囲をパイプ52,62の空孔20H内への挿入長さに合わせて変えることができる。このため、パイプ52,62が湾曲する場合にクラッドガラス体20Pの内壁面に接触することをより適切に抑制することができる。
また、ドリルカバー75を構成する材料が遷移金属及び希土類金属を非含有である場合には、ドリルカバーがクラッドガラス体20Pに接触して、ドリルカバー75を構成する材料がクラッドガラス体20Pに付着する場合であっても、製造されるマルチコアファイバ1にドリルカバー75に由来する遷移金属及び希土類金属が残留することを防止できる。
なお、本実施形態では、コラプス工程P8において空孔20Hにガラスロッド15Pが挿入された中間母材1Psを真空炉に投入してコラプスしたものをマルチコアファイバ用母材1Pとして、線引工程P9において、マルチコアファイバ1を得た。しかし、本発明のマルチコアファイバ用母材は、必ずしもコラプス工程P8でコラプスされたものに限らない。つまり、挿入工程P7でガラスロッド15Pがクラッドガラス体20Pの空孔20Hに挿入された状態をマルチコアファイバ用母材としてもよい。この場合、コラプス工程P8を行わず、ガラスロッド15Pがクラッドガラス体20Pの空孔20Hに挿入されコラプスされていない状態のマルチコアファイバ用母材を紡糸炉110に設置する。そして、マルチコアファイバ用母材は、紡糸炉110で加熱されコラプスされながら線引される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図14〜図16を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図14は、本発明の第2実施形態に係る光ファイバの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
図14に示すように、本実施形態の光ファイバは、クラッド20の中心に1つのコア10が設けられ、コア10を囲むように複数の空孔25がクラッド20に形成されるホーリーファイバ2とされる。
図15は、図14のホーリーファイバ2を製造するための光ファイバ用母材であるホーリーファイバ用母材の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。図2に示すように、ホーリーファイバ用母材2Pは、コア10となるコアガラス体10Pと、コアガラス体10Pを囲むロッド状のクラッドガラス体20Pとから構成され、クラッドガラス体20Pには、それぞれの空孔25となる空孔25Hが形成されている。このようなホーリーファイバ用母材2Pが線引きされ、被覆されることにより、図13に示すホーリーファイバ2となる。
次に、図15のホーリーファイバ用母材2P、及び、ホーリーファイバ用母材2Pを用いた図14に示すホーリーファイバ2の製造方法について説明する。
本実施形態のホーリーファイバ用母材2P及びホーリーファイバ2の製造方法は、挿入工程P7及びコラプス工程P8を有しない点において第1実施形態のマルチコアファイバ用母材1P及びマルチコアファイバ1の製造方法と異なる。
<準備工程P1>
本工程は、コア10及びクラッド20となるガラス体を有する中間母材を準備する工程である。図16は、本工程により準備される中間母材の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。図16に示すように中間母材2Psは、図15に示す空孔25Hが形成されておらず、クラッドガラス体20Pの中心にコアガラス体10Pが設けられた状態とされる。
なお、本工程で中間母材2Psの準備を次のように行ってもよい。まず、図4に示す中間母材1Psと同じ中間母材を準備する。そして、当該中間母材の長手方向に沿って中間母材の中心に空孔を形成する。この空孔は貫通孔とされる。この空孔の形成は、第1実施形態の第1チャッキング工程P2及び穿孔工程P3と同様に第1チャッキング工程及び穿孔工程を行う。ただし、この場合の穿孔工程では、クラッドガラス体20Pの中心に1つの空孔を形成する。その後、第1実施形態の封止工程P4、第2チャッキング工程P5、研磨工程P6と同様に封止工程、第2チャッキング工程、研磨工程を行い、クラッドガラス体20Pの中心に形成された空孔の内壁を研磨する。その後、第1実施形態の挿入工程P7と同様に挿入工程を行い、クラッドガラス体20Pの中心に形成された空孔にガラスロッド15Pと同様のガラスロッドを挿入する。そして、第1実施形態のコラプス工程P8と同様にコラプス工程を行い、クラッドガラス体20Pの内壁面と空孔に挿入されたガラスロッドとの間の隙間を潰す。こうして図16に示す中間母材2Psを得る。
<第1チャッキング工程P2>
次に第1実施形態の第1チャッキング工程P2と同様に第1チャッキング工程P2を行う。
<穿孔工程P3>
次に穿孔工程P3を行う。ただし、本実施形態では、準備した中間母材2Psのコアガラス体10Pの周囲に複数の空孔を形成する点において第1実施形態の穿孔工程P3と異なる。なお、本実施形態においても形成される空孔は貫通孔とされる。この空孔が、図15にしめすホーリーファイバ用母材2Pに形成される空孔25Hとされる。
<封止工程P4〜研磨工程P6>
次に第1実施形態の封止工程P4〜研磨工程P6と同様に封止工程P4を〜研磨工程P6行う。こうして、図15に示すホーリーファイバ用母材2Pを得る。
<線引工程P9>
次に線引工程P9を行う。ただし、本実施形態では線引工程P9を行う準備段階として、準備工程P1〜研磨工程P6により製造されたホーリーファイバ用母材2Pに複数のガラス管を接続する。この複数のガラス管は、それぞれのガラス管の貫通孔と、ホーリーファイバ用母材2Pのそれぞれの空孔25Hとが互いに連通するようにして、ホーリーファイバ用母材2Pに接続される。次に、空孔25Hの内部をエッチング処理する。このエッチング処理においては、空孔25H内の小さな凹凸の除去や、空孔25Hの内壁から水酸基等の不純物を除去するものである。エッチング処理に用いるエッチング液は、ホーリーファイバ用母材2Pに接続されたガラス管の貫通孔を通じて、ホーリーファイバ用母材2Pのそれぞれの空孔25Hに導入される。
次にエッチング処理されたホーリーファイバ用母材2Pを紡糸炉110に設置して、第1実施形態の線引工程P9と同様にして、ホーリーファイバ用母材2Pを線引する。ただし、本実施形態の線引工程P9においては、先にホーリーファイバ用母材2Pに接続された複数のガラス管からホーリーファイバ用母材2Pのそれぞれの空孔25Hに、圧力制御用の不活性ガス等の気体が導入される。このようにして、ホーリーファイバ用母材2Pのそれぞれの空孔25H内の圧力が調整されながら線引きされることにより、製造されるホーリーファイバ2の空孔25の直径がばらつくことを防止できる。
このように、本発明の光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法は、ホーリーファイバのように空孔が光ファイバに残る場合であっても有効である。
以上、本発明について、第1、第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
つまり、本発明の光ファイバ用母材の製造方法は、上述の形態に限らず、クラッドガラス体20Pに空孔20Hを形成する工程を有する光ファイバ用母材の製造方法ならば、他の構造の光ファイバ用母材の製造方法にも適用することができる。
例えば、第1実施形態のマルチコアファイバ1としての光ファイバは、コア10を複数備えているが、コア10がクラッド20の中心に1つ設けられるシングルコアファイバにも適用できる。この場合、穿孔工程P3おいてクラッドガラス体20Pの中心に1つの空孔を形成すればよい。そして、第1実施形態の封止工程P4、第2チャッキング工程P5、研磨工程P6と同様に封止工程、第2チャッキング工程、研磨工程を行い、クラッドガラス体20Pの中心に形成された空孔の内壁を研磨する。その後、第1実施形態の挿入工程P7と同様に挿入工程を行い、クラッドガラス体20Pの中心に形成された空孔にガラスロッド15Pと同様のガラスロッドを挿入する。そして、第1実施形態のコラプス工程P8と同様にコラプス工程を行い、クラッドガラス体20Pの内壁面と空孔に挿入されたガラスロッドとの間の隙間を潰す。こうしてシングルコアファイバ用の光ファイバ用母材を得る。さらにこの光ファイバ用母材を線引することで、シングルコアファイバを得る。
また、第2実施形態のホーリーファイバ2である光ファイバにおいて、コアの周りに複数の空孔を有する光ファイバであれば、孔の大きさ、数、配置を変更しても良い。例えば、空孔の大きさや配置を変えて、フォトニックバンドギャップファイバとしてのホーリーファイバとしても良い。
また、上記実施形態において、穿孔工程P3を行い形成する空孔が深くなるごとに第1チャッキング工程P2を行い、ドリルツール50の長さ及びドリルカバー75の長さを大きくして、貫通孔が形成されるまで、第1チャッキング工程P2と穿孔工程P3とを繰り返してもよい。
また、上記実施形態では、穿孔工程P3により空孔20H、25Hとして貫通孔が形成されたが、本発明では、必ずしも空孔20H、25Hが貫通孔である必要はなく、中間母材の一端側から空孔を形成して、他方側の端部の近傍で空孔の形成を止めても良い。こうすることで、封止工程P4を省略することができる。なお、このようにする場合、ドリルツール50の空孔20H、25H内に生じる棒状のガラス屑が、他方側の端部の近傍において、クラッドガラス体20Pに接続されている状態となるが、このガラス屑は適宜除去する。
また、穿孔工程P3及び研磨工程P6の一方において、ドリルカバー75が用いられなくてもよい。穿孔工程P3でドリルカバー75が用いられない場合、第1チャッキング工程P2でドリル装置70からドリルカバー75が取り外され、研磨工程P6でドリルカバー75が用いられない場合、第2チャッキング工程P5でドリル装置70からドリルカバー75が取り外される。なお、穿孔工程P3及び研磨工程P6の一方において、ドリルカバー75が用いられない場合、穿孔工程P3においてドリルカバーが用いられないほうがよい。これは、穿孔工程P3で、パイプ52に由来する付着物がクラッドガラス体20Pの内壁面に付着しても、研磨工程P6で当該付着物が除去される傾向にあるためである。
また、本実施形態では、ドリルツール50の軸部材をパイプ52で構成し、ドリルツール60の軸部材をパイプ62で構成した。しかし、軸部材は必ずしもパイプでなくてもよい。
本発明によれば、本発明によれば、製造される光ファイバの伝送損失を抑制することができる光ファイバ用母材の製造方法、及び、これを用いた光ファイバの製造方法が提供され、ファイバレーザ装置や光ファイバ通信の分野や、その他光ファイバを利用したデバイスに利用することができる。
1・・・マルチコアファイバ(光ファイバ)
1P・・・マルチコアファイバ用母材(光ファイバ用母材)
1Ps・・・中間母材
2・・・ホーリーファイバ
2P・・・ホーリーファイバ用母材(光ファイバ用母材)
2Ps・・・中間母材
10・・・コア
10P・・・コアガラス体
15P・・・ガラスロッド
20・・・クラッド
20P・・・クラッドガラス体
20H・・・空孔
25・・・空孔
25P・・・空孔
50・・・ドリルツール(穿孔用のドリルツール)
51・・・切削部(ドリルヘッド)
52・・・パイプ(軸部材)
60・・・ドリルツール(研磨用のドリルツール)
61・・・研磨部(ドリルヘッド)
62・・・パイプ(軸部材)
70・・・ドリル装置
75・・・ドリルカバー
P1・・・準備工程
P2・・・第1チャッキング工程
P3・・・穿孔工程(削り工程)
P4・・・封止工程
P5・・・第2チャッキング工程
P6・・・研磨工程(削り工程)
P7・・・挿入工程
P8・・・コラプス工程
P9・・・線引工程

Claims (7)

  1. クラッドとなるクラッドガラス体を有する中間母材を準備する準備工程と、
    軸部材と前記軸部材の一方の端部に設けられるドリルヘッドとを有するドリルツールを空孔内で回転させながら押し進めて前記クラッドガラス体を削る削り工程と、
    を備え、
    前記削り工程の少なくとも一部において、前記空孔内に位置する前記軸部材の少なくとも一部が、前記ドリルツールとともに回転しない筒状のドリルカバーで囲まれる
    ことを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法。
  2. 前記削り工程において、前記ドリルツールと前記ドリルカバーとを共に前記空孔の長手方向に移動させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  3. 前記削り工程において、前記軸部材が前記空孔内に挿入される挿入長に合わせて、前記空孔内に挿入される前記ドリルカバーの長さを変化させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  4. 前記ドリルカバーは、遷移金属及び希土類金属を非含有とする
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  5. 前記削り工程は、前記空孔を形成する穿孔工程を含み
    前記穿孔工程において、前記空孔内に位置する前記軸部材の少なくとも一部が前記ドリルカバーで囲まれる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  6. 前記削り工程は、前記空孔の内壁を研磨する研磨工程を含み、
    前記研磨工程において、前記空孔内に位置する前記軸部材の少なくとも一部が前記ドリルカバーで囲まれる
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法により製造される光ファイバ用母材を線引きする線引工程を備える
    ことを特徴とする光ファイバの製造方法。

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