JP2016141346A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】走行中においてもタイヤ骨格体が変形しにくいタイヤを提供する。
【解決手段】架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤケース17を有するタイヤ10である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リムに装着されるタイヤにかかり、特に、タイヤケースの少なくとも一部が樹脂材料で形成されたタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材などから構成された空気入りタイヤが用いられている。
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。これら熱可塑性の高分子材料(熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂材料等)は、射出成形が可能であるなど、生産性の向上の観点から有利な点が多い。例えば、前記熱可塑性の高分子材料としてポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて製造されたタイヤが提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−046031号公報
熱可塑性の高分子材料を用いたタイヤは、ゴム製の従来タイヤと比べて製造が容易で且つ低コストであるが、さらに製造効率を高め低コストを実現しつつ従来のゴム製タイヤと比して遜色のない性能(タイヤの要求特性)を実現することが求められる。特に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、安価で成形しやすい点でタイヤ骨格体の材料として利点がある一方で、走行中の発熱等によるタイヤ骨格体の変形を抑制する観点からは改良の余地がある。
そこで、本発明は、前記事情を踏まえ、走行中においてもタイヤ骨格体が変形しにくいタイヤを提供することを目的とする。
[1]架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤ。
[2]前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、水によって架橋反応する官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂の架橋体である[1]に記載のタイヤ。
[3]前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、加水分解性シラン化合物でグラフト化されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂の架橋体である[1]に記載のタイヤ。
[4]前記樹脂材料中に含まれる樹脂のゲル分率は、40質量%以上である[1]〜[3]のいずれか1つに記載のタイヤ。
[5]前記樹脂材料の引張弾性率が100MPa以上750MPa以下である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のタイヤ。
[6]前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂の少なくとも1種を含むポリオレフィン樹脂の架橋体である[1]〜[5]のいずれか1つに記載のタイヤ。
[7]前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材をさらに有する[1]〜[6]のいずれか1つに記載のタイヤ。
本発明によれば、走行中においてもタイヤ骨格体が変形しにくいタイヤを提供することができる。
(A)は本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図であり、(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。 第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。
本発明のタイヤは、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有する。
ここで、本発明において「架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂」とは、架橋構造を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂である。また「ポリオレフィン系熱可塑性樹脂」とは、ポリオレフィン構造を有する熱可塑性樹脂であり、好ましくはオレフィンをモノマー単位の主成分(例えば50質量%以上)として有する樹脂である。
また、本発明において「熱可塑性樹脂」とは、熱可塑性を有する樹脂(高分子化合物)である。なお、本発明における「熱可塑性樹脂」には、熱可塑性エラストマーは含まれるが、天然ゴムは含まれない。
さらに、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明では、タイヤ骨格体がポリオレフィン系熱可塑性樹脂として架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含むため、架橋構造を有さないポリオレフィン系熱可塑性樹脂のみを用いた場合に比べ、走行中においてもタイヤ骨格体が変形しにくい。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
一般的に、架橋構造を有さない従来のオレフィン系熱可塑性樹脂は、高温時(例えば70℃以上)における弾性率が低いものが多い。そのため、オレフィン系熱可塑性樹脂でタイヤ骨格体を形成する場合、走行中の発熱によって樹脂材料が変形、例えばタイヤの内圧によってタイヤ骨格体の変形するのを抑制することが求められる。
これに対して、本発明で用いた架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、樹脂そのものが架橋構造を有していることによって分子鎖が拘束されるため、従来のオレフィン系熱可塑性樹脂に比べて熱的特性(例えば耐クリープ特性)が良好であると考えられる。そのため、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂をタイヤ骨格体に用いた本発明のタイヤは、架橋構造を有さないポリオレフィン系熱可塑性樹脂のみをタイヤ骨格体に用いたタイヤに比べて、走行中においてもタイヤ骨格体の変形が起こりにくいと推測される。
以下、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料について説明する。
《樹脂材料》
上述のように、本発明のタイヤは、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を用いたタイヤ骨格体を有する。
樹脂材料は、必要に応じて架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂を含んでもよく、樹脂以外の成分を含んでいてもよい。なお、樹脂材料が樹脂以外の成分を含まない場合、樹脂材料は樹脂のみで形成される。
<架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂>
架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、前記の通り、架橋構造を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂である。架橋構造は、熱可塑性樹脂の一分子内において架橋した構造であってもよく、異なる分子同士が架橋した構造であってもよい。
架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、例えば架橋性官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂に含まれる複数の前記架橋性官能基が結合して架橋構造が形成された架橋体(すなわち架橋性官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂の架橋体)が挙げられる。ここで、前記複数の架橋性官能基は、樹脂の1分子中に存在するものであってもよく、異なる分子中に存在するものであってもよい。なお、前記架橋体は、架橋性官能基の少なくとも一部が架橋した架橋構造を有していればよく、架橋性官能基すべてが架橋構造を形成する必要はない。架橋体は、本発明の効果を損ねない範囲で、架橋構造を形成していない架橋性官能基を有していてもよい。
以下、架橋性官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(以下、「架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂」と称する場合がある)について説明する。
−架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂−
架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、前記の通り、架橋性官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂である。
架橋性官能基としては、例えば外部からの影響によって、同一分子中又は隣接する分子における他の架橋性官能基と反応(すなわち架橋反応)し、架橋構造を形成する官能基が挙げられる。また外部からの影響としては、例えば、水(水分)、電子線、熱等が挙げられる。
架橋性官能基としては、これらの中でも、水又は電子線によって架橋反応する官能基が好ましく、熱のみを与えても成形温度(例えば180℃以上260℃以下の範囲)であれば架橋反応が進みにくい官能基がより好ましい。このような官能基を有する架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いることで、架橋反応が進む前に樹脂材料を成形(例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形等)し、成形の後に水処理又は電子線照射によって架橋反応をさせて架橋構造を形成することができる。このようにして架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含むタイヤ骨格体を得ることで、樹脂材料の成形性と、走行中におけるタイヤ骨格体の形状維持性と、を両立することができる。
−−水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂−−
架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の一例として、水によって架橋反応する官能基(以下「水架橋性官能基」と称する場合がある)を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂について説明する。ここで、「水」は、液体の水に限られず、水蒸気等も含む。また「水によって架橋反応する」とは、液体の水や水蒸気等(すなわち水分)の存在下において架橋反応することを意味する。以下、水架橋性官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂を、「水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂」と称する場合がある。
水架橋性官能基としては、例えば、アルコキシシリル基(具体的には、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等)、ホルミルオキシシリル基、アルキルカルボニルオキシシリル基(具体的には、例えば、アセトキシシリル基、プロピオニルオキシシリル基等)、アルキルアミノシリル基(具体的には、例えば、メチルアミノシリル基、エチルアミノシリル基等)、アリールアミノシリル基(具体的には、例えば、フェニルアミノシリル基、トルイルアミノシリル基等)等の加水分解性シリル基が挙げられる。
水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、例えば、(1)水架橋性官能基を有する化合物で変性(例えばグラフト化)されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂、(2)水架橋性官能基を有するオレフィン系モノマー(及び必要に応じてその他のオレフィン系モノマー)の重合体等が挙げられる。
(1)水架橋性官能基を有する化合物でグラフト化されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂
水架橋性官能基を有する化合物としては、例えば前記水架橋性官能基及びエチレン性不飽和炭化水素基を有する化合物が挙げられる。水架橋性官能基を有する化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン等の加水分解性シラン化合物が挙げられる。
水架橋性官能基を有する化合物でグラフト化される前のポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系モノマーの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。また、オレフィン系モノマーとしては、例えば、プロピレン、エチレン等のα−オレフィン;シクロオレフィン等の環状オレフィン;等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂、ポリブタジエン系熱可塑性樹脂などが挙げられ、耐熱性、加工性の点から、ポリエチレン系熱可塑性樹脂及びポリプロピレン系熱可塑性樹脂が好ましい。
ポリエチレン系熱可塑性樹脂は、エチレンをモノマー単位の主成分として(例えば50質量%以上)有する樹脂であり、具体的には、例えば、エチレンホモ重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。
また、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂は、プロピレンをモノマー単位の主成分として(例えば50質量%以上)有する樹脂であり、具体的には、例えば、プロピレンホモ重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1―ペンテン、3―メチル−1―ブテン、1―ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1―オクテン、1―デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20程度のα−オレフィン等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーであってもよい。
「ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー」としては、例えば、ポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、前記ポリオレフィンないし他のポリオレフィン)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、オレフィン−α−オレフィンランダム共重合体、オレフィンブロック共重合体等が挙げられ、例えば、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−ペンテン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
水架橋性官能基を有する化合物でポリオレフィン系熱可塑性樹脂をグラフト化する方法は、公知の方法が用いられ、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と、水架橋性官能基を有する化合物と、ラジカル発生剤と、を溶融混錬する方法等が用いられる。
溶融混錬時の温度としては、例えば、80℃以上250℃以下の範囲が挙げられる。
水架橋性官能基を有する化合物でポリオレフィン系熱可塑性樹脂をグラフト化して得られた水架橋性官能基含有オレフィン系熱可塑性樹脂のグラフト量は特に限定されないが、例えば、水架橋性官能基含有オレフィン系熱可塑性樹脂全体に対して、0.5質量%以上8質量%以下が挙げられる。前記グラフト量が前記範囲であることにより、前記範囲よりも小さい場合に比べて走行中におけるタイヤ骨格体の変形が抑制され、前記範囲よりも大きい場合に比べて得られた水架橋性官能基含有オレフィン系熱可塑性樹脂の成形性が良好となる。
(2)水架橋性官能基を有するオレフィン系モノマー等の重合体
水架橋性官能基を有するオレフィン系モノマーとしては、例えば、一般的なオレフィン系モノマー(例えば、プロピレン、エチレン等のα−オレフィン;シクロオレフィン等の環状オレフィン;等)の水素原子が水架橋性官能基で置換されたもの等が挙げられる。
必要に応じて用いられるその他のモノマーについても、上記一般的なオレフィンモノマーと同様のものが挙げられる。
水架橋性官能基を有するオレフィン系モノマー等を用いて水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を得る方法としては、一般的なオレフィン系樹脂の合成方法として公知の方法と同様の方法を用いることができる。
−−水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の架橋体−−
水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を架橋して架橋体とする方法は、特に限定されないが、例えば、架橋触媒存在下において水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に水(例えば、液体の水、水蒸気等)を接触させる方法が挙げられる。水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と水との接触時における温度としては、例えば常温(25℃)以上100℃以下が挙げられる。また水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と水との接触時間としては、例えば10秒間以上1週間以下が挙げられる。
ただし、水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、空気中の水分と反応して架橋構造を形成することも可能であるため、積極的な水処理が必ずしも必要ではない場合がある。
架橋触媒としては、例えば、一般的にシラノール縮合反応に用いられる触媒が挙げられ、具体的には、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタエート、酢酸第1錫、カプリル酸第1錫、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト等の金属脂肪酸塩が挙げられる。
架橋触媒の添加量としては、例えば、水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.000005質量部以上0.05質量部以下が挙げられ、0.00001質量部以上0.01質量部以下が好ましく挙げられる。
なお、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂以外の他の成分とを含む樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体を製造する場合は、架橋させる前にあらかじめ架橋前の水架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂に前記他の成分を混合して混合物を得ることが望ましい。そして前記混合物を用いて射出成形等を行い、タイヤ骨格体の形状とした後に、水との接触(例えば、積極的な水処理のほか、水蒸気を含む空気中への放置等)により架橋構造を形成させることが望ましい。
樹脂材料中に含まれる樹脂のゲル分率は、走行中におけるタイヤ骨格体の変形を抑制する観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、高いほど好ましい。また、加工性の観点からは、樹脂のゲル分率が90質量%以下であることが好ましい。ここで、上記ゲル分率は、樹脂材料中に含まれる樹脂全体における架橋構造の濃度を示すものであり、樹脂材料がその他の樹脂を含む場合は、樹脂材料中に含まれるその他の樹脂の割合が多くなるほど上記ゲル分率の値が下がる。なお、上記「樹脂全体」とは、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及び後述するその他の樹脂を含み、樹脂以外の成分を含まない。
ゲル分率の測定は、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料における樹脂成分(樹脂材料から樹脂以外の成分を除いた樹脂成分)を144℃の沸騰キシレン中で10時間ソックスレー抽出を行った際の、不溶分の乾燥重量を測定し、ソックスレー抽出前の重量に対する割合(質量%)として算出した値である。
<その他の樹脂>
樹脂材料は、前記の通り、必要に応じて、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂以外のその他の樹脂を含んでもよい。例えば、樹脂材料の弾性率等の物性を調整するために、その他の樹脂として熱可塑性エラストマーを添加してもよい。
架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とその他の樹脂との混合比については、求められる特性に応じて適宜選択すればよい。ただし、走行中におけるタイヤ骨格体の変形を抑制する観点からは、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及びその他の樹脂全体に対して、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の割合が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
その他の樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、架橋構造を有さないポリオレフィン系熱可塑性樹脂(具体的には、例えば、前記水架橋性官能基を有する化合物でグラフト化される前のポリオレフィン系熱可塑性樹脂の具体例と同様のもの)、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂以外の樹脂等が挙げられる。
<樹脂材料の物性>
次に、タイヤ骨格体を構成する樹脂材料の好ましい物性について説明する。本発明におけるタイヤ骨格体は、上述の樹脂材料を用いるものである。
樹脂材料は、前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、並びに必要に応じてその他の樹脂及び各種添加剤を添加して、公知の方法(例えば、溶融混合)で適宜混合することにより得ることができる。
溶融混合して得られた樹脂材料は、必要に応じてペレット状にして用いることができる。
樹脂材料におけるJIS K7113:1995に準拠して測定される引張弾性率は、走行時におけるタイヤ骨格体の変形を抑制する観点から、100MPa以上750MPa以下が好ましく、200MPa以上500MPa以下がより好ましい。
樹脂材料におけるJIS K7115:1999に準拠して測定される、チャック間65mm、荷重4MPa、温度70℃における3時間後のクリープ量は、走行時におけるタイヤ骨格体の変形を抑制する観点から、0%以上5%以下が好ましく、0%以上3%以下がより好ましい。
[第1の実施形態]
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
図1(A)に示すように、タイヤ10は、図1(B)に示すリム20のビードシート21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、クラウン部16の端部でありサイド部14と連結するショルダー部19と、からなるタイヤケース17を備えている。
ここで、本実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料として、例えば、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂及び必要に応じて用いられるその他の樹脂に、各添加剤を含めたものを用いることができる。
本実施形態においてタイヤケース17は、単一の樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する熱可塑性樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
本実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料で形成された一対のタイヤケース半体(タイヤ骨格片)17A同士を接合させたものである。タイヤケース半体17Aは、一つのビード部12と一つのサイド部14と半幅のクラウン部16とを一体として射出成形等で成形された同一形状の円環状のタイヤケース半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されている。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
前記樹脂材料で形成されるタイヤケース半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
本実施形態において、図1(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、又は硬質樹脂などで形成されていてもよい。
本実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムからなる円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はタイヤケース17(ビード部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてもよい。タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する樹脂材料に比して軟質な材料を用いることができる。シール層24に用いることのできるゴムとしては、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、前記樹脂材料よりもシール性に優れる他の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)を用いてもよい。このような他の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーを用いることもでき、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは、これらエラストマー同士の組み合わせや、ゴムとのブレンド物等が挙げられる。
図1に示すように、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード26の材料としては、スチール等の金属のほか、有機繊維等が挙げられる。補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、補強コード層28を形成している。補強コード層28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるトレッド30が配置されている。
図2を用いて補強コード26によって形成される補強コード層28について説明する。図2は、第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。図2に示されるように、補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、タイヤケース17の外周部の一部と共に図2において破線部で示される補強コード層28を形成している。補強コード26のクラウン部16に埋設された部分は、クラウン部16(タイヤケース17)を構成する樹脂材料と密着した状態となっている。補強コード26としては、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又は、スチール繊維を撚ったスチールコードなどこれら繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いることができる。なお、本実施形態において補強コード26としては、スチールコードが用いられている。
また、図2において埋設量Lは、タイヤケース17(クラウン部16)に対する補強コード26のタイヤ回転軸方向への埋設量を示す。補強コード26のクラウン部16に対する埋設量Lは、補強コード26の直径Dの1/5以上であれば好ましく、1/2を超えることがさらに好ましい。そして、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されることが最も好ましい。補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/2を超えると、補強コード26の寸法上、埋設部から飛び出し難くなる。また、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されると、表面(外周面)がフラットになり、補強コード26が埋設されたクラウン部16上に部材が載置されても補強コード周辺部に空気が入るのを抑制することができる。なお、補強コード層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
上述のように補強コード層28のタイヤ径方向外周側にはトレッド30が配置されている。このトレッド30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、トレッド30の代わりに、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の樹脂材料で形成したトレッドを用いてもよい。また、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンが形成されている。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース成形工程)
まず、例えば上述のように、架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む混合物を、タイヤケース半体17Aの形状に成形する(以下、タイヤケース半体17Aの形状に成形された混合物を、「架橋前タイヤケース半体」と称する場合がある)。上記成形は、射出成形で行うことが好ましい。
次に、薄い金属の支持リングに支持された架橋前タイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、架橋前タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型は架橋前タイヤケース半体の接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、架橋前タイヤケース半体の接合部周辺を、架橋前タイヤケース半体を構成する樹脂の融点(又は軟化点)以上で押圧する。架橋前タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱や加圧されると、前記接合部が溶融し架橋前タイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17の形状を有する架橋前タイヤケースとなる。
尚、本実施形態においては接合金型を用いて架橋前タイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させたりして、接合金型によって加圧し、架橋前タイヤケース半体を接合させてもよい。
(補強コード部材巻回工程)
次に、図を省略するが、補強コード26を巻き付けたリール、コード加熱装置、各種ローラ等を備えたコード供給装置を用い、加熱した補強コード26を架橋前タイヤケースのクラウン部の外周面に埋設しながら巻き付けることで、架橋前タイヤケースのクラウン部の外周側に補強コード層28を形成することができる。
(架橋処理工程)
次に、例えば、必要に応じて補強コード層28が形成された架橋前タイヤケースに対して架橋処理を行うことで、架橋前タイヤケース中に含まれる架橋性官能基含有ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を架橋させて架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂とし、補強コード層28を有するタイヤケース17を得る。
なお、本実施形態においては、架橋前タイヤケース半体を接合させ、架橋前タイヤケースの外周面に補強コード26を巻き付けた後に架橋処理を行うことで、補強コード層28を有するタイヤケース17を得たが、本発明はこれに限定されず、例えば、架橋前タイヤケース半体の接合前に架橋処理を行ってタイヤケース半体17Aを得た後、タイヤケース半体17Aを接合及び補強コード26の巻回を行ってもよく、架橋前タイヤケース半体の接合後補強コード26の巻回前に架橋処理を行ってタイヤケース17を得てから補強コード26の巻回を行ってもよい。
次に、タイヤケース17の外周面に加硫済みの帯状のトレッド30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にトレッド30を、接着剤などを用いて接着する。なお、トレッド30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアトレッドを用いることができる。本工程は、更生タイヤの台タイヤの外周面にプレキュアトレッドを接着する工程と同様の工程である。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
(作用)
本実施形態のタイヤ10は、タイヤケース17が、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料によって形成される。このため、本実施形態のタイヤ10は、走行中においてもタイヤケース17の変形が起こりにくい。
また、本実施形態のタイヤ10では、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に前記樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26が周方向へ螺旋状に巻回されていることから耐パンク性、耐カット性、及びタイヤ10の周方向剛性が向上する。なお、タイヤ10の周方向剛性が向上することで、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクリープが防止される。
さらに、補強コードが周方向へ螺旋状に巻回されたタイヤ10では、上記のようにタイヤ10の周方向剛性が向上するため、補強コード26を有さないタイヤに比べてサイド部14やショルダー部19にかかる空気の圧力で変形しやすい傾向にある。しかしながら本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料によって形成されているため、タイヤ10の周方向剛性を得つつ、サイド部14及びショルダー部19の変形を抑制することができる。
また、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視(図1に示される断面)で、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に補強コード26の少なくとも一部が埋設され且つ樹脂材料に密着していることから、製造時のエア入りが抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのが抑制される。これにより、補強コード26、タイヤケース17、及びトレッド30に剥離などが生じるのが抑制され、タイヤ10の耐久性が向上する。
そして、図2に示すように、補強コード26の埋設量Lが直径Dの1/5以上となっていることから、製造時のエア入りが効果的に抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのがさらに抑制される。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
またさらに、ビード部12のリム20と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性のあるゴム材からなるシール層24が設けられていることから、タイヤ10とリム20との間のシール性が向上する。このため、リム20とタイヤケース17を構成する樹脂材料のみとでシールする場合と比較して、タイヤ内の空気漏れがより一層抑制される。また、シール層24を設けることでリムフィット性も向上する。
また、第1実施形態では、補強コード26を加熱する構成としたが、例えば、補強コード26の外周をタイヤケース17と同じ樹脂材料で被覆する構成としてもよく、この場合には、被覆補強コードをタイヤケース17のクラウン部16に巻き付ける際に、補強コード26と共に被覆した樹脂材料も加熱することで、クラウン部16への埋設時におけるエア入りを効果的に抑制することができる。
また、補強コード26は螺旋巻きするのが製造上は容易だが、幅方向で補強コード26を不連続とする方法等も考えられる。
第1実施形態のタイヤ10は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1〜5、比較例1]
下記表に記載の材料を用いて、上述の第1の実施形態と同様の構成のタイヤを形成した。
具体的には、架橋触媒マスターバッチを除く下記表に記載の材料を1種のみ用いる場合はそのまま原料とし、架橋触媒マスターバッチを除く下記表に記載の材料を2種以上用いる場合は二軸押出機(テクノベル製KZW31)によって溶融混練(押出量15kg/h、温度200℃、回転数150rpm)しペレット化した混合物を原料とした。得られた原料に、下記表に記載の架橋触媒マスターバッチを配合し(架橋触媒マスターバッチを用いない場合は原料をそのまま用い)、射出成形により架橋前タイヤケース半体を得た。射出成形は、射出成形機(三菱重工社製、850−MM)を用い、成形温度180℃〜260℃、金型温度50℃〜70℃の条件で行った。
2つの架橋前タイヤケース半体を接合させて架橋前タイヤケースを得た後、スチール製の補強コード部材を架橋前タイヤケースに埋没させて補強コード層を形成し、水処理を行って補強コード層を有するタイヤケース(タイヤ骨格体)を得た。水処理は、具体的には、補強コード層を有する架橋前タイヤケースを98℃の水に4時間浸漬させて行った。
得られたタイヤケースにおけるサイド部の厚みは3mmであり、クラウン部の厚みは3mmであった。
補強コード層を有するタイヤケースに、トレッドを接着させてタイヤを得た。
なお、下記表中、「Si−PP」は加水分解性シラン化合物でグラフト化されたポリプロピレン樹脂(三菱化学株式会社製、リンクロンXPM800MH)を示し、「Si−PE1」は加水分解性シラン化合物でグラフト化されたポリエチレン樹脂(三菱化学株式会社製、リンクロンHM600A(架橋触媒含有))を示し、「Si−PE2」は加水分解性シラン化合物でグラフト化されたポリエチレン樹脂(三菱化学株式会社製、リンクロンXLE830N)を示し、「架橋触媒マスターバッチ1」は架橋触媒が混合されたポリオレフィン樹脂(三菱化学株式会社製、リンクロンPZ010)を示し、「架橋触媒マスターバッチ2」は架橋触媒が混合されたポリオレフィン樹脂(三菱化学株式会社製、リンクロンLZ033)を示し、「αオレフィン共重合体1」は架橋性官能基を有さないポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製、タフマーPN3560)を示し、「PE」は架橋性官能基を有さないポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製、ニポロンZ 04P62A)を示し、「TPO」は架橋性官能基を有さないポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(株式会社プライムポリマー製、プライムTPO F−3740)を示す。
[比較例2〜3]
架橋触媒マスターバッチを添加せず、かつ、水処理を行わなかった以外は、それぞれ実施例2及び実施例5と同様にして、それぞれ比較例2及び比較例3のタイヤを得た。なお、タイヤ製造後は空気中の水分に触れないように保管し、時間をおかずに下記測定及び評価を行った。
[引張弾性率の測定]
実施例及び比較例において、タイヤケースの樹脂材料を打ち抜き、JIS−K6251:1993に規定されるダンベル状試料片(3号形試料片)を作製した。
次いで、島津製作所社製、島津オートグラフAGS−J(5KN)を用いて、引張速度を200mm/minに設定し、JIS K7113:1995に準拠して、前記各ダンベル状試料片の23℃における引張弾性率を測定した。結果を下記表に示す。
[クリープ量の測定]
実施例及び比較例において、タイヤケースの樹脂材料を打ち抜き、JIS−K6251:1993に規定されるダンベル状試料片(3号形試料片)を作製した。
次いで、測定装置としてクリープ試験機(安田精機製作所製、型番:145)を用い、JIS K7115:1999に準拠して、チャック間65mm、荷重4MPa、温度70℃における3時間後のクリープ量を測定した。結果を下記表に示す。
[ゲル分率の測定]
実施例1〜5のタイヤケースの樹脂材料について、前述の方法でゲル分率を測定した。結果を下記表に示す。
[タイヤ走行性の評価]
実施例及び比較例で得られたタイヤについて、JIS D4230:1999 (高速性能試験B)に準じて高速性能試験を行った。結果を下記表に示す。
[形状保持性の評価]
実施例及び比較例で得られたタイヤについて、走行中におけるタイヤのトレッド部周方向及びサイド部厚み方向における形状保持性を評価するため、以下の測定を行った。具体的には、トレッド部周方向の形状保持性については、トレッド中央部のタイヤ外周長さの走行前後の変化を評価した。サイド部厚み方向の形状保持性については、トレッド部及びサイド部を含むタイヤ幅長さの走行前後の変化を評価した。結果を下記表に示す。
上記表に示した評価結果から分かるように、本実施例では、架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体を有するため、比較例に比べ、走行中における形状保持性が高く、タイヤ骨格体の変形が起こりにくいことが分かった。
10タイヤ、12 ビード部、16 クラウン部(外周部)、17 タイヤケース(タイヤ骨格体)、18 ビードコア 、19 ショルダー部、20 リム、21 ビードシート、22 リムフランジ、24 シール層(シール部)、26 補強コード(補強コード部材)、28 補強コード層、30 トレッド、D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)、L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)

Claims (7)

  1. 架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂を含む樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有するタイヤ。
  2. 前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、水によって架橋反応する官能基を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂の架橋体である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、加水分解性シラン化合物でグラフト化されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂の架橋体である請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記樹脂材料中に含まれる樹脂のゲル分率は、40質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記樹脂材料の引張弾性率が100MPa以上750MPa以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記架橋ポリオレフィン系熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂の少なくとも1種を含むポリオレフィン樹脂の架橋体である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材をさらに有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のタイヤ。
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