JP2016141238A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ビード部にビード補強層を埋設するにあたって、操縦安定性を良好に維持しながら、軽量化や乗心地の改善を可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 一対のビード部3,3間にカーカス層4を装架し、該カーカス層4を各ビード部3に埋設されたビードコア5の廻りに巻き上げ、ビードコア5の外周側にビードフィラー6を配置し、該ビードフィラー6をカーカス層4の本体部4Aと巻き上げ部4Bとで挟み込むようにした空気入りタイヤにおいて、複数本の中空管状部材11を含むビード補強層10をビードフィラー6に沿ってビード部3に埋設し、中空管状部材11の中空部12の長手方向がタイヤ径方向に対してなす角度を0°〜30°とし、中空管状部材11をタイヤ周方向に沿って並ぶように配列する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ビード部にビード補強層を埋設した空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、操縦安定性を良好に維持しながら、軽量化や乗心地の改善を可能にした空気入りタイヤに関する。
一般に、空気入りタイヤは、一対のビード部間にカーカス層を装架し、カーカス層を各ビード部に埋設されたビードコアの廻りに巻き上げ、ビードコアの外周側にビードフィラーを配置し、そのビードフィラーをカーカス層の本体部と巻き上げ部とで挟み込んだ構造を有している。
このような構造を有する空気入りタイヤにおいて、操縦安定性の改善を目的として、ビード部にビード補強層を埋設することが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。従来の空気入りタイヤにおいて、ビード補強層は引き揃えられた複数本の補強コードを含み、その補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜するように配置されている。そして、空気入りタイヤの横剛性を効果的に増大させるという観点から、ビード補強層の補強コードとしてスチールコードが頻繁に使用されている。
しかしながら、ビード部にスチールコードからなるビード補強層を埋設した場合、操縦安定性が改善されるものの、それに伴って空気入りタイヤの重量が増加し、乗心地が悪化するという問題がある。
特開2004−351995号公報 特開2005−59802号公報 特開2005−280610号公報
本発明の目的は、ビード部にビード補強層を埋設するにあたって、操縦安定性を良好に維持しながら、軽量化や乗心地の改善を可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層を各ビード部に埋設されたビードコアの廻りに巻き上げ、前記ビードコアの外周側にビードフィラーを配置し、該ビードフィラーを前記カーカス層の本体部と巻き上げ部とで挟み込むようにした空気入りタイヤにおいて、複数本の中空管状部材を含むビード補強層を前記ビードフィラーに沿って前記ビード部に埋設し、前記中空管状部材の中空部の長手方向がタイヤ径方向に対してなす角度を0°〜30°とし、前記中空管状部材をタイヤ周方向に沿って並ぶように配列したことを特徴とするものである。
本発明では、複数本の中空管状部材を含むビード補強層を使用するが、このような中空管状部材は実断面積が等しい中実棒状部材に比べて曲げ剛性が高いものである。そのため、中空部の長手方向がタイヤ径方向に配向するようにして中空管状部材をタイヤ周方向に沿って並ぶように配列することにより、空気入りタイヤの横剛性及び周剛性を効果的に高めることができる。従って、従来のスチールコードからなるビード補強層と同程度の横剛性及び周剛性を確保しようとする場合、中空管状部材からなるビード補強層の高さを低くすることが可能になり、その結果、縦剛性の低下により乗り心地を改善することができる。また、中空管状部材からなるビード補強層の高さを低くした場合、軽量化も可能となり、更には転がり抵抗の低減も可能になる。従って、本発明によれば、操縦安定性を良好に維持しながら、軽量化や乗心地の改善や転がり抵抗の低減を達成することができる。
本発明において、中空管状部材はスチールに代表される金属材料から構成されることが好ましい。金属材料からなる中空管状部材は曲げ剛性が高いため、操縦安定性の改善に大きく寄与する。
中空管状部材の総断面積に対する中空管状部材の中空部の断面積の比率からなる中空率は10%〜70%であることが好ましい。このような中空率を有する中空管状部材は空気入りタイヤの横剛性及び周剛性を効果的に増大させ、操縦安定性の改善に大きく寄与する。
中空管状部材の総断面積が0.2mm2〜7.0mm2であることが好ましい。このような総断面積を有する中空管状部材はビード部の補強部材として好適である。
中空管状部材の中空部には該中空管状部材とは異なる材料から構成される充填物を充填することが好ましい。中空管状部材の中空部に充填物が充填されていないと加硫時にエアの膨張に起因する加硫故障を生じる恐れがあるので、中空管状部材の中空部には原則として充填物を充填する。
特に、充填物は熱可塑性樹脂から構成されることが好ましい。熱可塑性樹脂からなる充填物は溶融状態において中空管状部材の中空部に容易に充填することができる。また、熱可塑性樹脂としてサイドウォールゴムよりも比重が小さいものを選択すれば軽量化を促進することができ、熱可塑性樹脂としてサイドウォールゴムよりも硬度が高いものを選択すれば操縦安定性を更に改善することができる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。 図1の空気入りタイヤのビード部を示す斜視断面図である。 図1の空気入りタイヤのビード補強層をタイヤ周方向に沿って切断した状態を示す断面図である。 図1の空気入りタイヤのビード補強層を抽出して示す側面図である。 本発明でビード補強層に使用される中空管状部材を示す斜視図である。 本発明でビード補強層に使用される中空管状部材を示す断面図である。 中空管状部材の種々の変形例を示し、(a)〜(f)は各中空管状部材の断面である。 断面三角形の中空管状部材を含むビード補強層をタイヤ周方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図4は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。つまり、カーカス層4は本体部4Aと巻き上げ部4Bとから構成されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。このビードフィラー6はカーカス層4の本体部4Aと巻き上げ部4Bとで挟み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
上記空気入りタイヤにおいて、各ビード部3にはビードフィラー6に沿ってビード補強層10が埋設されている。より具体的には、ビード補強層10はカーカス層4の巻き上げ部4Bとビードフィラー6との間に挟み込まれている。ビード補強層10は、カーカス層4の巻き上げ部4Bよりもタイヤ幅方向外側に配置したり、ビードフィラー6の内部に埋め込んだり、或いは、カーカス層4の本体部4Aとビードフィラー6との間に配置したりすることも可能であるが、上述のようにカーカス層4の巻き上げ部4Bとビードフィラー6との間に配置するのが最も好ましい。また、ビード補強層10の上端(タイヤ径方向の外側端)はビードフィラー6の上端(タイヤ径方向の外側端)よりもタイヤ径方向内側とし、ビード補強層10をビードフィラー6の高さ範囲内に収まるように配置することが望ましい。
ビード補強層10は、引き揃えられた複数本の中空管状部材11(図5及び図6参照)を含み、これら中空管状部材11をゴムで被覆した構造を有している。各中空管状部材11はその長手方向に沿って延在する中空部12を有している。図3において、中空部12には中空管状部材11とは異なる材料から構成される充填物13が充填されている。図4に示すように、中空管状部材11の中空部12の長手方向がタイヤ径方向に対してなす角度θは0°〜30°の範囲に設定され、中空管状部材11はタイヤ周方向に沿って並ぶように配列されている。中空管状部材11は、タイヤ周方向に沿って間隔をおいて配置しても良く、或いは、タイヤ周方向に沿って互いに密接するように配置しても良い。
上述した空気入りタイヤにおいては、複数本の中空管状部材11を含むビード補強層10が各ビード部3に埋設されているが、このような中空管状部材11は実断面積が等しい中実棒状部材に比べて断面二次モーメントが大きく曲げ剛性が高いものである。そのため、中空部12の長手方向がタイヤ径方向に配向するようにして中空管状部材11をタイヤ周方向に沿って並ぶように配列することにより、空気入りタイヤの横剛性及び周剛性を効果的に高めることができる。
複数本のスチールフィラメントを撚り合わせた従来のスチールコードからなるビード補強層と同程度の横剛性及び周剛性を確保しようとする場合、中空管状部材11からなるビード補強層10の高さを低くすることが可能になる。例えば、従来のスチールコードからなるビード補強層を用いる場合、そのビード補強層をビードフィラー6よりもタイヤ径方向外側に突き出すように配置することが一般的であるが、それと同程度の横剛性及び周剛性を確保するにあたって、中空管状部材11からなるビード補強層10の高さをビードフィラー6よりも低くすることが可能である。その結果、縦剛性の低下により空気入りタイヤの乗り心地を改善することができる。また、中空管状部材11からなるビード補強層10の高さを低くした場合、軽量化も可能となり、更には転がり抵抗の低減も可能になる。従って、操縦安定性を良好に維持しながら、軽量化や乗心地の改善や転がり抵抗の低減を達成することができる。
上記空気入りタイヤにおいて、中空管状部材11の中空部12の長手方向がタイヤ径方向に対してなす角度θは0°〜30°とするが、この角度θが30°よりも大きいと横剛性及び周剛性を確保するためにビード補強層10を高くする必要があり、その結果、縦剛性が増大し、乗心地が悪化することになる。特に、中空管状部材11の中空部12の角度θは0°〜10°とすることが好ましい。
中空管状部材11の構成材料としては、スチールに代表される金属材料を用いると良い。金属材料からなる中空管状部材11は曲げ剛性が高いため、操縦安定性の改善に大きく寄与する。この場合、金属材料からなる中空管状部材11とそれを被覆するコートゴムとの接着が重要となるため、中空管状部材11の表面にはブラスメッキ加工が施されていることが望ましい。中空管状部材11の構成材料として、ナイロンやレーヨン等の合成樹脂を使用することも可能である。この場合も、中空管状部材11の中空構造に基づいて空気入りタイヤの横剛性及び周剛性を効果的に増加させることができる。
中空管状部材11の断面構造としては、図6に示すように、中空管状部材11の外輪郭断面形状が円形であり、中空部12の断面形状が円形であることが好ましいが、例えば、図7(a)〜(f)に示すような種々の構造を採用することができる。図7(a)では、中空管状部材11の外輪郭断面形状が三角形であり、中空部12の断面形状が三角形である。図7(b)では、中空管状部材11の外輪郭断面形状が四角形であり、中空部12の断面形状が四角形である。図7(c)では、中空管状部材11の外輪郭断面形状が楕円形であり、中空部12の断面形状が楕円形である。図7(d)では、中空管状部材11の外輪郭断面形状が楕円形であり、2つの中空部12の断面形状が円形である。図7(e)では、中空管状部材11の外輪郭断面形状が四角形であり、4つの中空部12の断面形状が円形である。図7(f)では、中空管状部材11の外輪郭断面形状が菱形であり、2つの中空部12の断面形状が三角形である。なお、外輪郭断面形状が三角形である中空管状部材11を使用する場合、図8に示すように、タイヤ周方向に沿って三角形の頂点の向きを交互に反転させるようにして中空管状部材11を細密に配置するができる。
中空管状部材11の総断面積(外輪郭で囲まれた部分の面積)に対する中空管状部材11の中空部12の断面積の比率からなる中空率は10%〜70%であると良い。このような中空率を有する中空管状部材11は空気入りタイヤの横剛性及び周剛性を効果的に増大させ、操縦安定性の改善に大きく寄与する。ここで、中空率が小さ過ぎると中実棒状部材に近くなり、横剛性及び周剛性の増大効果が小さくなり質量の増加を招く。また、中空率が大き過ぎると中空管状部材11の強度が低下する。特に、中空管状部材11の中空率は20%〜40%であると良い。
中空管状部材11の総断面積(外輪郭で囲まれた部分の面積)は0.2mm2〜7.0mm2であると良い。図6のような円筒管で考えると、総断面積が0.2mm2であるとき半径が約0.25mmとなり、総断面積が7.0mm2であるとき半径が約1.5mmとなる。このような総断面積を有する中空管状部材11はビード部3の補強部材として好適である。ここで、中空管状部材11の総断面積が小さ過ぎると中空管状部材11の作成が困難になり、その中に充填物13を充填することも困難になる。また、中空管状部材11の総断面積が大き過ぎるとビード部3のボリュームが大きくなるため剛性が高くなるものの質量増加が顕著になる。特に、中空管状部材11の総断面積は0.8mm2〜3.0mm2であると良い。これは円筒管で考えると半径が0.2mm〜1.0mmとなる。
中空管状部材11の中空部12には、中空管状部材11とは異なる材料から構成される充填物13を充填する。中空管状部材11の中空部12に充填物13が充填されていないと加硫時にエアの膨張に起因する加硫故障を生じる恐れがあるが、充填物13の充填により加硫故障の発生を回避することができる。
特に、充填物13は熱可塑性樹脂から構成されると良い。熱可塑性樹脂からなる充填物13は溶融状態において中空管状部材11の中空部12に容易に充填することができる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンに代表されるポリアミド等を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂としてサイドウォールゴムよりも比重が小さいものを選択すれば軽量化を促進することができ、熱可塑性樹脂としてサイドウォールゴムよりも硬度が高いものを選択すれば操縦安定性を更に改善することができるという利点もある。ここで言う硬度とは、JIS K−6253に準拠して、Aタイプのデュロメータを用いて温度20℃の条件にて測定されるデュロメータ硬さである。
タイヤサイズが245/40R18 93Yであり、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層を各ビード部に埋設されたビードコアの廻りに巻き上げ、ビードコアの外周側にビードフィラーを配置し、該ビードフィラーをカーカス層の本体部と巻き上げ部とで挟み込むようにした空気入りタイヤにおいて、補強部材として複数本の中空管状部材(スチール製)を含むビード補強層をビードフィラーに沿ってビード部に埋設し、中空管状部材の中空部の長手方向がタイヤ径方向に対してなす角度θ、中空管状部材の総断面積、中空部の断面積、中空管状部材の中空率、中空部に充填される充填物の材質、ビード補強層の高さを表1のように設定した実施例1〜6のタイヤを作製した。
比較のため、補強部材として複数本の中実棒状部材(スチール製)を含むビード補強層を用いた基準例のタイヤと、補強部材として複数本のスチールコードを含むビード補強層を用いた比較例1と、中空管状部材の中空部の角度θを40°とした比較例2のタイヤを用意した。基準例について、表1の「中空管状部材の中空部の角度θ」の欄には中実棒状部材の傾斜角度を記載し、「中空管状部材の総断面積」の欄には中実棒状部材の断面積を記載した。比較例1について、表1の「中空管状部材の中空部の角度θ」の欄にはスチールコードの傾斜角度を記載し、「中空管状部材の総断面積」の欄にはスチールコードの外接円の断面積を記載した。また、中空部への充填物について、ゴムはサイドウォールゴムと同じ組成物であり、熱可塑性樹脂はポリエステルである。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、タイヤ重量、操縦安定性、乗心地、転がり抵抗を評価し、その結果を表1に併せて示した。
タイヤ重量:
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、基準例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ重量が小さいことを意味する。
操縦安定性:
各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて空気圧(前輪/後輪)を230kPa/220kPaとしてセダンタイプの自動車の4輪に装着し、乾燥路面からなるテストコースにおいて2名のテストドライバーにより操縦安定性に関する官能評価を行った。評価結果は、基準例を100とする指数にて示し、その値は2名のテストドライバーの平均値とした。この指数値が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
乗心地:
各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて空気圧(前輪/後輪)を230kPa/220kPaとしてセダンタイプの自動車の4輪に装着し、乾燥路面からなるテストコースにおいて2名のテストドライバーにより乗心地に関する官能評価を行った。評価結果は、基準例を100とする指数にて示し、その値は2名のテストドライバーの平均値とした。この指数値が大きいほど乗心地が優れていることを意味する。
転がり抵抗:
各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて空気圧を210kPaとし、荷重を5.10kNとし、速度を80km/hとした条件でドラム上を走行させ、タイヤがドラム上を走行する際の単位移動距離におけるエネルギー損失量からタイヤの転がり抵抗値を計算した。評価結果は、測定値の逆数を用い、基準例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
Figure 2016141238
表1から明らかなように、実施例1〜6のタイヤは、いずれも、基準例との対比において、操縦安定性を良好に維持しながら、軽量化や乗心地や転がり抵抗を改善することができた。特に、実施例1〜3から判るように、中空管状部材の中空部の角度θが0°〜30°の範囲にある場合において良好な結果が得られていた。また、実施例2と実施例4との対比から、中空管状部材の中空率を上げることにより、操縦安定性の更なる改善効果が得られることが判る。更に、実施例2と実施例5との対比から、中空管状部材の中空率を上げる一方でビード補強層を低くすることにより、操縦安定性を維持しながら、軽量化や乗心地や転がり抵抗の更なる改善効果が得られることが判る。また、実施例5と実施例6とを対比すると、中空部への充填物として熱可塑性樹脂を選択した場合、操縦安定性を更に改善可能であることが判る。
一方、補強部材として複数本のスチールコードを含むビード補強層を用いた比較例1のタイヤは、基準例と同等の操縦安定性を確保するためにビード補強層の高さを大きくする必要があり、その結果、軽量化や乗心地や転がり抵抗について良好な結果が得られなかった。また、中空管状部材の中空部の角度θを40°とした比較例2のタイヤも、基準例と同等の操縦安定性を確保するためにビード補強層の高さを大きくする必要があり、その結果、軽量化や乗心地や転がり抵抗について良好な結果が得られなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
4A 本体部
4B 巻き上げ部
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 ビード補強層
11 中空管状部材
12 中空部
13 充填物

Claims (6)

  1. 一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層を各ビード部に埋設されたビードコアの廻りに巻き上げ、前記ビードコアの外周側にビードフィラーを配置し、該ビードフィラーを前記カーカス層の本体部と巻き上げ部とで挟み込むようにした空気入りタイヤにおいて、複数本の中空管状部材を含むビード補強層を前記ビードフィラーに沿って前記ビード部に埋設し、前記中空管状部材の中空部の長手方向がタイヤ径方向に対してなす角度を0°〜30°とし、前記中空管状部材をタイヤ周方向に沿って並ぶように配列したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記中空管状部材が金属材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記中空管状部材の総断面積に対する前記中空管状部材の中空部の断面積の比率からなる中空率が10%〜70%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記中空管状部材の総断面積が0.2mm2〜7.0mm2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記中空管状部材の中空部に該中空管状部材とは異なる材料から構成される充填物を充填したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記充填物が熱可塑性樹脂から構成されることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
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