JP2016141026A - 光学用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 携帯電話、タブレットからLCDの部材のバックライトに使用される光学用シートの高輝度を達成し、バックライト光源が省電力仕様であっても高輝度を維持することができ、安定して高鮮明で高品質な画像を与えることができ、光学的性能に優れる光学用シートを提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの表面にプリズムシートを有する光学用シートであり、前記ポリエステルフィルム面内の屈折率の最大値(nγ)を示すベクトル(γ)の逆ベクトル(−γ)と、γと直角の方向の屈折率(nβ)を示すベクトル(β)との和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)が0°から±30°の範囲となるようにプリズムシートを有することを特徴とする光学用シート。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学用シートに関するものであり、詳しくは、携帯、タブレットから液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する場合あり)などに用いるバックライトの構成部材として使用される、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度向上シート、複合シート等の基材であって、省電力対応のバックライト光源向けや、超高精細な画像品質を必要とする液晶ディスプレイ向けにおいて、高い輝度を達成して安定的に提供することができるようになるため、省電力で高品質かつ高精細な画像を安定して与えることができる光学用シートに関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
ポリエステルフィルムは、近年、特に各種光学用シートに多く使用され、携帯、タブレットからLCDのバックライトの構成部材である拡散シート、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度向上シート、複合シート、反射シート、また、タッチパネル等のベースフィルムや反射防止用ベースフィルム、携帯、ディスプレイ等の防爆用ベースフィルム、PDPフィルター用フィルム等の各種用途に用いられている。
このバックライトを構成する部材として使用される光学用シートは、近年、省エネ等の観点からバックライトの光源が省電力仕様の動きにあるが、省電力であっても高い輝度を維持、また高輝度を達成できるよう、光学用シートには、少しでも高輝度化を行うことが依然として強く求められている。
輝度が低いと、省電力仕様のバックライト光源では、鮮明で高精細な画像を得られなくなり、電力を多く消費するバックライト光源が必要になるという問題がある。また、市場ニーズとしては、より高精細な画像品質が求められており、現行品と比較してたとえ僅かなレベルであっても高輝度化を達成するため、基材であるポリエステルフィルムに加工されるプリズムレジンについて開発、検討が行われたり、各種光学用シートの組み合せ(バックライトの各種光学用シートの構成)の検討が行われていたりしているが、現在、価格が低下傾向にある携帯、タブレット、LCD向けにおいてはかなりのコストアップとなり、簡単に採用することができないという問題がある。
特開2009−40906号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、携帯電話、タブレットからLCDの部材のバックライトに使用される光学用シートの高輝度を達成し、バックライト光源が省電力仕様であっても高輝度を維持することができ、安定して高鮮明で高品質な画像を与えることができ、光学的性能に優れる光学用シートを提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する光学用シートによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの表面にプリズムシートを有する光学用シートであり、前記ポリエステルフィルム面内の屈折率の最大値(nγ)を示すベクトル(γ)の逆ベクトル(−γ)と、γと直角の方向の屈折率(nβ)を示すベクトル(β)との和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)が0°から±30°の範囲となるようにプリズムシートを有することを特徴とする光学用シートに存する。
本発明によれば、携帯電話、タブレットからLCDの部材のバックライトに使用される光学用シートの高輝度を達成し、バックライト光源が省電力仕様であっても高輝度を維持することができ、安定して高鮮明で高品質な画像を与えることができ、光学的性能に優れる光学用シートを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
挟角の意味を示す概略説明図 ベクトルの和を示す概略説明図 プリズム線を示す概略説明図
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の20モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、および/またはジオール成分の20モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよい。またそれらの混合物であってもよい。
本発明におけるポリエステルは、従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とジオールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとジオールとを従来公知のエステル交換触媒で反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等公知の触媒を使用して良いが、好ましくはアンチモン化合物の量を零またはアンチモンとして100ppm以下にすることによりフィルムのくすみを低減したものが好ましい。
本発明のシートを構成するポリエステルフィルムは、直径20μm以上の結晶化物の数が通常30個/m以下、好ましくは10個/m以下である。上記の条件を逸脱する場合には、LCDの部材として使用した場合に、画像に結晶化物による白点が光学欠陥として明らかに確認されるようになり、透明性を損なうことに繋がり、鮮明で高精細な画像が得られなくなることがある。
結晶化物を上記の範囲とするためには、例えば、共押出法を用いて、ポリエステルフィルムを積層構造とし、その際、最外層には、フィルム製膜時におけるフィルムの結晶化を抑制させることを目的として、固相重合を行ったポリエステルを用いる。固相重合は、ポリエステルを溶融重合後、これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中において、さらに重合を施すもので、固相重合により得られるポリエステルの固有粘度は0.70dl/g以上であることが好ましく、0.75〜0.93dl/gであることがさらに好ましい。
また、最外層における層中において、固層重合を行ったポリエステルを、50%以上配合することが好ましく、60%以上配合することがさらに好ましい。
特に、フィルムの厚みが250μmを超えるフィルムの製膜においては、フィルムの最外層の結晶化が進みやすく、上述の結晶化物である白点が確認されたり、白点がフィルム長手方向(MD)に連続して発生することからなる白線が確認されたりして輝度が低下し、高品質な画像を得られなくなるため、光学シートとして用いることができなくなることがある。
本発明で用いるポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.1〜4μmが好ましい。平均粒径が0.1μm未満の場合は、粒子が凝集しやすく分散性が不十分な場合があり、また、フィルムに易滑性を設けることを目的として表面粗度を形成するために粒子を配合するが、この配合量を多くすることが必要で、結果的にフィルムのヘーズが上昇し透明性に劣るようになる傾向がある。一方、4μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、透明性に劣るようになってしまうため、光学用として用いることは不適当となることがある。
さらに、ポリエステルフィルム中の粒子含有量は、フィルムを構成する全ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料、顔料等を添加することができる。また用途によっては、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
本発明で使用するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常23〜300μmの範囲である。
本発明で使用するフィルムの全光線透過率は、88%以上が好ましい。本発明で使用するフィルムは、その優れた光透過性を有するために光学用途に広く用いられるが、全光線透過率が88%未満の場合には、光学用としては不適当となることがある。
本発明で使用するフィルムは、フィルムヘーズが通常2.5%以下、好ましくは2.3%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。本発明で使用するフィルムは、その優れた透明性を有するために光学用途に広く用いられるが、フィルムヘーズが2.5%を超える場合には、光学用としては不適当となることがある。
本発明で使用するフィルムは、150℃で30分間処理後における加熱収縮率に関して、フィルム長手方向(MD)の値が通常1.8%以下、好ましくは1.5以下である。また、フィルム幅方向(TD)の値が通常1.0%以下、好ましくは0.7%以下である。フィルム長手方向(MD)の値が1.8%、フィルム幅方向(TD)が0.7%を超えて大きくなると、特に、近年、携帯電話、LCDの厚みが超薄型の傾向にある製品の部材として使用した場合に、バックライト光源のランプや周辺部品の発熱の影響により、シートを形成しているフィルムの寸法安定性が損なわれ、シートの縁の部分において波状のうねり現象が発生するようになり、画像に歪みやムラが発生して画像品質の劣化の原因となることがある。
本発明で使用するポリエステルフィルムは、測定時の総厚みが900μmから1100μmの間で最も1000μmに近くなるように複数枚重ね合わせた時の色調 反射法 y値が通常0.3230以下の範囲である。y値が0.3230を超える場合には、フィルムの黄色みが強く、ディスプレイ用として使用した場合、画像の色調が劣るようになったり、輝度が低下したりするなどの点で不適切となることがある。また、加工されたシートの間で色調差が発生し、バックライトユニットに各シートを組み込んだ際に、都度、バックライト光源側の色調調整が必要になるという不具合が発生することがある。
かかる色調のフィルムとするためには、原料のポリエステルを製造する際の触媒、助剤を選択し、なるべく触媒の量を少なくすることや、重合および製膜時にポリエステルが必要以上に高温度になったり、溶融時間が長くならないようにすること、さらにリサイクル性の原料の配合量を少なくすることなどの方法を採用することができる。
また、本発明で使用するフィルムは、180℃で10分間熱処理後のフィルム表面へのオリゴマー(環状三量体)析出量の表裏面の総和が、15mg/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは10.0mg/m、特に好ましくは8.0mg/m以下である。フィルム表面へのオリゴマー析出量が15mg/mを超える場合には、表面でオリゴマーが結晶化してフィルム上に設ける機能層に溶け込んで特性に影響を及ぼす等の問題を引き起こすことがある。
熱処理によるフィルム表面へのオリゴマー析出量を上記の範囲とするためには、オリゴマー含有量の少ないポリエステルを用いたり、インライン/オフラインで塗布層を設けたりすることにより、フィルム表面にオリゴマーが析出するのを押えることで、熱処理後のフィルム表面へのオリゴマー析出量を上記範囲とすることができる。
本発明で使用するフィルムは、共押出法を用いて積層構造とすることができるが、その際、最外層厚みは、片側のみの厚みで、通常2μm以上かつ総厚みの1/8以下であることが好ましい。かかる厚みが2μm未満では、加工中の熱履歴等により、内層に含有されているオリゴマー(環状三量体)がフィルム表面に析出し、生産ラインの汚染やフィルム表面の異物量の増加が見られる場合がある。一方、1/8を超えるとフィルムがカールしやすくなる傾向があり、光学用フィルムとして好ましくない場合がある。
本発明で使用するフィルムの詳細な製造方法については、縦方向に延伸して縦1軸延伸フィルムとした後、次に横方向に延伸して2軸方向に延伸しフィルム化する。この時、横方向の延伸倍率は縦方向の延伸倍率より1.2倍以上、さらに好ましくは1.3倍以上である。横方向の延伸倍率が縦方向の延伸倍率、1.2倍より低い場合には、フィルムの厚みふれが悪化して平面性が悪化し、プリズム加工を行う時に加工ムラ、ヌケなどの加工不具合が発生したり、プリズムシートに波状のうねり現象が発生したりするようになり、このシートをバックライトの構成部材として使用した際、画像に歪やムラが発生して画像品質劣化の原因となる。
本発明で使用するフィルムは、プリズムシートの山であるプリズム線(1)が、ポリエステルフィルム面内の屈折率の最大値(nγ)を示すベクトル(γ)の逆ベクトル(−γ)と、γと直角の方向の屈折率(nβ)を示すベクトル(β)との和(2)となす挟角(θ)0°(プリズム線とベクトル線が平行な状態)〜±30°の範囲であり、好ましくは0°〜±20°の範囲である。プリズム線とベクトル線とのなす角度が0°〜±30°の範囲を外れる場合には、その優れた高輝度化を達成できなくなり、バックライト光源が省電力仕様のバックライトには用いることができず、また、高精細で高品質な画像を得られなくなるため、好ましくない。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、公知の手法により乾燥した、または未乾燥のポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを、好ましくは縦方向に70〜145℃で2.0〜4.5倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で3.0〜6.5倍延伸を行い、210〜245℃で10〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。そして、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明においては、前記の通りポリエステルの溶融押出機を2台以上用いて、いわゆる共押出法により3層の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料を用いてA/B/A構成のフィルムとすることができる。
特に本発明のフィルムは、携帯電話、タブレットからLCD用のバックライトとして使用される、プリズムシート、マイクロレンズシート、輝度向上シート、複合シートなどに用いるため、拡散、プリズム、マイクロレンズ、などの各樹脂や液晶、また、スティック防止性、ハードコート性のバックコート用の各樹脂と密着性を向上することを目的として、片面もしくは両面に下引き層としての塗布層を設けることができる。
かかる塗布層の形成に当たっては、フィルムを製造する工程内、特に縦方向に延伸した後、横方向の延伸の前に行う方法が、極めて薄い塗布層を形成できる点、塗布液の乾燥や硬化反応を製膜工程内で実施できることなどの点で好ましい。
かかる塗布層としては、架橋剤と各種バインダー樹脂との組み合わせからなるものが好ましく、バインダー樹脂としては密着性の観点から、通常ポリエステル、アクリル系ポリマーおよびポリウレタンの中から選ばれたポリマーを採用する。上記のポリマーは、それぞれそれらの誘導体をも含むものとする。ここでいう誘導体とは、他のポリマーとの共重合体、官能基に反応性化合物を反応させたポリマーを指す。
なお、必要に応じて、フィルムの製造後にオフラインコートでコートしてもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は、水系および/または溶剤系いずれでも良いが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
また、本発明のフィルムは、光学用に用いるので、特にフロント側の加工面とは反対面側において、静電気によるゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成させることもさらに好ましい。
本発明で塗布剤として用いる、上記のポリエステル、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリイミドの中で、特に好ましいポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上、さらには40℃以上のもので、ポリウレタンの中でもポリエステルポリウレタンであり、カルボン酸残基を持ち、その少なくとも一部はアミンまたはアンモニアを用いて水性化されているポリマーである。
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が一般に用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が特に好ましい。 メラミン系樹脂としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの光透過性を低下させる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。一方有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらの有機溶剤は、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
本発明における塗布層は、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.01〜0.5μm、好ましくは0.015〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.01μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない恐れがある。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなったり、特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなったりする傾向がある。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
このような塗布フィルムを光学用途に適用する場合には、塗布層表面の塗布ヌケが、この塗布層のさらに上に拡散用の樹脂、バックコート用の樹脂を設ける時に問題となっている。塗布ヌケが生じる理由は明確ではないが、フィルム中にある異物がフィルム表面に粗大突起を作りそれが核となって塗布剤がはじき、それが延伸されて塗布ヌケが発生したり、フィルムの表面に付着したオリゴマーやゴミが核となり、そこを核として塗布剤がはじきヌケとなったりする場合等が考えられる。
したがって、かかる核となり得るゴミや異物をできる限り除去した条件で製膜することが好ましい。かかる異物には、フィルム上に付着または析出したオリゴマーも含まれるため、フィルムが含有するオリゴマー量を低減することも塗布のヌケを減少させる効果を有する。
かくして得られるフィルムは、塗布層を有する場合、その塗布ヌケの個数がフィルム1m当たりで通常0〜50、好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下である。いずれにせよ今後ますます厳しくなる光学用フィルムにおいては、塗布ヌケは可能な限り零にすることが求められる。
本発明で使用するフィルムは、光学用シートとして使用されたときに、特に高輝度化の面でその優れた効果を発揮するが、その具体的な部材としては、携帯電話、タブレットからLCD用のバックライトとして使用されるプリズムシート、マイクロレンズシート、輝度向上シート、複合シート等であって、これら基材用として用いられるポリエステルフィルムであり、省電力対応のバックライト光源であっても高輝度を達成でき、現在の高精細化が求められている市場動向にあって、極めて高度な光学的性能を必要とする基材として特に有効に使用される。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)第三成分(共重合成分)含有量の測定
樹脂試料を重水化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)を用いて、1 H−NMRを測定して各ピークを帰属し、ピークの積分値から共重合成分の含有量を算出した。
(3)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(4)全光線透過率、フィルムヘーズ
全光線透過率はJIS−K−7361、フィルムヘーズはJIS−K−7136に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH2000」により、全光線透過率、フィルムヘーズを測定した。
(5)加熱収縮率
試料を無張力状態で150℃に保ったオーブン中、30分間処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)={(L0−L1)/L0}}×100
(上記式中、L0は加熱処理前のサンプル長、L1は加熱処理後のサンプル長)フィルム長手方向(MD)と幅方向(TD)に5点ずつ測定し、それぞれについて平均値を求めた。
(6)色調 反射法 y値
JIS−Z−5722に準じたミノルタ製分光測色計「CM−3700d」により、色調 反射法 y値を測定した。また、測定は、例えば、フィルムの厚みが75μmの時は13枚重ね、125μmの時は8枚重ね、250μmの時は4枚重ね、300μmの時は3枚重ねとして、総厚みが900μmから1100μmの間で最も1000μmに近くなるようにフィルムを複数枚重ね合わせて測定した。
(7)光学部材適性(輝度)
製品幅、800mm幅にスリッティング加工されたフィルムロールから、製品幅方向におけるセンター位置において、200mm角の正方形にフィルムを切り出し、光学用部材として、プリズムシートとして使用した場合の特性を評価した。すなわち、フィルムの片面に、プリズムシートの山であるプリズム線が、フィルム長手方向(MD)に対して平行(フィルム長手方向(MD)と同じ向き)になるようにアクリル系バインダーを塗布してプリズム層を形成し、その反対面側にはアクリル系バインダーを塗布してスティック防止層を形成し、得られたプリズムシート、2枚をバックライトユニットに組み込んで、得られる面状発光の品質を以下の観点で評価した。輝度レベルを輝度計を用いて評価し、比較例1のフィルムを使用した場合と比較した。
A:輝度が向上し、高輝度化が確認できた
B:輝度の低下は確認できなかった
C:輝度の低下が確認できた
(8)光学部材適性(画像ムラ遮蔽性)
上記(7)にて得られたプリズムシート2枚を、光源であるLEDライトが、バックライトユニット上下に設置する2バー方式のエッジタイプのバックライトユニットに組み込んで、得られる面状発光の画像品質を以下の観点で評価した。
A:画像ムラが現れず、改良が見られた
B:画像ムラが画面状において部分的に薄く現れた
C:画像ムラが画面状において全体的にはっきりと現れた
(9)屈折率、ベクトル線(2)とプリズム線(1)とがなす狭角(θ)
上記(7)にて得られた200mm角の正方形に切り出したフィルムについて、フィルム長手方向(MD)とフィルム幅方向(TD)におけるセンター位置において、カールツァイス社製偏光顕微鏡を用い、フィルム面内の主配向軸の方向がフィルムの長手方向(MD)に対し何度傾いているかを求めた(θ3)。なお、測定上、主配向軸が90度を超えた場合には、その補角を主配向軸の長手方向(MD)に対する角度とした。
この得られた角度(θ3)から、引き続き、アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβを測定し、ベクトルγ、−γ、βを求めた。ベクトル(γ)については、次式より逆ベクトル(−γ)を算出した。なお、屈折率の測定は、ナトリウムD線を用い、23℃で行った。
nγ×(−1)=−nγ
続いて、ベクトル−γとベクトルβとの和であるベクトル線(2)とフィルム長手方向(MD)とがなす角度θ(ベクトル線(2)とプリズム線(1)とがなす狭角(θ))を次式より算出した。
nβ/nγ=Tanθ´
θ=θ3−θ´
以下に実施例/比較例を示すが、これに用いたポリエステルの製造方法は次の通りである。
〈ポリエステルの製造〉
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.67に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(a)の極限粘度は0.67であった。
<ポリエステル(b)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.2μmのシリカ粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.64に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(b)を得た。得られたポリエステル(b)は、極限粘度0.64であった。
<ポリエステル(c)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、出発原料をテレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とジエチレングリコール2重量部とし、重合触媒として酸化ゲルマニウムを使用したこと以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様な方法を用いてポリエステル(c)を得た。なお、酸化ゲルマニウムの添加方法は公知の方法を採用し、その添加量はゲルマニウムとして原料重量に対して100ppmとした。得られたポリエステル(c)の固有粘度は0.66であった。
<ポリエステル(d)の製造方法>
ポリエステル(c)の製造方法において得られたポリエステル(c)を、窒素不活性気流中においてさらに重合を施して固層重合を行い、固有粘度0.88のポリエステル(d)を得た。
実施例1:
〈ポリエステルフィルムの製造〉
前述のポリエステル(d)、(b)をそれぞれ85%、15%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、B層の原料をポリエステル(c)100%として、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層を最外層(表層)、B層を中間層とする2種3層(A/B/A)の層構成で共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を22℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度83℃で縦方向に3.0倍に延伸した後、以下に示した組成の塗布剤を塗布した後テンターに導き、横方向に125℃で4.2倍延伸し、主結晶化ゾーン温度を241℃にて熱処理を行った後、横方向に10%弛緩し、得られたマスターロールから、マスターロール幅方向センター位置から、左右どちらかの方向へ1500mm移動した位置をセンターにして、製品幅800mm幅、巻き長さ1000m巻きのフィルムロールにスリッティング加工して、厚さ125μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/105/10μmであった。塗布層の厚みは、片方の面が0.12μm、反対の面が0.10μmであった。
(光学用シートの製造)
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、製品幅方向センター位置において、200mm角の大きさの正方形のフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。
ベクトルの和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)は18.1°であった。
(塗布剤の組成:重量比)
a/b/c/d=47/20/30/3
ここで、aは、テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/トリエチレングリコール=31/16/3/22/21(モル比)のポリエステル分散体
bは、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリルニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5(モル比)の乳化重合体(乳化剤:アニオン系界面活性剤)
cは、ヘキサメトキシメチルメラミン(メラミン系架橋剤)
dは、粒子径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体(無機粒子)
である。
実施例2:
ポリエステル(d)、(b)をそれぞれ50%、50%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)90%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を10%の割合で混合した混合原料をB層としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み125μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/103/11μmであった。
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、実施例1と同様にして、200mm角の大きさの正方形のフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。ベクトルの和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)は19.8°であった。
実施例3:
ポリエステル(d)、(b)をそれぞれ88%、12%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)40%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を60%の割合で混合した混合原料をB層としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み125μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/103/11μmであった。
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、実施例1と同様にして、200mm角の大きさの正方形にフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。ベクトルの和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)は18.0°であった。
実施例4:
ポリエステル(d)、(b)をそれぞれ85%、15%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)85%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を15%の割合で混合した混合原料をB層として、縦方向に3.5倍、横方向に4.5倍に延伸し、主結晶化ゾーン温度を207℃にて熱処理を行った後、横方向に0.8%弛緩したこと以外は実施例1と同様にしてマスターロール得、得られたマスターロールから、マスターロール幅方向センター位置から、左右どちらかの方向へ2000mm移動した位置をセンターにして、製品幅800mm幅、巻き長さ1000m巻きのフィルムロールにスリッティング加工して、厚さ125μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/105/10μmであった。塗布層の厚みは、片方の面が0.11μm、反対の面が0.11μmであった。
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、製品幅方向センター位置において、200mm角の大きさの正方形のフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。ベクトルの和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)は9.2°であった。
実施例5:
ポリエステル(d)、(b)をそれぞれ89%、11%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(a)100%をB層としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み125μmのポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、11/103/11μmであった。
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、製品幅方向センター位置において、200mm角の大きさの正方形のフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。ベクトルの和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)は19.8°であった。
実施例6:
ポリエステル(d)、(b)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(c)88%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部やマスターロール耳部からの再生品を12%の割合で混合した混合原料をB層として、縦方向に3.2倍、横方向に3.5倍に延伸し、主結晶化ゾーン温度を240℃にて熱処理を行った後、横方向に6.2%弛緩したこと以外は実施例1と同様にしてマスターロール得、得られたマスターロールから、マスターロール幅方向センター位置から、左右どちらかの方向へ1500mm移動した位置をセンターにして、製品幅800mm幅、巻き長さ1000m巻きのフィルムロールにスリッティング加工して、厚さ125μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/105/10μmであった。塗布層の厚みは、片方の面が0.13μm、反対の面が0.14μmであった。
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、製品幅方向センター位置において、200mm角の大きさの正方形のフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。ベクトルの和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)は8.5°であった。
比較例1:
ポリエステル(d)、(b)をそれぞれ88%、12%の割合で混合した混合原料をA層の原料としたこと以外は実施例1と同様にして、マスターロール得、得られたマスターロール幅方向センター位置において、その位置をセンターにして、製品幅800mm幅、巻き長さ1000m巻きのフィルムロールにスリッティング加工して、厚さ125μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムロールを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、10/105/10μmであった。塗布層の厚みは、片方の面が0.11μm、反対の面が0.10μmであった。
この二軸延伸ポリエステルフィルムロールから、製品幅方向センター位置において、200mm角の大きさの正方形のフィルムを切出し、プリズムシートの山であるプリズム線がフィルム長手方向(MD)に対して平行になるようにプリズム層を形成し、反対面側にスティック防止層を形成して光学部材適正(輝度)の評価を行った。 フィルムの面内方向の屈折率(−nγ、nβ)が形成するベクトル線とプリズムシートの山であるプリズム線とがなす角度は45.5°であった。
得られたフィルムロールの物性値を表1に、プリズムシート加工における光学部材適性を表2にまとめた。本発明の要件を満たすフィルムは、光学用としての適性が高いことがわかる。
Figure 2016141026
Figure 2016141026
本発明の光学用シートは、例えば、携帯電話、タブレットからLCDの部材、特に、バックライトユニットにおけるプリズムシート、マイクロレンズシート、輝度向上シート、複合シートなどとして、好適に利用することができる。
1 プルズム線
2 ベクトル(β)とベクトル(−γ)とのベクトルの和
3 ベクトル線がプリズムセントとなす挟角(θ)

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの表面にプリズムシートを有する光学用シートであり、前記ポリエステルフィルム面内の屈折率の最大値(nγ)を示すベクトル(γ)の逆ベクトル(−γ)と、γと直角の方向の屈折率(nβ)を示すベクトル(β)との和(2)が、プリズムシートの山であるプリズム線(1)となす挟角(θ)が0°から±30°の範囲となるようにプリズムシートを有することを特徴とする光学用シート。
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