JP2016139673A - 磁気素子、スキルミオンメモリ、スキルミオンメモリデバイス、データ処理装置、スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス、データ記録装置、データ処理装置及びデータ通信装置 - Google Patents

磁気素子、スキルミオンメモリ、スキルミオンメモリデバイス、データ処理装置、スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス、データ記録装置、データ処理装置及びデータ通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】データの書き込み回数の無限大に近いエンデユランス(耐久性)、永久に近いデータリテンション(保持)特性をもち、超高速の書き込み及び消去が可能な磁気素子及びスキルミオンメモリ等を提供する。
【解決手段】スキルミオンの生成及び消去が可能な磁気素子であって、薄層状の磁性体と、磁性体の一面において磁性体の端部を含む端部領域を囲んで設けた電場発生電極と、スキルミオンの生成及び消去を検出するスキルミオン検出素子とを備える磁気素子を提供する。また、端部領域は、磁性体に平行な向きの幅をW、端部領域における磁性体の端部に垂直な向きの高さをhとすると、λ≧W>λ/4、2λ>h>λ/2となる磁気素子を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、スキルミオンを生成、消去及び検知可能な磁気素子、スキルミオンメモリ、スキルミオンメモリデバイス、スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス、データ記録装置、データ処理装置及びデータ通信装置に関する。
磁性体の磁気モーメントをデジタル情報として利用する磁気素子が知られている。当該磁気素子は、情報保持時に電力を要さない不揮発性メモリの要素として機能するナノスケールの磁気構造を有する。当該磁気素子は、ナノスケールの磁気構造による超高密度性等の利点から大容量情報記憶媒体としての応用が期待され、エレクトロニクスデバイスのメモリデバイスとしての重要度が増している。
次世代型のメモリ磁気デバイスの他の候補としては、米国IBMを中心にマグネチックシフトレジスタが提案されている。マグネチックシフトレジスタは、磁気ドメイン磁壁を駆動してその磁気モーメント配置を電流で転送し、記憶情報を読み出す(特許文献1参照)。
図37は、電流による磁気ドメイン磁壁駆動の原理を示す模式図である。互いに磁気モーメントの向きが相反する磁気領域の境界がドメイン磁壁である。図37では、マグネチックシフトレジスタ1におけるドメイン磁壁を実線で示している。マグネチックシフトレジスタ1に、矢印の向きの電流を流すことにより磁気ドメイン磁壁が駆動する。ドメイン磁壁が移動することにより、磁気センサ2の上方に位置する磁気モーメントの向きによる磁気が変化する。当該磁気変化を磁気センサ2で検知して磁気情報を引き出す。
しかし、こうしたマグネチックシフトレジスタ1は、磁気ドメイン磁壁を動かす際に大きな電流を必要とし、また磁気ドメイン磁壁の転送速度が遅いという欠点を持っている。
そこで、本願発明者は、磁性体中に発生するスキルミオンを記憶単位として使ったスキルミオン磁気素子を提案した(特許文献2参照)。この提案において本願発明者らは、スキルミオンを電流により駆動できることを示した。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第6834005号明細書
[特許文献2]特開2014−86470号公報
[非特許文献1]永長 直人、十倉 好紀、"Topological properties and dynamics of magnetic skyrmions"、Nature Nanotechnology、英国、Nature Publishing Group、2013年12月4日、Vol.8、p899−911.
スキルミオンは、直径が1nmから500nmと極微小な磁気構造を有し、その構造を長時間保持できることからメモリ素子に応用することへの期待が高まっている。しかし、スキルミオンの生成、消去及び検知の機構の詳細が明らかではなかった。
そこで、本願発明者はスキルミオンの生成、消去状態の関係の詳細を明らかにした上で、スキルミオンを電場で生成、消去でき、スキルミオンを検知できる磁気素子及びスキルミオンメモリを発明し、スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス、データ記録装置、データ処理装置及びデータ通信装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様においては、スキルミオンの生成及び消去が可能な磁気素子であって、薄層状の磁性体と、磁性体の一面において磁性体の端部を含む端部領域を囲んで設けた電場発生電極と、スキルミオンの生成及び消去を検出するスキルミオン検出素子とを備える磁気素子を提供する。
本発明の第2の態様においては、第1の態様に係る磁気素子であって、磁気素子が厚さ方向に積層した多層構造を有する磁気素子を提供する。
本発明の第3の態様においては、第1の態様に係る磁気素子と、磁性体の一面に対向して設け、磁性体に第1方向から磁場を印加する磁場発生部と、磁気素子の電場発生電極に電圧を印加することで、端部領域に電場を発生させることが可能な第1電源と、スキルミオン検出素子に接続し、スキルミオン検出素子の検出結果に基づいて、スキルミオンの生成及び消去を測定する測定部とを備えるスキルミオンメモリを提供する。
本発明の第4の態様においては、第3の態様に係るスキルミオンメモリを一つの記憶単位メモリとして構成した複数のスキルミオンメモリと、複数のスキルミオンメモリのスキルミオンを生成するために、複数のスキルミオンメモリに接続したスキルミオン生成線と、複数のスキルミオンメモリのスキルミオンを消去するために、複数のスキルミオンメモリに接続したスキルミオン消去線と、スキルミオンの有無を検知するリード線と、スキルミオン生成線、スキルミオン消去線、リード線にはスキルミオンメモリを選択する電界効果トランジスタと、リード線に流れる電流もしくは電圧を増幅し、スキルミオンの有無を検出する検出回路とを備えるスキルミオンメモリデバイスを提供する。
本発明の第5の態様においては、基板と、基板上に形成した電界効果トランジスタと、電界効果トランジスタの上方に積層したスキルミオンメモリデバイスとを有し、スキルミオンメモリデバイスは、第3の態様に係るスキルミオンメモリを少なくとも一つ有するスキルミオンメモリ搭載のデータ処理装置を提供する。
本発明の第6の態様においては、第3の態様に係るスキルミオンメモリを少なくとも一つ備えるスキルミオンメモリデバイスと固体電子デバイスを同一チップ内に形成しているスキルミオンメモリ搭載固体電子デバイスを提供する。
本発明の第7の態様においては、第3の態様に係るスキルミオンメモリを少なくとも一つ備えるスキルミオンメモリデバイスを搭載するデータ記録装置、データ処理装置、及びデータ通信装置を提供する。
磁性体中の磁気モーメントのナノスケール磁気構造体であるスキルミオンの一例を示す模式図である。 ヘリシテイγが異なるスキルミオンを示す図である。 スキルミオンの生成、消去及び検知を可能とするスキルミオンメモリ100の模式図である。 カイラル磁性体における磁性相の磁場依存性を模式的に示す。 端部領域AにおけるDの時間依存性を示す。 シミュレーション実験での磁性体サイズ、電極サイズを示す。 時間t=660(1/J)でのスキルミオン40が生成状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=1100(1/J)でのスキルミオン40が生成状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=1380(1/J)でのスキルミオン40が生成状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=3380(1/J)でのスキルミオン40が生成状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=4740(1/J)でのスキルミオン40の状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=5680(1/J)でのスキルミオン40の消去状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=5820(1/J)でのスキルミオン40の消去状態のシミュレーション結果を示す。 時間t=60801/J)でのスキルミオン40の消去状態のシミュレーション結果を示す。 電場発生電極12の形状例を示す図である。 電場発生電極12の形状例を示す図である。 電場発生電極12の形状例を示す図である。 電場発生電極12の形状例を示す図である。 電場発生電極12の形状例を示す図である。 電場発生電極12の形状例を示す図である。 スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。 スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。 スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。 スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。 スキルミオンメモリデバイス110の断面図を示す。 スキルミオンメモリとFETを搭載したデバイス110の断面図を示す。 磁気素子10をn層積層したスキルミオンメモリデバイス110を示す。 複数の磁場発生部20を有するスキルミオンメモリデバイス110を示す。 スキルミオンメモリ100をCMOS−FET90の上層に搭載したスキルミオンメモリデバイス110の断面図を示す。 スキルミオンメモリデバイス110の書き込み回路の一例を示す。 スキルミオンメモリデバイス110の消去回路の一例を示す。 スキルミオンメモリデバイス110の読み出し回路の一例を示す。 スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス200の構成例を示す。 データ記録装置300の構成例を示す。 データ処理装置400の構成例を示す。 データ通信装置500の構成例を示す。 電流による磁気ドメイン駆動の原理を示す模式図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
スキルミオンを形成できる磁性体の一例としてカイラル磁性体がある。カイラル磁性体は、外部磁場の印加がない場合の磁気モーメント配置が、磁気モーメントの進行方向に対して螺旋上に回転する磁気秩序相(らせん磁性相)となる磁性体である。外部磁場を印加することにより、らせん磁性相は最密結晶格子に並んだスキルミオンを安定化するスキルミオン結晶相をへて強磁性相となる。
図1は、磁性体11中のナノスケール磁気構造体であるスキルミオン40の一例を示す模式図である。図1において、各矢印は、スキルミオン40における磁気モーメントの向きを示す。x軸及びy軸は互いに直交する軸であり、z軸はxy平面に直交する軸である。
磁性体11は、xy平面に平行な平面を有する。磁性体11中に配置したあらゆる向きを向く磁気モーメントは、スキルミオン40を構成する。本例では、磁性体11に印加する磁場の向きはプラスz方向である。この場合に、本例のスキルミオン40の最外周の磁気モーメントは、プラスz方向に向く。
スキルミオン40において、磁気モーメントを最外周から内側へ向けて渦巻状に回転していくように配置する。さらに磁気モーメントの向きは、当該渦巻き状の回転に伴い渦の中心に向かって徐々にプラスz方向からマイナスz方向へ向きを変える。
スキルミオン40は中心から最外周の間において、磁気モーメントの向きが連続的にねじれる。つまり、スキルミオン40は、磁気モーメントの渦巻き構造を有するナノスケール磁気構造体である。スキルミオン40が存在する磁性体11が薄い板状固体材料の場合、スキルミオン40を構成する磁気モーメントをその厚さ方向は同じ向きの磁気モーメントで構成している。すなわち板の深さ方向(z方向)には表面から裏面まで同じ向きの磁気モーメントからなる。本例において最外周とは、図1に示した外部磁場と同一の方向を向く磁気モーメントの円周を指す。
スキルミオン数Nskは、渦巻構造を有するナノスケール磁気構造体であるスキルミオン40を特徴づける。以下の[数1]及び[数2]は、スキルミオン数Nskを表現する。[数2]において、磁気モーメントとz軸との間の極角Θ(r)は、スキルミオン40の中心からの距離rの連続関数である。極角Θ(r)は、rを0から∞まで変化させたとき、πからゼロまで又はゼロからπまで変化する。
ベクトル量n(r)は、位置rにおけるスキルミオン40の磁気モーメントの向きを表す。
[数2]において、mはボルテシテイ、γはヘリシテイである。[数1]及び[数2]から、Θ(r)がrをから∞まで変化させ、πからゼロまで変化するときNsk=−mとなる。
図2は、ヘリシテイγが異なるスキルミオン40を示す模式図である。特に、スキルミオン数Nsk=−1の場合の一例を図2に示す。
図2(E)は、磁気モーメントnの座標のとりかた(右手系)を示す。なお、右手系であるので、n軸及びn軸に対してn軸は、紙面の裏から手前の向きに取る。また、濃淡と磁気モーメントの向きとの関係を、図2(E)に示す。
図2(A)から図2(D)において、濃淡は磁気モーメントの向きを示す。図2(A)から図2(D)における各矢印は、スキルミオン40の中心から所定の距離だけ離れた磁気モーメントを示す。図2(A)から図2(D)に示す磁気構造体は、スキルミオン40を定義する状態にある。図2(A)から図2(D)の最外周のように、濃淡が最も淡い領域は、紙面の裏面から手前方向の磁気モーメントを示している。なお、図では当該磁気モーメントを白色で表す。図2(A)から図2(D)の中心のように、濃淡が最も濃い領域は、紙面の手前から裏面方向の磁気モーメントを示している。なお、図では当該磁気モーメントを黒色で表す。
図2(A)(γ=0)の各磁気モーメントに対して、図2(B)(γ=π)の各磁気モーメントの向きは、図2(A)の各磁気モーメントを180°回転した向きである。図2(A)(γ=0)の各磁気モーメントに対して、図2(C)(γ=−π/2)の各磁気モーメントの向きは、図2(A)の各磁気モーメントを−90度(右回りに90度)回転した向きである。
図2(A)(γ=0)の各磁気モーメントに対して、図2(D)(γ=π/2)の各磁気モーメントの向きは、図2(A)の各磁気モーメントを90度(左回りに90度)回転した向きである。なお、図2(D)に示すヘリシテイγ=π/2のスキルミオン40が、図1のスキルミオン40に相当する。
図2(A)〜(D)に図示した4例の磁気構造は異なるように見えるが、トポロジー的には同一の磁気構造体である。図2(A)〜(D)の構造を有するスキルミオン40は、一度生成すると安定して存在し、外部磁場を印加した磁性体11中で情報伝達を担うキャリアとして働く。
図3は、スキルミオン40の生成、消去及び検知を可能とする磁気素子10の模式図である。スキルミオンメモリ100は、磁性体11に発生したスキルミオン40を用いてビット情報を保存する。例えば、磁性体11におけるスキルミオン40の有無が、1ビットの情報に対応する。本例のスキルミオンメモリ100は、磁気素子10、磁場発生部20、測定部30及び電圧印加用電源50を備える。スキルミオンメモリ100は、磁性体11上に置かれた電場発生電極12と磁場発生部20との間に電場を発生させる。また、磁場発生部20ではなく磁性体11を他方の電極としてもよい。
磁気素子10は、スキルミオン40の生成及び消去が可能である。本例の磁気素子10は、厚さを500nm以下の薄層状に形成した素子である。例えば、MBE(Molecular Beam Epitaxy)やスパッター等の技術を用いて形成する。磁気素子10は、磁性体11、電場発生電極12及びスキルミオン検出素子15を有する。
磁性体11は、印加する磁場に応じて、少なくともスキルミオン結晶相及び強磁性相を発現させる。スキルミオン結晶相は、磁性体11にスキルミオン40が発生しうる材料を指す。例えば、磁性体11は、カイラル磁性体であり、FeGeやMnSi及びCoZnで形成する。また、磁性体11は磁性体と非磁性体の積層構造でもよい。
なお、磁性体11は、半導体プロセスで一般的に使用する絶縁性材料等により囲んでよい。また、磁性体11は、非磁性体で全方位を囲んでもよい。磁性体11は、隣接する磁気素子10の磁性体11と繋がっていてもよい。また、磁性体11と、隣接する磁気素子10の磁性体11との間に非磁性体層を設けてもよい。磁性体11は薄層状で形成してよい。磁性体11は、例えば、スキルミオン40の直径の10倍以下程度の厚みを有してよい。スキルミオン40の直径とは、スキルミオンの最外周の直径を指す。
電場発生電極12は、磁性体11の一面において磁性体11の端部を含む領域を覆う。例えば、電場発生電極12が磁性体11の端部を覆うとは、少なくとも磁性体11の端部に電場が与えられることを指す。また、電場発生電極12は、絶縁性素材等を用いて磁性体11と電気的に隔離していてもよい。電場発生電極12は、図3に示したように、直角を含んだ四角形状に形成した電極であってよい。本例では、電場発生電極12に対応する他方の電極は、磁場発生部20である。この場合、電圧印加用電源50から電場発生電極12に電圧を印加し、磁場発生部20が基準電圧となる。これにより、スキルミオンメモリ100は、磁性体11に電場を発生させる。電場発生電極12の材料は、磁性体11に電場を発生させることができるものであれば、磁性体金属であっても非磁性体金属であってもよい。例えば、電場発生電極12は、Cu、W、Ti、Al、Pt、Au、TiN、AlSi等の非磁性金属材料により形成する。
なお、本明細書において、電場発生電極12に覆われた、磁性体11の端部を含む領域を端部領域Aと称する。本例の電場発生電極12は、xy平面において、磁性体11の端部を、非磁性体側から磁性体11側に少なくとも1回横切る端部領域Aを有する。即ち、電場発生電極12は、磁性体11の端部を含む領域を覆う。なお、端部領域Aにおける電界強度をEaとする。
スキルミオン検出素子15は、スキルミオン検知用磁気センサとして機能する。即ち、スキルミオン検出素子15は、スキルミオン40の生成及び消去を検出する。スキルミオン検出素子15は、第1検出電極153及び第2検出電極154を備える。
第1検出電極153は、磁性体11の一端において、磁性体11と同一層で接する。磁性体11の一端は、磁性体11の端部であれば上下左右いずれの端部であってもよい。第1検出電極153は、磁性体11の一端の少なくとも一部に接していればよい。
第1検出電極153及び第2検出電極154に、測定部30を接続する。測定部30は、第1検出電極153と第2検出電極154との間の磁性体11の抵抗値を測定する。第1検出電極153と第2検出電極154との間の抵抗値は、磁性体11の抵抗値に対応し、スキルミオン40の生成及び消去に応じて変化する。例えば、スキルミオン40が存在しない場合、磁性体11は強磁性体であるから、その磁気モーメントは+z方向に揃っている。この場合、第1検出電極153及び第2検出電極間154に流れる電子スピンの偏極は磁性体11と同じ+z方向である。一方、スキルミオン40が存在する場合、磁性体11はスキルミオンのらせん状の磁気モーメントが存在し、その磁気モーメントはz方向以外の多くの向きの磁気モーメントが存在することとなる。このため、第一電極153及び第2検出電極間154に流れる電子スピンに働くスピン散乱の効果はスキルミオン40が存在しないときと比べて大きい。その結果、第一電極153及び第2検出電極間154に流れる抵抗値はスキルミオン40の有無に応じて変化する。即ち、磁性体11の抵抗値は、スキルミオン40が存在する場合の方が、スキルミオン40が存在しない場合よりも高くなる。測定部30は、磁性体11の抵抗値の変化を測定することにより、スキルミオン40の生成及び消去を検出できる。この場合、磁性体11の両端に電極を設ければよく電極面積を減らせるので集積度を向上できる。
磁場発生部20は、磁場Hを発生し、磁性体11の裏面から表面の方向に、磁性体11と垂直に印加する。磁性体11の裏面とは、磁性体11の磁場発生部20側の面を指す。なお、本実施形態においては磁場発生部20を1つのみ用いる。しかしながら、磁場発生部20が、磁性体11に対して垂直に磁場を印加できるものであれば、複数の磁場発生部20を用いてよい。磁場発生部20の数や配置は、これに限定しない。
測定部30は、測定用電流源31及び電圧計32を備える。測定用電流源31は、磁性体11とスキルミオン検出素子15との間に設ける。電圧計32は、測定用電流源31から電流を流したときの電圧を計測する。測定部30は、感度の高いスキルミオン検出素子15を用いることにより、少ない電力でスキルミオン40の有無を検出できる。
電圧印加用電源50は、電場発生電極12と磁場発生部20との間に接続する。スキルミオン40を生成する場合、電圧印加用電源50は、端部領域Aにおいて、磁性体11の裏面から表面に向けて電場を発生させる。一方、スキルミオン40を消去する場合、電圧印加用電源50は、スキルミオン40を生成する場合と逆向きに電圧を印加してよい。なお、電場発生電極12を複数設ける場合、電圧印加用電源50は、電場発生電極12の数に応じて複数設けてよい。
以上の通り、スキルミオンメモリ100は、磁性体11に電場を発生させることにより、スキルミオン40を生成及び消去する。磁性体11に発生した電場は、磁性体11のスピン軌道相互作用に強く働きかけて、ジャロシンスキー・守谷相互作用を強く変調させる。ジャロシンスキー・守谷相互作用が大きくなると、磁性体11の端部における磁気モーメントを強く捩じる力が発生する。磁性体11が非磁性体と接している場合、磁性体11の端部における磁気モーメントは、z軸方向から捩じれた方向に安定である。これにより、磁性体11の端部における磁気モーメントを起点として、スキルミオン40が生成する。したがって、ジャロシンスキー・守谷相互作用を大きくするように磁性体11に電場を発生させれば、磁性体11の端部からスキルミオン40を生成できる。このように、磁性体11の積層数に応じて、電場の大きさを調整してよい。次に、実施例を用いて、カイラル磁性体中でのスキルミオン40の生成及び消去を詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1において、スキルミオン40を生成する場合のシミュレーション実験結果を示す。下記の[数3]及び[数4]は、スキルミオン40の運動を記述する。
ここで、B eff=−(1/(hΓ))(∂H/∂M)により、[数3]と[数4]とを関連付ける。Jは材料固有の定数で交換相互作用エネルギーである。Γ=gμ/h(>0)は磁気回転比である。hはプランク定数である。Mは大きさMの磁気モーメントを示し、M=M・n(r)である。n(r)は[数2]で示した。上記[数3]及び[数4]中、×は外積を示す。
[数4]で示したハミルトニアンHは、磁性体11がカイラル磁性体の場合のハミルトニアンを示す。磁性体11がダイポール磁性体、フラストレート磁性体及び磁性材料と非磁性材料との積層構造からなる磁性体のいずれかである場合、各磁性体に対応するハミルトニアンHに置換すればよい。ここで、ダイポール磁性体とは、磁気双極子相互作用が重要な磁性体である。また、フラストレート磁性体とは、磁気不整合状態を好む磁気的相互作用の空間構造を含む磁性体である。磁性材料と非磁性材料との積層構造を有する磁性体は、磁性材料の非磁性材料に接する磁気モーメントを非磁性材料のスピン軌道相互作用により変調した磁性体である。
図4は、カイラル磁性体における磁性相の磁場依存性を模式的に示す。カイラル磁性体は、磁場ゼロの基底状態ではらせん磁性相を有する。ここで、磁場強度Hskより大きい磁場をカイラル磁性体に印加した場合、スキルミオン結晶相(SkX)が安定となる。また、さらに強い磁場強度Hf以上の磁場強度をカイラル磁性体に印加した場合、強磁性相が安定となる。
次に、カイラル磁性体の磁気交換相互作用の大きさJで規格した値を用いて各種の物理量を記述する。例えば、磁場強度Hskは0.0075Jで、磁場強度Hfは0.0252Jとなる。
なお、スキルミオン40の直径λは、JとDを用いて以下の[数5]のように表すことができる。
ここで、aは磁性体11の格子定数であり、Dはジャロシンスキー・守谷相互作用の大きさで物質固有の物理定数である。スキルミオン直径λは先行技術文献1に見るようにたとえばFeGeでは70nm、MnSiでは18nmである。
本実施例で用いるカイラル磁性体はD=0.18J、磁気モーメントM=1、ギルバート緩和係数α=0.04である。本例ではD=0.18Jであるから、λ=50aとなる。磁性体11の格子定数a=0.5nmの場合、λ=25nmである。
図5は、シミュレーション実験での端部領域AにおけるDaの時間変化を示す。端部領域Aの外ではジャロシンスキー・守谷相互作用の大きさは常にDで変化しない。図5において、電場発生電極12は、磁性体11に生成パルス及び消去パルスを印加する。スキルミオン40は、磁性体11に対する生成パルスの印加により生成し、磁性体11に対する消去パルスの印加により消滅する。ここで、端部領域Aの電場強度Eaに対するジャロシンスキー・守谷相互作用の大きさDaの線形応答を次式で示す。
比例定数cは物質に固有の値なので、シミュレーション実験では直接Dを変調してスキルミオン40の生成及び消滅を実験する。Dは、磁性体11に固有のジャロシンスキー・守谷相互作用である。本例のDは0.18Jである。磁性体11に生じた電場により、ジャロシンスキー・守谷相互作用Dの値は、DからD又はDに変化する。Dは、磁性体11にスキルミオン40が生じるジャロシンスキー・守谷相互作用の値であり、Dは、磁性体11のスキルミオン40が消滅するジャロシンスキー・守谷相互作用の値である。
シミュレーション実験は、磁場HがHfより大きい磁場強度により強磁性相になっている状態から開始する。具体的には、磁場発生部20から発生する磁場を下から上の向きに磁場強度H=0.03Jの大きさで印加する。この場合、カイラル磁性体はスキルミオン40が存在しない強磁性体相を有する。このように、磁場発生部20は、磁性体11に対して磁場強度H=0.03Jを常に印加している。
次に、時間t=0(1/J)において、電圧印加用電源50から電場発生電極12に電圧を印加し始める。このとき、端部領域Aの電場Eaにより磁性体中のDは変調する。
時間t=1000(1/J)において、電場発生電極12は、端部領域AにおけるDが0.18Jから0.28Jの大きさになるように磁性体11に電場を印加する。その後、時間t=2000(1/J)まで、D=0.28Jになるように一定の電圧強度を保持する。例えば、D=0.28Jは、磁性体11にスキルミオン40を生成できる大きさである。但し、D=0.28Jは、スキルミオン40を生成できる唯一の値ではなく、D=0.28J以上であってもスキルミオン40を生成できる。
時間t=2000(1/J)において、電圧印加用電源50は、電場発生電極12に印加する電圧を徐々に低下し始める。時間t=3000(1/J)で電圧の印加を停止すると、初期状態に戻り、D=0.18Jとなる。
時間t=6080(1/J)において、電場発生電極12は、端部領域AにおけるDが0.08Jの大きさになるように磁性体11に電場を与える。例えば、D=0.08Jは、磁性体11のスキルミオン40を消去できる大きさである。但し、D=0.08Jは、スキルミオン40を消去できる唯一の値ではなく、D=0.08J以下であってもスキルミオン40を消去できる。
以上の通り、磁性体11の材料に固有のジャロシンスキー・守谷相互作用Dに応じて、D及びDを変化させることにより、スキルミオン40を生成し、又は、消去できる。D及びDをどのような値にするかは磁性体11の材料に応じて適宜変更してよい。また、磁性体11の積層の有無に応じて変更してもよい。
図5から図14は、スキルミオン40を生成する場合のスキルミオン生成の電圧印加の時間依存性を示すミュレーション結果である。本例では、磁性体11の幅Wm及び高さhmは、Wm=hm=50a=λの正方形とした。端部領域Aの幅Wは、W=20a=λ・2/5とし、高さhは、h=30a=λ・3/5とした。図6は電場発生電極12に電場を印加していない時間t=0(1/J)におけるシミュレーション結果を示す。
図7は、時間t=660(1/J)におけるシミュレーション結果を示す。時間t=660(1/J)では、スキルミオン40を磁性体11の端部から生成しようとしている。磁性体11の端部の磁気モーメントは、磁性体11に垂直な方向に対して傾きを有する。よって、磁性体11の端部は、スキルミオン40の生成の起点となる。
図8は、時間t=1100(1/J)におけるシミュレーション結果を示す。時間t=1100(1/J)では、磁性体11の端部と電場発生電極12との交差部位付近からスキルミオン40が生成する。本例では、スキルミオン40は電場発生電極12の下部位から生成する。これは、スキルミオン40は、生成方向(右側から左側)に対して下方向にマグナス力を受けることによる。この結果、電場発生電極12の下端部側からスキルミオン40が生成する。
図9は、時間t=1380(1/J)におけるシミュレーション結果を示す。時間t=1380(1/J)では、スキルミオン40が磁性体11の中心部へ流れるように動く。
図10は、時間t=3380(1/J)におけるシミュレーション結果を示す。時間t=3380(1/J)では、スキルミオン40が磁性体11の中心部において、安定化しようとする。本例において、スキルミオン40が安定化しようとする場合の形状は楕円である。楕円とは、略楕円の形状であってよく、スキルミオン40が安定化するまでの過渡的な形状の一例である。
図11は、時間t=4740(1/J)におけるシミュレーション結果を示す。時間t=4740(1/J)において、スキルミオン40が磁性体11の中心部において、安定化している。
実施例1のシミュレーション実験から以下のことが判明した。
(項目1)電場発生電極12が磁性体11の端部を覆う場合に単一のスキルミオン40を生成できる。
(項目2)局所電場の印加時間幅(パルス幅)Tが1000(1/J)以上あればスキルミオン40を形成できる。それより長い時間でも単一のスキルミオン40の生成した状態を維持でき、複数個のスキルミオン40が生成することはない。
次に単一のスキルミオン40を生成するために必要な端部領域Aの最適サイズを検討する。例えば、電場を印加する代わりに磁場を印加してもスキルミオン40を生成できる。この時、磁場発生部20からの磁場を弱くする方向に磁場を印加すればよい。磁場を印加する場合に最適な磁場領域の範囲は、電場を印加する場合に最適な端部領域Aと同じになる。これにより、
(項目3)端部領域Aの左右の幅Wは下記の範囲が最適である。
λ≧W>λ/4
(項目4)端部領域Aの高さhは下記の範囲が最適である。
2λ>h>λ/2
を追加してよい。以上、電場による単一のスキルミオン40を生成する場合の電極配置方法を示した。
[実施例2]
実施例2において、スキルミオン40を消去する場合のシミュレーション結果を示す。スキルミオン40の消去は、基本的にスキルミオン40の生成の場合と同様の考え方で理解できる。例えば、スキルミオン40を消去する場合の運動は、[数3]及び[数4]に示した方程式で、スキルミオン40の生成の場合と同様に記述できる。本実施例の磁性体11は、実施例1と同じカイラル磁性体である。本例では、磁性体11の幅及び高さは、Wm=hm=50a=λの正方形とした。端部領域Aの幅Wは、W=20a=λ・2/5とし、高さhは、h=30a=λ・3/5とした。本実施形態では、図5の時間t=5000(1/J)以降を参照して、スキルミオン40を消去する場合の端部領域AのDaを示す。
図12から図14は、磁性体11に生成したスキルミオン40を消去するシミュレーション結果を示す。図12は、スキルミオン40を消去開始状態の時間t=5680(1/J)でのシミュレーション結果である。本例では、図11に示したスキルミオン40と比較して、スキルミオン40のサイズが小さくなっている。
図13は、時間t=5820(1/J)でのシミュレーション結果である。本例のスキルミオン40は、図23に示した状態から、さらに消滅しかかっている状態にある。
図14は、時間t=6080(1/J)でのシミュレーション結果である。本例では、消去パルスが予め定められた時間与えられることにより、スキルミオン40が完全に消滅している。
時間t=5000(1/J)から時間t=8000までの消去パルスにより端部領域AのDaは、スキルミオン40を消去する。磁性体11に電場を与えることによるスキルミオン40の消滅は、磁性体11に磁場を印加することによるスキルミオン40の消滅と振る舞いが大きく異なる。
例えば、磁場によってスキルミオン40を消去する場合、スキルミオン40は、消去パルスによって磁性体11の端部に引き寄せられる。そして、磁性体11の端部に引き寄せられたスキルミオン40は消滅する。つまり、磁場によってスキルミオン40を消去する場合、磁性体11の端部を設けるために、磁性体11の全方位を非磁性体で囲む必要がある。
一方、電場によってスキルミオン40を消去する場合、スキルミオン40は、消去パルスによって移動しない。消去時のスキルミオン40は、端部領域A内に留まり、消滅する。つまり、電場によってスキルミオン40を消去する場合、磁性体11の端部を意図的に設ける必要がないので、磁性体11の全方位を非磁性体で囲む必要がない。よって、磁性体11は、隣接する磁気素子10の磁性体11と繋がっていてもよい。この結果、電場での生成、消去法は磁性体11のサイズの大きさの限定を必要としない。
以上の通り、スキルミオン40を消去する場合、磁性体11に印加する電圧の向きは、スキルミオン40を生成する場合と逆向きになる。
(項目5)局所電場の印加時間幅(パルス幅)Tは1000(1/J)以上あればスキルミオン40を消去できる。それより長い時間でも単一のスキルミオン40の消去状態を維持することができる。即ち、消去パルスを長時間与えることにより、スキルミオン40が再び生成することはない。
上述した実施例1、2において、電圧印加によるスキルミオン40の生成及び消滅のためのシミュレーション実験を示した。そして、スキルミオン40の生成及び消滅のための設計ルールを(項目1)から(項目5)の5項目で明らかにした。
スキルミオン40の生成及び消滅のための5項目の基準は、スキルミオンメモリ素子を設計するための基本ルールを定めたものであり、極めて重要である。この設計ルールは、磁性体11の磁性を特徴付ける磁気交換相互作用Jと、生成するスキルミオン40の直径λの二つの量で規格化した量として表現している。[数5]は、スキルミオン40の直径λとジャロシンスキー・守谷相互作用Dとを関係づける。したがって、この基本ルールは各種のカイラル磁性体に適用可能な設計ルールとして表現しており、適用範囲は広い。
図15から図20に、電場発生電極12の形状例を示す。図15は、図3等に示した例と同一である。図16に示すように、電場発生電極12は、三角形の端部領域Aを囲んでよい。図17に示すように、電場発生電極12は、楕円、円又は長円の一部である端部領域Aを囲んでよい。図18に示すように、電場発生電極12は、平行四辺形の端部領域Aを囲んでよい。図19に示すように、電場発生電極12は、台形の端部領域Aを囲んでよい。図20に示すように、円、四角形、三角形その他の図形を組み合わせた形状の端部領域Aを囲んでよい。
本実施形態における電場発生電極12の形状は、これらの形状に限定するものではなく、類似の他の電場発生電極12の形状を採用することができる。なお、ここに述べたカイラル磁性体での実施例での結論は定性的には磁性体積層構造でも変更をきたさない。
スキルミオン40は、直径が1〜500nmとナノスケールのサイズを有する極微細構造であり、膨大なビット情報を極細密化できる大容量記憶磁気素子として応用することができる。スキルミオンメモリ100は電気的に書き込みと消去を行うことができる。書き込みと消去に要する時間は、ともに3000(1/J)である。この所要時間は磁性材料特有のJの大きさで決まる。カイラル磁性体の場合数ミリeVである。この場合3000(1/J)は1ナノ秒程度に相当する。1ナノ秒程度の極短パルスで書き込み、消去ができ、なお且、不揮発メモリであることは驚愕すべき特徴である。この交換相互作用エネルギーJが大きくなればスキルミオンの生成、消去時間はさらに高速化できる。
スキルミオンメモリ100は、電気による書き込み、消去を採用しているフラッシュメモリに対しても多くの優位な点を有する。フラッシュメモリの生成時間は数msecであり、消去時間は20μsecと長い。これに対してスキルミオンメモリ100は、生成時間及び消去時間が1nsecで、フラッシュメモリに対して6桁から3桁以上も高速である。その速さは10nsec程度の電荷の生成時間及び消去時間が必要なDRAMメモリをも凌駕し、SRAM並の速さを実現する。スキルミオンメモリ100は不揮発性メモリであることから、まさに究極のメモリとしての性能を有することとなる。
スキルミオンメモリ100は書き込み、消去を何度でも行うことが可能である。すなわち、書き込み、消去の回数の制限はなく、エンデユランス(耐久性)は無限大である。また、スキルミオン40を、磁性体11の表面だけではなく裏面まで同じ渦構造をもつ磁気モーメントとして生成する。これによりスキルミオン40は、簡単には壊れない(消去しない)構造として安定に、尚且つ位置を移動することなく静止して存在することができる。スキルミオン40は、人間生活での弱磁場環境では簡単に移動、及び消去しない。このようにスキルミオン40は安定して存在するため、スキルミオンメモリ100はデータリテンション(保持)性能を大幅に向上することができる。
図21は、スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。本例のスキルミオンメモリ100は、スキルミオン検出素子15を除き、図3の実施形態に係るスキルミオンメモリ100と同様の構成を有する。本例のスキルミオン検出素子15は、第3検出電極155及び第4検出電極156をさらに備える。第3検出電極155及び第4検出電極156は、非磁性金属材料で形成する。
第3検出電極155は、第1検出電極153と第2検出電極154とがなす配列に対して垂直の配置で、磁性体11の端部に接する第3非磁性金属からなる。第3検出電極155は、磁性体11の一端において、磁性体11と同一層で接する。第3検出電極155は、磁性体11の一端の少なくとも一部に接していればよい。例えば、第1検出電極153及び第2検出電極154を磁性体11の左右に配置した場合に、磁性体11の下側に第3検出電極155を配置する。
第4検出電極156は、第3検出電極155とは離間して対向する磁性体11の端部に接する第4非磁性金属からなる。第4検出電極156は、磁性体11の一端において、磁性体11と同一層で接する。第4検出電極156は、磁性体11の一端の少なくとも一部に接していればよい。例えば、第1検出電極153及び第2検出電極154を磁性体11の左右に配置した場合に、磁性体11の上側に第4検出電極156を配置する。
以上の通り、第3検出電極155及び第4検出電極156を、第1検出電極153及び第2検出電極154により磁性体11に流れる電流に対して垂直な方向の電圧値を計測するように配置する。第3検出電極155及び第4検出電極156を、第1検出電極153及び第2検出電極154と同様の工程で形成すれば、製造コストを低減できる。
測定部30は、第3検出電極155及び第4検出電極156に接続した電圧計32を備える。スキルミオン40が存在する場合、第1検出電極153と第2検出電極154との間に電流を流すと、電流の流れと垂直方向にホール電圧が発生する。スキルミオンの生成によるホール電圧はトポロジカルホール電圧と呼ばれる(非特許文献1)。本例のスキルミオン検出素子15は、スキルミオン40の存在によるトポロジカルホール電圧素子(THV素子)である。測定部30は、「1」、「0」信号の読み取りをスキルミオン40の有無をホール電圧の差分として検出する。比較電圧はゼロであるので、読み取る電圧を増幅しスキルミオン40を検知することは容易である。感度が高い検知器として動作する。
図22は、スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。本例のスキルミオンメモリ100は、基本的に、図3の実施形態に係るスキルミオンメモリ100と同様の構成を有する。但し、本例の電場発生電極12は、磁性体11と電気的に接続される点で図3に係る実施形態と異なる。このように、電場発生電極12の接続先は、磁性体11の端部領域Aに電場が印加される構成であれば本実施形態に限られない。
図23は、スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。本例の電場発生電極12は磁性金属である。この場合、スキルミオン検出素子15は、トンネル磁気抵抗素子(TMR素子)である。
スキルミオン検出素子15は、スキルミオン40の有無に応じて、抵抗値が変化する。スキルミオン検出素子15は、磁性体11の一面において磁性体11の表面に接する非磁性体薄膜16と電場発生電極12とで形成したTMR積層構造を有する。本例のスキルミオン検出素子15は、感度が高いので、少ない電力でスキルミオン40の有無を検出できる。
電場発生電極12は磁性体であるから、磁性体11からの上向きの磁場により上向きの磁気モーメントをもつ強磁性相となる。磁性体11と、電場発生電極12の磁性体11側と逆側の端部との間に、測定部30を接続する。これにより、スキルミオン検出素子15の抵抗値を検知できる。スキルミオン検出素子15は、磁性体11内にスキルミオン40が存在しない場合の抵抗値が最小値を示し、スキルミオン40が存在すると抵抗値が増大する。スキルミオン検出素子15の抵抗値は、非磁性体薄膜16の電子のトンネル電流の確率が磁性体11と強磁性相となった電場発生電極12との磁気モーメントの向きに依存することにより決まる。スキルミオン検出素子15の高抵抗(H)と低抵抗(L)は、スキルミオン40の有り無しに対応し、情報のメモリセル中に記憶する情報の「1」と「0」に対応する。
切替スイッチ33は、電場発生電極12を電圧印加用電源50に接続するか、測定部30に接続するかを切り替える。切替スイッチ33は、スキルミオン検出素子15と磁性体11との間に接続される。切替スイッチ33が電圧印加用電源50に接続された場合、電場発生電極12は、磁性体11におけるスキルミオン40の生成及び消去を行う。一方、切替スイッチ33が測定部30に接続された場合、電場発生電極12は非磁性体薄膜16との積層構造によりスキルミオン検出素子15として機能して、磁性体11中のスキルミオン40の有無を検出する。
図24は、スキルミオンメモリ100の実施形態の一例を示す。本例の電場発生電極12は磁性金属である。この場合、スキルミオン検出素子15は、トンネル磁気抵抗素子(TMR素子)である。本例のスキルミオンメモリ100は、基本的に、図23の実施形態に係るスキルミオンメモリ100と同様の構成を有する。電場によりスキルミオン40を生成及び消去する場合、磁性体11の左右のサイズは限定されない。本例のスキルミオンメモリ100は、一体の磁性体11の左右に複数の電場発生電極12及び複数のスキルミオン検出素子15を配置できる。また、複数の磁場発生部20を磁性体11に対応して設けてもよい。これにより、電極間の間隙を小さくして、集積度を上げることができる。なお、測定部30及び電圧印加用電源50は、複数の電場発生電極12及び複数のスキルミオン検出素子15に対して共通であってもよいし、それぞれに対応して複数個設けてもよい。
以上の通り、本例のスキルミオンメモリ100は、電場発生電極12をスキルミオン40の検出に利用するので、新たにスキルミオン検出素子15を設ける必要がない。また、本例のスキルミオン検出素子15は、TMR素子を構成するのでスキルミオン40の検出感度が高い。したがって、本実施形態に係るスキルミオンメモリ100は、感度が高く、且つ、構造が簡潔である。
図25は、スキルミオンメモリデバイス110の断面構造を示す。スキルミオンメモリデバイス110は、スキルミオンメモリ100を少なくとも一つ備えるデバイスである。スキルミオンメモリデバイス110は、強磁性体層である磁場発生部20及び磁場発生部20の上方に形成した磁気素子10を備える。また、スキルミオンメモリデバイス110は、磁気素子10と磁場発生部20との間に非磁性体層25を備える。
本例の磁気素子10は、図22に示した磁気素子10に対応し、第1検出電極153、第2検出電極154を有する。又は図21に示した磁気素子10に対応し、第1検出電極153、第2検出電極154、第3検出電極155及び第4検出電極156を有する。測定部30の断面図は図示していない。磁気素子10は、磁性体層60、磁性体保護層65、第1配線層70及び第2配線層75の順に積層した積層構造を有する。
磁性体層60は、磁性体11、絶縁体61、第1検出電極153及び第2検出電極154を有する。磁性体11において、スキルミオン40を生成及び消去する。絶縁体61は、磁性体11、第1検出電極153及び第2検出電極154を囲む。第1検出電極153及び第2検出電極154を、非磁性体金属で形成してもよい。磁性体11、第1検出電極153及び第2検出電極154は、スキルミオン磁気媒体の基本構造である非磁性体金属(Nonmagnetic Metal)、磁性体(Magnetic Material)及び非磁性体金属(Nonmagnetic Metal)を連結した構造を有する。当該構造を、略してNMN構造と称する。磁性体層60は、同一層内に複数のNMN構造を備えてよい。
磁性体保護層65は、磁性体保護膜66及び第1ビア67を有する。磁性体保護膜66は、磁性体層60を保護する。第1ビア67は、第1検出電極153及び第2検出電極154に、スキルミオン検出用の電流を供給する。
第1配線層70は、第1配線71、第1配線保護膜72及び第2ビア73を有する。第1配線71は、磁場発生用及びスキルミオン検出用の電極を形成する。第1配線保護膜72は、第1配線71及び第2ビア73を形成するための層間絶縁膜として機能する。磁場生成用とスキルミオン検出用の2種類の電極を同一層内で、互いが交差せずに引き回すのは困難である。そのため、第1配線層70上に第2配線層75を形成してもよい。
第2配線層75は、第2配線76及び第2配線保護膜77を有する。第2配線76を第2ビア73と接続する。第2配線保護膜77は、第2配線76を絶縁するための層間絶縁膜として機能する。例えば、第2ビア73は、磁場生成用とスキルミオン検出用の2種類の電極のうち少なくとも一方に接続する。
磁性体11中に、黒丸でスキルミオン40を図示した。第1配線71に接続した電場発生電極12により発生した電場により磁性体11中にスキルミオン40を生成できる。
図26は、スキルミオンメモリデバイス110の断面図を示す。スキルミオンメモリデバイス110は、スキルミオンメモリ100及びFET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)99を備える。FET99が存在しないシリコン基板上にスキルミオンメモリ100を形成する。
FET99は、一般的なシリコンプロセスにより形成する一般的なFETである。本例のFET99は、2層のCu配線層を有する。また、FET99は、P型基板上に形成されたPMOS−FET91及びNMOS−FET92を有してよい。
図27は、磁気素子10をn層積層したスキルミオンメモリデバイス110を示す。本例のスキルミオンメモリデバイス110は、n=12の場合である。磁場発生部20は、3000Åの膜厚を有する。磁気素子10は、磁気素子10−1から磁気素子10−nまで積層した構造を有する。本例の磁気素子10は、合計35000Åの膜厚を有する。
図28は、複数の磁場発生部20を有するスキルミオンメモリデバイス110を示す。本例のスキルミオンメモリデバイス110は、磁気素子10−1から磁気素子10−8までの合計8層の磁気素子10を有する。スキルミオンメモリデバイス110は、磁場発生部20−1上に、4層の磁気素子10を有する。スキルミオンメモリデバイス110は、磁気素子10−4と磁気素子10−5との間に磁場発生部20−2をさらに有する。これにより、磁気素子10は、磁場発生部20から受ける磁場の強度を一定に保つことができる。磁場発生部20は、磁気素子10の材料等に応じて適当な間隔で配置してよい。
図29は、スキルミオンメモリ100をCMOS−FET90の上層に搭載したスキルミオンメモリデバイス110の断面図を示す。スキルミオンメモリデバイス110は、スキルミオンメモリ100及びCPU機能を構成するCMOS‐FET90を備える。CMOS‐FET90上にスキルミオンメモリ100を形成する。本例のCMOS‐FET90は、P型基板上に形成されたPMOS−FET91及びNMOS−FET92を有する。
スキルミオンメモリデバイス110は、CPU機能を構成するCMOS‐FET90と、積層した大規模不揮発性メモリであるスキルミオンメモリ100を同一のチップ内に有することができる。この結果、CPUの処理時間の短縮化、高速化が実現し、CPUの消費電力を大幅に低減できる。すなわち、PC起動時の基本OSなどのHDからの呼び出し、外付けSRAMやDRAMなどへの書き込み、読み出しなどの処理時間を大幅に短縮可能となり、CPUタイムの削減(大幅高速化)に貢献する。この結果、大幅に消費電力が低いCPUを実現できる。さらに大規模不揮発性メモリであるスキルミオンメモリ100はメモリ保持のための電力消費がゼロである。スキルミオンの磁気モーメントの向きはトポロジカル安定性を有するために外部からの一切の電力供給を必要としない。DRAMメモリはデータリフレッシュが必要であり、SRAMも揮発性であるので常時電力投入が必要である。フラッシュメモリはデータアクセスタイムが長いのでCPUと直接データのやり取りはできない。
図30は、スキルミオンメモリデバイス110の書き込み回路の一例を示す。スキルミオンメモリ100にデータを書き込む場合とは、スキルミオンメモリ100にスキルミオン40を生成する場合を指す。本例のスキルミオン検出素子15は、第1検出電極153及び第2検出電極154の2つの電極を有する。なお、スキルミオン検出素子15は、第3検出電極155及び第4検出電極156をさらに備えてもよい。
複数のスキルミオンメモリ100を、スキルミオン選択線95及びビット線96に接続する。例えば、スキルミオン選択線95(n)を、n行のスキルミオンメモリ100にそれぞれ接続し、ビット線96(n)を、n列のスキルミオンメモリ100にそれぞれ接続する。スキルミオンメモリ100に接続した各線にはFET99を接続する。FET99は、ゲートに電圧を印加することにより、個々のスキルミオンメモリ100を選択する電気的スイッチとして働く。本例の電圧印加用電源50は、電場発生電極12に正の電場を印加する。
例えば、スキルミオンメモリ100(n、n)においてスキルミオン40を生成する場合、スキルミオン選択線95(n)及びビット線96(n)に接続したFET99をオンする。スキルミオンメモリ100(n、n)は、磁性体11に電場を印加することにより、スキルミオン40を生成する。
図31は、スキルミオンメモリデバイス110の消去回路の一例を示す。スキルミオンメモリ100にデータを消去する場合とは、スキルミオンメモリ100のスキルミオン40を消去する場合を指す。本例では、図30の例と同様の配線で、スキルミオンメモリ100に、スキルミオン選択線95及びビット線96を接続する。スキルミオン40を生成する場合と同様に、FET99のスイッチングにより、スキルミオンメモリ100を選択する。但し、本例の電圧印加用電源50は、電場発生電極12に負の電場を印加する。
例えば、スキルミオンメモリ100(n、n)においてスキルミオン40を消去する場合、スキルミオン選択線95(n)及びビット線96(n)に接続したFET99をオンする。スキルミオンメモリ100(n、n)は、磁性体11に生成の場合と逆向きの電場を印加することにより、スキルミオン40を消去する。
図32は、スキルミオンメモリデバイス110の読み出し回路の一例を示す。スキルミオンメモリ100のデータを読み出す場合とは、スキルミオンメモリ100のスキルミオン40を検出する場合を指す。スキルミオン40を検出する場合、スキルミオン選択線95及びビット線96に加えて、リード線97を用いる。
ビット線96は、スキルミオン検出素子15に接続する。ビット線96は、スキルミオン検出素子15にスキルミオン検出用の電流を流す。
リード線97は、第1検出電極153に接続する。リード線97は、第2検出電極154及び磁性体11を介して、ビット線96に接続する。スキルミオン40は、ビット線96からリード線97に電流を流すことにより検出する。複数のスキルミオンメモリ100にリード線97を接続してよい。例えば、リード線97(n)は、n行のスキルミオンメモリ100にそれぞれ接続する。さらに、リード線97は検出回路98に接続する。ビット線96及びリード線97に接続したFET99をスイッチングすることにより、スキルミオンメモリ100を選択する。スキルミオン40を検出する場合、スキルミオン選択線95に接続したFET99をオフする。
検出回路98は、リード線97に流れる電流もしくは電圧を増幅して、スキルミオン40の有無を検出する。検出回路98は、入力抵抗Rin、帰還抵抗Rf、増幅回路C1及び電圧比較回路C2を備える。リード線97から検出回路98に入力した電流を、入力抵抗Rinを介して、増幅回路C1に入力する。帰還抵抗Rfを、増幅回路C1と並列に設ける。増幅回路C1は、リード線97からの電流を電圧変換して増幅する。電圧比較回路C2には、増幅回路C1の出力電圧及び参照電圧Vrefを入力する。電圧比較回路C2は、増幅回路C1の出力電圧が参照電圧Vrefよりも大きい場合は「1」を出力する。一方、電圧比較回路C2は、増幅回路C1の出力電圧が参照電圧Vrefよりも小さい場合は「0」を出力する。
例えば、スキルミオンメモリ100(n、n)におけるスキルミオン40の有無を検出する場合、ビット線96(n)及びリード線97(n)に接続したFET99をオンする。その後、ビット線96(n)に電流を流すと、スキルミオン40の有無に応じた抵抗により電圧値が変化する。また、スキルミオンメモリ100(n−1、n+1)においてスキルミオン40の有無を検出する場合、ビット線96(n+1)及びリード線97(n−1)に接続したFET99をオンする。その後、ビット線96(n+1)に電流を流すと、スキルミオンメモリ100(n−1、n+1)において検出用の電流が流れる。リード線97(n−1)に接続した検出回路98において、当該電流を検出する。これにより、スキルミオン40の存在に応じて、「1」又は「0」のデータを得ることができる。即ち、スキルミオンメモリ100は、スキルミオン40の存在の有無に応じて、データの読み出しができる。
以上、図30から図32の通り、スキルミオンメモリデバイス110は、任意のスキルミオンメモリ100を選択し、スキルミオン40の生成、消去及び読み出しができる。スキルミオンメモリ100の周辺に配置したFET99、検出回路98の増幅回路C1及び電圧比較回路C2は、CMOSデバイスで構成する。複数のスキルミオンメモリ100を平面状に配列する。また、平面状に配列したスキルミオンメモリ100を積層してよい。
図33は、スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス200の構成例を示す模式図である。スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス200は、スキルミオンメモリデバイス110と、固体電子デバイス210とを備える。スキルミオンメモリデバイス110は、図21から図29において説明したスキルミオンメモリデバイス110である。固体電子デバイス210は、例えばCMOS−LSIデバイスである。固体電子デバイス210は、スキルミオンメモリデバイス110へのデータの書き込み、及び、スキルミオンメモリデバイス110からのデータの読み出しの少なくとも一方の機能を有する。
図34は、データ記録装置300の構成例を示す模式図である。データ記録装置300は、スキルミオンメモリデバイス110と、入出力装置310とを備える。データ記録装置300は、例えばハードディスク、又は、USBメモリ等のメモリデバイスである。スキルミオンメモリデバイス110は、図21から図29において説明したスキルミオンメモリデバイス110である。入出力装置310は、外部からスキルミオンメモリデバイス110へのデータの書き込み機能、及び、スキルミオンメモリデバイス110からデータを読み出して外部に出力する機能の少なくとも一方を有する。
図35は、データ処理装置400の構成例を示す模式図である。データ処理装置400は、スキルミオンメモリデバイス110と、プロセッサ410とを備える。スキルミオンメモリデバイス110は、図21から図29において説明したスキルミオンメモリデバイス110である。プロセッサ410は、例えばデジタル信号を処理するデジタル回路を有する。プロセッサ410は、スキルミオンメモリデバイス110へのデータの書き込み、及び、スキルミオンメモリデバイス110からのデータの読み出しの少なくとも一方の機能を有する。
図36は、通信装置500の構成例を示す模式図である。通信装置500は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末等の、外部との通信機能を有する装置全般を指す。通信装置500は携帯型であってよく、非携帯型であってもよい。通信装置500は、スキルミオンメモリデバイス110と、通信部510とを備える。スキルミオンメモリデバイス110は、図21から図29において説明したスキルミオンメモリデバイス110である。通信部510は、通信装置500の外部との通信機能を有する。通信部510は、無線通信機能を有してよく、有線通信機能を有してよく、無線通信及び有線通信の双方の機能を有していてもよい。通信部510は、外部から受信したデータをスキルミオンメモリデバイス110に書き込む機能、スキルミオンメモリデバイス110から読み出したデータを外部に送信する機能、及び、スキルミオンメモリデバイス110が記憶した制御情報に基づいて動作する機能の少なくとも一つを有する。
以上の通り、高速、且つ、低消費電力でスキルミオン40を生成、消去、検知できる磁気素子及びこの磁気素子を応用した不揮発性スキルミオンメモリ100、スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス200、データ記録装置300、データ処理装置400及び通信装置を提供することができる。
1・・・マグネチックシフトレジスタ、2・・・磁気センサ、10・・・磁気素子、11・・・磁性体、12・・・電場発生電極、15・・・スキルミオン検出素子、16・・・非磁性体薄膜、20・・・磁場発生部、30・・・測定部、31・・・測定用電流源、32・・・電圧計、33・・・切替スイッチ、40・・・スキルミオン、50・・・電圧印加用電源、60・・・磁性体層、61・・・絶縁体、65・・・磁性体保護層、66・・・磁性体保護膜、67・・・第1ビア、70・・・第1配線層、71・・・第1配線、72・・・第1配線保護膜、73・・・第2ビア、75・・・第2配線層、76・・・第2配線、77・・・第2配線保護膜、90・・・CMOS‐FET、91・・・PMOS‐FET、92・・・NMOS‐FET、95・・・スキルミオン選択線、96・・・ビット線、97・・・リード線、98・・・検出回路、99・・・FET、100・・・スキルミオンメモリ、153・・・第1検出電極、154・・・第2検出電極、155・・・第3検出電極、156・・・第4検出電極、200・・・スキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス、210・・・固体電子デバイス、300・・・データ記録装置、310・・・入出力装置、400・・・データ処理装置、410・・・プロセッサ、500・・・通信装置、510・・・通信部

Claims (22)

  1. スキルミオンの生成及び消去が可能な磁気素子であって、
    薄層状の磁性体と、
    前記磁性体の一面において前記磁性体の端部を含む端部領域を覆って設けた電場発生電極と、
    前記スキルミオンの生成及び消去を検出するスキルミオン検出素子と
    を備える磁気素子。
  2. 前記端部領域は、前記磁性体に平行な向きの幅をW、前記端部領域における前記磁性体の端部に垂直な向きの高さをhとすると、
    λ≧W>λ/4
    2λ>h>λ/2
    となる請求項1に記載の磁気素子。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気素子であって、
    前記磁気素子が厚さ方向に積層した多層構造を有する磁気素子。
  4. 前記磁性体は、印加する磁場に応じて、前記スキルミオンが発生するスキルミオン結晶相と強磁性相とが少なくとも発現する
    請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気素子。
  5. 前記磁性体は、カイラル磁性体、又は磁性材料と非磁性材料との積層構造のいずれかからなる、
    請求項4に記載の磁気素子。
  6. 前記スキルミオン検出素子は、
    前記磁性体の端部において、前記磁性体と同一層で接する第1非磁性金属からなる第1検出電極と、
    前記第1検出電極とは離間して、前記第1検出電極と対向する前記磁性体の端部において、前記磁性体と同一層で接する第2非磁性金属からなる第2検出電極と
    を備え、
    前記スキルミオンの生成及び消去に応じて、前記第1検出電極と前記第2検出電極との間における前記磁性体の抵抗値が変化する請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気素子。
  7. 前記スキルミオン検出素子は、
    前記磁性体の端部において、前記磁性体と同一層で接する第1非磁性金属からなる第1検出電極と、
    前記第1検出電極とは離間して、前記第1検出電極と対向する前記磁性体の端部において、前記磁性体と同一層で接する第2非磁性金属からなる第2検出電極と、
    第1検出電極と第2検出電極とがなす配列に対して垂直の配置で、前記磁性体の端部において、前記磁性体と同一層で接する第3非磁性金属からなる第3検出電極と、
    第3検出電極とは離間して、前記第3検出電極と対向する前記磁性体の端部に接して第4非磁性金属からなる第4検出電極と
    を備え、
    前記スキルミオンの生成及び消去に応じて、前記第3検出電極と前記第4検出電極との間における前記磁性体の電圧値が変化する請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気素子。
  8. 前記スキルミオン検出素子は、
    前記磁性体の一面において前記磁性体の表面に接する非磁性絶縁体薄膜と、前記非磁性絶縁体薄膜上に設け、且つ、磁性体金属により形成した前記電場発生電極とのTMR積層構造を有し、
    前記TMR積層構造は、前記スキルミオンの生成及び消去に応じて、抵抗値が変化する請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気素子。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気素子と、
    前記磁性体の一面に対向して設け、前記磁性体に第1方向から磁場を印加する磁場発生部と、
    前記磁気素子の前記電場発生電極に電圧を印加することで、前記端部領域に電場を発生させることが可能な第1電源と、
    前記スキルミオン検出素子に接続し、前記スキルミオン検出素子の検出結果に基づいて、前記スキルミオンの生成及び消去を測定する測定部と
    を備えるスキルミオンメモリ。
  10. 前記第1電源は、前記端部領域に対し、前記スキルミオンを生成する生成パルスと、前記スキルミオンを消去する消去パルスを発生させることが可能である請求項9に記載のスキルミオンメモリ。
  11. 前記生成パルスの方向と前記消去パルスの方向とが異なる請求項10に記載のスキルミオンメモリ。
  12. 請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気素子と、
    前記磁気素子の一面に対向して設け、前記磁気素子に第1方向から第1磁場を印加する磁場発生部と、
    前記磁気素子の前記電場発生電極に電圧を印加することで、前記磁性体に電場を発生させることが可能な第1電源と、
    を備えるスキルミオンメモリ。
  13. 前記第1電源は、前記端部領域に対し、スキルミオンを生成する生成パルスと、スキルミオンを消去する消去パルスを発生させることが可能である請求項12に記載のスキルミオンメモリ。
  14. 前記電場発生電極は、前記磁性体と電気的に接続することにより、前記磁性体に電場を発生させる請求項9から13のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリ。
  15. 前記電場発生電極と前記磁場発生部とを電気的に接続することにより、前記磁性体に電場を発生させる請求項9から13のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリ。
  16. 請求項9から15のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリを一つの記憶単位メモリとして構成した複数のスキルミオンメモリと、
    前記複数のスキルミオンメモリのスキルミオンを生成するために、前記複数のスキルミオンメモリに接続したスキルミオン生成線と、
    前記複数のスキルミオンメモリのスキルミオンを消去するために、前記複数のスキルミオンメモリに接続したスキルミオン消去線と、
    スキルミオンの有無を検知するリード線と、
    前記スキルミオン生成線、前記スキルミオン消去線、前記リード線には前記スキルミオンメモリを選択する電界効果トランジスタと、
    前記リード線に流れる電流もしくは電圧を増幅し、前記スキルミオンの有無を検出する検出回路と
    を備えるスキルミオンメモリデバイス。
  17. 基板と、
    前記基板上に形成した電界効果トランジスタと、
    前記基板の上方に形成したスキルミオンメモリデバイスと
    を有し、
    前記スキルミオンメモリデバイスは、請求項9から15のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリを少なくとも一つ有するスキルミオンメモリ搭載のデータ処理装置。
  18. 請求項16に記載のスキルミオンメモリデバイスを、前記電界効果トランジスタの上方に積層するデータ処理装置。
  19. 請求項9から15のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリを少なくとも一つ備えるスキルミオンメモリデバイスと固体電子デバイスを同一チップ内に形成しているスキルミオンメモリ搭載固体電子デバイス。
  20. 請求項9から15のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリを少なくとも一つ備えるスキルミオンメモリデバイスを搭載するデータ記録装置。
  21. 請求項9から15のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリを少なくとも一つ備えるスキルミオンメモリデバイスを搭載するデータ処理装置。
  22. 請求項9から15のいずれか一項に記載のスキルミオンメモリを少なくとも一つ備えるスキルミオンメモリデバイスを搭載したデータ通信装置。
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