JP2016138180A - 立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】経時的な機械的強度の低下を抑制でき、しかも口腔内で使用しても人体に悪影響を及ぼすことがない光造形用樹脂組成物を提供する。【解決手段】硬化性樹脂と無機充填材粒子とを含む立体造形用樹脂組成物であって、無機充填材粒子が、アルカリ成分の溶出量が0.1mg以下であり、且つガラス組成中のF2の含有量が0.5質量%以下であるガラスからなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は立体造形用樹脂組成物及びこれを用いた立体造形物の製造方法に関する。
従来、樹脂材料等を積層させて立体造形物を得る方法が知られている。例えば光造形法、粉末焼結法、熱溶解積層(Fused deposition modeling:FDM)法等種々の方法が提案され実用化されている。
例えば光造形法は、細やかな造形や正確なサイズ表現に優れており、広く普及している。この方法は以下のようにして立体造形物を作成するものである。まず液状の光硬化性樹脂を満たした槽内に造形ステージを設け、造形ステージ上の光硬化性樹脂に紫外線レーザーを照射して所望のパターンの硬化層を作成する。このようにして硬化層を1層造ると造形ステージを1層分だけ下げて、硬化層上に未硬化の樹脂を導入し、同様にして紫外線レーザーを光硬化性樹脂に照射して前記硬化層上に新たな硬化層を積み上げる。この操作を繰り返すことにより、所定の立体造形物を得る。また、粉末焼結法は、樹脂、金属、セラミックス、ガラスの粉末を満たした槽内に造形ステージを設け、造形ステージ上の粉末に半導体等のレーザーを照射し、軟化変形にて所望のパターンの硬化層を作製するものである。
このような方法を応用して、仮歯やマウスピースといった口腔内で使用する造形物を作製することができる。
特開平7−26060号公報
光造形法等で作製される樹脂製の立体造形物は、細やかで精密であるが、機械的強度等に劣ることが指摘されている。そこで特許文献1で提案されているように、光硬化性樹脂に、ガラス製充填材を添加することが提案されている。
ところで立体造形された造形物について、当初の機械的強度が高いことに加えて、経時的に機械的強度が低下しないことが望ましい。ところが仮歯やマウスピースのように湿潤環境で使用される造形物は、特に経時的な機械的強度の劣化が懸念される。また人体にとって無害であることも重要である。
本発明は、経時的な機械的強度の低下を抑制でき、しかも口腔内で使用しても人体に悪影響を及ぼすことがない光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は種々の検討を行ったところ、ガラス製充填材を使用した場合、ガラスの耐水性が低い場合、高湿下、或いは湿潤環境下で使用すると、ガラスから溶出したアルカリ成分等によって樹脂とガラスとの接着性が低下し、機械的強度が低下する可能性があること、またガラス中にFが含まれていると、口腔内にF成分が溶出するおそれがあることを見出し、本発明を提案するに至った。
即ち、本発明の立体造形用樹脂組成物は、硬化性樹脂と無機充填材粒子とを含む立体造形用樹脂組成物であって、無機充填材粒子が、アルカリ成分の溶出量が0.1mg以下であり、且つガラス組成中のFの含有量が0.5質量%以下であるガラスからなることを特徴とする。ここで「アルカリ成分」とはLiO、NaO及びKOを指す。「アルカリ成分の溶出量」とはJIS−R3502によって測定した値である。
上記構成を採用することによって、立体造形物の機械的強度を高めることができるとともに、経時的な機械的強度の低下を抑制しやすくなる。特に仮歯やマウスピースといった口腔内等の湿潤環境で使用される用途の場合には、機械的強度の低下を抑制する効果が顕著になる。
本発明においては、無機充填材が、ガラス組成としてLiO、NaO及びKOの含有量の合量が10質量%以下であるガラスからなることが好ましい。
上記構成を採用すれば、より確実にガラスの耐水性を高めることが可能となる。
本発明においては、無機充填材が、ガラス組成として質量%でSiO 30〜85%、Al 0〜30%、B 0〜50%含有するガラスからなることが好ましい。
上記構成によれば、耐水性及び生産性に優れたガラスを容易に設計することが可能である。
本発明においては、無機充填材が、ガラス組成中の鉛、水銀、クロム、カドミウム、フッ素及びヒ素の含有量が酸化物換算で各々0.01質量%以下であるガラスからなることが好ましい。
上記構成によれば、例えば仮歯やマウスピース等、口腔内で使用される用途の場合、これらの成分がガラスから溶出して人体に影響を与えるといった事態を懸念する必要がない。
本発明の光造形用樹脂組成物は、仮歯又はマウスピースの造形に使用されることが好ましい。
上記用途に用いる場合、本発明の効果を最大限に享受できる。
本発明においては、体積%で、前記硬化性樹脂 30〜99%、前記無機充填材粒子 1〜70%を含有することが好ましい。
上記構成を採用すれば、機械的強度の高い立体造形物を得ることが容易になる。
本発明の立体造形物の製造方法は、樹脂組成物からなる液状層に選択的に活性エネルギー光線を照射して所定のパターンを有する硬化層を形成し、前記硬化層上に新たな液状層を形成した後に活性エネルギー線を照射して前記硬化層と連続した所定パターンを有する新たな硬化層を形成し、所定の立体造形物が得られるまで前記硬化層の積層を繰り返す立体造形物の製造方法であって、前記樹脂組成物として、上記した立体造形用樹脂組成物を使用することを特徴とする。
上記構成によれば、機械的強度の高い立体造形物を容易に作製することができる。
本発明の仮歯或いはマウスピースは、上記した立体造形用樹脂組成物を用いて作製されてなる。
上記構成によれば、使用中に機械的強度が低下したり、破壊が生じたりするといった事態が生じ難く、仮歯やマウスピースとして有用である。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、硬化性樹脂と無機充填材粒子とを含む。硬化性樹脂と無機充填材粒子の混合割合は、体積%で硬化性樹脂が30〜99%、無機充填材粒子が1〜70%であることが好ましい。より好ましくは、硬化性樹脂が35〜95%、40〜90%、特に45〜85%であり、無機充填材粒子が5〜65%、10〜60%、特に15〜55%である。無機充填材粒子の割合が高すぎると、樹脂との接着する表面積が少なく機械的強度が低くなる。また光造形法を使用する場合は、硬化性樹脂の粘度が高くなり過ぎて造形ステージ上に新たな液状層を形成しにくくなる等の不具合が生じる。硬化性樹脂の割合が高すぎると無機充填材粒子の持つ強度や硬度をコンポジットに反映しにくくなる。また相対的に無機充填材粒子の含有量が低下することから造形物の機械的強度が低下する。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、粘度が0.5〜150Pa・s、1.0〜100Pa・s、特に1.5〜50Pa・sとなるように調整することが好ましい。樹脂組成物の粘度が小さすぎると無機充填材粒子が沈降、分離しやすくなることから、造形物にフィラーが入り難くなり、機械的強度の高い造形物を得難くなる。一方、150Pa・sより高いと連続的な積層が困難になる。
本発明で使用する硬化性樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよく、採用する造形法によって適宜選択することができる。例えば光造形法を使用する場合は液状の光硬化性樹脂を選択すればよく、また粉末焼結法を採用する場合は粉末状の熱硬化性樹脂を選択すればよい。
例えば光硬化性樹脂としては、重合性のビニル系化合物、エポキシ系化合物等種々の樹脂を選択することができる。また単官能性化合物や多官能性化合物のモノマーやオリゴマーが用いられる。これらの単官能性化合物、多官能性化合物は、特に限定されるものではない。例えば、以下に光硬化性樹脂の代表的なものを挙げる。
重合性のビニル系化合物の単官能性化合物としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジンクロペンテニルアクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、プロピレングリコールアクリレート、ビニルピロリドン、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。また多官能性化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。これらの単官能性化合物や多官能性化合物の1種以上を単独又は混合物の形で使用することができる。
ビニル系化合物の重合開始剤としては、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、フルオレノン、ベズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、ミヒラーケトン等が代表的なものとして挙げることができ、これらの開始剤を1種または2種以上組み合わせて使用することができる。必要に応じてアミン系化合物等の増感剤を併用することも可能である。これらの重合開始剤の使用量は、ビニル系化合物に対してそれぞれ0.1〜10質量%であることが好ましい。
エポキシ系化合物としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物を用いる場合には、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のエネルギー活性カチオン開始剤を用いることができる。
さらに光硬化性樹脂には、レベリング剤、界面活性剤、有機高分子化合物、有機可塑剤等を必要に応じて添加してもよい。
無機充填材粒子は、立体造形物に透明感や質感を与えたり、光造形法を用いる場合に光効果性樹脂の硬化を妨げない、という観点からガラスで構成される。なお無機充填材として、ガラス以外の材料からなる粒子を併用してもよい。
無機充填材粒子を構成するガラスは、アルカリ溶出量が0.1mg以下、好ましくは0.05mg以下である。アルカリ溶出量はガラスの耐水性の指標であり、この値が小さいほどガラスの耐水性が高いと言える。また溶出したアルカリ成分は、ガラスと樹脂との接着力を低下させる。このためアルカリ溶出量が多すぎると、ガラスと樹脂の接着力を弱め、立体造形物の機械的強度を低下させてしまう。
無機充填材粒子を構成するガラスは、Fの含有量が0.5質量%以下であり、0.25質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、特に0.01質量%以下であるガラスからなることが好ましい。Fの含有量が0.5質量%を超えると、F成分が溶出し易くなる。
また無機充填材粒子を構成するガラスは、耐水性の観点から、低アルカリ含有ガラス、特にガラス組成としてLiO、NaO及びKOの含有量の合量が10質量%以下、5質量%以下、2.5質量%以下、1質量%以下、特に0.5質量%以下であるガラスを選択することが好ましい。ガラスのアルカリ含有量が多くなると耐水性が悪化するため、立体造形物の機械的強度が経時的に低下する。特に湿潤環境で使用される場合には、機械的強度の低下が著しくなる。
上記条件を満たすガラスの具体例として、例えば質量%で、SiO 30〜85%、Al 0〜30%、B 0〜50%、LiO+NaO+KO 10%以下であるガラスが挙げられる。ここで「LiO+NaO+KO」とはLiO、NaO及びKOの含有量の合量を意味する。
ガラス組成を上記のように限定した理由を説明する。なお以下の説明において特に断りがない限り「%」は質量%を表す。
SiOはガラス骨格を形成する成分である。化学耐久性を向上させやすく、失透性を抑制できる成分である。SiOは、30〜85%、40〜75%、特に45〜65%であることが好ましい。SiOが多すぎると溶融性が低下しやすく、成形時に軟化しにくく、製造が困難になる。また、SiOが少なすぎると化学耐久性が低下しやすくなったり、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難になる。
Alはガラス化安定成分である。また化学耐久性を向上させやすく、失透性を抑制できる成分である。Alは、0〜30%、2.5〜25%、特に5〜20%であることが好ましい。Alが多いと、溶融性が低下しやすく、成形時に軟化しにくく、製造が困難になる。また、Alが少ないと、化学耐久性が低下しやすくなったり、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難になる可能性がある。
はガラス骨格を形成する成分である。また化学耐久性を向上させやすく、失透性を抑制できる成分である。Bは、0〜50%、2.5〜40%、特に5〜30%であることが好ましい。Bが多いと、溶融性が低下しやすく、成形時に軟化しにくく、製造が困難になる。また、Bが少ないと、化学耐久性が低下しやすくなったり、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難になる可能性がある。
また上記以外にも、種々の成分を含有させることができる。
MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOは合量で0.1〜50%、1.0〜40%、さらに2〜30%であることが好ましい。これらの成分は、ガラスの耐久性を大きく低下させずにガラスの粘度を低下させやすい成分である。
はガラス骨格を形成する成分である。化学耐久性を向上させやすく、失透性を抑制できる成分である。Pは、0〜50%、2.5〜40%、特に5〜30%が好ましい。Pが多いと、溶融性が低下しやすく、柱状粒子成形時に軟化しにくく、製造が困難になる。また、Pが少ないと、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難になる可能性がある。
なお着色を抑制するために、ガラス組成中のFe、NiO、Cr及びCuOの含有量が合量で1%以下、0.75%以下、特に0.5%以下であることが好ましい。またガラス組成中のTiO、WO、La、Gd3、及びBiの含有量は合量で5%以下、2.5%以下、特に1.0%以下とすることが好ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、ガラスの着色を抑制し易くなることや屈折率や密度の上昇が抑制できることから、透明感や質感のある立体造形物を容易に得ることができる。
またガラス組成中のCaO、MgO、SrO、BaO及びZnOの含有量は合量で20%以下、15%以下、特に10%以下とすることが好ましい。これらの成分の範囲を上記のように限定すれば、アルカリ溶出の少ないガラスを得ることができる。
さらにガラス組成中の鉛、水銀、クロム、カドミウム及びヒ素の含有量は、酸化物換算で各々0.01質量%以下とすることが好ましい。これらの成分は何れも環境上好ましくないものである。また特に口腔内で使用される用途においてはガラスから溶出すると人体への影響が懸念される。それゆえこれらの成分は積極的に含むべきではなく、ガラス中の含有量は出来る限り少ない方がよい。
無機充填材粒子は、実施例で規定する評価方法にて、耐酸性が3%以下、2.5%以下、特に2%以下であるガラスからなることが好ましい。耐酸性が低すぎるガラスを使用すると酸洗浄等で劣化し、立体造形物の機械的強度が低下しやすくなったり、アルカリ溶出が大きくなる。
無機充填材粒子は、実施例で規定する評価方法にて、耐アルカリ性が15%以下、12.5%以下、特に11%以下のガラスからなることが好ましい。耐アルカリ性が低すぎるガラスを使用するとアルカリ洗浄等で劣化し、立体造形物の機械的強度が低下しやすくなったり、アルカリ溶出が大きくなる。
無機充填材粒子は、ヌープ硬度が200以上、300以上、特に350以上のガラスからなることが好ましい。ヌープ硬度が低すぎるガラスを使用すると立体造形物の機械的強度向上効果が小さくなる。
無機充填材粒子は、ヤング率が50GPa以上、55GPa以上、特に60GPa以上のガラスからなることが好ましい。ヤング率が低すぎるガラスを使用すると立体造形物の機械的強度向上効果が小さくなる。
また光造形法を利用する場合、無機充填材粒子には、波長400nmにおける透過率が厚さ1mmにおいて10%以上、30%以上、50%以上、70%以上、特に80%以上であるガラスからなることが望ましい。400nmにおける透過率が低すぎると、活性エネルギー線が光硬化性樹脂全体に十分に照射されにくくなり、機械的強度の高い立体造形物を得難くなる。また、立体造形物に着色が生じやすい。
無機充填材粒子として、ガラスビーズ、円柱形状や角柱形状等のガラスロッド、ガラスファイバー等のガラス製充填材を単独で、或いは組み合わせて用いることができる。特にガラスビーズは球状であることから流動性に優れている。またファイアポリッシュ等の方法で作製すれば、表面粗さの小さい表面仕上げが可能であり、より流動性を高めることができる。ガラスビーズの粒度は、平均粒径D50が0.1〜300μm、特に1〜200μmさらに3〜100μmであることが好ましい。またガラスビーズの最大粒子径は500μm以下、特に300μm以下であることが好ましく、最小粒子径は0.1μm以上、特に0.5μm以上であることが好ましい。ガラスビーズの粒度が小さくなるほど充填率を高めることができる。しかし光造形法を使用する場合には、硬化性樹脂の流動性を低下させたり、界面泡が抜けにくくなったりしてしまう。一方、ガラスビーズの粒度が大きいほど充填率が低下し、また屈折率差による光散乱が増大しやすくなってしまう。なおガラスビーズは、粉砕等で作製される粉末ガラスに比べ、同じ添加量の場合、硬化性樹脂の粘度上昇が抑制できるという特徴がある。
無機充填材粒子は、その表面がシランカップリング剤によって処理されていることが好ましい。シランカップリング剤で処理すれば、無機充填材粒子と硬化性樹脂の結合力を高めることができ、より機械的強度の優れた造形物を得ることが可能になる。さらに、無機充填材粒子と硬化性樹脂のなじみがよくなり、界面の泡が減少でき、光散乱を抑制できる。シランカップリング剤としては、例えばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等が好ましい。なおシランカップリング剤は、用いる硬化性樹脂によって適宜選択すればよく、例えば光硬化性樹脂としてビニル系不飽和化合物を用いる場合にはアクリルシラン系シランカップリング剤が最も好ましく、またエポキシ系化合物を用いる場合にはエポキシシラン系シランカップリング剤を用いることが望ましい。
さらに、無機充填剤や硬化性樹脂に酸化物ナノ粒子を、樹脂組成物に対して1%以下の割合で添加してもよい。酸化物ナノ粒子は、ZrO、Al、SiO等が使用できる。尚、酸化物ナノ粒子は、可視光波長より小さい粒子であり、光散乱を発生しにくい。
次に上記した樹脂組成物を用いた本発明の立体造形物の製造方法を、光造形法を用いて説明する。なお樹脂組成物は既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
まず光硬化性樹脂組成物からなる1層の液状層を用意する。例えば液状の光硬化性樹脂組成物を満たした槽内に、造形用ステージを設け、ステージ上面が液面から所望の深さ、(例えば0.2mm程度)となるように位置させる。このようにすることで、ステージ上に厚さ約0.1〜0.2mmの液状層を用意することができる。
次にこの液状層に、活性エネルギー光線、例えば紫外線レーザーを照射して光硬化性樹脂を硬化させ、所定のパターンを有する硬化層を形成する。なお活性エネルギー光線としては、紫外線の他に、可視光線、赤外線等のレーザー光を用いることができる。
次いで形成した硬化層上に、光硬化性樹脂組成物からなる新たな液状層を準備する。例えば、前記した造形用ステージを1層分下降させることにより、硬化層上に光硬化性樹脂を導入し、新たな液状層を用意することができる。
続いて、硬化層上に用意した新たな液状層に活性エネルギー線を照射して、前記硬化層と連続した新たな硬化層を形成し、この操作を繰り返すことによって硬化層を連続的に積層し、所定の立体造形物を得る。
なお無機充填材粒子の充填を均質にしたり、配向性を高める目的で、造形時に振動を付与してもよい。また必要に応じて、得られた立体造形物に対して、その表面の少なくとも一部に研磨や研削等の機械加工を施して最終的な造形物とすることもできる。
このようにして仮歯、マウスピース等所望の形状を有する立体造形物をえることができる。
以下に本発明の立体造形用樹脂組成物を実施例に基づいて説明する。表1は本発明の実施例(試料No.1〜3)及び比較例(No.4〜7)を示している。
(光硬化性樹脂の調製)
まずイソホロンジイソシアネート、モルホリンアクリルアミドおよびジブチル錫ジラウレートをオイルバスで加熱した。グリセリンモノメタクリレートモノアクリレートにメチルヒドロキノンを均一に混合溶解させた液を入れ撹拌混合して、反応させた。ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド4モル付加物(ペンタエリスリトールの4個の水酸基にプロピレンオキサイドをそれぞれ1モル付加したもの)を加え、反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマーとモルホリンアクリルアミドを含む反応生成物を製造した。
得られたウレタンアクリレートオリゴマーとモルホリンアクリルアミドに、モルホリンアクリルアミド、ジシクロペンタニルジアクリレートを添加した。さらに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤)を添加し、無色透明なアクリル系光硬化性樹脂を得た。このアクリル系光硬化性樹脂は、粘度が1Pa・s、ヌープ硬度が11であった。
(無機充填材の調製)
まず表1に示す組成となるように原料を調合し、1500〜1600℃で4〜8時間溶融し、フィルム状に成形した後、ガラスを粉砕し、平均粒径5μmの粉末ガラスを作製した。この粉末を酸素バーナーのフレームに当て、ビーズ状に成形した。その後、分級をすることで平均粒径5μmのビーズ状ガラスからなる無機充填材粒子を得た。
得られた無機充填材について、アルカリ溶出量を評価した。その結果、試料No.1〜3で使用する無機充填材粒子は、アルカリ成分の溶出量が0.07mg以下であった。
なおアルカリ成分の溶出量はJIS−R3502の方法により測定した。
耐酸性は、以下の方法で評価した。まず、HCl(特級)に純水を加え、10vol%溶液を作製した。ガラスは、粉砕、分級により300〜500μmの粒径のガラスを作製した。耐酸性溶液100mlに、密度に相当するガラスを投入し、80℃-16hを振とう機(振とう回数50回/min)にて処理を行った。その後、ろ過(SIBATA製10〜16μm)、乾燥を行い、重量減を測定し、重量減/密度にて耐酸性を算出した。
耐アルカリ性は以下の方法で評価した。まず、NaOH(特級)に純水を加え、10wt%溶液を作製した。ガラスは、粉砕、分級により300〜500μmの粒径のガラスを作製した。耐アルカリ性溶液100mlに、密度に相当するガラスを投入し、80℃-16hを振とう機(振とう回数50回/min)にて処理を行った。その後、ろ過(SIBATA製10〜16μm)、乾燥を行い、重量減を測定し、重量減/密度にて耐酸性を算出した。
400nmにおける透過率は、肉厚1mm±0.01mmで両面鏡面研磨を行った試料を準備し、分光光度計(島津製作所製UV−3100)にて測定した。
(光造形用樹脂組成物の調製及び硬化)
表1に示す割合で、光硬化性樹脂に無機充填材粒子を添加し、3本ローラーにより混練を行い、均質に無機充填材粒子を分散させたペースト状の光硬化性樹脂を得た。
このペースト状樹脂をテフロン(登録商標)製の内寸30mm□の型枠に流し入れた。その後、500mW、波長364nmの光を照射して、硬化させ、80℃にてキュアを行った。
このようにして得られた試料No.1〜3の硬化物は、耐水性の高い無機充填材粒子を使用していため、機械的強度の経時的な低下が起こりにくいと考えられる。またこれらの試料は、使用した無機充填材粒子がFを含まないため、口腔内で使用してもF成分が溶出するおそれがない。
本発明の立体造形用樹脂組成物は、湿潤環境で使用される用途であっても、機械的強度の経時的な低下が起こりにくく、しかもF成分の溶出のおそれもない立体造形物を作製することが可能であるため、立体造形される仮歯、マウスピース等の材料として好適である。

Claims (9)

  1. 硬化性樹脂と無機充填材粒子とを含む立体造形用樹脂組成物であって、無機充填材粒子が、アルカリ成分の溶出量が0.1mg以下であり、且つガラス組成中のFの含有量が0.5質量%以下であるガラスからなることを特徴とする立体造形用樹脂組成物。
  2. 無機充填材が、ガラス組成としてLiO、NaO及びKOの含有量の合量が10質量%以下であるガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の立体造形用樹脂組成物。
  3. 無機充填材が、ガラス組成として質量%でSiO 30〜85%、Al 0〜30%、B 0〜50%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形用樹脂組成物。
  4. 無機充填材が、ガラス組成中の鉛、水銀、クロム、カドミウム及びヒ素の含有量が酸化物換算で各々0.01質量%以下であるガラスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の立体造形用樹脂組成物。
  5. 仮歯又はマウスピースの造形に使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の立体造形用樹脂組成物。
  6. 体積%で、硬化性樹脂 30〜99%、無機充填材粒子 1〜70%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の立体造形用樹脂組成物。
  7. 樹脂組成物からなる液状層に選択的に活性エネルギー光線を照射して所定のパターンを有する硬化層を形成し、前記硬化層上に新たな液状層を形成した後に活性エネルギー線を照射して前記硬化層と連続した所定パターンを有する新たな硬化層を形成し、所定の立体造形物が得られるまで前記硬化層の積層を繰り返した後、得られた立体造形物の表面の少なくとも一部を機械加工する立体造形物の製造方法であって、前記樹脂組成物として、請求項1〜6のいずれか一項に記載の立体造形用樹脂組成物を使用することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  8. 請求項7の方法により作製されてなる仮歯。
  9. 請求項7の方法により作製されてなるマウスピース。
JP2015013229A 2015-01-27 2015-01-27 立体造形用樹脂組成物 Active JP6481850B2 (ja)

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