JP2016136610A - サーミスタ用金属窒化物材料及びその製造方法並びにフィルム型サーミスタセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 サーミスタに用いられる金属窒化物材料であって、一般式:MxAly(N1−uOu)z(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。0.65≦y/(x+y)≦0.98、0.40≦z≦0.55、0<u≦0.35、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。このサーミスタ用金属窒化物材料の製造方法は、M−Al合金スパッタリングターゲット(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)を用いて窒素及び酸素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜する成膜工程を有している。
【選択図】図1
Description
また、特許文献5のCr−N−M系材料は、B定数が500以下と小さい材料であり、また、200℃以上1000℃以下の熱処理を実施しないと、200℃以内の耐熱性が確保できないことから、フィルムに直接成膜したフィルム型サーミスタセンサが実現できないという問題点があった。そのため、非焼成で直接成膜できるサーミスタ材料の開発が望まれていた。
また、特許文献7に記載されているように、HfとAlとNとからなる窒化物で形成され、抵抗率が1〜10000Ωcm、B定数が2000K以上であり、Hf−Al−Nの三成分系状態図で、Hf:Al:Nの組成比が原子%で、13.1:21.9:65.0(A点)、20.6:19.9:59.5(B点)、28.6:12.4:58.9(C点)、43.4:0.1:56.4(D点)、37.1:0.5:62.4(E点)、23.6:11.9:64.5(F点)であるA点〜F点で囲まれる範囲にあるサーミスタ材料が開発されている。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
このサーミスタ用金属窒化物材料では、サーミスタに用いられる金属窒化物材料であって、一般式:MxAly(N1−uOu)z(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。0.65≦y/(x+y)≦0.98、0.40≦z≦0.55、0<u≦0.35、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。特に、酸素(O)が含まれることで、結晶内の窒素欠陥を酸素が埋める、もしくは、格子間酸素が導入される等の効果によって耐熱性がより向上する。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(M+Al))が0.98を超えると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、(N+O)/(M+Al+N+O))が0.40未満であると、窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「z」(すなわち、(N+O)/(M+Al+N+O))が0.55を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の化学量論比が0.5(すなわち、N/(M+Al+N)=0.5)であることと、窒素サイトにおける欠陥を酸素が全て補った場合の化学量論比が0.5(すなわち、(N+O)/(M+Al+N+O)=0.5)であることとに起因し、0.5を超えるz量については、格子間酸素が導入されたことと、XPS分析における軽元素(窒素、酸素)の定量精度とに起因するものである。
また、本研究において、上記「u」(すなわち、O/(N+O))が0.35を超えたウルツ鉱型の単相を得ることができなかった。このことは、u=1、かつ、y/(x+y)=0では、MがZrでホタル石型ZrO2相、MがNbでルチル型NbO2相、MがMoでルチル型MoO2相、もしくは、三酸化レニウム(ReO3)と同じ結晶構造をもつMoO3相、MがHfでホタル石型HfO2相、MがTaでルチル型δ−TaO2相、さらにMがWで歪んだルチル型の構造をとるWO2相であり、u=1、かつ、y/(x+y)=1ではコランダム型Al2O3相であることを考慮すると理解できる。u値が増え、窒素量に対し酸素量が増えると、ウルツ鉱型単相が得ることが困難であることがわかり、本研究では、O/(N+O)=0.35まで、ウルツ鉱型単相が得られることを見出している。
すなわち、このサーミスタ用金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
すなわち、このフィルム型サーミスタセンサでは、絶縁性フィルム上に第1又は第2の発明のサーミスタ用金属窒化物材料で薄膜サーミスタ部が形成されているので、非焼成で形成され高B定数で耐熱性の高い薄膜サーミスタ部により、樹脂フィルム等の耐熱性の低い絶縁性フィルムを用いることができると共に、良好なサーミスタ特性を有した薄型でフレキシブルなサーミスタセンサが得られる。
また、従来、アルミナ等のセラミックスを用いた基板材料がしばしば用いられ、例えば、厚さ0.1mmへと薄くすると非常に脆く壊れやすい等の問題があったが、本発明においてはフィルムを用いることができるので、例えば、厚さ0.1mmの非常に薄いフィルム型サーミスタセンサを得ることができる。
すなわち、このサーミスタ用金属窒化物材料の製造方法では、M−Al合金スパッタリングターゲット(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)を用いて窒素及び酸素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記MxAly(N1−uOu)zからなる本発明のサーミスタ用金属窒化物材料を非焼成で成膜することができる。
すなわち、本発明に係るサーミスタ用金属窒化物材料によれば、一般式:MxAly(N1−uOu)z(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。0.65≦y/(x+y)≦0.98、0.40≦z≦0.55、0<u≦0.35、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、非焼成で良好なB定数が得られると共に高い耐熱性を有している。また、本発明に係るサーミスタ用金属窒化物材料の製造方法によれば、M−Al合金スパッタリングターゲット(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)を用いて窒素及び酸素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、上記MxAly(N1−uOu)zからなる本発明のサーミスタ用金属窒化物材料を非焼成で成膜することができる。さらに、本発明に係るフィルム型サーミスタセンサによれば、絶縁性フィルム上に本発明のサーミスタ用金属窒化物材料で薄膜サーミスタ部が形成されているので、樹脂フィルム等の耐熱性の低い絶縁性フィルムを用いて良好なサーミスタ特性を有した薄型でフレキシブルなサーミスタセンサが得られる。さらに、基板材料が、薄くすると非常に脆く壊れやすいセラミックスでなく、樹脂フィルムであることから、厚さ0.1mmの非常に薄いフィルム型サーミスタセンサが得られる。
また、M=Nbの場合、このサーミスタ用金属窒化物材料は、図2に示すように、Nb−Al−(N+O)系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
また、M=Moの場合、このサーミスタ用金属窒化物材料は、図3に示すように、Mo−Al−(N+O)系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
また、M=Hfの場合、このサーミスタ用金属窒化物材料は、図4に示すように、Hf−Al−(N+O)系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
また、M=Taの場合、このサーミスタ用金属窒化物材料は、図5に示すように、Ta−Al−(N+O)系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
また、M=Wの場合、このサーミスタ用金属窒化物材料は、図6に示すように、W−Al−(N+O)系3元系相図における点A,B,C,Dで囲まれる領域内の組成を有し、結晶相がウルツ鉱型である金属窒化物である。
なお、膜の表面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べ、(100)(a軸配向を示すhkl指数)と(002)(c軸配向を示すhkl指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満である場合、c軸配向が強いものとする。
上記一対のパターン電極4は、例えばCr膜とAu膜との積層金属膜でパターン形成され、薄膜サーミスタ部3上で互いに対向状態に配した櫛形パターンの一対の櫛形電極部4aと、これら櫛形電極部4aに先端部が接続され基端部が絶縁性フィルム2の端部に配されて延在した一対の直線延在部4bとを有している。
例えば、M=Zrの場合、Zr−Al合金スパッタリングターゲットを用い、またM=Nbの場合、Nb−Al合金スパッタリングターゲットを用い、また、M=Moの場合、Mo−Al合金スパッタリングターゲットを用い、また、M=Hfの場合、Hf−Al合金スパッタリングターゲットを用い、また、M=Taの場合、Ta−Al合金スパッタリングターゲットを用い、さらにM=Wの場合、W−Al合金スパッタリングターゲットを用いる。
また、上記反応性スパッタにおけるスパッタガス圧を、1.5Pa未満に設定している。
さらに、上記成膜工程後に、形成された膜に窒素プラズマを照射することが好ましい。
M=Zrとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.4Pa、ターゲット投入電力(出力):500Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:29.8%、酸素ガス分圧:0.2%とする。
M=Nbとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.4Pa、ターゲット投入電力(出力):300Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:39.8%、酸素ガス分圧:0.2%とする。
M=Moとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.67Pa、ターゲット投入電力(出力):300Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:29.8%、酸素ガス分圧:0.2%とする。
M=Hfとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.27Pa、ターゲット投入電力(出力):300Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:24.8%、酸素ガス分圧:0.2%とする。
M=Taとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.4Pa、ターゲット投入電力(出力):300Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:29.8%、酸素ガス分圧:0.2%とする。
M=Wとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.4Pa、ターゲット投入電力(出力):300Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:29.8%、酸素ガス分圧:0.2%とする。
このようにして、例えばサイズを25×3.6mmとし、厚さを0.1mmとした薄いフィルム型サーミスタセンサ1が得られる。
また、このサーミスタ用金属窒化物材料では、膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であるので、膜の結晶性が高く、高い耐熱性が得られる。
また、従来、アルミナ等のセラミックスを用いた基板材料がしばしば用いられ、例えば、厚さ0.1mmへと薄くすると非常に脆く壊れやすい等の問題があったが、本実施形態においてはフィルムを用いることができるので、例えば、厚さ0.1mmの非常に薄いフィルム型サーミスタセンサを得ることができる。
本発明の実施例及び比較例として、図9に示す膜評価用素子121を次のように作製した。
まず、反応性スパッタ法にて、様々な組成比のZr−Al合金ターゲット、Nb−Al合金ターゲット、Mo−Al合金ターゲット、Hf−Al合金ターゲット、Ta−Al合金ターゲット、W−Al合金ターゲットを用いて、Si基板Sとなる熱酸化膜付きSiウエハ上に、厚さ500nmの表1から表6に示す様々な組成比で形成されたサーミスタ用金属窒化物材料の薄膜サーミスタ部3を形成した。その時のスパッタ条件は、到達真空度:5×10−6Pa、スパッタガス圧:0.1〜1.5Pa、ターゲット投入電力(出力):100〜500Wで、Arガス+窒素ガス+酸素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分圧を10〜100%、酸素ガス分圧を0〜3%と変えて作製した。
なお、比較としてMxAly(N1−uOu)z(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)の組成比が本発明の範囲外であって結晶系が異なる比較例についても同様に作製して評価を行った。
(1)組成分析
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。このXPSでは、Arスパッタにより、最表面から深さ20nmのスパッタ面において、定量分析を実施した。その結果を表1から表6に示す。なお、以下の表中の組成比は「原子%」で示している。一部のサンプルに対して、最表面から深さ100nmのスパッタ面における定量分析を実施し、深さ20nmのスパッタ面と定量精度の範囲内で同じ組成であることを確認している。
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3について、4端子法(van der pauw法)にて25℃での比抵抗を測定した。その結果を表1から表6に示す。
(3)B定数測定
膜評価用素子121の25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。その結果を表1から表6に示す。また、25℃と50℃との抵抗値より負の温度特性をもつサーミスタであることを確認している。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
なお、図16から図21のデータにおいて、同じAl/(Zr+Al)比、同じAl/(Nb+Al)比、同じAl/(Mo+Al)比、同じAl/(Hf+Al)比、同じAl/(Ta+Al)比、または同じAl/(W+Al)比に対して、B定数がばらついているのは、結晶中の窒素量と酸素量とが異なる、もしくは窒素欠陥、酸素欠陥等の格子欠陥量が異なるためである。
このように、Al/(M+Al)<0.65の領域では、25℃における比抵抗値が20Ωcm未満、B定数が1400K未満であり、低抵抗かつ低B定数の領域であった。
表1から表6に示す比較例1は、いずれも(N+O)/(M+Al+N+O)が0.40に満たない領域であり、金属が窒化不足の結晶状態になっている。この比較例1は、NaCl型でも、ウルツ鉱型でもない、非常に結晶性の劣る状態であった。また、これら比較例では、B定数及び抵抗値が共に非常に小さく、金属的振舞いに近いことがわかった。
反応性スパッタ法にて得られた薄膜サーミスタ部3を、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、結晶相を同定した。この薄膜X線回折は、微小角X線回折実験であり、管球をCuとし、入射角を1度とすると共に2θ=20〜130度の範囲で測定した。一部のサンプルについては、入射角を0度とし、2θ=20〜100度の範囲で測定した。
なお、表1から表6に示す比較例1は、上述したように結晶相がウルツ鉱型相でもNaCl型相でもなく、本試験においては同定できなかった。また、これらの比較例は、XRDのピーク幅が非常に広いことから、非常に結晶性の劣る材料であった。これは、電気特性により金属的振舞いに近いことから、窒化不足の金属相になっていると考えられる。
これらの結果からわかるように、これらの実施例では、(100)よりも(002)の強度が非常に強くなっている。
次に、薄膜サーミスタ部3の断面における結晶形態を示す一例として、M=Zrの場合として、熱酸化膜付きSi基板S上に630nm程度成膜された実施例(Al/(Zr+Al)=0.92,ウルツ鉱型六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図28に示す。
M=Nbの場合として、熱酸化膜付きSi基板S上に1120nm程度成膜された実施例(Al/(Nb+Al)=0.95,ウルツ鉱型六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図29に示す。
M=Moの場合として、熱酸化膜付きSi基板S上に450nm程度成膜された実施例(Al/(Mo+Al)=0.84,ウルツ鉱型六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図30に示す。
M=Hfの場合として、熱酸化膜付きSi基板S上に285nm程度成膜された実施例(Al/(Hf+Al)=0.74,ウルツ鉱型六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図31に示す。
M=Taの場合として、熱酸化膜付きSi基板S上に360nm程度成膜された実施例(Al/(Ta+Al)=0.72,ウルツ鉱型六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図32に示す。
M=Wの場合として、熱酸化膜付きSi基板S上に320nm程度成膜された実施例(Al/(W+Al)=0.91,ウルツ鉱型六方晶、c軸配向性が強い)の薄膜サーミスタ部3における断面SEM写真を、図33に示す。
これらの実施例のサンプルは、Si基板Sをへき開破断したものを用いている。また、45°の角度で傾斜観察した写真である。
なお、図中の柱状結晶サイズについて、M=Zrの場合である図28の実施例は、粒径が30nmφ(±15nmφ)、長さ630nm程度であった。
また、M=Nbの場合である図29の実施例は、粒径が20nmφ(±10nmφ)、長さ1120nm程度であった。
また、M=Moの場合である図30の実施例は、粒径が20nmφ(±10nmφ)、長さ450nm程度であった。
また、M=Hfの場合である図31の実施例は、粒径が25nmφ(±15nmφ)、長さ285nm程度であった。
また、M=Taの場合である図32の実施例は、粒径が20nmφ(±10nmφ)、長さ360nm程度であった。
また、M=Wの場合である図33の実施例は、粒径が15nmφ(±10nmφ)、長さ320nmであった。
柱状結晶のアスペクト比を(長さ)÷(粒径)として定義すると、本実施例は10以上の大きいアスペクト比をもっている。柱状結晶の粒径が小さいことにより、膜が緻密となっていると考えられる。
なお、熱酸化膜付きSi基板S上に200nm、500nm、1000nmの厚さでそれぞれ成膜された場合にも、上記同様、緻密な柱状結晶で形成されていることを確認している。
表1から表6に示す実施例及び比較例の一部において、大気中,125℃,1000hの耐熱試験前後における抵抗値及びB定数を評価した。その結果を表7に示す。なお、比較として従来のウルツ鉱型でないTa−Al−(N+O)系材料による比較例も同様に評価した。また、参考として、酸素ガスを含有しない窒素ガスとArガスとの混合ガス雰囲気中で反応性スパッタを行い、M−Al−N(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)系材料による薄膜サーミスタ部3を形成した参考例(「ZrAlN参考例」「NbAlN参考例」「MoAlN参考例」「HfAlN参考例」「TaAlN参考例」「WAlN参考例」:いずれもウルツ鉱型六方晶、c軸配向が強い)についても同様に耐熱試験を行った結果を、表7に併せて示す。
また、酸素を積極的に含有させていないM−Al−N(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)系材料による各参考例は、比較例よりも耐熱性に優れているが、これらの参考例に比べて、酸素を積極的に含有させた本発明のM−Al−(N+O)(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)系材料による実施例の方が、抵抗値上昇率が小さく、さらに耐熱性に優れていることがわかる。
以上の結果より、ウルツ鉱型の単一相をとることで、耐熱性において、良好な結果が得られたと考えられる。
また、M=Ta,M=Wの場合(Ta−Al−(N+O),W−Al−(N+O))は、Ti−AI−(N+O)系よりも同じ抵抗値に対するB定数が大きい。
Claims (4)
- サーミスタに用いられる金属窒化物材料であって、
一般式:MxAly(N1−uOu)z(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。0.65≦y/(x+y)≦0.98、0.40≦z≦0.55、0<u≦0.35、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、
その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とするサーミスタ用金属窒化物材料。 - 請求項1に記載のサーミスタ用金属窒化物材料において、
膜状に形成され、
前記膜の表面に対して垂直方向に延在している柱状結晶であることを特徴とするサーミスタ用金属窒化物材料。 - 絶縁性フィルムと、
該絶縁性フィルム上に請求項1又は2に記載のサーミスタ用金属窒化物材料で形成された薄膜サーミスタ部と、
少なくとも前記薄膜サーミスタ部の上又は下に形成された一対のパターン電極とを備えていることを特徴とするフィルム型サーミスタセンサ。 - 請求項1又は2に記載のサーミスタ用金属窒化物材料を製造する方法であって、
M−Al合金スパッタリングターゲット(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)を用いて窒素及び酸素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜する成膜工程を有していることを特徴とするサーミスタ用金属窒化物材料の製造方法。
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