JP2016135964A - アスファルト舗装面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】VOCの放出抑制効果と滑り止め効果とを両立できるアスファルト舗装面処理方法を提供すること。【解決手段】 アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成し、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制するアスファルト舗装面処理方法であって、アクリル系樹脂が、変性アクリルビニールエマルジョンを主成分として含有するとともに、アクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を100重量部以上〜150重量部以下含有させてあり、アスファルト舗装体表面に珪砂粒子を含有するアクリル系樹脂被膜を形成した後、アクリル系樹脂被膜の硬化前に、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布する。【選択図】なし
Description
本発明は、アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成し、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制するアスファルト舗装面処理方法に関する。
従来、アスファルトにより舗装を行う場合、アスファルト材料中に含まれる種々の成分が硬化して一体化することによりアスファルト舗装体を形成することができる。しかしアスファルト材料中には、種々の揮発成分が含まれ、また、舗装作業中にアスファルト材料を加熱することによっても揮発成分が生成し、これら揮発成分(以下VOC等と称する)が大気中に放散されるという問題があった。このVOC等は、アレルギーの原因になるなどの悪影響をもたらすため可能な限り抑制することが望まれる。このような場合にアスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制するべく、アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成することが考えられている。
一方、アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成する技術としては、アスファルト舗装体表面に耐摩耗性の骨材を含有する滑り止め舗装が知られている(たとえば特開2008−156839号公報(特許文献1)参照)。樹脂系の滑り止め舗装は、既設または新設のアスファルトやコンクリート舗装面上に、樹脂バインダを塗布し、その上に耐摩耗性の骨材を散布し、骨材を路面に固着させたものであり、湿潤時においてもすべり抵抗値を高めることを目的としている。
上記滑り止め舗装は、樹脂バインダを舗装面に塗布するとともに、粒径1〜5mmの骨材を樹脂バインダ塗布面に散布するものである。
しかし、このような滑り止め舗装を行う場合に、樹脂バインダとしてアクリルバインダを用いることを想定しても、その樹脂バインダに骨材を散布した際に樹脂バインダによるVOCの放出抑制効果と骨材による滑り止め効果とを両立できるか否かについては明らかになっておらず、また、骨材として適した材質、物性についても明らかではないという現状にあった。
したがって、本発明は上記実状に鑑み、VOCの放出抑制効果と滑り止め効果とを両立できるアスファルト舗装面処理方法を提供することを目的とする。
〔構成1〕
上記目的を達成するための本発明のアスファルト舗装面処理方法の特徴構成は、
アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成し、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制するアスファルト舗装面処理方法であって、
前記アクリル系樹脂が、樹脂成分として変性アクリルビニールエマルジョンを主成分として含有するとともに、
前記アクリル系樹脂には、アクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を100重量部以上〜150重量部以下含有させてあり、
アスファルト舗装体表面に前記珪砂粒子を含有するアクリル系樹脂被膜を形成した後、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布する点にある。
上記目的を達成するための本発明のアスファルト舗装面処理方法の特徴構成は、
アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成し、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制するアスファルト舗装面処理方法であって、
前記アクリル系樹脂が、樹脂成分として変性アクリルビニールエマルジョンを主成分として含有するとともに、
前記アクリル系樹脂には、アクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を100重量部以上〜150重量部以下含有させてあり、
アスファルト舗装体表面に前記珪砂粒子を含有するアクリル系樹脂被膜を形成した後、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布する点にある。
〔作用効果1〕
上記構成によると、アスファルト舗装体の表面に変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とするアクリル系樹脂被膜を形成するからアクリル樹脂被膜がアスファルト舗装体の表面を覆い、VOCが揮発して大気中に放散されるのを抑制することが期待される。ここで、アクリル系樹脂被膜は、比較的微細な粒度18〜70メッシュの珪砂粒子(粒径分布0.3mm〜0.7mm程度、一般に5号珪砂として入手可能である)を含有するものであるから、樹脂被膜自体が強固に形成されるとともに、樹脂被膜自体に滑り止め効果を付与することが期待できる。さらに、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を散布すると、散布した珪砂粒子による滑り止め効果が発揮され、これらの相乗効果により高い滑り止め効果が発揮されると考えられる。
上記構成によると、アスファルト舗装体の表面に変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とするアクリル系樹脂被膜を形成するからアクリル樹脂被膜がアスファルト舗装体の表面を覆い、VOCが揮発して大気中に放散されるのを抑制することが期待される。ここで、アクリル系樹脂被膜は、比較的微細な粒度18〜70メッシュの珪砂粒子(粒径分布0.3mm〜0.7mm程度、一般に5号珪砂として入手可能である)を含有するものであるから、樹脂被膜自体が強固に形成されるとともに、樹脂被膜自体に滑り止め効果を付与することが期待できる。さらに、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を散布すると、散布した珪砂粒子による滑り止め効果が発揮され、これらの相乗効果により高い滑り止め効果が発揮されると考えられる。
ここで、アクリル系樹脂被膜の硬化前に珪砂粒子を散布するに際して、アクリル系樹脂被膜が緻密に形成されていること、および、珪砂粒子を従来よりも十分小径のものとしていることにより、散布された珪砂粒子は、アクリル系樹脂被膜を破ることなくそのアクリル系樹脂被膜の表面に露出した状態で付着してアクリル系樹脂被膜の硬化とともに固定化されるものと考えられる。そのため、アクリル樹脂被膜のVOC抑制効果を阻害することなく滑り抵抗を付与することができるものと考えられる。珪砂粒子は、アクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布されるから、小径の粒子であっても十分な滑り止め効果を付与でき、従来の粒径1〜5mmの骨材を用いた滑り止め舗装に匹敵する滑り抵抗を発揮させることができるようになった。
なお、珪砂粒子の散布量は少なすぎると十分な効果が得られないことからアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上とし、多すぎても滑り抵抗が飽和し散布効果が向上しにくくなる点からアクリル系樹脂被膜1kgあたり1kg以下としている。
すなわち、VOCの放出抑制効果と滑り止め効果とを両立できるようになり、アスファルト舗装面から放出されるVOCによる環境汚染を効率よく抑制することができるとともに、放出されたVOCによるアレルギー反応などを抑制して快適な環境を維持することができるようになった。
また、珪砂粒子の散布に際しては、アクリル系樹脂被膜上で均し作業を行う場合があるが、このような均し作業の際に、珪砂粒子の散布量が多すぎたり、珪砂粒子の粒径が大きすぎたりすると、アクリル系樹脂被膜のシール性が損なわれる虞があるのに対して、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布することで、このような虞を回避することができる。
〔構成2〕
上記構成において前記アクリル系樹脂被膜がアスファルト舗装面に対して0.1kg/m2以上0.2kg/m2以下形成するものとしてもよい。
上記構成において前記アクリル系樹脂被膜がアスファルト舗装面に対して0.1kg/m2以上0.2kg/m2以下形成するものとしてもよい。
〔作用効果2〕
アクリル系樹脂被膜は、薄くなりすぎると、VOC抑制効果が低くなるとともに、均一な被膜を得ることが困難になり、硬化不良の原因となりやすい傾向にあるからアスファルト舗装面に対して0.1kg/m2以上とし、厚くしすぎてもVOC抑制効果が飽和するとともにVOC抑制効果が向上しにくくなる点からアスファルト舗装面に対して0.2kg/m2以下とすることが好ましいと考えられる。
アクリル系樹脂被膜は、薄くなりすぎると、VOC抑制効果が低くなるとともに、均一な被膜を得ることが困難になり、硬化不良の原因となりやすい傾向にあるからアスファルト舗装面に対して0.1kg/m2以上とし、厚くしすぎてもVOC抑制効果が飽和するとともにVOC抑制効果が向上しにくくなる点からアスファルト舗装面に対して0.2kg/m2以下とすることが好ましいと考えられる。
また、上記構成において、アスファルト舗装面が5℃〜60℃の熱をもっている間に、前記アスファルト舗装面上に前記アクリル系樹脂被膜を形成することが好ましい。
アスファルト舗装体を舗装したばかりのアスファルト舗装面が熱を持った状態では、VOC成分が熱により揮発しやすい状態となっており、この状態でアスファルト舗装体からVOCの放出が最も盛んであると考えられる。そこで、アスファルト舗装面が5℃〜60℃の熱をもっている間に、前記アスファルト舗装面上に前記アクリル系樹脂被膜を形成すると、VOCをアスファルト舗装体内部に封じ込めることができ、アスファルト舗装面から放出されるVOCによる環境汚染を効率よく抑制することができることになるので好ましい。
また、このような温度域では珪砂粒子の散布作業性が高くかつアクリル系樹脂被膜に対する珪砂粒子の付着性を高くすることができ、硬化不良も抑制できるので好ましい。
したがって、VOCの放出抑制効果と滑り止め効果とを両立することができるようになった。
以下に、本発明の実施形態にかかるアスファルト舗装面処理方法を説明する。尚、以下に好適な実施形態を記すが、これら実施形態はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
本発明の実施形態にかかるアスファルト舗装面処理方法においては、
まず、アスファルト舗装体の表面に、珪砂を含有する変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とするアクリル系樹脂からなるシール液を用いて、アクリル系樹脂被膜を形成し、
前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜に散布する。 これにより、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制する。
まず、アスファルト舗装体の表面に、珪砂を含有する変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とするアクリル系樹脂からなるシール液を用いて、アクリル系樹脂被膜を形成し、
前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜に散布する。 これにより、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制する。
〔アクリル系樹脂被膜〕
アクリル系樹脂を主成分とするシール液は変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とし、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して100重量部以上〜150重量部以下含有するものである。
アクリル系樹脂を主成分とするシール液は変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とし、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して100重量部以上〜150重量部以下含有するものである。
このようなアクリル系樹脂は、ダイノフレックスアスファルトシーラー(エイエフエムジャパン株式会社製)として流通しており、5号珪砂を適正量計りとり、適宜ミキサーにより混練することにより得ることができる。
このようなアクリル系樹脂は、アスファルト舗装面に対して、刷毛塗り等公知の手法により、0.1kg/m2以上0.2kg/m2以下塗布され、被膜として形成される。この被膜は、冷却硬化によりアスファルト舗装面を被覆する被膜となる。
〔珪砂の散布〕
アクリル系樹脂被膜の硬化前に、5号珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布する。具体的には、アスファルト塗装面の温度が5℃〜60℃の時にアクリル系樹脂被膜を形成後速やかに、アクリル系樹脂被膜が未硬化である状態で、5号珪砂をスコップなどで散布した後、均一に均し、アクリル系樹脂被膜を、業務用扇風機等により強制送風乾燥、または、そのまま放置して冷却硬化させる。
アクリル系樹脂被膜の硬化前に、5号珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布する。具体的には、アスファルト塗装面の温度が5℃〜60℃の時にアクリル系樹脂被膜を形成後速やかに、アクリル系樹脂被膜が未硬化である状態で、5号珪砂をスコップなどで散布した後、均一に均し、アクリル系樹脂被膜を、業務用扇風機等により強制送風乾燥、または、そのまま放置して冷却硬化させる。
このようにして得られたアクリル系樹脂被膜を形成してなるアスファルト舗装体は、被膜形成後硬化されるまで、VOCを放出せず、かつアクリル系樹脂被膜が硬化した後もVOCによる環境汚染を抑制することが明らかになった。また、得られたアクリル系樹脂被膜を形成してなるアスファルト舗装体は、高い滑り止め効果を発揮することが明らかになった。
以下に、上記アクリル系樹脂被膜を形成してなるアスファルト舗装体のVOCの放出抑制効果と滑り止め効果とを検証した試験例を説明する。
〔試験例1〜3〕
密粒度アスファルト混合物を用いて、一辺30cmの正方形のアスファルト舗装面を有する試験用アスファルト舗装体を作成した。変性アクリルビニールエマルジョンとしてダイノフレックスアスファルトシーラーを水で希釈(1.5倍)したシール液を、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に塗布して被膜を形成した試験体を作成した。なお、水で希釈することにより、アクリル系樹脂被膜の塗工性が向上するとともに、被膜の硬化時間(速度)を適宜調整することができる。
その結果、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面の滑り抵抗は、被膜を形成していないもの(試験例1)について、78BPN(BPNは、英国式ポータブル・スキッド・レジスタンス・テスターにより測定される滑り抵抗値であり、舗装調査・試験法便覧S021−2「すべり抵抗測定」に準じて測定される)であったのに対して、被膜を形成したものは28〜30(試験例2,3)となっており、滑りやすいものであった。また、この滑りやすさは、アクリル系樹脂被膜の厚さ(変性アクリルビニールエマルジョンの塗布量)を変えても大きく変わらないことが確認できた。また、官能試験により試験例1の試験体よりも、試験例2,3の試験体のほうが、臭気が少なく、VOCの放出が被膜により抑制されていることが確認できた。
密粒度アスファルト混合物を用いて、一辺30cmの正方形のアスファルト舗装面を有する試験用アスファルト舗装体を作成した。変性アクリルビニールエマルジョンとしてダイノフレックスアスファルトシーラーを水で希釈(1.5倍)したシール液を、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に塗布して被膜を形成した試験体を作成した。なお、水で希釈することにより、アクリル系樹脂被膜の塗工性が向上するとともに、被膜の硬化時間(速度)を適宜調整することができる。
その結果、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面の滑り抵抗は、被膜を形成していないもの(試験例1)について、78BPN(BPNは、英国式ポータブル・スキッド・レジスタンス・テスターにより測定される滑り抵抗値であり、舗装調査・試験法便覧S021−2「すべり抵抗測定」に準じて測定される)であったのに対して、被膜を形成したものは28〜30(試験例2,3)となっており、滑りやすいものであった。また、この滑りやすさは、アクリル系樹脂被膜の厚さ(変性アクリルビニールエマルジョンの塗布量)を変えても大きく変わらないことが確認できた。また、官能試験により試験例1の試験体よりも、試験例2,3の試験体のほうが、臭気が少なく、VOCの放出が被膜により抑制されていることが確認できた。
〔試験例4〜9〕
次に、試験例2,3で用いたシール液に、珪砂を混合し、同様に試験を行った。具体的には、変性アクリルビニールエマルジョン100質量部に対して、希釈水50質量部、4号〜6号珪砂100質量部混合してあるシール液(試験例4〜9)を用いて、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に被膜を形成した試験体を作成した。その結果、4号珪砂を混合したものは刷毛塗りが困難で、一部に刷毛塗り跡が残る塗工不良が発生するなど、5、6号珪砂に比べて作業性が低下することがわかった。そのため、シール液に混合する珪砂としては、作業性の観点から4号珪砂よりも5,6号珪砂を用いることが好ましいことが分かった。なお、いずれの珪砂を用いた場合であっても、珪砂を用いない例に比べて高い滑り抵抗を得られることがわかり、また、官能試験においても臭気の抑制効果が確認されたことから、被膜に珪砂を含有することで、VOC放出抑制効果と滑り止め効果がともに得られていることが分かった。また、被膜を形成する塗布量は、珪砂を混合した場合であっても、0.15〜0.2kg/m2であればほぼ同等の滑り抵抗値となることがわかった。
次に、試験例2,3で用いたシール液に、珪砂を混合し、同様に試験を行った。具体的には、変性アクリルビニールエマルジョン100質量部に対して、希釈水50質量部、4号〜6号珪砂100質量部混合してあるシール液(試験例4〜9)を用いて、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に被膜を形成した試験体を作成した。その結果、4号珪砂を混合したものは刷毛塗りが困難で、一部に刷毛塗り跡が残る塗工不良が発生するなど、5、6号珪砂に比べて作業性が低下することがわかった。そのため、シール液に混合する珪砂としては、作業性の観点から4号珪砂よりも5,6号珪砂を用いることが好ましいことが分かった。なお、いずれの珪砂を用いた場合であっても、珪砂を用いない例に比べて高い滑り抵抗を得られることがわかり、また、官能試験においても臭気の抑制効果が確認されたことから、被膜に珪砂を含有することで、VOC放出抑制効果と滑り止め効果がともに得られていることが分かった。また、被膜を形成する塗布量は、珪砂を混合した場合であっても、0.15〜0.2kg/m2であればほぼ同等の滑り抵抗値となることがわかった。
〔試験例10〜13〕
次に、混合する珪砂量を変更して同様に試験を行った。具体的には、変性アクリルビニールエマルジョン100質量部に対して、希釈水50質量部、6号珪砂50〜100質量部混合してあるシール液を用いて、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に被膜を形成した試験体を作成した。その結果、6号珪砂を50質量部混合したもの(試験例10)は、アスファルト舗装体の表面の凹凸に対して充填残りが発生する塗工不良が発生し、VOC放出抑制効果が十分に発揮されなくなる場合があるが、100質量部混合したもの(試験例11)は、このような塗工不良が発生することなく良好に施工できるとともに、官能試験によりVOC放出抑制効果が十分に発揮されていることも確認できた。
さらに、変性アクリルビニールエマルジョン100質量部に対して、希釈水50質量部、5号珪砂100〜150質量部混合してあるシール液を用いて、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に被膜を形成した試験体を作成した。その結果、珪砂を100重量部用いた場合(先述の試験例7)と125〜150重量部用いた場合(試験例12,13)において滑り抵抗に大きな差異は見られず、珪砂使用量は、アクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して100重量部以上〜150重量部以下含有するものとできることがわかった。
次に、混合する珪砂量を変更して同様に試験を行った。具体的には、変性アクリルビニールエマルジョン100質量部に対して、希釈水50質量部、6号珪砂50〜100質量部混合してあるシール液を用いて、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に被膜を形成した試験体を作成した。その結果、6号珪砂を50質量部混合したもの(試験例10)は、アスファルト舗装体の表面の凹凸に対して充填残りが発生する塗工不良が発生し、VOC放出抑制効果が十分に発揮されなくなる場合があるが、100質量部混合したもの(試験例11)は、このような塗工不良が発生することなく良好に施工できるとともに、官能試験によりVOC放出抑制効果が十分に発揮されていることも確認できた。
さらに、変性アクリルビニールエマルジョン100質量部に対して、希釈水50質量部、5号珪砂100〜150質量部混合してあるシール液を用いて、試験用アスファルト舗装体のアスファルト舗装面に被膜を形成した試験体を作成した。その結果、珪砂を100重量部用いた場合(先述の試験例7)と125〜150重量部用いた場合(試験例12,13)において滑り抵抗に大きな差異は見られず、珪砂使用量は、アクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して100重量部以上〜150重量部以下含有するものとできることがわかった。
〔試験例14、実施例15、16〕
試験例4〜13によってアクリル系樹脂被膜の滑り抵抗は、改善されたものの一般道路で使用されるには、さらに滑り抵抗の改善が求められる。そこで、アスファルト舗装体表面に前記珪砂粒子を含有するアクリル系樹脂被膜を形成した後、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、珪砂粒子を散布することにより滑り抵抗の向上を図った。
具体的には、試験例7と同様に形成した被膜に対して、4号珪砂または5号珪砂を0.1kg/m2(アクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kgに相当)散布して滑り抵抗がどのように改善するか調べた(試験例14、実施例15)。その結果、いずれの場合も被膜の硬化後滑り抵抗は大きく改善して、一般道路での使用に適した55BPN以上を満足する結果となった。さらに、5号珪砂について、散布量を0.2kg/m2(アクリル系樹脂被膜1kgあたり1kgに相当)に増やして同様に滑り抵抗がどのように改善するか調べた(実施例16)。その結果、散布量を増やせば滑り抵抗はさらに向上し、アスファルト舗装体自体の滑り抵抗に匹敵するまで、滑り止め効果が発揮されていることが分かった。また、このような場合、珪砂粒子を散布する工程によって被膜によるシール性が低下し、VOC抑制効果が低下することが懸念されたが、実施例16によると、施工直後であってもVOC放出量が5.7ppmと、試験例1に比べて大きく抑制されていることがわかり、十分に滑り止め効果とVOC抑制効果を両立できていることがわかった。
試験例4〜13によってアクリル系樹脂被膜の滑り抵抗は、改善されたものの一般道路で使用されるには、さらに滑り抵抗の改善が求められる。そこで、アスファルト舗装体表面に前記珪砂粒子を含有するアクリル系樹脂被膜を形成した後、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、珪砂粒子を散布することにより滑り抵抗の向上を図った。
具体的には、試験例7と同様に形成した被膜に対して、4号珪砂または5号珪砂を0.1kg/m2(アクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kgに相当)散布して滑り抵抗がどのように改善するか調べた(試験例14、実施例15)。その結果、いずれの場合も被膜の硬化後滑り抵抗は大きく改善して、一般道路での使用に適した55BPN以上を満足する結果となった。さらに、5号珪砂について、散布量を0.2kg/m2(アクリル系樹脂被膜1kgあたり1kgに相当)に増やして同様に滑り抵抗がどのように改善するか調べた(実施例16)。その結果、散布量を増やせば滑り抵抗はさらに向上し、アスファルト舗装体自体の滑り抵抗に匹敵するまで、滑り止め効果が発揮されていることが分かった。また、このような場合、珪砂粒子を散布する工程によって被膜によるシール性が低下し、VOC抑制効果が低下することが懸念されたが、実施例16によると、施工直後であってもVOC放出量が5.7ppmと、試験例1に比べて大きく抑制されていることがわかり、十分に滑り止め効果とVOC抑制効果を両立できていることがわかった。
以上の結果をまとめると表1のようになる。
表1より、変性アクリルビニールエマルジョンを主成分とするアクリル系樹脂被膜のVOCの放散抑制効果が確認されるとともに、比較的微細な粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を配合することにより被膜強度を向上させるとともに、硬化前に滑り止め用の珪砂粒子を散布してもVOCの放散抑制効果が維持され、かつ、微細な粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を散布することによって、高い滑り止め効果を付与することができることが明らかになった。また、この際、珪砂粒子をアクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して100重量部以上〜150重量部以下含有することが好ましく、珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布することが好ましいことがわかった。
なお、アスファルト舗装面が5℃〜60℃の間に、前記アスファルト舗装面上に前記アクリル系樹脂被膜を形成することが好ましい。アスファルト舗装面が5℃〜60℃の間に、アスファルト舗装面上に前記アクリル系樹脂被膜を形成すると、アクリル系樹脂被膜を確実に硬化させて舗装面全体に被覆させることができるとともに、VOCをアスファルト舗装体内部に封じ込めることができ、アスファルト舗装面から放出されるVOCによる環境汚染を効率よく抑制することができることになるので好ましい。
また、このような温度域では、アクリル系樹脂被膜に対する珪砂粒子の散布作業性が高くかつアクリル系樹脂被膜に対する珪砂粒子の付着性を高くすることができ、硬化不良も抑制できるので好ましい。
Claims (2)
- アスファルト舗装体の表面にアクリル系樹脂被膜を形成し、アスファルト舗装体からVOCが放出されるのを抑制するアスファルト舗装面処理方法であって、
前記アクリル系樹脂が、樹脂成分として変性アクリルビニールエマルジョンを主成分として含有するとともに、
前記アクリル系樹脂には、アクリル系樹脂中の樹脂成分100質量部に対して粒度18〜70メッシュの珪砂粒子を100重量部以上〜150重量部以下含有させてあり、
アスファルト舗装体表面に前記珪砂粒子を含有するアクリル系樹脂被膜を形成した後、前記アクリル系樹脂被膜の硬化前に、粒度18〜70メッシュの珪砂粒子をアクリル系樹脂被膜1kgあたり0.5kg以上1kg以下散布するアスファルト舗装面処理方法。 - 前記アクリル系樹脂被膜がアスファルト舗装面に対して0.1kg/m2以上0.2kg/m2以下形成する請求項1に記載のアスファルト舗装面処理方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109056446A (zh) * | 2018-09-10 | 2018-12-21 | 王海 | 一种无震动止滑车道的施工方法 |
WO2023145579A1 (ja) * | 2022-01-25 | 2023-08-03 | 国立大学法人 筑波大学 | 舗装構造物 |
JP7462104B1 (ja) | 2022-10-11 | 2024-04-04 | 株式会社オーエヌグループ | 真空パック製品を使用した樹脂舗装の施工方法 |
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2015
- 2015-01-23 JP JP2015011346A patent/JP2016135964A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109056446A (zh) * | 2018-09-10 | 2018-12-21 | 王海 | 一种无震动止滑车道的施工方法 |
WO2023145579A1 (ja) * | 2022-01-25 | 2023-08-03 | 国立大学法人 筑波大学 | 舗装構造物 |
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