JP2016135840A - 硬質材料用ラップ液 - Google Patents

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剛 福島
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俊貴 児島
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Abstract

【課題】本発明の硬質材料用ラップ液は、硬度が高い難加工金属において、従来よりも高速で且つ被加工物の加工精度を高く維持することができる硬質材料用ラップ液及び硬質材料用ラップ液組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ビッカース硬さが1,100以上の硬質材料をラッピングする工程で用いる硬質材料用ラップ液であって、水及び数平均分子量が4,000〜10,000,000である水溶性高分子(A)を含有する硬質材料用ラップ液。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬質材料用ラップ液に関する。さらに詳しくは、高質材料をラップする際に、従来よりも高速で、加工液が低濃度で使用される過酷な加工条件でも、工具や被加工物の振動を抑制し、被加工物の加工精度を高く維持することができる硬質材料用ラップ液に関する。
従来、金属部材の切削、又は研削等の硬質材料用ラップ液として、火災の危険性を無くす目的や、洗浄性を高める目的、オイルミストの発生が無いため作業場環境が改善されるという目的から、含水加工液が用いられている(特許文献1)。
近年は、金属部材の加工時間短縮を目的に、従来よりも高い加工熱の除冷性が加工液に求められる様になった。また、金属部材の微細化や高精度化に伴い、より高い加工安定性を兼ね備えた加工液が望まれている。また、炭化ケイ素(SiC)や酸化アルミニウム(サファイア等)等といった硬質金属や、より耐久性が高い合金等といった高い硬度を有する金属に対しても加工性の課題解決が重要とされるようになってきた。
通常、SiCやサファイアなどのインゴットやウエハ加工においては、難加工材であるために加工熱の除熱が不足するという課題がある。例えば、ウエハ加工において、硬質材料用ラップ液はダイヤモンドやシリカなどの研削・研磨粒子が配合されて研削や研磨工程に使用するが、そこで、加工熱の発生を抑制する目的で潤滑剤を添加する方法が知られているが、加工熱の除熱が不足するという問題があった(特許文献2)。
その対策としては、加工液に比熱の高い成分を用いることが考えられ、例えば水を加工液に含有させることが従来知られている(特許文献3)。しかし、このような水を使用した加工液は砥粒の分散性が低下するとともに、砥粒の加工部での保持が不十分となり、研削に作用する砥粒数が減少することにより加工速度に得られない等の問題があった。
砥粒の加工部での保持力を高める方法としては、グリセリン等の比較的粘性の高い成分で加工液自体の粘度を高めることが知られているが、被加工物の表面に荒れが生じ、加工自体が安定しない等、加工面精度が十分に得られなかった(特許文献4)。
特開2010−111854号公報 特開2009−263534号公報 特開2003−292985号公報 特開2011−98396号公報
そこで本発明の硬質材料用ラップ液は、硬度が高い難加工材料において、従来よりも高速で且つ被加工物の加工精度を高く維持することができる硬質材料用ラップ液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ビッカース硬さが1,100以上の硬質材料をラッピングする工程で用いる硬質材料用ラップ液であって、水及び数平均分子量が4,000〜10,000,000である水溶性高分子(A)を含有する硬質材料用ラップ液である。
本発明の硬質材料用ラップ液は、硬度が高い難加工材料において、従来よりも高速で且つ被加工物の加工精度を高く維持することができる効果を奏する。
本発明の硬質材料用ラップ液は、ビッカース硬さが1,100以上の硬質材料をラッピングする工程で用いる硬質材料用ラップ液であって、水及び数平均分子量が4,000〜10,000,000である水溶性高分子(A)を含有する。
本発明における硬質材料は、ビッカース硬さが1,100以上の硬質材料であって、具体的には炭素、金属又は半金属の炭化物、金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属の酸化物、金属又は半金属のホウ化物等が挙げられる。
より具体的には、炭素としてはダイヤモンド等、金属又は半金属の炭化物としては炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化ジルコニウム、炭化タングステン等、金属又は半金属の窒化物としては窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等、金属又は半金属の酸化物としては酸化アルミニウム(サファイア等)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。加工精度の観点から好ましくは、サファイア(ビッカース硬さ(以下同様);2,300)、炭化ケイ素(2,350)、炭化ホウ素(3,000)、窒化ケイ素(1,400)及びダイヤモンド(10,000)である。
なお、硬質材料のビッカース硬さは、国際標準化機構が定めるISO・14705に対応する日本工業規格JIS・R1610に規定の方法で測定される。ビッカース圧子を用いて試験面にくぼみをつけたときの試験力と、くぼみの対角線長さから求めたくぼみの表面積とから算出される。
本発明における硬質材料のビッカース硬さとしては、通常1,100以上であり、加工速度の観点から好ましくは1,100〜3,500である。
本発明に用いる水溶性高分子(A)の数平均分子量は通常4,000〜10,000,000である。数平均分子量が4,000未満の場合は、工具、砥粒、被加工物に吸着した吸着膜自体の粘性が低いため潤滑性が十分に出ない、加工における振動を抑制できず研削速度と表面精度が低下する。数平均分子量が10,000,000を超える場合は、水及び/又は水溶性基剤への溶解性が低下して研削速度と表面精度が低下する。
(A)の数平均分子量は、好ましくは4,000〜7,000,00であり、更に好ましくは、8,000〜5,000,000である。
なお、水溶性高分子(A)の数平均分子量(以下、Mnと記載することもある)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量である。
Mnは、GPCによって、次の条件で測定される。装置本体:HLC−8120(東ソー株式会社製)、カラム:東ソー株式会社製TSKgel α6000、G3000 PWXL、検出器:装置本体内蔵の示差屈折計検出器、溶離液:0.5%酢酸ソーダ・水/メタノール(体積比70/30)、溶離液流量:1.0ml/分、カラム温度:40℃、試料:0.25%の溶離液溶液、注入量:200μl、標準物質:東ソー(株)製TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE、データ処理ソフト:GPC−8020modelII(東ソー株式会社製)。
本発明で用いる水溶性高分子(A)としては、アルキレンオキサイド付加物(A1)、エチレンイミン付加物(A2)、ポリカルボン酸(塩)(A3)、及びその他の水溶性高分子(A4)が挙げられる。
本発明で用いるアルキレンオキサイド付加物(A1)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物のアルキレンオキサイド付加物[アミノ基含有化合物、エステル化合物、アミド基を有する化合物、及びウレタン基を有する化合物のアルキレンオキサイド付加物等];アルキレンオキサイド付加物とイソシアネートを有する化合物等との重合物、アルキレンオキサイド付加物とカルボン酸との重縮合物、並びに二重結合を有するアルキレンオキサイド付加物の重合物等が挙げられる。
二重結合を有するアルキレンオキサイド付加物の重合物にあっては、不飽和カルボン酸及びその塩と共重合していても良い。
(A1)の具体例としては、ウレタン変性ポリエーテル、ポリアミドアミンのエチレンオキサイド(EO)/プロピレンオキサイド(PO)付加物、ポリメタクリル酸のEO付加物、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、ポリメタクリル酸のEO付加物及びポリエチレングリコール等が挙げられる。
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、3個の水酸基を有する化合物[グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなど];4個の水酸基を有する化合物[ペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ジグリセリンなど];5個の水酸基を有する化合物[キシリトール、トリグリセリンなど];6個の水酸基を有する化合物[ソルビトール、ジペンタエリスリトールなど];8個の水酸基を有する化合物[スクロースなど]のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、エチレンオキサイド(以下、EOと略称することがある。)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略称することがある。)、テトラヒドロフラン、1,2−ブチレンオキサイド等のうちの1種を単独で付加させてもよいし、これらの2種以上を併用して付加させてもよい。また、これらの2種以上を併用する際の付加形式はランダム状でもブロック状でもよく、また2種以上のアルキレンオキサイド、例えばEOとPOの付加する順番は問わない。抑泡性と潤滑性の観点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランの内、単独又は2種以上の併用が好ましい。水に対する溶解性の観点で更に好ましくはエチレンオキサイド単独又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの併用である。エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを併用する場合の重量比は、好ましくは99:1〜50:50である。更に好ましくは99:1〜65:35である。
本発明で用いるエチレンイミン付加物(A2)としては、ポリエチレンイミン、アルコールのエチレンイミン付加物、窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物のエチレンイミン付加物[エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンポリアミン等のアミノ基含有化合物、エステル化合物、アミド基を有する化合物、及びウレタン基を有する化合物のエチレンイミン付加物等]並びに二重結合を有するエチレンイミン付加物の重合物等が挙げられる。
二重結合を有するエチレンイミン付加物の重合物にあっては、不飽和カルボン酸及びその塩と共重合していても良い。
(A2)の具体例としては、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
本発明で用いるポリカルボン酸(塩)(A3)としては、不飽和カルボン酸の重合物[ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸・ポリメタクリル酸共重合体等]、不飽和カルボン酸とオレフィンの共重合物、及びそれらの塩等が挙げられる。
それらの塩としては、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
(A3)の具体例としては、ポリカルボン酸(塩)等が挙げられる。
本発明で用いるその他の水溶性高分子(A4)としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類[デンプン、デキストリン、カラギーナン、ペクチン等]、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等]等が挙げられる。
これらの内好ましいのは、工具、砥粒、被加工物に対する吸着性の観点から、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物のアルキレンオキサイド付加物、アルキレンオキサイド付加物とイソシアネートとの重合物、ポリエチレンイミン及びポリアクリル酸(塩)である。
窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有するアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物のアルキレンオキサイド付加物、窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物とポリオキシアルキレン(x)との重合物等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物及びポリオキシアルキレン(x)のアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基等が挙げられる。炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基、及び、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレン基等が挙げられる。アルキレン基は単独又は2種以上を併用させても良い。
窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物としては、次のものが挙げられる。窒素原子のみを有する化合物としては、アミノ基を有する化合物(a)等;カルボニル基のみを有する化合物としては、エステル基及び/又はカルボン酸基を有する化合物(b)等;窒素原子及びカルボニル基を有する化合物としては、アミド基を有する化合物(c)、ウレタン基を有する化合物(d)等が挙げられる。
窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する水溶性高分子(A)において、窒素原子及びカルボニル基が合計2個未満の場合は、アルキレンオキサイド付加物自体の切削刃や砥粒等の切削材、被切削物に対する吸着力が弱くなるため、切削や研削時の潤滑性が十分に発揮できない恐れがある。これにより、加工時の工具や被切削物の振動抑制が不十分となり、被切削物の割れや欠けが発生したり、面精度が低下したりする恐れがある。窒素原子及びカルボニル基の合計数の下限は、切削刃や砥粒等の切削材、被切削物に対する吸着力が高く、低濃度でも加工時の潤滑性を高く維持できる観点から、好ましくは3個以上、更に好ましくは6個以上、特に好ましくは8個以上、最も好ましくは10個以上である。窒素原子及びカルボニル基の合計数の上限は、製造上の観点から好ましくは10,000個以下、更に好ましくは4,000個以下である。
本発明で用いるアミノ基を有する化合物(a)の具体例としては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、フェニレンジアミン、トリアミノベンゼン、ベンゼンテトラミン、ポリエチレンアミン、ポリアミドポリアミン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
本発明で用いるカルボキシル基を有する化合物(b)の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリカルボン酸重合物、及びこれらとポリオキシアルキレン(x)との重合物等が挙げられる。
本発明で用いるアミド基を有する化合物(c)の具体例としては、上記アミノ基を有する化合物(a)とカルボキシル基を有する化合物(b)のアミド化反応物等が挙げられる。
本発明で用いるウレタン基を有する化合物(d)としては、イソシアネート基を有する化合物とポリオキシアルキレン(x)との重合物等が挙げられ、イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デスモジュールW)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタリンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ビス(2−メチル−3−イソシアナトフェニル)メタン、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物のアルキレンオキサイド付加物の場合、窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物は、活性水素を有し、エチレンオキサイド(以下、EOと略称することがある。)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略称することがある。)、テトラヒドロフラン、1,2−ブチレンオキサイド等のうちの1種を単独で付加させてもよいし、これらの2種以上を併用して付加させてもよい。また、これらの2種以上を併用する際の付加形式はランダム状でもブロック状でもよく、また2種以上のアルキレンオキサイド、例えばEOとPOの付加する順番は問わない。抑泡性と潤滑性の観点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランの内、単独又は2種以上の併用が好ましい。水に対する溶解性の観点で更に好ましくはエチレンオキサイド単独又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの併用である。エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを併用する場合の重量比は、好ましくは99:1〜50:50である。更に好ましくは99:1〜65:35である。
本発明で用いるポリオキシアルキレン(x)としては、活性水素を有する化合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、アルキレンオキサイド等としては、上記に記載のEO、PO、テトラヒドロフラン及び1,2−ブチレンオキサイド等を上記と同様に使用でき、具体例としてはポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。活性水素を有する化合物としては、水、アルコール、ジオール、3〜8価のポリオール、ジカルボン酸、3〜4価のポリカルボン酸、モノアミン、ポリアミン及びポリチオール等が挙げられる。本発明におけるアルキレンオキサイド付加物(A)において、ポリオキシアルキレン(x)は単独又は2種以上を併用させてもよい。
窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有する化合物のアルキレンオキサイド付加物としては、ポリアミドアミンとエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの共重合物であるポリアミドアミンのEO/PO付加物〔アミド基を有する化合物のアルキレンオキサイド付加物〕等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物とイソシアネートを有する化合物等との重合物としては、イソシアネート基を有する化合物とアルキレンオキサイド付加物との重合物であるウレタン変性ポリエーテル〔ウレタン基を有する化合物のアルキレンオキサイド付加物〕等が挙げられる。アルキレンオキサイド付加物とカルボン酸との重縮合物としては、アルキレンオキサイド付加物とジカルボン酸とのポリエステル等が挙げられる。二重結合を有するアルキレンオキサイド付加物の重合物の具体例としては、メタクリル酸のEO付加物の重合物、メタクリル酸とメタクリル酸のEO付加物との共重合物等が挙げられる。
窒素原子含量(重量%)は、窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によって定量される。
カルボニル基含量(μmol/g)は、ASTM−E411に準拠して定量される。
本願発明のアルキレンオキサイド付加物(A)において、窒素原子及びカルボニル基の個数は次のように求める。
窒素原子の数(個)= [数平均分子量×窒素原子含有量(重量%)×0.01]/14
カルボニル基の数(個)= 数平均分子量×カルボニル基含有量(μmol/g)/10,000
尚、数平均分子量、窒素原子含有量及びカルボニル基含有量は前述に記載の方法で定量する。
本発明における水溶性高分子(A)の含有量は、潤滑性及び加工安定性の観点から硬質材料用ラップ液の合計重量に対して0.01〜20重量%であることが好ましい。
本発明の硬質材料用ラップ液を砥粒(C)と配合して使用する用途においては、本発明における水溶性高分子(A)の含有量は、硬質材料用ラップ液の合計重量に対してより好ましくは0.1〜15重量%であり、更に好ましくは、0.1〜10重量%である。
本発明の硬質材料用ラップ液を砥粒(C)と配合して使用する用途以外においては、本発明における水溶性高分子(A)の含有量は、硬質材料用ラップ液の合計重量に対してより好ましくは0.01〜10重量%であり、更に好ましくは、0.01〜7重量%であり、特に好ましくは、0.01〜5重量%である。
本発明の硬質材料用ラップ液は水を含有する。水の含有量は、好ましくは硬質材料用ラップ液の合計重量に対して20〜99重量%である。更に好ましくは、30〜99重量%であり、特に好ましくは、35〜99重量%である。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液に用いられる水は、純水、イオン交換水、水道水、工業用水等のいずれを用いてもよく、生産性の観点からイオン交換水、水道水、工業用水が好ましい。
本発明の硬質材料用ラップ液の25℃における粘度は1〜300mPa・sであることが好ましい。より好ましい範囲は用途によって異なる。なお、硬質材料用ラップ液の粘度は、JIS K7117−1:1999(プラスチック−液状、乳濁状又は分散状の樹脂−ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法)に基づき、B型粘度計により回転数60rpmにて測定する。
本発明の硬質材料用ラップ液を砥粒(C)と配合して使用する用途においては、25℃における粘度は更に好ましくは4〜300mPa・sである。4mPa・s以上であると砥粒(C)の被切削物に対する作用砥粒数を高くでき、300mPa・s以下であると硬質材料用ラップ液と砥粒(C)からなるスラリーの被切削物への供給が安定する傾向にある。特に好ましくは7〜200mPa・sである。
本発明の硬質材料用ラップ液を砥粒(C)と配合せず使用する用途においては、25℃における粘度は更に好ましくは2〜300mPa・sである。2mPa・s以上であると、潤滑性に優れ、300mPa・s以下であると硬質材料用ラップ液の被切削物への供給が安定する傾向にある。特に好ましくは4〜200mPa・sである。
本発明の硬質材料用ラップ液には、加工時の工具や被切削物に対する濡れ性を良くする目的でHLBが10〜70である水溶性基剤(B)を含有させることが好ましい。HLBが10未満の場合は、基剤自体の水に対する溶解性が低下し、被加工物や砥粒表面で基剤油滴の付着が生じて水による加工熱の冷却機能を阻害し十分な加工速度が得られない場合がある。HLBが70を超えると加工液自体の濡れ性が悪化し、水溶性高分子等が被加工物や砥粒表面へ十分に吸着できないため、加工精度が低下する場合がある。このような観点から、より好ましくはHLBが12〜70である。ここでの「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法による計算値として知られているものであり、グリフィン法による計算値ではない。
HLB値は有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB=10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
水溶性基剤(B)の数平均分子量は90〜3,500が好ましい。更に好ましくは90〜3,000である。
水溶性基剤(B)としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール化合物;(A)を除く、前記アルコールのアルキレンオキサイド付加物;(A)を除く、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物のアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基等が挙げられる。炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、1,2−又は1,3−プロピレン基、及び1,2−、1,3−又は1,4−ブチレン基等が挙げられる。アルキレン基は単独又は2種以上を併用させても良い。また、これらの2種以上を併用する際の付加形式はランダム状でもブロック状でもよく、また2種以上のアルキレンオキサイド、例えばEOとPOの付加する順番は問わない。
水溶性基剤(B)の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のアルコール化合物;メタノールのエチレンオキサイド5モル(以下EOと略称することがある。)付加物、メタノールのエチレンオキサイド3モルとプロピレンオキサイド3モル(以下POと略称することがある。)のランダム(ブロック)付加物、ブタノールのEO4モル付加物、ブタノールのEO10モル付加物、ブタノールのEO20モル付加物、ブタノールのEO40モル付加物、ブタノールのEO−POランダム(ブロック)付加物、アルコールのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコールのEO付加物、ジエチレングリコールのEO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのEO−POランダム(ブロック)付加物、ソルビトールのEO付加物、ソルビトールのEO−POランダム(ブロック)付加物等のアルコールのアルキレンオキサイド付加物;ポリエチレングリコールのPO付加物(数平均分子量200〜3,500)、ポリエチレングリコールのEO−POランダム(ブロック付加物)(数平均分子量200〜3,500)、ポリプロピレングリコールのEO付加物、ポリプロピレングリコールのEO−POランダム(ブロック)付加物等のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
これら内好ましいのは、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ブタノールのEO4モル付加物、ブタノールのEO10モル付加物、ブタノールのEO20モル付加物、ブタノールのEO40モル付加物、ブタノールのEO−POランダム(ブロック)付加物である。
本発明の硬質材料用ラップ液の25℃におけるpHは4〜11であることが好ましい。この範囲であると装置や工具の腐食を抑えることができ、更にサファイア等の砥粒(C)を用いた研削においては、それぞれの表面電荷をコントロールして砥粒の保持性が高まり研削速度が向上する。
本発明の硬質材料用ラップ液は、工具や砥粒の振動抑制により込み深さが安定する観点から切削用、ラッピング用である用途に好適に使用でき、砥粒(C)を含有するラッピング用に更に好適に使用できる。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液は、潤滑性を調整する目的で、さらに潤滑剤を含有してもよい。潤滑剤としては、アルキレンオキサイド付加物(A1)及び水溶性基剤(B)以外のポリエーテル化合物や、脂肪族モノカルボン酸(ギ酸、酢酸を除く)や、その塩(ナトリウム(Na)、カリウム等の塩)及びそのエステル化合物、脂肪族ジカルボン酸や、その塩(ナトリウム(Na)、カリウム等の塩)及びそのエステル化合物等が挙げられる。アルキレンオキサイド付加物(A1)及び水溶性基剤(B)以外のポリエーテル化合物としては、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物;グリコールのアルキレンオキサイド付加物;ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体やブロック重合体等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、カプリル酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;これらの脂肪族モノカルボン酸及び又は脂肪族ジカルボン酸のエステル化物等が挙げられる。また、これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよいし、カルボン酸が塩を形成する場合、その塩としては特に限定は無い。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液は、金属にキレート化させる目的で、メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等の1級アルキルアミン;モノエタノールアミン並びにグアニジン;ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン、ジエタノールアミン等の2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N,N’,N’-テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の3級アミン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1H−イミダゾール、2−メチル−1H−イミダゾール、2−エチル−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリミジン、1,6(4)−ジヒドロピリミジン等のアミジン;アルカリ金属(ナトリウムカチオン及びカリウムカチオン等)塩等のアンモニウム塩及び第4級アンモニウム(テトラアルキルアンモニウム等)塩;酒石酸、クエン酸、酒石酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ニトリロ酸酢酸、β−アラニンジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、セリンジ酢酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸、ピロメリット酸、ベンゾポリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸ジサクシネート、マレイン酸誘導体、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等のカルボキシル基を分子内に含有する化合物;メチルジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トランス−1、2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びテトラエチレンペンタミンヘプタ(メチレンホスホン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸及びヘキサメタリン酸等のホスホン酸基又はリン酸基を分子内に含有する化合物;
N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−エタンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン、N,N’−ビス(サリチリデン)−1,3−プロパンジアミン及びN,N’−ビス(サリチリデン)−1,4−ブタンジアミン等のその他の低分子化合物等が挙げられる。
また、これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよいし、キレート剤が塩を形成する場合、その塩としては特に限定は無い。
本発明に用いる水溶性硬質材料用ラップ液は、装置等の腐食を抑制する目的で、さらに防錆剤を含有してもよい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール等のアゾール化合物、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等のアミジン類、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、又はそのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液には、切削液のpHを調整する目的で、pH調整剤を適当量加えてもよい。このようなpH調整剤としては、金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等の塩基性化合物;有機酸(例えば酢酸、ギ酸、クエン酸、乳酸等(脂肪族カルボン酸を除く));無機酸(例えば燐酸、塩酸、硝酸、硫酸等)等の酸性化合物等が挙げられる。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液には、切屑や砥粒の分散性を調整する目的で、分散剤を加えてもよい。このような分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及び/又はその塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩、ポリアルキレングリコール硫酸エステル塩、ポリビニルアルコールリン酸エステル塩、メラミンスルホン酸塩及びリグニンスルホン酸塩などが挙げられる。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液は、砥粒配合物のレオロジーをコントロールする目的でさらに微粒子を含有してもよい。微粒子としては、コロイダルシリカ、酸化セリウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、ダイヤモンド、酸化マンガン、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ホウ素等が挙げられる。微粒子の粒子径は特に限定しないが、擬塑性、ダイラタンシー、チクソトロピー性等のレオロジーを制御する観点から、微粒子の粒子径は更に好ましくは1〜1000nmである。
本発明に用いる硬質材料用ラップ液は、潤滑性を調整する目的で本発明のアルキレンオキサイド付加物及び/又はエチレンイミン付加物(A)以外の水溶性高分子を含有してもよい。
非イオン性の水溶性高分子としては、グァーガム、ジェランガム等に代表される天然多糖類系高分子;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子;ポリビニルピロリドン、ポリ(N−アルキルピロリドン)等のピロリドン系高分子;ポリ酢酸ビニル等のポリビニル系高分子;ポリアミドアミン、アリルアミンの重合体等のアミン系高分子などが挙げられる。
本発明において、硬質材料用ラップ液は更に砥粒(C)を含有していても良い。
本発明における砥粒(C)としては、炭素、金属又は半金属、金属又は半金属の炭化物、金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属の酸化物、金属又は半金属のホウ化物等が挙げられる。具体的には、炭素としてはダイヤモンド等、金属又は半金属としては鉄、銅等、金属又は半金属の炭化物としては炭化ケイ素等、金属又は半金属の窒化物としては窒化ケイ素、窒化ガリウム等、金属又は半金属の酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素(コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等)等が挙げられる。
本発明の硬質材料用ラップ液に配合する砥粒(C)とは、ワイヤー、定盤、パッド、ディスク、ドリルなどの金属加工装置に固着していない遊離砥粒であって、金属加工装置に固着している場合は固定砥粒という。また、粒子表面は砥粒(C)とは異種の組成物でコーティング又は改質されていても良い。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1 <ウレタン変性ポリエーテル(A1−1)の製造>
ステンレス製反応装置にポリエチレングリコール(数平均分子量;20,000)188部と、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロック付加物(数平均分子量;8,000、EO/PO重量比率=95/5)10部とを仕込み、110℃で30分間減圧脱水した(水分;0.05%)。その後、トリレンジイソシアネート2部を仕込み、窒素雰囲気下110℃で10時間反応させ、80℃に冷却後、反応容器から取り出し、ウレタン変性ポリエーテル(A1−1;数平均分子量180,000)を得た。(A1−1)の窒素原子は9個、カルボニル基は9個であった。なお、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量である(以下同様)。
製造例2 <ポリアミドアミンのEO/PO付加物(A1−2)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にペンタエチレンヘキサミンとリノール酸のダイマー酸とからなるポリアミドアミン(数平均分子量;1,000)1部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、110〜130℃でエチレンオキサイド143部とプロピレンオキサイド36部の混合液を4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、ポリアミドアミンのEO/PO付加物(A1−2;数平均分子量180,000、EO/PO重量比率=80/20)を得た。(A1−2)の窒素原子は18個、カルボニル基は4個であった。
製造例3 <ポリエチレンイミン(A2−1)の製造>
ステンレス製反応装置にエチレンイミン50部と、溶媒である1,4−ジオキサン200部と、メタンスルホン酸0.55部とを仕込み、50℃で7時間、開環重合させた。反応終了後、反応液から1,4−ジオキサンと残存エチレンイミンとを留去して、ポリエチレンイミン(A2−1;数平均分子量10,000)を得た。(A2−1)の窒素原子は240個、カルボニル基は0個であった。
製造例4 <ポリメタクリル酸のEO付加物(A1−3)の製造>
ステンレス製反応装置に水150部を仕込み、窒素置換後、攪拌下100℃に昇温し、メタクリル酸33.6部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物(数平均分子量;4,100)を230部と水150部及びメルカプトエタノール0.1部を混合したものと、過硫酸ナトリウム5%水溶液46.8部をそれぞれ別の滴下ロートから、同時に3時間かけて滴下した。更に同温度で2時間反応した後、水酸化ナトリウム48%水溶液16.6重量部で中和し、溶液を反応容器から取り出した。その後、得られた液を乾燥させてポリメタクリル酸のEO付加物(A1−3;数平均分子量1,000,000)を得た。(A1−3)の窒素原子は0個、カルボニル基は790個であった。
製造例5 <グリセリンのEO/PO付加物(A1−4)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン0.87部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイドを326部とプロピレンオキサイドを173部の混合液を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、グリセリンのEO/PO付加物(A1−4)(数平均分子量53,000)を得た。(A1−4)の窒素原子は0個、カルボニル基は0個であった。
製造例6 <ポリアクリル酸Na(A3−1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置に水700部とイソプロピルアルコール300部を仕込み、窒素置換後、攪拌下、65〜100℃でアクリル酸300部と過硫酸アンモニウム10%水溶液30部をそれぞれ別の滴下ラインから同時に6時間かけて滴下した。更に同温度で5時間反応した後、水酸化ナトリウム48%水溶液323重量部で中和した。系内の温度を徐々に昇温し、イソプロピルアルコールと水の混合物を留去し、ポリマー成分が30%のポリアクリル酸Na塩(A3−1;数平均分子量220,000)水溶液を得た。(A3−1)の窒素原子は0個、カルボニル基は3235個であった。
製造例7 <ブタノールのEO/PO付加物(B−1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール57部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイド227部とプロピレンオキサイド227部の混合液を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、本発明のブタノールのEO/PO付加物(B−1)(HLB=12;数平均分子量510)を得た。
製造例8 <ブタノールのEO/PO付加物(B−2)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール28部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイド228部とプロピレンオキサイド228部の混合液を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、本発明のブタノールのEO/PO付加物(B−2)(HLB=12;数平均分子量970)を得た。
製造例9 <ブタノールのEO/PO付加物(B−3)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール14部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイド160部とプロピレンオキサイド160部の混合液を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、ブタノールのEO/PO付加物(B−2)(HLB=12;数平均分子量1,350)を得た。
製造例10 <グリセリンのEO付加物(B−4)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン92部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイド580部を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、グリセリンのEO付加物(B−4)(HLB=23;数平均分子量600)を得た。
製造例11 <グリセリンのEO/PO付加物(B−5)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン33部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイド484部とプロピレンオキサイド484部を約4時間で圧入した。
同温度でさらに6時間反応させて、グリセリンのEO付加物(B−5)(HLB=13;数平均分子量2,800)を得た。
製造例12 <ソルビトールのEO付加物(B−6)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にソルビトール182部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でエチレンオキサイド88部を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、ソルビトールのEO付加物(B−6)(HLB=47;数平均分子量270)を得た。
製造比較例1 <メタノールのPO付加物(B’−1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にメタノール32部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、130〜140℃でプロピレンオキサイド203部を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、メタノールのPO付加物(B’−1)(HLB=9;数平均分子量206)を得た。
製造例比較例2 <ブタノールのPO付加物(B’−2)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にブタノール28部と水酸化ナトリウム0.05部を仕込み、窒素置換後に、120〜140℃でプロピレンオキサイド299部を約4時間で圧入した。
同温度でさらに10時間反応させて、ブタノールのPO付加物(B’−2)(HLB=5;数平均分子量654)を得た。
実施例1〜31及び比較例1〜6
表1、2記載の配合比(重量部)で各成分を配合し、実施例1〜31及び比較例1〜6の加工液を調製して、硬質材料用ラップ液(S−1)〜(S−31)及び比較のラップ液(H−1)〜(H−6)を得た。
硬質材料用ラップ液100部に砥粒としてダイヤモンド粒子(メジアン径:3μm)を3重量部配合して、研削面の均一性、研削速度の性能評価を行った。
なお、表1、2中の「ポリエチレングリコール(A1−5)」は和光純薬工業製のポリエチレングリコール(分子量400万、窒素原子は0個、カルボニル基は0個)、「ポリビニルピロリドン(A4−1)」は東京化成製のポリビニルピロリドンK30(分子量4万、窒素原子は360個、カルボニル基は0個)、「ポリエチレングリコール(B−7)」は三洋化成工業製のPEG−400、「パラフィン系鉱物油」は日本油脂社製のNAソルベント、「ソルビタンモノオレート」は三洋化成工業製のイオネットS−80、「シリカ」は日産化学製のスノーテックス30を用いた。その他記載のないものは、市販品を用いた。
<粘度の測定方法>
装置:粘度測定装置(BLII型);東機産業株式会社製
粘度計:B型粘度計(スピンドル番号1,2,3)(測定値が95mPa・s以下の場合はスピンドル番号1を使用、測定値が96mPa・sより大きい場合は測定値がフルスケールの45〜95%となるスピンドルを使用した。)
測定温度:25℃
回転数:60rpm
<研削面の均一性の評価>
研削面の均一性の評価は以下に示す方法で行った。
(1)被切断材としてφ30mmのサファイア(ビッカース硬さ;2300)を用い、片面ラップ機で研削試験を実施した。
研削条件:ワーク荷重:1400g/cm、定盤:Kemmet銅、定盤回転数:30rpm、ダイヤモンド粒子径:メジアン径3μm、加工時間:10分
(2)研削後ウエハの中央部分を、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製、SURF TEST SV−600)を用いて、ウエハの断面曲線の最大高さ(Pz)を測定した。
<切削速度の評価>
研削前後のウエハ重量を測定し、単位時間当たり(時間)の重量の変化量を単位面積当たり(cm)で割った値を研削速度とした。
表1、2の結果から明らかなように、実施例1〜31の本発明のラップ液はいずれも切削面の均一性が高く、切断速度ともに優れていることがわかる。
一方、比較例1〜6は切削面の均一性と切削速度が劣ることがわかる。
本発明の硬質材料用ラップ液は、加工熱の冷却性が優れるだけでなく、ラップ液が低濃度で使用される過酷な加工条件でも、工具や被加工物の振動を抑制し、被加工物の加工精度を高く維持することができる。そのため、切削、研削、研磨するときに使用する硬質材料用ラップ液として有用である。
また、本発明の硬質材料用ラップ液は、加工熱の冷却性、砥粒の切込み深さの均一性、工具や被切削物の振動抑制性に優れるので、合金、シリコン、水晶、炭化ケイ素、サファイヤ等の硬質な材料を切削、研削、研磨するときに使用する加工液としても有用である。
本発明の硬質材料用ラップ液は被切削物への砥粒の切込み深さの均一性が優れるので、砥粒を固着させたワイヤー、研磨パッド、ブレード等を用いた切断や砥粒(C)を配合したスラリーを用いる研削、研磨方法に利用できる。
また、本発明の硬質材料用ラップ液は、希薄な使用条件でも潤滑性に優れ、泡立ちが課題とならないため、ラップ液の循環工程を含む金属部材の圧延、プレス、鍛造、引き抜き、ダイシング又はダイカスト等の加工液としても有用である。

Claims (10)

  1. ビッカース硬さが1,100以上の硬質材料をラッピングする工程で用いる硬質材料用ラップ液であって、水及び数平均分子量が4,000〜10,000,000である水溶性高分子(A)を含有する硬質材料用ラップ液。
  2. 前記水溶性高分子(A)がアルキレンオキサイド付加物(A1)、エチレンイミン付加物(A2)及びポリカルボン酸(塩)(A3)からなる群から選ばれる1種以上の水溶性高分子である請求項1に記載の硬質材料用ラップ液。
  3. 前記アルキレンオキサイド付加物(A1)、エチレンイミン付加物(A2)及びポリカルボン酸(塩)(A3)が窒素原子及びカルボニル基を合計2個以上有することを特徴とする請求項2に記載の硬質材料用ラップ液。
  4. 前記硬質材料がサファイア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素及びダイヤモンドからなる群から選ばれる1種の硬質材料である請求項1〜3のいずれかに記載の硬質材料用ラップ液。
  5. 水の含有量が20〜99重量%である請求項1〜4いずれかに記載の硬質材料用ラップ液。
  6. 25℃において、粘度が1〜300mPa・sであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の硬質材料用ラップ液。
  7. 更にHLBが10〜70である水溶性基剤(B)を含有することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の硬質材料用ラップ液。
  8. 水溶性基剤(B)の数平均分子量が90〜3500であることを特徴とする請求項7に記載の硬質材料用ラップ液。
  9. 更に砥粒(C)を含有する請求項1〜8いずれかに記載の硬質材料用ラップ液。
  10. 砥粒(C)が炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、窒化ホウ素、酸化セリウム、酸化ケイ素及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の粒子である請求項9記載の硬質材料用ラップ液。
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