JP2016133391A - 圧力センサモジュール及び圧力センサモジュールの製造方法 - Google Patents

圧力センサモジュール及び圧力センサモジュールの製造方法 Download PDF

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靖明 金子
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昌紀 大田
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Abstract

【課題】溶接を用いずにダイアフラムをベース体に固定できる圧力センサモジュールを提供する。【解決手段】圧力センサ素子12が内部に取り付けられる第1凹部22Aと、第1凹部22Aの開口縁から外側に延びる第1受け面部30Aと、を有するベース体14と、第1凹部22Aを入口側から塞ぐように第1受け面部30Aと対向して設けられ、ベース体14に対して分離可能に配置される第1ダイアフラム36Aと、第1凹部22Aの開口縁より外側において第1ダイアフラム36Aの片面側に配置される第1弾性体42Aと、第1ダイアフラム36A及び第1弾性体42Aを第1受け面部30Aに向けて押圧した状態で、ベース体14に装着される第1装着部材44Aと、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、被測定媒体の圧力を検出するための圧力センサモジュールに関する。
従来より、この種の圧力センサモジュール(以下、センサモジュールという)では、圧力センサ素子(以下、センサ素子という)を被測定媒体から隔離して保護するため、ダイアフラムを用いた構造が広く知られている。この構造では、通常、センサ素子が収容される圧力室と、被測定媒体が流入する導入室とをダイアフラムにより仕切り、圧力室内にシリコンオイル等の圧力伝達媒体を封入している。導入室内の被測定媒体からダイアフラムに伝わる圧力は、圧力室内の圧力伝達媒体を介してセンサ素子に伝わり、センサ素子により被測定媒体の圧力が検出可能となる。
この種の構造では、ハウジング等のベース体にダイアフラムを固定する必要がある。この一例として、特許文献1には、金属製のダイアフラムをベース体にレーザ溶接により固定する構造が開示されている。
特開2013−242157号公報 特開平11−23397号公報 特開2003−194649号公報
特許文献1の構造では、ベース体にダイアフラムを固定するうえで溶接を要するため、溶接による熱の影響によりダイアフラムが歪む恐れがある。ダイアフラムが歪んでしまうと、被測定媒体からダイアフラムへの圧力の伝わり方が変化し、センサ素子による検出精度の低下を招きかねない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされており、その目的の1つは、溶接を用いずにダイアフラムをベース体に固定できる圧力センサモジュールを提供することにある。
本発明のある態様に係る圧力センサモジュールは、圧力センサ素子が内部に取り付けられる第1凹部と、第1凹部の開口縁から外側に延びる第1受け面部と、を有するベース体と、第1凹部を入口側から塞ぐように第1受け面部と対向して設けられ、ベース体に対して分離可能に配置される第1ダイアフラムと、第1凹部の開口縁より外側において第1ダイアフラムの片面側に配置される第1弾性体と、第1ダイアフラム及び第1弾性体を第1受け面部に向けて押圧した状態で、ベース体に装着される第1装着部材と、を備える。
本発明の他の態様に係る圧力センサモジュールの製造方法は、前述の態様に係る圧力センサモジュールの製造方法であって、圧力センサ素子が取り付けられたベース体を用意する工程と、第1凹部内に圧力伝達媒体を満たした状態で、第1凹部を入口側から塞ぐように第1受け面部と対向する第1ダイアフラムを配置する工程と、第1ダイアフラムに対して片面側に第1弾性体を配置する工程と、第1弾性体及び第1ダイアフラムを第1受け面部に向けて押圧した状態で、ベース体に第1装着部材を装着する工程と、を含む。
本発明によれば、溶接を用いずにダイアフラムをベース体に固定することができる。
第1実施形態に係るセンサモジュールの斜視図である。 第1実施形態に係るセンサモジュールの分解斜視図である。 第1実施形態に係るセンサモジュールの側面断面図である。 第1実施形態に係るセンサモジュールの上面図である。 第1実施形態に係るセンサモジュールの使用状態の一例を示す側面断面図である。 第1実施形態に係るセンサモジュールの製造方法の一例を示す側面断面図である。 図7(a)は図3の第1装着部材の一部を拡大して示す図であり、図7(b)は図7(a)の方向Fv1から見た図である。 図8(a)は第1実施形態に係るベース体の上面図であり、図8(b)は図8(a)のA−A線断面図である。 第2実施形態に係るセンサモジュールの側面断面図である。 第2実施形態に係るセンサモジュールの分解斜視図である。 図9の方向Fv2から見た図である。 第1変形例に係るセンサモジュールの一部を示す側面断面図である。 第2変形例に係るセンサモジュール10の製造方法を示す側面断面図である。
以下、各実施形態の説明では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
[第1の実施の形態]
図1は第1実施形態に係るセンサモジュール10の斜視図であり、図2は分解斜視図である。センサモジュール10は、車両用空調装置の流体流路の二箇所を流れる被測定媒体の圧力差を検出する差圧センサとして用いられる。
図3はセンサモジュール10の側面断面図である。センサモジュール10は、センサ素子12が取り付けられるベース体14を備える(図2も参照)。ベース体14は、片面であるセンサ実装面16aにセンサ素子12が実装される回路基板16と、センサ実装面16aを被覆する第1モールド樹脂20Aと、センサ実装面16aとは逆側の回路基板16の裏面16bを被覆する第2モールド樹脂20Bと、を有する。また、ベース体14は、第1モールド樹脂20Aに形成される第1凹部22Aを含む段付きの第1有底孔部24Aと、第2モールド樹脂20Bに形成される第2凹部22Bを含む段付きの第2有底孔部24Bとを有する。
センサモジュール10は、第1凹部22Aが設けられるベース体14の表面側(センサ実装面16a側)にある構成と、表面側とは逆側の裏面16b側にある構成との多くが共通する。以下では、両者に共通する構成について、ベース体14の表面側にある構成を主に説明し、ベース体14の裏面側にある構成は説明を省略する。また、両者を区別するうえでは、共通する構成要素の先頭に「第1」「第2」と付し、符号の末尾に「A」「B」と付す場合がある。また、以下では、第1凹部22Aの底側から入口側に向かって延びる第1凹部22Aの中心線に沿った方向を高さ方向Zとし、高さ方向Zと直交する二方向を前後方向X、左右方向Yという。なお、高さ方向Zは回路基板16の厚さ方向に対応し、方向X、Yは互いに直交する。
センサ素子12は、ピエゾ抵抗型センサである。センサ素子12は、回路基板16のセンサ実装面16aに接着等により実装される。センサ素子12は、センサ実装面16aから離れる方向に窪む中空部12aと、中空部12aの底部に設けられる膜状の感圧部12bと、感圧部12bの外周部にて感圧部12bより厚肉に設けられる支持部12cと、支持部12cに接合される台座部12dとを備える。感圧部12b及び支持部12cは単結晶シリコン等の半導体により一体成形され、台座部12dはガラス等により構成される。回路基板16には、センサ素子12の裏側において、センサ素子12の中空部12a内に流体を導入するための導入孔26が形成される。
感圧部12bはブリッジ回路を含むセンサ回路(図示せず)を有し、センサ回路は金線等のボンディングワイヤ(図示せず)を介して、回路基板16の配線パターン(図示せず)に電気的に接続される。感圧部12bは、厚さ方向(高さ方向Z)の変位量に応じた検出信号を生成し、センサ電極から回路基板16の配線パターンに検出信号を出力する。
回路基板16には、図2に示すように、ECU(electric control unit)等の外部電子機器と電気的に接続するための外部接続用電極28が複数設けられる。外部接続用電極28はスルーホール電極である。外部接続用電極28にはグランド用接続端子を接続するためのグランド電極が含まれる。
図3に戻り、第1モールド樹脂20Aは、回路基板16に実装されるICチップ、コンデンサ等の電子部品(図示せず)や、配線パターンの少なくとも一部を封止するように、センサ実装面16aを部分的に被覆する。第1モールド樹脂20Aの第1有底孔部24Aは、センサ素子12とともに、センサ素子12の実装位置周りにあるセンサ実装面16aの一部を露出させるように設けられる。第2モールド樹脂20Bは、配線パターンの少なくとも一部を封止するように、回路基板16の裏面16bを部分的に被覆する。第2モールド樹脂20Bの第2有底孔部24Bは、回路基板16の導入孔26とともに、導入孔26周りにある回路基板16の裏面16bの一部を露出させるように設けられる。
第1有底孔部24Aは、センサ素子12が内部に取り付けられる第1凹部22Aと、第1凹部22Aの開口縁から外側に延びる第1受け面部30Aとを有する。また、第1有底孔部24Aは、第1受け面部30Aの外周部から立ち上がる第1内周部32Aと、第1内周部32Aの入口側の開口縁から外側に延びる第1端面部34Aとを更に有する。
センサモジュール10は、第1凹部22Aを入口側から塞ぐように第1受け面部30Aと対向して設けられる第1ダイアフラム36Aを更に備える(図2も参照)。第1ダイアフラム36Aは全体として円形の環状に形成される。第1ダイアフラム36Aは金属を素材とするが、樹脂等を素材としてもよい。第1ダイアフラム36Aの外周部は第1受け面部30Aに当接する。第1ダイアフラム36Aは、ベース体14に対して分離可能に配置され、後述する第1装着部材44Aによりベース体14としての第1モールド樹脂20Aに固定される。ここでいう「分離可能に配置」とは、ベース体14に溶接により接合されない状態で配置されることをいう。
ベース体14には、第1ダイアフラム36Aにより第1凹部22Aを塞ぐことで第1圧力室38Aが形成される。第1圧力室38Aは、センサ素子12、第1凹部22A及び第1ダイアフラム36Aにより囲まれて形成される。
センサモジュール10は、第1圧力室38A内に充填される第1圧力伝達媒体40Aを更に備える。第1圧力伝達媒体40Aは、第1ダイアフラム36Aの表面側から第1ダイアフラム36Aに伝わる圧力をセンサ素子12の感圧部12bに伝えるために設けられる。第1圧力伝達媒体40Aはシリコンオイル等である。
センサモジュール10は、第1凹部22Aの開口縁より外側において第1ダイアフラム36Aの片面側である表面側に配置される第1弾性体42Aを更に備える(図2も参照)。第1弾性体42AはOリング等である。第1弾性体42Aは第1有底孔部24Aの第1内周部32A内であって、第1内周部32Aと第1受け面部30Aの間に形成される隅角部に配置される。
センサモジュール10は、第1ダイアフラム36A及び第1弾性体42Aをベース体14に固定するための第1装着部材44Aを更に備える(図2も参照)。第1装着部材44Aは、第1内周部32Aに入口側から差し込まれる筒状部46と、筒状部46の基端側開口縁から外側に延びる環状の位置決め部48と、位置決め部48の側端部より第1凹部22Aの入口側から底側に向かう高さ方向Zに延びる複数のスナップフィット部50とを備える。第1装着部材44Aは導電性を有する金属を素材として各部位が一体成形される。
筒状部46の先端部には、高さ方向Zに対向する第1受け面部30A及び第1ダイアフラム36Aに近づくにつれて縮径するテーパー部46aが形成される。また、筒状部46の基端側には軸方向(高さ方向Z)に向かって平坦な外部接続部46bが形成される。外部接続部46bには、後述のように、第1ダイアフラム36Aの表面側に被測定媒体を導入するための第1媒体導入部材56Aを接続可能である。
第1装着部材44Aは、筒状部46のテーパー部46aにより第1ダイアフラム36Aの外周部及び第1弾性体42Aを第1受け面部30Aに向けて押圧した状態でベース体14に装着される。このとき、筒状部46は、第1弾性体42Aを介して第1ダイアフラム36Aを押圧する。また、筒状部46は、第1弾性体42Aを第1受け面部30Aに向けて押圧することによりこれを押し潰す。第1ダイアフラム36Aは、第1弾性体42Aの弾性反発力により第1受け面部30Aに押し付けられることで、ベース体14に固定される。
また、第1弾性体42Aは、筒状部46のテーパー部46aにより押し潰されると、第1ダイアフラム36Aの外周部の表面に環状に密着するとともに、第1内周部32Aの内周面に環状に密着する。これにより、第1弾性体42Aは、筒状部46と第1ダイアフラム36Aの間をシールするとともに、筒状部46と第1内周部32Aの間をシールする。
位置決め部48は、第1装着部材44Aを装着するとき、つまり、筒状部46を第1モールド樹脂20Aの第1内周部32A内に差し込むとき、第1モールド樹脂20Aの第1端面部34Aとの係合により、ベース体14に対して高さ方向Zに第1装着部材44Aを位置決めする。
図4はセンサモジュール10の上面図である。第1装着部材44Aの複数のスナップフィット部50には左右方向Yの一方(図中左側)に設けられる二つのスナップフィット部50と、左右方向Yの他方(図中右側)に設けられる二つのスナップフィット部50とが含まれる。各スナップフィット部50は、高さ方向Zから見て、第1凹部22A(本図では図示せず)の外側であって、筒状部46や第1凹部22Aを挟んだ位置に設けられる。各スナップフィット部50は前後方向Xに向かって左右方向Yの一方と他方とに交互に配置されるように千鳥状に設けられる。
各スナップフィット部50は、図2、図3に示すように、位置決め部48から第1凹部22Aの入口側から底側に向かう高さ方向Zに延びる弾性腕部52と、弾性腕部52の先端部に設けられる爪部54とを有する。弾性腕部52は板状に形成され、左右方向Yに弾性変形可能である。爪部54は弾性腕部52の先端部から弾性腕部52が延びる方向と逆向きに折り返すように設けられる。爪部54は、回路基板16の縁部16cに対して、第1凹部22Aが設けられているセンサ実装面16a側とは反対の裏面16b側から係合され、第1凹部22Aの底側から入口側に向けて離れる方向の変位が規制される。これにより、第1装着部材44Aは、ベース体14に対する位置が保持され、ベース体14に装着される。
次に、ベース体14の裏面側にある構成を説明する。第2モールド樹脂20Bの第2有底孔部24Bは、第1凹部22Aの裏側に位置するように設けられる第2凹部22Bの他、第2受け面部30B、第2内周部32B、第2端面部34Bを有する。第2凹部22Bは導入孔26を通してセンサ素子12の中空部12aに連通される。第2受け面部30Bは、第1受け面部30Aに対して回路基板16の厚さ方向Zに離れた位置に設けられる。
ベース体14には、第2ダイアフラム36Bにより第2凹部22Bを塞ぐことで第2圧力室38Bが形成される。第2圧力室38Bは、センサ素子12の中空部12a、導入孔26、第2凹部22B及び第2ダイアフラム36Bにより囲まれて形成される。センサ素子12の感圧部12bは前述した第1圧力室38Aと第2圧力室38Bを隔てるように設けられる。
センサモジュール10は、第2圧力室38B内に充填される第2圧力伝達媒体40Bを更に備える。また、センサモジュール10は、第1弾性体42Aや第1装着部材44Aと構成が共通する第2弾性体42Bや第2装着部材44Bを更に備える。
以上のセンサモジュール10の使用状態の一例を図5を参照にして説明する。
第1装着部材44Aの外部接続部46bには第1被測定媒体を導入するための第1媒体導入部材56Aが接続され、第2装着部材44Bの外部接続部46bには第2被測定媒体を導入するための第2媒体導入部材56Bが接続される。各媒体導入部材56A、56Bは外部接続部46bに差し込まれる筒状のセンサ用接続部56aを有する。センサ用接続部56aの外周部にはシール部材58が取り付けられる。シール部材58はセンサ用接続部56aと外部接続部46bに挟まれて弾性変形し、その弾性反発力によりセンサ用接続部56aと外部接続部46bとの相対位置が保持される。このとき、センサ用接続部56aと外部接続部46bの間はシール部材58によりシールされる。
第1装着部材44Aの外部接続部46bに第1媒体導入部材56Aが接続されたとき、第1ダイアフラム36Aの表面側に第1導入室60Aが形成される。また、第2装着部材44Bの外部接続部46bに第2媒体導入部材56Bが接続されたとき、第2ダイアフラム36Bの表面側に第2導入室60Bが形成される。第1導入室60Aには第1媒体導入部材56A内を通して第1被測定媒体が流入し、第2圧力室38Bには第2媒体導入部材56B内を通して第2被測定媒体が流入する。たとえば、第1被測定媒体は冷媒流路の絞り部の上流側を流れる高圧流体であり、第2被測定媒体は絞り部の下流側を流れる低圧流体である。
第1圧力室38A内の第1被測定媒体から第1ダイアフラム36Aに伝わる圧力は、第1圧力室38A内の第1圧力伝達媒体40Aを介してセンサ素子12の感圧部12bの表面側に伝わる。また、第2圧力室38B内の第2被測定媒体から第2ダイアフラム36Bに伝わる圧力は、第2圧力室38B内の第2圧力伝達媒体40Bを介してセンサ素子12の感圧部12bの裏面側に伝わる。これにより、センサ素子12の感圧部12bは、各被測定媒体の圧力差に応じて厚さ方向に変位し、その変位量に応じた検出信号を生成する。
以上のセンサモジュール10の製造方法の一例を図6を参照にして説明する。
まず、センサ素子12が取り付けられたベース体14を用意する(S10)。この後、図6(a)に示すように、圧力伝達媒体40が貯められた槽62内にベース体14を配置する(S12)。このとき、槽62内において第1凹部22Aや第2凹部22B内に圧力伝達媒体40を満たした状態にする。これにより、第1凹部22Aの開口縁より圧力伝達媒体40の液面が高位置に達するまで第1凹部22A内に圧力伝達媒体40が満たされることになる。この状態で、第1凹部22Aを入口側から塞ぐように第1ダイアフラム36Aを配置し(S14)、第1ダイアフラム36Aに対して表面側に第1弾性体42Aを配置する(S16)。
この後、図6(b)に示すように、第1装着部材44Aの筒状部46をベース体14の第1有底孔部24Aの第1内周部32Aに入口側から差し込み、第1弾性体42A及び第1ダイアフラム36Aを第1受け面部30Aに押圧した状態で第1装着部材44Aをベース体14に装着する(S18)。
第1装着部材44Aを装着するとき、第1凹部22Aの入口側から底側に向かう高さ方向Zに第1装着部材44Aを移動させる。このとき、各スナップフィット部50は、ベース体14としての回路基板16の縁部16cに爪部54が接触し、弾性腕部52が第1凹部22Aから離れる左右方向Yに弾性変形する。この状態から、第1モールド樹脂20Aの第1端面部34Aに位置決め部48が係合するまで更に第1装着部材44Aを移動させると、弾性腕部52が弾性反発力により第1凹部22Aに近づく左右方向Yに変位し、回路基板16の縁部16cに裏面16b側から爪部54の先端部が係合可能となり、第1装着部材44Aがベース体14に装着される。つまり、スナップフィット部50は、スナップフィット方式により、ベース体14としての回路基板16の縁部16cに係合可能な位置に配置される。
これらS14〜S18と同時、又は前後して、図3に示すように、第2凹部22Bを入口側から塞ぐように第2受け面部30Bと対向する第2ダイアフラム36Bを配置する(S20)。第2ダイアフラム36Bに対して片面側である表面側に第2弾性体42Bを配置する(S22)。この後、第2装着部材44Bの筒状部46を第2有底孔部24Bの第2内周部32Bに入口側から差し込み、第2弾性体42B及び第2ダイアフラム36Bを第2受け面部30Bに押圧した状態で第2装着部材44Bをベース体14に装着する(S24)。
以上のセンサモジュール10の作用効果を説明する。
センサモジュール10によれば、溶接を用いずに、第1装着部材44Aによりベース体14に第1ダイアフラム36Aを固定できる。よって、第1ダイアフラム36Aを固定するうえで、溶接による熱の影響によって第1ダイアフラム36Aが歪むのを防止でき、その歪みに起因する検出精度の低下を防止できる。
また、上述に記載の特許文献2では、ベース体にダイアフラムを固定するうえで、ダイアフラムの近傍でベース体の一部をかしめており、かしめによりダイアフラムが意図せず歪んでしまう恐れがある。この点、以上のセンサモジュール10によれば、ベース体14をかしめずに、第1装着部材44Aによりベース体14に第1ダイアフラム36Aを固定できる。よって、ベース体14のかしめにより第1ダイアフラム36Aが歪むのを防止でき、その歪みに起因する検出精度の低下を防止できる。
また、第1弾性体42Aは、第1ダイアフラム36Aに環状に密着するとともに、第1内周部32Aに環状に密着する。よって、図5に示すように、第1圧力室38Aから筒状部46と第1ダイアフラム36Aの間を通して第1導入室60Aに向かう流体の漏洩を規制しつつ、第1圧力室38Aから筒状部46と第1内周部32Aの間を通して外部空間に向かう流体の漏洩を規制できる。また、第1弾性体42Aは、筒状部46の先端部にも環状に密着するため、第1導入室60Aから筒状部46と第1内周部32Aの間を通して外部空間に向かう流体の漏洩も規制できる。これにより、第1弾性体42Aの弾性反発力を用いてベース体14に第1ダイアフラム36Aを固定しつつ、第1弾性体42Aにより第1圧力室38Aや第1導入室60Aのシール性を確保し易くなる。また、このような機能を発揮するうえで、単数の第1弾性体42Aをシール部材として用いており、この機能の発揮に必要なシール部材の個数を抑えられる。
また、第1装着部材44Aの筒状部46の先端部にはテーパー部46aが形成されるため、筒状部46をベース体14の第1内周部32Aに差し込むだけで、第1弾性体42Aを第1ダイアフラム36Aの外周部とともに第1内周部32Aに容易に密着させられる。この結果、筒状部46と第1ダイアフラム36A及び第1内周部32Aとの間を容易にシール可能となる。
また、第1装着部材44Aは複数のスナップフィット部50を有するため、ベース体14に第1装着部材44Aを装着するうえで溶接、かしめ等が不要となる。よって、溶接設備やかしめ用プレス設備等の特別な設備が不要となり、ベース体14に第1装着部材44Aを容易に装着できる。
また、上述に記載の特許文献3には、圧力室に圧力伝達媒体を充填するために、ベース体に充填用パイプを挿通し、充填用パイプから圧力伝達媒体を充填した後、充填用パイプの一部を圧潰する方法が開示されている。この種の方法では、通常、圧力室内への圧力伝達媒体の充填時に圧力室に気泡が残存するのを抑えるため、真空中で作業をしている。
これに対して、上述のセンサモジュール10の製造方法によれば、第1凹部22A内に圧力伝達媒体40を満たしてから、第1凹部22Aを塞ぐように第1ダイアフラム36Aを配置するため、真空中で作業しなくとも、第1圧力室38A内での気泡の残存を容易に抑えられる。また、このように充填するうえで、充填用パイプをベース体14に取り付けたり、充填用パイプの圧潰が不要となり、その作業時の作業性が良好になる。
また、かりに、第1受け面部30Aに第1弾性体42Aを当接させてから、第1凹部22Aを入口側から塞ぐように第1ダイアフラム36Aを配置し、その後に第1装着部材44Aを装着する場合を考える。この場合、第1装着部材44Aを装着するとき、第1弾性体42Aの変形を伴い第1ダイアフラム36Aが移動することで、第1圧力室38の内圧が変化してしまう。
この点、本実施形態に係る製造方法によれば、第1凹部22Aを入口側から塞ぐように第1ダイアフラム36Aを配置してから、第1弾性体42Aを配置し、その後に第1装着部材44Aを装着する。このため、第1装着部材44Aを装着するとき、第1ダイアフラム36が移動せず、第1圧力室38の内圧の変化を防止できる利点もある。
なお、以上の作用効果は第2ダイアフラム36B、第2弾性体42B、第2装着部材44B等のベース体14の裏面側に設けられる構成に関しても同様に発揮される。
次に、センサモジュール10の他の特徴を説明する。
図7(a)は図3のベース体14及び第1装着部材44Aの一部を拡大した図であり、図7(b)は図7(a)の方向Fv1から見た図である。図7(b)では第2モールド樹脂20Bの外縁の位置を二点鎖線で示し、回路基板16に対するスナップフィット部50の爪部54の接触位置を一点鎖線S1で示す。
回路基板16の縁部16cには、センサ実装面16a及び裏面16bの両側において、回路基板16の配線パターンの一部となるグランドパターン64が形成される。グランドパターン64は前述したグランド電極に電気的に接続され、グランドレベルの電位となる。グランドパターン64は、図示の例では、面状のベタパターンとして設けられる。グランドパターン64には第1装着部材44Aのスナップフィット部50の爪部54の先端部が接触する。スナップフィット部50は回路基板16のグランドパターン64に放電可能な位置に一部が配置される放電部になる。
第1装着部材44Aは、図3に示すように、第1有底孔部24Aの開口縁の近傍に配置される第1位置決め部48の一部や、第1有底孔部24A内に差し込まれる筒状部46が、静電気から第1ダイアフラム36Aを保護するための保護部となる。第1有底孔部24Aの入口側から底側の第1ダイアフラム36Aに向けて静電気が伝わろうとしたとき、静電気は保護部により捕集され、放電部としての第1スナップフィット部50からグランドパターン64に放電される。また、第1ダイアフラム36Aに静電気が伝わったとしても、センサ素子12の感圧部12bから第1ダイアフラム36Aまでの距離L1より、第1ダイアフラム36Aから第1装着部材44Aの筒状部46までの距離が小さければ、第1ダイアフラム36Aから第1装着部材44Aを通してグランドパターン64に放電される。
これにより、第1ダイアフラム36Aから第1圧力伝達媒体40Aを通してセンサ素子12に静電気が伝わり難くなり、センサ素子12を静電気の影響から保護し易くなる。また、グランドレベルの電位となる第1装着部材44Aにより回路基板16が部分的に覆われる。よって、電波、磁場等による電気的ノイズの外部からセンサ素子12や回路基板16への伝達や、センサ素子12等から外部への放出を抑え易くなる。なお、以上の作用効果は、第2装着部材44B、第2ダイアフラム36Bに関しても同様に発揮される。
前述した第1圧力室38Aと第2圧力室38Bは同等の容積となるように構成される。これにより、これらに充填される第1圧力伝達媒体40Aと第2圧力伝達媒体40Bは同等の充填量(体積)となる。ここでの「同等」とは両者が完全に同一である場合と、両者が略同一である場合とを含む。
これにより、温度変化により各圧力伝達媒体40A、40Bが熱膨張した場合に、各圧力伝達媒体40A、40Bの圧力の変動量を同程度に抑え易くなり、センサ素子12の感圧部12bに対して各圧力伝達媒体40A、40Bから作用する力の変化分を相殺させ易くなる。この結果、温度変化により各圧力伝達媒体40A、40Bが熱膨張した場合でも、センサ素子12に対する影響を抑え易くなり、センサ素子12の検出精度の低下を抑え易くなる。
また、第1ダイアフラム36Aは、第1圧力伝達媒体40Aと接する第1受圧面66Aを裏面に有する。第1ダイアフラム36Aの表面側の第1被測定媒体から第1ダイラフラム36Aに加わる圧力は第1受圧面66Aを通して第1圧力伝達媒体40Aに伝えられる。第2ダイアフラム36Bは、第2圧力伝達媒体40Bと接する第2受圧面66Bを裏面に有する。第2ダイアフラム36Bの表面側の第2被測定媒体から第2ダイアフラム36Bに加わる圧力は第2受圧面66Bを通して第2圧力伝達媒体40Bに伝えられる。これら第1受圧面66Aと第2受圧面66Bは同等の面積となるように構成される。ここでの「面積」とは、各ダイアフラム36A、36Bの厚さ方向(方向Z)と直交する仮想面に対して各受圧面66A、66Bを厚さ方向に投影したときの面積をいう。また、ここでの「同等」とは両者が完全に同一である場合と、両者が略同一である場合とを含む。
これにより、温度変化により各圧力伝達媒体40A、40Bが熱膨張した場合に、各圧力伝達媒体40A、40Bの圧力変動に起因する各ダイアフラム36A、36Bの変形量を同程度に抑え易くなる。この結果、各ダイアフラム36A、36Bが変形したとしても、各被測定媒体から各ダイアフラム36A、36Bへの圧力の伝わり方が変わり難くなる。このため、温度変化により各圧力伝達媒体40A、40Bが熱膨張した場合でも、センサ素子12に対する影響を更に抑え易くなり、センサ素子12の検出精度の低下を更に抑え易くなる。
図8(a)はベース体14の上面図であり、図8(b)は図8(a)のA−A線断面図である。
ベース体14は、回路基板16、第1モールド樹脂20A、第2モールド樹脂20Bの他に、第1モールド樹脂20Aと第2モールド樹脂20Bとを繋ぐように回路基板16を貫通して設けられる複数の荷重伝達体68を備える。各荷重伝達体68は、第1モールド樹脂20A及び第2モールド樹脂20Bの両方の一部として設けられる。各荷重伝達体68は、第1受け面部30A及び第2受け面部30Bに対して回路基板16の厚さ方向Zに離れた位置に設けられ、第1凹部22A及び第2凹部22Bの周方向に等角度間隔を空けて設けられる。荷重伝達体68は、第1ダイアフラム36Aから第1受け面部30Aを介して第1モールド樹脂20Aに伝達される荷重を第2モールド樹脂20Bに伝達するために設けられる。別の観点からは、荷重伝達体68は、第2ダイアフラム36Bから第2受け面部30Bを介して第2モールド樹脂20Bに伝達される荷重を第1モールド樹脂20Aに伝達するために設けられるともいえる。
第1モールド樹脂20Aには、第1弾性体42Aの弾性反発力や、第1被測定媒体から受ける圧力に起因して、第1ダイアフラム36Aから回路基板16に向かう方向P1に荷重が加わりやすい。また、第2モールド樹脂20Bには、第2弾性体42Bの弾性反発力や、第2被測定媒体から受ける圧力により、第2ダイアフラム36Bから回路基板16に向かう方向P2に荷重が加わり易い。これらが相まって、回路基板16には両面側から厚さ方向Zに負荷が加わり易く、耐久性に悪影響を及ぼしかねない。
この点、本実施形態によれば、第1ダイアフラム36Aから第1モールド樹脂20Aに加わる荷重や、第2ダイアフラム36Bから第2モールド樹脂20Bに加わる荷重を、荷重伝達体68を通して他のモールド樹脂20A、20Bに逃がしたり、相互に相殺させ易くでき、回路基板16に加えられる負荷を抑え易くなる。
また、荷重伝達体68は第1受け面部30A及び第2受け面部30Bに対して回路基板16の厚さ方向に離れた位置にある。よって、第1ダイアフラム36Aから第1受け面部30Aに加わる荷重や、第2ダイアフラム36Bから第2モールド樹脂20Bに加わる荷重を、荷重伝達体68を通して他のモールド樹脂20A、20Bに効果的に逃がし易くなり、回路基板16に加えられる負荷を効果的に抑え易くなる。
また、荷重伝達体68は第1モールド樹脂20A及び第2モールド樹脂20Bの両方の一部として設けられるため、モールド樹脂の成形工程において金型内に溶融樹脂を流し込むだけで容易に荷重伝達体68を成形できる。
[第2の実施の形態]
図9は第2実施形態に係るセンサモジュール10を示す側面断面図であり、図10はセンサモジュール10の分解斜視図である。本実施形態では、第1実施形態と比べて第1装着部材44A、第2装着部材44Bの構成が相違する。
第1装着部材44Aは、筒状部46と、位置決め部48の他に、位置決め部48の左右方向Y両側の側端部より第1凹部22Aの入口側から底側に向かう高さ方向Zに延びる一対の腕部70と、一対の腕部70それぞれの先端部から左右方向Y外側に延びる延出部72とを更に有する。一対の腕部70それぞれに設けられる延出部72は高さ方向Zにずれた位置に設けられる。
左右方向Yの一方(図10中右側)の延出部72には第1凹部22Aの入口側から外側に向かう高さ方向Zに延びる凸状の複数のかしめ用加工部74が設けられる。左右方向Yの他方(図10中左側)の延出部72には、第2装着部材44Bの複数のかしめ用加工部74が挿通される挿通孔76が形成される。第2装着部材44Bも第1装着部材44Aと同様、一対の腕部70、延出部72等を備える。
図11は図9の方向Fv2から見た図である。
第1装着部材44Aの複数のかしめ用加工部74は第2装着部材44Bの挿通孔76に挿通される。第1装着部材44Aのかしめ用加工部74の先端部にはかしめ部78が設けられる。かしめ部78は複数のかしめ用加工部74の先端部を前後方向Xの逆側に折り曲げるようにかしめることにより形成される。第1装着部材44Aのかしめ部78は第2装着部材44Bの延出部72との係合により、第1凹部22Aの底側から入口側に向けて離れる方向(高さ方向Z)の変位が規制される。これにより、第1装着部材44Aはベース体14に対する位置が保持され、ベース体14に装着される。第2装着部材44Bのかしめ用加工部74も同様である。
以上のセンサモジュール10によっても、第1実施形態と同様、ベース体14に第1ダイアフラム36Aを固定するうえで、溶接やベース体14のかしめが不要であり、これらにより第1ダイアフラム36Aが歪むのを防止でき、その歪みに起因する検出精度の低下を防止できる。また、第1装着部材44Aはかしめ部78によりベース体14に対する位置が強固に保持され、ベース体14に対する第1装着部材44Aの固定度を高められる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、その特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。以下、本発明の変形例を説明する。
センサモジュール10は車両用空調装置に用いられる例を説明したが、その用途はこれに限られない。また、センサモジュール10は、流体流路の二箇所を流れる被測定媒体の圧力差を検出する差圧センサとして用いられる例を説明した。センサモジュール10は、この他に、大気圧を基準として被測定媒体の圧力を検出するゲージ圧センサとして用いられてもよい。この場合、第1圧力室38A、第2圧力室38Bのいずれか一方を大気圧に開放し、他方に充填される圧力測定媒体を介して被測定媒体からの圧力をセンサ素子12に感圧部12bに伝えるようにしてもよい。また、センサモジュール10は、絶対真空を基準として被測定媒体の圧力を検出する絶対圧センサとして用いられてもよい。この場合、回路基板16の導入孔26を形成せず、センサ素子12の中空部12a内を真空状態に保持してもよい。この他にも、第1圧力室38A、第2圧力室38Bのいずれか一方を真空状態に保持してもよい。
ベース体14は回路基板16とモールド樹脂20A、20Bを備えるものを説明したが、これに限られない。ベース体14は、たとえば、金属、樹脂等を素材とするハウジングでもよい。また、ベース体14は回路基板16とモールド樹脂20A、20Bを備える場合、第1モールド樹脂20Aのみとして、第2モールド樹脂20Bがなくともよい。
センサ素子12はピエゾ抵抗型センサを説明したが、その他にも、静電容量型センサ、シリコンレゾナント型センサ等でもよい。
第1弾性体42Aは、第1ダイアフラム36Aの表面側に配置される例を説明したが第1ダイアフラム36Aの裏面側に配置されてもよい。この場合、ベース体14の第1受け面部30Aに第1弾性体42Aを収めるための環状溝部を設けてもよい。いずれにしても、第1弾性体42Aは第1ダイアフラム36Aの片面側に配置されていればよい。
第1有底孔部24Aは第1凹部22A、第1受け面部30Aが少なくともあればよく、第1内周部32Aがなくともよい。この場合、第1装着部材44Aは筒状部46がなくともよい。また、第1装着部材44Aは筒状部46を有する場合、テーパー部46aがなくともよい。
図12は第1変形例に係るセンサモジュール10の一部を示す側面断面図である。図3の例では第1装着部材44Aにテーパー部46を設けた。この替わりに、図12に示すように、第1受け面部30Aの外周部及び第1ダイアフラム36Aの外周部にテーパー部30a、36aが設けられてもよい。これらのテーパー部30a、36aは、第1装着部材44Aの筒状部46に近づくにつれて縮径する。筒状部46の先端部には径方向内側に延び出るように環状部46bが設けられる。
この場合でも、第1弾性体42aは、筒状部46の先端部の環状部46bと、テーパー部30a、36aの間で押し潰され、第1ダイアフラム36Aの外周部の表面に環状に密着するとともに、第1内周部32Aの内周面に環状に密着する。これにより、筒状部46をベース体14の第1内周部32Aに差し込むだけで、筒状部46と第1ダイアフラム36A及び第1内周部32Aとの間を容易にシール可能となる。このような効果を発揮するうえでは、第1装着部材44Aの筒状部46の先端部と、第1受け面部30A及び第1ダイアフラム36Aとの何れか一方に、他方に近づくにつれて縮径するテーパー部が形成されていればよい。
なお、第1ダイアフラム36Aにテーパー部36aを設けるうえで、第1ダイアフラム36aとして金属等の硬質素材を用いる場合、第1ダイアフラム36aに予めテーパー部36aをフォーミング加工等により成形しておけばよい。また、第1ダイアフラム36aとしてポリイミドフィルム等の軟質素材を用いる場合、第1ダイアフラム36aに予めテーパー部36aを成形しなくともよい。この場合、テーパー部30aを設けた第1受け面部30Aに第1ダイアフラム36aを当接させたとき、第1受け面部30Aのテーパー部30aに沿うように第1ダイアフラム36aを自重等により変形させることで、第1ダイアフラム36aにテーパー部36aを設けるようにすればよい。
また、第1装着部材44Aのスナップフィット部50は、第1装着部材44Aとは他の部材との係合により第1装着部材44Aの位置を保持できればよい。たとえば、ベース体14ではなく、第2装着部材44Bとの係合により位置を保持してもよい。
また、第1装着部材44Aのかしめ部78は、第1装着部材44Aとは他の部材との係合により第1装着部材44Aの位置を保持できればよい。たとえば、第2装着部材44Bではなく、ベース体14との係合により位置を保持してもよい。
また、第1装着部材44Aの放電部となるスナップフィット部50は回路基板16のグランドパターン64に接触する例を説明した。放電部はスナップフィット部50に限られず、これとは別の部位でもよい。また、放電部は、回路基板16のグランドパターン64に放電可能な位置に一部が配置されていればよく、グランドパターン64に接触せずに近接して配置されていてもよい。ここでいう「近接」とは、グランドパターン64から放電部までの距離が、センサ素子12の感圧部12bから第1ダイアフラム36Aまでの距離L1(図3参照)以下の大きさとなるように配置することをいう。これにより、第1装着部材44Aや第1ダイアフラム36Aからセンサ素子12に静電気が伝わり難くなる一方で、第1装着部材44からグランドパターン64に静電気が伝わり易くなり、センサ素子12を静電気の影響から保護し易くなる。
また、第1装着部材44Aは、回路基板16のグランドパターン64に放電するうえで導電性を要する。このため、実施形態に係る第1装着部材44Aは金属を素材とする例を説明したが、この他に、導電性樹脂等を素材としてもよい。
また、第1圧力室38Aと第2圧力室38Bは同等の容積とせずに大きく異なる容積となるように構成されてもよい。また、第1受圧面66Aと第2受圧面66Bも同等の面積とせずに大きく異なる面積となるように構成されてもよい。
図13は第2変形例に係るセンサモジュール10の製造方法を示す側面断面図である。
図6の例では圧力伝達媒体40が貯められた槽62内にベース体14を配置したが、本例ではこの工程を実行しない。本例では、センサ素子12が取り付けられたベース体14を用意する(S10)。この後、図13に示すように、第1凹部22Aを含む第1有底孔部24A内に圧力伝達媒体40を注入する(S12)。このとき、第1凹部22A内に圧力伝達媒体40を満たした状態にする。この圧力伝達媒体40の液面は第1凹部22Aの開口縁より高位置に達するまで注入する。この状態で、第1凹部22Aを入口側から塞ぐように第1ダイアフラム36Aを第1有底孔部24A内に配置する(S14)。このとき、第1ダイアフラム36Aの裏面側に空気が貯まるのを防ぐため、第1ダイアフラム36Aの厚さ方向を水平面に対して傾斜させた状態で圧力伝達媒体40内に配置してもよい。この後、第1ダイアフラム36Aに対して表面側に第1弾性体42Aを配置し(S16)、第1装着部材44Aをベース体14に装着する。なお、第2有底孔部24B等のベース体14の裏面側の構成に関しては、ベース体14を上下逆にしたうえで、上述したS10〜S16と同様の工程を行えばよい。
この方法によっても、第1凹部22A内に圧力伝達媒体40を満たしてから、第1凹部22Aを塞ぐように第1ダイアフラム36Aを配置するため、真空中で作業しなくとも、第1圧力室38A内での気泡の残存を容易に抑えられる。
なお、上述の実施形態、変形例に係るセンサモジュール10には、以下の項目に記載の発明が含まれているともいえる。
(項目)
圧力センサ素子が内部に取り付けられる第1凹部と、前記第1凹部の開口縁から外側に延びる第1受け面部と、を有するベース体と、
前記第1凹部を入口側から塞ぐように前記第1受け面部と対向して設けられ、前記ベース体に固定される第1ダイアフラムと、を備え、
前記ベース体は、
前記圧力センサ素子が実装される回路基板と、
前記回路基板のセンサ実装面を被覆する第1モールド樹脂と、
前記センサ実装面とは逆側の前記回路基板の裏面側に設けられる裏面側部材と、
前記第1モールド樹脂と前記裏面側部材とを繋ぐように前記回路基板を貫通して設けられる荷重伝達体と、を有することを特徴とする圧力センサモジュール。
ダイアフラムを用いた構造のセンサモジュールでは、被測定媒体から受ける圧力等に起因して、ダイアフラムから回路基板に向かう方向にモールド樹脂に荷重が加わり易い。この結果、回路基板には厚さ方向に負荷が加わり易く、耐久性に悪影響を及ぼし兼ねない。
この項目により特定される発明は、このような課題に鑑みてなされており、その目的の1つは、ダイアフラムを用いる場合に、回路基板に加わる負荷を抑え易くなる圧力センサモジュールを提供することにある。
この項目により特定される発明では、各ダイアフラム36A、36Bは各装着部材44A、44Bを用いる場合の他、溶接、ベース体14のかしめ等によりベース体14に固定してもよい。
また、荷重伝達体68は、第1モールド樹脂20Aと、回路基板16に設けられる裏面側部材としての第2モールド樹脂20Bとを繋ぐものを例に説明した。この裏面側部材は回路基板16や第1モールド樹脂20Aとは別の部材であればよく、モールド樹脂に限られない。また、荷重伝達体68はモールド樹脂の一部でなくともよく、たとえば、回路基板16を貫通して設けられるピン等でもよい。また、荷重伝達体68はモールド樹脂の一部である場合、上述したように第1モールド樹脂20A及び第2モールド樹脂20Bの両方の一部でもよいし、何れか一方の一部でもよい。
10…センサモジュール、12…圧力センサ素子、14…ベース体、16…回路基板、16a…センサ実装面、16b…裏面、20A…第1モールド樹脂、20B…第2モールド樹脂、22A…第1凹部、22B…第2凹部、30A,30B…第1受け面部、32A…第1内周部、36A…第1ダイアフラム、36B…第2ダイアフラム、38A…第1圧力室、38B…第2圧力室、40A…第1圧力伝達媒体、40B…第2圧力伝達媒体、42A…第1弾性体、44A…第1装着部材、46…筒状部、46a…テーパー部、46b…外部接続部、50…スナップフィット部、56A…第1媒体導入部材、62…槽、64…グランドパターン、66A…第1受圧面、66B…第2受圧面、68…荷重伝達体、78…かしめ部。

Claims (13)

  1. 圧力センサ素子が内部に取り付けられる第1凹部と、前記第1凹部の開口縁から外側に延びる第1受け面部と、を有するベース体と、
    前記第1凹部を入口側から塞ぐように前記第1受け面部と対向して設けられ、前記ベース体に対して分離可能に配置される第1ダイアフラムと、
    前記第1凹部の開口縁より外側において前記第1ダイアフラムの片面側に配置される第1弾性体と、
    前記第1ダイアフラム及び前記第1弾性体を前記第1受け面部に向けて押圧した状態で、前記ベース体に装着される第1装着部材と、を備えることを特徴とする圧力センサモジュール。
  2. 前記ベース体は、前記第1受け面部の外周部から立ち上がる第1内周部を更に有し、
    前記第1弾性体は、前記第1凹部の開口縁より外側において前記第1ダイアフラムの表面側に配置され、
    前記第1装着部材は、前記第1内周部に入口側から差し込まれ、前記第1ダイアフラム及び前記第1弾性体を前記第1受け面部に向けて押圧する筒状部を有し、
    前記第1弾性体は、前記筒状部により押し潰されることによって、前記第1ダイアフラムに環状に密着するとともに、前記第1内周部に環状に密着することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサモジュール。
  3. 前記筒状部には、前記第1ダイアフラムの表面側に被測定媒体を導入するための第1媒体導入部材を接続可能な外部接続部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサモジュール。
  4. 前記筒状部の先端部と、前記第1受け面部及び前記第1ダイアフラムとの何れか一方には、他方に近づくにつれて縮径するテーパー部が形成され、
    前記第1弾性体は、前記筒状部の先端部と、前記第1受け面部及び前記第1ダイアフラムとの何れか他方と前記テーパー部の間で押し潰されることを特徴とする請求項2または3に記載の圧力センサモジュール。
  5. 前記第1装着部材は、他の部材との係合により、前記ベース体に対する位置を保持するスナップフィット部を有することを請求項1から4のいずれかに記載の圧力センサモジュール。
  6. 前記第1装着部材は、他の部材との係合により、前記ベース体に対する位置を保持するかしめ部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の圧力センサモジュール。
  7. 前記ベース体は、前記圧力センサ素子が実装される回路基板を有し、
    前記第1装着部材は、導電性を有するとともに、前記回路基板のグランドパターンに放電可能な位置に一部が配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の圧力センサモジュール。
  8. 前記ベース体は、前記第1凹部が設けられる表面側とは逆の裏面側に設けられる第2凹部を更に有し、
    本圧力センサモジュールは、
    前記第1凹部を前記第1ダイアフラムにより塞ぐことで形成される第1圧力室内に充填される第1圧力伝達媒体と、
    前記第2凹部を入口側から塞ぐ第2ダイアフラムと、
    前記第2凹部を前記第2ダイアフラムにより塞ぐことで形成される第2圧力室内に充填される第2圧力伝達媒体と、を更に備え、
    前記第1圧力室と前記第2圧力室とは同等の容積となるように構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の圧力センサモジュール。
  9. 前記第1ダイアフラムは、前記第1圧力伝達媒体と接する第1受圧面を有し、
    前記第2ダイアフラムは、前記第2圧力伝達媒体と接する第2受圧面を有し、
    前記第1受圧面と前記第2受圧面とは同等の面積となるように構成されることを特徴とする請求項8に記載の圧力センサモジュール。
  10. 前記ベース体は、
    前記圧力センサ素子が実装される回路基板と、
    前記回路基板のセンサ実装面を被覆する第1モールド樹脂と、
    前記センサ実装面とは逆側の前記回路基板の裏面側に設けられる裏面側部材と、
    前記第1モールド樹脂と前記裏面側部材とを繋ぐように前記回路基板を貫通して設けられる荷重伝達体と、を有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の圧力センサモジュール。
  11. 前記荷重伝達体は、前記第1受け面部に対して前記回路基板の厚さ方向に離れた位置に設けられることを特徴とする請求項10に記載の圧力センサモジュール。
  12. 前記裏面側部材は、前記回路基板の裏面を被覆する第2モールド樹脂であり、
    前記荷重伝達体は、前記第1モールド樹脂及び前記第2モールド樹脂の何れか一方又は両方の一部であることを特徴とする請求項10または11に記載の圧力センサモジュール。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の圧力センサモジュールの製造方法であって、
    前記圧力センサ素子が取り付けられた前記ベース体を用意する工程と、
    前記第1凹部内に前記圧力伝達媒体を満たした状態で、前記第1凹部を入口側から塞ぐように前記第1受け面部と対向する前記第1ダイアフラムを配置する工程と、
    前記第1ダイアフラムに対して片面側に前記第1弾性体を配置する工程と、
    前記第1弾性体及び前記第1ダイアフラムを前記第1受け面部に向けて押圧した状態で、前記ベース体に前記第1装着部材を装着する工程と、を含むことを特徴とする圧力センサモジュールの製造方法。
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