JP2016133356A - 弛度シミュレータおよびコンピュータプログラム - Google Patents

弛度シミュレータおよびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 二本の電柱間に渡されている線条の弛度を算出する弛度シミュレータを提供する。
【解決手段】 二本の電柱がフレーム内に収まった画像データから視点変換定数を算出する視点変換算出手段と、その視点変換算出手段にて算出された視点変換定数を用いて前記の線条を二次関数に近似して弛度を算出する弛度算出手段とを備える。二次関数へ近似したら、線条の両肩高さおよび電柱間の中央点の高さを算出し、そこから弛度を算出する。画像データの撮影条件としては、3倍程度のズームを使用し(35mm判換算にて焦点距離35mm〜85mm)、二つの電柱の地際を結んだ延長線を推定する延長線から3メートル以上離れた場所での撮影とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電線などの線条を支える電柱の強度を推定する技術に関する。
電柱は、電線、光ファイバなどの線条を支えている。
電柱には、必要とされる強度に応じて様々な種類があり、その種類の選択に際しては、支えている線条の種類、径間(電柱と電柱との距離)、弛度(電柱間にかかる線条のたるみ)に基づいて電柱の強度を計算し、その計算結果を根拠とする。すなわち、弛みに比例して張力が大きくなっていくので、張力に見合う線条および電柱の架空構造物設計する上で、弛度を把握する必要がある。
既に設置されている電柱に掛け渡された線条の弛度を測定する方法としては、以下のようなものがある。
対象となる線条が掛け渡された二本の電柱へ二名の測定者同時に昇柱して、両側から目視により弛度を測定する方法、線条の最下点と両側電柱の線条架設点の三点について、地上から測定桿(後述する「地上高測定棒」と考えられる)を伸ばして地上からの距離を測定することにより弛度を測定する方法が知られている。
また、弛度と振動数が一定の関係にあることを利用して、線条に振動を与えつつ一定時間の線条の振動数をカウントし、弛度を計算する方法もある。
また、弛度と張力がある一定の関係にあることを利用して、線条へ張力計を繋ぐことで線条の張力値を測定し、弛度を計算する方法も知られている。
特許文献1に開示された技術は、線条の弛度を目視等による測定に頼ることなく、すべての架空設備の弛度測定に適用できる線条の弛度測定技術が開示されている。
具体的には、カメラを用いて左右2本の電柱および電柱間に架渉された線条が画像に収まるように撮影された写真画像をコンピュータの画像処理手段に取り込む。電柱設備現場での実測データを入力し、画像上の2次元位置情報を取得する。予め用意された2次元空間から3次元空間へ変換する数学モデルに前記2次元位置情報を当てはめて3次元空間上の位置情報を取得する。そして、3次元空間上の位置情報をもとに線条の弛度を測定する、というものである。
特開平8−233568号公報
さて、末端や左右の径間が異なる電柱では、不平衡となる張力が大きいため、設計上は高強度な電柱が必要となる。
しかし、現実の弛度を、地上高測定棒という専用器具にて68カ所を試験的に測定したところ、標準的に施工している2〜3%の弛度よりも緩んでいる(最大で10%前後、平均で4.92%)線条が多く存在していることが判明した。
既に掛け渡された線条は、現場での様々な状況判断において定められていると考えるべきであり、尊重されてよい。とすると、必要以上の強度を備えた電柱によって、現状の線条が支えられている可能性がある。
電柱を立て替えたり移設したりしなければならない場合、前述したように、現存の電柱に掛け渡された線条の弛度を把握するべきである。しかし、前述したように、線条の最下点を計測困難な現場が少なくない。計測困難を理由に、標準弛度にて電柱強度を算出してしまうと、必要以上の強度を備えた電柱を選択することとなってしまう。強度が大きい電柱は、太くて重いため、材料費のみならず、運搬費、施工費などの間接的な費用もかさむこととなる。
本発明が解決しようとする課題は、地上高測定棒を必要とせず、現場における線条の弛度を計測可能な技術を提供し、不平荷重の大きい箇所において立て替えや移設に伴う電柱選択の最適化に資することにある。
(第一の発明)
第一の発明は、二本の電柱間に渡されている線条の弛度を算出する弛度シミュレータであって、
二本の電柱がフレーム内に収まった画像データから視点変換定数を算出する視点変換算出手段と、
その視点変換算出手段にて算出された視点変換定数を用いて前記の線条を二次関数に近似して弛度を算出する弛度算出手段とを備える。
前記の視点変換算出手段は、
二本の電柱がフレーム内に収まった画像データを入力する画像データ入力手段と、
二本の電柱間の距離である径間および二本の電柱の高さを含んだ電柱データ入力する電柱データ入力手段と、
前記の画像データを画面出力する画像出力手段と、二本の電柱における上端および下端の座標データを操作者に入力させる端部座標データ入力手段と、
その端部座標データ入力手段によって入力された座標データおよび前記の電柱データの対応関係から視点変換定数を算出する定数算出手段と、を備える。
前記の弛度算出手段は、
前記の画像データの線条における任意の三つ以上の点について座標データを操作者に入力させる線条座標データ入力手段と、
その線条座標データ入力手段にて入力された座標データおよび前記の視点変換定数を用いて前記の線条に近似した二次関数を特定する二次関数算出手段と、
その二次関数算出手段にて特定された二次関数から線条の最下点および前記の二本の電柱における線条の端部を算出して弛度を算出する弛度演算手段と、を備える。
(用語説明)
「線条」とは、電線、光ファイバケーブルなど、電柱間に渡される線の総称とする。
径間(電柱間の距離)、電線における電柱に支えられている部位の高さは、予めデータとして取得している場合と、現場で実測する場合とがある。
「画像データ」は、デジタルデータであり、静止画像であることが望ましい。
(作用)
まず、視点変換算出手段の作用について説明する。
二本の電柱がフレーム内に収まった画像データを画像データ入力手段へ入力する。また、二本の電柱間の距離である径間および二本の電柱の高さを含んだ電柱データを電柱データ入力手段へ入力する。
前記の画像データを画像出力手段へ画面出力する。画面出力された画像データを見た操作者は、端部座標データ入力手段を用いて二本の電柱における上端および下端の座標データを入力する。
その端部座標データ入力手段によって入力された座標データおよび前記の電柱データの対応関係から、定数算出手段が視点変換定数を算出する。
次に、弛度算出手段の作用について説明する。
操作者は、線条座標データ入力手段を用いて前記の画像データの線条における任意の三つ以上の点についての座標データを、操作者に入力する。
その線条座標データ入力手段にて入力された座標データおよび前記の視点変換定数を用いて、二次関数算出手段が前記の線条に近似した二次関数を特定する。
その二次関数算出手段にて特定された二次関数から、弛度演算手段が線条の最下点および前記の二本の電柱における線条の端部を算出して弛度を算出する。
以上により、画像データを用いることによって、実測することなく線条の弛度を算出することができる。
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記の画像データ入力手段は、ズーム機能を備えたデジタルカメラと、
そのデジタルカメラのズーム機能におけるズームの倍率データを入力する倍率データ入力手段と、
その倍率データ入力手段が入力した倍率データが35mm判換算にて焦点距離35mm〜85mmの範囲外に係る画像データを採用しないこととする採用データ制御手段と、を備える。
これは画面の歪みが少ない標準レンズの倍率であり、一般的なデジタルカメラで画面を幾何学的に約3倍程度に拡大したもので条件を満たす。
「デジタルカメラ」とは、カメラでのデジタル撮影機能を備えた専用機としてのデジタルカメラのほか、カメラを備えた携帯情報端末(いわゆるタブレット端末、スマートフォン)を含む。
「35mm判換算にて焦点距離35mm〜85mm」とは、標準的なコンパクトなデジタルカメラが備えている倍率であり、撮影された画像データにおいて誤差が少ないことを確認している。
(作用)
前記の画像データ入力手段として、ズーム機能を備えたデジタルカメラを採用する。
デジタルカメラにて撮影された画像データとともに、倍率データ入力手段によってそのデジタルカメラのズーム機能におけるズームの倍率データを入力される。
その倍率データ入力手段が入力した倍率データが焦点距離35mm〜85mmに相当する倍率の範囲外に係る画像データについては、採用データ制御手段が採用しない。画像データにおける周辺部分の誤差が大きくなるおそれが高いからである。
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記の画像データ入力手段は、デジタルカメラと、
そのデジタルカメラが撮影した画像データにおいて二本の電柱における頂点および地際が写っているか否かを判断する電柱判断手段と、
その電柱判断手段によって二本の電柱における頂点および地際のいずれかが写っていないと判断した場合には当該画像データを採用しないこととする採用データ制御手段と、を備える。
「電柱判断手段」は、二本の電柱における頂点および地際が写っている多数の画像データを記憶し、記憶した画像データとの比較などのアルゴリズムによって、二本の電柱における頂点および地際が写っているか否かを判断する。
(作用)
前記の画像データ入力手段として、焦点距離35mm〜85mmでの撮影が可能なズーム機能を備えたデジタルカメラを採用する。
そのデジタルカメラが撮影した画像データにおいて二本の電柱における頂点および地際が写っているか否かを、電柱判断手段が判断する。電柱判断手段が二本の電柱における頂点および地際のいずれかが写っていないと判断した場合には、当該画像データは採用データ制御手段が採用しない。定数算出手段による視点変換定数の算出がうまくいかないからである。
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明における前述のバリエーション2は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、 前記の電柱判断手段が二本の電柱における頂点および地際が写っていると判断した場合において、
二つの地際を結んだ延長線を推定する延長線推定手段と、
当該画像データを撮影した撮影ポイントを推定する撮影場所推定手段と、
その撮影場所推定手段が推定した撮影ポイントから前記の延長線推定手段が推定した延長線までの距離を算出する延長線距離算出手段と、
を備える。
前記の採用データ制御手段は、前記の延長線距離算出手段が算出した撮影ポイントから延長線までの距離が3メートル未満である場合には当該画像データを採用しないこととする。
(作用)
前記の電柱判断手段が二本の電柱における頂点および地際が写っていると判断した場合において、延長線推定手段が二つの地際を結んだ延長線を推定する。そして、当該画像データを撮影した撮影ポイントを撮影場所推定手段が推定する。更に、その撮影場所推定手段が推定した撮影ポイントから前記の延長線推定手段が推定した延長線までの距離を、延長線距離算出手段が算出する。
前記の採用データ制御手段は、前記の延長線距離算出手段が算出した撮影ポイントから延長線までの距離が3メートル未満である場合には当該画像データを採用しない。画像データに基づく視点変換定数の誤差が大きくなるおそれが高く、弛度の算出についても誤差が大きくなるおそれがあるからである。
(第一の発明バリエーション4)
第一の発明における前述のバリエーション1から3は、前記の採用データ制御手段が画像データを採用しない場合に、その旨を出力する不採用出力手段を備えることとしてもよい。
「不採用出力手段」とは、画面による文字や動画による出力、音声による出力、それらの組合せなどである。
(作用)
前記の採用データ制御手段が画像データを採用しない場合には、不採用出力手段がその旨を出力する。出力に気づいた操作者(デジタルカメラの撮影者)は、不採用とならない条件による再撮影を試みる。再撮影による画像データであれば、視点変換定数の誤差が小さくなり、弛度の算出についても誤差が小さくなる。
(第二の発明)
第二の発明は、二本の電柱間に渡されている線条の弛度を算出する弛度算出シミュレーションプログラムに係る。
その弛度算出シミュレーションプログラムは、二本の電柱がフレーム内に収まった画像データから視点変換定数を算出する視点変換算出プログラムと、 その視点変換算出手段にて算出された視点変換定数を用いて前記の線条を二次関数に近似して弛度を算出する弛度算出プログラムとを備える。
前記の視点変換算出プログラムは、 二本の電柱がフレーム内に収まった画像データを入力する画像データ入力手順と、 二本の電柱間の距離である径間および二本の電柱の高さを含んだ電柱データ入力する電柱データ入力手順と、 前記の画像データを画像出力装置へ画面出力する画像出力手順と、 二本の電柱における上端および下端の座標データを操作者に入力させる端部座標データ入力手順と、 その端部座標データ入力手順によって入力された座標データおよび前記の電柱データの対応関係から視点変換定数を算出する定数算出手順と、をコンピュータに実行させる。
前記の弛度算出プログラムは、 前記の画像データの線条における任意の三つ以上の点について座標データを操作者に入力させる線条座標データ入力手順と、 その線条座標データ入力手順にて入力された座標データおよび前記の視点変換定数を用いて前記の線条に近似した二次関数を特定する二次関数算出手順と、 その二次関数算出手順にて特定された二次関数から線条の最下点および前記の二本の電柱における線条の端部を算出して弛度を算出する弛度演算手順と、をコンピュータに実行させる。
(第二の発明のバリエーション)
第二の発明は、第一のバリエーション1〜4のようなバリエーションを提供することもできる。
第二の発明は、記録媒体に格納して提供することも可能である。また、第二の発明に係るコンピュータプログラムをインストールしたサーバから、別のサーバへ送信してインストールすることもできる。
第一の発明によれば、地上高測定棒を必要とせず、現場における線条の弛度を計測可能な技術を提供し、立て替えや移設に伴う電柱選択の最適化に寄与する弛度シミュレータを提供することができた。
第二の発明によれば、地上高測定棒を必要とせず、現場における線条の弛度を計測可能な技術を提供し、立て替えや移設に伴う電柱選択の最適化に寄与する弛度シミュレーションプログラムを提供することができた。
本発明に係る実施形態におけるブロック図である。 本発明に係る実施形態における視点変換手段を示す概念図である。 本発明に係る実施形態における弛度算出手段を示す概念図である。 実測データと実施形態による算定結果との比較を示す概念図およびグラフである。 本発明に係る実施形態による精度を検証した分布図である。 本発明に係る実施形態における撮影条件を示す概念図である。 本発明に係る実施形態の撮影条件における最適倍率を探る模型を示す。 本発明に係る実施形態の撮影条件における最適倍率を探る模型による実証結果を示す。 本発明に係る実施形態の撮影条件における撮影角度を探るための比較図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで使用する図面は、図1から図9である。
(図1から図3の概要)
図1は、本実施形態における構成をブロック図にて示している。そして、図2は、視点変換手段を概念的に示しており、図3は、弛度算出手段を概念的に示している。
(図2)
図2は、画像データ入力手段としてのデジタルカメラ(コンパクトタイプ)にて、二本の電柱を阿撮影し、その画像データから視点変換の定数Aを算出する手順を示している。
撮影者は、デジタルカメラを用いて二本の電柱がフレーム内に収まった画像データを撮影する。撮影した画像データは、パーソナルコンピュータに取り込む。そして、その画像データを画面出力する。
電柱の場所や設置した際のデータがストックされている場合には、そのストックデータを用いて、二本の電柱のそれぞれの高さ、および二本の電柱の距離(径間)を、前記のパーソナルコンピュータへ入力する(電柱データ入力手段)。
ストックデータがない場合には、実測してその実測データを、前記のパーソナルコンピュータへ入力する。
パーソナルコンピュータの操作者(撮影者と一致していなくても良いが、画像に対して正しく判断しやすいので、一致していることが望ましい)は、画面出力された画像データを見ながら、二本の電柱における上端および下端の座標データを、操作者が入力する(端部座標データ入力手段)。
パーソナルコンピュータ(における定数算出手段)は、二本の電柱における上端および下端の座標データと、二本の電柱のそれぞれの高さおよび径間とを用いて、変換定数Aを算出する。
(図3)
図3は、線条の二次関数を算出し、弛度を算出する弛度算出手段を示す。
前記の画像データの線条における任意の三つ以上の点についての座標データを、操作者に入力させる線条座標データ入力手段と、 その線条座標データ入力手段にて入力された座標データおよび前記の視点変換定数を用いて前記の線条に近似した二次関数を特定する二次関数算出手段と、 その二次関数算出手段にて特定された二次関数から線条の最下点および前記の二本の電柱における線条の端部を算出して弛度を算出する弛度演算手段と、を備える。
線条を二次関数に近似すると、Y=aX2+bX+cと示すことが出来る。この場合に求めるべき変数a,b,cは、三つあるので、少なくとも三点の座標を、操作者に入力させるのである。
三点の座標が入力されたら、前記の変数を特定するための演算を実行する。図3に示すのは、a=a1、b=b1、c=c1として特定できたとしている。
特定された二次関数を用いることによって、x=0の点となるY、x=D(径間の値)であるYD、径間の中央点の高さY(D/2)を算出する。
このY0,YD,Y(D/2)が算出できれば、弛度を算出することができる。ここにおいて、二本の電柱の撮影および二本の電柱の高さと径間というデータによって、実際の弛度を算出することができることとなる。
(図4)
図4に示すのは、図1〜図3に示した弛度算出シミュレーションによって算出した算出(推定)結果を、実測データと比較し、弛度算出シミュレーションの誤差を算出した様子を示している。
弛度を算出すべき線条について、一つ目の電柱(手前側)の高さy2、二つ目の電柱(奥側)の高さy4、電柱の間の距離S(径間)を実測したところ、それぞれ、y2=12.31メートル、y4=12.48メートル、S=35メートルであった。
この実測値に基づいて、図1から図3に示した弛度算出シミュレーションを用いて、線条(架線)の高さを算出した。すると、手前側の電柱との固定部高さが9,34メートル、奥側の電柱との固定部高さが9.36メートル、最下点の高さが7.85メートルとなり、弛度は4.29%として算出された。
実測による最下点の高さは、7.81メートルであった。この実測値に基づいて弛度を算出したところ、4.07%であった。
両者を比較すると、弛度算出シミュレーションによる誤差は、最下点で4センチメートル、弛度は0.22%の誤差が認められた。
ただし、実測値を求める測定時における誤差もありえるので、上記の弛度算出シミュレーションは、十分に機能すると考えられる。
(図5)
図5は、弛度の測定箇所に対して、異なるアングルを含めた110枚の画像データを撮影し、その画像データに基づき、図1から図3に示した弛度算出シミュレーションを用いて弛度を算出し、その精度を検証したものである。
弛度の平均は、4.88%であり、平均の誤差は、−0.0459%であり、標準偏差は、0.21%となった。実長に換算した誤差は約1センチメートルとなった。
(図6)
図6は、画像データの撮影条件について、図示に基づいて説明している。撮影条件としては、4つある。
第一の条件は、デジタルカメラにおいて、焦点距離35mm〜85mmの範囲にズームをして撮影(約3倍にズーム)することである。
第二の条件は、撮影フレーム内に電柱の頂点が写っていることであり、第三の条件は、撮影フレーム内に電柱の地際が写っていることである。
第四の条件は、撮影者の撮影立地点が、二つの電柱の地際を結んだ線路を延長した延長線から3メートル以上離れていることである。
第二および第三の条件については、図2およびその説明にて記載したように、電柱の座標入力ができなければならないので、当たり前である。
以下、第一の条件について、図7および図8、第四の条件について、図9を用いて、それぞれ説明する。
(図7)
図7(a)には、広角レンズ(焦点距離〜24mm)および望遠レンズ(焦点距離100mm〜)によって方眼紙を撮影した場合に、どのようなゆがみが表れるかを擬似的に示したものである。
図7(b)には、最適倍率を探るための縮小模型を示している。
図7(a)に示すように、広角レンズの場合には画面全体に、望遠レンズの場合には画面の周辺にゆがみが発生している。デジタルカメラのズームを利用すると、レンズは広角〜標準〜望遠と変化し、標準レンズでは画面の歪みが最も少なく、焦点距離35mm〜85mmで知られている。
標準レンズで撮影するためには、画面を幾何学的に3倍程度拡大して撮影すると実現出来る。これを、電柱および線条(電線)を模した模型にて検証する。
(図8)
図8(a)および(b)は、コンパクトデジタルカメラ(Casio EXILIM H-20G )を用いて、模型を撮影した実画像であり、(a)がズーム無し、(b)がズーム有り(約3倍ズーム)である。
図8(c)では、ズーム無し、ズーム有りにおいて、手前側、中、奥の三カ所における電線の弛度を計測した。その結果、ズーム無しの場合に平均誤差は0.160%、約1.5倍ズームの場合に平均誤差は0.133%、約3倍ズームの場合に平均誤差は0.070%となった。
なお、焦点距離35mm〜85mmは、比較的安価なコンパクトタイプのデジタルカメラに標準装備されているズームの倍率で対応可能であり、撮影時に画面のグリッド表示を利用して約3倍に拡大すれば、この条件を容易に実現できる。
ただし、2.8〜3.2倍である3倍ズームが、ズーム無しや約1.5倍ズームの場合の画像データよりも誤差が少なかったのは、コンパクトデジタルカメラの種類によらないことは検証済みである。
4種類のコンパクトデジタルカメラにて、ほぼ同様の結果が得られたからである。
なお、6倍から10倍などズーム機能を使用した場合、二本の電柱の上端下端が写るような場所での撮影が困難である。また、望遠レンズ特有の歪みが発生してしまうという欠点もある。以上により、幾何学的に約3倍ズームが最適という結論を得た。
(図9)
図9では、撮影者の撮影立地点が、二つの電柱の地際を結んだ線路を延長した延長線からどのくらい離れた場合に、シミュレーションによって得た弛度の誤差が小さくなるかを検証したものである。
測定値によって得た弛度が5.23%であったが、線路からの直角での距離が1メートルの場合には、シミュレーションによって得た弛度が4.46%となった。また、2メートルの場合には7.14%、3メートルの場合には5.39%であった
しかし、3メートル以上6メートルくらいまでは、ほぼ横ばいであった。
以上のことから、シミュレーションによって安定した結果を得るには、線路からの直角での距離が3メートル以上、離れる必要がある、という結論を得た。
前述してきた不平衡張力が大きい箇所において実施形態に係る視点変換手段および弛度算出手段にて得た弛度は、68カ所の測定にて、平均値が4.92%であった。一方、電柱の強度を算出する場合、弛度を標準的に施工している2〜3%として算出していることが多い。つまり、こうした箇所では現実に必要とされるよりも大きな強度の電柱を採用していると推察される。
本実施形態に基づく視点変換手段および弛度算出手段を用いて算出する弛度は、実測値と大きく違わないことが判明している。したがって、立て替えや移設が必要な電柱に対して、本実施形態を用いて弛度をシミュレーションし、必要強度の電柱を選択し直すと、最適なサイズの電柱を選択することに寄与する。
なお、前述してきた実施形態に係る視点変換手段に対しては、前述した撮影条件に合致した画像データを蓄積することと、画像解析とを組み合わせ、弛度算出に用いようとした画像データが撮影条件に合致しない場合には、撮影者に対して警告を発する、といったソフトウェアを組み込んでおくと、より好ましい。
本発明は、配電設備の製造業、配電設備のメンテナンス業、配電設備に関するソフトウェア開発業などにおいて、利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 二本の電柱間に渡されている線条の弛度を算出する弛度シミュレータであって、
    二本の電柱がフレーム内に収まった画像データから視点変換定数を算出する視点変換算出手段と、
    その視点変換算出手段にて算出された視点変換定数を用いて前記の線条を二次関数に近似して弛度を算出する弛度算出手段とを備え、
    前記の視点変換算出手段は、
    二本の電柱がフレーム内に収まった画像データを入力する画像データ入力手段と、
    二本の電柱間の距離である径間および二本の電柱の高さを含んだ電柱データ入力する電柱データ入力手段と、
    前記の画像データを画面出力する画像出力手段と、
    二本の電柱における上端および下端の座標データを操作者に入力させる端部座標データ入力手段と、
    その端部座標データ入力手段によって入力された座標データおよび前記の電柱データの対応関係から視点変換定数を算出する定数算出手段と、を備え、
    前記の弛度算出手段は、
    前記の画像データの線条における任意の三つ以上の点について座標データを操作者に入力させる線条座標データ入力手段と、
    その線条座標データ入力手段にて入力された座標データおよび前記の視点変換定数を用いて前記の線条に近似した二次関数を特定する二次関数算出手段と、
    その二次関数算出手段にて特定された二次関数から線条の最下点および前記の二本の電柱における線条の端部を算出して弛度を算出する弛度演算手段と、
    を備えた弛度シミュレータ。
  2. 前記の画像データ入力手段は、ズーム機能を備えたデジタルカメラと、
    そのデジタルカメラのズーム機能におけるズームの倍率データを入力する倍率データ入力手段と、
    その倍率データ入力手段が入力した倍率データが35mm判換算にて焦点距離35mm〜85mmの範囲外に係る画像データを採用しないこととする採用データ制御手段と、
    を備えた請求項1に記載の弛度シミュレータ。
  3. 前記の画像データ入力手段は、デジタルカメラと、
    そのデジタルカメラが撮影した画像データにおいて二本の電柱における頂点および地際が写っているか否かを判断する電柱判断手段と、
    その電柱判断手段によって二本の電柱における頂点および地際のいずれかが写っていないと判断した場合には当該画像データを採用しないこととする採用データ制御手段と、
    を備えた請求項1または請求項2のいずれかに記載の弛度シミュレータ。
  4. 前記の電柱判断手段が二本の電柱における頂点および地際が写っていると判断した場合において、
    二つの地際を結んだ延長線を推定する延長線推定手段と、
    当該画像データを撮影した撮影ポイントを推定する撮影場所推定手段と、
    その撮影場所推定手段が推定した撮影ポイントから前記の延長線推定手段が推定した延長線までの距離を算出する延長線距離算出手段と、
    を備え、
    前記の採用データ制御手段は、前記の延長線距離算出手段が算出した撮影ポイントから延長線までの距離が3メートル未満である場合には当該画像データを採用しないこととする請求項3に記載の弛度シミュレータ。
  5. 前記の採用データ制御手段が画像データを採用しない場合に、その旨を出力する不採用出力手段を備えた請求項2から請求項4のいずれかに記載の弛度シミュレータ。
  6. 二本の電柱間に渡されている線条の弛度を算出する弛度算出シミュレーションプログラムであって、
    二本の電柱がフレーム内に収まった画像データから視点変換定数を算出する視点変換算出プログラムと、
    その視点変換算出手段にて算出された視点変換定数を用いて前記の線条を二次関数に近似して弛度を算出する弛度算出プログラムとを備え、
    前記の視点変換算出プログラムは、
    二本の電柱がフレーム内に収まった画像データを入力する画像データ入力手順と、
    二本の電柱間の距離である径間および二本の電柱の高さを含んだ電柱データ入力する電柱データ入力手順と、
    前記の画像データを画像出力装置へ画面出力する画像出力手順と、
    二本の電柱における上端および下端の座標データを操作者に入力させる端部座標データ入力手順と、
    その端部座標データ入力手順によって入力された座標データおよび前記の電柱データの対応関係から視点変換定数を算出する定数算出手順と、をコンピュータに実行させ、
    前記の弛度算出プログラムは、
    前記の画像データの線条における任意の三つ以上の点について座標データを操作者に入力させる線条座標データ入力手順と、
    その線条座標データ入力手順にて入力された座標データおよび前記の視点変換定数を用いて前記の線条に近似した二次関数を特定する二次関数算出手順と、
    その二次関数算出手順にて特定された二次関数から線条の最下点および前記の二本の電柱における線条の端部を算出して弛度を算出する弛度演算手順と、をコンピュータに実行させる
    こととしたコンピュータプログラム。
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