JP2016132823A - 剪断加工部の焼入れ方法、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材、及び、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材の製造方法 - Google Patents

剪断加工部の焼入れ方法、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材、及び、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 鋼材のDI値が低くても、その鋼材に形成されている剪断加工部が良好に焼入れされるような、剪断加工部の焼入れ方法を提供すること。【解決手段】 鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度にまで上昇するように、鋼材を加熱する加熱工程と、加熱工程にて加熱された鋼材の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま鋼材を剪断加工して、鋼材に剪断加工部を形成する剪断加工工程と、剪断加工工程にて剪断加工部が形成された鋼材の温度がマルテンサイト点以下の温度にまで低下するように、鋼材を冷却する冷却工程と、を含む、剪断加工部の焼入れ方法とすること。【選択図】 図11

Description

本発明は、鋼材に形成された剪断加工部の焼入れ方法、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材、及び、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材の製造方法に関する。
オーステナイト化温度以上に加熱された鋼材を、金型装置内のダイとストリッパで拘束しながら剪断加工(成形)するとともにマルテンサイト変態開始点以下に冷却することにより、鋼材に形成された剪断加工部を焼入れすることができる。このような焼入れ方法は、成形と焼入れが同時に進行することから、「成形同時焼入れ」と呼ばれる。
特許文献1は、合金鋼板或いは炭素鋼板をプレス成形と同時に焼入れする成形同時焼入れ方法を開示する。特許文献1には、成形同時焼入れにおける剪断加工により形成される剪断加工部の焼入れが、剪断加工されていない非加工部の焼入れよりも困難であることが記載されている。また、特許文献1には、成形同時焼入れに供される被処理物である鋼板の理想臨界直径を表すDI値が1.8インチ以上、或いは3.6インチ以上である場合、剪断加工部が良好に焼入れされることが、示されている。
特開2002−339015号公報
DI値が高い鋼材は、添加元素が多いため高価である。そこで、本発明は、鋼材のDI値が低い場合、例えばDI値が1.8インチ未満であっても、その鋼材に形成された剪断加工部が良好に焼入れされるような、剪断加工部の焼入れ方法を提供することを目的とする。また、本発明は、低いDI値を有し、且つ、剪断加工部が良好に焼入れされている鋼材、及び、そのような鋼材の製造方法を提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度にまで上昇するように、鋼材を加熱する加熱工程と、加熱工程にて加熱された鋼材の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま鋼材を剪断加工して、鋼材に剪断加工部を形成する剪断加工工程と、剪断加工工程にて剪断加工部が形成された鋼材の温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下するように、鋼材を冷却する冷却工程と、を含む、剪断加工部の焼入れ方法を提供する。
従来の成形同時焼入れ方法によれば、オーステナイト化温度以上に加熱された鋼材を金型内で剪断加工する際に、金型内に配設されるダイ及びストリッパにより鋼材が拘束される。成形同時焼入れに用いられるダイ及びストリッパは熱間ダイス鋼(例えばSKD61)により形成されており、これらに鋼材が拘束された際に、鋼材の熱がダイ及びストリッパに奪われる。このため剪断加工時には鋼材の温度(特に剪断加工部の温度)がオーステナイト化温度未満にまで低下する。
また、剪断加工によって鋼材に形成された剪断加工部(特に強加工部)には、動的再結晶により微細粒(結晶粒)が生成される。生成された微細粒は、鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度である場合に成長する。従来の成形同時焼入れ方法によれば、上述したように剪断加工時に鋼材の温度がオーステナイト化温度未満にまで低下してしまうため、剪断加工後に剪断加工部に生成された微細粒が成長しない。よって、剪断加工部の結晶粒径は小さい。剪断加工部の結晶粒径が小さい場合、焼入れに必要な条件(冷却条件等)が厳しいので、剪断加工部の焼入れ不良(焼入れ不足)が発生する。なお、焼入れ性の良好なDI値の高い鋼材を用いることにより剪断加工部の焼入れ性を改善することができるが、上述したようにDI値の高い鋼板は高価である。
これに対し、本発明によれば、鋼板の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま、剪断加工が実施される。すなわち、剪断加工を、鋼材のオーステナイト化温度以上の温度域(γ域)内で完了させる。このため、剪断加工後に、剪断加工部に生成された微細粒が成長する。よって、剪断加工部の結晶粒径は大きい。剪断加工部の結晶粒径が大きい場合、焼入れに必要な条件が、結晶粒径が小さい場合に比較して緩和されるため、剪断加工部の焼入れが容易になされる。すなわち、本発明によれば、オーステナイト化温度以上の温度領域にて鋼材を剪断加工して剪断加工部に生成される微細粒を成長させることにより、剪断加工部の焼入れ性を改善させている。従って、DI値が低い鋼材、例えばDI値が1.8未満の鋼材であっても、その鋼材に形成された剪断加工部を良好に焼入れすることができる。
本発明において、「オーステナイト化温度」とは、オーステナイト変態が開始される温度を意味する。また、本発明において、「剪断加工部」とは、剪断加工工程にて剪断力が作用する部位を意味する。従って、剪断加工工程により形成される剪断面及び剪断面の直下の部位が、剪断加工部に該当する。
また、本発明に係る焼入れ方法は、剪断加工工程にて剪断加工部が形成された鋼材の温度を、オーステナイト化温度以上の温度に維持する保温工程を含み、冷却工程が保温工程の実施後に実施されるとよい。これによれば、保温工程にて、鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度に維持されるため、剪断加工工程にて剪断加工部に生成された微細粒を十分に成長させることができる。つまり、剪断加工部の結晶粒径をより大きくさせることができる。このため、その後の冷却工程で鋼材の温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下するように鋼材が冷却されたときに、鋼材に形成されている剪断加工部が確実に焼入れされる。
さらにこの場合、保温工程にて、剪断加工部の結晶粒径が4μm以上に達するまで、鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度に維持されるとよい。これによれば、鋼材に形成されている剪断加工部をより一層確実に焼入れすることができる。
また、鋼材が第1の面(WL)及び第1の面とは反対側の第2の面(WU)を有する板状部材であり、剪断加工工程は、鋼材が載置されるとともに鋼材の第1の面に接触するダイ(31)と、ダイ上に載置された鋼材の第2の面に接触するストリッパ(22)と、鋼材を剪断加工するためのパンチ(25)とを備える金型装置(1)を用いて実施され、少なくともダイ及びストリッパが、金属よりも熱伝導率の低い材料により構成されているとよい。好ましくは、ダイ及びストリッパが、熱間ダイス鋼であるSKD61の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料により構成されているとよい。より好ましくは、ダイ及びストリッパは、熱伝導率が、5W/m・K以下の材料により構成されるとよい。
これによれば、剪断加工工程に用いられる金型装置の構成部品のうち、ダイ、ストリッパといった、被加工材(鋼材)との接触時間が長い部品を低熱伝導材により構成することにより、剪断加工時にダイ及びストリッパによって鋼材から奪われる熱の量を低減することができる。よって、鋼材がダイとストリッパに拘束されているときにあっても鋼材の温度がオーステナイト化温度以上である状態が維持され、且つ、その状態を維持したまま、パンチによって鋼材を剪断加工することができる。
この場合、ダイ及びストリッパが、セラミックスにより形成されているとよい。さらに好ましくは、ダイ及びストリッパを形成するセラミックスが、ジルコニア(ZrO)系のセラミックスであるとよい。セラミックスは、一般的に熱伝導率が低い。特に、ジルコニア系のセラミックスの熱伝導率は、SKD61の熱伝導率よりもかなり低い。従って、このようなセラミックス材料によりダイ及びストリッパを形成することで、剪断加工時にダイ及びストリッパによって鋼材から奪われる熱の量をさらに低減することができる。このため、剪断加工時に鋼材の温度をオーステナイト化温度以上の温度に確実に維持することができる。
また、本発明は、剪断断加工によって形成された剪断加工部を有し、剪断加工部を含む部分が焼入れされている鋼材であって、DI値が1.8インチ未満であり、且つ、剪断加工部の結晶粒径が、4μm以上である、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材を提供する。この場合、鋼材がボロン鋼であるのがよい。これによれば、ボロン鋼のようなDI値が低い鋼材に形成されている剪断加工部の結晶粒径が4μm以上であるため、この部分の焼入れ性は良好である。よって、低いDI値を有し、且つ、良好に焼入れされた剪断加工部を有する鋼材を提供することができる。
また、本発明は、DI値が1.8インチ未満である鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度にまで上昇するように、鋼材を加熱する加熱工程と、加熱工程にて加熱された鋼材の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま鋼材を剪断加工して、鋼材に剪断加工部を形成する剪断加工工程と、剪断加工工程にて剪断加工部が形成された鋼材の温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下するように、鋼材を冷却する冷却工程と、を含む、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材の製造方法を提供する。これによれば、低いDI値を有し、且つ、良好に焼入れされた剪断加工部を有する鋼材を製造することができる。
剪断加工工程に用いられる金型装置を模式的に示す断面図である。 S22CB鋼板がセットされた金型装置の模式的な断面図である。 S22CB鋼板がダイとストリッパにより拘束されている状態が示された金型装置の模式的な断面図である。 S22CB鋼板がパンチにより打ち抜かれた状態が示された金型装置の模式的な断面図である。 ダイ上でS22CB鋼板Wが保温されている状態が示された金型装置の模式的な断面図である。 S22CB鋼板が取り出された状態が示された金型装置の模式的な断面図である。 加熱工程、剪断加工工程、保温工程、及び冷却工程の実行時におけるS22CB鋼板Wの温度変化を示す図である。 各例に係るサンプルの平面図である。 図8のA−A断面図である。 各サンプルの上側剪断加工部の断面の電子顕微鏡写真である。 各サンプルの下側剪断加工部の断面の電子顕微鏡写真である。 各サンプルS1,S2,S3の下側剪断加工部の結晶粒をより詳細に示す電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態においては、DI値の低い鋼材であるボロン鋼板の一種であるS22CB鋼板に、剪断加工部を形成するとともに、形成された剪断加工部を焼入れする方法、及び、焼入れされた剪断加工部を有するS22CB鋼板の製造方法について説明する。S22CB鋼板は安価であり、そのDI値は、1.5インチである。
本実施形態に係る焼入れ方法及び製造方法は、加熱工程、剪断加工工程、保温工程、及び、冷却工程を含む。
加熱工程では、S22CB鋼板の温度がオーステナイト化温度以上の温度、例えば960℃程度にまで上昇するように、S22CB鋼板が加熱される。加熱方法は特に限定されない。例えば、加熱炉を用いてS22CB鋼板を加熱しても良い。また、高周波加熱装置を用いてS22CB鋼板を加熱してもよい。
剪断加工工程では、S22CB鋼板の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま、S22CB鋼板を剪断加工して、S22CB鋼板に剪断加工部を形成する。本実施形態では、金型装置を用いたパンチによる打ち抜き加工によりS22CB鋼板に貫通孔が形成される。よって、形成された貫通孔の内壁面が剪断面に相当する。また、形成された貫通孔の内壁面及びその直下の部分(内壁面の周囲の部分)が、剪断加工部に相当する。図1は、剪断加工工程に用いられる金型装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この金型装置1は、上型部2と、下型部3とを備える。
上型部2は、上側プレート部21と、ストリッパ22と、複数のポール23と、複数のスプリング24と、パンチ25とを備える。上側プレート部21は、本実施形態では、3枚のプレート(上段プレート21a、中間プレート21b、下段プレート21c)を積層することにより構成される。また、中間プレート21bおよび下段プレート21cの中心部分にそれぞれ貫通孔が形成される。中間プレート21bに形成された貫通孔の径は下段プレート21cに形成された貫通孔の径よりも大きい。これらの貫通孔が同軸配置するように、中間プレート21bと下段プレート21cが積層される。よって、中間プレート21bに形成された貫通孔の下側開口面と、下段プレート21cに形成された貫通孔の上側開口面との境界に段差が形成される。
パンチ25は、段付円柱形状をなし、固定部25a、中間部25b、及びパンチ部25cを有する。そして、固定部25a、中間部25b、及びパンチ部25cが、この順で軸方向に沿って同軸的に形成される。固定部25aの径は中間部25bの径よりも大きく、中間部25bの径はパンチ部25cの径よりも大きい。固定部25aが中間プレート21bに形成された貫通孔内に配設され、中間部25bが下段プレート21cに形成された貫通孔内に配設される。そして、中間プレート21bに形成された貫通孔の下側開口面と下段プレート21cに形成された貫通孔の上側開口面との境界に形成される段差部分にて固定部25aの下面が係止される。これによりパンチ25が上側プレート部21に固定され、パンチ25と上側プレート部21は一体的に動作する。また、パンチ部25cは下段プレート21cから下方に突出する。
ストリッパ22は上側プレート部21の下方に配置される。ストリッパ22の中心部分にはパンチ用貫通孔22aが形成される。また、ストリッパ22の四隅付近には、ポール用貫通孔22bがそれぞれ形成される。
ポール23は、下段プレート21cの四隅付近に固定される。ポール23は下段プレート21cの下面から下方に向けて棒状に延設される。ポール23の下方部分はストリッパ22に形成されたポール用貫通孔22bにストリッパ22の上面側から進入している。図1に示すように、ポール用貫通孔22bの上側部分の径は下側部分の径よりも小さく、そのため径の小さい上側部分(小径部分)と径の大きい下側部分(大径部分)との境界部分に段差が形成される。また、ポール23の先端(下端)には径外方に広がる拡径部が形成されている。拡径部が、ポール用貫通孔22b内でポール用貫通孔22bに形成された段差部分に係止されることにより、ストリッパ22がポール23を介して上側プレート部21に吊り下げられる。このときストリッパ22に形成されているパンチ用貫通孔22aに、パンチ25のパンチ部25cが挿通される。
スプリング24は各ポール23に巻回される。各スプリング24の図1において上端が下段プレート21cの下面に固定(又は係止)され、各スプリング24の図1において下端がストリッパ22の上面に固定(又は係止)される。各スプリング24は、各ポール23に巻回された状態で常に伸長力を発生している。このためストリッパ22は、スプリング24により上側プレート部21から離間する方向に付勢される。この場合において、ポール23の先端に形成された拡径部がポール用貫通孔22bに形成された段差部分に係止されることによって、ストリッパ22がスプリング24の付勢力でポール23から抜け落ちることが防止される。
下型部3は、ダイ31とベースプレート32とを備える。ベースプレート32の上面にダイ31が固定される。ダイ31の上面に、S22CB鋼板Wが載置される。また、ダイ31の中心部に打ち抜き用貫通孔31aが形成される。打ち抜き用貫通孔31aはダイ31の上面に開口する。打ち抜き用貫通孔31aがストリッパ22に形成されているパンチ用貫通孔22aと同軸配置するように、ストリッパ22に対するダイ31の位置が決められている。
ここで、金型装置に設けられるダイとストリッパの材質は、通常は熱間ダイス鋼(例えばSKD61)であるが、本実施形態においては、ダイ31とストリッパ22の材質は、ジルコニア系のセラミックスである。ジルコニア系のセラミックスの熱伝導率は5W/m・K以下(具体的には3W/m・K)であり、熱間ダイス鋼の熱伝導率(30W/m・K)と比較して、かなり低い。つまり、本実施形態においては、ダイ31及びストリッパ22が、通常のダイ及びストリッパと比較して熱伝導率が低い材質により形成される。
このような金型装置1を用いて、S22CB鋼板Wに貫通孔が形成される。S22CB鋼板Wは、図1に示すように、下面WL(第1の面)と、下面WLと反対側の上面WU(第2の面)を有する板状部材である。このようなS22CB鋼板Wに貫通孔を形成する場合、まず、金型装置1に備えられるダイ31の上面のうち、打ち抜き用貫通孔31aが開口している部分を含む領域に、加熱工程にて加熱されたS22CB鋼板Wを載置する。このとき、ダイ31の上面に、S22CB鋼板Wの下面WLが接触する。これにより、S22CB鋼板が金型装置1内にセットされる。図2は、S22CB鋼板がセットされた金型装置1の模式的な断面図である。
S22CB鋼板を金型装置1内にセットした後に、上型部2を下型部3に向かって下降させる。これにより、ストリッパ22の下面が、S22CB鋼板Wの上面WUに接触するとともに、S22CB鋼板Wが、ダイ31とストリッパ22により拘束される。図3は、S22CB鋼板がダイ31とストリッパ22により拘束されている状態が示された金型装置1の模式的な断面図である。
その後、さらに上側プレート部21を下降させる。すると、上側プレート部21と一体的に動作するパンチ25も下降する。これによりパンチ25が22CB鋼板Wを打ち抜き、S22CB鋼板Wに、その上面WUから下面WLにかけて貫通する貫通孔が形成される。図4は、S22CB鋼板Wがパンチ25により打ち抜かれた状態、すなわちS22CB鋼板Wが剪断加工された状態が示された金型装置1の模式的な断面図である。
このように、S22CB鋼板Wは、金型装置1に設けられているダイ31とストリッパ22に拘束された状態、すなわちダイ31とストリッパ22に接触した状態で、パンチ25により剪断加工(打ち抜き加工)される。ここで、上述したように、ダイ31とストリッパ22は、熱伝導率の低いジルコニア系のセラミックス製であるため、ダイ31とストリッパ22には、S22CB鋼板Wの熱が伝わり難い。よって、剪断加工時におけるS22CB鋼板の温度低下量は少ない。その結果、剪断加工時においてS22CB鋼板Wの温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持することができ、また、その状態で、S22CB鋼板を剪断加工(打ち抜き加工)することができる。つまり、本実施形態によれば、加熱工程にて加熱されたS22CB鋼板Wの温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま、S22CB鋼板Wを剪断加工(打ち抜き加工)して、S22CB鋼板Wに剪断加工部を形成することができる。
剪断加工(打ち抜き加工)工程の実施後、金型装置1の上型部2が上昇することにより、S22CB鋼板Wの上面WUからストリッパ22が離間する。そして、ダイ31上に載置されたS22CB鋼板Wが所定時間放置される。ここで、S22CB鋼板Wの剪断加工時には、剪断面がパンチ25に接触するため、剪断面の熱がパンチ25に奪われる。このため剪断加工部の温度が若干低下する。ただし、パンチ25とS22CB鋼板との接触面積は小さいため、剪断加工部の温度が極端に低下してオーステナイト化温度を下回ることはない。一方、剪断加工されていない非加工部はパンチ25に接触していないため、剪断加工部の温度よりも高い。このため、剪断加工後には、パンチ25に接触していない非加工部からパンチ25に接触した剪断加工部に熱が流れることにより、剪断加工部の温度が若干上昇する。つまり、剪断加工後に、S22CB鋼板Wをダイ31上に放置しておくだけで、S22CB鋼板Wが保温或いは昇温される(保温工程)。この保温工程により、剪断加工程にて剪断加工部が形成されたS22CB鋼板Wの温度が、オーステナイト化温度以上の温度に維持される。図5は、ダイ31上でS22CB鋼板Wが保温されている状態が示された金型装置1の模式的な断面図である。なお、保温工程は、金型装置1からS22CB鋼板Wを取り出して、大気中或いは断熱槽中に放置するような工程であってもよい。
保温工程(すなわちダイ31上でのS22CB鋼板の放置)が所定時間なされた後に、冷却工程が実施される。この場合、ダイ31上に放置されているS22CB鋼板Wを金型装置1から取り出す。図6は、S22CB鋼板が取り出された状態が示された金型装置1の模式的な断面図である。金型装置1から取り出されたS22CB鋼板Wは、所定の手段により冷却される。例えば、取り出したS22CB鋼板を水等の冷媒に浸漬することにより、S22CB鋼板が冷却される。或いは、取り出したS22CB鋼板を冷却用の金型で拘束することにより、S22CB鋼板Wが冷却される。このような冷却工程によって、S22CB鋼板の温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下する。これにより、S22CB鋼板Wが焼入れされる。
以上のように、加熱工程、剪断加工工程、保温工程、及び冷却工程を経て、S22CB鋼板の剪断加工部を含む部分が焼入れされる。また、加熱工程、剪断加工工程、保温工程、及び冷却工程を経て、焼入れされた剪断加工部を有するS22CB鋼板が製造される。
図7は、上記した加熱工程、剪断加工工程、保温工程、及び冷却工程が連続的に実行された場合における、S22CB鋼板Wの剪断加工部の温度変化を示す図である。図7中、実線で示すグラフが、本実施形態におけるS22CB鋼板Wの剪断加工部の温度変化を示す。なお、図7中、破線で示すグラフは、SKD61製のダイ及びストリッパを備える金型装置を用いてS22CB鋼板を成形同時焼入れした場合における、S22CB鋼板の剪断加工部の温度変化を示す。また、図7の縦軸において、A3点がオーステナイト化温度であり、Ms点がマルテンサイト変態開始点である。
図7に示すように、本実施形態においては、剪断加工工程及び保温工程の間は、S22CB鋼板Wの剪断加工部の温度がオーステナイト化温度(723℃)以上の温度に維持されている。また、保温工程においては、上述したように非加工部から剪断加工部に熱が流れるために、剪断加工部の温度が緩やかに上昇している。一方、従来の成形同時焼入れ方法を実施した場合、S22CB鋼板がSKD61製のダイとストリッパに拘束されたときに急速にS22CB鋼板の剪断加工部の温度が低下する。そして、剪断加工時においてはS22CB鋼板の剪断加工部の温度はオーステナイト化温度(723℃)未満の温度にまで低下している。
ところで、鋼材を剪断加工した場合、剪断加工された部分(剪断加工部)にて動的再結晶が起こる。これにより、剪断加工部に微細粒(結晶粒)が生成される。生成された微細粒は、高温の状況下で成長する。具体的には、鋼材の温度(剪断加工部の温度)がオーステナイト化温度以上の温度であるときに、鋼材の剪断加工部に生成された微細粒が成長する。
また、剪断加工部に生成された微細粒の粒径、すなわち剪断加工部の結晶粒径は、剪断加工部の焼入れ性に影響を及ぼす。具体的には、結晶粒径が小さいほど、焼入れ条件(冷却条件等)が厳しく、結晶粒径が大きいほど、焼入れ条件は緩い。つまり、結晶粒径が大きいほど焼入れ条件(冷却条件)が緩和されて、焼入れし易くなる。
この点に関し、本実施形態によれば、剪断加工時及びその後の保温時に、鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度に維持されているため、剪断加工部に生成された微細粒が剪断加工時及び剪断加工後に十分に成長する。よって、冷却工程の開始時における剪断加工部の結晶粒径は、十分に大きい。従って、冷却工程にてS22CB鋼板Wの温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下するようにS22CB鋼板Wが冷却された場合に、剪断加工部を確実に焼入れすることができる。また、本実施形態によれば、上記した各工程を経ることにより、ボロン鋼のようなDI値が1.8インチ未満の鋼材に形成された剪断加工部を含む部分を十分に焼入れすることができる。
(実施例1)
まず、平板状のS22CB鋼板を960℃に加熱した(加熱工程)。次いで、加熱されたS22CB鋼板の下面が金型装置内に設けられているジルコニア系セラミックス製のダイの上面に接触するように、S22CB鋼板を金型装置内にセットした。次に、金型装置内に設けられているジルコニア系セラミックス製のストリッパを下降させてS22CB鋼板の上面にストリッパの下面を接触させた。これにより、S22CB鋼板をジルコニア系セラミックス製のダイとストリッパで拘束した。そして、S22CB鋼板をダイとストリッパで拘束したまま、SKD61製のパンチを下降させることにより、S22CB鋼板をその上面から下面に向かって打ち抜いた。これにより、S22CB鋼板に貫通孔を形成した(剪断加工工程)。その後、ストリッパを上昇させ、ダイ上にS22CB鋼板を放置することにより、S22CB鋼板を保温した(保温工程)。所定時間経過後、金型装置からS22CB鋼板を取り出し、取り出したS22CB鋼板を水冷した(冷却工程)。以上の工程を経て、剪断加工部を有するC22B鋼板であるサンプルS1を製造した。
(実施例2)
まず、平板状のS22CB鋼板を960℃に加熱した(加熱工程)。次いで、加熱されたS22CB鋼板の下面が金型装置内に設けられているジルコニア系セラミックス製のダイの上面に接触するように、S22CB鋼板を金型装置内にセットした。次に、金型装置内に設けられているジルコニア系セラミックス製のストリッパを下降させてS22CB鋼板の上面にストリッパの下面を接触させた。これにより、S22CB鋼板をジルコニア系セラミックス製のダイとストリッパで拘束した。そして、S22CB鋼板をダイとストリッパで拘束したまま、ジルコニア系セラミックス製のパンチを下降させることにより、S22CB鋼板をその上面から下面に向かって打ち抜いた。これにより、S22CB鋼板に貫通孔を形成した(剪断加工工程)。その後、ストリッパを上昇させ、ダイ上にS22CB鋼板を放置することにより、S22CB鋼板を保温した(保温工程)。所定時間経過後、金型装置からS22CB鋼板を取り出し、取り出したS22CB鋼板を水冷した(冷却工程)。以上の工程を経て、剪断加工部を有するS22CB鋼板であるサンプルS2を作製した。
(比較例)
まず、平板状のS22CB鋼板を960℃に加熱した。次いで、加熱されたS22CB鋼板の下面が金型装置内に設けられているSKD61製のダイの上面に接触するように、S22CB鋼板を金型装置内にセットした。次に、金型装置内に設けられているSKD61製のストリッパを下降させてS22CB鋼板の上面にストリッパの下面を接触させた。これにより、S22CB鋼板をSKD61製のダイとストリッパで拘束した。そして、S22CB鋼板をダイとストリッパで拘束したまま、SKD61製のパンチを下降させることにより、S22CB鋼板をその上面から下面に向かって打ち抜いた。これにより、S22CB鋼板に貫通孔を形成した。その後、ストリッパを上昇させ、ダイ上にS22CB鋼板を放置した。所定時間経過後、金型装置からS22CB鋼板を取り出して水冷した。以上の工程を経て、剪断加工部を有するS22CB鋼板であるサンプルS3を作製した。
図8は、各例に係るサンプルS1,S2,S3の平面図である。図8に示すように、各サンプルS1,S2,S3には、その上面から下面に貫通した貫通孔Hが形成されている。このサンプルS1,S2,S3を、貫通孔Hの縁を通るように、図8のA−A線に沿って切断した。図9に図8のA−A断面図を示す。図9に示すように、貫通孔Hの近傍における部分は、剪断加工によって塑性変形している。このように塑性変形した部分、すなわち貫通孔Hの内壁面及び内壁面の周囲の部分(内壁面の直下の部分)が剪断加工部である。
また、剪断加工部のうち、サンプルS1,S2,S3の上面(ストリッパに接触していた面)付近の部分(図9の領域Bで囲まれた部分、以下、上側剪断加工部と呼ぶ)が、貫通孔H内に引き込まれるように変形し、サンプルS1,S2,S3の下面(ダイに接触していた面)付近の部分(図9の領域Cで囲まれた部分、以下、下側剪断加工部と呼ぶ)が、貫通孔Hから突出するように変形する。
図8のA−A線に沿った切断面に表される上側剪断加工部び下側剪断加工部を、それぞれ電子顕微鏡にて観察した。図10は、各サンプルS1,S2,S3の上側剪断加工部の断面の電子顕微鏡写真であり、図11は、各サンプルS1,S2,S3の下側剪断加工部の断面の電子顕微鏡写真である。
図10に示すように、各サンプルS1,S2,S3の上側剪断加工部には、動的再結晶による微細粒がそれほど生成されていない。これは、各サンプルS1,S2,S3の上面から下面に向かってパンチが打ち抜かれる際における上面近傍位置の剪断加工部の塑性変形量が少ない、すなわち加工度が小さいことに起因する。このように加工度が小さい部分においては動的再結晶により微細粒があまり生成されないため、剪断加工時に鋼板の温度がオーステナイト化温度以下であっても十分に焼入れがなされる。そのため、実施例1、実施例2、及び、比較例に係る各サンプルS1,S2,S3の上側剪断加工部の硬度は、いずれも高い。サンプルS1の上側剪断加工部のビッカース硬度(HV)はHV500であり、サンプルS2の上側剪断加工部のビッカース硬度はHV520であり、サンプルS3の上側剪断加工部のビッカース硬度はHV380であり、いずれのビッカース硬度もHV350以上である。
一方、図11に示すように、各サンプルS1,S2,S3の下側剪断加工部には、動的再結晶により微細粒が生成される。これは、各サンプルS1,S2,S3の上面から下面に向かってパンチが打ち抜かれる際における下面近傍位置の剪断加工部の塑性変形量が大きい、すなわち加工度が大きいことに起因する。また、生成された微細粒の粒径(結晶粒径)は、実施例1及び実施例2に係るサンプルS1,S2において大きく、比較例に係るサンプルS3において小さい。このことから、実施例1及び実施例2において、剪断加工工程及び保温工程にてS22CB鋼板の温度がオーステナイト化温度以上の温度に維持されていることによって、下側剪断加工部にて生成された微細粒が十分に成長したことが理解される。また、実施例1に係るサンプルS1の下側剪断加工部のビッカース硬度はHV500であり、実施例2に係るサンプルS2の下側剪断加工部のビッカース硬度はHV520であった。これに対し、比較例に係るサンプルS3の下側剪断加工部のビッカース硬度はHV260であった。この結果から、実施例1及び実施例2に係るサンプルS1,S2の下側剪断加工部が十分に焼入れされており、一方、比較例に係るサンプルS3の下側剪断加工部は十分に焼入れされていないことがわかる。
図12は、各例に係るサンプルS1,S2,S3の下側剪断加工部の拡大図であり、下側剪断加工部の結晶粒をより詳細に示す電子顕微鏡写真である。図12から、実施例1に係るサンプルS1の下側剪断加工部及び実施例2に係るサンプルS2の下側剪断加工部の結晶粒径は、比較例に係るサンプルS3の下側剪断加工部の結晶粒径よりも大きいことがわかる。具体的には、実施例1に係るサンプルS1の下側剪断加工部の結晶粒径は、4μm〜8μmであり、実施例2に係るサンプルS2の下側剪断加工部の結晶粒径は、6μm〜8μmであり、比較例に係るサンプルS3の下側剪断加工部の結晶粒径は、1μm〜2μmである。この結果から、剪断加工部の結晶粒径が4μm以上である場合、その剪断加工部が十分に焼入れされることがわかる。また、保温工程にて、下側剪断加工部に生成された微細粒の結晶粒径が4μm以上に達するまで、S22CB鋼板の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持しておくことにより、剪断加工部を十分に焼入れできることがわかる。
また、実施例1及び実施例2においては、ダイ及びストリッパの材質がジルコニア系セラミックスである。このような材質のダイ及びストリッパを用いることで、剪断加工時におけるS22CB鋼板の温度低下を抑えることができる。よって、剪断加工時にS22CB鋼板の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持することができる。また、実施例1及び実施例2において用いたダイ及びストリッパの熱伝導率は、3W/m・Kである。熱伝導率が5W/m・K以下の材質でダイ及びストリッパを形成することにより、剪断加工時におけるS22CB鋼板の温度低下を抑えることができる。よって、剪断加工時にS22CB鋼板の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、鋼材としてボロン鋼の一種であるS22CB鋼板を用いた例を示したが、その他の鋼板を用いても良い。また、上記実施形態では、剪断加工工程として、パンチによって貫通孔を形成する工程を示したが、剪断される部分が形成されるような加工工程であれば、どのような工程であってもよい。例えば、鍛造によって鋼材を剪断加工するような場合においても、本発明に係る焼入れ方法、製造方法を、適用することができる。
また、上記実施形態では、平板状の鋼板を剪断加工する例について説明したが、鋼材であれば、どのような形状であってもよい。また、上記実施形態では、金型装置内に設けられるダイとストリッパがセラミックス製である例を示したが、セラミックス以外であっても、金属材料よりも熱伝導率が低い材質、特にSKD61(熱間ダイス鋼)よりも熱伝導率が低い材質であれば、それによりダイとストリッパを形成してもよい。また、ダイとストリッパが鋼材のオーステナイト化温度以上の温度に加熱されていれば、それらの材質が金属材料、例えばSKD61であってもよい。
また、上記実施形態では、剪断加工後にダイ上に鋼材を放置することにより、鋼材を保温する例を示したが、剪断加工後の鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度に維持されるように加熱手段により鋼材を加熱してもよい。また、上記実施形態では、S22CB鋼板をダイとストリッパとにより拘束しながら剪断加工する例を示したが、例えば剪断加工する部位の周囲を拘束することなく、鋼材を剪断加工してもよい。この場合、剪断加工部付近が他の部材に接触しないため、オーステナイト温度以上の温度を維持した状態で、剪断加工することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
1…金型装置、2…上型部、21…上側プレート部、22…ストリッパ、3…下型部、25…パンチ、25a…固定部、25b…中間部、25c…パンチ部、31…ダイ、32…ベースプレート、W…S22CB鋼板、WL…下面(第1の面)、WU…上面(第2の面)

Claims (8)

  1. 鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度にまで上昇するように、前記鋼材を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程にて加熱された前記鋼材の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま前記鋼材を剪断加工して、前記鋼材に剪断加工部を形成する剪断加工工程と、
    前記剪断加工工程にて前記剪断加工部が形成された前記鋼材の温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下するように、前記鋼材を冷却する冷却工程と、
    を含む、
    剪断加工部の焼入れ方法。
  2. 請求項1に記載の剪断加工部の焼入れ方法において、
    前記剪断加工工程にて前記剪断加工部が形成された前記鋼材の温度を、オーステナイト化温度以上の温度に維持する保温工程を含み、
    前記冷却工程が前記保温工程の実施後に実施される、
    剪断加工部の焼入れ方法。
  3. 請求項2に記載の剪断加工部の焼入れ方法において、
    前記保温工程にて、前記剪断加工部の結晶粒径が4μm以上に達するまで、前記鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度に維持される、剪断加工部の焼入れ方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の剪断加工部の焼入れ方法において、
    前記鋼材が第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有する板状部材であり、
    前記剪断加工工程は、前記鋼材が載置されるとともに前記鋼材の前記第1の面に接触するダイと、前記ダイ上に載置された前記鋼材の前記第2の面に接触するストリッパと、前記鋼材を剪断加工するためのパンチとを備える金型装置を用いて実施され、
    少なくとも前記ダイ及び前記ストリッパが、金属よりも熱伝導率の低い材料により構成されている、剪断加工部の焼入れ方法。
  5. 請求項4に記載の剪断加工部の焼入れ方法において、
    前記ダイ及びストリッパが、セラミックスにより形成されている、剪断加工部の焼入れ方法。
  6. 請求項5に記載の剪断加工部の焼入れ方法において、
    前記セラミックスが、ジルコニア系のセラミックスである、剪断加工部の焼入れ方法。
  7. 剪断断加工によって形成された剪断加工部を有し、前記剪断加工部を含む部分が焼入れされている鋼材であって、
    DI値が1.8インチ未満であり、且つ、前記剪断加工部の結晶粒径が、4μm以上である、焼入れされた剪断加工部を有する鋼材。
  8. DI値が1.8インチ未満である鋼材の温度がオーステナイト化温度以上の温度にまで上昇するように、前記鋼材を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程にて加熱された前記鋼材の温度をオーステナイト化温度以上の温度に維持したまま前記鋼材を剪断加工して、前記鋼材に剪断加工部を形成する剪断加工工程と、
    前記剪断加工工程にて前記剪断加工部が形成された前記鋼材の温度がマルテンサイト変態開始点以下の温度にまで低下するように、前記鋼材を冷却する冷却工程と、
    を含む、
    焼入れされた剪断加工部を有する鋼材の製造方法。
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