JP2016132632A - 5−エチニルキナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたエイズ治療薬Efavirenzの鍵中間体となる(S)−2−(5−クロロ−2−ニトロフェニル)−4−シクロプロピル−1,1,1−トリフルオロブト−3−イル−2−オールの触媒的エナンチオ選択的製造方法 - Google Patents
5−エチニルキナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたエイズ治療薬Efavirenzの鍵中間体となる(S)−2−(5−クロロ−2−ニトロフェニル)−4−シクロプロピル−1,1,1−トリフルオロブト−3−イル−2−オールの触媒的エナンチオ選択的製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】エナンチオ選択的トリフルオロメチル化反応を利用したエイズ治療薬Efavirenzの鍵中間体となる式(2)で表される(S)-2-(5-クロロ-2-ニトロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロブト-3-イル-2-オールの製造方法の提供。【解決手段】式(4)で例示されるキナアルカロイド相間移動触媒と(トリフルオロメチル)トリメチルシランを用いてアルキニルケトンへの高エナンチオ選択的トリフルオロメチル化反応により、式(2)で表されるトリフルオロメチルアルコール化合物のエナンチオ選択的製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は,5-エチニルキナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたエナンチオ選択的トリフルオロメチル化反応によるエイズ治療薬Efavirenzの鍵中間体となる(S)-2-(5-クロロ-2-ニトロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロブト-3-イル-2-オールの触媒的エナンチオ選択的製造方法に関するものである。
Merck社が開発したEfavirenzはトリフルオロメチル基を持つ不斉炭素を有し, (S)-体の光学異性体のみに抗HIV活性があり, (R)-体には活性がないことが知られている。Efavirenzはエイズ発症抑制剤(非核酸系逆転写酵素阻害剤)であり, 世界的なトップドラッグの一つであり,その売り上げは年間約200億円にのぼる。しかしながら, 現在の実際の製造プロセスでは(-)-Camphanoyl chlorideをキラル補助基として利用した光学分割が用いられているのが現状であり(非特許文献1), 光学分割では中間体をラセミ体として合成し, 光学分割剤を作用させた後にジアステレオマーを分離するので, 半分の化合物は捨てていることになる。Efavirenzの不斉第四級炭素構築法には大きく大別して二つ挙げられる。一つ目はトリフルオロメチルケトンに対する不斉アルキニル化反応(非特許文献2,3,4),二つ目はアルキニルケトンに対する直接的不斉トリフルオロメチル化反応である。しかし,以前に発明者がこの方法を報告しているが,エナンチオ選択性が最高80% eeとまだ完全な制御には至っていない(非特許文献5,6)。そのため,efavirenzの合成の実用化に向けて,エナンチオ選択的トリフルオロメチル化反応を利用したエイズ治療薬Efavirenzの高エナンチオ選択的製造方法の開発の検討を行っていたところ,5-エチニルキナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたところ最高92% eeで目的のトリフルオロメチルアルコール体を得ることに成功した。
S. D. Young, F. S. Britcher, L. O. Tran, L. S. Payne, W. C. Lumma, T. A. Lyle, J. R. Huff, P. S. Anderson, D. B. Olsen, S. S. Carrol, D. J. Pettibone, J. A. O. Brien, R. G. Ball, S. K. Balani, J. H. Lin, I.-W. Chen, W. A. Schleif, V. V. Sardana, W. J. Long, V. W. Byrnes, E. A. Emini, Antimicrob. Agents Chemother,1995,39, 2602.
A. S. Thompson, E. G. Corley, M. F. Huntington, E. J. J. Grabowski, Tetrahedron Lett. 1995, 39, 2602
L. Tan, C.-Y. Chen, R. Tillyer, E. J. J. Grabowski, P. J. Reider, Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 711.
N. Chinkov, A. Warm, E. M. Carreira, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 2957.
H. Kawai, T. Kitayama, E. Tokunaga, N. Shibata, Eur. J. Org. Chem. 2011, 5959.
S. Okusu, H. Kawai, Y. Yasuda, Y. Sugita, T. Kitayama, E. Tokunaga, N. Shibata, Asian J. Org. Chem. 2014, 3, 449.
本発明は上記点に鑑みて,5-エチニルキナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いたエナンチオ選択的トリフルオロメチル化反応によるエイズ治療薬Efavirenzの鍵中間体となる(S)-2-(5-クロロ-2-ニトロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロブト-3-イル-2-オールの触媒的エナンチオ選択的製造方法の開発を目的とする。
上記目的を達成するために,発明者らは次式で示す5-エチニルキナアルカロイド由来の相間移動触媒と(トリフルオロメチル)トリメチルシランを用いてアルキニルケトンへの高エナンチオ選択的トリフルオロメチル化反応に成功した。
すなわち,請求項1に記載の発明は,下記の一般式(1)
で表されるアルキニルケトンと,(トリフルオロメチル)トリメチルシランを溶媒中,塩基と触媒量の下記一般式(3)
で表されるキナアルカロイド相間移動触媒存在下で反応させることにより,高エナンチオ選択的に下記一般式(2)
で表される,トリフルオロメチルアルコール化合物が得られることを特徴とする製造方法にある。
前記キナアルカロイド相間移動触媒は特に限定されないが,下記の一般式(3),(4),(5)又は(6)で表される。
(式中,R1はアルコキシ基またはアミノ基,ウレア基,チオウレア基を示す。式中,R2はアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基を示す。式中,R3は,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,アルコキシ基またはアミノ基を示す。)
本明細書において,R2及びR3のアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基,オクタデシル基,ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。
R2及びR3のアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
R2及びR3が示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2〜30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
アルキル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルケニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルキニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o−メチルベンジル基,m−メチルベンジル基,p−メチルベンジル基,p−ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α−フェネチル基等が挙げられる。
アリール基はアルキル基,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
R1およびR3が示すアミノ基は,N上に水素,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基の置換基が1つ、または、2つ置換しているものが挙げられる。置換基はそれぞれ独立しており,同一である必要はない。アミノ基は,置換基を組み合わせて形成されうる環状構造を形成することができる。特に3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。また,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。
R1およびR3が示すアルコキシ基は炭素数が1〜20のアルコキシ基が好ましく,炭素数が1〜10のアルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の場合も上記のアルキル基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。
R1が示すウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
R1が示すチオウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
Xが示すカウンターアニオンはフロリド,クロリド,ブロミド(Br),ヨード,フェノキシド,トリフルオロボレート(BF4),ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)などが挙げられる。
本明細書において,R2及びR3のアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基,オクタデシル基,ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。
R2及びR3のアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
R2及びR3が示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2〜30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
アルキル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルケニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルキニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o−メチルベンジル基,m−メチルベンジル基,p−メチルベンジル基,p−ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α−フェネチル基等が挙げられる。
アリール基はアルキル基,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
R1およびR3が示すアミノ基は,N上に水素,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基の置換基が1つ、または、2つ置換しているものが挙げられる。置換基はそれぞれ独立しており,同一である必要はない。アミノ基は,置換基を組み合わせて形成されうる環状構造を形成することができる。特に3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。また,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。
R1およびR3が示すアルコキシ基は炭素数が1〜20のアルコキシ基が好ましく,炭素数が1〜10のアルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の場合も上記のアルキル基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。
R1が示すウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
R1が示すチオウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
Xが示すカウンターアニオンはフロリド,クロリド,ブロミド(Br),ヨード,フェノキシド,トリフルオロボレート(BF4),ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)などが挙げられる。
溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n−ブチルメチルエーテル,tert−ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である。アルキニルケトンに対するエナンチオ選択的トリフルオロメチルアルコールの合成にはトルエンと塩化メチレンの溶媒比が2対1の混合溶媒が最も好ましい。
用いる塩基は無機塩基,有機塩基,有機金属試薬等が使用できるが,例えば,炭酸カリウム,炭酸セシウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム,酢酸カリウムなどの酢酸塩;テトラメチルアンモニウムフロリド,テトラエチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムフロリドなどのアンモニウムフロリド;フッ化カリウム,フッ化セシウムなどのフッ化アルカリ金属類;水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の水酸化物;ナトリウムメトキシド,カリウムtert−ブトキシド等のアルコキシド化合物;DABCO,DBU,トリエチルアミン,N,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;n−ブチルリチウム,sec−ブチルリチウム,tert−ブチルリチウム,リチウムジイソプロピルアミド,ヘキサメチルジシラザンリチウム塩などのリチウム塩などが挙げられるがテトラメチルアンモニウムフロリドが最も好ましい。使用量は一般的に式(1)に対して,0.1〜10当量で,好ましくは0.5当量である。
反応に用いるキナアルカロイド相間移動触媒は、前記一般式(3)、(4)、(5)または(6)で表されるキナアルカロイド誘導体である。下記の一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表される化合物は、異性体の関係であり、同じ性能を有する。このため、前記の一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表される化合物のいずれを用いてもよい。キナアルカロイド相間移動触媒の使用量は、相間移動触媒として作用する触媒量であればよい。
本発明の化合物の絶対配置は(S)配置であるが,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。
反応温度は特に限定されるものではないが、通常−100℃〜120℃であり,より好ましくは室温付近である。反応器は大気開放型の反応器,またはオートクレーブ等の密閉型の反応器のいずれも可能である。反応圧力は大気圧下,または加圧下のいずれも可能である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常1時間〜5日で反応は完結する。
用いる塩基は無機塩基,有機塩基,有機金属試薬等が使用できるが,例えば,炭酸カリウム,炭酸セシウム等の炭酸塩;酢酸ナトリウム,酢酸カリウムなどの酢酸塩;テトラメチルアンモニウムフロリド,テトラエチルアンモニウムフロリド,テトラブチルアンモニウムフロリドなどのアンモニウムフロリド;フッ化カリウム,フッ化セシウムなどのフッ化アルカリ金属類;水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の水酸化物;ナトリウムメトキシド,カリウムtert−ブトキシド等のアルコキシド化合物;DABCO,DBU,トリエチルアミン,N,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;n−ブチルリチウム,sec−ブチルリチウム,tert−ブチルリチウム,リチウムジイソプロピルアミド,ヘキサメチルジシラザンリチウム塩などのリチウム塩などが挙げられるがテトラメチルアンモニウムフロリドが最も好ましい。使用量は一般的に式(1)に対して,0.1〜10当量で,好ましくは0.5当量である。
反応に用いるキナアルカロイド相間移動触媒は、前記一般式(3)、(4)、(5)または(6)で表されるキナアルカロイド誘導体である。下記の一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表される化合物は、異性体の関係であり、同じ性能を有する。このため、前記の一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表される化合物のいずれを用いてもよい。キナアルカロイド相間移動触媒の使用量は、相間移動触媒として作用する触媒量であればよい。
本発明の化合物の絶対配置は(S)配置であるが,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。
反応温度は特に限定されるものではないが、通常−100℃〜120℃であり,より好ましくは室温付近である。反応器は大気開放型の反応器,またはオートクレーブ等の密閉型の反応器のいずれも可能である。反応圧力は大気圧下,または加圧下のいずれも可能である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常1時間〜5日で反応は完結する。
反応後,前記一般式(2)で示されるトリフルオロメチルアルコール化合物は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,シリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶等が挙げられる。
この反応では、キナアルカロイド相間移動触媒の構造が不斉収率に影響する。この反応は、金属触媒を用いず、キナアルカロイド相間移動触媒を用いるので、反応物に金属触媒が不純物として残存することがないため,安全な反応である。以下,実施形態により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。
(第1実施形態)前記一般式(2)の製造方法:
次式に示す反応を行った結果を下記の表1に示す。
(第1実施形態)前記一般式(2)の製造方法:
次式に示す反応を行った結果を下記の表1に示す。
アルキニルケトン1(0.10 mmol),テトラメチルアンモニウムフロリド(0.05 mmol),下記の構造式(4m)で示すキナアルカロイド相間移動触媒(0.01 mmol)をトルエンと塩化メチレンの溶媒比が1対2の混合溶媒2mLに溶かし,−90 oCにおいて(トリフルオロメチル)トリメチルシラン(0.20 mmol)を加えた。4時間撹拌した後,飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。塩化メチレンを用いて抽出し,集めた有機相を飽和食塩水で洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で溶媒を留去し,テトラヒドロフラン1 mLとテトラブチルアンモニウムフロリドを加え,室温で1時間撹拌した。その後減圧下で溶媒を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し,前記一般式(2)(トリフルオロメチルアルコール化合物2)を得た。
Compound 2: (S)-2-(5-クロロ-2-ニトロフェニル)-4-シクロプロピル-1,1,1-トリフルオロブト-3-イン-2-オール
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 0.79-0.92 (m 4H), 1.26-1.36 (m, 1H), 3.57 (s, 1H), 7.44-7.52 (m, 2H), 7.80 (s, 1H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz) δ -78.8 (s, 3F) ; MS (ESI, m/z) 318 [M-H]-. The ee of the product was determined by HPLC using an OD-3 column (n-hexane/i-PrOH = 95/5, flow rate 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 9.8 min, τmin = 8.3 min),77%収率,92% ee.
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 0.79-0.92 (m 4H), 1.26-1.36 (m, 1H), 3.57 (s, 1H), 7.44-7.52 (m, 2H), 7.80 (s, 1H); 19F NMR (CDCl3, 188 MHz) δ -78.8 (s, 3F) ; MS (ESI, m/z) 318 [M-H]-. The ee of the product was determined by HPLC using an OD-3 column (n-hexane/i-PrOH = 95/5, flow rate 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 9.8 min, τmin = 8.3 min),77%収率,92% ee.
Claims (1)
- 下記の一般式(1)
で表されるアルキニルケトンと,(トリフルオロメチル)トリメチルシランを溶媒中,塩基と触媒量の下記一般式(3)
で表されるキナアルカロイド相間移動触媒存在下で反応させることにより,下記一般式(2)で表されるトリフルオロメチルアルコール化合物のエナンチオ選択的合成方法。
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