JP2016132597A - 化学強化ガラスの製造方法 - Google Patents

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出 鹿島
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祐輔 藤原
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喜芳 玉井
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Yuichi Suzuki
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Abstract

【課題】本発明は、化学強化後にフッ酸等を用いたエッチング処理をすることなく面強度が向上した化学強化ガラスを提供することを目的とする。
【解決手段】
硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はCO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、SO 2−及びOHからなる群より選ばれる少なくとも一種のアニオンを有する融剤を含み、前記無機塩に含まれる総アニオン量に対する前記融剤に含まれるアニオン量のモル当量比率が0.4%以下である、化学強化ガラスの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は化学強化ガラスの製造方法に関する。
デジタルカメラ、携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラスは理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。
フラットパネルディスプレイ装置に対する軽量化および薄型化の要求に伴い、カバーガラス自身も薄くすることが要求されている。したがってカバーガラスには、その目的を満たすために表面及び端面ともにさらなる強度が求められる。
化学強化ガラスの強度を向上するために、従来、化学強化処理後に表面エッチング処理を施すことが知られている(特許文献1)。
特表2013−516387号公報
しかしながら、ガラス表面に潜傷がある場合、フッ酸等を用いたエッチング処理では、潜傷が拡大し、ピットによる外観不良が発生するおそれがある。さらに、フッ酸は安全面から取り扱いに注意を要する。
本発明は、化学強化後にフッ酸等を用いたエッチング処理をすることなく面強度が向上した化学強化ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、特定のアニオンを有する融剤を含む無機塩により化学強化を行うことで、化学強化後のガラス表面をフッ酸等を用いたエッチング処理をせずともガラスの面強度が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下の通りである。
<1>
硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
前記無機塩はCO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、SO 2−及びOHからなる群より選ばれる少なくとも一種のアニオンを有する融剤を含み、
前記無機塩に含まれる総アニオン量に対する前記融剤に含まれるアニオン量のモル当量比率が0.4%以下である、化学強化ガラスの製造方法。
ここで、モル当量比率とは、無機塩に含まれる各アニオンの当量の総和を100%としたときの融剤に含まれるアニオンの割合である。
<2>
前記融剤はKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KHPO、NaHPO、KHPO、NaHPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含む上記<1>に記載の化学強化ガラスの製造方法。
<3>
上記<1>または<2>に記載の製造方法により得られる化学強化ガラス。
本発明の化学強化ガラスの製造方法によれば、化学強化後にフッ酸等を用いたエッチング処理をせずに面強度を向上させた化学強化ガラスを得ることができる。
図1は、ボールオンリング試験の方法を説明するための概略図である。 図2は、例1−1〜例1−6で得られた各化学強化ガラスのBOR強度評価のワイブルプロットである。 図3は、例2−1〜例2−6で得られた各化学強化ガラスのBOR強度評価のワイブルプロットである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”とは、同義である。
<化学強化ガラスの製造方法>
本発明に係る化学強化ガラスを製造する方法の一態様を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(ガラス組成)
本発明で使用されるガラスはナトリウムを含んでいればよく、成形、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。
ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
ガラスの厚みは、特に制限されるものではないが、化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
また、本発明で使用されるガラスの形状は特に限定されない。例えば、均一な板厚を有する平板形状、表面と裏面のうち少なくとも一方に曲面を有する形状および屈曲部等を有する立体的な形状等の様々な形状のガラスを採用することができる。
本発明の化学強化ガラスの組成としては特に限定されないが、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを2〜25%、LiOを0〜10%、NaOを0〜18%、KOを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrOを0〜5%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
本発明に係る化学強化ガラスは、ガラス表面に、イオン交換された圧縮応力層を有する。イオン交換法では、ガラスの表面をイオン交換し、圧縮応力が残留する表面層を形成させる。具体的には、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的には、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオン)に置換する。これにより、ガラスの表面に圧縮応力が残留し、ガラスの強度が向上する。
本発明の製造方法において、化学強化は、硝酸カリウム(KNO)を含有する無機塩にガラスを接触させることにより行なわれる。これによりガラス表面のNaイオンと無機塩中のKイオンとがイオン交換されることで高密度な圧縮応力層が形成される。無機塩にガラスを接触させる方法としては、ペースト状の無機塩を塗布する方法、無機塩の水溶液をガラスに噴射する方法、融点以上に加熱した溶融塩の塩浴にガラスを浸漬させる方法などが可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させる方法が望ましい。
無機塩としては化学強化を行うガラスの歪点(通常500〜600℃)以下に融点を有するものが好ましく、本発明においては硝酸カリウム(融点330℃)を含有する塩が好ましい。硝酸カリウムを含有することでガラスの歪点以下で溶融状態であり、かつ使用温度領域においてハンドリングが容易となることから好ましい。無機塩における硝酸カリウムの含有量は50質量%以上であることが好ましい。
無機塩はさらに、CO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、SO 2−及びOHからなる群より選ばれる少なくとも一種のアニオンを有する融剤を含む。
上記融剤は、Si−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークを切断する性質を有する。
なお、共有結合を切断する度合いはガラス組成や用いる塩(融剤)の種類、化学強化処理を行う温度、時間等の化学強化処理条件によっても異なるが、極表層の結合が切れる程度の条件を選択することが好ましいものと考えられる。
無機塩における融剤の含有量は、無機塩に含まれる総アニオン量に対する融剤に含まれるアニオン量のモル当量比率が0.4%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下となるように決定する。融剤をかかる量で含むことにより、ガラスの極表層面が微量だが除去され、その結果、ガラスの面強度が向上する。ここで、モル当量比率とは無機塩に含まれる各アニオンの当量の総和を100%としたときの、融剤に含まれるアニオンの当量の割合である。
上記融剤を塩として含有する場合のカチオンは特に限定されないが、K、またはNaであることが好ましい。
融剤としては、具体的には、KCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KHPO、NaHPO、KHPO、NaHPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩であることが好ましく、中でもKCO、NaCO、KHCO及びNaHCOからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩であることがより好ましい。
また、例えば融剤としてKCOを用いる場合には、無機塩におけるKCOの含有量は、0.5wt%以下が好ましい。融剤としてKOHを用いる場合には、無機塩におけるKOHの含有量は、0.2wt%以下が好ましい。
無機塩は、硝酸カリウム及び融剤の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の化学種を含んでいてもよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のアルカリ塩酸塩やアルカリホウ酸塩などが挙げられる。これらは単独で添加しても、複数種を組み合わせて添加してもよい。
以下、ガラスを溶融塩に浸漬させる方法により化学強化を行う態様を例に、本発明の製造方法を説明する。
(溶融塩の製造1)
溶融塩は下記に示す工程により製造することができる。
工程1a:硝酸カリウム溶融塩の調製
工程2a:硝酸カリウム溶融塩への融剤の添加
(工程1a−硝酸カリウム溶融塩の調製−)
工程1aでは、硝酸カリウムを容器に投入し、融点以上の温度に加熱して溶融することで、溶融塩を調製する。溶融は硝酸カリウムの融点(330℃)と沸点(500℃)の範囲内の温度で行う。特に溶融温度を350〜470℃とすることが、ガラスに付与できる表面圧縮応力(CS)と圧縮応力層深さ(DOL)のバランスおよび強化時間の点からより好ましい。
硝酸カリウムを溶融する容器は、金属、石英、セラミックスなどを用いることができる。中でも、耐久性の観点から金属材質が望ましく、耐食性の観点からはステンレススチール(SUS)材質が好ましい。
(工程2a−硝酸カリウム溶融塩への融剤の添加−)
工程2aでは、工程1aで調製した硝酸カリウム溶融塩中に、先述した融剤を添加し、温度を一定範囲に保ちながら、攪拌翼などにより、全体が均一になるように混合する。複数の融剤を併用する場合、添加順序は限定されず、同時に添加してもよい。
温度は硝酸カリウムの融点以上、すなわち330℃以上が好ましく、350〜500℃がより好ましい。また、攪拌時間は1分〜10時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。
(溶融塩の製造2)
上記の溶融塩の製造1では、硝酸カリウムの溶融塩の調製後に融剤を加える方法を例示したが、溶融塩はまた、下記に示す工程により製造することができる。
工程1b:硝酸カリウムと融剤の混合
工程2b:硝酸カリウムと融剤との混合塩の溶融
(工程1b―硝酸カリウムと融剤の混合―)
工程1bでは、硝酸カリウムと融剤とを容器に投入して混合する。複数の融剤を併用する場合、添加順序は限定されず、同時に添加してもよい。容器は上記工程1aで用いるものと同様のものを用いることができる。
(工程2b―硝酸カリウムと融剤との混合塩の溶融―)
工程2bでは、工程1bにより得られる混合塩を加熱して溶融する。溶融は硝酸カリウムの融点(330℃)と沸点(500℃)の範囲内の温度で行う。特に溶融温度を350〜470℃とすることが、ガラスに付与できる表面圧縮応力(CS)と圧縮応力層深さ(DOL)のバランスおよび強化時間の点からより好ましい。攪拌時間は1分〜10時間が好ましく、10分〜2時間がより好ましい。
上記工程1a及び工程2a又は工程1b及び工程2bを経て得られる溶融塩において、融剤の添加により析出物が発生する場合には、ガラスの化学強化処理を行う前に、当該析出物が容器の底に沈殿するまで静置する。この析出物には、飽和溶解度を超えた分の融剤や、融剤のカチオンが溶融塩中で交換された塩が含まれる。
以上、上記工程1a及び工程2a又は工程1b及び工程2bにより、溶融塩を調製することができる。
(化学強化)
次に、調製した溶融塩を用いて化学強化処理を行う。化学強化処理は、ガラスを溶融塩に浸漬し、ガラス中の金属イオン(Naイオン)を、溶融塩中のイオン半径の大きな金属イオン(Kイオン)と置換することで行われる。このイオン交換によってガラス表面の組成を変化させ、ガラス表面が高密度化した圧縮応力層を形成することができる。このガラス表面の高密度化によって圧縮応力が発生することから、ガラスを強化することができる。
なお実際には、化学強化ガラスの密度は、ガラスの中心に存在する中間層(バルク)の外縁から圧縮応力層表面に向かって徐々に高密度化してくるため、中間層と圧縮応力層との間には、密度が急激に変化する明確な境界はない。ここで中間層とは、ガラス中心部に存在し、圧縮応力層に挟まれる層を表す。この中間層は圧縮応力層とは異なり、イオン交換がされていない層である。
本発明における化学強化処理は、具体的には、下記工程3により行うことができる。
工程3:ガラスの化学強化処理
(工程3−ガラスの化学強化処理−)
工程3では、ガラスを予熱し、上記工程1a及び工程2a又は工程1b及び工程2bで調製した溶融塩を、化学強化を行う温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラスを溶融塩中から引き上げ、放冷する。なお、ガラスには、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。
ガラスの予熱温度は、溶融塩に浸漬する温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
化学強化温度は、被強化ガラスの歪点(通常500〜600℃)以下が好ましく、より高い圧縮応力層深さを得るためには特に350℃以上が好ましい。
ガラスの溶融塩への浸漬時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。かかる範囲にあれば、強度と圧縮応力層の深さのバランスに優れた化学強化ガラスを得ることができる。
<化学強化ガラス>
上記本発明の製造方法により得られる化学強化ガラスは、面強度が格段に向上したガラスである。ガラスの強度は、ボールオンリング試験により評価することができる。
(ボールオンリング試験)
本発明の化学強化ガラスは、ガラス板を直径30mm、接触部が曲率半径2.5mmの丸みを持つステンレスからなるリング上に配置し、該ガラス板に直径10mmの鋼からなる球体を接触させた状態で、該球体を静的荷重条件下で該リングの中心に荷重するボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験により測定したBOR強度F(N)で評価する。
本発明の化学強化ガラスは、F≧1500×tを満たすことが好ましく、F≧1800×tであることがより好ましい[式中、Fはボールオンリング試験により測定したBOR強度(N)であり、tはガラス基板の板厚(mm)である。]。BOR強度F(N)がかかる範囲であることにより、薄板化した場合にも優れた強度を示す。
図1に、本発明で用いたボールオンリング試験を説明するための概略図を示す。ボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験では、ガラス板1を水平に載置した状態で、SUS304製の加圧治具2(焼入れ鋼、直径10mm、鏡面仕上げ)を用いてガラス板1を加圧し、ガラス板1の強度を測定する。
図1において、SUS304製の受け治具3(直径30mm、接触部の曲率R2.5mm、接触部は焼入れ鋼、鏡面仕上げ)の上に、サンプルとなるガラス板1が水平に設置されている。ガラス板1の上方には、ガラス板1を加圧するための、加圧治具2が設置されている。
本実施の形態においては、実施例及び比較例後に得られたガラス板1の上方から、ガラス板1の中央領域を加圧する。なお、試験条件は下記の通りである。
加圧治具2の下降速度:1.0(mm/min)
この時、ガラスが破壊された際の、破壊荷重(単位N)をBOR強度とし、20回の測定の平均値をBOR平均強度とする。ただし、ガラス板の破壊起点がボール押しつけ位置より2mm以上離れている場合は、平均値算出のためのデータより除外する。
本発明の化学強化ガラスの製造方法によれば、化学強化後にフッ酸等を用いたエッチング処理をせずに面強度を向上させた化学強化ガラスを得ることができる。このため表面傷の程度によらずあらゆるガラスに適用可能であり汎用性が高い。そして溶液への浸漬により処理を進めることができるため、様々なガラス形状や大面積のガラスに対応しやすい点、ガラスの両面を同時に処理できる点で効率的である。また、ガラス表面の潜傷の有無にかかわらず、ピットによる外観不良のない化学強化ガラスを得ることができる。さらに、フッ酸等を用いたエッチング処理に比べ、取り扱う薬液の安全性が高いため特別な設備を必要としない。したがって、面強度が格段に向上した化学強化ガラスを安全かつ効率的に得ることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
(ガラスの評価:表面応力)
本発明の化学強化ガラスの圧縮応力層の圧縮応力値および圧縮応力層の深さは、表面応力計(例えば、折原製作所製FSM−6000)等を用いて測定することができる。また、圧縮応力層の深さは、EPMA(electron probe micro analyzer)等を用いて測定したイオン交換深さによって代用することができる。実施例では、表面圧縮応力値(CS、単位はMPa)および圧縮応力層の深さ(DOL、単位はμm)は折原製作所社製表面応力計(FSM−6000)を用いて測定した。
(ガラスの評価:面強度)
ガラス面強度は前述のボールオンリング(Ball on Ring;BOR)試験により測定した。
下記各試験例のうち、例1−1〜1−3、及び例2−1〜2−2は実施例であり、例1−4〜1−6、及び例2−3〜2−6は比較例である。
<例1−1>
SUS製のカップに硝酸カリウム5000g、炭酸カリウム2.5gを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して炭酸カリウム0.05wt%の溶融塩を調製した。50mm×50mm×0.56mmのアルミノシリケートガラスAを用意し、200〜400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。
アルミノシリケートガラスA組成(モル%表示):SiO 64.4%、Al 8.0%、NaO 12.5%、KO 4.0%、MgO 10.5%、CaO 0.1%、SrO 0.1%、BaO 0.1%、ZrO 0.5%
以上より、例1−1の化学強化ガラスを得た。
<例1−2〜例1−6>
炭酸カリウムの添加量を増減し表1に示す濃度に変化させた以外は例1−1と同様に、例1−2〜例1−6の化学強化ガラスを得た。
<例2−1>
SUS製のカップに硝酸カリウム5000g、水酸化カリウム2.5gを加え、マントルヒーターで450℃まで加熱して水酸化カリウム0.05wt%の溶融塩を調製した。例1−1と同様のアルミノシリケートガラスAを用意し、200〜400℃に予熱した後、450℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。
以上より、例2−1の化学強化ガラスを得た。
<例2−2〜例2−6>
水酸化カリウムの添加量を増減し表2に示す濃度に変化させた以外は例2−1と同様に、例2−2〜例2−6の化学強化ガラスを得た。
こうして得られた化学強化ガラスについて各種評価を行なった。結果を表1及び表2に示す。
また、図2及び図3に、各試験例で得られた各化学強化ガラスのBOR強度評価のワイブルプロットを示す。図2及び図3は、板厚が0.56mmであるアルミノシリケートガラス板サンプルのBOR強度評価結果のワイブルプロットを示している。グラフの横軸は、破壊荷重σ(N)の対数ln(σ)を示すのに対し、縦軸は、2つの群の各々におけるサンプルに関する累積破壊確率パーセントP(%)を示す。
Figure 2016132597
Figure 2016132597
表1及び表2の結果から、本発明の製造方法により得られた実施例の化学強化ガラスは、融剤を含まないまたは本発明の規定よりも多い量で融剤を含む比較例の化学強化ガラスよりも面強度が大幅に向上した。
また図2及び図3の結果から、実施例の化学強化ガラスは比較例よりも面強度が大幅に向上した。この結果より、実施例では低強度品が発生せず、面強度に対する信頼性が大幅に向上した製品であることが分かる。
本発明によれば、面強度が大幅に向上した化学強化ガラスを安全かつ低コストで得ることができる。本発明に係る化学強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラまたはタッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用カバーガラスに用いることができる。

Claims (3)

  1. 硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
    前記無機塩はCO 2−、HCO 、PO 3−、HPO 2−、HPO 、SO 2−及びOHからなる群より選ばれる少なくとも一種のアニオンを有する融剤を含み、
    前記無機塩に含まれる総アニオン量に対する前記融剤に含まれるアニオン量のモル当量比率が0.4%以下である、化学強化ガラスの製造方法。
  2. 前記融剤はKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KHPO、NaHPO、KHPO、NaHPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含む請求項1に記載の化学強化ガラスの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られる化学強化ガラス。
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