JP2018145017A - 化学強化用ガラス板及び化学強化ガラス板の製造方法 - Google Patents

化学強化用ガラス板及び化学強化ガラス板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、溶融温度が1570℃以下であり、化学強化処理の過程で応力緩和を抑制可能な化学強化用ガラス板を提供することを課題とする。【解決手段】ガラスの溶融温度が1570℃以下である、SiO2、Al2O3、Na2O、及びMgOを必須成分とする化学強化用ガラス板において、該化学強化用ガラス板のガラス組成は、mol%で、SiO2が65〜72、Al2O3が1.5〜3、Na2Oが11〜16、K2Oが0〜2、MgOが11〜17、CaOが0〜2、及びNa2O/(MgO+CaO)が0.58〜1.0であることを特徴とする化学強化用ガラス板。【選択図】なし

Description

本発明は、溶融温度が1570℃以下の化学強化用ガラス板に関するものであり、特に、化学強化処理過程における応力緩和を抑制した化学強化用ガラス板に関する。
化学強化用ガラス板は、素板となるガラス板(以下、化学強化用ガラス板とも言う)の表面を化学強化処理することによって、表面の強度を高めたガラス板である。化学強化処理は、ガラス板表面に含まれるアルカリ金属イオンを、より半径の大きい1価の陽イオンで置換することにより、ガラス板表面に圧縮応力層を形成する処理である。一般的には、高温の溶融塩中でLiイオンをNaイオンで置換、又はNaイオンをKイオンで置換することにより、化学強化ガラス板を得る処理方法が広く知られている。
高強度の化学強化ガラス板を得るためには、化学強化用ガラス板のガラス組成が、フロートガラス板として汎用的に流通しているソーダ石灰ケイ酸塩ガラス(当該ガラスの組成は、ISO16293−1:2008で規定されている。以降「汎用フロートガラス」と表記することもある)と比較して、Alを多く含有している必要がある。なお、該汎用フロートガラスのAlの含有量は0〜3wt%(通常、汎用フロートガラスでは約0〜2mol%程度)と規定されている。
例えば、特許文献1ではAlを8〜12mol%含有する化学強化用ガラス板が提案されている。当該文献の実施例には、溶融温度が1590〜1655℃、425℃で6時間化学強化処理を行った際の表面圧縮応力が860〜1150MPaである化学強化用ガラス板が開示されている。また、特許文献2ではAlを8〜20mol%含有する化学強化用ガラス板が提案されている。当該文献の実施例には、溶融温度が1528〜1846℃、400℃で6時間化学強化処理を行った際の表面圧縮応力が930〜約1315MPaである化学強化用ガラス板が開示されている。
上記のようなAlを多く含有するような化学強化に適したガラスは、ガラス融液の粘性が100dPa・sとなる溶融温度が約1600℃以上となるものが大多数であり、このように溶融温度が高いガラスは生産性の良いフロート法による製造が難しくなるという問題がある。溶融温度を下げるにはAlの含有量を減らせばよいが、前述したようにAlは化学強化ガラス板表面の強度を高める成分であることから、溶融温度を下げると表面圧縮応力も低くなってしまうという懸念があった。
そこで、特許文献3には、SiO、Al、NaO、CaO及びMgOを必須成分とした化学強化用ガラス組成物が提案されている。当該文献ではAlを1〜4mol%含有するガラス組成において、CaO/(MgO+CaO)のモル比を0.1〜0.4の範囲内とすることにより、溶融温度が低く、表面圧縮応力を適度な高さとしたガラス組成物を得ている。また、実施例では、溶融温度を1450〜1570℃、約420℃で4〜12時間化学強化処理を行った際の表面圧縮応力を700〜780MPa(いずれもAlを2.5mol%含有)としたガラス板が開示されている。
化学強化処理によってガラス板に表面圧縮応力を生じさせる過程において、溶融塩の温度が高いほどアルカリ金属イオンの拡散速度が大きくなり、表面圧縮応力を短時間で高めることが可能となる。しかし一方で、同じ温度条件でも浸漬時間が長くなると一旦極大値になった表面圧縮応力が時間経過に伴って低下してしまう、「応力緩和」が生じることがある。一般的に、化学強化用ガラス板は例えばAlの含有量が少なくなると、応力緩和し易くなる傾向にあるとされている。
例えば特許文献4では、化学強化処理における応力緩和を抑制する目的で、ガラス組成のモル比を(NaO/2)/(Al/2+MgO+ZrO)≦0.85としたフラットパネルディスプレー用ガラスが提案されている。 また、当該文献の実施例では、NaOを9.4〜14.5mol%、Alを2.0〜8.0mol%、MgOを5.4〜11.0mol%、及びZrOを0〜2.5mol%含む、SiO、Al、NaO、及びMgOを必須成分としたガラス板が開示されている。また、当該実施例では、400℃で化学強化処理を行った際の表面圧縮応力が、最も低い場合で618MPa(Alを2.0mol%含有)、最も高い場合で984MPa(Alを6.0mol%含有)である旨が開示されている。
国際公開WO2016−104446号公報 国際公開WO2015−166891号公報 国際公開WO2014−148020号公報 国際公開WO2012−26290号公報
前述したように、従来の化学強化に適したガラス板は、生産性の良いフロート法で製造し難いという問題があった。上記のような化学強化に適したガラス板は通常Alを多く含有し、Alの含有量を減らすと、特許文献3に開示されているように溶融温度を1570℃以下まで下げることが可能となる。しかし一方で、Alの含有量が少なくなるに伴って、化学強化処理の過程で応力緩和を生じ易くなってしまうという問題があった。応力緩和し易いと、ガラス板表面の圧縮応力(CS)が、化学強化処理時の温度や時間による変動を受け易くなり、ガラス板の面内でCSの値が著しく不均一になる場合や、所望のCSが得られない場合等がある。
そこで本発明は、溶融温度が1570℃以下であり、化学強化処理の過程で応力緩和を抑制可能な化学強化用ガラス板を提供することを課題とする。
溶融温度が1570℃以下となる化学強化用ガラス板を検討したところ、Alを1.5〜3mol%としたSiO、Al、NaO、及びMgOを必須成分とするガラス組成において、NaO/(MgO+CaO)が特定の範囲内となる時、化学強化処理過程で生じる応力緩和を抑制可能になることがわかった。
すなわち本発明は、ガラスの溶融温度が1570℃以下である、SiO、Al、NaO、及びMgOを必須成分とする化学強化用ガラス板において、該化学強化用ガラス板のガラス組成は、mol%で、SiOが65〜72、Alが1.5〜3、NaOが11〜16、KOが0〜2、MgOが11〜17、CaOが0〜2、及びNaO/(MgO+CaO)が0.58〜1.0であることを特徴とする化学強化用ガラス板である。
また、本発明の化学強化用ガラス板は、ガラス組成が、mol%で、MgOが14〜17、及びCaO/(CaO+MgO)が0〜0.09であるとしてもよい。
また、本発明の化学強化用ガラス板は、歪点が520〜560℃であるとしてもよい。
また、本発明は、前記化学強化用ガラス板を、Naイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に接触させ、前記化学強化用ガラス板の接触面に含まれるNaイオンと、前記一価の陽イオンと、をイオン交換することを特徴とする、化学強化ガラス板の製造方法である。
本発明により、溶融温度が1570℃以下であり、化学強化処理の過程で生じる応力緩和を抑制可能な化学強化用ガラス板を得ることが可能となった。
1:用語の説明
本明細書で用いる用語について以下に説明する。
(溶融温度)
溶融温度は、ガラスを溶融してガラス融液化を可能とする温度であり、ガラス融液の粘度が100dPa・sとなる時の温度を指す。本明細書では、球引き上げ粘度計(オプト企業製)を用いて、球引き上げ法により測定した値から、溶融温度を算出した。溶融温度はガラス組成によって異なるが、本発明は1570℃以下となるガラスに関する。また、溶融温度が1570℃以下であれば、汎用フロートガラスと同等のエネルギー量でガラス原料やガラスを溶かすことが可能であり好ましい。また、下限は特に限定されるものではないが、1400℃未満だと得られるガラス板の化学的耐久性が低下する傾向があるので、1400℃以上としてもよい。
(表面圧縮応力)
本明細書では、表面応力計(折原製作所製、FSM−6000LE)を用いて測定した値を、表面圧縮応力(以降、「CS」と記載することもある)とした。
(応力緩和)
化学強化処理は、溶融塩の温度を、通常使用する化学強化用ガラス板の歪点以下とし、該溶融塩に化学強化用ガラス板を0.5〜8時間程度浸漬させることによって、該ガラス板表面に含まれるLiイオンやNaイオンと、該溶融塩内のNaイオンやKイオンとを、イオン交換する。該ガラス板に表面圧縮応力を生じさせる為には、上記の浸漬時間を充分にとる必要があるが、一方で浸漬時間が長くなると、表面圧縮応力が一旦極大値になった後は浸漬時間が長くなるにつれCSが小さくなる場合がある。このような現象は「応力緩和」と呼ばれており、溶融塩の温度を高くした場合にも同様の傾向が見られる。
本明細書では、溶融塩として硝酸カリウムを用いて各サンプルの化学強化処理を行い、その表面圧縮応力を測定することによって、応力緩和を評価した。具体的には、430℃に保持した該溶融塩浴中に2時間サンプルを浸漬させた時のCS、450℃に保持した該溶融塩浴中に2時間サンプルを浸漬させた時のCS、及び430℃に保持した該溶融塩浴中に6時間サンプルを浸漬させた時のCS、をそれぞれ求め、得られた各数値からCS/CS、CS/CSを算出した。本明細書では、得られたCS/CSが0.87以上、及びCS/CSが0.91以上のとき、応力緩和を抑制可能とした。また、好ましくはCS/CSが0.88以上、及びCS/CSが0.92以上としてもよい。
(歪点)
一般的に、歪点が高いほど応力緩和し難くなる傾向にあるとされており、本明細書では、ビームベンディング粘度計(オプト企業製、BBVM−900F)を用いて測定した値を歪点とした。歪点は特に限定するものではないが、好ましくは520℃以上としてもよい。また、より好ましくは520〜560℃としてもよい。
2:化学強化用ガラス板
本発明は、ガラスの溶融温度が1570℃以下である、SiO、Al、NaO、及びMgOを必須成分とする化学強化用ガラス板において、該化学強化用ガラス板のガラス組成は、mol%で、SiOが65〜72、Alが1.5〜3、NaOが11〜16、KOが0〜2、MgOが11〜17、CaOが0〜2、及びNaO/(MgO+CaO)が0.58〜1.0であることを特徴とする化学強化用ガラス板である。
本発明の化学強化用ガラス板の厚みは特に限定するものではないが、例えば携帯電話やタブレットPC等のモバイル機器のカバーガラスに使用する場合は、0.1mm〜4mm、好ましくは0.2〜3.5mm、より好ましくは0.3〜3.0mmとしてもよい。また、本発明は溶融温度が1570℃以下であるため、フロート法によって好適に製造することが可能である。
本発明の各組成について、以下に記載する。また、各成分の含有量は「mol%」であり、以降単に「%」と記載することもある。
(SiO
SiOはガラスの網目構造を形成する必須成分であり、組成中に65〜72%含むものとする。65%未満だとガラス構造が不安定となり、72%を超えると溶融温度が高くなり本発明に適さなくなることがある。また、好ましくは65〜71%、より好ましくは65〜70%としてもよい。
(Al
Alは化学強化処理を容易にする必須成分であり、組成中に1.5〜3%含むものとする。1.5%未満だと化学強化処理を行っても得られる圧縮応力が不十分となる場合があり、3%を超えると溶融温度が高くなる場合がある。
(NaO)
NaOはガラスの溶解性を向上させる必須成分で、ガラスの溶融温度を低くする効果を有する。また、化学強化用ガラス板を溶融塩に浸漬した際に、溶融塩中の一価の陽イオン(例えばKイオン等)とイオン交換されることにより、該ガラス板の表面圧縮応力を向上させる。本発明にでは、NaOを組成中に11〜16%含むものとする。11%未満だと、得られる表面圧縮応力が低くなる傾向にあり、16%を超えると化学的耐久性が悪化する傾向にある。また、本発明の化学強化用ガラス板においては、NaOの含有量を少なくすると応力緩和を抑制する効果が高くなることが明らかとなった。NaOの含有量の下限値は、好ましくは12%以上、上限値は、好ましくは15%以下、より好ましくは14%以下としてもよい。
(KO)
Oは、NaOと同じくガラスの溶解性を向上させる任意成分であり、ガラスの溶融温度を低くする効果を有する。また、化学強化用ガラス板を溶融塩に浸漬した際に、溶融塩中に含まれるNaイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオン(例えばKイオン等)とイオン交換されることにより、圧縮層深さを深くする成分である。KOは0〜2%の範囲内で組成中に含有させてもよい。KOの含有量が2%を超えると、NaOとの混合アルカリ効果によりNaイオンの移動を抑制し、イオン交換し難くする場合がある。
(MgO)
MgOは溶融温度を下げ、表面圧縮応力を向上させる必須成分であり、組成中に11〜17%含有させる。11%未満だと、表面圧縮応力が不十分となる場合があり、17%を超えると失透し易くなる傾向がある。また、好ましくは14〜17%、より好ましくは14.5〜17%、さらに好ましくは15〜17%としてもよい。
(CaO)
CaOは、溶融温度を下げる作用を有する任意成分であり、生産性を向上させる効果を有するが、一方で化学強化処理時にイオン交換を抑制し、所望の化学強化性能が得られなくなる場合がある。従って本発明では、CaOを0〜2%含有するものとした。
また、CaO+MgOを11〜19%とするのが好ましい。11%未満だと所望の溶融温度が得られない場合があり、19%を超えると失透し易くなる場合がある。より好ましくは15〜19%、さらに好ましくは16〜19%としてもよい。
また、本発明は、前記化学強化用ガラス板のガラス組成が、mol%で、MgOが14〜17、及びCaO/(CaO+MgO)が0〜0.09であるのが好ましい。本明細書の実施例において、各値を上記の範囲内とした時、表面圧縮応力CSが900MPa以上、かつ、CS及びCSが、いずれも850MPa以上を示すことがわかった。なお、前述したように、CS及びCSは、CSの処理時よりも浸漬させる溶融塩の温度が高い、又は浸漬時間が長い条件で、化学強化処理を行った際の表面圧縮応力である。以上より、CaO/(CaO+MgO)を0.09以下とすることにより、表面圧縮応力を向上させることが可能であることが明らかとなった。
また、本発明の組成において、NaO/(MgO+CaO)を0.58〜1.0とすると、応力緩和を抑制することが可能であることがわかった。好ましくは0.99未満、より好ましくは0.95以下としてもよい。また、0.58未満だと、NaOの含有量が不足し、表面圧縮応力が不十分になることがある。
(その他の任意成分)
なお、上記の成分の他に、目的に応じて任意成分を含有してもよい。例えば、原料をガラス化させる際、脱泡の為にガラス清澄剤としてNaSOを混合することがあるが、該NaSOに由来してSO、Sb、及びSnO等を含んでもよい。また、ガラスの着色を目的として、Fe、TiO、CoO、及びNiO等の遷移金属化合物を0.5%以下含んでいてもよい。また、上記の任意成分の他に、ガラス原料からの不可避的に混入される不純物として、フッ素、ZnO、B、LiO、ZrO、及びP等を、0.1%以下含有してもよい。
3:化学強化用ガラス板の製造方法
本発明の化学強化用ガラス板は、溶融温度が1570℃以下であることから、フロート法で好適に製造することが可能である。また、フロート法の他にも、フュージョン法(オーバーフローダウンドロー法を含む)、ダウンドロー法、リドロー法、ロールアウト法、プレス法等の様々な製造方法を採用することが可能である。
また、化学強化用ガラス板は、上記の製造方法により製造したままの状態で用いてもよいし、弗酸等の化学的処理を用いて表面を粗くしたり、研磨やブラスト等の物理的処理を用いて表面を粗くしたり、該化学的処理と該物理的処理を組み合わせて表面を粗くし、防眩性等の機能性を付与しても良い。また、化学強化用ガラス板の形状は特に限定するものではない。また、ガラス面に穴あけ加工等されたものや、平板を曲げ加工した曲面を有する形状でもよい。
3.化学強化ガラスの製造方法
本発明は、前記化学強化用ガラス板を、Naイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に接触させ、前記化学強化用ガラス板の接触面に含まれるNaイオンと、前記一価の陽イオンと、をイオン交換することを特徴とする、化学強化ガラス板の製造方法である。
上記の「イオン交換」とは、化学強化用ガラス板の表面層で、ガラス板中に最も多く含まれるアルカリ金属イオンAを、上記アルカリ金属イオンAよりもイオン半径の大きいアルカリ金属イオンBに置換することを指すものとする。例えば、アルカリ金属イオンAがNaイオンである場合には、アルカリ金属イオンBとして、Kイオン、Rbイオン、Csイオン等を用いることができる。アルカリ金属イオンAがNaイオンである場合、アルカリ金属イオンBとして、Kイオンを用いることが好ましい。
(溶融塩)
溶融塩としては、上記のアルカリ金属イオンBを含む硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物塩及びリン酸塩のうち1種又は2種以上を用いることができる。前述したように、アルカリ金属イオンAがNaイオンである場合、Kイオンを含む硝酸塩を用いることが好ましい。
前記溶融塩に化学強化用ガラス板を接触させると、該化学強化用ガラス板表面と溶融塩との間でイオン交換が生じ、化学強化ガラスを得る事が可能となる。上記の「接触」とは、化学強化ガラス板を溶融塩に接触、又は該溶融塩の塩浴に浸漬させることを指すものとする。
溶融塩を接触させる際、ペースト状の溶融塩を化学強化ガラス板の表面に直接接触させたり、融点以上に加熱した溶融塩の塩浴に化学強化用ガラス板を浸漬させたりしてもよく、生産性の観点から溶融塩の塩浴に浸漬させるのが好ましい。
(予熱工程)
化学強化用ガラス板は、溶融塩に接触させる前に予め加熱することで、溶融塩に接触させた際に熱割れが発生するのを抑制することが可能である。その為、後述するイオン交換工程の前に、予熱工程を行うのが好ましい。この時の温度は特に限定するものではないが、例えば、化学強化用ガラス板のガラス転移点以下であることが望ましい。ガラス転移点を越えるとガラス板の形状が変形し、化学強化処理後に所望の形状や寸法が得られない。
(イオン交換工程)
溶融塩の温度は特に限定されないが、化学強化用ガラス板を溶融塩に浸漬させる場合は、該ガラス板の歪点温度以下とすることが好ましい。歪点を越えると、イオン交換により生じる圧縮応力が緩和されやすくなることがある。また、下限値は特に限定するものではないが、例えば使用する溶融塩の融点以上としてもよい。使用する溶融塩として硝酸カリウムを用いる場合、硝酸カリウムの融点は333℃であるため、溶融塩の温度を333℃〜浸漬させる化学強化用ガラス板の歪点以下の範囲内とする。この場合、例えば、好ましくは350℃〜(歪点温度−10℃)、より好ましくは370℃〜(歪点温度−20℃)としてもよい。
化学強化用ガラス板を溶融塩に接触させる時間は特に限定されないが、該ガラス板を溶融塩に浸漬させる場合は、0.5〜8時間であることが好ましい。0.5時間未満だとアルカリ金属イオンAとアルカリ金属イオンBのイオン交換が充分に進まないことがあり、一方、8時間を超えると、イオン交換により生じる表面圧縮応力が緩和されやすくなる。好ましくは0.5〜6時間、より好ましくは1〜5時間としてもよい。
溶融塩の温度が高いほど、短時間で表面圧縮応力を高めることが可能であり、また浸漬時間が短いほど応力緩和を小さくできることから、さらに好ましくは溶融塩の温度を400℃以上、浸漬時間を1〜3時間としてもよい。また、溶融塩の温度は前述したように歪点温度−20℃であればよいが、高温になると応力緩和が大きくなることがある。そのため、さらに好ましくは450℃以下としてもよい。
(冷却工程)
上記のイオン交換工程の後、ガラス板を冷却工程を介して室温まで冷却する。冷却工程は徐冷又は急冷のどちらを用いてもよいが、急冷を行うとガラス板が割れることがあるため、徐冷を用いることが好ましい。徐冷は、予め所定温度に保持した炉内に、溶融塩から取り出したガラス板を入れ、炉内の温度を徐々に下げていくことによって行う。また、急冷は、室温下に直接曝露することで行うことが可能である。なお冷却工程時は、ガラス板に塩が付着していてもよく、冷却後に温水、冷水などにより付着した塩を除去することにより、化学強化ガラス板を得られる。
前記の予熱工程、イオン交換工程、及び冷却工程は、各工程を2回以上行ってもよく、その際の各工程の温度や時間は異なっていてもよい。また、イオン交換工程で用いる溶融塩は、必要に応じて変えてもよく、例えば1回目と2回目で異なる溶融塩を用いてもよい。また、各工程を2回以上行う際は、必要に応じて工程を省略しても良い。
得られた化学強化ガラス板は、表面に圧縮応力層が形成される。表面圧縮応力は、化学強化処理の条件によって値が異なるが、例えば本発明の実施例では、表面圧縮応力が800MPa以上となった。なお、一般的に汎用のフロートガラス板を化学強化処理した場合は、通常500MPa未満である。
1:化学強化用ガラス板の製造
まず、原料として、珪砂、酸化アルミニウム、ソーダ灰、硫酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いて、表1に示す実施例1〜8、比較例1〜5に示すガラス成分の割合となるようにバッチを調合した。この時、調合は600gのガラスに相当する量とした。次に、該バッチを白金坩堝に充填した後、1400〜1600℃で約8時間溶融させ、清澄なガラス融液を得た。次に、ガラス融液をカーボン板上に流出、流延させ、次いで電気炉内でガラス転移点を越える温度に保持後徐冷し、ガラスブロックを得た。得られたガラスブロックを切断・研磨加工して化学強化用ガラス板とし、各種特性を評価した。
2:ガラスの評価
(溶融温度)
溶融温度として、粘度が100dPa・sとなる温度を測定した。当該温度は、球引き上げ粘度計(オプト企業製、BVM−13LH)を用いて、球引き上げ法により測定した値から算出した。
(歪点)
歪点として、粘度が1014.7dPa・sとなる温度を測定した。当該温度は、ビームベンディング粘度計(オプト企業製、BBVM−900F)を用いてビーム曲げ法により測定した。
(化学強化処理)
得られた化学強化用ガラス板を2〜3mm厚さに光学研磨してサンプルを作成し、各サンプルについて以下の3条件で化学強化処理を行った。また、化学強化処理前に、各サンプルを浸漬予定の溶融塩浴と同程度の温度で予熱した。
条件1:430℃に保持した硝酸カリウム溶融塩浴中に各サンプルを2時間浸漬
条件2:450℃に保持した硝酸カリウム溶融塩浴中に各サンプルを2時間浸漬
条件3:430℃に保持した硝酸カリウム溶融塩浴中に各サンプルを6時間浸漬
いずれの処理条件においても、上記のように溶融塩浴中に浸漬後、電気炉内で室温程度まで徐冷を行った。徐冷後に洗浄し、化学強化ガラス板を得た。
(表面圧縮応力、応力緩和)
得られた化学強化ガラス板について、表面応力計(折原製作所製、FSM−6000LE)用いて、各サンプルの表面圧縮応力を測定した。当該測定において、屈折率は1.52、光弾性定数は26.8((nm/cm)/MPa)をそれぞれ用いた。なお、各表面圧縮応力は、条件1の場合CS、条件2の場合CS、条件3の場合CSとそれぞれ記載するものとする。得られたCS、CS、及びCSについて、CS/CS及びCS/CSを計算し、各サンプルの応力緩和を評価した。
以上の評価結果を表1に示した。実施例1〜8で得られた化学強化用ガラス板はいずれも溶融温度が1570℃以下であり、化学強化処理過程における応力緩和が抑制可能なものであった。
また、実施例1〜6は、MgOが14mol%以上、CaO/(CaO+MgO)が0〜0.09の範囲内となるが、CS、CS、及びCSが実施例7、8よりも高い値を示した。また、比較例3はNaO/(CaO+MgO)が実施例相当であり、応力緩和を抑制出来ていたが、MgOとCaOの含有量が請求項1の範囲外だった為、実施例1〜8よりも表面圧縮応力が低いものとなった。

Claims (4)

  1. ガラスの溶融温度が1570℃以下である、SiO、Al、NaO、及びMgOを必須成分とする化学強化用ガラス板において、
    該化学強化用ガラス板のガラス組成は、mol%で、
    SiOが65〜72、
    Alが1.5〜3、
    NaOが11〜16、
    Oが0〜2、
    MgOが11〜17、
    CaOが0〜2、及び
    NaO/(MgO+CaO)が0.58〜1.0であることを特徴とする化学強化用ガラス板。
  2. 前記化学強化用ガラス板のガラス組成が、mol%で、
    MgOが14〜17、及び
    CaO/(CaO+MgO)が0〜0.09であることを特徴とする請求項1記載の化学強化用ガラス板。
  3. 前記化学強化用ガラス板は、歪点が520〜560℃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化学強化用ガラス板。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の化学強化用ガラス板を、Naイオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に接触させ、前記化学強化用ガラス板の接触面に含まれるNaイオンと、前記一価の陽イオンと、をイオン交換することを特徴とする、化学強化ガラス板の製造方法。
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