JP2016132305A - 鞍乗り型車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキ連動機構の簡素化・小型化・コンパクト化と、ブレーキケーブル及びブレーキ液圧配管の短縮化とを図るとともに、ブレーキ操作の操作感を向上させることが可能な鞍乗り型車両用ブレーキ装置を提供する。【解決手段】液圧式の前輪ブレーキ34と、機械式の後輪ブレーキ48と、ブレーキレバー55の操作によって前輪ブレーキ34を作動させるマスターシリンダ83と、ブレーキペダル63の操作力を配分して、前輪ブレーキ34及び後輪ブレーキ48に制動力を与えるイコライザ117とを備える自動二輪車10用のブレーキ装置50において、イコライザ117からプッシュロッド112を延出させ、このプッシュロッド112によりマスターシリンダ83を作動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、ブレーキペダルを操作することにより後輪ブレーキの作動に連動させて前輪ブレーキを作動させる鞍乗り型車両用ブレーキ装置に関する。
従来、ブレーキペダルの操作力を分配して、後輪ブレーキに加えて前輪ブレーキにも制動力を与える自動二輪車の連動ブレーキシステム(CBS:Combined Brake System)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−196019号公報
特許文献1では、前輪用のマスターシリンダを車体後部のブレーキペダルの近傍に配置し、ブレーキレバーの操作力を上記マスターシリンダに伝達するだけでなく、ブレーキペダルの操作力をイコライザによってマスターシリンダに伝達する構造が開示されている。しかしながら、ブレーキペダル及びブレーキレバーの2系統の操作力をマスターシリンダに入力する入力系統が複雑且つ大型化するという課題があった。
また、前輪用のマスターシリンダが車両後部に配置されるレイアウトになるため、マスターシリンダがブレーキレバー及び前輪用ブレーキキャリパから離間してしまい、ブレーキケーブル及びブレーキ液圧配管が長くなるという課題があった。
更に、ブレーキペダルを大きく踏み込んだときには、イコライザから2つのレバーを介してマスターシリンダに操作力が伝達されるため、操作系の伝達摩擦が大きくなり、ブレーキペダルの操作感が良好でないという課題があった。
本発明の目的は、ブレーキ連動機構の簡素化・小型化・コンパクト化と、ブレーキケーブル及びブレーキ液圧配管の短縮化とを図るとともに、ブレーキ操作の操作感を向上させることが可能な鞍乗り型車両用ブレーキ装置を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、液圧式の前輪ブレーキ(34)と、機械式の後輪ブレーキ(48)と、ハンドルレバー(55)の操作によって前記前輪ブレーキ(34)を作動させるマスターシリンダ(83)と、ブレーキペダル(63)の操作力を配分して、前記前輪ブレーキ(34)及び前記後輪ブレーキ(48)に制動力を与えるイコライザ(117)とを備える鞍乗り型車両用ブレーキ装置において、前記イコライザ(117)からロッド(112)を延出させ、このロッド(112)により前記マスターシリンダ(83)を作動させることを特徴とする。
上記構成において、エンジン(14)のクランクケース(35)の上方に前記マスターシリンダ(83)を配置しても良い。
また、上記構成において、前記マスターシリンダ(83)が、側面視で、ヘッドパイプ(21)から後方斜め下方に延びるメインフレーム(22)に沿って配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記ロッド(112)の延長線上に前記マスターシリンダ(83)の被押圧部(102)が設けられるようにしても良い。
また、上記構成において、前記ロッド(112)が、側面視で、前記メインフレーム(22)の後部から後側へ延びるリヤフレーム(24)と前記クランクケース(35)との間に配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、側面視で、前記イコライザ(117)と前記マスターシリンダ(83)とを運転者用ステップ(78)を跨ぐように前後に配置し、前記イコライザ(117)と、前記マスターシリンダ(83)の前記被押圧部(102)を押圧する押圧部材(86)とに前記ロッド(112)を渡しても良い。
本発明は、イコライザからロッドを延出させ、このロッドによりマスターシリンダを作動させるので、イコライザの動作方向のほぼ延長線上にマスターシリンダを配置して、イコライザとマスターシリンダの高さ方向を近づけることができ、連動ブレーキ機構を簡素化するとともに小型化し、レイアウトをコンパクトにすることができる。また、マスターシリンダがイコライザに対してロッドの長さ分、車両前方に離間して配置されるので、マスターシリンダをハンドルレバーや前輪ブレーキに近づけることができ、ブレーキケーブル及びブレーキ液圧配管を短くすることができる。更に、イコライザがロッドを介してマスターシリンダを作動させるので、操作系を伝達摩擦が少なくなるようにして、ブレーキペダルの操作感を向上させることができる。
また、エンジンのクランクケースの上方にマスターシリンダを配置しているので、イコライザの作動をロッドによって伝えやすく、かつ前輪から大きく離間させることなくマスターシリンダをレイアウトできる。
また、マスターシリンダが、側面視で、ヘッドパイプから後方斜め下方に延びるメインフレームに沿って配置されるので、マスターシリンダをコンパクトに配置できる。
また、ロッドの延長線上にマスターシリンダの被押圧部が設けられるので、被押圧部の作動をスムーズにし、ブレーキ装置の高さを抑えることができる。
また、ロッドが、側面視で、メインフレームの後部から後側へ延びるリヤフレームとクランクケースとの間に配置されるので、ロッドの作動スペースを効率的に確保できる。
また、側面視で、イコライザとマスターシリンダとを運転者用ステップを跨ぐように前後に配置し、イコライザと、マスターシリンダの被押圧部を押圧する押圧部材とにロッドを渡したので、イコライザ及びマスターシリンダが、運転者用ステップに載せた運転者の脚部の邪魔にならず、しかもマスターシリンダを車両のより前方に配置してブレーキケーブル及びブレーキ液圧配管の短縮化を図ることができる。
本発明に係るブレーキ装置を備えた自動二輪車を示す右側面図である。 図1の要部拡大図である。 前輪ブレーキを作動させる際の作用を示す作用図であり、図3(A)は前輪ブレーキを作動させる前の状態を示す作用図、図3(B)は前輪ブレーキを作動させたときの状態を示す作用図である。 後輪ブレーキを作動させる際の作用を示す作用図であり、図4(A)は後輪ブレーキを作動させた直後の状態を示す作用図、図4(B)は後輪ブレーキを引き続き作動させたときの状態を示す作用図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示している。
図1は、本発明に係るブレーキ装置50を備えた自動二輪車10を示す右側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前部にフロントフォーク12を介して前輪13が支持され、車体フレーム11の中央部下部にエンジン14が支持され、車体フレーム11の下部後部にスイングアーム16を介して後輪17が支持された鞍乗り型車両である。
車体フレーム11は、前端部を構成するヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延びるメインフレーム22と、メインフレーム22の後端部に取付けられた左右一対のピボットプレート23と、メインフレーム22の後部から後方斜め上方に延びる左右一対のリヤフレーム24とを備える。
ヘッドパイプ21には、フロントフォーク12を構成するステアリングステムが回動可能に支持されている。メインフレーム22には、エンジン14の上部、エンジン14の吸気装置26、バッテリ27が支持されている。ピボットプレート23には、エンジン14の後部、スイングアーム16が支持されている。リヤフレーム24には、ラゲッジボックス25を介してシート28が支持されている。
フロントフォーク12は、その上端部にバーハンドル31が取付けられ、下端部に車軸32を介して前輪13が支持されている。前輪13は、液圧式のディスクブレーキからなる前輪ブレーキ34が付設されている。エンジン14は、クランクケース35と、クランクケース35の前端部から略水平に車体前方に延びるシリンダ部36とを備える。シリンダ部36は、クランクケース35側から順に配置されたシリンダブロック41、シリンダヘッド42、ヘッドカバー43から構成される。シリンダヘッド42の上部には吸気装置26が接続されている。スイングアーム16は、左右のピボットプレート23に設けられたピボット軸45に上下揺動可能に支持され、スイングアーム16の後端部に車軸46を介して後輪17が支持されている。スイングアーム16の後端部とリヤフレーム24とにはリヤクッションユニット47が渡されている。後輪17は、機械式のドラムブレーキからなる後輪ブレーキ48が付設されている。
また、自動二輪車10は、前輪13を制動させる前輪ブレーキ装置51と、後輪17を制動させる後輪ブレーキ装置52と、後輪ブレーキ48を作動させたときに、後輪ブレーキ48の作動に連動させて前輪ブレーキ34を作動させるブレーキ連動機構53とからなるブレーキ装置50を備える。
前輪ブレーキ装置51は、バーハンドル31の一端部に設けられたブレーキレバー55と、ブレーキレバー55からブレーキ連動機構53にブレーキレバー55の操作力を伝達するブレーキケーブル56と、前輪13側に設けられてブレーキ連動機構53からブレーキ液圧配管57を介してブレーキ液圧が伝達される前輪ブレーキ34とを備える。前輪ブレーキ34は、前輪13に一体に設けられたブレーキディスク58と、ブレーキディスク58を挟み込んで制動するためにフロントフォーク12の下端部に取付けられたブレーキキャリパ59とからなる。ブレーキキャリパ59は、シリンダ室と、シリンダ室に移動可能に挿入されたピストンと、ピストンの移動によってブレーキディスク58を挟み込む一対のブレーキパッドとを備え、シリンダ室内にブレーキ液が満たされている。
後輪ブレーキ装置52は、ブレーキペダル63、ブレーキロッド64、後輪ブレーキ48、トルクロッド68を備える。ブレーキペダル63は、ピボットプレート23に支軸62を介して揺動可能に支持されている。ブレーキロッド64は、ブレーキペダル63にブレーキ連動機構53を介して接続されている。後輪ブレーキ48は、ブレーキロッド64の後端部にブレーキアーム66を介して連結されている。トルクロッド68は、後輪ブレーキ48を構成するブレーキパネル67の回動を防止するためにスイングアーム16とブレーキパネル67とに渡されている。
後輪ブレーキ48は、車軸46と一体的に設けられるブレーキパネル67と、車軸46に回転可能に支持されたブレーキドラムと、ブレーキドラムの内周面に押し付けられる一対のブレーキシューと、一対のブレーキシューをブレーキドラムに押し付けるカム部材とを備える。ブレーキドラムは、後輪17の回転部分の内周部を構成する。
ブレーキ装置50では、メインフレーム22に沿って、ブレーキケーブル56、ブレーキ液圧配管57及びブレーキ連動機構53が車体スペースに効果的に配置されている。
図中の符号71はバーハンドル31の中央部を覆うハンドルカバー、72はフロントフォーク12の上部の前方を覆うフロントカバー、73は前輪13を上方から覆うフロントフェンダ、74はシート28の側部の下方を覆うボディカバー、76は同乗者が掴むグラブレール、77は後輪17を上方から覆うリヤフェンダ、78はクランクケース35の下面に取付けられた運転者用ステップである。
図2は、図1の要部拡大図である。
前輪ブレーキ装置51は、クランクケース35の上方に位置する車体フレーム11(詳しくは、メインフレーム22)に取付けられたベース部材81と、ベース部材81に取付けられたケーブル端部支持部材82及びマスターシリンダ83と、ベース部材81に支軸84を介して揺動可能に支持された中継部材86とを備える。
ブレーキケーブル56は、可撓性を有するチューブ状のアウターケーブル87と、アウターケーブル87内に移動可能に挿入されたインナーワイヤ88と、アウターケーブル87の端部に設けられたケーブルキャップ89とを備える。
ケーブル端部支持部材82は、ブレーキケーブル56の端部を支持する部材であり、ベース部材81に取付けられた固定部92と、固定部92のねじ穴にねじ込まれた中空のボルト部材93と、ボルト部材93にねじ結合されたロックナット94とからなる。ボルト部材93は、固定部92に対して回されることで固定部92から突出するインナーワイヤ88の長さを調整することが可能になる。ロックナット94は、固定部92に対するボルト部材93の回り止めをする。
マスターシリンダ83は、所定のブレーキ液圧を発生させる装置であり、発生させたブレーキ液圧は、ブレーキ液圧配管57を通じて図1に示した前輪ブレーキ34のブレーキキャリパ59内に伝えられ、ブレーキキャリパ59内に設けられたピストンに液圧が作用することで一対のブレーキパッドによりブレーキディスク58が挟まれ、前輪13が制動される。
図2において、マスターシリンダ83は、シリンダ101、ピストン102、止め輪103、圧縮コイルばね104、シール部材106,107、ダストカバー108、配管接続口109を備える。
シリンダ101は、ベース部材81に固定され、シリンダ101内にシリンダ穴101aが形成されている。ピストン102は、シリンダ101のシリンダ穴101a内に移動可能に挿入され、ピストン102の外周部にはシール部材106,107が軸方向に隔てて固定されている。止め輪103は、シリンダ穴101a内からピストン102を抜け止めするためにシリンダ穴101aの開口近傍に取付けられている。圧縮コイルばね104は、ピストン102を開口側へ付勢している。ダストカバー108は、シリンダ穴101a内にダストが入り込まないようにシリンダ穴101aの開口とピストン102の先端部102aとの間を塞いでいる。配管接続口109は、シリンダ穴101aの底に開けられた連通孔101bに設けられている。シリンダ穴101a内にはブレーキ液が満たされている。
ベース部材81は、メインフレーム22に取付けられているが、クランクケース35に取付けられるようにしても良い。即ち、クランクケース35にベース部材81を介してケーブル支持部材82、マスターシリンダ83及び中継部材86を取付け、ピボットプレート23に支軸62を介してブレーキペダル63を取付けるようにすることもできる。
或いは、クランクケース35の上部にベース部材81を介してケーブル支持部材82、マスターシリンダ83及び中継部材86を取付け、クランクケース35の後部に支軸62を介してブレーキペダル63を取付けるようにしても良い。これにより、ブレーキ連動機構53の全体をクランクケース35側に設けることができる。
上記により、車体フレーム11に対するエンジン14の組付位置のばらつきがブレーキ連動機構53の作動等に与える影響を無くすことが可能になる。
中継部材86は、揺動軸穴86a、第1長穴86b、第2長穴86c、突出縁部86d、ストッパ部86eを備える。
揺動軸穴86aは、支軸84に回転可能に嵌合されている。第1長穴86bは、揺動軸穴86aの近傍に配置され、後で詳述するプッシュロッド112の一端部に設けられた円柱状の端部部材112aが第1長穴86b内に挿入されている。第2長穴86cは、第1長穴86bに対して揺動軸穴86aとは反対側に配置され、ブレーキケーブル56のインナーワイヤ88の先端部に設けられた円柱状の端部部材114が第2長穴86c内に挿入され、第2長穴86cに端部部材114が係止される。突出縁部86dは、第1長穴86b側からピストン102の先端部102aに向けて突出し、ピストン102の先端部102aを押圧可能な部分である。ストッパ部86eは、揺動軸穴86a側からマスターシリンダ83に向けて突出し、マスターシリンダ83の側面と当接可能に設けられて、中継部材86の揺動が規制される。
ブレーキペダル63は、支軸62に揺動可能に取付けられた略U字形状のアーム部63aと、アーム部63aの前端部に設けられた踏み込み部63bと、アーム部63aの後端部から略上方に延びる延長部63cとから一体に形成される。支軸62は、ピボットプレート23に取付けられているが、クランクケース35の後部に取付けられるようにしても良い。なお、符号65はブレーキペダル63を支軸62を中心に反時計回りに付勢するリターンスプリングであり、ブレーキペダル63とピボットプレート23との間に渡されている。リターンンスプリング65の付勢力によって、ブレーキペダル63は、そのストッパとしての運転者用ステップ78に当てられ、反時計回りの回動が規制されている。
ブレーキ連動機構53は、イコライザ117、プッシュロッド112、ばね支持部材118、引張コイルばね121、ストッパピン122を備える。
イコライザ117は、ブレーキペダル63の後端部に支軸116を介して揺動可能に連結された略上下方向に延びる縦長形状の部材である。プッシュロッド112は、イコライザ117の上端部に円柱状の端部部材112bが揺動可能に連結されるとともに端部部材112aが中継部材86の第1長穴86b内に揺動可能に挿入されている。ばね支持部材118は、リヤフレーム24の屈曲部24aから下方に延びるように設けられている。引張コイルばね121は、イコライザ117の上端部とばね支持部材118の下端部とに渡されている。ストッパピン122は、イコライザ117の反時計回りの回動を規制するためにピボットプレート23の後縁に取付けられている。
イコライザ117の下端部にはブレーキロッド64の前端部が揺動可能に連結されている。イコライザ117は、ブレーキレバー55(図1参照)及びブレーキペダル63を操作していないときには、上下方向に延びる延長部63cに沿うように配置され、支軸116よりも上方の部分が、引張コイルばね121の引張力によってストッパピン122に押し当てられている。
ケーブル端部支持部材82及びマスターシリンダ83は、クランクケース35の前部上部、詳しくは、クランクケース35の前部上部に設けられたスタータモータ124の上方の側方に配置され、更に、側面視でメインフレーム22、エンジン14を支持するためにメインフレーム22に設けられたエンジンハンガ29と重なる。図中の符号36aはシリンダ部36におけるシリンダブロック41とシリンダヘッド42との合わせ面である。マスターシリンダ83は、シリンダヘッド42よりも車両後方に配置されている。
プッシュロッド112は、側面視で、メインフレーム22と重なる。また、イコライザ117は、側面視で、メインフレーム22の後端部及びピボットプレート23に重なる。
マスターシリンダ83、詳しくはピストン102の先端部102aは、運転者用ステップ78の前端よりも車両前方に距離DSだけ離れて配置されている。また、前輪ブレーキ装置51のベース部材81、ケーブル端部支持部材82、マスターシリンダ83は、リヤフレーム24の前端よりも車両前方に配置されている。更に、マスターシリンダ83とイコライザ117とは、運転者用ステップ78を跨ぐように前後に配置され、ピストン102を押圧する中継部材86とイコライザ117とにプッシュロッド112が渡されている。プッシュロッド112の延長線上に、中継部材86の突出縁部86dとピストン102とが配置される。ブレーキペダル63を踏み込まない状態では、プッシュロッド112の軸線112cとピストン102の軸線102cとは、同一直線状又は略同一直線状に位置する。
クランクケース35には、車体フレーム11に支持されるように、上部に上部被支持部35a、後部に後部被支持部35b,35cが設けられている。上部被支持部35aはエンジンハンガ29で支持され、後部被支持部35b,35cは左右のピボットプレート23で支持されている。
以上に述べたブレーキ装置50の動作について模式図を用いて次に説明する。以下の図3及び図4では、図1及び図2に示したブレーキ装置50の各部を模式的に表している。なお、イコライザ117については、ブレーキペダル63の左側(図の奥側)に配置されているが、図3及び図4においては、イコライザ117の動作の把握を容易にするために、イコライザ117の全体を実線で示している。
図3は、前輪ブレーキ34を作動させる際の作用を示す作用図である。図3(A)は前輪ブレーキ34を作動させる前の状態を示す作用図、図3(B)は前輪ブレーキ34を作動させたときの状態を示す作用図である。
図3(A)に示すように、ブレーキペダル63には、踏み込む方向とは逆向きに回動力を与えるリターンスプリングとなる引張コイルばね125と、ブレーキペダル63が揺動したかどうかを検知するペダルスイッチ126とが付設されている。引張コイルばね125は、その下端がブレーキペダル63に取付けられ、上端がピボットプレート23に取付けられる。ペダルスイッチ126は、その下端に設けられる検出子がブレーキペダル63に当てられ、上端がピボットプレート23に取付けられる。
図3(A)の状態から図3(B)に示すように、ブレーキレバー55が握られることで、矢印Aの向きにブレーキレバー55が揺動すると、ブレーキケーブル56のインナーワイヤ88が、矢印Bに示すように引かれ、これに伴って、中継部材86が、支軸84を中心にして矢印Cに示すように揺動する。この結果、中継部材86の突出縁部86dが、矢印Dに示すように、マスターシリンダ83のピストン102の先端部102aを圧縮ばね104の弾性力に抗してシリンダ穴101a内に押し込むため、マスターシリンダ83のシリンダ穴101a内にブレーキ液圧が発生する。発生したブレーキ液圧は、矢印Eに示すように、ブレーキ液圧配管57内を伝わり、前輪ブレーキ34のブレーキキャリパ59に達する。これにより、ブレーキディスク58が制動される、即ち前輪13(図1参照)が制動される。
このとき、中継部材86が揺動しても、中継部材86の第1長穴86b内ではプッシュロッド112の端部部材112aが静止した状態にあり、イコライザ117も静止した状態にあるので、ブレーキペダル63を踏まなければ、後輪ブレーキ48が作動することはない。
図4は、後輪ブレーキ48を作動させる際の作用を示す作用図である。図4(A)は後輪ブレーキ48を作動させた直後の状態を示す作用図、図4(B)は後輪ブレーキ48を引き続き作動させたときの状態を示す作用図である。
図3(A)の状態から図4(A)に示すように、ブレーキペダル63を矢印Fの向きに踏み始めると、ブレーキペダル63は支軸62を中心にして揺動し、ブレーキペダル63の延長部63cは、矢印Gに示すように、揺動する。この結果、イコライザ117は、ストッパピン122に当りながらプッシュロッド112(詳しくは、端部部材112b)との連結部を略中心にして矢印Hで示すように揺動する。これにより、ブレーキロッド64が、矢印Jに示すように引かれ、これに伴って、ブレーキアーム66が、矢印Kに示すように揺動して、後輪ブレーキ48のカム部材69を回動させる。この結果として、一対のブレーキシューが広がってブレーキドラムを内側から押し付けるため、ブレーキドラムの制動が開始される、即ち、後輪17(図1参照)の制動が開始される。
図4(B)において、図4(A)の状態から更にブレーキペダル63を矢印Lに示すように踏み込むと、ブレーキペダル63の延長部63cは更に矢印Mに示すように揺動し、これによって、イコライザ117は、矢印Nに示すように揺動しつつ上端がストッパピン122から離れる。この結果、ブレーキロッド64が、矢印Pに示すように引かれ、ブレーキアーム66が矢印Qに示すように揺動し、これによって、カム部材69が回動し、一対のブレーキシューが広がってブレーキドラムを内側から押し付けるため、ブレーキドラムの制動力が大きくなる、即ち、後輪17(図1参照)の制動力が大きくなる。
これと共に、イコライザ117がストッパピン122から離れることで、プッシュロッド112が矢印Rに示すようにイコライザ117によって押され、これに伴って中継部材86が矢印Sに示すように移動するため、中継部材86の突出縁部86dがマスターシリンダ83のピストン102を押し込む。ピストン102が矢印Tの向きに移動することによって、シリンダ穴101a内にブレーキ液圧が発生する。このブレーキ液圧は、ブレーキ液圧配管57内を矢印Uに示すように伝わり、前輪ブレーキ34のブレーキキャリパ59に達して、前輪13(図1参照)を制動させる。このように、ブレーキペダル63の操作力が、イコライザ117によって後輪ブレーキ48側と、前輪ブレーキ34側とに分配され、後輪ブレーキ48と前輪ブレーキ34とが連動する。
上記した図1及び図3(A)に示したように、液圧式の前輪ブレーキ34と、機械式の後輪ブレーキ48と、ハンドルレバーとしてのブレーキレバー55の操作によって前輪ブレーキ34を作動させるマスターシリンダ83と、ブレーキペダル63の操作力を配分して、前輪ブレーキ34及び後輪ブレーキ48に制動力を与えるイコライザ117とを備える鞍乗り型車両としての自動二輪車10用のブレーキ装置50において、イコライザ117からロッドとしてのプッシュロッド112を延出させ、このプッシュロッド112によりマスターシリンダ83を作動させる。
この構成によれば、イコライザ117の動作方向のほぼ延長線上にマスターシリンダ83を配置して、イコライザ117とマスターシリンダ83の高さ方向を近づけることができ、ブレーキ連動機構53を簡素化するとともに小型化し、レイアウトをコンパクトにすることができる。また、マスターシリンダ83がイコライザ117に対してプッシュロッド112の長さ分、車両前方に離間して配置されるので、マスターシリンダ83をブレーキレバー55や前輪ブレーキ34に近づけることができ、ブレーキケーブル56及びブレーキ液圧配管57を短くすることができる。更に、イコライザ117がプッシュロッド112を介してマスターシリンダ83を作動させるので、ブレーキ操作系の伝達摩擦が少なく、ブレーキペダル63の操作感が向上する。
また、図2に示したように、エンジン14のクランクケース35の上方にマスターシリンダ83を配置したので、イコライザ117の作動をプッシュロッド112によって伝えやすくし、かつ前輪13から大きく離間させることなくマスターシリンダ83をレイアウトできる。
また、図1及び図2に示したように、マスターシリンダ83が、側面視で、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延びるメインフレーム22に沿って配置されるので、マスターシリンダ83をコンパクトに配置できる。
また、図2に示したように、プッシュロッド112の延長線上にマスターシリンダ83の被押圧部としてのピストン102が設けられるので、ピストン102の作動をスムーズにし、また、ブレーキ装置50の高さを抑えることができる。
また、プッシュロッド112が、側面視で、メインフレーム22の後部から後側へ延びるリヤフレーム24とクランクケース35との間に配置されるので、プッシュロッド112の作動スペースを効率的に確保できる。
また、側面視で、イコライザ117とマスターシリンダ83とを運転者用ステップ78を跨ぐように前後に配置し、イコライザ117と、マスターシリンダ83のピストン102を押圧する押圧部材としての中継部材86とにプッシュロッド112を渡したので、イコライザ117及びマスターシリンダ83が、運転者用ステップ78に載せた運転者の脚部の邪魔にならず、しかもマスターシリンダ83を車両のより前方に配置してブレーキケーブル56及びブレーキ液圧配管57の短縮化を図ることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
13 前輪
14 エンジン
17 後輪
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
24 リヤフレーム
34 前輪ブレーキ
35 クランクケース
48 後輪ブレーキ
50 ブレーキ装置
53 ブレーキ連動機構
55 ブレーキレバー(ハンドルレバー)
63 ブレーキペダル
78 運転者用ステップ
83 マスターシリンダ
86 中継部材(押圧部材)
102 ピストン(被押圧部)
112 プッシュロッド(ロッド)
117 イコライザ

Claims (6)

  1. 液圧式の前輪ブレーキ(34)と、機械式の後輪ブレーキ(48)と、ハンドルレバー(55)の操作によって前記前輪ブレーキ(34)を作動させるマスターシリンダ(83)と、ブレーキペダル(63)の操作力を配分して、前記前輪ブレーキ(34)及び前記後輪ブレーキ(48)に制動力を与えるイコライザ(117)とを備える鞍乗り型車両用ブレーキ装置において、
    前記イコライザ(117)からロッド(112)を延出させ、このロッド(112)により前記マスターシリンダ(83)を作動させることを特徴とする鞍乗り型車両用ブレーキ装置。
  2. エンジン(14)のクランクケース(35)の上方に前記マスターシリンダ(83)を配置したことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両用ブレーキ装置。
  3. 前記マスターシリンダ(83)が、側面視で、ヘッドパイプ(21)から後方斜め下方に延びるメインフレーム(22)に沿って配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両用ブレーキ装置。
  4. 前記ロッド(112)の延長線上に前記マスターシリンダ(83)の被押圧部(102)が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両用ブレーキ装置。
  5. 前記ロッド(112)が、側面視で、前記メインフレーム(22)の後部から後側へ延びるリヤフレーム(24)と前記クランクケース(35)との間に配置されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両用ブレーキ装置。
  6. 側面視で、前記イコライザ(117)と前記マスターシリンダ(83)とを運転者用ステップ(78)を跨ぐように前後に配置し、前記イコライザ(117)と、前記マスターシリンダ(83)の前記被押圧部(102)を押圧する押圧部材(86)とに前記ロッド(112)を渡したことを特徴とする請求項4又は5に記載の鞍乗り型車両用ブレーキ装置。
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