(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るマッサージ機を前記図1ないし図8に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機1は、着座した使用者を支える椅子状のものであり、詳細には、床面上に載置されて椅子全体を安定的に支持する基台部11と、この基台部11の上方で使用者の臀部を支える座部12と、この座部12の後側で使用者の背中を支える背もたれ部13と、座部12の左右両側で使用者の肘や前腕部を支える肘掛部14と、座部12の前側で使用者の脚を支える脚支持部15と、この脚支持部15の足先側に配設されて、使用者の足の側部及び足裏を取囲むように形成されて足を受けて保持する足受部16と、マッサージ動作に係る各種操作入力を受付ける操作部30と、搭載されている複数の施療機構によるマッサージ動作を操作入力や記録情報等の内容に基づいて制御する制御部40とを備える構成である。
前記基台部11は、椅子各部をなす前記座部12、背もたれ部13、肘掛部14、及び脚支持部15を一体に取付けられてこれらを支持するものである。また、前記座部12は、基台部11に対し座面の傾斜角度を調整可能として取付けられ、座面にて使用者の臀部や太腿部を支えつつ内蔵の施療機構でマッサージを実行するものである。この座部12の施療機構としては、空気の給排で動作する臀部用エアセル71、及び太腿用エアセル72を備える構成である。これらエアセルを空気の給排で膨縮させるエアポンプ70が座部12下側のスペースに配設される。
前記背もたれ部13は、人の背中形状に合せた表面形状とされて前記基台部11及び座部12に対し傾斜角度を調整可能として配設され、その内部に、マッサージを実行する施療機構を備える構成である。
背もたれ部13内部には、揉み、叩き等の刺激を使用者に与える施療子としての左右一対の揉み玉51とこれを動作させる駆動機構部60が一体となったメカユニット50と、このメカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能に支持しつつ、背もたれ部の各部を内部から支える枠状の背もたれ部フレーム13aと、前記エアポンプ70による空気の給排で動作する背中用エアセル73及び腰用エアセル74とがそれぞれ配設される構成である。このうちメカユニット50、背中用エアセル73、及び腰用エアセル74が、それぞれマッサージを実行する施療機構をなす。
なお、この背もたれ部13の左右両側部には、使用者に面する内面側にエアセル等の施療機構を設けた一対の側壁部を突出配設して、使用者の上腕部等に対して側方からマッサージを行えるようにすることもできる。
前記背もたれ部フレーム13aは、メカユニット50を背もたれ部13上下方向に移動可能とし且つ他方向への動きは拘束して支持する左右一対のガイドフレーム13b間に、複数の横フレームを横方向に掛渡して一体に連結して、略梯子状のフレーム構造とされるものである。
前記肘掛部14は、座部12の両側に配設され、背もたれ部13がリクライニング角度を変化させたり、座部12が傾動した場合でも、使用者の前腕を安定的に支持するよう形成される構成である。この肘掛部14にも、前記エアポンプ70による空気の給排で動作するエアセルを配設して、使用者の前腕部に対しマッサージを行える構成としてかまわない。
前記脚支持部15は、座部12の前側に位置し、座部12前端付近を中心として傾動可能に配設され、座部下側の傾動用アクチュエータ17により傾斜角度を調整されるものである。
詳細には、脚支持部15は、座部12に対し傾動可能に取付けられる基礎部15aと、この基礎部15aの表面側部分に脚長手方向へ移動可能として配設され、脚に接する脚受部15bと、この脚受部15bに内蔵され、前記エアポンプ70による空気の給排で膨縮動作する施療機構としての脚用エアセル75、76、77、78とを備える構成である。
前記傾動用アクチュエータ17は、固定部分に対し可動部分を直線移動させることで全体として所定範囲内で伸縮して長さを変化させる機構を有する、公知のリニアアクチュエータである。
この傾動用アクチュエータ17は、座部12の下側で一端部の位置を固定状態とされる一方、他端部が脚支持部15の裏面側に当接可能とされ、伸縮による他端部の位置変化に伴って、脚支持部15を傾動させる構成である。この傾動用アクチュエータ17と一体に、傾動用アクチュエータ17の可動部分の変位、すなわち伸縮の変位を、所定変位ごとの信号出力に基づき検出する、リニアエンコーダ等の変位検出手段が配設される。
脚支持部15は、この傾動用アクチュエータ17の伸縮により、脚支持部15の裏面側に当接する傾動用アクチュエータ17他端部の位置が変ることで、座部12前端の軸部を中心として傾動し、座部12に対する傾斜角度を変化させる仕組みである。脚支持部15の傾動に係る変位は、傾動用アクチュエータ17の伸縮による変位と一対一に対応していることから、傾動用アクチュエータ17の伸縮変位を変位検出手段を用いて検出することで、制御部40で傾動用アクチュエータ17の伸縮状態変化と共に、脚支持部15の傾動状態変化を把握することができる。なお、脚支持部15の傾動状態の把握にあたっては、直接脚支持部の傾斜角度変化をロータリーエンコーダ等の変位検出手段で取得するようにしてもよい。
脚支持部15のうち脚受部15bは、使用者の左右の脚がそれぞれ入る大きさの二つの溝部15cを生じさせた形状として形成され、座部12前端に取付けられた基礎部15aに対し脚長手方向へ移動可能に配設される構成である。脚受部15bの各溝部15cを挟んで対向する側面部には、脚用エアセル75、76、77、78が、膨張状態で左右の脚のふくらはぎ部分をそれぞれ押圧してマッサージが行えるように、左右各々で対をなす配置として内蔵される。
そして、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し脚長手方向に移動させ位置調整する機構として、所定の施療用アクチュエータ18を脚支持部15内に配設し、この施療用アクチュエータ18の作動を制御部40で制御するようにしている。この施療用アクチュエータ18は、モータや流体圧シリンダなどの公知のアクチュエータである。また、これと合わせて、脚受部15bの基礎部15aに対する位置変化を検出するための変位検出手段も設けているが、この変位検出手段も公知のリニアエンコーダ等であり、詳細な説明を省略する。
この脚支持部15には、脚用エアセル75、76、77、78の他、脚長手方向に移動しつつ脚を押圧するローラ等の他の施療機構を配設するようにしてもかまわない。
使用者は、左右の脚受部15bにそれぞれ左右の脚をふくらはぎ部分を中心として支持させることとなる。この支持状態で、左右でそれぞれ脚を挟んで対向する脚用エアセル75、76、77、78をいずれも膨張させると、脚のふくらはぎ部分を両側から押圧して挟持できる仕組みである。
すなわち、脚用エアセル75、76、77、78は、空気吸排に伴う膨張、収縮による直接的なマッサージ機能以外に、膨張状態の押圧力を利用して脚を挟持し、脚の想定外の動きを抑え、脚の保持対象部位、例えば、ふくらはぎ部分(膝から下部分)を適度に拘束して脚受部15b上に保持固定し、脚の保持対象部位を脚受部15bと共に移動可能とする保持手段としての機能も有する。なお、この保持する手段としては、エアセルの膨張収縮を利用するもの以外に、押圧片を機械的に移動させて脚を挟持する機構等でもよく、エアセルに限られるものではない。
また、必ずしも脚の両側から脚用エアセル等を作動させて脚を挟持する構成に限らず、脚を挟んで対向する脚受部の左右の側壁のいずれか片側のみから脚を押圧し、脚受部の反対側の側壁に脚を押付けるようにして、挟持状態を得る構成としてもかまわない。
前記足受部16は、使用者の左右の足をそれぞれ左右方向、下方向、及び後方向から取囲める形状として形成され、全体を支える金属材製のフレーム部16aを内蔵して、脚支持部15の端部に脚長手方向に位置調整可能として配設される構成である。
詳細には、足受部16には、足を受ける左右一対の足受溝16bが、上向きに開口する状態で設けられる。そして、足受溝16bの対向する溝側面には、前記エアポンプ70による空気の給排で膨縮する施療機構としての足側部エアセル79a、79b、79c、79dが、左右の各足を挟んで対をなすようにそれぞれ配設される。使用者が着座して足を足受部16の足受溝16bに入れた状態では、足側部エアセル79a、79b、79c、79dが使用者の足の甲部位の外側と内側とで対をなしており、これら足側部エアセル79a、79b、79c、79dを、空気の給排により膨縮させると、左右の足をそれぞれ側方から押圧できる仕組みである。この他、足受溝16bの溝底に、土踏まずなど足裏の一又は複数箇所をマッサージするエアセルを設けるようにしてもよい。
足受部16のフレーム部16aは、金属材で形成され、脚支持部15の基礎部15aに沿って配設される縦枠部分と、この縦枠部分の下端に連続する下枠部分とを有して、側面から見て略L字状の枠状体とされる構成である。このフレーム部16aの縦枠部分が、基礎部15aに対し脚長手方向に所定範囲移動可能として、且つ他方向への動きを拘束されて支持されることで、足受部16が脚支持部15の基礎部15aに対し脚受部15bと同様に脚長手方向に所定範囲移動可能とされる仕組みである。
そして、一部と他部との位置関係を変更可能とされる直動型のアクチュエータ16cが、一部を足受部16のフレーム部16aに取り付けられ、他部を基礎部15a所定箇所に取り付けられて配設される。このアクチュエータ16cにより、フレーム部16aを含む足受部16は、基礎部15aに対し移動させられる構成である。
こうして、足受部16をアクチュエータ16cで基礎部15aに対し位置調整可能としていることで、使用者の脚の長さの個人差により変わる足裏位置に対応して、足受部16の位置を脚長手方向に調整できると共に、非使用状態では足受部16を脚支持部15の下端部に密着する待機位置へ移動させることができる。
マッサージ機を使用する際、使用者が脚を脚支持部15の左右の溝部15cに入れ、足を足受部16の足受溝16bに入れると、脚や足へのマッサージが可能な状態となる。このとき、足受部16に足裏が当接しつつ、足から過剰な荷重が加わらなくなる位置までアクチュエータ16cで足受部16を移動させることにより、使用者の脚の膝から下部分の長さに適合した位置に足受部16を配置できる。
そして、足受部16に足を付けた足支持状態で、左右でそれぞれ足を挟んで対向する足側部エアセル79a、79b、79c、79dを、所定のタイミングで膨張させると、足を押圧してマッサージが行える仕組みである。
この他、足側部エアセル79a、79b、79c、79dは、空気給排に伴う膨張、収縮による直接的なマッサージ機能以外に、膨張状態の押圧力を利用して足を両側方から押圧して挟持し、足の想定外の動きを抑え、足を適度に拘束して足受部16上に保持固定し、足を足受部16と共に基礎部15aに対し移動可能とする保持手段としての機能も有する。なお、この足を保持する手段としては、エアセルの膨張収縮を利用するもの以外に、押圧片を機械的に移動させて足を挟持する機構等でもよく、エアセルに限られるものではない。
また、必ずしも足の両側から足側部エアセル等を作動させて足を挟持する構成に限らず、足を挟んで対向する足受部の左右の側壁のいずれか片側のみから足を押圧し、足受部の反対側の側壁に足を押付けるようにして、挟持状態を得る構成としてもかまわない。
このように足を保持可能な足受部16と、この足受部16を支持する基礎部15a、及び基礎部15aに対し脚受部15bを移動させる施療用アクチュエータ18が、脚受部15b及びこれに保持された脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療手段として用いられる。
そして、足受部16は、施療用アクチュエータ18による脚受部15bの基礎部15aに対する移動に伴って脚に加わる力に対し、足が前記力の作用する向きに動かないよう保持する足保持手段となっている。
こうした足受部16による足の保持により、脚受部15bの移動に伴う脚の保持対象部位の足に対する相対移動が実現し、保持対象部位としてのふくらはぎの部分の筋肉や腱を動かして、マッサージやストレッチに相当する効果を生じさせられる。
足側部エアセル79a、79b、79c、79dをはじめとする、施療機構としての各エアセルは、脚や足など、エアセルのある部位ごとにまとめられて電磁弁(図示を省略)を介してエアポンプ70と接続される。
電磁弁は、エアポンプ70に連通する第1のポートと、エアセルに連通する第2のポートと、外部に連通する第3のポートを有し、制御部40による制御に応じて、第1のポートと第2のポートを連通させ、且つ第3のポートを閉じて、エアポンプ70からエアセルへの給気を行える状態と、第2のポートと第3のポートを連通させ、且つ第1のポートを閉じて、エアセルの空気を外部に排気させる状態と、第1のポート、第2のポート、及び第3のポートをいずれも相互に連通させないようにして、エアセルの内部圧力を維持できる状態、の三つの状態を切替可能とする公知の三方弁であり、詳細な説明を省略する。
これらエアポンプ70と電磁弁が、各エアセルの空気給排調整機構をなし、制御部40が、エアポンプ70を作動させると共に、電磁弁の連通状態を調整制御することで、所望のエアセルについて給気、排気、又は圧力維持を図り、エアセルを膨張、収縮させ、又は所定の膨張状態で維持できる仕組みである。エアセルの膨張時には身体のエアセル当接部分に対する押圧力を発生させる一方、収縮時には押圧が解除されることで、各エアセル位置で変化に富んだマッサージ効果を与えることができると共に、エアセルが挟持手段として用いられる場合は、挟持状態と非挟持状態を確実に切替可能である。
前記操作部30は、マッサージ機に対する各種操作入力を受付ける多数のスイッチや表示部を備え、マッサージ機1の側部におけるスタンド31に着脱自在に設置され、マッサージに係る操作入力を制御部40に送信するものである。なお、操作部30のスイッチや表示部の位置を使用者にとって最適位置とするために、スタンド31の位置は調整可能となっている。
前記制御部40は、あらかじめ使用者の身体各部位置検出を実行して得られた検出結果に基づいて、施療機構やマッサージ機の他の各可動部分を使用者に対応した状態に調整すると共に、施療機構や他の各可動部分に対し、リモコン操作やあらかじめ記録設定された施療内容、また前記検出結果の情報に基づいて、適切な施療の実行のための制御を行うものである。
この制御部40は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御部40として動作させる仕組みである。この制御部40をなすコンピュータは、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
この制御部40をなすコンピュータのユニットは、座部12直下等のマッサージ機1内部の所定のスペースに配設され、操作部30と通信可能な状態とされると共に、メカユニット50の各種モータや、座部12や背もたれ部13、脚支持部15を傾動させる各アクチュエータ、エアポンプ70、電磁弁とそれぞれ電気的に接続され、使用者の身体各部位置検出の際にはあらかじめ設定された位置検出用プログラムに基づく制御信号出力により、また、マッサージ実行の際には設定されたマッサージのデータに基づく制御信号出力により、これらの駆動機構の作動を制御する。
加えて、制御部40は、メカユニット50や各アクチュエータの変位量を出力するエンコーダ等の信号出力手段とも電気的に接続されており、メカユニット50の状態や、座部12、背もたれ部13、及び脚支持部15の傾斜等の状態を把握しつつ、モータやアクチュエータ等の駆動手段の作動制御を行うこととなる。
この他、制御部40は、公知のマッサージ機と同様に、マッサージに先立つ使用者の身体各部位置検出として、メカユニット50を制御し、メカユニット50を背もたれ部13における初期位置からガイドフレーム13bに沿って移動させ、揉み玉51を使用者に沿って動かす過程で、背もたれ部13にもたれた使用者側からの揉み玉51に対する圧力の変化や揉み玉51の傾き変化等を順次取得し、この情報に基づいて、使用者の肩位置、背骨のライン、腰位置を検出することもできる。
次に、本実施形態に係るマッサージ機における、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療のための各部作動過程について説明する。前提として、マッサージ機1に使用者が着座して背中を背もたれ部13にもたれさせると共に脚支持部15に脚を支持させた状態で、マッサージ機1の主電源が入とされ、マッサージ機1が起動して、使用者の体重や体形検出などのマッサージ開始前の準備動作や、背もたれ部13のリクライニング角度調整等が完了し、さらに、使用者によりマッサージコース等の実行指示が操作入力されて、種々のマッサージを実行する中で、制御部40が脚受部の移動に基づく施療に係る作動制御を実行しようとしているものとする。
まず、脚支持部15の脚受部15bが座部寄りの位置から足に近付く側へ移動して、脚受部15bで保持している脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分の筋肉等を動かす場合の作動過程について説明する。
ここで、制御部40は、あらかじめ傾動用アクチュエータ17を作動させて、使用者の脚を支持している脚支持部15を傾動させ、脚支持部15を施療のための初期位置、すなわち、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療に適した脚支持部15の所定傾斜角度位置、に至らせているものとする。そして、足受部16は、使用者が脚を脚支持部15に支持させ、足を足受部16に載せた段階で、脚の長さに対応する位置調整を受け、足受部16における足受溝16bの溝底面は、足裏に当接した状態となっているものとする。
制御部40は、初期位置にある脚支持部15の、各機構部分の作動を開始させるにあたり、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して適度に拘束する。
この足側部エアセル79a、79b、79c、79dが十分に膨張して足が適切に挟持された状態では、使用者は、足裏を足受部16における足受溝16bの溝底面に付けて、足を足受部16に保持、拘束されることとなる。
そして、制御部40は、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張と同時、又は少し遅れて、脚支持部15で脚の両側に位置する各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させる(図5、図4参照)。この脚用エアセル75、76、77、78の膨張に伴い、脚のふくらはぎ部分がエアセルで両側から挟持され、脚受部15bに保持、拘束されることとなる。
仮に、足が足受部16における本来位置すべき箇所からずれている場合、そのままでは、足の保持を適切に行いにくい状態で、足側部エアセルの膨張による足の保持過程が進行、完了するおそれがある。しかし、足側部エアセルを膨張させて足を軽く挟んだ状態に至ると、使用者は、足を正しい被保持位置、例えば足甲から足側部にかけての部位、においてエアセルで挟持されるのが、他の位置での挟持より圧迫感が少なく楽であることから、自然に足をそのように挟持される位置まで動かそうとする。すなわち、足側部エアセルの押圧は使用者の足位置を正しくする行動を促すことができる。
これに基づき、足側部エアセルの膨張後、時間をおいて脚用エアセルを膨張させるようにすれば(図4参照)、脚用エアセルが膨張する前の、足側部エアセルが十分に膨張していない段階で、使用者は脚や足を足受部16に対しずらすように動かすことができ、足が足受部16に保持される前に、足受部16における足位置を自ら適切なものとすることができる。
こうした足や脚の保持について、足を足受部16に載せるのみで正しい位置に位置させられ、且つその位置からのずれが生じにくいなど、足受部16に対し足を適切な位置関係に配置しやすい場合には、足側部エアセルと脚用エアセルの膨張を同時に開始し、足と脚の保持を時間を空けずに実行するようにしてもよい(図5参照)。
なお、座部12の両側に脚の大腿部を挟持する別のエアセル79を配設している場合、制御部40は、脚用エアセル75、76、77、78を膨張させた後、この大腿部用エアセル79への給気を行い、これを膨張させ、大腿部の挟持を実行する(図3参照)。
脚用エアセルが十分に膨張して、ふくらはぎ部分が挟持、拘束された状態で、制御部40は、脚支持部15の施療用アクチュエータ18を作動させ、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し座部12から離れる側となる脚先端側へ少しずつ移動させていく(図7参照)。
脚受部15bの移動に係り、これに先立つ脚用エアセルの膨張押圧を速やかに進行、完了させることが可能で、ごく短時間で脚の保持対象部位を脚受部15bに確実に保持できる場合には、制御部40は脚用エアセルの膨張と、脚受部15bの基礎部15aに対する移動、すなわち施療用アクチュエータ18の作動、とを同時に開始させることもできる(図6参照)。この点は、上記の足側部エアセルと脚用エアセルの膨張を同時に開始する場合にも適用でき、これら足側部エアセルと脚用エアセルの膨張押圧をいずれも速やかに進行、完了させることが可能であれば、制御部40は前記各エアセルの膨張と脚受部15bの移動を同時に開始させるようにしてもよい。
施療用アクチュエータ18により基礎部15aに対し脚受部15bを座部12から離れる側に移動させることで、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分も移動し、脚のそれより下の部分及び足にも、脚受部15bと同じく座部から離れる向きに移動させようとする力が加わる状態となる。
ここで、足は足受部16における足受溝16bの溝底面に足裏を当接させており、足が足受部16を越えて動かないよう拘束されることから、座部から離れる向きの力に対し足は動かず保持され、足は足受部16と一体に、基礎部15aに対しては動かない状態を維持することとなる。
脚受部15bの基礎部15aに対する移動と、足受部16の基礎部15aに対する非移動とによって、脚受部15bに保持された脚のふくらはぎ部分の筋肉が、脚受部15bとは独立して足受部16に保持された足に対し、これに近付く向きに実際に動かされる状態となる(図7参照)。こうして、脚受部15b及びふくらはぎ部分の筋肉が、足受部16に保持される足に対し近付く向きに移動することで、ふくらはぎ部分の筋肉をそれより下の脚他部分や足とは別に動かして、あたかも人が筋肉を動かすマッサージを行ったような施療効果を付与できる。
この後、脚受部15bが、脚先端側への移動の進行でその移動限界位置に近付くこととなる。制御部40は、脚受部15bの移動が、移動限界に達しているか否かを判定する。
この移動限界に達したと判定した場合には、制御部40は、施療用アクチュエータ18を作動停止状態とし、脚受部15bの移動が停止する。これにより、あらかじめ設定された脚受部移動の施療強度を超えて脚に過剰な負荷が加わることはない。一方、脚受部15bの移動が限界位置に達していない場合には、施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動を続行する。
制御部40は、施療用アクチュエータ18を停止させると同時に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった全てのエアセルを空気の排出により収縮させて脚等を挟持状態から解放し、また、別のエアセル79で大腿部を挟持している場合は、これについても空気排出により挟持状態から解放すると、脚や足は拘束を解かれて自由に動かせる状態に戻る。
ただし、施療用アクチュエータ18を停止させた後も、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態として、各エアセルの膨張状態をしばらく継続させ、脚受部で保持したふくらはぎの筋肉に脚先側へ向かう力が加わる状態をさらに所定時間維持するようにしてもよい。
そして、制御部40は、前記一連のふくらはぎの移動に係る施療を、自動のマッサージコースの一過程として行った場合は、次のマッサージに移行し、自動コースではなく独立した一施療として実行した場合には、前記一連の作動過程を終了する。ただし、必要であれば、制御部40は、足や脚を挟持状態から解放後、施療用アクチュエータ18を前と逆に作動させて脚受部15bを座部12に近づく向きに移動させ、最終的に、脚受部15bを施療以前の位置に戻した上で、アクチュエータをあらためて作動停止状態とする。
続いて、脚支持部15の脚受部15bが足寄りの位置から座部に近付く側へ移動して、脚受部15bで保持している脚のふくらはぎ部分の筋肉を動かす場合の作動過程について説明する。
制御部40は、必要に応じて傾動用アクチュエータ17を作動させて、使用者の脚を支持している脚支持部15を傾動させ、脚支持部15を施療のための初期位置、すなわち、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療に適した脚支持部15の所定傾斜角度位置、に至らせる。なお、足受部16は事前に脚の長さに対応する位置調整を受け、足受部16における足受溝16bの溝底面は、足裏に当接した状態となっている。
制御部40は、脚支持部15の、各機構部分の作動を開始させるにあたり、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して適度に拘束する。
そして、制御部40は、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張と同時、又は少し遅れて、脚支持部15で脚の両側に位置する各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させる(図5、図4参照)。この脚用エアセル75、76、77、78の膨張に伴い、脚のふくらはぎ部分がエアセルで両側から挟持され、脚受部15bに保持、拘束されることとなる。
なお、座部12の両側に脚の大腿部を挟持する別のエアセルを配設している場合、制御部40は、脚用エアセル75、76、77、78を膨張させた後、大腿部用エアセル79への給気を行い、これを膨張させ、大腿部の挟持を実行する(図3参照)。
脚用エアセルが十分に膨張して、ふくらはぎ部分が挟持、拘束された状態で、制御部40は、脚支持部15の施療用アクチュエータ18を作動させ、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し足から離れて座部12に近付く側へ少しずつ移動させていく(図8参照)。
基礎部15aに対し脚受部15bを座部12に近付く側に移動させることで、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分も移動し、脚のそれより下の部分及び足にも、脚受部15bと同じく座部に近付く向きに移動させようとする力が加わる状態となる。
ここで、足は足受部16における足側部エアセル79a、79b、79c、79dで挟持され、足が足受部16に対し足受溝16bの溝底面から足裏が離れる向きに動かないよう拘束されることから、座部に近付く向きの力に対し足は動かず保持され、足は足受部16と一体に、基礎部15aに対しては動かない状態を維持することとなる。また、大腿部用エアセル79を膨張させて大腿部を挟持している場合には、脚受部15bの移動に伴って脚に力が加わっても、大腿部が保持拘束され動かないことで、脚全体が脚受部15bの動きにつれて座部12に対し動いてしまうようなことはなく、脚受部15bに保持された脚の保持対象部位のみの限定的な移動にとどめられ、この部位の脚の他部分に対する相対移動による施療効果を確実に生じさせられる。
脚受部15bの基礎部15aに対する移動と、足受部16の基礎部15aに対する非移動とによって、脚受部15bに保持された脚のふくらはぎ部分の筋肉が、脚受部15bとは独立して足受部16に保持された足に対し、これから離れる向きに実際に動かされる状態となる(図8参照)。こうして、脚受部15b及びふくらはぎ部分の筋肉が、足受部16に保持される足に対し離れる向きに移動することで、ふくらはぎ部分の筋肉をそれより下の脚他部分や足とは別に動かして、ふくらはぎ部分と足との間の部位を効率よく伸長させて、あたかもストレッチを行ったような施療効果を付与できる。
さらに、移動する脚受部15b及びふくらはぎ部分の筋肉に対し、大腿部エアセル79に保持される脚の大腿部が静止状態となり、これに対する脚受部15bの相対移動を許容することから、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の筋肉のみを、保持され静止した脚のより上側の部分に対し局所的に動かすことができる。こうしてふくらはぎ部分の筋肉を動かして、あたかも人が筋肉を動かすマッサージを行ったような効果を付与できる。
この後、脚受部15bが、座部側への移動の進行でその移動限界位置に近付くこととなる。制御部40は、脚受部15bの移動が、移動限界に達しているか否かを判定する。
この移動限界に達したと判定した場合には、制御部40は、施療用アクチュエータ18を作動停止状態とし、脚受部15bの移動が停止する。これにより、あらかじめ選択、設定された施療強度を超えて脚に過剰な負荷が加わることはない。一方、脚受部15bの移動が限界位置に達していない場合には、施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動を続行する。
制御部40は、施療用アクチュエータ18を停止させると同時に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった全てのエアセルを空気の排出により収縮させて脚等を挟持状態から解放し、また、別のエアセル79で大腿部を挟持している場合は、これについても空気排出により挟持状態から解放すると、脚や足は拘束を解かれて自由に動かせる状態に戻る。
ただし、施療用アクチュエータ18を停止させた後も、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態として、各エアセルの膨張状態をしばらく継続させ、脚受部で保持したふくらはぎの筋肉に座部側へ向かう力が加わる状態をさらに所定時間維持するようにしてもよい。
そして、制御部40は、前記一連のふくらはぎの筋肉の移動に係る施療を、自動のマッサージコースの一過程として行った場合は、次のマッサージに移行し、自動コースではなく独立した一施療として実行した場合には、前記一連の作動過程を終了する。ただし、必要であれば、制御部40は、足や脚を挟持状態から解放後、施療用アクチュエータ18を前と逆に作動させて脚受部15bを足に近づく向きに移動させて、最終的に、脚受部15bを施療以前の位置に戻した上で、アクチュエータをあらためて作動停止状態とする。
このように、本実施形態に係るマッサージ機は、座部12の前側で脚を支持する脚支持部15を、座部12に取付けられる基礎部15aとこれに対し移動可能な脚受部15bとの組合せ構造とすると共に、施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動に際して作用する力に抗って足を保持する足保持手段としての足受部16を設けて、脚受部15bにより保持された脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分を、基礎部15a、施療用アクチュエータ18、及び足受部16からなる施療手段で足に対し相対移動させるようにし、ふくらはぎ部分に他部位に対する動きを生じさせることにより、脚のふくらはぎの周りの部分に対しふくらはぎ部分のみを局所的に動かす状態が確実に得られ、ふくらはぎ部分に位置する筋肉そのものを動かすなどの顕著な変化を脚に与えることができ、こうした変化に伴うマッサージ等に相当する施療の効果が明確に得られ、ふくらはぎ部分の移動に足等の他部位が追随して動いていた従来のような状況とは異なる新たな効果を体感でき、使用により得られる脚のリラックス感をより一層高められる。
なお、前記実施形態に係るマッサージ機においては、脚用エアセル75、76、77、78や足側部エアセルは脚や足の左右にエアセルを一つずつ配設し、一対のエアセルで脚や足を挟持可能とする構成としているが、これに限らず、複数のエアセルを配設する、例えばふくらはぎに対し前後や上下に複数のエアセルを並べて配設するようにし、これらをまとめて膨縮させて、複数対のエアセルで脚や足を挟持可能とする構成とすることもできる。このようにエアセルを複数設ける場合は、対向するエアセルの組が異なるごとに膨縮のタイミングを異ならせることもでき、例えば、脚用エアセルとして、ふくらはぎ横に位置する前側エアセルとふくらはぎ裏に位置する後側エアセルの二組を設けた場合、脚受部の溝部入口側に近い前側のエアセルを先に膨張させ、続いて後側のエアセルを膨張させるようにすれば、脚の保持を確実にすることができる。
また、前記実施形態に係るマッサージ機においては、足受部16をアクチュエータ16cにより基礎部15aに対し位置調整可能としつつ、脚受部15bの移動の際には足受部16を基礎部15aに対し移動させない構成としているが、この他、足受部の位置調整の必要性に乏しい状況等に対応して、足受部を基礎部に対し一体に固定配設し、脚受部15bの移動等の状態に関わりなく、足受部を基礎部に対し移動させずこれらの位置関係をそのまま維持する構成とすることもでき、足受部の移動に係る機構を省略して脚支持部の構造を簡略且つ低コスト化できる。
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係るマッサージ機においては、脚支持部15の脚受部15bを、施療用アクチュエータ18を用いて、基礎部15aに対し脚長手方向に移動可能とし、脚受部15bで保持した脚の保持対象部位(ふくらはぎ部分)を脚受部15bと共に脚の他部分や足に対し移動させ、移動に伴う所定の施療効果を生じさせる構成としているが、この他、図9に示すように、脚受部15dを基礎部15aに対し前後方向に移動可能とし、脚を保持した状態の脚受部15dを基礎部15aに対し所定のアクチュエータ19aで脚の前後方向に移動させる一方、足は足受部16に前後に動かないよう保持して、脚の保持対象部位を足に対し揺り動かすように前後移動させ、保持対象部位の筋肉に対し移動に伴うマッサージ相当の施療効果を生じさせる構成とすることもできる。
なお、脚受部を同様に基礎部に対し前後方向に移動させる場合で、脚受部で脚を前方に押して保持対象部位の筋肉に前方への動きを付与することが主目的であり、脚の保持対象部位の後方へ戻る動きは脚受部で強制せず脚の自然な復元力に基づくようにするのであれば、脚受部における脚用エアセルでの挟持による脚保持を行わない構成とすることもできる。さらに、この脚受部で脚用エアセルにより脚を押圧するマッサージを行わない場合には、脚用エアセルの配設そのものを省略する構成とすることもでき、脚受部の構造を簡略化できる。
また、図10に示すように、脚受部15eを基礎部15aに対し左右方向に移動可能とし、脚を保持した状態の脚受部15eを基礎部に対し脚の左右方向に移動させる一方、足は足受部16に左右に動かないよう保持して、脚の保持対象部位を足に対し左右に揺り動かすように移動させ、保持対象部位の筋肉に対し移動に伴うマッサージ相当の施療効果を生じさせる構成とすることもできる。
また、図11に示すように、脚受部15fを基礎部15aに対し、脚支持部15の傾動軸とは異なる軸を中心に揺動可能に配設し、脚を保持した状態の脚受部15fを基礎部15aに対し揺動用のアクチュエータ19bで上下方向に揺動させる一方、足は足受部16に保持して、脚の保持対象部位を足に対し揺動させるように動かし、保持対象部位の筋肉に対し移動に伴うマッサージ相当の施療効果を生じさせる構成とすることもできる。なお、脚受部を揺動させるための機構としては、単純な直動型のアクチュエータにリンク機構を組み合わせて、脚受部の揺動運動を生じさせる機構とすることもできる。
さらに、他の揺動として、図12に示すように、脚受部15gを基礎部15aに対し左右に揺動可能とし、脚を保持した状態の脚受部15gを基礎部に対し左右に揺動させる一方、足は足受部16に動かないよう保持して、脚の保持対象部位を足に対し揺動させるように動かし、前記同様、保持対象部位の筋肉に対し移動に伴うマッサージ相当の施療効果を生じさせる構成とすることもできる。
この他にも、脚受部を基礎部に対し無理なく動かせるものであれば、足に対し脚の保持対象部位を相対移動させられるように、脚受部を動かす構造を適宜採用してかまわない。
また、前記第1の実施形態に係るマッサージ機において、脚支持部15の脚受部15bは、二つの溝部15cを設けられて左右の脚をそれぞれ保持可能とされ、基礎部15aに対し移動して左右の脚の保持対象部位を一まとめで移動させ、いずれの脚の保持対象部位にも同じ移動に伴う施療効果が生じるようにする構成としているが、この他、図13に示すように、脚受部15h、15iを左右の脚にそれぞれ対応した左右独立構造とすると共に、基礎部15aに対し左右の脚受部15h、15iごとに独立して移動可能な構成とすることもでき、左右の脚で同様の保持対象部位を保持した場合でも、左右の脚受部15h、15iの移動状態を異ならせて左右の保持対象部位ごとに異なる施療効果を生じさせられ、左右の脚で疲労状態等が異なる場合に脚ごとに対応して適切な施療を実行できる。また、脚の保持対象部位を決めるための、基礎部15aに対する脚受部の位置調整を左右の脚受部15h、15iごとに行って、左右の脚で保持対象部位を異ならせて脚の保持を行うようにすることもでき、この場合も左右の脚受部15h、15iを移動させて左右の保持対象部位ごとに異なる施療効果を生じさせられる。
これらに加えて、図14に示すように、左右独立に移動可能な構造とした脚受部15j、15kを、それぞれ脚長手方向に移動させる際に、さらに脚長手方向の軸線周りに所定角度だけ回転させ、左右各脚の保持対象部位に捻る動きも与えるようにして、脚の保持対象部位を捻って絞るマッサージを行える構成とすることもでき、異なる向きの動きの組合せで脚に一層効率よくマッサージ効果を付与できる。
また、前記第1の実施形態に係るマッサージ機においては、足保持手段としての足受部16で、足の座部12側へ向かう動きを足側部エアセル79a、79b、79c、79dで拘束すると共に、足の座部12から離れる向きの動きを、足裏に接する足受溝16bの溝底面で拘束して、足の脚長手方向の動きを生じさせず保持する構成としているが、この他、足への足側部エアセルでのマッサージを採用しないものの、足を拘束して脚受部15bの移動時に足が同様に移動するのを抑えたい場合に、図15に示すように、足受部16における足の拘束に、足を後方から挿脱可能とする一方で、足の甲を取り囲んで足の座部側へ向かう動きを抑える規制部16d、16eを設ける構成とすることもでき、エアセルのように膨縮作動させる必要が無く極めて簡略な構成とすることができる。この場合、左右の脚ごとにサンダルやスリッパの甲被のような形状の規制部を設けるようにしてもかまわない。
さらに、足受部16における足裏の接する面部分には、足裏に接して膨縮し、足裏にも所定のマッサージ効果を与える足裏エアセルや、足裏に温熱を付与するヒータを設けることもでき、脚受部の移動によるものとは別に、適切な刺激を付与してリラックス効果を高められる。
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るマッサージ機を図16に基づいて説明する。
本実施形態に係るマッサージ機は、前記第1の実施形態同様、椅子状の形態をなす各部とこれらを傾動させるアクチュエータ、各種の施療機構、及び、これらの作動を制御する制御部40を備える構成とされる一方、異なる点として、制御部40が、脚支持部15の脚受部15bにおける脚用エアセルを膨張させて脚を挟持し、脚を脚受部15b上への保持状態とするのに先行して、脚受部15bを基礎部15aに対し移動させて位置調整し、前もって脚の保持対象部位として認定された箇所を脚受部15bに正確に保持させる構成を有するものである。
なお、この脚受部の位置調整のための移動に係る制御以外の制御やマッサージ機の構成については、前記第1の実施形態の場合と同じであり、詳細な説明を省略する。
前記第1の実施形態同様、制御部40は、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療のための作動過程で、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して拘束保持する。
この足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張の後で、制御部40は、脚受部15bの各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させ、脚の保持対象部位の保持を図ることとなる。ただし、脚の保持対象部位、例えば、ふくらはぎ部分は、使用者の体格(脚の長さ)によって脚受部上の位置が異なり、脚受部15bの初期位置によっては、実際に脚用エアセルで保持する箇所は、脚の保持対象部位からずれるおそれがある。
このため、制御部40は、脚用エアセルを膨張させて脚の保持を実行する前に、脚受部15bの位置を調整する。詳細には、制御部40は、マッサージ機への着座直後等の使用者の体形検出により取得された検出情報に基づいて設定される、脚の保持対象部位の位置、例えば、ふくらはぎ部分の位置に、脚受部の各脚用エアセル位置が対応するように、施療用アクチュエータ18を作動させて脚受部15bを基礎部15aに対し移動させて位置調整する。これにより、脚受部15bの各脚用エアセルで脚の保持対象部位を正しく挟持して確実に保持することができる。
この位置調整に引き続き、制御部40は脚用エアセルを膨張させて、脚用エアセルで脚の保持対象部位を挟持して脚受部15bに保持し、続いて脚受部15bを移動させて脚の保持対象部位を脚受部15bと一体に動かして所定の施療効果を生じさせる仕組みである。ただし、脚の保持対象部位を脚受部15bに保持した後の各部の作動過程は、前記第1の実施形態同様であり、詳細な説明を省略する。
制御部40は、脚受部15bへの脚の保持対象部位の保持に際し、施療用アクチュエータ18の作動による脚受部15bの位置調整としての移動の完了前から、脚受部15bの移動完了、停止後、所定時間経過時までの所定タイミングで、脚受部15bの保持に係る作動、具体的には、各脚用エアセルの膨張、を開始させる(図16参照)。
脚受部15bの位置調整について、脚用エアセルで適切に脚の保持対象部位の保持を行う状態では、脚受部15bを移動させると脚の保持対象部位も一体に移動して、脚受部の脚に対する位置調整は行えないので、当然ながら、脚の保持対象部位が脚用エアセルによる確実な保持状態となる前に、脚受部15bの位置調整を終える必要がある。
ただし、脚受部15bの位置調整が終了したら、速やかに脚の保持対象部位を脚受部に保持した状態とするのが、施療開始までの待ち時間を少なくできる点で望ましい。
この脚の保持対象部位の保持に係り、脚用エアセルに対し脚を相対移動させられる、すなわち、脚用エアセルを脚受部と共に脚に対し移動させられる非保持状態から、確実な保持状態まで脚用エアセルを膨張させるのには所定の時間がかかるため、制御部40では、その時間を考慮して脚用エアセルの膨張開始のタイミングを設定している。
例えば、脚用エアセルが適切に脚の保持対象部位の保持が行える状態まで膨張するのに時間がかかる場合は、制御部40は、脚受部15bの位置調整終了、すなわち移動完了で停止するのを待たずに、脚用エアセルの膨張を開始させるようにして(図16参照;タイミングa)、脚受部15bの位置調整終了、移動停止から時間を置かずに脚用エアセルが脚の保持対象部位の保持を確実に行える膨張状態に達するようにする。
また、脚用エアセルが膨張開始から適切に脚の保持対象部位の保持が行える膨張状態まで速やかに膨張させられる場合は、制御部40は、脚受部15bの位置調整終了、すなわち移動停止とそれに伴う施療用アクチュエータの作動停止、と同時(図16参照;タイミングb)、又は、位置調整終了からわずかに時間が経過した後(図16参照;タイミングc)に、脚用エアセルの膨張を開始させるようにしてかまわない。
なお、前記実施形態に係るマッサージ機において、制御部40は、脚受部での脚の保持を実行する前に、使用者の体形検出での検出情報に基づいて設定された脚の保持対象部位の位置に、脚受部15bの各脚用エアセル位置が対応するように、脚受部15bを基礎部15aに対し移動させて位置調整するようにしているが、この他、制御部40が、あらかじめプログラムで設定された脚の保持対象部位の位置に、脚受部15bの各脚用エアセル位置を対応させるように脚受部15bを移動させる位置調整を実行するようにしてもよく、例えば、使用者ごとの体格差による保持位置のずれに伴う施療効果の差異が生じにくい場合などには、プログラムで一様に定まる脚の保持対象部位に対応させて脚受部15bの位置調整を行うようにすれば、より簡略な制御で、脚受部15bによる保持対象部位の保持を短時間に問題なく実行でき、脚受部15bを足に対し相対移動させた場合の施療効果も十分に生じさせることが可能となる。
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係るマッサージ機を前記図17及び図18に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機は、前記第1の実施形態同様、椅子状の形態をなす各部とこれらを傾動させるアクチュエータ、各種の施療機構、及び、これらの作動を制御する制御部40を備える構成とされる一方、異なる点として、制御部40が、脚支持部15の脚用エアセルを膨張させて脚を挟持し、脚受部15bを基礎部15aに対し移動させる際に、足受部16も基礎部15aに対し脚受部移動方向とは逆向きに移動させる構成を有するものである。
なお、この脚受部の移動方向とは逆向きの足受部の移動に係る制御以外の制御やマッサージ機の構成については、前記第1の実施形態の場合と同じであり、詳細な説明を省略する。
前記第1の実施形態においては、基礎部15aに対し脚受部15bを移動させる中、足受部16を基礎部15bに対して動かさない構成としているが、これに対し、本実施形態では、基礎部15aに対し足受部16をアクチュエータ16cにより移動させることで、足を脚受部15bの移動する向きとは逆向きに、実際に移動させる構成とするものである。
前記足受部16は、前記第1の実施形態同様、アクチュエータ16cにより、基礎部15aに対し移動させられる構成であり、使用者の脚の長さに対応して、基礎部15aに対し脚長手方向に位置調整可能とされる一方、異なる点として、制御部40が脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し移動させる際に、アクチュエータ16cの作動によって脚受部15bの移動方向とは逆向きに移動する仕組みである。
制御部40は、脚支持部15の施療用アクチュエータ18を作動させ、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し移動させる制御を行う。この施療用アクチュエータ18の作動による脚受部15bの移動に合わせて、制御部40はアクチュエータ16cを作動させ、脚受部15bの移動方向とは逆向きに足受部16を移動させる制御を実行することとなる。
制御部40が、足受部16及びこれに保持される足を、脚受部15b及びこれに保持される脚の保持対象部位の移動する向きとは逆向きに移動させることで、脚受部15bに保持する脚の保持対象部位の足に対する相対移動量を大きくし、この移動する保持対象部位における筋肉等に生じるマッサージに相当する施療の強度を高められる。
次に、本実施形態に係るマッサージ機における、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療のための各部作動過程について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、マッサージ機1に着座した使用者により、既に起動してマッサージ開始前の準備、調整等が完了したマッサージ機1に対し、マッサージコース等の実行指示が操作入力されて、種々のマッサージを実行する中で、制御部40が脚受部の移動に基づく施療に係る作動制御を実行しようとしているものとする。
最初に、脚支持部15の脚受部15bが座部寄りの位置から足に近付く側へ移動して、脚受部15bで保持している脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分を動かす場合の作動過程について説明する。
ここで、制御部40は、あらかじめ傾動用アクチュエータ17を作動させて、使用者の脚を支持している脚支持部15を傾動させ、脚支持部15を初期位置、すなわち、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療に適した脚支持部15の所定傾斜角度位置、に至らせているものとする。また、脚支持部15の脚受部15bは、最も座部12に近付いた位置となるように移動調整されたものとする。そして、足受部16は、使用者が脚を脚支持部15に支持させ、足を足受部16に載せた段階で、脚の長さに対応する位置調整を受け、足受部16における足受溝16bの溝底面は、足裏に当接した状態となっているものとする。
制御部40は、脚支持部15の各機構部分の作動を開始させるにあたり、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して適度に拘束する。
この足側部エアセル79a、79b、79c、79dが十分に膨張して足が適切に挟持された状態では、使用者は、足裏を足受部16における足受溝16bの溝底面に付けて、足を足受部16に保持、拘束されることとなる。
そして、制御部40は、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張と同時、又は少し遅れて、脚支持部15で脚の両側に位置する各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させる。この脚用エアセル75、76、77、78の膨張に伴い、脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分がエアセルで両側から挟持され、脚受部15bに保持、拘束されることとなる。
なお、座部12の両側に脚の大腿部を挟持する別のエアセルを配設している場合、制御部40は、脚用エアセル75、76、77、78を膨張させた後、大腿部用エアセル79への給気を行い、これを膨張させ、大腿部の挟持を実行する(図3参照)。
脚用エアセルが十分に膨張して、ふくらはぎ部分が挟持、拘束された状態で、制御部40は、脚支持部15の施療用アクチュエータ18を作動させ、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し座部12から離れる側となる足先側へ少しずつ移動させていく(図17参照)。
この施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動を開始させると共に、制御部40は、アクチュエータ16cを作動させ、足受部16を基礎部15aに対し座部に近付く側へ、すなわち脚受部15bの移動する向きとは逆方向へ移動させていく。
施療用アクチュエータ18で基礎部15aに対し脚受部15bを座部12から離れる側に移動させることで、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分も移動し、脚のそれより下の部分及び足にも、脚受部15bと同じく座部から離れる向きに移動させようとする力が加わる状態となる。
ここで、足は足受部16における足受溝16bの溝底面に足裏を当接させており、足が足受部16を越えて動かないよう拘束されることから、座部から離れる向きの力に対し足はこの力の向きに動かされることはなく、且つ、足受部16を基礎部15aに対し座部12に近付く側へ移動させていることで、足は足受部16と一体に、座部12に近付くように移動する(図17参照)。
脚受部15bの移動によって、脚受部15bに保持された脚のふくらはぎ部分の筋肉が、座部から離れ足に近付く向きに動かされる一方、この移動する脚受部15b及びふくらはぎ部分の筋肉に対し、足受部16に保持される足が脚受部15bとは逆向きに移動することから、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の、足に対し近付く向きの相対移動量は増大し、脚受部15bのみを移動させる場合より、ふくらはぎ部分の筋肉の動きを促すことができる。こうしてふくらはぎ部分の筋肉を効率よく動かして、あたかも人が筋肉を動かすマッサージを行ったような施療の効果をふくらはぎ部分に局所的に集中させて付与できる。
この後、脚受部15bが脚先端側への移動の進行でその移動限界位置に近付く。加えて、足受部16も座部12に近付く側への移動の進行でその移動限界位置に近付くこととなる。制御部40は、脚受部15bの移動、又は足受部16の移動、のいずれかが、移動の限界に達しているか否かを判定する。
そして、この移動の限界に達したと判定した場合には、制御部40は施療用アクチュエータ18とアクチュエータ16cをいずれも作動停止状態とし、脚受部15bの移動及び足受部16の移動をそれぞれ停止させる。
これにより、あらかじめ設定された脚の保持対象部位の移動における適切な施療強度範囲を超えて脚に過剰な負荷が加わることはない。一方、前記各部が移動の限界に達していない場合には、施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動及びアクチュエータ16cによる足受部16の移動を続行する。
制御部40は、施療用アクチュエータ18及びアクチュエータ16cを停止させると同時に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった全てのエアセルを空気の排出により収縮させて脚等を挟持状態から解放し、また、別のエアセル79で大腿部を挟持している場合は、これについても空気排出により挟持状態から解放すると、脚や足は拘束を解かれて自由に動かせる状態に戻る。
ただし、施療用アクチュエータ18及びアクチュエータ16cを停止させた後も、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態として、各エアセルの膨張状態をしばらく継続させ、脚受部で保持したふくらはぎの筋肉に脚先側へ向かう力が加わる状態をさらに所定時間維持するようにしてもよい。
そして、制御部40は、前記一連のふくらはぎの移動に係る施療を、自動のマッサージコースの一過程として行った場合は、次のマッサージに移行し、自動コースではなく独立した一施療として実行した場合には、前記一連の作動過程を終了する。ただし、必要であれば、制御部40は、足や脚を挟持状態から解放後、施療用アクチュエータ18を前と逆に作動させて脚受部15bを座部12に近づく向きに移動させ、また、アクチュエータ16cを前と逆に作動させて足受部16を座部から離れる向きに移動させて、最終的に、脚受部15bや足受部16を施療以前の位置に戻した上で、各アクチュエータをあらためて作動停止状態とする。
続いて、脚支持部15の脚受部15bが足寄りの位置から座部に近付く側へ移動して、脚受部15bで保持している脚のふくらはぎ部分の筋肉を動かす場合の作動過程について説明する。
制御部40は、必要に応じて傾動用アクチュエータ17を作動させて、使用者の脚を支持している脚支持部15を傾動させ、脚支持部15を初期位置、すなわち、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療に適した脚支持部15の所定傾斜角度位置に至らせる。なお、足受部16は事前に脚の長さに対応する位置調整を受け、足受部16における足受溝16bの溝底面は、足裏に当接した状態となっている。
制御部40は、脚支持部15の、各機構部分の作動を開始させるにあたり、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して適度に拘束する。
そして、制御部40は、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張と同時、又は少し遅れて、脚支持部15で脚の両側に位置する各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させる。この脚用エアセル75、76、77、78の膨張に伴い、脚のふくらはぎ部分がエアセルで両側から挟持され、脚受部15bに保持、拘束されることとなる。
なお、座部12の両側に脚の大腿部を挟持する別のエアセルを配設している場合、制御部40は、脚用エアセル75、76、77、78を膨張させた後、大腿部用エアセル79への給気を行い、これを膨張させ、大腿部の挟持を実行する(図3参照)。
脚用エアセルが十分に膨張して、ふくらはぎ部分が挟持、拘束された状態で、制御部40は、脚支持部15の施療用アクチュエータ18を作動させ、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し足から離れて座部12に近付く側へ少しずつ移動させていく(図18参照)。
この施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動を開始させると共に、制御部40は、制御部40は、アクチュエータ16cを作動させ、足受部16を基礎部15aに対し座部から離れる側へ、すなわち脚受部15bの移動する向きとは逆方向へ移動させていく。
施療用アクチュエータ18で基礎部15aに対し脚受部15bを座部12に近付く側に移動させることで、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分も移動し、脚のそれより下の部分及び足にも、脚受部15bと同じく座部に近付く向きに移動させようとする力が加わる状態となる。
ここで、足は足受部16における足側部エアセル79a、79b、79c、79dで挟持され、足が足受部16に対し足受溝16bの溝底面から足裏が離れる向きに動かないよう拘束されることから、座部に近付く向きの力に対し足はこの力の向きに動かされることはなく、且つ、足受部16を基礎部15aに対し座部12から離れる側へ移動させていることで、足は足受部16と一体に、座部12から離れるように移動する(図18参照)。また、大腿部用エアセル79を膨張させて大腿部を挟持している場合には、脚受部15bの移動に伴って脚に力が加わっても、大腿部が保持拘束され動かないことで、脚全体が脚受部15bの動きにつれて座部12に対し動いてしまうようなことはなく、脚受部15bに保持された脚の保持対象部位のみの限定的な移動にとどめられ、この部位の脚の他部分に対する相対移動による施療効果を確実に生じさせられる。
脚受部15bの移動によって、脚受部15bに保持された脚のふくらはぎ部分の筋肉が、座部に近付く向きに動かされる一方、この移動する脚受部15b及びふくらはぎ部分の筋肉に対し、足受部16に保持される足が脚受部15bとは逆向きに移動することから、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の、足に対し離れる向きの相対移動量は増大し、脚受部15bのみを移動させる場合より、ふくらはぎ部分と足とが互いに離れる向きの相対的な動きを促すことができる。こうしてふくらはぎ部分と足との間の部位を効率よく伸長させて、あたかもストレッチを行ったような効果を付与できる。
さらに、移動する脚受部15b及びふくらはぎ部分の筋肉に対し、大腿部エアセル79に保持される脚の大腿部が静止状態となり、これに対する脚受部15bの相対移動を許容することから、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の筋肉のみを、保持され静止した脚のより上側の部分に対し近付く向きに局所的に動かすことができる。こうしてふくらはぎ部分の筋肉を動かして、あたかも人が筋肉を動かすマッサージを行ったような効果を付与できる。
この後、脚受部15bが座部側への移動の進行でその移動限界位置に近付く。加えて、足受部16も座部12から離れる側への移動の進行でその移動限界位置に近付くこととなる。制御部40は、脚受部15bの移動、又は足受部16の移動、のいずれかが、移動の限界に達しているか否かを判定する。
そして、この移動の限界に達したと判定した場合には、制御部40は施療用アクチュエータ18とアクチュエータ16cをいずれも作動停止状態とし、脚受部15bの移動、及び足受部16の移動をそれぞれ停止させる。
これにより、あらかじめ設定された脚の保持対象部位の移動における適切な施療強度範囲を超えて脚に過剰な負荷が加わることはない。一方、前記各部が移動の限界に達していない場合には、施療用アクチュエータ18による脚受部15bの移動、及びアクチュエータ16cによる足受部16の移動を続行する。
制御部40は、施療用アクチュエータ18及びアクチュエータ16cを停止させると同時に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった全てのエアセルを空気の排出により収縮させて脚等を挟持状態から解放し、また、別のエアセル79で大腿部を挟持している場合は、これについても空気排出により挟持状態から解放すると、脚や足は拘束を解かれて自由に動かせる状態に戻る。
ただし、施療用アクチュエータ18及びアクチュエータ16cを停止させた後も、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態として、各エアセルの膨張状態をしばらく継続させ、脚受部で保持したふくらはぎの筋肉に座部側へ向かう力が加わる状態をさらに所定時間維持するようにしてもよい。
そして、制御部40は、前記一連のふくらはぎの移動に係る施療を、自動のマッサージコースの一過程として行った場合は、次のマッサージに移行し、自動コースではなく独立した一施療として実行した場合には、前記一連の作動過程を終了する。ただし、必要であれば、制御部40は、足や脚を挟持状態から解放後、施療用アクチュエータ18を前と逆に作動させて脚受部15bを座部から離れる向きに移動させ、また、アクチュエータ16cを前と逆に作動させて足受部16を座部に近付く向きに移動させて、最終的に、脚受部15bや足受部16を施療以前の位置に戻した上で、各アクチュエータをあらためて作動停止状態とする。
なお、前記実施形態に係るマッサージ機においては、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し脚長手方向に移動させ、脚受部15bで保持した脚の保持対象部位(ふくらはぎ部分)を脚受部15bと共に移動させる際に、足受部16を逆向きに移動させ、これに保持された足を脚の保持対象部位の動く向きとは逆方向に動かす構成としているが、この他、足受部全体でなく一部を動かすようにしてもよく、例えば、図19に示すように、足受部16の足裏に接する箇所に膨縮するエアセル16fを設け、脚受部15bを座部から離れる向きに移動させる場合に、制御部40が足裏に接するエアセル16fを膨張させ、このエアセル16fで足裏を押圧して足を座部寄りに移動させる構成とすることもでき、前記実施形態同様、脚の保持対象部位の相対移動量を大きくして、保持対象部位の筋肉に対し移動に伴うマッサージ相当の施療効果をより大きく生じさせることができる。
また、前記実施形態に係るマッサージ機においては、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し脚長手方向に移動させ、脚受部15bで保持した脚の保持対象部位(ふくらはぎ部分)を脚受部15bと共に移動させる際に、足受部16を逆向きに移動させ、これに保持された足を脚の保持対象部位の動く向きとは逆方向に動かす構成としているが、この他、足受部以外を動かして足を移動させるようにしてもよく、例えば、図20に示すように、座部12の脚裏(大腿部裏側)に接する箇所に膨縮するエアセル12aを設け、脚受部15bを座部12から離れる向きに移動させる場合に、制御部が座部の脚裏に接するエアセル12aを膨張させ、このエアセル12aで大腿部を押圧して大腿部を座部の上方に移動させ、これに追随させて足を動かすことで、足を脚受部15bの移動方向とは逆向きに動かす構成とすることもでき、前記実施形態同様、脚の保持対象部位の相対移動量を大きくして、保持対象部位の筋肉に対し移動に伴うマッサージ相当の施療効果をより大きく生じさせることができる。
この他、足を移動させるには至らないものの、座部12のエアセル12aを膨張させて上向きの圧力を生じさせ、脚受部15bの座部12から離れる向きの力に抗うようにして、脚の膝より下の部分全体が下がるのを防ぎ、足の位置を保持するようにすることもできる。この場合、足の位置を保持する座部エアセル12aが足保持手段の少なくとも一部となり、別途足保持手段としての足受部、具体的には、足裏に接して足の下方への動きを抑える部位のあるもの、を設けない構成とすることもできる。
また、前記第1及び第4の各実施形態に係るマッサージ機においては、脚受部15bに脚を保持する際に、足は足裏全体が足受部16における足受溝16bの溝底面に付く自然な姿勢にあり、その関係で脚の膝から下の部分も特に筋肉の緊張等無く自然な状態で脚受部15bに保持される構成としているが、この他、脚の保持される部位の筋肉を所定の状態に変化させた上で脚受部15bに脚を保持する構成とすることもできる。例えば、足受部16における足裏の踵位置と爪先位置にそれぞれ接触する箇所に、これら足裏各位置を押し上げる押上手段、例えばエアセル16g、16h、を設ける構成とすることができる。
このうち、エアセル16gで踵位置を押し上げた場合(図21(A)参照)には、脚裏各部の筋肉の形状を脚長手方向に縮んで膨らんだ状態に変え、ふくらはぎ部分の筋肉を太く変形させた上で脚受部で保持できる(図21(B)参照)。逆に、エアセル16hで爪先位置を押し上げた場合(図22(A)参照)には、脚裏各部の筋肉の形状を脚長手方向に伸びて萎んだ状態に変え、ふくらはぎ部分の筋肉を細く変形させた上で脚受部で保持できる(図22(B)参照)。こうして脚の筋肉を脚受部の脚用エアセル等で保持する状態を変えることで、さらに多様なマッサージ効果を得ることができる。
(本発明の第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係るマッサージ機を前記図23及び図24に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係るマッサージ機は、前記第1の実施形態同様、椅子状の形態をなす各部とこれらを傾動させるアクチュエータ、各種の施療機構、及び、これらの作動を制御する制御部40を備える構成とされる一方、異なる点として、制御部40が、脚支持部15における脚受部15bの脚用エアセルを膨張させて脚を挟持し保持するものの、脚受部15bを基礎部15aに対し移動させずに、足受部16を基礎部15aに対し移動させて、脚受部15bに保持された脚の保持対象部位を、足受部16に保持される足など他部位に対し相対移動させる構成を有するものである。
なお、この脚受部に代わる足受部の移動に係る制御以外の制御やマッサージ機の構成については、前記第1の実施形態の場合と同じであり、詳細な説明を省略する。
前記第1の実施形態においては、制御部40が、基礎部15aに対し脚受部15bを移動させるように制御することで、足受部16で保持した足に対し、脚受部15b及び脚の保持対象部位を脚受部15bの移動する向きへ実際に移動させる構成としているが、これに対し、本実施形態では、制御部40が、脚受部15bを基礎部15bに対し移動させる代わりに、基礎部15aに対し足受部16をアクチュエータ16cにより移動させることで、足に対し脚受部15b及び脚の保持対象部位を足の移動する向きとは逆向きに相対移動させる構成である。
前記脚受部15bは、前記第1の実施形態同様、脚用エアセル75、76、77、78を設けられて脚の保持対象部位を保持可能な構成とされる一方、異なる点として、基礎部15aに対し移動させることなく固定状態で支持される構成を有するものである。
前記足受部16は、前記第1の実施形態同様、アクチュエータ16cにより、基礎部15aに対し移動させられる構成であり、使用者の脚の長さに対応して、基礎部15aに対し脚長手方向に位置調整可能とされる一方、異なる点として、制御部40が作動させたアクチュエータ16cにより所定方向に移動させられ、脚受部15bを足受部16に対し相対移動させる状態を得るようにされるものである。
制御部40は、アクチュエータ16cを作動させ、基礎部15aに対し足受部16を移動させる制御を行う。これにより、足受部16及びこれに保持される足、並びにこの足に連なる脚の保持対象部位以外の部分を、基礎部15a上で動かない脚受部15b及びこれに保持される脚の保持対象部位に対し移動させることができ、これは、脚受部15bに保持する脚の保持対象部位の、足や脚の他部分に対する相対移動につながり、保持対象部位における筋肉等を動かすこととなって、この保持対象部位の筋肉等にマッサージやストレッチに相当する施療の効果を生じさせることができる。
次に、本実施形態に係るマッサージ機における、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療のための各部作動過程について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、マッサージ機1に着座した使用者により、既に起動してマッサージ開始前の準備、調整等が完了したマッサージ機1に対し、マッサージコース等の実行指示が操作入力されて、種々のマッサージを実行する中で、制御部40が脚受部の相対移動に基づく施療に係る作動制御を実行しようとしているものとする。
最初に、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し移動させない一方、足受部16を基礎部15aに対し座部12に近付く向きに移動させて、脚受部15bで保持している脚のふくらはぎ部分の筋肉を足に対し相対的に動かす場合の作動過程について説明する。
ここで、制御部40は、あらかじめ傾動用アクチュエータ17を作動させて、使用者の脚を支持している脚支持部15を傾動させ、脚支持部15を初期位置、すなわち、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療に適した脚支持部15の所定傾斜角度位置に至らせているものとする。そして、足受部16は、事前に脚の長さに対応する位置調整を受け、足受部16における足受溝16bの溝底面は、足裏に当接した状態となっている。
制御部40は、脚支持部15の、各機構部分の作動を開始させるにあたり、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して適度に拘束する。
そして、制御部40は、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張と同時、又は少し遅れて、脚支持部15で脚の両側に位置する各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させる。この脚用エアセル75、76、77、78の膨張に伴い、脚のふくらはぎ部分がエアセルで両側から挟持され、脚受部15bに保持、拘束されることとなる。
脚用エアセルが十分に膨張して、ふくらはぎ部分が挟持、拘束された状態で、制御部40は、アクチュエータ16cを作動させ、足受部16を基礎部15aに対し座部12に近付く側へ移動させていく(図23参照)。この時、脚支持部15の基礎部15aに対し動かない脚受部15bに脚用エアセルで拘束、保持されている脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分は、基礎部15aに対し脚長手方向に動かない状態にある。
これに対し、足受部16は、基礎部15aに対し座部12に近付く側へ移動しており、足は足受部16における足受溝16bの溝底面に足裏を当接させて、足が足受部16を越えて動かないよう拘束されることから、足は足受部16と一体に脚受部15bに近付く向きに移動する状態となる(図23参照)。そして、足受部16の移動に伴って足から脚に力が加わることで、脚受部15bに保持されて動かない脚の保持対象部位を除く脚の大部分が、足受部16の動きにつれて座部12に対し動くこととなり、保持対象部位の他部分に対する相対移動を確実に生じさせられる。
脚受部15b及びこれに保持された脚のふくらはぎ部分の筋肉が、基礎部15aに対し動かない状態に維持される一方、足受部16に保持される足が基礎部15aに対し脚受部15b等に近付く向きに移動することから、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の、足に対し近付く向きの相対移動が生じる。こうしてふくらはぎ部分の筋肉が足に対し相対移動して足や脚の他部分とは別に動く状態を得て、あたかも人が筋肉を動かすマッサージを行ったような効果をふくらはぎ部分に局所的に付与できる。
この後、足受部16が、座部12に近付く側への移動の進行でその移動限界位置に近付くこととなる。制御部40は、足受部16の移動が、移動限界に達しているか否かを判定する。そして、この移動限界に達したと判定した場合には、制御部40はアクチュエータ16cを作動停止状態とし、足受部16の移動を停止させる。
これにより、あらかじめ設定された脚の保持対象部位の移動における適切な施療強度範囲を超えて脚に過剰な負荷が加わることはない。一方、足受部16が移動の限界に達していない場合には、制御部40はアクチュエータ16cによる足受部16の移動を続行する。
制御部40は、アクチュエータ16cを停止させると同時に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった全てのエアセルを空気の排出により収縮させて脚等を挟持状態から解放すると、脚や足は拘束を解かれて自由に動かせる状態に戻る。
ただし、アクチュエータ16cを停止させた後も、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態として、各エアセルの膨張状態をしばらく継続させ、脚受部で保持したふくらはぎの筋肉に座部側へ向かう力が加わる状態をさらに所定時間維持するようにしてもよい。
そして、制御部40は、前記一連のふくらはぎの移動に係る施療を、自動のマッサージコースの一過程として行った場合は、次のマッサージに移行し、自動コースではなく独立した一施療として実行した場合には、前記一連の作動過程を終了する。ただし、必要であれば、制御部40は、足や脚を挟持状態から解放後、アクチュエータ16cを前と逆に作動させて足受部16を座部から離れる向きに移動させ、最終的に、足受部16を施療以前の位置に戻した上で、アクチュエータをあらためて作動停止状態とする。
続いて、脚支持部15の脚受部15bを基礎部15aに対し移動させない一方で、足受部16を基礎部15aに対し座部12から離れる側へ移動させて、脚受部15bで保持している脚のふくらはぎ部分の筋肉を足に対し相対的に動かす場合の作動過程について説明する。
制御部40は、必要に応じて傾動用アクチュエータ17を作動させて、使用者の脚を支持している脚支持部15を傾動させ、脚支持部15を初期位置、すなわち、脚の保持対象部位を足に対し相対移動させる施療に適した脚支持部15の所定傾斜角度位置、に至らせる。なお、足受部16は、事前に脚の長さに対応する位置調整を受け、足受部16における足受溝16bの溝底面が足裏に当接した状態となっている。
制御部40は、脚支持部15の各機構部分の作動を開始させるにあたり、まず、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dを膨張させ、左右の各足のうち足の甲部分を左右から挟持して適度に拘束する。
この足側部エアセル79a、79b、79c、79dが十分に膨張して足が適切に挟持された状態では、使用者は、足裏を足受部16における足受溝16bの溝底面に付けて、足を足受部16に保持、拘束されることとなる。
そして、制御部40は、足受部16の足側部エアセル79a、79b、79c、79dの膨張と同時、又は少し遅れて、脚支持部15で脚の両側に位置する各脚用エアセル75、76、77、78への給気を実行して各エアセルを膨張させる。この脚用エアセル75、76、77、78の膨張に伴い、脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分がエアセルで両側から挟持され、脚受部15bに保持、拘束されることとなる。
なお、座部12の両側に脚の大腿部を挟持する別のエアセルを配設している場合、制御部40は、脚用エアセル75、76、77、78を膨張させた後、大腿部用エアセル79への給気を行い、これを膨張させ、大腿部の挟持を実行する(図3参照)。
脚用エアセルが十分に膨張して、ふくらはぎ部分が挟持、拘束された状態で、制御部40は、アクチュエータ16cを作動させ、足受部16を基礎部15aに対し座部12から離れる側へ移動させていく(図24参照)。この時、基礎部15aに対し動かない脚受部15bに脚用エアセルで拘束、保持される脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分は、基礎部15aに対し脚長手方向に動かない状態にある。
これに対し、足受部16が、基礎部15aに対し座部12から離れる側へ移動しており、足は足受部16における足側部エアセル79a、79b、79c、79dで挟持され、足が足受部16に対し足受溝16bの溝底面から足裏が離れる向きに動かないよう拘束されることから、足は足受部16と一体に座部12から離れるように移動する。すなわち、足受部16とこれに保持された足は脚受部15bから離れる向きに移動する状態となる(図24参照)。
脚受部15b及びこれに保持された脚のふくらはぎ部分の筋肉が、基礎部15aに対し動かない状態に維持される一方、足受部16に保持される足が基礎部15aに対し脚受部15b等から離れる向きに移動することから、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の、足に対し離れる向きの相対移動が生じる。こうしてふくらはぎ部分の筋肉が足に対し相対移動して足や脚の他部分とは別に動く状態を得て、脚のふくらはぎ部分と足との間の部位を伸長させ、あたかもストレッチを行ったような効果を付与できる。
この後、足受部16が、座部12から離れる側への移動の進行でその移動限界位置に近付くこととなる。制御部40は、足受部16の移動が、移動の限界に達しているか否かを判定する。そして、この移動の限界に達したと判定した場合には、制御部40はアクチュエータ16cを作動停止状態とし、足受部16の移動を停止させる。
これにより、あらかじめ設定された脚の保持対象部位の相対移動における適切な施療強度範囲を超えて脚に過剰な負荷が加わることはない。一方、足受部16が移動の限界に達していない場合には、制御部40はアクチュエータ16cによる足受部16の移動を続行する。
制御部40は、アクチュエータ16cを停止させると同時に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった全てのエアセルを空気の排出により収縮させて脚等を挟持状態から解放し、また、別のエアセル79で大腿部を挟持している場合は、これについても空気排出により挟持状態から解放すると、脚や足は拘束を解かれて自由に動かせる状態に戻る。
ただし、アクチュエータ16cを停止させた後も、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態として、各エアセルの膨張状態をしばらく継続させ、脚受部で保持したふくらはぎの筋肉に足受部側へ向かう力が加わる状態をさらに所定時間維持するようにしてもよい。
そして、制御部40は、前記一連のふくらはぎの移動に係る施療を、自動のマッサージコースの一過程として行った場合は、次のマッサージに移行し、自動コースではなく独立した一施療として実行した場合には、前記一連の作動過程を終了する。ただし、必要であれば、制御部40は、足や脚を挟持状態から解放後、アクチュエータ16cを前と逆に作動させて足受部16を座部に近付く向きに移動させ、最終的に、足受部16を施療以前の位置に戻した上で、アクチュエータをあらためて作動停止状態とする。
(本発明の第6の実施形態)
前記第1、第4、及び第5の各実施形態において、脚受部15bに保持した脚の保持対象部位を、脚受部15bの移動により足や脚の他部分に対し動かしたり、足受部16による足の移動で保持対象部位を足に対し相対移動させる状態とする際に、脚支持部15の基礎部15aは座部12に対し動かさない構成としているが、これに限らず、図25ないし図28に示すように、脚受部15bに脚の保持対象部位を保持した状態で、傾動用アクチュエータ17を作動させて、脚支持部15を全体的に傾動させ、基礎部15aを座部12に対し動かし、脚受部15bに保持した脚の保持対象部位に対し、足や脚の他部分を脚支持部全体の傾動に基づいて相対移動させる状態を得る構成、より好ましくは、足や脚の他部分を脚受部の移動する向きとは逆方向に相対移動させる構成、とすることもできる。
例えば、脚の保持対象部位としてのふくらはぎ部分を保持した脚受部15bを基礎部15aに対し座部から離れる向きに移動させる際に、脚支持部15を上向きに傾動させるようにする(図25、図26参照)。
この場合、脚支持部15の上向き傾動に伴って脚支持部15の基礎部前面側部分と座部12上面との距離が小さくなるのに対し、脚は全体としてその長さを維持しようとして脚支持部15に対する余長を発生させ、脚の膝より下部分が脚支持部15に対し足先側にずれようとする。しかし、足は足受部16における足受溝16bの溝底面に足裏を当接させており、足が足受部16を越えて動かないよう拘束されている上、足受部16は基礎部15aと一体であり、座部12上面に近付くことから、足も足受部16と一体に座部12上面に近付いていく。よって、この脚支持部15の上向き傾動に伴う足の位置変化に伴い、長さを維持しようとする脚の膝より下部分は、前記余長の分、脚支持部15に対し座部12上面に近付く向きにずれる動きを生じることとなる。
この時、施療用アクチュエータ18で基礎部15aに対し脚受部15bを座部12から離れて足に対し近付く向きに移動させることで、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分も同様に移動するが、脚の他部分や足が座部12上面に近付く向きに動くことにより、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の、足に対し近付く向きの相対移動量は増大し、脚受部15bのみを移動させる場合より、ふくらはぎ部分の筋肉の動きを促すことができる。こうしてふくらはぎ部分の筋肉をより効率よく動かして、あたかも人が筋肉を動かすマッサージを行ったような施療の効果をふくらはぎ部分に局所的に集中させて付与できる。
この他、上記と逆に、脚のふくらはぎ部分を保持した脚受部15bを座部12に近付く向きに移動させる際に、脚支持部15を下向きに傾動させるようにしてもよい(図27、図28参照)。この場合、脚支持部15の下向き傾動に伴って脚支持部15の基礎部前面側部分と座部12上面との距離が大きくなるのに対し、脚は全体としてその長さを維持しようとして、脚の膝より下部分が脚支持部15に対し座部側にずれようとする。しかし、足は足受部16における各足側部エアセルで挟持されて、足が足受部16に対し足受溝16bの溝底面から足裏が離れる向きに動かないよう拘束されている上、足受部16は基礎部15aと一体であり、座部12上面から離れることから、足も足受部16と一体に座部12上面から離れていく。よって、この脚支持部15の下向き傾動に伴う足の位置変化に伴い、脚の膝より下部分は、全体として座部12上面から離れる向きに動いて足の位置変化に追随する。
この時、施療用アクチュエータ18で基礎部15aに対し脚受部15bを座部12に近付いて足からは離れる向きに移動させることで、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分も同様に移動するが、脚の他部分や足が脚受部15bとは逆に座部12上面から離れる向きに動くことにより、脚受部15bに保持されたふくらはぎ部分の、足から離れる向きの相対移動量は増大し、脚受部15bのみを移動させる場合より、ふくらはぎ部分と足とが互いに離れる向きの相対的な動きを促すことができる。こうしてふくらはぎ部分と足との間の部位をより効率よく伸長させて、あたかもストレッチを行ったような効果を付与できる。
(本発明の第7の実施形態)
前記第1ないし第6の各実施形態に係るマッサージ機において、脚受部に保持した脚の保持対象部位を足や脚の他部分に対し相対移動させるために、脚受部や足受部16を移動させたり、脚支持部15全体を傾動させる際には、各部を動かすアクチュエータを一方向に一回のみ作動させ、脚受部や足受部16、脚支持部15のそれぞれの動きを、所定の向きへの移動又は傾動といった一種類の単純な動きとし、且つそれを一回のみ実行する構成としているが、これに限らず、例えばアクチュエータを一方向に作動させた後、続いて逆方向に作動させるなどして、脚受部や足受部16、脚支持部15のそれぞれの動きを、複数の向きへの移動又は傾動としたり、脚受部や足受部16の移動、あるいは脚支持部15の傾動を、一回のみでなく複数回繰り返し実行する構成としてもかまわない。
例えば、脚受部の移動に関して、図29及び図30に示すように、脚受部15bに脚の保持対象部位を保持した状態で、施療用アクチュエータ18を往復作動させて、アクチュエータの正方向作動に対応させて脚受部15bを座部12から離れる向きに移動させた後、続いてアクチュエータの逆方向作動に対応させて脚受部15bを座部12に近付く向きに移動させ、さらにこれを複数回繰り返して、脚受部15bに保持した脚の保持対象部位を足や脚の他部分に対し繰り返し往復移動させる構成とすることもできる。
この場合、脚受部15bが移動する間、脚用エアセルを膨張状態で維持して脚の保持対象部位は脚受部15bに保持したままとし、アクチュエータは一方向に作動した後、間を置かずに前と逆方向に作動するようにされる(図30参照)。ただし、脚受部への保持対象部位の保持やアクチュエータの作動はこれに限られたものではなく、この他、図31に示すように、繰り返しアクチュエータを各方向に作動させる中、アクチュエータの作動方向を変える際に一旦アクチュエータを作動停止状態とし、合わせて脚用エアセルも一旦膨張状態を解除して、脚受部の移動を停止させると共に脚の保持対象部位を解放する所定の期間を設定する構成とするようにしてもよい。
この構成例では、制御部40が、脚受部を移動させた施療用アクチュエータ18を一旦作動停止させると共に、空気給排調整機構の電磁弁を切り替えて、膨張状態にあった脚用エアセルを空気の排出により収縮させ、脚の保持対象部位を挟持状態から一旦解放する。この際、施療用アクチュエータ18を一旦停止させてからも、制御部40が空気給排調整機構の電磁弁を所定時間そのまま圧力維持状態とし、各脚用エアセルの膨張状態を継続させて(図31参照)、保持対象部位の保持をしばらくの間続け、脚受部で保持した保持対象部位の筋肉等にそれまでの脚受部移動方向と同じ向きの力が加わっている状態をさらに所定時間維持するようにすることもできる。
脚の保持対象部位を所定期間解放状態とした後は、制御部40が再び脚用エアセルを膨張状態として保持対象部位を保持状態とし、続いて施療用アクチュエータ18を再び作動させて、それまでとは逆方向に脚受部を移動させることとなる。
この他、施療用アクチュエータ18を往復作動させつつ、脚受部の所定の向きへの移動時は脚の保持対象部位を保持する一方、それとは逆向きへの脚受部移動時には保持対象部位を脚受部に保持せず解放して、保持対象部位を一方向に動かす状態が間を置いて間欠的に繰り返す構成とすることもできる。詳細には、図32ないし図34に示すように、脚受部15bに脚の保持対象部位を保持した状態で、施療用アクチュエータ18を作動させて、アクチュエータの正方向作動に対応させて脚受部15bを座部12から離れる向きに移動させ(図32参照)、脚受部15bに保持した脚の保持対象部位を足や脚の他部分に対し動かした後、施療用アクチュエータ18を一旦作動停止させると共に、脚用エアセルの膨張状態を解除して脚の保持対象部位を保持状態から一旦解放する。この脚の保持対象部位を解放した状態のまま、施療用アクチュエータ18を前と逆向きに作動させ、脚受部15bを先の移動前の当初位置に戻す(図33参照)。脚受部15bが元の位置に復帰したら、施療用アクチュエータ18の作動を停止させ、あらためて脚の保持対象部位を保持してから、施療用アクチュエータ18を作動させて、脚受部15bを座部12から離れる向きに移動させ、脚の保持対象部位を足や脚の他部分に対し動かすようにし、以降は前記同様の過程を繰り返して(図34参照)、保持対象部位が脚受部15bと共に座部12から離れる向きのみに動かされた後、解放されて元に戻る一連の変化が複数回繰り返される施療状態が得られることとなる。
この例では、施療用アクチュエータ18の作動による脚受部の移動方向のうち、脚受部が座部から離れる向きに移動する際に脚の保持対象部位を脚受部に保持して、保持対象部位を動かすようにしているが、これとは逆に、図35に示すように、アクチュエータの逆方向作動に対応して脚受部が座部に近付く向きに移動する際に脚の保持対象部位を保持し、脚受部を座部から離れる向きに移動させる際は脚を解放する、といった過程を繰り返して、保持対象部位が脚受部と共に座部に近付く向きのみに動かされることが複数回繰り返される施療状態が得られる構成としてもかまわない。