JP2016127628A - コアレスコイル及びその製造方法並びにそれを用いた永久磁石型回転機とその製造方法 - Google Patents

コアレスコイル及びその製造方法並びにそれを用いた永久磁石型回転機とその製造方法 Download PDF

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公明 岩谷
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Abstract

【課題】界磁束を構成する一方の永久磁石あるいはマグネットヨークを囲繞可能とする軸平面コ形のコアレスコイル1を提供する。また、小型・軽量・高出力・高効率が可能な永久磁石型回転機を提供する。
【解決手段】周方向に少なくとも2分割され、機械角で180°以下に分割された複数のセパレートコイル2によって構成され、各セパレートコイル2は、永久磁石のN極側に対応する磁束鎖交部3Nと、永久磁石のS極側に対応する磁束鎖交部3S’と、前記N極側磁束鎖交部3Nと前記S極側磁束鎖交部3Sの導体を繋ぐ渡り線部4とを有し、複数の前記セパレートコイル2を周方向に連結することによって、軸平面形状コ形のコイルを構成するようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータや発電機等に組込まれるコアレスコイル及びその製造方法並びにそれを用いた永久磁石型回転機とその製造方法に関するものである。更に詳述すると、本発明はラジアル型あるいはアキシャル型の永久磁石型回転機のステータコイルあるいはロータコイルとして有用なコアレスコイル及び製造方法並びにそれを用いた永久磁石型回転機とその製造方法に関するものである。
コアレスコイルは、例えば、ロータコイルあるいはステータコイルとしてラジアル方向(径方向)に対向させて配置された外側の永久磁石と内側の永久磁石との間(磁気ギャップ部)に挿入され、永久磁石とコアレスコイルとをラジアル方向に僅かなギャップを隔てて対向するように組み込まれて永久磁石ラジアル型回転機(電動機又は発電機)を構成することが知られている。このコアレスコイルは、ステータコイルとして用いられる場合でも、あるいはロータコイルとして用いられる場合でも、その内方に磁気回路(永久磁石あるいは界磁ヨーク)を収容するために、筒形あるいはカップ形に形成されており、ロータシャフトあるいは発電機ケース本体などに片持ちで支持されている。尚、本明細書においては、対向させて配置されている一対の永久磁石の間のギャップ(磁気的空隙)に配置されている導体領域(トルク発生あるいは発電に寄与する有効コイル領域)を磁束鎖交部と呼び、ギャップの外に配置されて永久磁石と重ならない導体領域(トルク発生あるいは発電に寄与しないコイル端領域)を渡り線部と呼ぶ。
従来の永久磁石ラジアル型回転機(電動機又は発電機)のコアレスコイルは、シリンダ形(あるいはカップ形)に構成してロータコイルあるいはステータコイルとしてギャップに挿入されるように組み込まれている。ここで、永久磁石ラジアル型回転機のコアレスコイルは、界磁を形成する内ロータ磁石と外ロータ磁石との間のギャップに挿入する構造を採用しているため、コイルの厚さは、少なくとも界磁と交差する巻線部分・磁束鎖交部においては界磁のギャップの寸法より小さく、かつ積層したコイルの厚さの一部でもギャップの大きさを越えないようにする必要がある。
このため、従来のコアレスコイルとしては、渡り線を必要としないスキュー巻きが採用されている。ところが、スキュー巻きは、コイルの回転方向に対し巻線が直角に位置しないことから、マイナスのトルクを生じることがあり、同一体積の理想的に巻いたコイルが発生するトルクより小さなトルクしか得られないという欠点がある。つまり、スキュー巻きは、コイル端領域での線の重複による耳状の渡り線部の形成を避けるという構造を採用した結果、効率の面で犠牲をはらう結果となっている。このことは、効率が悪くても組立の容易さを優先させる比較的小容量の回転電機であれば、問題ない。しかし、例えば電気自動車の駆動、制動用の回転電機のような用途においては、比較的大容量であるため効率の低いことは致命的な欠点となるからスキュー巻きは採用できない。
他方、磁束鎖交部の巻線をロータシャフトに平行に巻き、両端に渡り線を設けるカップ状あるいはシリンダ状のコアレスコイルでは、線が重なり体積が増す両端の渡り線の部分が耳朶のように垂れ下がる耳部を形成するという問題を有している。そこで、耳部の厚さよりも広いギャップを採らなければ、予め組み立てられた内ロータ磁石と外ロータ磁石との間のギャップにコイルを組み込むことはできない。このため、ギャップが耳部の厚さよりも広がる(磁束鎖交部のコイルの厚さよりも遙かに広がる)ことで、鎖交磁束が減少してモータの効率が低下する問題がある。しかも、ラジアル方向のスペースも必要となりコアレス回転機の小型化を妨げる。また、鎖交磁束を増やすためギャップの広さを磁束鎖交部のコイルの厚みよりも僅かに広いものとすれば、ギャップより大きな寸法の渡り線の耳部が邪魔するため、ギャップを構成した状態即ち外側の永久磁石と内側の永久磁石(あるいはいずれか一方が永久磁石で他方が界磁ヨークの組み合わせ)とを組み立てた状態では、コアレスコイルを組み込むことできない。
そこで、カップ状コイルの界磁ギャップ部の巻線をロータシャフトに平行に巻き、両端の渡り線により構成される耳部の一方が界磁ギャップ部の寸法より小さく、他方が大きくなることを許容する構造とし、外側マグネットヨークの内側に永久磁石を固定した外側ヨーク組立体をロータに固定し、次にコイルを電機に装着して固定した後、内側ヨークを挿入してロータに固定して組み立てる回転電機の構造及び製造方法が提案されている(特許文献1)。これにより、コアレス型電動機等の回転電機において、界磁ギャップ部分の巻線部を軸と平行に配置し、かつ界磁ギャップ長より大きな寸法の渡り線耳部を形成しても、界磁ヨークを分割してコイル組み込み後に組み立てることを可能としている。
特開平6−70522号公報
しかしながら、特許文献1記載のコアレス型回転機においても、コアレスコイルをカップ形あるいはシリンダ形にすることによって、コイル内に界磁束を構成する永久磁石あるいは界磁ヨークを軸方向から挿入可能とする構造であることには変わりなく、コアレスコイルを片持ちで支持することとなる。このため、コアレスコイルの機械的強度、機械的支持強度が不足することから、支持が安定しないという問題がある。
また、コアレスコイルは巻心が存在しないために、コア(積層鉄心)を巻心として導体を巻き付ける巻線作業に比べて加工し難く、太い導体を用いることが難しい。また、従来のコアレスコイルは、専用巻線機を使って導体を巻き上げ、その後に接着剤で固めて一体に成形しているので、コイル自体で必要な強度が得られない場合もあり、コイルとしての機械的強度が弱い。この観点からも太い導体が使えない。このため、従来のコアレスコイルは、通常0.1mm〜0.5mm前後、太くても0.8mm程度の直径の銅線しか使用できず、回転機の出力に限界があり、一般に150W程度の小型のモータしか実用化されていない。
しかも、コアレスコイルが接着剤によって固められるため、放熱性が悪くなるという問題を有する。
また、永久磁石アキシャル型(面対向型)回転機の場合にも、薄型化を図るため、プリント基板にエッチングによりコイルを形成したディスク型コアレスコイルが用いられているが、ワイヤを巻いたものに比べて大出力が得られないという問題を有している。
また、従来の一般的なカップ型あるいはシリンダ型のコアレスコイルの場合には、渡り線部分がロータシャフトに対して平行に引き出されてコアレスコイル全長が軸方向へ長くなることから、小型化に制約を受ける問題がある。また、特許文献1記載の発明にかかるコアレスコイルにおいても、磁束鎖交部の導体の両端に膨らんだ耳部が径方向外側及び内側へはみ出るため、軸方向並びに外径方向の双方の寸法が大きくなり、回転機としての小型化に制約を受けることは同様である。
さらに、専用巻線機の開発と設備投資を必要とする。
本発明は、界磁束を構成する一方の永久磁石あるいは界磁ヨークを囲繞可能とする軸平面コ形のコアレスコイルとその製造方法並びにそれを用いる永久磁石型回転機とその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、小型・軽量・高出力・高効率が可能な永久磁石型回転機及びその製造方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載のコアレスコイルは、周方向に少なくとも2分割され、機械角で180°以下に分割された複数のセパレートコイルによって構成され、各セパレートコイルは、永久磁石のN極側に対応する磁束鎖交部と、永久磁石のS極側に対応する磁束鎖交部と、N極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部の導体を繋ぐ渡り線部とを有し、複数のセパレートコイルを周方向に連結することによって、軸平面形状コ形のコイルを構成するようにしている。
ここで、セパレートコイルは、周方向にずらして互いに入り込ませがら組み合わせる入れ子構造にすることが好ましい。
また、セパレートコイルには、該コイルを構成する導体を内側から支持して固定するコイルケースを備えることが好ましい。
さらに、セパレートコイルは、内周側にロータシャフトが貫通する円弧部を有し、かつロータシャフトと平行に巻かれている外周縁部分の導体によってロータシャフトの径方向に形成される界磁束が通過する磁束鎖交部を構成し、渡り線部がロータシャフトと直交する面に沿って磁束鎖交部の導体の両端で径方向内側に折り曲げられかつ周方向に引き回されてロータシャフト周辺を迂回し、磁束鎖交部と渡り線部とが軸平面でコの字形を成すものであることが好ましい。
さらに、セパレートコイルは、内周側にロータシャフトが貫通する円弧部を有し、かつロータシャフトと平行な界磁束が通過するN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部とがロータシャフトと直交する2つの面のそれぞれに形成され、かつこれらN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部の導体を繋ぐ渡り線部がN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部の径方向内側でロータシャフトと交わる面に沿って求心方向並びに周方向に引き回されてロータシャフトの周辺を迂回するように配線される内側渡り線部と、N極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部の径方向外側で内ロータ磁石に跨がるような軸平面形状コの字形に形成されている外側渡り線部とによって構成されていることが好ましい。
また、コイルケースは、N極側磁束鎖交部及びS極側磁束鎖交部を収容する磁束鎖交部溝領域と、渡り線が収容される渡り線溝領域とを有するコイル位置決め溝を備えるものであり、予め巻回されたセパレートコイルをコイル位置決め溝に嵌め込んで固定するものである。
また、コイルケースは、導体を巻回するための位置を導く複数本の導体ガイド溝によって、N極側磁束鎖交部及びS極側磁束鎖交部を収める磁束鎖交部溝領域と、渡り線を収める渡り線溝領域とを有するコイル位置決め溝を備えるものであり、導体を導体ガイド溝に沿って押し込むように巻き付けることによって当該コイルケースを巻芯としてセパレートコイルが巻回されるものである。
また、セパレートコイルには、複数のセパレートコイルを相互に周方向に組み合わせて連結するための締結用ボルトを通す孔あるいはねじ孔を渡り線部の配線の間あるいは配線の外の領域に設けることが好ましい。
また、セパレートコイルを構成する導体は複数本であり、これら複数本の導体をコイル巻始めと巻き終りとの端末を利用して並列あるいは直列接続可能とすることが好ましい。
また、本発明にかかるセパレートコイルの製造方法は、内周側にロータシャフトが貫通する円弧部を有し、かつ導体を巻回するための位置を導く複数本の導体ガイド溝によってN極側磁束鎖交部及びS極側磁束鎖交部を収める磁束鎖交部溝領域と渡り線を収める渡り線溝領域とを形成するコイル位置決め溝を構成しかつ機械角で180°以下の扇形を成す軸平面形状コ形のコイルケースを巻心とし、導体を導体ガイド溝に沿って押し込みながら導体ガイド溝に沿って巻き付けることによってN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部及びこれらを繋ぐ渡り線部を巻回するようにしている。
また、本発明にかかる永久磁石型回転機は、請求項11記載の請求項1から9のいずれか1つに記載のコアレスコイルをステータコイルあるいはロータコイルとして用いることを特徴とする。
さらに、本発明にかかる永久磁石型回転機の製造方法は、ステータコイルと、ステータコイルの外側に位置する外ロータ磁石とステータコイルの内側に位置する内ロータ磁石とを有する永久磁石型回転機において、請求項1から8のいずれか1つに記載のコアレスコイルを構成する複数のセパレートコイルを内ロータ磁石を挟んで組み合わせて周方向に連結することによって内ロータ磁石を囲む中が空洞の円環状箱形のステータコイルを構成し、その後外ロータ磁石を軸方向から挿入してステータコイルの外側に配置させることにより組み立てるようにしている。
請求項1記載のコアレスコイルは、周方向に少なくとも2分割され機械角で180°以下に分割された軸平面形状コ形の複数のセパレートコイルを周方向に連結することによって円環状箱形のコアレスコイルが構成されるようにしているので、界磁束を構成する一方の永久磁石あるいは界磁ヨークを挟むように組み立てることで、箱形のコイル内に界磁束を構成する一方の永久磁石あるいは界磁ヨークを収めることができる。即ち、界磁束を構成する一方の永久磁石あるいは界磁ヨークを囲繞する軸平面形状コ形の円環状箱形のコアレスコイルを構成できる。
したがって、請求項1記載のコアレスコイルによれば、ギャップを必要最小限にすることができるので、鎖交磁束の減少を防いで回転機の高効率化を実現することができる。しかも、ラジアル方向並びに軸方向の双方においてコアレスコイルの寸法を最小限のものにすることができるので、回転機の小型化・軽量化を可能とする。さらに、組み立てられたコアレスコイルは軸平面形状コ形の円環状箱形を成すため、機械的強度を有すると共に両持ち支持となって機械的支持強度が高くなるので、太い導体が使用できることから、高出力にすることが可能となる。
請求項2記載のコアレスコイルによれば、入れ子構造とすることで複数のセパレートコイルが磁束鎖交部を除いて渡り線部分が重ねられて連結されることから、より沢山の導体をギャップに巻くことができるので、電圧を大きくすることによりさらに出力を高め得る。また、周方向に均一に磁束鎖交部が配置できるので、変動の少ない(斑のない)出力あるいは滑らかな回転が得られる。
請求項3記載のコアレスコイルによれば、コイル同士を接着剤で固めるだけよりも、コイルケースの裏打ちによってコイルとしての機械的強度が増すので、太い導体の使用が可能となり、高出力・高効率が可能となる。また、必要に応じてコアレスコイルを大型化させることも可能となる。
請求項4記載のコアレスコイルによれば、ラジアル型回転機において、ギャップを最小限にして鎖交磁束の減少を防いでモータの高効率化を実現すると共に、組み立てられたコアレスコイルが軸平面形状コ形の円環状箱形を成すため、コイルの機械的強度が高くなることから太い導体も使用可能となり、高出力にすることが可能である。しかも、ラジアル方向並びに軸方向のコアレスコイルの寸法を最小限のものとして、回転機の小型化・軽量化を可能とする。即ち、導体が重複して嵩張る渡り線部をN極側磁束鎖交部及びS極側磁束鎖交部の両端において径方向内側に折り曲げて、界磁束を構成する一方の永久磁石あるいはマグネットヨークを囲繞する軸平面形状コ形の円環状箱形のコアレスコイルを構成できるので、磁束鎖交部の導体が最外径(径が大きい)部分となり、その外側に同心状の他方の永久磁石あるいは界磁ヨークを配置することで、磁束鎖交部のコイルの厚みよりも僅かに広い必要最小限のギャップとなるラジアル型回転機が構成できる。
請求項5記載のコアレスコイルによれば、アキシャル型回転機において、ギャップを最小限にして鎖交磁束の減少を防いでモータの高効率化を実現すると共に、組み立てられたコアレスコイルが軸平面形状コ形の円環状箱形を成すため、コイルの機械的強度が高くなることから太い導体も使用可能となり、高出力にすることが可能である。しかも、軸方向に界磁束を構成する2組の永久磁石あるいは界磁ヨークとその間に配置される磁束鎖交部並びに外側渡り線部とが必要最小限の寸法にできるので、回転機の小型化・軽量化を可能とする。
請求項6記載のコアレスコイルによれば、機械巻などで予め巻回されたセパレートコイルをコイルケースのコイル位置決め溝に嵌め込んで固定することにより、セパレートコイルを組み立てる時に組み立て作業が容易になると共にコイルの角度・位置決めの精度が出し易くなる。しかも、容易にセパレートコイルの機械的強度を高くすることができるので、太い導体の使用が可能となり高出力・高効率が可能となると共に、必要であればコアレスコイルの大型化も可能となる。
請求項7記載のコアレスコイルによれば、コイルケースがガイド部材として機能するため、巻線作業に専用巻線機の必要が無い。即ち、コイルケースのガイド溝に沿って、汎用巻線機あるいは汎用フォーミング加工機などを使って容易に巻ける。しかも、コイルケースによってコアレスコイルがバックアップされるので、コイルの機械的強度を高くすることができる。また、コイルケースが在るので巻き付け易く、セパレートコイルの作製が容易である。溝に強制的にコイルを巻き込んで行くので、太い銅線(導体)でも加工し易い。例えば、直径1mm以上2mm程度の銅線・エナメル線でも巻けるので、コイル断面積を太くして流せる電流を増やして高出力化が可能となる。また、エナメルが巻線時に剥げても、樹脂で囲われているので、絶縁性を損なう虞も少ない。
請求項8記載のコアレスコイルによれば、セパレートコイルには、複数のセパレートコイルを相互に周方向に組み合わせて連結するための締結用ボルトを通す孔あるいはねじ孔を渡り線部の配線の間あるいは配線の外の領域に設けるようにしているので、締結用ボルトを通す孔あるいはねじ孔を利用して、複数のセパレートコイルを相互に周方向に組み合わせて連結することで、精度良く、強固に連結することができる。
請求項9記載のコアレスコイルによれば、複数本の導体を溝に押し込めるので、巻数を増やして出力を上げうる。また、その複数本の導体を巻始め巻き終りの端末で直列あるいは並列に接続することで、巻いたコイルそのものをシリーズに接続したり、パラレルに接続したりすることができる。したがって、複数のコイルを巻始め並びに巻き終り部分で選択的にシリーズあるいはパラレルに自在に接続することで、出力形態や出力を容易に変更できる。
請求項10記載のセパレートコイルの製造方法によれば、コイルケースを巻心とし、導体を導体ガイド溝に沿って押し込みながら導体ガイド溝に沿って巻き付けることによって、N極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部と渡り線部とが軸平面でコの字形を成すように容易に巻回させることができる。しかも、汎用巻線機や汎用フォーミング加工機あるいは手巻きでも、コイルケースの溝に沿って導体を巻くことで、セパレートコイルが容易に製作可能である。
請求項11記載の永久磁石型回転機によれば、永久磁石とコアレスコイルとの間に必要最小限の僅かなギャップを隔てて対向するように組み込んで永久磁石型回転機を構成することができるので、鎖交磁束の減少を防いで回転機の高出力化並びに高効率化を実現すると共に、ラジアル方向並びに軸方向のコアレスコイルの寸法を最小限のものとして、回転機の小型化・軽量化を可能とすることができる。しかも、組み立てられたコアレスコイルは軸平面形状コ形の円環状箱形を成すため、機械的強度が高いため、また太い導体が使用できることによっても、高出力を可能とすることができる。
請求項12記載の永久磁石型回転機の製造方法によれば、周方向に少なくとも2分割され、機械角で180°以下に分割された複数のセパレートコイルを、内ロータ磁石を挟んで向かい合わせに組み合わせて周方向に連結することによって内ロータ磁石を囲む中が空洞の円環状箱形のステータコイルを構成し、その後、外ロータ磁石を軸方向から挿入してステータコイルの外側に配置させることにより組み立てるので、コアレスコイルの磁束鎖交部より僅かに広い間隔で環状に配置された外ロータ磁石と内ロータ磁石とが配置された回転機を容易に構成できる。
本発明にかかるコアレスコイルを構成するラジアル型セパレートコイルの一実施形態を示す正面(軸方向視)図である。 同ラジアル型セパレートコイルの斜視図である。 図1のラジアル型セパレートコイルに用いるコイルケースの一実施形態を示す図であり、(A)は正面(軸方向視)図、(B)は右側面図、(C)は底面図である。 図1のラジアル型セパレートコイルに用いるコイルケースの他の実施形態を示す図であり、(A)は正面(軸方向視)図、(B)は右側面図、(C)は底面図である。 図3のラジアル型コイルケースを入れ子に組み合わせた組みを示す正面(軸方向視)図である。 図5の入れ子のコイルケースの組みの底面図である。 図5の入れ子のコイルケースの組みの右側面図である。 図5の入れ子のコイルケースの組みの入れ子状態を示す説明図である。 図4のコイルケースを入れ子に組み合わせた組みを示す正面(軸方向視)図である。 図5の入れ子のコイルケースの組みの右側面図である。 本発明にかかるラジアル型コアレスコイルを構成するセパレートコイルの他の実施形態を示す図で、(A)は正面(軸方向視)図、(B)は巻始め端及び巻き終り端を有する磁束鎖交部側の軸平面形状を示す説明図、(C)は反対側の磁束鎖交部側の軸平面形状を示す説明図である。 図11のラジアル型セパレートコイルの右側面図である。 本発明にかかるラジアル型2極単相交流回転機(発電機)における内ロータと外ロータとセパレートコイルとの関係を正面(軸方向視)から示す原理説明図である。 同ラジアル型2極単相交流回転機(発電機)における内ロータと外ロータとセパレートコイルとの関係をN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部との関係において示す側面図である。 本発明にかかるラジアル型2極単相交流回転機(発電機)の一実施形態を示す図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図、(C)は右側面図である。 同ラジアル型2極単相交流回転機(発電機)の一実施形態を示す図であり、内ロータと外ロータとセパレートコイルとの関係を正面(軸方向視)から示す原理説明図と等価回路図である。 同ラジアル型2極単相交流回転機(発電機)における内ロータと外ロータとセパレートコイルとの関係をN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部との関係において示す側面図である。 同ラジアル型4極三相交流回転機(発電機)の一実施形態を示す図であり、内ロータと外ロータとセパレートコイルとの関係を正面(軸方向視)から示す原理説明図と等価回路図である。 同ラジアル型4極三相交流回転機(発電機)における内ロータと外ロータとセパレートコイルとの関係をN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部との関係において示す側面図である。 本発明にかかるラジアル型4極三相交流回転機(発電機)の一実施形態を示す図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図、(C)は右側面図である。 本発明にかかるラジアル型コアレスコイルのコイルケースの他の実施形態を示す正面(軸方向視)図である。 本発明にかかるアキシャル型コアレスコイルのコイルケースの一実施形態を示す図であり、(A)は正面(軸方向視)図、(B)は右側面図、(C)は底面図である。 本発明にかかるアキシャル型コアレスコイルのコイルケースの他の実施形態を示す図であり、(A)は正面(軸方向視)図、(B)は右側面図、(C)は底面図である。 本発明にかかるアキシャル型2極単相交流回転機(発電機)のセパレートコイルと永久磁石との関係を正面(軸方向視)から示す原理説明図である。 本発明にかかるアキシャル型2極単相交流回転機(発電機)の一実施形態を原理的に示す縦断面図である。 本発明にかかるアキシャル型2極単相交流回転機(発電機)の他の実施形態を示す図で、セパレートコイルと永久磁石との関係を正面(軸方向視)から示す原理説明図である。 図26のアキシャル型2極単相交流回転機(発電機)の他の実施形態を原理的に示す縦断面図である。 本発明にかかるアキシャル型2極単相交流回転機(発電機)の他の実施形態を示す図で、セパレートコイルと永久磁石と連結板との関係を正面(軸方向視)から示す原理説明図である。 図27のアキシャル型2極単相交流回転機(発電機)の他の実施形態を原理的に示す縦断面図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書中において、角度に関しては特に電気角であると断りがない場合には機械角で言及されているものとする。
図1〜図19に本発明にかかるコアレスコイルとそれを永久磁石型回転機のラジアル型ステータコイルに適用した一実施形態を示す。
このコアレスコイル1は、中が空洞の軸平面形状コ形の円環状箱形(太鼓状)を成すものであり、周方向に少なくとも2分割され、機械角で180°以下となる複数のセパレートコイル2によって構成されている。各セパレートコイル2には、図1及び図2に示すように、ロータシャフト(図示省略)の径方向に形成される界磁束が通過する磁束鎖交部、即ち永久磁石のN極側に対応する磁束鎖交部(以下、N極側磁束鎖交部3と呼ぶ)と、永久磁石のS極側に対応する磁束鎖交部(以下、S極側磁束鎖交部3と呼ぶ)とが形成され、該N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の導体を繋ぐ渡り線部4が各磁束鎖交部3,3の導体の両端においてロータシャフトと交わる面に沿って径方向内側に折り曲げられ、内ロータ磁石(図示省略)に跨がるような円環状箱形に形成されている。さらに、各磁束鎖交部3,3の導体の両端で径方向内側に折り曲げられた渡り線部4は、ロータシャフトと交わる面に沿って周方向に引き回されてロータシャフトの周辺を迂回する円弧状の配線とされ、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の導体を繋ぐ環状の導体を周方向に巻き上げるようにしてセパレートコイル2を構成している。これら複数のセパレートコイル2は、周方向に連結することによって、箱形のコアレスコイル1を構成する。
本実施形態のコアレスコイル1は、外周面(胴部)にはロータシャフトと平行に巻かれた導体によって構成される磁束鎖交部、即ち界磁束が通過するN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とを有し、胴の両面にはN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の導体を繋ぐ渡り線が各磁束鎖交部3,3の導体の両端においてロータシャフトと直交する面に沿って径方向内側に折り曲げられ、かつ周方向に引き回されてロータシャフトと交わらないように巻線されている。
ここで、セパレートコイル2は、周方向にずらして互いに入り込ませながら組み合わせる入れ子構造にすることが好ましい。この場合、入れ子構造の複数のセパレートコイル2A,2B,2Cの組み合わせにより、両側面(胴の両面)の渡り線部4が軸方向に重なることで面積を増して1つのコアレスコイル1を構成するため、外周面(胴部)の各磁束鎖交部3,3に配置される導体10の巻数を増やすことができる。即ち、各磁束鎖交部3,3の巻線の量は、繋ぎとなる渡り線部4の面積(半径方向長さL)に依存する。依って、1ピースだけだと、磁束鎖交部が形成される外周長さLに対して渡り線が配線される領域部位の径方向長さLが狭い関係となる(L≫L)ので、導体10をたくさん巻けない。しかし、複数のセパレートコイル2を周方向にずらして順次入り込む入れ子構造として1つのコアレスコイル1を構成しているので、ギャップに配置されるコイル本数を増やすこと即ち磁束鎖交部のコイルをたくさん巻くことができる。依って、電圧を大きくして、出力を上げることができる。
本実施形態においては、上述のセパレートコイル2は、N極側磁束鎖交部3の外側の端とS極側磁束鎖交部3の外側の端との間の成す角度θが機械角で120°の扇形に形成されており、その周方向両端に機械角で30°ずつの角度θのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とがそれぞれ形成され、その間のN極側磁束鎖交部3の内側の端とS極側磁束鎖交部3の内側の端との間の成す角度θが機械角で60°(電気角で120°)の空所(いずれの磁束鎖交部3,3も存在しない領域)7が形成されている。N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3との間の空所7には、入れ子構造を成す他のセパレートコイル2(本実施形態の場合、2Bあるいは2Cのいずれか一方または双方)のN極側磁束鎖交部3が配置される。そして、3ピースのセパレートコイル2A,2B,2Cが、磁束鎖交部の角度範囲θに相当する分、即ち30°ずつ周方向にずらして互いに入り込ませながら組み合わせる入れ子構造とされている。この3ピースのセパレートコイル2A,2B,2Cの組み合わせ(以下、セパレートコイル組み12と呼ぶ)によってコアレスコイル1の半体を形成する。尚、N極側磁束鎖交部3の中心とS極側磁束鎖交部3の中心との成す角度(本明細書では、極間隔と呼ぶ)θは機械角で90°(電気角で180°)に設定されている。また、各セパレートコイル2の内周側にはロータシャフトが貫通する孔を構成する円弧部5が設けられている。
上述のセパレートコイル2は、入れ子構造とするため、正面(軸方向)視形状は同じでありながら幅(軸方向長さ)だけが異なる3種類の幅W,W,W(但し、W<W<W)のセパレートコイル2A,2B,2Cが2組(6ピース)作製され、これらが周方向にずらして組み合わされることによって1つのコアレスコイル1が形成される。そして、3種類の幅W,W,Wのセパレートコイル2A,2B,2Cを30°ずつ周方向にずらして順次入り込ませて入れ子構造とすることによって、3ピースのセパレートコイル2A,2B,2Cの各N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とがそれぞれ連接されて、機械角で90°ずつのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とを有する機械角で180°の2組のセパレートコイル組み12が構成される。つまり、機械角で120°の扇形の6ピースのセパレートコイル2A,2B,2Cを入れ子構造にし、3ピースを入れ子式に連結した機械角で180°の一方のセパレートコイル組み12(コイル半体)と、3ピースを入れ子式に連結した機械角で180°の他方のセパレートコイル組み12(コイル半体)との複数のセパレートコイル組み12で構成されている。尚、セパレートコイル2の分割数は、上述のコイル半体で3分割(全周で6分割)に限られず、場合によつては、2分割(全周で4分割)あるいは4分割(全周で8分割)以上とすることも可能である。尚、本明細書では、セパレートコイル2A,2B,2Cの各々の幅W,W,Wは外寸で表しているが、セパレートコイル2Cの内側にセパレートコイル2Bが、さらにセパレートコイル2Bの内側にセパレートコイル2Aが、好ましくはそれぞれがたつき無く嵌まる込む関係にあることを意味しているものとする。
これら2セットのセパレートコイル組み12は、内ロータ磁石27を挟んで向かい合わせにして周方向に連結される。例えば、ロータシャフトを中心に点対称の関係となるように2セットのセパレートコイル組み12を配置し、一方のセパレートコイル組み12の最も幅の狭いセパレートコイル2Aと他方のセパレートコイル組み12の最も幅の広いセパレートコイル2Cとが互いに嵌まり合うように向かい合わせて連結される。これにより、軸平面形状コ形の円環状箱形を成す1つのコアレスコイル1が構成される。尚、各セパレートコイル2を接着剤で固めるには、磁束鎖交部3,3と渡り線部4との双方を含む全領域を対象としても良いが、場合によっては部分的例えば渡り線部4だけ、あるいは磁束鎖交部3,3だけを固めるようにしても良い。また、自己融着性の導体・ワイヤ10を用いる場合には、巻線と同時にコイルが固められる。
そして、各セパレートコイル2A,2B,2C毎に独立したコイルは、その巻始め8と巻き終り9とを選択的に他のセパレートコイルの巻始め8あるいは巻き終り9と接続することで、単相あるいは複相のコアレスコイル1を構成することができる。また、各セパレートコイル2A,2B,2Cを構成する導体10は、1本でも良いが、図11,12に示すように複数本で構成しても良い。即ち、同時に複数本、例えば4本の導体10を巻く場合には、2本ずつの第1のコイルXと第2のコイルYとに分けて、それらコイルX,Yを巻始め8あるいは巻き終り9の端末において直列または並列に接続可能にできる。
ここで、各セパレートコイル2A,2B,2Cには、導体10のみでセパレートコイル2を構成する場合には、接着剤などで固められた渡り線部4の導体間に締結用ボルトを通すための隙間即ち孔6が形成されることが望ましい。例えば図1及び図2に示すように、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3のそれぞれのほぼ中心を通る法線上及びN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3との間の空所7のほぼ中心附近の法線上にそれぞれ隙間6が形成され、これら隙間6を複数のセパレートコイル2の間で重ねて締結用ボルト(図示省略)を通し、円弧状あるいは円環状の連結板24を介在させて相互に連結可能とされている。尚、複数のセパレートコイル2を相互に連結する連結板24は、アルミニウムや樹脂などの非磁性体であれば良く、好ましくは絶縁性を有するFRPなどの樹脂材料であることである。図中の符号24aは連結板24に開けられたボルト通し孔である。
また、コアレスコイル1には、回転機の動作中に大きな力が働くことから、巻線後に接着剤を塗布して一体に成形するだけでは、巻線自体で必要な強度が得られない場合がある。そこで、各セパレートコイル2には、当該コイルを構成する導体を内側から支持して固定するコイルケースを併用することが好ましい。
本実施形態の場合、コイルケース11は、図2に示すように、各磁束鎖交部3,3の両側の渡り線部4をそれぞれ支える左右の側面支持部14並びにこれら側面支持部14を周方向の両端においてのみ部分的に連結して磁束鎖交部3,3を内側から支持する架橋部13とを有する一体的なコイルケース(以下、本明細書においては、一体形コイルケースと呼ぶ)が用いられている。この一体形コイルケース11は、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の領域においては、軸平面形状コ形を成している。尚、コイルケース11は、このような形態・形状に特に限られるものではなく、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の両端で径方向内側に折り曲げられた渡り線部4を少なくとも裏打ちするものであれば足りる。つまり、コイルケース11は、磁束鎖交部3,3の両端の渡り線部4のみを裏打ちする、互いに独立した2ピース例えば扇形の板材から成るコイルケースであっても良い(以下、本明細書においては、分離形コイルケースと呼ぶ)。このようなコイルケースにおいても、コイルケースを使って連結することにより、セパレートコイル2を組み立てる時に組み立て作業が容易になると共にコイルの角度・位置決めの精度が出し易くなる。
本実施形態の一体形コイルケース11は、セパレートコイル2と同じ角度θの扇形を成し、内周にロータシャフトが貫通する孔を形成する円弧部15を有し、かつ外周にロータシャフトと平行な角度θの架橋部13と、他のセパレートコイル2の磁束鎖交部3,3が径方向に通過する角度θの空所17とを有し、1つのコイルケースのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の間に他のコイルケースのN極側磁束鎖交部3が順次入り込み、左右両面の側面支持部14とが軸方向に部分的に重なり合う入れ子構造とされている。
コイルケース11の表面には、セパレートコイル2の磁束鎖交部3,3及び渡り線部における位置を定めるコイル位置決め溝が設けられている。このコイル位置決め溝は、磁束鎖交部及び渡り線部における導体10の位置を定めるものであれば特定の構造等に限られるものではないが、磁束鎖交部3,3及び渡り線部4における導体10の巻位置を決める多数の導体ガイド溝19の集合から成るもの(図3参照)、あるいは磁束鎖交部3,3及び渡り線部4における導体10の配置領域の大枠だけを定めたもの(図4参照)であることが好ましい。
例えば、図3に示すコイル位置決め溝は、導体10を巻回するための位置を導く複数本の導体ガイド溝19を並べることによって、外周側の架橋部13にロータシャフトと平行に導体10が配置されるN極側磁束鎖交部3及びS極側磁束鎖交部3を収める磁束鎖交部溝領域20、ロータシャフトと交わる面に渡り線を収める渡り線溝領域21をそれぞれ形成するものであり、導体10を導体ガイド溝19に沿って押し込むように巻き付けることによって当該コイルケース11を巻芯としてN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3と渡り線部4とが軸平面でコの字形を成すように巻回される。導体ガイド溝19は導体10の巻き付け位置を案内すると共に、絶縁性の壁22を両側に形成して導体10の絶縁性を確保するものとして機能する。加えて、コイルケース11は巻芯として機能するので導体10が巻き付け易く、セパレートコイル2の作製を容易にする。さらに、導体ガイド溝19に強制的に導体10を押し込んで巻き込んで行けるので、加工し易く太い銅線を使える。したがって、高出力化が可能となる。また、エナメルが巻線時に剥げても、樹脂で囲われているので、絶縁できる。
また、図4に示すコイル位置決め溝は、予め専用巻線機あるいは汎用巻線機や汎用フォーミング加工機などを使って巻かれたセパレートコイル2を嵌め込む際の位置・空間を規定するものであり、外周側の架橋部13の両端に配置されたストッパ23によって区間が定められたN極側磁束鎖交部3及びS極側磁束鎖交部3を収容する磁束鎖交部溝領域20と、渡り線部4が占位する外枠を示す渡り線溝領域21とを有する。渡り線溝領域21は、単なる平面でも良いが、予め機械巻されたセパレートコイル2の渡り線部4の輪郭に沿った凹部としても良く、要は渡り線部4が嵌まり込むスペースが確保されていれば足りる。このため、機械巻きなどで予め成形されたセパレートコイル2を組み立てる際に、コイルケース11に嵌め込んで固定してから連結することによって、組み立て作業が容易になると共に、コイルの角度・位置決めの精度が出し易くなる。尚、このコイル位置決め溝には、場合によっては巻線機やフォーミング加工機などで導体を直接巻着付けてセパレートコイル2を形成するようにしても良い。
コイルケース11は、絶縁性を有し、安価で加工し易いプラスチック製であることが好ましいが、これに特に限られるものではなく、FRPやその他の非磁性材例えばアルミニウムやセラミックスでも可能である。また、場合によっては、コイルケース11は、非磁性材でなくとも良い。さらに、エンジニアリングプラスチックやナイロンなどの耐熱性樹脂であることは好ましいが、発熱が予想される温度が例えば100℃〜120℃程度であれば、一般的な樹脂材料でも十分に耐え得るので、特に耐熱性樹脂には拘らない。使用時の発熱に耐える程度の物性を有するプラスチックであれば用いることができる。勿論、導体10の絶縁皮膜(エナメル)が強靱で曲げたときに剥がれなければ、コイルケース11を絶縁材料で構成する必要はないが、コイルケース11が絶縁性であれば万が一絶縁皮膜が剥がれたときにも、側方の絶縁材(樹脂)の壁22と周りの導体10のエナメルとが存在するため、絶縁性を損なうことが無く、安心である。
また、コイルケース11にはコイルケース同士を連結するための締結用ボルト(図示省略)を通す孔16が設けられている。ボルト通し孔16は、例えば図3,4に示すように、コイルケース11の内周縁附近に円周方向に均等に(両端から15°の位置から30°間隔で)配置されて複数箇所例えば4箇所設けられている。また、場合によっては、複数本の導体ガイド溝19を並べることによって形成されるコイルケース11の側面支持部14の渡り線溝領域21の間の隙間18の位置にボルト通し孔(図示省略)を設けるようにしても良い。これらボルト通し孔16を複数のセパレートコイル2の間で重ねて締結用ボルトを通し、図5に示すように、連結板24を介在させて相互に連結することによって、コアレスコイル1が組み立てられる。この場合、コアレスコイル1は、コイルケース11によって内側からバックアップされているので、コイル同士を接着材で固めたものを連結するときよりも、コイルとしての機械的強度が増す。
上述の各セパレートコイル2は、大きく分けて、コイルケース11を用いずに導体10のみで構成するものと、コイルケース11を併用するものとがある。さらに、コイルケース11を併用するセパレートコイル2としては、巻線を作製してからコイルケース11に嵌めるものと、コイルケース11を巻心として導体10を巻き上げることにより一体化するものとがある。そして、上述の各セパレートコイル2を作製する手法としては、従来のコアレスコイル1と同様に専用巻線機を用いたり、あるいは汎用巻線機や汎用フォーミング加工機、さらには手巻きで、上述の形態のセパレートコイル2を巻き上げることができる。さらには、コイルケース11を利用して汎用巻線機や汎用フォーミング加工機、さらには手巻きで巻線することができる。
例えば、コイルケース11に導体を直に巻くことで構成されるセパレートコイル2の場合を例に挙げると、以下のようにして製作される。まず、内ロータ磁石27が収容される空間即ちコアレスコイル1の内部空間に相当する空間を埋める芯材(図示省略)を用い、該芯材の表面に図3,4に示す一体形あるいは分離形のコイルケース11を取り付ける。そして、コイルケース11の上からエナメル線・導体10を導体ガイド溝19の内部に押し込みながら溝19に沿って巻き付けることによって、セパレートコイル2を作製する。この巻線作業においては、コイルケース11がガイド部材として機能するため、専用巻線機の必要が無い。即ち、汎用巻線機や汎用フォーミング加工機あるいは手巻きでも、コイルケースの溝に沿って導体10を巻くことで、セパレートコイル2が容易に製作可能である。そして、導体10を巻き上げている最中に、あるいは導体10を巻き上げた後に、導体同士並びに導体10とコイルケース11との間を接着剤で固定して、コイルケース11で裏打ちされたセパレートコイル2を得る。尚、芯材は、巻線完了後、セパレートコイル2から取り外される。
このようにして、幅の異なる芯材並びにコイルケース11を用いて、正面視形状は同じでありながら幅だけが異なる複数種のセパレートコイル2を作製する。例えば本実施形態の場合には、前述した図5〜図8に示すような正面(軸方向)視形状は同じでありながら幅(軸方向長さ)だけが異なる3種類の幅W,W,W(但し、W<W<W)のセパレートコイル2を2組作製する。
このセパレートコイル2は、例えば機械角で120°の扇形に形成されており、その周方向両端に機械角で30°(電気角で60°)ずつのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とがそれぞれ形成され、その間に機械角で60°(電気角で120°)の空所7,17が形成されている。したがって、3種類の幅W,W,Wのセパレートコイル2を30°ずつ周方向にずらして順次入り込ませる入れ子構造とすることによって、最も幅が広いセパレートコイル2のN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3との間の空所7,17に次に幅の広いセパレートコイル2と最も幅の狭いセパレートコイル2の各N極側磁束鎖交部3が順次突出するように配置される。同時に、最も幅が広いセパレートコイル2のS極側磁束鎖交部3の周方向外側に次に幅の広いセパレートコイル2と最も幅の狭いセパレートコイル2の各S極側磁束鎖交部3が順次突出するように連接されて、機械角で90°(電気角で180°)ずつのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とを有する機械角で180°の2組のセパレートコイル組み12が構成される(図5参照)。複数のセパレートコイル2の連結は、入れ子構造に組み立てる際に、内周縁周りに配置されたボルト通し孔16を重ねて締結用ボルトを通して締結することで行われる。この場合、同時に、コイルケース11の側面支持部14の導体が敷設されていない隙間部分(図4のコイルケースの場合には、セパレートコイル2の渡り線部4の隙間6が配置される位置)18にボルト通し用の孔あるいはナットを設けることで、より強固に連結できるようにしても良い。
そこで、この2組のセパレートコイル組み12を、周方向に連結することによって、円環状の箱形コアレスコイル1を組み立てることができる。ここで、2組のセパレートコイル組み12は、図9及び図10に示すように、点対称の関係となるように配置して連結することで、つまり一方のセパレートコイル組み12の最も幅の狭いセパレートコイル2Aと他方のセパレートコイル2組の最も幅の広いセパレートコイル2Cとが互いに嵌まり合うように向かい合わせて連結されることで、1つの円環状の箱形コアレスコイル1が構成される。斯くして、複数のセパレートコイル2を周方向にずれる入れ子構造として1つのコアレスコイル1を構成しているので、必要数のセパレートコイル2を組み合わせることで、外周面・ギャップに配置されるコイル本数を増やして出力を上げることができる。向かい合わせに嵌め合わされたセパレートコイル組み12は、少なくとも両コイル組み12の間に跨がるように配置される半円状(場合によっては円環状)の連結板24を宛がって、締結用ボルトによって相互に連結される。連結板24のボルト通し孔24aとコイルケース11のボルト通し孔16とは位置合わせされて、締結用ボルトが通される。
特に、図3に示す実施形態の溝付きコイルケース11を用いる場合には、溝19に沿って導体10を強制的に埋め込みながら規則正しく巻いて行けるので、太い導体(銅線)でも巻くことができる。通常、導体10の直径が太いと、銅が持っている機械的抵抗で細かい細工ができず巻き難い。したがって、従来のコアレスコイル1では太い線は使えなかった。従来のコアレスコイル1の導体の直径は、通常0.1mm〜0.5mm前後、太くても概ね0.8mm〜1mm程度であるが、本発明では、直径2mm程度でも十分に巻ける。しかして、太い導体(4〜6倍の断面積)を使用できるので高出力が得られる。
しかも、複数本例えば4〜8本の導体10を1つの溝19に入れて巻線し、コイル巻始め8と巻き終り9との端末を利用して複数本の導体10から成るコアレスコイル1をシリーズに接続したり、パラレルに接続したりすることを端子部分で任意に選択できる。このようなセパレートコイル2によれば、インバータを使わなくとも、効率を変えずに電圧を変換できる。例えば、図11及び図12に示す4本の導体10を巻いたセパレートコイル2によれば、2本ずつの第1のコイルXと第2のコイルYの2組に分けた場合、100v,5Aの電流を流す2本ずつのコイルX,Yを並列に接続すれば、100v,10Aで1kwの出力が得られ、直列に接続すれば、200v,5Aで1kwの出力が得られる。
以上のように構成されたコアレスコイル1は、回転機のステータコイルあるいはロータコイルとして組み込むことができる。例えば、永久磁石ラジアル型回転機のステータコイルとして用いることができる。
図15に、本発明のコアレスコイル1をラジアル型2極単相交流発電機のステータコイルとして適用した一実施形態を示す。このラジアル型2極単相交流発電機は、コアレスコイル1の径方向内側に内ロータ25が、外側に外ロータ26が配置されて、外ロータ26の永久磁石27と内ロータ25の永久磁石28との間のギャップに磁束鎖交部3,3が配置されるように構成されている。ロータシャフト29は、コアレスコイル1の内周側のホールを貫通し、内ロータ25と外ロータ26とを固定して支持している。他方、コアレスコイル1は静止物例えばエンジンボディ(図示省略)などにコイル固定プレート30を介して固定されている。尚、図中の符号31は通風孔、32はテーパー型磁石ヨーク、33はバックヨーク、34は内ロータファン、35は外ロータファンである。
箱形コアレスコイル1は、動作時に大電流が供給されるため発熱が大きいことから、放熱には特に留意する必要がある。放熱は、コアレスコイル1から空気中への熱放散と、渡り線部4からのコアレスコイル1の支持体例えばコイル固定プレート30への熱伝導による放熱が主となる。そこで、例えば、ロータシャフト29と直交する外ロータ26の側面には、切り起こしによりフィンが形成されて放熱用の外ロータファン35が構成されている。また、内ロータ25の内周面側には、径方向内側に向けて放射状に形成されるフィンが一体成形されて放熱用の内ロータファン34が構成されている。勿論、本実施例では、外ロータ26並びに内ロータ25に放熱フィンを設けてコイル1の放熱を促進するファン構造としているが、場合によっては全体を覆うカバー部材や蓋体などにフィンを設けて放熱させるようにして良い。また、熱伝導による放熱を促進するため、例えばコイル固定プレート30にコアレスコイル1を接着するための接着剤に、熱伝導を助長するように、好ましくは絶縁性または高比抵抗の高熱伝導性の粉体を混合して、コイル固定プレート30などへの熱伝導を大きくするようにしても良い。
ここで、コアレスコイル1は、入れ子となった3種のセパレートコイル2A,2B,2Cが30°ずつ周方向にずらして重なるように組み合わされることによって180°のセパレートコイル組み12が2組形成される。これら一対のセパレートコイル組み12を内ロータ25を挟み込むように組み合わせると共に連結板にて相互に連結することで、内ロータ25を包み込む箱状のコアレスコイル1が組み立てられる。その後、コアレスコイル1の外側に嵌め込むように軸方向から外ロータ26が組み込まれ、コアレスコイル1を挟んで内ロータ25と外ロータ26とが径方向に対向するように配置される。これによって、コアレスコイル1の磁束鎖交部3,3より僅かに広い間隔(必要最小限の間隔)をあけて環状に配置された外ロータ磁石28と内ロータ磁石27とが配置されたラジアル型2極単相交流発電機が構成される。尚、コアレスコイル1の組み立ては、上述の手法に特に限られず、内ロータ25を囲うように、セパレートコイル2を1ピースずつ順次入り込ませながら内ロータ25の周りに1ピース毎嵌め込むように組み付けることで、内ロータ25の全周を囲うように組み立てても良い。
このラジアル型2極単相交流発電機は、ワイヤを巻いたコイルでかつ渡り線部を有しながらも、永久磁石27,28とコアレスコイル1とをラジアル方向に必要最小限の僅かなギャップを隔てて対向するように組み立てられるので、鎖交磁束の減少を防いで発電機の高効率化・高出力化を実現すると共に、ラジアル方向並びに軸方向のコアレスコイル1の寸法を最小限のものとして、発電機の小型化・軽量化を可能とする。しかも、組み立てられたコアレスコイル1は軸平面形状コ形の円環状箱形を成すため、両端で支持可能で機械的強度が高いため、また太い導体が使用できるため、高出力を可能とする。
また、コアレスコイル1の配線は、図16に示すように、セパレートコイルC−Bが接続箇所37で、コイルB−Aが接続箇所38で、コイルA−Cが接続箇所39で、コイルC−Bが接続箇所40で、コイルB−Aが接続箇所41でそれぞれ接続されることによって、コアレスコイル1としての巻始め36から巻き終り42までが1本のコイルとされている。
この2極単相交流発電機は、図16に示すように、外ロータ磁石28は、例えば上半分側にN極が、下半分側にS極が配置されている。他方、内ロータ磁石27は、上半分側にS極が、下半分側にN極が配置されている。本実施形態の場合は、外ロータ25と内ロータ26とにそれぞれ磁石27,28が取り付けられているが、片側が磁石でもう一方は界磁ヨークで構成するようにしても良い。
ここで、2極単相交流発電機における磁石角度は、N極及びS極のそれぞれにおいて90°以上180°以下であり、好ましくは120°〜180°、より好ましくは120°〜150°、最も好ましくは150°程度とすることである。そこで、本実施形態においては、N極側(上半分)とS極側(下半分)とは、図16に示すように、各々150°の角度の永久磁石がその両端において30°ずつの隙間を設けて配置されている。内あるいは外の永久磁石27,28は、1個の大きな塊の磁石でも良いが、150°の広範囲な角度を1個の磁石で構成すると、磁石面積が大きくなり磁束密度が著しく低下する。このことを防ぐために、図15(D)に示すように、外ロータ磁石28を分割して複数の磁石片として周方向に隙間無く配置すると共に、反対極となる内ロータ磁石27も同様に分割して、分割された外ロータ磁石28の境目に内ロータ磁石27を配置することが好ましい。この場合、隣接する磁石片同士は同極で反発するため、分割された磁石の背後に同極の磁石が分割面に跨がるように配置された積層構造とすることが好ましい。つまり、上半分のN極側外ロータ磁石を例に挙げて説明すると、裏面(S極)側にN極の磁石を分割の境目に跨がるように配置させた積層構造(2段)とすることによって、2片の磁石の裏面側のS極とS極の間に裏側の層(コアレスコイル1から離れた方の層)のN極側が吸着されることにより、コアレスコイル1に面した表側の分割磁石片同士を反発させずに密着させることができる。これにより、磁束密度の低下を防ぐことができる。また、積層構造となった外ロータ磁石28及び内ロータ磁石27の周囲には、コアレスコイル1と面する表側の層の磁石の半分の厚みの処までを覆うサイドヨークで囲うように設けられている。これにより、サイドヨークが磁束漏れを防いでコアレスコイル磁束鎖交部に向けて磁束を集中させ、磁束鎖交部を通過する磁束密度をさらに高めることができる。同時にサイドヨークは磁石が反発して隙間が生じないように規制する。
これによって、2極単相交流発電機を構成することができる。この2極単相交流発電機によれば、インバータを用いずにエンジン用発電機を小型化することができる。しかも、発電効率が良い。
尚、図16の実施形態にかかる2極単相交流発電機は、1組の内ロータ25と外ロータ26とで誘導機を構成しているが、これに特に限られず、場合によっては図20に示すように、内ロータ25と外ロータ26とを2組み備え、軸方向に並べて配置するようにしても良い。本実施形態にかかる2極単相交流発電機においては、ステータコイルを構成するコアレスコイル1が軸平面形状コ形の円環状箱形(太鼓状)を成しており、両端で支持することができることから、図20に示すように、同一ロータシャフト29上に一体化した並列構造で使用できる。尚、組み立てられたコイルケース1は並列構造の内ロータ25の間に設けられた遮蔽板43で補強される。
また、図18及び図19に本発明のコアレスコイル1をラジアル型4極三相交流発電機に適用した一実施形態を示す。尚、このラジアル型4極三相交流発電機は、図16及び図17に示すラジアル型2極単相交流発電機と基本構造は同じであるので詳細な説明を省略する。
この場合のコアレスコイル1の配線は、図18のコアレスコイル1の正面図左半分の半体を構成するセパレートコイル組み12と正面図右半分の半体を構成するセパレートコイル組み12とをそれぞれ構成する。一組となる左右の3種のセパレートコイル2A,2B,2Cは、コイルA−Aが接続箇所46で、コイルB−Bが接続箇所50で、コイルC−Cが接続箇所54でそれぞれ接続されることによって、巻始め45から巻き終り47までが1本のコイルとなっているU相コイル44と、巻始め49から巻き終り51までが1本のコイルとなっているV相コイル48と、巻始め53から巻き終り55までが1本のコイルとなっているW相コイル52との3相巻線を構成する。
他方、ロータ磁石としては、内ロータ25には、周方向に4分割されている永久磁石27が例えばN極、S極、N極、S極の順で配置されている。外ロータ側には、周方向に4分割されている永久磁石28が外ロータ26の磁石と反対極となるように例えばS極、N極、S極、N極の順で配置されている。この場合、各マグネットは、90°未満、実施形態の場合には、80°の磁石角度で構成され、マグネット間には10°のギャップが形成されている。内ロータ磁石27と外ロータ磁石28とは、コアレスコイル1の磁束鎖交部を挟むようにして同じ位置の内側と外側とに配置されている。
尚、回転軸を有する駆動源例えば自動車用エンジン用発電機等として本発明の回転機を使用する場合には、エンジン側の軸をロータシャフトとして用いれば、ベアリングがなくてもコアレスコイル1とロータとの関係を安定に保つことができる。つまり、コアレスコイル1をエンジンブロック側に固定し、エンジンのシャフトをロータシャフトとして用いれば、ベアリングがなくとも磁石とコイルとのギャップを一定にして回転させ得る。勿論、本実施形態の回転機をモータとして使用する場合には、コアレスコイル1とロータシャフトとの間にベアリングを配置することが好ましい。
以上のように構成されたラジアルギャップ型交流発電機によれば、コギングトルクが低減されるので、コギングトルク対策が不要であると共に、無負荷の状態において非常に軽く回転する。即ち、小さなトルクでも回転することから、風力発電用発電機として用いるのに好適である。この場合、風速3m/s程度でも回転開始することができる。
図22〜図29に本発明にかかるコアレスコイルを永久磁石型回転機のアキシャル型ステータコイルに適用した一実施形態を示す。尚、以下のアキシャル型コアレスコイル並びにそれを用いたアキシャル型回転機形の構成についての説明は、前述のラジアル型ステーターコイルと異なる部分についてのみ詳しく説明し、共通している構成部分についての詳細な説明は省略する。
このアキシャル型コアレスコイル1は、例えば図24及び図25に示すように、ロータシャフト29と直交する2つの面56のそれぞれにロータシャフト29と平行な界磁束が通過する磁束鎖交部3,3を備えると共にそれらを径方向外側の渡り線部(以下、外側渡り線部4oと呼ぶ)と径方向内側の渡り線部(以下、内側渡り線部4iと呼ぶ)とで繋いで中が空洞の軸平面形状コ形の円環状箱形(太鼓状)を成すものであり、周方向に少なくとも2分割され、機械角で180°以下となる複数のセパレートコイル2によって構成されている。即ち、複数のセパレートコイル2を界磁束を構成する一方の永久磁石あるいは界磁ヨークを挟んで向かい合わせに組み合わせて周方向に連結することによって、永久磁石あるいは界磁ヨークを囲む円環状箱形のコイルを構成するように設けられている。
各セパレートコイル2には、ロータシャフト29と平行な界磁束が通過するN極側磁束鎖交部3と、S極側磁束鎖交部3とがロータシャフト29と直交する2つの面56のそれぞれに形成され、これらN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の導体を繋ぐ内側渡り線部4iがロータシャフト29と交わる面(直交していても良いが、場合によっては直交していなくとも良い)57に沿って求心方向並びに周方向に引き回されてロータシャフト29の周辺を迂回するように配線されると共に、外側渡り線部4oが内ロータ磁石58に跨がるような軸平面形状コの字形に形成されている。これら複数のセパレートコイル2は、内ロータ磁石58を挟んで向かい合わせに組み合わせて周方向に連結することによって、内ロータを囲む箱形のコアレスコイル1を構成する。また、各セパレートコイル2の内周側にはロータシャフト29が貫通する孔を構成する円弧部が設けられている。
ここで、セパレートコイル2は、周方向にずらして互いに入り込ませながら組み合わせる入れ子構造にして、複数のセパレートコイル2を内側渡り線部4i(胴の両面)において軸方向に重ねて組み合わせ、1つのコアレスコイル1を構成する内側渡り線部4iの面積(導体本数)を増して磁束鎖交部3,3に配置される導体・コイルの巻数を増やすようにしている。
本実施形態においては、上述のセパレートコイル2は、例えば図24に示すように、機械角で30°(電気角で60°)ずつのほぼ扇形のN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とを周方向の両端に配置し、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3との外端との成す角度θが機械角で120°の凹型に形成されており、周方向両端のN極側及びS極側磁束鎖交部3,3(角度θ)には外側渡り線部4oと内側渡り線部4iの一部がそれぞれ配置され、その間の角度θには機械角で60°(電気角で120°)の空所60即ち両側の磁束鎖交部とこれらを跨ぐ外側渡り線部4oと内側渡り線部4iの一部が存在しない領域が形成されている。空所60には、入れ子構造を成す他のセパレートコイル2の例えば両側のN極側磁束鎖交部3とこれらを跨ぐ外周側渡り線部と内側渡り線部4iの一部が配置される。そして、3ピースのセパレートコイル2が、磁束鎖交部の角度範囲θに相当する分、即ち30°ずつ周方向にずらして互いに入り込ませながら組み合わせる入れ子構造とされている。尚、極間隔θは機械角で90°(電気角で180°)に設定されている。
本実施形態のセパレートコイル2は、入れ子構造とするため、正面(軸方向)視形状を同じにすると共に、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3及び外側渡り線部4oの軸平面形状並びに幅(軸方向長さ)が同じでありながら、内側渡り線部4iにおいてだけ幅がW,W,W(但し、W<W<W)と異なる3種類が2組(6ピース)作製され、これらが周方向にずらして組み合わされることによって1つのコアレスコイル1が形成される。つまり、3種類の幅W,W,Wのセパレートコイル2A,2B,2Cを30°ずつ周方向にずらして順次入り込ませて入れ子構造とすることによって、3ピースのセパレートコイル2の各N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とがそれぞれ連接されて、機械角で90°ずつのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とを有する機械角で180°の2組のコアレスコイル組み(コイル半体)が構成される。尚、本実施形態のアキシャル型コアレスコイル1においても、前述のラジアル型コアレスコイル1と同様に、セパレートコイル2の分割数は、上述のコイル半体で3分割(全周で6分割)に限られず、場合によつては、2分割(全周で4分割)あるいは4分割(全周で8分割)以上とすることも可能である。
各セパレートコイル2は、導体のみで構成しても良いが、好ましくはコイルケース61を併用することである。コイルケース61は、前述のラジアル型コアレスコイル1と同様に、例えば図22及び図23に示すように、セパレートコイル2のN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3及びこれらの導体を繋ぐ内側渡り線部4iと外側渡り線部4oとを支える側面支持部64並びにこれらを周方向の両端においてのみ部分的に連結する架橋部63とを有する一体形コイルケースでも良いし、あるいはN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3及びこれらの導体を繋ぐ内側渡り線部4iと一部の外側渡り線部4oを支える側面支持部64の2部材から成る分離形コイルケース(図示省略)であっても良い。
本実施形態の一体形コイルケース61は、セパレートコイル2とほぼ同じ角度(θ=120°)の凹型に形成されると共に内周にロータシャフト29が貫通する孔を形成する円弧部62を有し、かつ外周にロータシャフト29と平行な架橋部63と、他のセパレートコイル2の磁束鎖交部3N,3S並びに外側渡り線部4oが嵌まり込む角度θの空所60とを有し、側方支持部64に磁束鎖交部溝領域70が設けられると共にその径方向外側の架橋部63に外側渡り線溝領域71oが、径方向内側の側方支持部64に内側渡り線溝領域71iがそれぞれ形成されている。ここで、内側渡り線溝71i部分は、前述した入れ子構造を構成するために、コイルケース61Cの内側にコイルケース61Bが、さらにコイルケース61Bの内側にコイルケース61Cが、好ましくはそれぞれがたつき無く嵌まる込む幅関係(W<W<W)に設けられている。これによって、1つのコイルケースのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3の間に他のコイルケースのN極側磁束鎖交部3と外側渡り線部4oとが順次入り込み、内側渡り線部4iにおいて軸方向に重なり合う入れ子構造とされている。
コイルケース61の表面には、セパレートコイル2の磁束鎖交部3N,3S、外側渡り線部4o及び内側渡り線部4iの位置を定めるコイル位置決め溝を有している。このコイル位置決め溝は、磁束鎖交部及び渡り線部における導体の位置を定めるものであれば特定の構造等に限られるものではないが、磁束鎖交部及び渡り線部における導体の巻位置を決める多数の導体ガイド溝69の集合から成るもの(図22参照)、あるいは磁束鎖交部及び渡り線部における導体の配置領域の大枠だけを定めたもの(図23参照)であることが好ましい。
例えば、図22に示すコイル位置決め溝は、導体を巻回するための位置を導く複数本の壁67によって構成される導体ガイド溝69を並べることによって、外周側の架橋部63にロータシャフト29と平行に渡り線となる導体が配置される外側渡り線溝領域71oと、ロータシャフト29と直交する面56に一定ピッチで導体を配設してN極側磁束鎖交部3及びS極側磁束鎖交部3を形成する磁束鎖交部溝領域70とを構成するように設けられている。また、内側渡り線部4iを収容する部位・内側渡り線溝領域71iは、導体の配置領域の大枠だけを定めた溝となっており、ロータシャフト29と交わる側面(場合によっては直交する必要はない)57にロータシャフト29に対して接線方向に設けられる。したがって、コイルケース61を巻芯として導体を導体ガイド溝69に沿って押し込むように巻き付けながら磁束鎖交部3,3の径方向内側で内側渡り線溝領域71i内を引き回すことによって、N極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3と外側渡り線部4oとが軸平面形状でコの字形を成すと共に、ロータシャフト29の周辺を迂回する凹形の内側渡り線部4iが容易に巻回できる。
また、場合によっては、磁束鎖交部3,3及び渡り線部4o,4iにおける導体の配置領域の大枠だけを定めたコイル位置決め溝を有する図23に示すコイルケース61を用いて、汎用巻線機や汎用フォーミング加工機あるいは専用巻線機などを使って予め巻かれたセパレートコイル2を嵌め込んで接着などで固定するようにしても良い。尚、この実施形態のコイルケース61の場合には、コイル位置決め溝は、予め専用巻線機あるいは汎用巻線機や汎用フォーミング加工機などを使って巻かれたセパレートコイル2を嵌め込む際の位置・空間を規定するものであり、外周側の架橋部63の両端に配置されたストッパ72によって外側渡り線溝領域71oの外枠が規定されている。
コイルケース61には他のセパレートコイル2のコイルケースとの間の連結を可能とするための締結用ボルト68を通すボルト通し孔66が設けられている。本実施形態の場合には、ボルト通し孔66は、例えば図22、23などに示すように、外側渡り線部4oが形成される架橋部63の中央に渡り線と平行(つまり、軸方向)に設けられた固定用軸部65に開けられている。この固定用軸部65は、径方向内側に向けて細くなるくさび形を成し、磁束鎖交部3,3における導体のピッチが等しく維持されるように配慮されている。図25に示すように、各外側渡り線部4oの固定用軸部65のボルト通し孔66に通した締結用ボルト68で静止物に固定される円環状のコイル固定プレート30を介在させて相互に連結することによって、コアレスコイル1が組み立てられる。尚、図示していないが、セパレートコイル2を導体のみで構成する場合には、接着剤などで固められた渡り線部の配線間に締結用ボルトを通すための隙間(孔)あるいは雌ねじが形成されることが望ましい。
以上のように構成されたコアレスコイル1は、アキシャル型回転機のステータコイルあるいはロータコイルとして組み込むことができる。例えば、図24及び図25に示すように、ステータコイルとして用いる場合、内側渡り線部4iにおける幅の異なる複数種の芯材及び図22あるいは図23に示すコイルケース61を用いて、正面視形状並びに各磁束鎖交部3,3と外側渡り線部4oとの幅が同じでありながら内側渡り線部4iの幅だけが異なる複数種のセパレートコイル、本実施形態の場合には種類のセパレートコイル2A,2B,2Cを2組作製する。
この3種類のセパレートコイル2A,2B,2Cを30°ずつ周方向にずらして順次入り込ませて入れ子構造とすることによって、最も広い幅Wのセパレートコイル2CのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3との間の空所60に次に広い幅Wのセパレートコイル2Bと最も狭い幅Wのセパレートコイル2Aの各N極側磁束鎖交部3が同心円上に順次露出するように配置される。同時に、最も広い幅Wのセパレートコイル2CのS極側磁束鎖交部3の円周方向外側に、次に広い幅Wのセパレートコイル2Bと、最も狭い幅Wのセパレートコイル2Aの各S極側磁束鎖交部3とが同心円上に順次露出するように連接されて、機械角で90°ずつのN極側磁束鎖交部3とS極側磁束鎖交部3とを有する機械角で180°の2組のセパレートコイル組みが構成される。
そこで、2組のセパレートコイル組みを、内ロータ25を挟み込むように配置してから周方向に連結することによって、内ロータ25を囲む円環状の箱形コアレスコイル1を組み立てることができる。ここで、2組のセパレートコイル組みは、一方のセパレートコイル組みの最も狭い幅Wのセパレートコイル2Aと他方のセパレートコイル組みの最も広い幅Wのセパレートコイル2Cとが互いに嵌まり合うように向かい合わせて連結されることで、1つの円環状の箱形コアレスコイル1が構成される。これにより、1つの円環状箱形のコアレスコイル1が構成され、その中に内ロータ25が収められる。
入れ子構造の各セパレートコイル2A,2B,2Cは、例えば各々のコイルケース61A,61B,61Cの外側渡り線部4oが配置される外周縁部に設けられた固定用軸部65のボルト通し孔66に締結用ボルト68を通して、コイル固定プレート30に植設された支柱79に直接ねじ止めすることによって、あるいは図28及び図29に示すように環状あるいは円弧状(半円状)の連結板(図示省略)を介して相互に連結した上で、コイル固定プレート30を介して相互に連結される。ここで、各セパレートコイル2A,2B,2C並びにコイルケース61A,61B,61Cの相互に連結する部位は外周側だけでなく、必要に応じて内周側においても行うことがある。例えば、図24及び図25に示す実施形態の場合には、コアレスコイル1及び/又はコイルケース61A,61B,61Cの内周面・円弧部62とロータシャフト29との間にラジアルベアリング78が介在される場合には、ラジアルベアリング77の外レースと3種類のコイルケース61A,61B,61Cの内周面・円弧部62との間にスリーブ77が圧入あるいは接着などで固定されることによって、相互に連結される。また、図28及び図29に示すように、各々のコイルケース61A,61B,61Cの内側渡り線溝領域71iの側方にねじ孔83を有する連結プレート82をベアリング78を介して配置し、片面の3枚の側面支持部64部分のみをビス(図示省略)で締結することによって、連結プレート82を介して相互に連結するようにしても良い。
また、図示していないが、各コイルケース61A,61B,61Cの内側渡り線溝領域71iの内部あるいは外部の入れ子に組み込んだときに相互に重なる部分にボルト通し孔を設け、複数のセパレートコイル2の間に跨がるように配置された連結板を介在させてボルトで締結するようにしても良い。さらには、コイルケース61を用いずに導体を接着剤で固めるだけでセパレートコイル2を構成する場合には、内側渡り線部4iあるいは外側渡り線部4oに入れ子に組み込んだときに相互に重なるボルト通し孔を設け、複数のセパレートコイルの間に跨がるように配置された連結板を介在させてボルトで締結するようにしても良い。
その後、外ロータ26をロータシャフト29に嵌め込んで軸方向からコアレスコイル1の両側を挟み込むように配置し、ロータシャフト29と平行に界磁束が形成される永久磁石アキシャル型回転機が組み立てられる。尚、コアレスコイル1の内側に配置される一組の永久磁石58は、ヨーク74を介して同極同士を背中合わせに貼着され、共通の1枚の内ロータプレート73に取り付けられるようにしている。なお、外ロータ26は、永久磁石59と、ヨーク76と外ロータプレート75に依って構成されている。
コアレスコイル1の配線は、例えば図16に示すコアレスコイル1と同様に、隣合うセパレートコイルの巻き終りと巻始めとが順次電気的に接続されて、コアレスコイル1としての巻始めから巻き終りまでが1本のコイルとされている。また、複数本例えば4〜8本の導体を1つの溝に入れて巻線して成るコアレスコイル1とする場合には、コイル巻始めと巻き終りとの端末を利用して複数本の導体をシリーズに接続したり、パラレルに接続したりすることができる。
アキシャル型2極単相交流発電機において、外ロータ磁石59は、図24,26,28に示すように、例えば上半分側にN極が、下半分側にS極が配置されている。他方、内ロータ磁石58は、上半分側にS極が、下半分側にN極が配置されている。本実施形態の場合は、外ロータ26と内ロータ25とにそれぞれ磁石が取り付けられているが、片側が磁石でもう一方は界磁ヨークで構成するようにしても良い。
この2極単相交流発電機によれば、ワイヤを巻いて永久磁石を包み込む円環状箱形のコアレスコイル1を構成することができるので、1つの内ロータ25でツインアキシャル型回転機を構成することができる。しかも、外ロータ26の永久磁石59の内側のスペースを利用して軸方向に膨れた内側渡り線部4iが収められる。このため、2つのディスク型コアレスコイルを2組みのロータ磁石で挟む構造のツインアキシャル型回転機を構成する場合に比べて、薄型化・軽量化を可能とする。また、内ロータ25を囲む円環状の箱形コアレスコイル1とすることで両端支持可能で且つ機械的強度が高くなるので、太い線が巻け、プリント基板にエッチングによりコイルを形成したディスク型コアレスコイルよりも流れる電流を大きくすることができる。しかも、必要最小限のギャップにすることができるので、鎖交する磁束密度の減少が少なくなる(結果として磁束密度が大きくなり)。したがって、高出力を可能とする。
尚、図示していないが、本実施形態のアキシャル型コアレスコイル1は、図18及び図19に示すラジアル型4極三相交流発電機に適用した実施形態と同様に、各セパレートコイル2の間の結線の組み合わせ並びに磁石の配置の変更によって、アキシャル型4極三相交流発電機としても容易に構成できる。
また、図26〜図27に本発明にかかるコアレスコイル1を適用したアキシャル型永久磁石回転機の他の実施形態を示す。このアキシャル型永久磁石回転機は、コアレスコイル1の外側に対向配置される2組の永久磁石59を1枚の外ロータプレート75で支持するようにしたものである。この外ロータプレート75は、外周側で軸方向に折り曲げられ、コアレスコイル1を跨いでコイル1の反対側の側面に沿って先端側が径方向内側に向けて折り曲げられることによって軸方向において対向する2つの面を有し、対向した2面の内側の面に永久磁石59がのそれぞれ固着されている。したがって、コアレスコイル1の周りでは、軸方向に対向配置された外側の永久磁石59と内側の永久磁石58とが、ロータシャフト29と直交する面56に沿って各磁束鎖交部3,3を挟んで回転する。
この実施形態におけるコアレスコイル1の連結並びに支持は、例えば、各々のコイルケース61A,61B,61Cの外側渡り線部4oが配置される外周縁部に設けられた固定用軸部65のボルト通し孔66に締結用ボルト68を通して、環状あるいは円弧状(半円状)の連結板84を介して相互に連結される。他方、各セパレートコイル2A,2B,2C・コイルケース61A,61B,61Cの内周側では、コアレスコイル1・コイルケース61A,61B,61Cの内側に挿入され圧入あるいは接着などでスリーブ部分80aが固定されるフランジ付きスリーブ80を備え、フランジ部分80bをコイル固定プレート30にボルト68などでねじ止めするようにしても良い。この場合にも、ロータシャフト29とスリーブ部分80bとの間にはラジアルベアリング78が介在されることが好ましい。尚、符号81はねじ孔である。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態にかかる回転機は、コアレスコイルが固定され、永久磁石による磁気回路が回転するブラシレス構造となっているが、コアレスコイルをロータシャフトで回転可能に支持したロータコイルとし、整流子を備えればブラシ付き電動機として使用できる。
また、上述の実施形態にかかる永久磁石ラジアル型回転機では回転軸を有した駆動源から回転を入力する発電機例えば自動車エンジン用の発電機として用いることを想定しているが、ベアリングを内蔵すれば誘導機単体として使用できる。また、本発明のコアレスコイルは誘導機ばかりでなく、同期機のステータコイルあるいはロータコイルなどとしても組み込むことができる。
また、上述の実施形態においては、円環状箱形のコアレスコイル1のロータシャフト29と平行に巻かれている外周縁部分の導体(ラジアル型コアレスコイルにおいては磁束鎖交部3,3、アキシャル型コアレスコイルにおいては外側渡り線部4o)の両端で、ロータシャフト29と交わる面との成すコーナー部分の角度θが、ロータシャフト29と直交する面に沿って径方向内側に折り曲げられ、内ロータ磁石27あるいは58に跨がる軸平面形状コの字形を成すように90°に形成されているが、これに特に限られるものでなく、90°≦θ<180°の範囲内であれば良い。なかでも、コアレスコイル1のコンパクト化を図るためには、コーナー角度θは90°であることが好ましいが、エナメル構造(絶縁構造)によっては90°に折り曲げると皮膜がひび割れする可能性があるので、場合によっては緩やかな角度例えば110°〜120°の略ハの字型(即ち、〔形を90°回転させたような形態)に折り曲げられても良いし、あるいは大きな曲面を構成するようにしても良い。さらには、コアレスコイル1のロータシャフト29と平行に巻かれている外周縁部分の導体と、ロータシャフト29と直交あるいは交わる面との間に例えば120°〜150°の比較的緩やかな斜面を形成して、2段階に折れ曲がるようにして、それぞれの折れ曲がり角度が90°を超えるようにしても良い。
また、上述の実施形態においては、内側に配置される永久磁石あるいはマグネットヨークを囲うように径方向内側に折り曲げられた導体部分(ラジアル型コアレスコイルにおいては渡り線部4、アキシャル型コアレスコイルにおいては磁束鎖交部3,3と内側渡り線部4i並びに外側渡り線部4oの一部)が同じ長さの軸平面形状コの字形を成す円環状箱形のコアレスコイルに形成されているが、これに特に限られず、一方の長さが他方の長さに比べて短い非対称な形状とされても良い。本明細書において、軸平面形状コ形とは、界磁束を構成する一方の永久磁石あるいは界磁ヨークを囲繞し円環状箱形を成すものであることを意味しており、厳密な意味で直角に折れ曲がり全く等しい長さの対称形状である必要はない。
また、上述の実施形態では、コアレスコイル1を二極単相永久磁石型回転機・発電機に組み込む場合を例に挙げて主に説明したが、その用途は特に限られず、多極複相のラジアル型回転機例えば六極三相交流発電機などとして構成することも可能である。また、多極回転機に応用する場合の磁石角度は、当然、極数により決定される。例えば、10極の場合は36°となる。
また、コイルケースの形状は正面(軸方向)視形状において全て同じである必要はない。即ち、セパレートコイル2には必ずしもコイルケースの端から端まで巻かれることが無く、コイルケースの一部に導体が巻かれることもある。例えば、図示していないが、3種類の幅W,W,W(但し、W<W<W)のセパレートコイル2A,B,Cのコイルケースの周方向角度θを30°ずつ狭くして、Aは180°、Bは150°、Cは120°とすることによって、Cの領域では3つのセパレートコイル2の渡り線とコイルケースが、Bの領域では2つのセパレートコイル2の渡り線とコイルケースが、Aの領域では1つのセパレートコイル2の渡り線とコイルケースがそれぞれ配置され、それが点対称に配置されたコアレスコイル1を構成するようにしても良い。この場合においても各セパレートコイル2に巻かれたコイルの磁束が通過する外周面部分の角度は同じに形成される。即ち、各セパレートコイル2に巻かれるコイルの幅は同じで、余白(コイルが巻かれていない領域)が60°のものと、30°のものと、0のものとの3種類のセパレートコイル2となる。これによって、30°ずつずらして組み合わせることで、全体としては180°の範囲にコイルが巻かれたセパレートコイル2を構成するようにしても良い。
1 コアレスコイル
2 セパレートコイル
2A 最も幅の狭いセパレートコイル
2B 中位の幅のセパレートコイル
2C 最も幅の広いセパレートコイル
3 磁束鎖交部
3N N極側磁束鎖交部
3S S極側磁束鎖交部
4 渡り線部
4o 外側渡り線部
4i 内側渡り線部
5,62 円弧部
7,17,60 空所(他のセパレートコイルの磁束鎖交部及び渡り線部が入る空間) 10 導体
11,61 コイルケース
19,69 導体ガイド溝
20,70 磁束鎖交部溝領域(コイル位置決め溝を構成する)
21 渡り線溝領域(コイル位置決め溝を構成する)
71o 外側渡り線溝領域(コイル位置決め溝を構成する)
71i 内側渡り線溝領域(コイル位置決め溝を構成する)
25 内ロータ
26 外ロータ
27,58 内ロータ永久磁石
28,59 外ロータ永久磁石
29 メータシャフト

Claims (12)

  1. 周方向に少なくとも2分割され、機械角で180°以下に分割された複数のセパレートコイルによって構成され、
    前記各セパレートコイルは、永久磁石のN極側に対応する磁束鎖交部と、永久磁石のS極側に対応する磁束鎖交部と、前記N極側磁束鎖交部と前記S極側磁束鎖交部の導体を繋ぐ渡り線部とを有し、
    複数の前記セパレートコイルを周方向に連結することによって、軸平面形状コ形のコイルを構成する
    ことを特徴とするコアレスコイル。
  2. 前記セパレートコイルは、周方向にずらして互いに入り込ませがら組み合わせる入れ子構造にしたことを特徴とする請求項1記載のコアレスコイル。
  3. 前記セパレートコイルには、該コイルを構成する導体を内側から支持して固定するコイルケースを備えることを特徴とする請求項1または2記載のコアレスコイル。
  4. 前記セパレートコイルは、内周側にロータシャフトが貫通する円弧部を有し、かつ前記ロータシャフトと平行に巻かれている外周縁部分の導体によって前記ロータシャフトの径方向に形成される界磁束が通過する前記磁束鎖交部を構成し、前記渡り線部がロータシャフトと直交する面に沿って前記磁束鎖交部の導体の両端で径方向内側に折り曲げられかつ周方向に引き回されて前記ロータシャフト周辺を迂回し、前記磁束鎖交部と前記渡り線部とが軸平面でコの字形を成すものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のコアレスコイル。
  5. 前記セパレートコイルは、内周側にロータシャフトが貫通する円弧部を有し、かつ前記ロータシャフトと平行な界磁束が通過する前記N極側磁束鎖交部と前記S極側磁束鎖交部とがロータシャフトと直交する2つの面のそれぞれに形成され、かつこれらN極側磁束鎖交部とS極側磁束鎖交部の導体を繋ぐ前記渡り線部が前記N極側磁束鎖交部と前記S極側磁束鎖交部の径方向内側で前記ロータシャフトと交わる面に沿って求心方向並びに周方向に引き回されて前記ロータシャフトの周辺を迂回するように配線される内側渡り線部と、前記N極側磁束鎖交部と前記S極側磁束鎖交部の径方向外側で内ロータ磁石に跨がるような軸平面形状コの字形に形成されている外側渡り線部とによって構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のコアレスコイル。
  6. 前記コイルケースは、前記N極側磁束鎖交部及び前記S極側磁束鎖交部を収容する磁束鎖交部溝領域と、前記渡り線が収容される渡り線溝領域とを有するコイル位置決め溝を備えるものであり、予め巻回された前記セパレートコイルを前記コイル位置決め溝に嵌め込んで固定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のコアレスコイル。
  7. 前記コイルケースは、導体を巻回するための位置を導く複数本の導体ガイド溝によって、前記N極側磁束鎖交部及び前記S極側磁束鎖交部を収める磁束鎖交部溝領域と、前記渡り線を収める渡り線溝領域とを有するコイル位置決め溝を備えるものであり、前記導体を前記導体ガイド溝に沿って押し込むように巻き付けることによって当該コイルケースを巻芯として前記セパレートコイルが巻回されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のコアレスコイル。
  8. 前記セパレートコイルには、複数の前記セパレートコイルを相互に周方向に組み合わせて連結するための締結用ボルトを通す孔あるいはねじ孔を前記渡り線部の配線の間あるいは配線の外の領域に設けることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載のコアレスコイル。
  9. 前記セパレートコイルを構成する前記導体は複数本であり、これら複数本の導体をコイル巻始めと巻き終りとの端末を利用して並列あるいは直列接続可能とする請求項1から8のいずれか1つに記載のコアレスコイル。
  10. 内周側にロータシャフトが貫通する円弧部を有し、かつ導体を巻回するための位置を導く複数本の導体ガイド溝によってN極側磁束鎖交部及びS極側磁束鎖交部を収める磁束鎖交部溝領域と渡り線を収める渡り線溝領域とを形成するコイル位置決め溝を構成しかつ機械角で180°以下の扇形を成す軸平面形状コ形のコイルケースを巻心とし、前記導体を前記導体ガイド溝に沿って押し込みながら前記導体ガイド溝に沿って巻き付けることによって前記N極側磁束鎖交部と前記S極側磁束鎖交部及びこれらを繋ぐ前記渡り線部を巻回することを特徴とするセパレートコイルの製造方法。
  11. 請求項1から9のいずれか1つに記載のコアレスコイルをステータコイルあるいはロータコイルとして用いることを特徴とする永久磁石型回転機。
  12. ステータコイルと、前記ステータコイルの外側に位置する外ロータ磁石と前記ステータコイルの内側に位置する内ロータ磁石とを有する永久磁石型回転機において、請求項1から8のいずれか1つに記載のコアレスコイルを構成する複数の前記セパレートコイルを前記内マグネットロータを挟んで組み合わせて周方向に連結することによって前記内マグネットロータを囲む中が空洞の円環状箱形のステータコイルを構成し、その後外マグネットロータを軸方向から挿入して前記ステータコイルの外側に配置させることにより組み立てることを特徴とする永久磁石型回転機の製造方法。
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